1. タグには、なにが 書いて あるの?
1. スカートのタグを裏返すと、何が書いてあるか
1. 組成表示 ── タグには全ての繊維と混用率が並ぶ
スカートの うちがわの タグには、なにで できて いるかが 書いて あります。これを「そせい ひょうじ」と いいます。
きまりでは、つかって いる せんいの 名前を ぜんぶ 書き、それぞれの わりあいを %で そえます[8]。たとえば「ポリエステル 65%・めん 35%」のように、2しゅるいが まざって いる ことも あります。
この わりあいは、おもさ(しつりょう)で 見た ものです[8]。ポリエステルは、ふくの ぬのや プリーツスカートに つかわれる 繊維として 本に のって います[1]。ただ、スカートだけの わりあいを しめす とうけいは、ここで つかった 本や 記事には ありません。
では、その ポリエステルって、いったい なにでしょう。
2. ポリエステルは、ペットボトルと おなじ ざいりょう
2. ペットボトルと同じ樹脂が、世界の繊維の半分以上を占める
2. PET樹脂を溶かして糸にする ── 世界の生産量の57〜59%
ポリエステルの もとに なる 樹脂は、PET(ペット)と いいます。ペットボトルと おなじ ざいりょうです[3]。
この PETを ねつで とかして、小さな あなから おしだすと、ほそい 糸に なります[3]。その 糸を あんだり おったり して、ぬのに します。
世界で 2023年に つくられた 繊維は、ぜんぶで やく1おく 2400まん トン。そのうち、ポリエステルが 57%でした[4]。2024年は 59%に ふえた と いわれて います[5]。
ただし これは、ふくだけでなく、いろいろな ものに つかう 繊維を ふくんだ 数です。スカートだけの わりあいでは ありません。
ペットボトルと同じ樹脂から糸ができる
日本化学繊維協会によると、ポリエステルはPET樹脂を原料としていて、これはペットボトルと同じ樹脂です。加熱して溶かし、小さな穴の空いた口金から押し出して、冷やして繊維にします(溶融紡糸)[3]。ナイロン・アクリルと並ぶ三大合成繊維の一つで、化学繊維の中では世界最大の生産量です[3]。
数字で見ると、どれくらい多いのか
報道によると、2023年の世界の繊維生産量は過去最高の約1億2,400万トン(のちの報告で約1億2,500万トンに改定)で、そのうちポリエステルが57%、綿は約2,440万トンでした[4]。2024年は1億3,200万トンに増え、ポリエステルは59%、綿は20%から19%に下がったと伝えられています[5]。
57%を重さに直すと、1億2,400万トンの57%で、およそ7,000万トンです。綿の2,440万トンの、3倍近くになります。ただし、衣料以外の繊維も含む全体の数字で、スカートだけの割合ではありません。
日本化学繊維協会の説明では、ポリエステルはPET樹脂を原料とし、加熱溶融して口金から押し出す溶融紡糸で繊維にする。PET樹脂はペットボトルと同じ樹脂で、ナイロン・アクリルと並ぶ三大合成繊維の一つであり、化学繊維の中で世界最大の生産量とされる[3]。
では、どれほど多いのか。Textile Exchangeの報告を紹介した記事によれば、2023年の世界の繊維生産量は約1億2,400万トンで、ポリエステルが57%、綿が約2,440万トンだった[4]。2024年は6.5%増の約1億3,200万トンで、ポリエステルは59%、綿は2023年の20%から19%に下がった[5]。57%を重さに直すと、124百万t×0.57で約70百万t。綿24.4百万tの約2.9倍になる(検算)。
ただし、2023年の総量は翌年の報告で約125百万tに改定されており[5]、上の値は最初の報告のものだ。また、これは衣料以外の用途も含む全繊維の統計で、スカート限定の割合ではない。スカートで多く使われるといえる根拠は、この世界統計と、次の章で見る「服地・プリーツスカートに使われる」という用途の説明までだ。
3. プリーツの おり目は、なぜ きれいに のこるの?
3. プリーツの折り目は、なぜきれいに残るのか
3. 熱可塑性とプリーツ ── 折り目を「固める」仕組み
スカートの ひだ(プリーツ)は、ねつを かけて おり目を つけて あります。ポリエステルは、その おり目を のこしやすい せんいです。
ポリエステルは、ねつで かたちが かわり、ひえると その かたちで かたまる せいしつを もちます[6]。この せいしつを つかって、おり目を ねつで 「かためて」 つくります。
ほかにも、こすれに つよく、しわに なりにくいと いわれます[1]。プリーツスカートの ざいりょうとして、本にも 名前が のって います[1]。
ただし、ねつは おり目を つくるだけでは ありません。ある スカートの 取りあつかい ひょうじには、「アイロン ふか」と 書かれて いました[7]。
熱で形を覚えさせる
ポリエステルは、熱を加えると形が変わり、冷えるとその形で固まる性質を持ちます。これを熱可塑性といいます。この性質を利用して、プリーツがつくられます[6]。生地を折りたたんだまま熱をかけ、冷ますと、その折り目が固まるわけです。
研究報告の中には、家庭用スチームアイロンでも、圧力を加えて冷えるまで押さえておけば、折り目をきれいにセットできたというものがあります[6]。ただし、これは論文の要約で読んだ内容で、条件の数字は書けません。
もう一つの利点
日本大百科全書の表では、ポリエステルは摩擦に強く、しわになりにくく、合成繊維の中では最も熱に強いとされます。用途の例には、服地やワイシャツのほか、プリーツスカートも挙がっています[1]。
熱は折り目をつくり、また消すこともある
ポリエステル100%のプリーツスカートの商品ページには、40℃までの弱洗濯、タンブル乾燥不可、アイロン不可という表示が例として載っていました[7]。熱で固めた折り目は、強い熱で変わるおそれがある、と考えると筋が通ります。ただし、これは一つの商品の例で、全てのスカートの決まりではありません。
ポリエステルがプリーツに向く理由は、熱可塑性にある。熱で形が変わり、冷えるとその形で固まる性質で、これを利用してプリーツが作られている[6]。文化学園の紀要の要旨には、家庭用スチームアイロンでも、圧力を加えて冷えるまで押さえればきれいにセットできたとの実験報告が見える[6]。ここでは要旨の範囲にとどめ、温度や圧力の数値は書かない。
これに、繊維そのものの性質が重なる。日本大百科全書の表では、ポリエステルは摩擦に強く、しわになりにくく、合成繊維の中では最も熱に強い。吸湿性は低く、用途の例に服地やプリーツスカートが挙がる[1]。別の辞典では、融点は約249℃、標準状態での吸湿度は0.4%と示される[2]。
一方、取扱表示の例では、ポリエステル100%のプリーツスカートに「40℃まで弱洗濯、タンブル乾燥不可、アイロン不可」とあった[7]。熱で固めた折り目を守るための表示と読めるが、一商品の例で、因果を断定する根拠にはならない。
4. 綿や けも、うらじも あるのは なぜ?
4. 綿・毛・裏地の素材は、それぞれ何を担当するのか
4. 綿・毛・キュプラ ── 繊維ごとの役割分担
スカートには、ポリエステルのほかにも、いろいろな 繊維が つかわれます。それぞれ とくいな ことが ちがうからです。
綿は、つよくて、水分を すいやすい 繊維です。そめやすい ことも とくちょうです[1]。毛(ウール)は、よく のびて、はずむ ちからが あり、水分も よく すいます[1]。
ポリエステルは、水分を すいにくい 繊維です[1]。いくつかを まぜて つくった ぬのも あります。まぜた わりあいが、タグの「%」の 数字です。
スカートの うらがわの ぬの(うらじ)には、キュプラなどが つかわれる ことが あります。キュプラは ほそくて、きれいな つやが ある 繊維です[1]。
綿と毛は、水分を吸う
日本大百科全書の表によると、綿は強くて吸湿性があり、耐熱性も大きく、染めやすい繊維です。服地のほか、肌着にも使われます。毛は伸びが大きく弾力に富み、吸湿性も大きく、服地やセーターに使われます[1]。
一方、ポリエステルは吸湿性が低いと説明されます[1][2]。ただし綿や毛の吸湿度の数値は、ここで使った資料にはないので、数字では比べません。
裏地は、また別の素材
同じ表では、レーヨンは裏地にも使われ、キュプラは細くて優雅な光沢があり、下着・服地・裏地に使われるとあります[1]。
こうして見ると、一つの繊維に全部をまかせるのではなく、得意なことを持ち寄る形が見えてきます。タグに並ぶ混用率の数字は、その持ち寄りの割合を表しています。
日本大百科全書の表では、綿は強く吸湿性があり、耐熱性が大きく染色しやすい。服地・肌着などに使われる。毛は伸びが大きく弾力に富み、吸湿性も大きい。服地・セーターなどに使われる[1]。ポリエステルは吸湿性が低く、辞典の標準状態の吸湿度は0.4%である[2]。綿・毛との比較は、数値ではなく性質の違いとして読む。
裏地の素材として、同じ表はレーヨンを挙げ、キュプラについては、細くて優雅な光沢があり、下着・服地・裏地・和服地に使われるとする[1]。キュプラは銅アンモニアレーヨンの指定用語である。表地と裏地を同じ繊維にする必要はなく、肌ざわりや光沢といった役割を、繊維ごとに分けられる。
混紡は、この役割分担を一枚の生地の中で行う方法といえる。組成表示の混用率は、生地に含まれる各繊維の割合を示す数字だ[8]。
5. ポリエステルは、いつから あるの?
5. ポリエステルは、いつから日本の服に入ってきたのか
5. 1941年の開発から、1970年の首位まで
ポリエステルが うまれたのは、1941年。イギリスの ふたりが、PETを つくる ことに せいこうしました[2]。
日本では、東レなど 日本の 会社が 外国の 会社から ぎじゅつを いれて、1958年ごろから 生産を はじめたと いわれます[2]。
そして 1970年には、ナイロンを ぬいて、人が つくった 繊維の なかで いちばん たくさん つくられるように なりました[2]。
いま 日本で 売られる ふくの 100まい のうち、日本で つくられた ものは やく1まいだけ、という しらせも あります[9]。
1941年の発明から、1970年の首位へ
辞典によると、ポリエステルは1941年に、英国のウィンフィールドとディクソンが開発しました。日本では、東レと帝人が英国のICI社から技術を導入して、1958年から相次いで生産を始めています[2]。
日本の企業化の年は、辞典によって1950年と1953年に分かれるため、ここでは「1958年から」の説明にとどめます。1970年にはナイロンを抜いて、合成繊維の生産量で首位になりました[2]。
いま、日本の衣料品はどこで作られているのか
日本繊維輸入組合の調査を紹介した報道では、2025年に日本国内で供給された衣料品の国産比率は、数量ベースで1.1%でした。供給量は約37億3,311万点で、過去最低を更新しています[9]。100点のうち、国産はおよそ1点です。
これは衣料品全体の数字で、スカートだけではありません。また、国産品の生地まで国産かどうかは、この数字からは分かりません。
ポリエステルの開発は、1941年に英国のウィンフィールドとディクソンがポリエチレンテレフタレートを作ったことに始まる。日本では東レと帝人がICI社から技術を導入し、1958年から相次いで生産を開始した。1970年にはナイロンを抜き、合成繊維の生産量で首位となった[2]。なお、企業化の年は辞典によって1950年と1953年に分かれるため、年の断定は避ける。
ところが現在、日本の衣料供給の中で国産が占める割合は小さい。日本繊維輸入組合の調査の報道によれば、2025年の国内供給量は約37億3,311万点で、国産比率は数量ベースで1.1%、過去最低だった[9]。3,733,110,000×0.011で、国産はおよそ4,100万点にあたる。
ただし、衣料品全体の数字であり、スカート限定ではない。国産品の生地まで国産とは限らず、「国産」の定義は報道の要約にとどまる。1958年に日本で生産が始まった繊維の話と、いまの国産比率の小ささは、別々の資料の数字である。
6. おうちの スカートの タグを よんで みよう
6. 家のスカートのタグを、混用率まで読んでみる
6. 組成表示を読む手順と、資料の読みどころ
おうちに ある スカートや ズボンの うちがわの タグを さがして みましょう。
タグに ある 繊維の 名前と %の 数字を、ノートに うつします。ポリエステル、綿、毛など、どんな 名前が あったでしょうか。
数字が 2つ いじょう あるときは、ぜんぶ たしざんして みましょう。ほとんど 100に なるはずです。
タグの 絵(あらいかたの マーク)も、よく 見て みて ください。ほかの 服と、くらべて みると おもしろいです。
もっと 知りたく なったら、繊維の 会社の あつまりの ホームページ[3]を 見て みましょう。
家にあるスカートやズボンの内側のタグを探して、繊維の名前と%の数字を、ノートに書き写してみましょう。ポリエステル、綿、毛のほかに、何があるでしょうか。
数字が2つ以上あるときは、全部を足してみてください。混用率は全ての繊維にそれぞれ書く決まりなので[8]、合計はほぼ100になるはずです。
次に、洗濯表示のマークを見ます。アイロンのマークに「×」が付いていたら、熱に弱い素材や、熱で固めた折り目があるのかもしれない、と考える手がかりになります。ただし、アイロン不可の理由は商品ごとに異なるので、決めつけないことが大切です。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
出典について:辞典・協会の説明・公的機関の表示、報道記事、研究報告の要約を使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。
- 日本大百科全書「各種繊維の特徴と用途」(日本化学繊維検査協会)。https://kotobank.jp/word/各種繊維の特徴と用途-2237100 (各繊維の性質と用途について)
- コトバンク「ポリエステル繊維」(百科事典マイペディア・ブリタニカ国際大百科事典・世界大百科事典)。https://kotobank.jp/word/ポリエステル繊維 (ポリエステルの融点・吸湿度・開発と生産の歴史について)
- 日本化学繊維協会「化学繊維の種類」。https://www.jcfa.gr.jp/understanding-chemical-fibers/types-of-chemical-fibers/ (PET樹脂と溶融紡糸、生産量について)
- Apparel Insider「Global fibre production reaches record level in 2023」(Textile Exchange報告の紹介記事)。https://apparelinsider.com/global-fibre-production-reaches-record-level-in-2023/ (2023年の世界の繊維生産量と割合について。英語の報道)
- Apparel Resources「Global fibre output grows 6.5% in 2024」(Textile Exchange報告の紹介記事)。https://apparelresources.com/business-news/manufacturing/global-fibre-output-grows-6-5-2024-synthetics-widening-lead-textile-exchange/ (2024年の世界の繊維生産量と割合について。英語の報道)
- 荒井ほか 文化学園(文化女子大学)紀要「クリスタル・プリーツの研究」。https://bunka.repo.nii.ac.jp/record/410/files/001031230_04.pdf (熱可塑性とプリーツのセットについて。要旨の範囲)
- 三井ショッピングパーク 商品ページ(ポリエステル100%プリーツスカートの取扱表示)。https://mitsui-shopping-park.com/ec/p/1960000007913 (取扱表示の一例について)
- 消費者庁「繊維製品の表示(組成表示)」。https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/fiber/fiber_01.html (組成表示の書き方と混用率について)
- WWD JAPAN「日本繊維輸入組合の調査」(2025年の衣料品の国産比率の報道)。https://www.wwdjapan.com/?p=2434363 (衣料品の国産比率と供給量について。報道)
なおした ところ
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