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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

テープを はがすと、なぜ X線せんが でるの?

真空の箱の中でテープをはがすと、指の骨が写った:なぜ空気がないとX線になるのか

真空中で粘着テープをはがすとX線が出る:摩擦発光が空気に抑えられる理由と、残された謎

分野:自然

テープを、くうきを ぬいた はこの なかで はがすと、X線せんが でた。そんな 研究けんきゅうが あります。ゆびの 骨ほねが うつる ほど、つよかったそうです。

ふつうの へやでは でないのに、どうして くうきが ないと X線せんに なるのでしょう。この メモでは、そのわけと、まだ わかって いないことが わかります。

粘着テープを、空気をほとんどぬいた箱の中ではがすと、ナノ秒(10億分の1秒)のあいだだけX線が出る。2008年、そう報告されました。しかも、真空の中でなら、指の骨が写せるほど強かったというのです。

ふつうの部屋でテープをはがしても、X線は出ません。なぜ空気がないとX線になるのでしょうか。この記事では、そのしくみの説明と、研究者にもまだ分かっていないことが分かります。

2008年、米国のカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の研究チームが、粘着テープを真空中ではがすとX線が出ると『Nature』誌に報告した。パルスは約10億分の1秒と短いが、指の骨を撮影できる強さがあったという[3]。

同じテープでも、空気中では、この効果は抑えられてしまう。空気は何をじゃましているのか。この記事では、放電と電子の加速というしくみの説明、実験条件、数値の幅、そして研究者自身が「理論の課題」とする未解決の点が分かる。

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1. くらい へやで、さとうが ひかる?

1. 暗い部屋で、固い砂糖がきらりと光る

1. 暗がりで固い砂糖が光る:摩擦発光は何百年も前から知られていた

まっくらな へやで、かたい さとうを わったり、こすったり すると、ちいさく ひかる ことが あります。

イギリスの ベーコンと いう 学者がくしゃが、1620ねんの ほんに、そう かいたと いわれて います。こすったり、わったり した ときに ひかる ことを、摩擦発光まさつはっこうと よびます。

テープを はがした ときに ひかりが でる ことは、1939ねんに みつかったと いわれます。

では、わった さとうは、どうして ひかるのでしょう。

摩擦発光は、物をこすったり、割ったり、はがしたりしたときに光が出る現象です。古くから知られていて、イギリスのフランシス・ベーコンが1620年の『ノヴム・オルガヌム』に、固い砂糖は暗闇で割ったりこすったりすると火花のように光ると書いたとされます[1]。この年については1605年とする資料もあり、本によって食い違います。

粘着テープをはがすと可視光が出ることは、1939年に発見されたと伝えられています[1]。つまり、「テープをはがすと光る」は2008年の研究より何十年も前から知られていました。

ところが2008年、この光がX線にまで達するという報告が出ます。その前に、まず光るしくみを、いちばん身近な例で見てみましょう。

摩擦発光(triboluminescence)は、固体をこすったり、割ったり、はがしたりする際に光が出る現象である。古くから知られ、フランシス・ベーコンが1620年の『ノヴム・オルガヌム』で、固い砂糖は暗所で割ったりこすったりすると火花のように光ると記したのが、最初期の記録の一つとされる[1]。ただし年を1605年とする資料もあり、出典間で食い違う。

粘着テープをはがすと可視光が出ることは、1939年に見つかったとされる[1]。したがって、2008年の研究の新しさは「テープが光る」ことではなく、その光が条件によってX線領域まで延びるという点にある。では、可視光の段階では何が起きているのか。いちばん研究しやすい身近な例が、砂糖菓子である。

2. キャンディが あおく ひかるのは、なぜ?

2. ウィンターグリーン味のキャンディが青く光るしくみ

2. 砂糖の結晶が割れると、なぜ青い光が出るのか:電荷の分離と蛍光

ウィンターグリーンと いう あじの キャンディを、くらい ところで かむと、あおい ひかりが でる ことが あります。

キャンディの さとうの 結晶けっしょうが われると、わかれた めんに、プラスと マイナスの 電気が かたよります。マイナスの 電子でんしが、われめを とびこえて、くうきの ちっそに ぶつかり、紫外線しがいせんが でます。

紫外線しがいせんは、人の 目には 見えません。でも キャンディに はいって いる ウィンターグリーンの あぶらが、それを うけて あおい ひかりに かえると いわれて います。

テープの ひかりも、「電気が わかれて、はなれる」ところが なかまだと いわれます。では、くうきが なかったら どうなるのでしょう。

ウィンターグリーン味のキャンディを暗い所でかむと青く光る、という話があります。しくみは次のように説明されています[4][5]。

砂糖の結晶が割れると、割れ目の両側に正と負の電荷がかたよってできます。負の側の電子が割れ目を飛び越え、空気中の窒素にぶつかると、紫外線が出ます。紫外線は人の目に見えませんが、キャンディに含まれるウィンターグリーン油(サリチル酸メチル)がそれを吸収して、青い光に変えて出す、というのです。

テープをはがしたときの光も、「はがす面で電荷が分かれ、放電が起きる」という点でこの仲間とされます。ここで1つの疑問が出ます。キャンディの光では、電子が空気の窒素にぶつかることが大事でした。それなら、空気がなくなったら、光はどうなるのでしょうか。

ウィンターグリーン味のキャンディを暗所でかむと青く光る現象は、摩擦発光の定番の例として説明されている。砂糖の結晶が割れると、割れ目の両側に正負の電荷の偏りができる。負の側の電子が割れ目を飛び越える際に空気中の窒素分子と衝突し、紫外線が出る。キャンディに含まれるウィンターグリーン油(サリチル酸メチル)は、この紫外線を吸収して青い光に変える、つまり蛍光を出す[4][5]。人の目に見える青い光の主役は、実は砂糖でなく、この油だという説明である。

テープをはがす際の光も、電荷が分かれて放電が起きるという点で同種の現象とされる[4]。ここに疑問が生じる。キャンディの光では、電子が空気中の窒素に衝突することが、光が出る途中の一段階になっていた。ならば空気そのものを取り除くと、放電は、そして光は、どう変わるのか。2008年の実験は、まさにそこを調べた。

3. くうきを ぬいた はこで、テープを はがすと

3. 空気をぬいた箱の中で、テープを一定の速さではがす実験

3. 真空中でテープをはがすと、くっついては滑る動きに合わせてX線が出た

2008ねんに、アメリカの カリフォルニア大学だいがくの 研究けんきゅうチームが、報告ほうこくを しました。テープを、くうきを すこし ぬいた はこの なかで はがしたのです。

はこの なかの くうきは、ふつうの ひゃく万まんぶんの 1ほどでした。うちゅうのような まったくの からっぽでは ありません。

テープは、ぺたっと くっついて、ぱっと すべる ことを くりかえしながら はがれます。その、くっつく・すべる、に あわせて、ごく みじかい X線せんが でたと いうのです。みじかさは、10おく ぶんの 1びょう ほどです。

ところが、くうきが あると、この こうかは きえて しまいます。

2008年10月、アメリカのカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の研究チームが、科学雑誌『Nature』に結果を発表しました[3]。粘着テープを、真空の箱の中ではがしたのです。

ここでいう真空は、宇宙のような完全な真空ではありません。箱の中の圧力は、大気圧の約100万分の1でした[1][2]。空気をほとんどぬいた、中くらいの真空です。

テープは、なめらかに外れるのではなく、「くっつく→すべる→またくっつく」を細かく繰り返して外れます。これをスティックスリップといいます。X線のパルスは、このくり返しに合わせて出たと報告されました[3]。1回のパルスは約10億分の1秒、つまりナノ秒の長さです[1]。

そして、空気があると、この効果は抑えられて消えます[1]。空気中で光っていたものが、空気をぬくとX線まで届く。いったい箱の中で何が起きているのでしょうか。

報告は2008年10月23日付の『Nature』誌(455巻1089頁)に載った。Camara、Escobar、Hird、Puttermanらは、粘着テープを真空中ではがすと、そのスティックスリップ(くっついては滑る運動)に同期して、ナノ秒のX線パルスが出ることを示した[3]。

実験の真空度は約10⁻³ Torrで、これは大気圧の約100万分の1にあたる(760 Torrが1気圧なので、0.001÷760は約1.3×10⁻⁶)。宇宙のような高真空ではなく、中程度の真空である。2つの二次資料が、この値で一致する[1][2]。

空気があると、この効果は抑えられて消える[1]。では、空気は具体的に何を妨げているのか。ここで放電の機構の説明が必要になる。

4. どうして くうきが ない ほうが X線せんに なるの?

4. 空気がないと、電子が勢いよくぶつかるわけ

4. なぜ空気がないとX線になるのか:加速された電子の衝突という説明

テープを はがすと、のりの がわは プラスに、くっついていた がわは マイナスに なります。ふたつの あいだに、つよい 電気の ちからが できます。

すると、マイナスの 電子でんしが、プラスの ほうへ とびだします。くうきが あれば、とちゅうで くうきの つぶに ぶつかって、もって いた ちからを なくして しまいます。

くうきが すくないと、じゃまものが ありません。電子でんしは X線せんが でるほど つよい ちからを もつまで はやくなり、プラスの がわに ぶつかります。その とき、X線せんが でると いう 説明せつめいです。

たとえば、にんきの ない ろうかと、ひとが いっぱいの ろうかを はしる ところを そうぞうして ください。かるい あしどりで はしれるのは、ひとが すくない ほうです。ただし ほんとうは、電子でんしの うごきは もっと ふくざつです。

説明はこうです[1][2]。テープをはがすと、アクリル系の粘着剤の側が正に、ポリエチレンのロールの側が負に帯電します。すると、両側のあいだに強い電場ができ、放電が起きます。

放電の中の電子は、この電場に引かれて加速されます。電子が十分に速くなってから、テープの正の側にぶつかると、そこでX線が出る、という説明です。

空気があると、電子は走る途中で空気の粒にぶつかり、勢いを失うと考えられます。X線が出るほどのエネルギーを得る前に放電がおさまるので、X線までは届かないのでしょう。空気をぬいた箱では、電子が長い距離を邪魔されずに、X線が出るほどのエネルギーまで加速できるのだと説明されます。

たとえるなら、人の少ない廊下は走りやすく、ぎっしり混んだ廊下では速度が出ないのと似ています。ただしこれは「邪魔が多いと加速できない」という点だけのたとえで、実際の電子の動きはもっと複雑です。

これは、あくまで「という説明」です。次の章でわかるとおり、全部が解明されたわけではありません。

Nature論文の著者らの説明を、二次資料はこう伝える[1][2]。粘着テープを剥がすと、アクリル系粘着剤の側が正に、ポリエチレン製ロールの側が負に帯電する。両者の間に強い電場が生じ、低圧下で放電が起きる。放電中の電子は電場で十分高いエネルギーまで加速され、テープの正の側に衝突する際にX線を放出する。

空気が効果を消す理由は、この説明から次のように読める。常圧では、電子は加速される途中で空気分子と何度も衝突し、エネルギーを失う。電子がX線を出せるほどのエネルギーを得る前に放電が終わってしまうので、可視光や紫外線にとどまる。ただしこの「空気分子との衝突でエネルギーを失う」という読みは、資料の「空気があると抑えられる」という記述からの筆者の解釈であり、論文が明示した機構とは限らない。

したがってこれは、確定した全体像ではなく、「電荷の分離→放電→電子の加速→衝突でX線」という筋道の一つの説明である。では、できたX線は実際にどれほど強かったのか。

5. ほんとうに ゆびの ほねが うつったの?

5. 20秒の撮影で、指の骨が写った

5. 指の骨は撮れたが、病院の画質には及ばない:数値の幅と実験条件

けんきゅうチームは、はがした テープから でる X線せんで、ゆびの 骨ほねの しゃしんを とりました。しゃしんの フィルムは、はいしゃさんで つかう ものでした。

テープを 1びょうに 10センチほどの はやさで はがしながら、20びょう あてて、ほねが うつったそうです。

ただし、しゃしんは びょういんの X線せんほど きれいでは ありません。よくなる よちが あると いわれて います。

これは、くうきを ぬいた とくべつな はこの なかでの はなしです。ふつうの へやで テープを はがしても、X線せんは でません。

X線の力も、数字で見てみましょう。X線の光子ひとつぶんのエネルギーは約20キロ電子ボルト、1回のパルスには10万個を超える光子がふくまれる、と紹介されています[1]。ただし論文の紹介には約15キロ電子ボルトとするものもあり、「十数〜20キロ電子ボルトほど」と幅をもたせるのが安全です。

実際の撮影では、テープを毎秒10センチではがしながら、20秒の露光で指の骨が写りました[1]。報道では、はがす速さを毎秒3センチとして歯科用のX線フィルムに撮った写真が紹介されており、速さは資料で2つの数字があります[7]。

MIT Technology Reviewは、画質は病院のX線に及ばず、改良の余地があると伝えました[7]。研究チームは、安くて簡単な医療用のX線源をめざしているといいます。テープのようにはがすだけで、X線を速く安くつくれる可能性があると考えているようです。

こうした話の次に、いちばんの疑問が残ります。

X線光子のエネルギーは約20 keV、1パルスに10万個超の光子が含まれると紹介されている[1]。ただし論文紹介の中には約15 keVとするものもあり、二次資料間で数値が一致しない。本記事では「十数〜20 keV程度」と幅をもたせて扱う。Discoverは、X線パルスを100ミリワットと伝えている[6]。

撮影では、テープを毎秒10 cmではがしながら20秒露光し、指の骨を撮像した[1]。一方、報道は歯科用X線フィルムで、はがす速さを3 cm/sとした条件の写真を紹介している[7]。速さは出典で食い違うため、条件を1つに決めず併記する。MIT Technology Reviewは画質が病院のX線には及ばず改良の余地があるとし、チームは安価で簡便な臨床用X線源をめざすと伝えた。テープそのものでなく別の摩擦発光材料に置きかえる構想で、特許を出願中とも報じられた[7]。

数値は二次資料に基づく。では、この現象の理論的な理解はどこまで進んでいるのか。

6. まだ わかって いない ことは なに?

6. エネルギーが1か所に集まるのはなぜか:残された謎と50年前の報告

6. 理論の課題と1953年の報告:エネルギーはなぜ1点に集まるのか

テープを ゆっくり はがす ちからは、ひろい はんいに ちらばって います。それが、どうして ほんの ちょっとの じかんに、X線せんの エネルギーに あつまるのか。これは、まだ 理論りろんで よく せつめいできて いない もんだいです。

けんきゅうチームの ひとりは、はがす テープが X線せんを だすとは、しんじなかったと いわれて います。

ソ連れんの 研究者けんきゅうしゃが、1953ねんに、かたい ものから うすい まくを はがすときに おきる ほうでんを 報告ほうこくして いました。2008ねんの 研究けんきゅうは、そのような 報告ほうこくを うけて、X線せんを くわしく しらべたものと みられます。

Nature論文の要旨は、広い範囲に広がった力学的なエネルギーが、ナノ秒のX線という1点に集まる過程は、理論家にとって興味深い課題だとしています[3]。現在の理論の予測を超えている、という意味です。

実験をした研究者の一人であるパターマン氏も、はがすテープがX線を出すとは最初は信じなかった、と述べたと伝えられます[2]。

この現象には、前触れもありました。ソ連のデリャーギンらが1953年に、真空中でガラスから高分子の膜をはがすときの電子の放出を報告しています。ロシアの研究者が50年以上前に、X線の兆候を示していたという記事もあり、2008年の研究は、そうした以前の報告を受けてX線を詳しく調べたものと読めます[6]。

研究チームは、将来の医療用X線源につなげたいと考えているようです[7]。テープそのものでなく、別の摩擦発光の材料を使う構想で、特許が出願中と報じられました。

Nature要旨は、広がった機械的エネルギーがナノ秒のX線という1点に集中する過程は、現在の理論の予測を超え、理論家にとって興味深い課題であると述べる[3]。Puttermanは、はがすテープがX線を出すとは信じなかったとも語っている[2]。つまり、「電荷分離と放電、電子の加速」という筋道はあるが、エネルギーがなぜここまで集まるのかは、理論的に残された問題である。

先行研究にも触れておく。Deryagin、Karasev、Krotovaは1953年に、真空中でガラスから高分子膜を剥がす際の電子放出をDoklady Akademii Nauk SSSRで報告している(Nature論文の参考文献による)。ロシアの研究者が50年以上前にX線の兆候を示していたとするDiscoverの記事もあり、2008年の研究は、以前の報告を受けてX線を詳しく調べたものと読める[6]。1953年の報告の中身は原報でなく二次資料で知る範囲にとどまり、X線を実測したかどうかは分からない。

では、エネルギーはなぜ1点に集まるのか。この問いに、2008年の論文はまだ答えていない。

7. じぶんで しらべて みたく なったら

7. 自分でも調べてみたくなったら

7. 自分でも調べてみたくなったら

くらい へやで、テープを ゆっくり はがして みると、ひかりが みえる ことが あります。ただし、ひかりは とても よわく、みえない ことも あります。くらい ところでは、あしもとに ちゅういして、はやく はがさない ように しましょう。

ただし、へやの くうきの なかでは X線せんは でません。X線せんは からだに よくない ものなので、おうちで つくろうと しないで ください。

ひかったか、どんな いろだったか、どこで ひかったか、ノートに かいて おきましょう。テープの しゅるいを かえて くらべても おもしろいです。

空気中でテープをはがすとき、暗い部屋で目をならすと、かすかな光が見えることがあります。ただし弱い光で、見えないこともあります。足元に気をつけ、はがす速さは無理に上げないでください。家の空気の中ではX線は出ませんが、X線は体にとって有害なので、真空にしてX線を出す実験を自分でやろうとしないでください。

おすすめは、暗い部屋で目を5分ほどならし、家にあるテープを何種類かゆっくりはがして、光ったか、どこで光ったかをノートに記録することです。これは可視光の観察で、真空中のX線の再現ではありません。

もっと知りたくなったら、「摩擦発光」「スティックスリップ」などの言葉で調べてみてください。2008年の『Nature』の論文の要旨は、英語ですが次の一歩になります。

家庭の空気中では、2008年の実験と同じ条件にならず、X線は出ない。X線は有害で、真空装置を家庭で再現することも勧められない。そのかわり、可視光の段階の摩擦発光なら、家のテープで観察できることがある。

暗い部屋で目を5分ほど慣らし、数種類のテープをゆっくり剥がして、光の有無・色・場所・剥がす速さを記録してみるとよい。弱い光なので、見えるとは限らない。これはX線の再現ではなく、可視光の観察である。足元に注意し、真空装置は使わないこと。

さらに調べるなら、triboluminescence(摩擦発光)、stick-slip(スティックスリップ)で検索できる。2008年の『Nature』論文(455巻1089頁)の要旨が出発点になる。原典で、20 keVと15 keVのどちらが主なのか、3 cm/sと10 cm/sの違いはどこから来るのかを確かめるのも、読み比べの課題になる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

二次資料を中心に、複数の資料を突き合わせました。数値は資料間で食い違うものを幅つきで書いています。

  1. STLE Tribology & Lubrication Technology「X-rays by triboluminescence?」2009年10月 https://www.stle.org/files/TLTArchives/2009/10_October/Cutting_Edge.aspx (ベーコン1620年、1939年の発見、真空度、光子のエネルギー、撮影条件、電子の加速の説明)
  2. Physics World「Sticky tape generates X-rays」 https://physicsworld.com/?p=22188 (真空度、帯電のしくみ、パターマン氏の発言)
  3. Camara, Escobar, Hird, Putterman「Correlation between nanosecond X-ray flashes and stick–slip friction in peeling tape」Nature 455, 1089(2008年) 書誌・要旨 https://ideas.repec.org/a/nat/nature/v455y2008i7216d10.1038_nature07378.html (主な発見、理論の課題)
  4. Science Line「Ask Locke: Life Savers」2008年 https://scienceline.org/2008/05/ask-locke-lifesavers/ (キャンディが光るしくみ)
  5. WebExhibits「Causes of Color: Triboluminescence」 https://webexhibits.org/causesofcolor/4AB.html (結晶の電荷と青い蛍光)
  6. Discover「Peeling Scotch Tape Powers X-Ray Machine」 https://discovermagazine.com/the-sciences/peeling-scotch-tape-powers-x-ray-machine (1950年代のロシアの研究、パルスの出力)
  7. MIT Technology Review「X-rays made with Scotch tape」2008年10月23日 https://www.technologyreview.com/2008/10/23/217918/x-rays-made-with-scotch-tape/ (指の写真、画質、将来の構想)

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