このサイトは、ほんの入り口です

ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

ヒマワリの まんなかの ぶつぶつは、なにで できて いるの?

ヒマワリの真ん中のぶつぶつは何でできていて、種はどう並ぶのか

ヒマワリの中心部は何でできているのか ── 管状花の集合と、種のらせん数にみるフィボナッチ数

分野:生きもの

ヒマワリの 大きな 黄色い 花は、じつは 1つの 花では ありません。まんなかの ぶつぶつした ところは、小さな 花が ぎゅうぎゅうに あつまった ものです[1]。

では、その 小さな 花が たねに なると、どう ならぶのでしょう。そして、なぜ ヒマワリは ひがしを むくのでしょう。まんなかの ならび方と、花の むきの わけが わかります。

ヒマワリの大きな黄色い「花」は、実は1つの花ではありません。真ん中の褐色の部分は、小さな花がぎっしり集まったものです[1]。

では、その小さな花が種になると、どのように並ぶのでしょうか。イギリスの市民調査では、768個のらせん数のうち565個(約74%)がフィボナッチ数でした。また、花が咲いたあとのヒマワリは、なぜ東を向くのでしょうか。真ん中の並び方と、花の向きに関する研究の報告が分かります。

ヒマワリの大きな「花」は、1つの花ではなく、頭状花序と呼ばれる花の集まりである。周辺の黄色い部分は舌状花、中央の褐色の部分は小さな管状花の密集で、結実するのは管状花だけだ[1]。

では、その管状花がつくる種は、どんな規則で並ぶのか。そして、その規則はどこまで「決まり」といえるのか。市民調査では、768個のらせん数のうち565個(約74%)がフィボナッチ数だった。さらに、開花後の花がほぼ東を向く現象には、どんな説明があるのか。市民参加の調査と、体内時計の研究報告から確かめる。

読み方を切り替えられます。画面の上にある「よみかた」のボタンで、小学校低学年むけ・小学校高学年むけ・中学生むけの3つの書き方に切り替わります。むずかしいと思ったら、いつでもやさしい方に戻ってください。選んだ読み方はブラウザが覚えているので、次に別の記事を開いたときも同じ読み方で始まります。

1. 黄色い ところと、まんなかは、べつの 花

1. 花びらに見える黄色い部分と、真ん中の部分は別の花

1. 頭状花序の周辺は舌状花、中央は結実する管状花

ヒマワリの 黄色い 花びらのような ところは、1まいずつが ひとつの 花です。まわりを ぐるっと かこんで います。

まんなかの 茶色い ところは、もっと 小さな 花の あつまりです。これを かんじょうか と いいます。たねが できるのは、この まんなかの 小さな 花だけです[1]。

だから、ヒマワリの 花は、「たくさんの 花で できた 1つの 大きな 花」と いえます。まんなかの ぶつぶつ 1つぶ 1つぶが、花なのです。

ヒマワリの たねと よばれる ものは、本当は 「み」の なかまです。しょくようの あぶらや せっけんの もとにも なります[1]。

ヒマワリの黄色い花びらのように見える部分は、1枚ずつが「舌状花」という花です。大きな花の周りを一周して並んでいます。

真ん中の褐色の部分は、さらに小さな「管状花」がぎっしり集まったものです。種ができる(結実する)のは、この管状花だけだと説明されています[1]。

つまり、ヒマワリの花は、たくさんの花が集まって1つの大きな花のように見えているものです。このような花の集まりを「頭状花序」といいます。真ん中の1粒1粒が、それぞれ花だったということです。

私たちが「種」と呼んでいるものは、植物学では果実(痩果)にあたります。原産地は北アメリカの中部・西部で、食用や油、石けん、塗料の原料にも使われます[1]。

ヒマワリの「花」は頭状花序で、周辺部に鮮やかな黄色の舌状花が並び、中央部に褐色の小さな管状花が密集している。稔実する(種をつくる)のは管状花だけである[1]。黄色い花びらのように見える部分は、種をつくらない花だということになる。

私たちが「種」と呼ぶものは、植物学的には果実(痩果)にあたる。ヒマワリは北アメリカの中・西部が原産で、食用のほか、搾油して食用油・石けん・塗料の原料にされる[1]。

つまり、中心部の模様の1つ1つは小さな花であり、花が終わると管状花の子房が果実(痩果)になり、「種」と呼ばれるものとして並ぶ。では、その並び方に決まりはあるのか。これが次の問いになる。

2. たねの らせんは、なん本 あるの?

2. 種のらせんの本数を数えると、どんな数が出るのか

2. 時計回りと反時計回りのらせん数は、隣り合うフィボナッチ数になりやすい

ヒマワリの まんなかを よく 見ると、たねが うずまきの ように ならんで います。うずまきは、右まわりと 左まわりの 2しゅるいが あります。

この うずまきの 本数を かぞえると、たとえば 34本と 55本の ように なる ことが 多いと いわれます[2]。

この 34と 55は、「1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55」と つづく 数の ならびに でて くる 数です。ひとつ まえの 数と ふたつ まえの 数を たすと、つぎの 数に なります。この ならびを フィボナッチすうれつと いいます。

ただし、いつも ぴったり 同じに なるとは かぎりません。大きな ヒマワリでは かぞえるのも たいへんです。

ヒマワリの真ん中をよく見ると、種が渦を巻くように並んでいます。渦巻きは、時計回りと反時計回りの2種類があります。

それぞれの渦巻きの本数を数えると、たとえば34本と55本のように、隣り合うフィボナッチ数になることが多いと紹介されています[2]。フィボナッチ数とは、「1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55……」のように、前の2つを足すと次の数になる数の並びです。

この観察を市民の力で確かめようという試みがありました。数学者アラン・チューリング(1912年生まれ)の生誕100年にあわせ、イギリスの科学産業博物館などが「チューリングのヒマワリ」として、各地でヒマワリのらせんを数えるよう呼びかけたものです[2]。

チューリングは、植物がフィボナッチ数の並びを示すことに関心を持っていたと紹介されています[2]。

種頭の渦巻きを時計回りと反時計回りで数えると、34と55のように、連続するフィボナッチ数になることが多い[2]。フィボナッチ数は、1, 1, 2, 3, 5, 8, …と、前の2項の和が次の項になる数列である。

この主張を、数のうえで確かめた調査がある。チューリング生誕100年の企画「チューリングのヒマワリ」では、マンチェスターの科学産業博物館などが参加を呼びかけ、市民が各地でヒマワリを数えた[2]。チューリング自身が、植物にみられるフィボナッチ数列に関心を持っていたことが、この企画の背景にある。

では、集まったデータはどうだったのか。次章で、その結果と、「必ずフィボナッチ数」といえない理由を見る。

3. かぞえてみたら、ぜんぶが そうだった?

3. 市民の実験では、どれくらいがフィボナッチ数だったのか

3. 565/768 = 約74% ── 「必ず」とはいえない数字

イギリスの 人たちが 657本の ヒマワリを かぞえた 研究が あります[3]。しんらいできると された ものを えらんで しらべた らせんの 数 768こ のうち、フィボナッチすうれつの 数だった ものは 565こ でした。ぜんぶの うち、やく 4ぶんの 3 です。

のこりの うち、およそ 2わりは、フィボナッチ数では ない ならびでした。しかも、フィボナッチ数より 1つ 小さい 数が、ふつうより おおく でたと いわれています[3]。

つまり、「たいてい そうなる。でも かならず ではない」と いうのが 本当の ところです。じぶんで かぞえた とき ちがう 数が でても、ふしぎでは ありません。

市民参加の実験の結果は、2016年に王立協会の学術誌で報告されました[3]。657本のヒマワリのデータのうち、信頼性が高いとされた標本群で評価した768個のらせん数のうち、565個がフィボナッチ数でした。割合にすると約74%です(565÷768の計算)。

残りのうち、およそ2割はフィボナッチ数の構造になっておらず、しかも「フィボナッチ数より1小さい数」が有意に多く現れたと報告されています[3]。

この結果から、「ヒマワリの種は必ずフィボナッチ数で並ぶ」とはいえないことが分かります。多くはフィボナッチ数になる、というのが、この調査での見え方です。

この市民参加型の調査では、657本のヒマワリから、信頼性が高いとされた768個のらせん数が集まった。そのうち565個がフィボナッチ数で、割合は565÷768=約74%である[3]。

注目すべきは残りである。報告によれば、全体のおよそ2割はフィボナッチ構造を示さず、しかも「フィボナッチ数より1小さい数」が統計的に有意に多かった[3]。単なる数え間違いだけでは説明しにくい偏りがあることになる。

したがって、「ヒマワリはフィボナッチ数で並ぶ」は、正確には「多くの個体で、そうなる傾向がある」と読むべきである。1つの調査結果なので、他の調査との比較も要る。

では、なぜ多くの花で、そうした並びになるのか。次章で、その説明を見る。

4. なぜ、すきまなく ならべられるの?

4. 種は、なぜすき間なく並べられるのか

4. 黄金角約137.5度という説明と、その限界

たねを すきまなく ならべる ひみつは、「角度」に あると いわれます。

まんなかから 外へ むかって、たねを 1つ ずつ、1つ ならべるたびに、前の たねから 137.5どぐらい ずらして ならべます。この 角度を 「黄金角」と いいます[4]。

この 角度を くり返すと、すきまが 少なく ならぶと いわれて います。

ヒマワリが そうして ならぶのは、できるだけ 多くの たねを つめる ためかも しれないと いわれています[2]。ただし、これは まだ「そうかも しれない」と いう 考えです。

種がすき間なく並ぶ理由として、よく紹介されるのが「黄金角」です。黄金角とは、360度を黄金比で分けたときの小さいほうの角度で、約137.5度になります[4]。

中心から順に、種を約137.5度ずつずらして並べていくと、種どうしの間にすき間ができにくいと説明されています。

では、なぜそのような並び方をするのか。Plus Magazineは、成長するにつれて「できるだけ多くの種を種頭に詰める」ために、そうした配列になった可能性があると紹介しています[2]。ただし、これは進化に関する仮説です。

前章のとおり、約137.5度は理想化したモデルの値です。実物のヒマワリは、そこから少しずれることがあります。

種の並びがフィボナッチ数になる説明として、黄金角が挙げられる。黄金角とは、360度を黄金比で分けたときの狭いほうの角度で、約137.5度である[4]。中心から外側へ、種を約137.5度ずつずらして配置していくと、隙間なく詰まるモデルが得られる、という説明だ。

さらに、なぜこの配列が生まれたのかについては、成長につれて「できるだけ多くの種を種頭に詰める」ために進化した可能性がある、という仮説が紹介されている[2]。仮説であり、確定した結論ではない。

ここで押さえておく点は、137.5度が理想化されたモデルの値だということである。前章で見たとおり、実際のヒマワリでは約2割がフィボナッチ構造でなかった[3]。モデルが当てはまる個体が多いことと、すべての個体が同じになることは別である。

5. ヒマワリの 花は、なぜ ひがしを むくの?

5. 咲いたあとのヒマワリは、なぜ東を向くのか

5. 体内時計が茎の伸びを調節し、開花後の花は東を向く

わかい ヒマワリは、ひるの あいだ、太陽の むきに あわせて 花を うごかします。夜に なると、また ひがしへ もどります。

花が ひらくと、もう うごきません。ひがしを むいたまま とまります。ヒマワリの 体の 中には、「体内時計」が あります。この 時計が、茎くきの ひがし がわと にし がわの のびかたを かわりばんこに かえて、むきを かえて いると いわれています[5]。

ひがしを むくと いい ことが あります。朝 はやく 日が あたって、花が あたたまります。ひがしを むいた 花には、にしを むけた 花より、5ばいぐらい おおくの、花の こなを はこぶ むしが 来たと いう けっかが あります。にしを むいた 花を ヒーターで あたためると、むしが もどって 来たと いわれています[5]。

若いヒマワリは、日中は太陽を追うように向きを変え、夜のあいだに東へ戻ることが知られています。ところが、花が開くと動かなくなり、東を向いたまま止まります[5]。

この動きには、体内時計(概日リズム)が関わっています。茎の東側と西側が伸びる速さを交互に調節することで、向きが変わると報告されています[5]。

東向きには利点がありました。東向きの花は朝早く温まり、西向きにした花より約5倍の花粉を運ぶ昆虫が訪れたとされます。西向きの花をヒーターで温めると、昆虫が戻ってきたことから、温度が関係していると考えられています[5]。

この5倍という数字は、報道された解説にもとづくものです。1つの研究の結果として読んでください。

若いヒマワリは、日中は太陽を追って向きを変え、夜のあいだに東へ戻る。花が開くと動かなくなり、東向きで固定される[5]。これは、概日リズムによる調節で、茎の東側と西側の伸長が交互に変わることで起きると報告されている。

では、なぜ東向きなのか。同じ研究では、東向きの花が朝早く温まる点に注目した。東向きの花は、西向きにした花より約5倍の花粉媒介昆虫を引きつけた。さらに、西向きの花をヒーターで温めると昆虫が戻った[5]。これは、向きそのものより、花の温度が昆虫の訪問を左右していることを示す。

この「約5倍」は報道された解説にもとづく数字で、1つの研究の結果として読むのが適切だ。

6. ヒマワリを みつけたら

6. ヒマワリを見つけたら、まず真ん中の並びを数えてみる

6. 手元の1本で、らせん数を数えて確かめる

ヒマワリの 花が ちかくに あったら、まんなかを じっくり 見て みましょう。花が ないときは、しゃしんや ずかんで、うずまきを さがして みても いいです。ぶつぶつが、うずまきに なって ならんで います。

すぐに かぞえるのは むずかしいので、まず 右まわりの うずまきを 1本だけ えらび、ゆびで なぞって みます。つぎに 左まわりを なぞります。花に さわるときは、やさしく して ください。

きっと、まわりの 人と ちがう 数に なる こともあります。それも ふつうの ことです。

近くにヒマワリがあれば、真ん中のらせんを自分で数えてみましょう。実物がなければ、写真や図鑑の拡大写真でも試せます。数えるときは、中心から外側へ向かう渦巻きを1本選び、目印をつけながら数えると、数え間違いを減らせます。

時計回りと反時計回りの両方を数えて、隣り合うフィボナッチ数になっているかを見てみます。ならないこともあります。市民実験では約2割がそうでなかったので、違う数になっても不思議ではありません。

花は動かないよう、やさしく扱ってください。庭や公園の花は、ほかの人も見るものです。

身近にヒマワリがあれば、時計回りと反時計回りのらせん数を数えて確かめるとよい。実物がなければ、拡大写真でもできる。数え方は、らせんを1本選んで種を目で追い、同じ向きのらせんも順にたどって、その向きの本数を数える。

得られた2つの数が、隣り合うフィボナッチ数かを見る。約74%がそうなったという調査結果[3]と比べて、自分のデータがどちら側に入るのかを見るのが面白い。数が合わなかった場合も、「フィボナッチ数より1小さい」型かどうかを調べられる。

個体差があるので、1本だけで結論を出さず、できれば何本か数えるのがよい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

この記事の事実は、次の資料で確かめました。

  1. コトバンク「ヒマワリ」(ブリタニカ国際大百科事典・世界大百科事典ほか) https://kotobank.jp/word/ヒマワリ (頭状花序の構造・原産地・用途)
  2. Plus Magazine "Turing's sunflowers" https://plus.maths.org/sunflowers (らせん数・チューリングのヒマワリ企画・仮説)
  3. Swinton, J. & Ochu, E. (2016) Royal Society Open Science https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4892450 (657本のヒマワリの調査結果)
  4. 東京理科大学「なるほどブログ」 https://www.tus.ac.jp/info/setubi/naruhodo/blog/2026/blog_260911.html (黄金角の説明)
  5. ScienceDaily "Sunflowers' internal clocks" (Atamian et al., Science, 2016) https://www.sciencedaily.com/releases/2016/08/160804152431.htm (東を向く動きと花粉媒介昆虫)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

  •  初版を公開。

このサイトでは、公開した記事の本文は原則として書き直しません。誤りが見つかったときや、内容が古くなったときだけ手を入れ、その理由をこの欄に残します。