1. サッカーじょうは、どのくらい ひろく できるの?
1. サッカーのピッチは、どこまで広く、どこまで狭くできるのか
1. IFAB第1条 ── 幅を持たせて決めるサッカーのピッチ
サッカーの グラウンドを「ピッチ」と いいます。きまりでは、ながい ほうの 線は 90メートルから 120メートルの あいだなら よいことに なって います[1]。
みじかい ほうの 線は、45メートルから 90メートルの あいだです[1]。いちばん ちいさい ピッチと いちばん 大きい ピッチを くらべると、ひろさは やく 2.7ばい ちがいます。これは、はんいの りょうはしどうしを くらべた 計算です。
国と 国の しあいでは、もう すこし せまい はんいに なります。ながさは 100メートルから 110メートル、はばは 64メートルから 75メートルです[1]。
では、ほかの スポーツは どうでしょう。テニスを のぞいて みましょう。
サッカーの競技規則を管理するIFABの第1条によると、一般の試合では、タッチライン(長いほうの辺)は90〜120m、ゴールライン(短いほうの辺)は45〜90mの範囲で認められます[1]。範囲の両はしどうしを比べると、最も小さいピッチは90×45mで4050㎡、最も大きいピッチは120×90mで10800㎡です。広さは約2.7倍ちがいます(範囲の両はしを使った計算です)。
国際試合になると範囲はせまくなり、長さ100〜110m、幅64〜75mです[1]。規則にはヤードも併記され、100〜130ヤードのようにメートルの数字と並べて書かれています[1]。
サッカーは、場所や会場に合わせて動かせる余地を、最初から規則に残している競技だといえます。では、数字をきっちり決める競技は、どんな形をしているのでしょうか。
IFAB第1条は、一般の試合でタッチライン90〜120m(100〜130ヤード)、ゴールライン45〜90m(50〜100ヤード)と範囲で定める。国際試合は長さ100〜110m、幅64〜75mである[1]。範囲の両端どうしを比べると、最小90×45m(4050㎡)と最大120×90m(10800㎡)で、面積は約2.7倍になる(範囲の両端を使った計算値)。なお規則にはメートルとヤードが併記されている(90mは約98.4ヤードだが、規則上は100ヤードと書かれる)。
この「範囲で決める」やり方は、サッカーだけの特徴ではない。野球の外野も、あとで見るように下限と望ましい値しか決まっていない。では、数字を固定する側は、どのように決まったのか。まず、テニスから見ていく。
2. テニスコートの 形は、さいしょは ちがって いた
2. テニスコートは、最初は砂時計の形だった
2. 78フィート×27フィート ── 砂時計型から長方形への標準化(1874〜1882年)
テニスコートの ながさは、78フィートです。メートルに すると 23.77メートルに なります[2]。78に 0.3048を かけると、この 数に なります。はば は ひとりで あそぶ ほうで 27フィート、ふたりずつで あそぶ ほうで 36フィートです。
でも むかしの コートは、ぜんぜん ちがう 形でした。1874年、ウィングフィールドと いう 人が、テニスの もとに なる あそびを うりだしました。コートは すなどけいの 形で、やく 60フィート×30フィートでした[3]。
それが 1877年の さいしょの ウィンブルドンの 大会までに、長方形に なりました。シングルスの 78フィート×27フィートは、その ころには きまって いました[4]。
テニスは ずっと この 数字を たもって います。では、きっちり きめる スポーツは ほかにも あるのでしょうか。
現在のテニスコートは、長さ78フィート(23.77m)、幅はシングルスで27フィート(8.23m)、ダブルスで36フィート(10.97m)の長方形です。ネット中央の高さは3フィート(0.914m)です[2]。78フィートにフィートからメートルへの換算値0.3048をかけると、約23.77mになります。
テニスの原型を1874年に売り出したウィングフィールドのコートは、ベースライン側が広くネット側が狭い砂時計型で、約60×30フィート、ネットは約5フィート(約1.5m)の高さでした[3]。
1877年の第1回ウィンブルドン選手権までに、コートは長方形になり、シングルスの78×27フィートの形が定まりました。ネット中央が3フィートになったのは1882年です[4]。
初期のコートは、今より小さく、形もちがいました。数字は、最初から今の値だったわけではなさそうです。野球でも、同じことが起きていたのでしょうか。
現在のテニスコートは、長さ78フィート(23.77m)、幅はシングルス27フィート(8.23m)、ダブルス36フィート(10.97m)の長方形で、ネット中央の高さは3フィート(0.914m)である[2]。78フィートは0.3048mをかけると約23.77mになる。
1874年にウィングフィールド(Walter Clopton Wingfield)が「スフェアリスティケ(Sphairistikè)」として売り出したコートは、砂時計型で約60×30フィート、ネットは約5フィートだった[3]。このコートが長方形になったのは、1877年の第1回ウィンブルドン選手権までのことで、その時点でシングルスは78×27フィートに定まっていた。ネット中央を3フィート(ポスト3.5フィート)に下げたのは1882年だ[4]。
固定された数字にも、成立の過程がある。次に、固定と幅を1つの球場に同居させている野球を見る。
3. 野球は、ここは きっちり、ここは ゆるい
3. 野球のグラウンドは、内野は固定・外野は下限だけ
3. 公認野球規則2.01 ── 内野は固定、外野は下限と推奨値
野球の 内野は、1つの 線が 90フィートの 正方形です。やく 27メートルです。ピッチャーの 板から ホームベースまでは、60フィート6インチ(やく 18.4メートル)と きまって います[5]。
では 外野は? ホームから フェンスまで、250フィート(やく 76メートル)いじょう とだけ あります。ライン ぞいは 320フィート いじょう、まんなかは 400フィート いじょうが「のぞましい」と されて いるだけです[5]。
だから 野球場は、外野の 広さが 球場ごとに ちがいます。きっちり きめるのは、ボールを うつ人と なげる人が かかわる ところ。ゆるく して いいのは、場所に あわせる ところ。そんな わけかたに 見えます。
ところで、この きっちりした 数字は どこから きたのでしょう。
公認野球規則2.01は、内野を90フィート(約27.4m)四方の正方形と定め、投手板から本塁(ホームベースの後ろの角)までを60フィート6インチ(約18.44m)と決めています[5]。
外野は、本塁からフェンスなどまでが250フィート(約76m)以上、ファウルラインに沿って320フィート(約98m)以上、中堅は400フィート(約122m)以上が「望ましい」とされるだけです[5]。固定された数字ではなく、下限と目安です。
走る距離と投げる距離が関わる内野は固定し、場所に合わせる外野には幅を持たせている、と読めます。ただし、規則がそう説明しているわけではなく、私たちがそう読んでいるだけです。
では、90フィートや60フィート6インチという数字は、どこから来たのでしょうか。
公認野球規則2.01は、内野を90フィート(約27.4m)四方の正方形とし、投手板と本塁(後端)の間を60フィート6インチ(約18.44m)と定める。外野は、本塁からフェンス等まで250フィート(約76m)以上、ファウルラインに沿って320フィート(約98m)以上、中堅400フィート(約122m)以上が「望ましい」とされ、固定値ではない[5]。
走塁と投球のように競技の公平さに直接関わる距離は固定し、球場の敷地に左右される外野は幅を残す。そう読めるが、これは規則の文面からの推測で、規則自体にこの理由づけが書かれているわけではない。それでは、固定された90フィートと60フィート6インチは、どんな経緯で決まったのか。
4. 60フィート6インチの 「6インチ」は どこから?
4. 「60フィート6インチ」の半端な6インチは、なぜ付いたのか
4. 塁間90フィートと投打間60フィート6インチの成立過程
いま ある 中でいちばん ふるい 野球の 文字の きまりは、1845年の ものです。そこでは、ベースの あいだは「42ペース」と 書かれて いました[6]。1ペースは およそ 人の 歩はばですが、ぴったりの 長さは 分かって いません。
1857年の 大会で、ベースの あいだは 30ヤードに そろえられました[6]。30ヤードは 90フィートと 同じ 長さです。
ピッチャーと バッターの きょりも、はじめから 今の 長さでは ありません。1857年は 45フィート、1881年は 50フィート、1887年は 55.5フィート、1893年に 今の 60フィート6インチに なりました[7]。
この 6インチは、どうして ついたのでしょう。「はかり まちがいで ふえた」という 話が ありますが、作り話と されて います[7]。ほんとうの 理由は、はっきり していません。
最も古い成文のルールである1845年のニッカボッカー規則は、本塁と2塁、1塁と3塁の距離を「42ペース」と書いていました[6]。1ペースが何フィートにあたるかは諸説あり、ぴったりの長さは分かっていません。1857年の大会で、塁間は1辺30ヤードに標準化されました。30ヤードは、ちょうど90フィートです[6]。
投手と打者の距離は、数回にわたって伸びています。1857年に45フィート、1881年に50フィート、1887年に55.5フィート、1893年に今の60フィート6インチです[7]。約36年で、15フィート6インチ(約4.7m)伸びた計算です。
最後の「6インチ」には、測量のミスで余ったという話がよく語られます。しかしこれは作り話とされています[7]。なぜ6インチが付いたのか、理由は分かっていません。
固定された数字にも、決めた人と、決めなおした年があった。その意味では、野球もテニスと同じです。では、あとから生まれたスポーツはどうでしょうか。
最古の成文ルールとされる1845年のニッカボッカー規則は、本塁−2塁・1塁−3塁の距離を「42ペース」と記す。1ペースが何フィートかは諸説あり(2.5フィートとすれば約74フィート)、1857年の大会で1辺30ヤードに標準化された。30ヤードは90フィートである[6]。
投手と打者の距離は、1857年45フィート、1881年50フィート、1887年55.5フィート、1893年60フィート6インチと4段階で伸びた[7]。この間の延伸は計15フィート6インチ(約4.7m)である。最後の6インチについて、測量ミスで余ったという通説は作り話とされ[7]、由来そのものは特定されていない。なお、塁間90フィートを誰が決めたかは確定しておらず、このメモでは特定の人物を挙げない。
固定された数字も、最初から今の値だったわけではない。では、1895年に新しく考案された競技は、どんな大きさで始まったのか。
5. バレーボールと バスケットボールは、どんな 大きさで はじまった?
5. バレーボールとバスケットボールは、どんな大きさで始まったのか
5. バレーボール(1895年)とバスケットボール(1891年)── 新しい競技の数字と、いまの規則
バレーボールは、1895年に アメリカの ホリヨークと いう まちで、モーガンと いう人が かんがえました[8]。バスケットボールは はげしすぎて、しごとの かえりの 大人には きつかったので、ぶつからない あそびを つくりたかった のです[8]。
さいしょの コートは、25フィート×50フィート、やく 7.6メートル×15.2メートルでした。ネットは 6フィート6インチ(やく 1.98メートル)です[8]。
いまの バレーボールの コートは、18メートル×9メートルです[9]。長い ほうは、はじめより 2.8メートルほど ながく なりました。
バスケットボールの いまの コートは、国さいしあいでは 28メートル×15メートルです[10]。アメリカの NBAは 94フィート×50フィートで、やく 28.7メートル×15.2メートルです[10]。同じ スポーツでも、メートルで きめる 国さいルールと、フィートで きめる NBAでは、数字が すこし ちがいます。
1つだけ、ずっと かわらない 数字も あります。ゴールの 高さは、いまも 10フィート(やく 3.05メートル)です[11]。
バレーボールは1895年、マサチューセッツ州ホリヨークのYMCAで、ウィリアム・G・モーガンが考案しました。激しすぎたバスケットボールが仕事帰りの実業家には合わず、接触のない遊びを求めたのが始まりです[8]。
最初のルールでは、コートは25×50フィート(約7.6×15.2m)の屋内コート、ネットは6フィート6インチ(約1.98m)でした[8]。現在のFIVB規則では18m×9mの長方形で、周囲に最低3mのフリーゾーンがあります。FIVB主催の公式大会では、側方5m・後方8m以上と、さらに広く取られます[9]。長いほうの辺は、考案時より約2.8m長くなりました。
バスケットボールのFIBAのコートは28m×15mで、外側に最低2mの余白を取り、上空7m以上には障害物がありません[10]。NBAは94×50フィート(約28.7×15.2m)で、メートルを基準にするFIBAとフィートを基準にするNBAで、数字が少しずれます[10]。
1891年12月21日のバスケットボールの最初の試合では、1チーム9人で、桃の籠が体育館の2階バルコニーの手すりに取り付けられました。手すりの高さがたまたま10フィート(約3.05m)で、その高さは今も同じです[11]。
バレーボールは1895年、マサチューセッツ州ホリヨーク(Holyoke)のYMCAで、ウィリアム・G・モーガン(William G. Morgan)が考案した。最初のルールは25×50フィート(約7.6×15.2m)の屋内コートに、高さ6フィート6インチ(約1.98m)のネットだった。バスケットボールが仕事帰りの実業家には激しすぎたため、接触のない遊びを求めたという経緯である[8]。
現在のFIVB規則は18m×9mの長方形で、周囲に最低3mのフリーゾーンを置く。ただしフリーゾーンは大会で数値が異なり、FIVB主催の公式大会では側方5m・後方8m以上になる[9]。長辺は考案時より約2.8m長い(18m−15.24m)。いつ、なぜこの大きさになったのかは、このメモで使った資料からは分からない。
バスケットボールについては、FIBAのコートが28m×15m、外側に最低2mの余白(会場全体で32×19m以上)、上空7m以上は障害物なしと定められている[10]。NBAは94×50フィート(約28.7×15.2m)で、メートル基準とフィート基準で数値がわずかにずれる[10]。一方、1891年12月21日の最初の試合で使われた桃の籠の高さ10フィート(約3.05m)は、現在も変わらない[11]。
固定された数字にも、育つもの、変わらないものの両方がある。では、ふだんの暮らしのなかで、この数字を自分で確かめるにはどうすればよいか。
6. 自分の 足で、はかって みよう
6. 自分の足と目で、コートの大きさを確かめてみる
6. 出口 ── 歩幅でコートを測ってみる
学校の 校庭や、近くの 公園に、バスケットボールや テニスの コートが あったら、ならんで 歩いて みましょう。はしからはしまで、ふつうに 歩いて 何歩か かぞえます。
バスケットボールの コートは 28メートルです。自分の 1歩が だいたい 何メートルか わかれば、数が あうか 見られます。おうちの 人と いっしょに、人や 車に ぶつからない 場所で やって ください。
サッカーじょうの 大きさが、きまりの はんいの 中の どこに あたるかも、見て みましょう。ちかくの グラウンドは 100メートルを こえるでしょうか。
学校の校庭や近くの公園に、バスケットボールやテニスのコートがあれば、端から端まで普通に歩いて、何歩かを数えてみましょう。自分の1歩が約何mか分かれば、規則の数字(バスケットボールのFIBAなら28m、テニスなら23.77m)に近いか見比べられます。人や車の通らない場所で、おうちの人と一緒に行ってください。
近くのサッカー場は、規則の範囲(長いほうの辺90〜120m)のどのあたりでしょうか。歩数で測れば、およその見当がつきます。ほかにも、ネットやゴールの高さを、自分の背と比べてみるのもよいでしょう。
家にメジャーがあれば、自分の1歩の長さを先に測っておくと、歩数から長さの見当がつけやすくなります。「以上」「範囲」「望ましい」のような言葉が、コートの数字の決め方の違いを表している、と思いながら歩いてみてください。
身近なコートで、歩幅から実測値を推定してみるのがよい。端から端まで歩数を数え、自分の歩幅(1歩を何mとみなすか)をかければ、規則の数値(FIBAなら28m、テニスなら23.77m)と比べられる。人や車の通らない場所で行うこと。
家のメジャーで自分の歩幅を先に測っておくと、推定の誤差が見積もりやすい。規則の数字を見るときは、「以上」「範囲」「望ましい」といった文言に注意する。IFAB競技規則第1条[1]と公認野球規則2.01[5]は、同じ「寸法」を扱いながら、固定値と範囲で書き方が異なる。また、バスケットボールのFIBA規則とNBAのように、同じ競技でもメートル基準かフィート基準かで数値が少しずれるものもある[10]。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
出典について:各競技の規則と、歴史を扱った資料を使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。ウェブ上の百科事典や記事は、規則や公式の資料と数字を突き合わせて使った。
- IFAB Laws of the Game 第1条 The Field of Play。https://www.theifab.com/laws/latest/the-field-of-play/ (サッカーのピッチの大きさの範囲)
- Wikipedia「Tennis court」(ITF規則を引用)。https://en.wikipedia.org/wiki/Tennis_court (現在のテニスコートの寸法)
- Google Arts & Culture「The Tennis Court's Transformation」。https://artsandculture.google.com/story/gwUx-QPMyspCQA (1874年の砂時計型コート)
- American Heritage「Sphairistike, Anyone?」。https://www.americanheritage.com/sphairistike-anyone (長方形への変化と、ネットの高さの変更)
- Official Baseball Rules 2.01(MLB公認野球規則)。https://umpirebible.com/OBR16/2.0.htm (内野と外野の寸法の決め方)
- SABR「The Evolution of the Baseball Diamond」。https://sabr.org/?p=104655 (塁間の距離の変遷)
- The Ringer「Pitching mound move distance」(2021年)。https://www.theringer.com/mlb/2021/3/15/22331075/pitching-mound-move-distance (投打間の距離の変遷と6インチの通説)
- International Volleyball Hall of Fame「History of Volleyball」。https://www.volleyhall.org/history-of-volleyball.html (バレーボールの考案と最初のコート)
- 西オーストラリア州政府 スポーツ施設寸法ガイド「Volleyball」(FIVB規則を引用)。https://dlgsc.wa.gov.au/sport-and-recreation/sports-dimensions-guide/volleyball (現在のバレーボールのコートの寸法)
- FIBA Venue Guide。https://www.venueguide.fiba.basketball/vanue-design (バスケットボールのコートの寸法。NBAの値はWikipedia「Basketball court」も参照)
- Springfield College「Where Basketball was Invented」。https://springfield.edu/where-basketball-was-invented-the-birthplace-of-basketball (最初の試合とゴールの高さ)
なおした ところ
更新履歴
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