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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

空の上には、上ほど あたたかく なる ところが ある

空の上で気温が上がる成層圏 ── 気球は上端の53.7kmまで届いた

成層圏の高さと気温 ── 対流圏界面から約50km、気温が上がる理由と気球が届いた53.7km

分野:自然

ふつう、高い ところほど さむく なります。ところが 空の ずっと 上には、上へ いくほど あたたかく なる ところが あります。それが 成層圏せいそうけんです。

どうして あたたかく なるのか、どのくらいの 高さから はじまるのか、気球は どこまで とどいたのかが わかります。

高い山に登ると寒くなるように、空も高いほど冷えていきます。ところが、ある高さを過ぎると、今度は上へ行くほど気温が上がり始めます。その層が成層圏せいそうけんです。

なぜ気温が逆に上がるのか、成層圏は空のどのあたりから始まるのか、気球はそこへどこまで届いたのかが分かります。

地上から上空へ向かうと気温は下がるが、約10km前後を境に下がり方が止まり、その上の成層圏では逆に上昇に転じる。上昇する理由は、オゾンが紫外線を吸収して大気を温めるためだ[1]。

では、その境目は地球上のどこでも同じ高さなのか。旅客機や気象観測の気球は、どの高さで成層圏に出会うのか。気球はどこまで届いたのか。気象庁・NOAA・NASA・JAXAの資料から、これらが分かる。

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1. ひこうきの まどの そとは、どんな 高さ?

1. 旅客機の窓の外で、気温の下がり方が止まる

1. 対流圏界面 ── 気温の下がり方が変わる境目

ひこうきの まどから 空を のぞくと、そとは すごく さむい ところです。じつは、ひこうきが とぶ 高さの あたりで、空の ようすが かわります。

地ひょうから 上へ いくと、気温は だんだん さがります。この さがる ところを、たいりゅうけんと いいます。そのうえで、さがり方が ちいさくなったり、あがりはじめたり します。日本の ちかくでは、さかいめは およそ 1まん メートルの あたりです[1]。

ひこうきは、この さかいめの ちかくを とんで います。ただし、とぶ 高さは 場所や きせつで かわります[3]。

旅客機の窓から外を見ると、空は濃い青で、外はとても寒い世界です。この旅客機が飛ぶ高さのあたりで、空の性質が切りかわります。

気象庁の説明では、地上からおよそ10〜16kmまでの層を対流圏といい、上空ほど気温が下がります。その上では、気温の下がり方が小さくなるか、逆に上がるようになります。この境目が対流圏界面です[1]。

強い風が吹くジェット気流の中心は、通常およそ10kmにあり、対流圏界面の付近で最も強くなります[1]。NASAは、成層圏をジェット旅客機が飛ぶ層だと説明しています[3]。ただし旅客機が飛ぶのは成層圏の下の縁あたりで、高度や緯度、季節によっては対流圏を飛ぶ場合もあります。

気温が高度とともに下がる層が対流圏で、気象庁は高さを地上から10〜16kmとする。その上では、気温の低下が小さくなるか、逆に上昇に転じる。この境目が対流圏界面だ[1]。

ジェット気流の強風軸が通常約10kmにあり、圏界面付近で最も強くなる[1]ことは、旅客機の運航高度が圏界面に近いこととも整合する。NASAは、成層圏はジェット旅客機が飛び、オゾン層が存在する層だと説明する[3]。ただし飛ぶのは成層圏の下端付近で、高度・緯度・季節によっては対流圏内を飛ぶこともある。

では、境目の上で気温が逆に上がるのは、なぜか。

2. なぜ、上へ いくほど あたたかく なるの?

2. 暖め役は、紫外線を吸い取るオゾン

2. 気温逆転の原因 ── オゾンによる紫外線吸収と、「暖かい」の実際の温度

あたたかく なる わけは、オゾンと いう ガスです。成層圏せいそうけんには、オゾンが おおく あります。

オゾンは、太ようの 紫外線しがいせんを すいこみます。すいこんだ ぶんだけ、まわりの 空気が あたためられます[1]。しくみは ちがいますが、ふゆに 日なたの くろい ふくが ぽかぽかするのを おもいうかべると、わかりやすいかも しれません。

では、どのくらい あたたかい のでしょう。さかいめでは、ふつう 気温は マイナス 51ど ぐらいです。成層圏せいそうけんの いちばん 上でも、さいだいで マイナス 15ど ぐらいです[2]。「あたたかい」は、下より あたたかい、という ことです。

成層圏で気温が上がる主な原因は、オゾンの多さです。気象庁は、オゾン濃度が高く、オゾンが紫外線を吸収して大気を加熱することが、成層圏ができる主因だと説明しています[1]。

成層圏の気温はどこまで上がるのでしょうか。NOAAの資料によると、気温は下の境目で平均およそマイナス51℃、成層圏の上の端で最大でもおよそマイナス15℃です[2]。上へ行くほど暖かくなるといっても、地上のように暑くなるわけではなく、「下の層より暖かい」という意味です。

ひとことで言うと、成層圏の暖かさは、地上から上へ向かって冷えていく流れの途中で、上から紫外線のエネルギーが加わって起きる、気温の向きの切りかわりです。

気象庁は、オゾン濃度が高く、オゾンが紫外線を吸収して大気が加熱されることを、成層圏形成の主因とする[1]。対流圏で気温が下がるのは地表から離れるためだが、その上では紫外線の吸収による加熱が効き、気温が上がる側に切りかわる。

NOAAによれば、気温は圏界面で平均約−51℃、成層圏の上端で最大約−15℃である[2]。つまり上端でも氷点下で、「暖かい」は下の層との比較にすぎない。上端付近の約50kmから先は、別の層になる[2]。

この「約10km」という境目は、地球のどこでも同じなのだろうか。

3. 成層圏せいそうけんの 入口は、どこでも 同じ 高さ?

3. 成層圏の入口は、赤道と極で約3倍ちがう

3. 圏界面の高さの緯度変化 ── 赤道約18〜20km、極約6km

じつは、入口の 高さは 場所で ちがいます。あつい 赤どうの ちかくでは、入口が たかく、18〜20キロメートルほどです。

赤どうと きょくの 中ほど、北い 50どや 南い 50どでは 9キロメートルほど。きょくの ほうでは 6キロメートルより すこし ひくい 高さです[2]。

赤どうの 入口は、きょくの 3ばいぐらい 高い ところに あります。

成層圏の入口は、地球上のどこでも同じ高さではありません。NOAAの資料によると、対流圏の高さは、赤道で約18〜20km、北緯・南緯50度で約9km、極で6km弱です[2]。

赤道の約18kmを極の約6kmで割ると、およそ3倍です。上昇する暖かい空気が厚い対流圏をつくる赤道付近と、そうでない極とで、入口の高さが大きく違うことが分かります。

気象庁が「10〜16km」と書き、NOAAが成層圏の下端を「6〜20km」と書くのは、このように場所と季節で変わるためです[1][2]。この記事では、日本付近の目安として「およそ10km前後」と書きます。

NOAAは、対流圏の高さを赤道で約18〜20km、北緯・南緯50度で約9km、極で6km弱とする[2]。赤道と極の比はおよそ3倍である(約18kmと約6kmによる概算)。

この変化のため、成層圏の下端は資料によって「10〜16km」(気象庁)[1]、「6〜20km」(NOAA)と異なる範囲で書かれる[2]。どちらも、場所と季節で変わる範囲をどう切り取るかの違いと読める。本稿は日本付近の目安として「約10km前後」と表記する。

この高さの空まで、実際に測りに行く道具が、毎日飛んでいる。

4. 毎日 2回、気球が 成層圏せいそうけんまで のぼって いる

4. 毎日2回、ゴム気球が約30kmまで観測に上がる

4. ラジオゾンデ ── 直径1.6mの気球が約30kmで8mに膨らむまで

この 高さまで、まいにち 気球が のぼって います。気象庁きしょうちょうは、1日 2回、9じと 21じに、気球を とばします。気球には、ラジオゾンデと いう 小さな きかいが ついて います。

やく 30キロメートルまでの 気温・しつど・風を、観測かんそくします[4]。

ふうせんの ように、気球は 上へ いくほど おおきく なります。ちじょうで 直径ちょっけい 1.6メートル、やく 30キロメートルで 8メートルほどに なり、われます。そのあと、きかいは パラシュートで ゆっくり おります[5]。

気象庁は、毎日2回(日本では9時と21時)、気球にラジオゾンデという観測機器をつけて飛ばしています。地上からおよそ30kmの高さまで、気温・湿度・風向・風速を気圧(高度)とあわせて測ります[4]。つまり、毎日成層圏まで観測が届いています。

福岡管区気象台の説明では、ゴム気球は地上で直径約1.6m、1分間に300〜400mの速さで上昇します。高さ約30kmで直径約8mまで膨らんで破裂し、ゾンデはパラシュートでゆっくり降ります[5]。

直径1.6mが8mなら、直径は5倍です。上空は空気がうすく、外から押す力が小さいので、気球がどんどん膨らみます。

気象庁は毎日2回(日本では9時と21時)、ラジオゾンデを気球で飛ばし、上空約30kmまでの気温・湿度・風向・風速を気圧(高度)とともに観測する[4]。成層圏の気温の構造は、こうした定常観測で毎日測られている。

福岡管区気象台の記述では、ゴム気球は地上で直径約1.6m、上昇速度は毎分300〜400m、高度約30kmで直径約8mまで膨らんで破裂し、ゾンデはパラシュートで降下する[5]。直径は約5倍になる(体積の倍率は、この資料では示されていない)。上空ほど外気圧が低くなるため、気球が膨らむと考えられる。

では、この気球より、もっと上まで行ける気球はないのか。

5. もっと 高く、53.7キロメートルまで

5. 厚さ2.8μmの気球が、53.7kmに届いた

5. 超薄膜気球 ── BS13-08の高度記録と、2002年の記録の更新

JAXAの 気球は、もっと 高く のぼりました。2013年9月20日、53.7キロメートルに とどいたと 発表されました[6]。

ひみつは、とても うすい ふくろです。うすさは 2.8μm(マイクロメートル)。1ミリメートルの 1000ぶんの 1が 1μmなので、2.8μmは 0.0028ミリメートルです。

2002年の 記録きろくは 53.0キロメートルで、ふくろの うすさは 3.4μmでした。ふくろは うすく なり、記録きろくは 0.7キロメートル のびました[6]。

JAXAの大気球BS13-08は、2013年9月20日に放球され、高度53.7kmを記録しました。体積8万m³、膜の厚さ2.8μmの超薄膜気球で、2002年5月の記録(高度53.0km、膜厚3.4μm)を上回っています[6]。1μmは1mmの1000分の1なので、2.8μmは0.0028mmです。

2013年の気球は、2時間42分で最高点まで上りました[6]。

2002年の気球は、2002年5月23日に三陸気球観測所から飛び、それまでの世界記録51.8kmを1.2km上回りました。この更新は、約30年ぶりだったと発表されています[7]。

2つの記録で、膜厚は3.4μmから2.8μmへ、高度は53.0kmから53.7kmへと変わっています。

53.7kmは、成層圏のおよそ上端付近にあたり、すぐ上は別の層の入口です。気象庁の気球の到達点(約30km)の、およそ1.8倍の高さです。

JAXA(ISAS)の大気球BS13-08は2013年9月20日に放球され、高度53.7kmを記録した。体積8万m³、膜厚2.8μmの超薄膜気球で、2002年5月の53.0km(膜厚3.4μm)を0.7km上回った[6]。記録としての扱いはJAXAの発表による。

2013年の気球は2時間42分で最高点に達した[6]。2002年の記録は5月23日に三陸気球観測所から飛んだ気球で、それまでの世界記録51.8kmを1.2km上回り、約30年ぶりの更新だった[7]。2つの記録で、膜厚は3.4μmから2.8μmへ、高度は53.0kmから53.7kmへと変わっている。超薄膜気球は、膜厚がμm単位(1μm=0.001mm)の気球である。

53.7kmは、成層圏の上端(約50km[2])付近で、気象庁のゾンデが届く約30km[4]の約1.8倍にあたる。

6. ふうせんで、気球の ふくらみを 見て みよう

6. ゴム風船で、気球の膨らみを観察してみる

6. ゴム風船で気球の膨らみを観察する/資料の読みどころ

ふうせんを 1つ、ふくらませて みましょう。はじめは こい 色でも、おおきく ふくらむと、ふくろが のびて、うすい 色に なります。

かんそくに つかう ゴムの 気球も、のびて うすく なります。成層圏せいそうけんまで のぼった 気球を、ふうせんで おもいうかべて みましょう。

ふうせんは、パンッと われる ことが あります。かお から はなして、おとなの 人と いっしょに やって ください。

もっと しりたく なったら、気象庁きしょうちょうの 気球の 観測かんそくの ページを 見て みよう[4]。

ゴム風船を1つ、ゆっくり膨らませてみましょう。膨らむにつれて膜が伸び、色が薄くなっていくのを見ると、観測用のゴム気球の袋がどう薄く伸びるかを想像しやすくなります。記録をつくった超薄膜気球は、観測用とは別の気球です。

風船は急に割れることがあります。顔から離して、大人と一緒にやってください。

膜厚と高度記録がどう変わったかは、JAXA(ISAS)のニュースで読めます[6][7]。成層圏の仕組みは気象庁の資料[1]、観測のしくみは気象庁の高層気象観測のページ[4]が入口になります。

ゴム風船をゆっくり膨らませ、膜が伸びて色が薄くなるのを観察すると、観測用ゴム気球が直径5倍に膨らむ姿を想像しやすい(記録用の超薄膜気球は観測用とは別の気球で、膜厚2.8μmは0.0028mmにあたる)。風船は急に割れることがあるので、顔から離し、大人と一緒に行う。

資料を読むなら、成層圏形成の主因は気象庁の解説[1]、気温と高さの数字はNOAA[2]とNASA[3]、観測の実際は気象庁の高層気象観測[4]と福岡管区気象台[5]、記録の経緯はISAS(JAXA)の2013年[6]・2002年[7]のニュースが出発点になる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:気象庁・NOAA・NASA・JAXA(ISAS)の資料を使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。

  1. 気象庁「成層圏・対流圏の説明」。https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/whitep/1-1-1.html (対流圏の高さ、オゾンによる加熱、ジェット気流の高さ)
  2. NOAA JetStream「Layers of the Atmosphere」。https://www.noaa.gov/jetstream/atmosphere/layers-of-atmosphere (成層圏の広がり、気温、緯度による高さの違い)
  3. NASA SVS「Earth's Atmosphere Layers」。https://svs.gsfc.nasa.gov/20014 (旅客機が飛ぶ層)
  4. 気象庁「高層気象観測(ラジオゾンデ)」。https://www.data.jma.go.jp/kousou/obs_second_div/sonde/sonde01.html (毎日2回の観測、約30km)
  5. 福岡管区気象台「高層気象観測」。https://www.data.jma.go.jp/fukuoka/kansoku/kousou_kansoku.html (気球の大きさと上昇の速さ)
  6. JAXA宇宙科学研究所 ニュース(2013年9月20日)。https://www.isas.jaxa.jp/j/topics/topics/2013/0920.shtml (BS13-08の高度記録)
  7. JAXA宇宙科学研究所 ニュース(2002年)。https://www.isas.jaxa.jp/e/snews/2002/06_02.shtml (2002年の高度記録と更新の経緯)

なおした ところ

更新履歴

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