1. つかう ものは、なにと なに?
1. 材料は、砂鉄と木炭だけ
1. 材料の調達 ── 磁力で集める砂鉄、敷地内で焼く木炭
ひとつ目は、砂鉄です。川や 山の 土に まざる、くろい 小さな つぶで、鉄が ふくまれて います。
日刀保の たたらでは、近くの 山の そばで、じしゃくの 力を つかって、手で あつめて いるそうです[4]。
ふたつ目は、木炭です。まわりの 山の 木を、たたらの 場所の 中に ある 炭がまで やいて、ためて おきます[4]。
2. 3日 3ばんの あいだ、かまの なかでは?
2. 3昼夜の流れ ── 砂鉄と木炭を交互に入れ続ける
2. 操業の流れ ── 築炉から鉧出しまで、年3回・3昼夜
たたらの かまは、土で つくります。まず かまを つくり、火を つけて、風を おくります。
そのあと、砂鉄と 炭を、かわりばんこに 入れて いきます。3日 3ばん、つづけます[1]。
ぜんぶ おわると、かまを こわして、中で そだった 鉄の かたまりを とりだします。この かたまりを、鉧と いいます。
一連の手順
操業の大まかな順番は、こうです。炉を築く、火を入れて風を送る、砂鉄と木炭を交互に入れる、鉄以外の溶けた残り(ノロ)を外に出す、終わりに向けて入れる量を減らす、炉を壊して鉧を取り出す[9][1]。日刀保たたらでは、この3昼夜の操業を「代(よ)」と数え、湿気の少ない1月中旬から2月初旬に3回行うとされます[4]。
なお、手順の細かい時刻や量は、地域と時代でちがいます。手順を書いた資料の一つは伯耆国のたたらのもので、日刀保のものとは分けて読む必要があります[9]。
風を送る道具
昔のたたらは、炉が大きくなり、屋内に高殿という建物ができました。長さ250〜300cm、幅70〜90cm、高さ110cmほどの炉に、天秤鞴という大きな送風の道具で風を送ります。それを踏む役の人は番子と呼ばれました[8]。
操業の手順は、築炉→火入れ・送風→砂鉄と木炭の交互装入→ノロ出し→装入量を減らして終了→炉を壊して鉧を取り出す、という順である[9]。日刀保たたらでは、この3昼夜の操業1回分を「1代」と数え、湿気の少ない1月中旬から2月初旬にかけて3代行うと紹介される[4]。
ただし手順の詳細な時刻や装入量は、資料の対象で異なる。たとえば別の資料は伯耆国のたたらを扱い、歴史的な1代で砂鉄と木炭14〜15トンから約3トンの鉧が生まれると記す[9]。日刀保の数字とは混ぜない。
近世には、炉が長さ250〜300cm・幅70〜90cm・高さ110cm程度に大型化し、屋内の作業施設として高殿が完成した。鞴の一種である天秤鞴を番子が踏み、風を送った[8]。
3. 火を 見る 人は、なにを 見て いるの?
3. 村下は「火をよみ、風をよみ、音をよむ」
3. 村下の判断 ── 火・風・砂鉄の煮える音とノロの量
たたらの しごとを まとめる 人を、村下と いいます[1]。
村下は、「火を よみ、風を よみ、砂鉄の にえる 音を よむ」と いわれます[4]。かまの 中は 見えないので、火の いろや、音で ようすを さぐるのです。
たとえば、おなべで 水が わく 前に、ぷつぷつ 音が しますね。あの 音で 火かげんが 分かる ように、村下も 音を たよりに して いるのかもしれません。ただし 本当の たたらは、なべとは ぜんぜん ちがう 大きさと あつさです。
4. 鉄の かたまりは、ぜんぶ 玉はがねに なるの?
4. 鉧出しと、玉鋼になる量
4. 鉧出しと収量 ── 砂鉄10トン・木炭12トンから玉鋼約1トン
3日 3ばんが 終わると、かまを こわして、鉧を ひっぱり 出します。これが、たたらの 中で いちばん はくりょくの ある ばめんだと いわれて います[1]。
鉧は やく 2.5トン。ここから えらんだ いい ところが、玉鋼です。玉鋼に なるのは やく 1トン。半分にも たりません[2]。
つかった 砂鉄は やく 10トン、炭は やく 12トン。そこから できる 玉鋼は、やく 1トンです。
最も迫力のある場面
3昼夜のあと、釜を壊して鉧を引き出す作業を「鉧出し」といいます。協会は、一連の操業の中で最も緊張し、迫力のある場面だと紹介しています[1]。日刀保たたらでは、約2.5トンの鉧が出ます[1]。
鉧のうち、玉鋼になるのは約4割
鉧がそのまま玉鋼なのではありません。名古屋刀剣博物館の解説では、1回の操業で鉧が約2.5トン、そのうち玉鋼が約1トンです[2]。1÷2.5で約4割です。
玉鋼は、炭素の含有量、不純物の含有量、割った面(破面)の均一さを見て、1級から3級に分けられます[2]。1代でできる玉鋼は、全国の刀匠約200人に提供されると紹介されています[4]。
なお、歴史的な菅谷たたらなどの記述では、砂鉄約10トン・木炭約12トンから鉧約3トン、玉鋼約1トンとされています[3]。日刀保の約2.5トンとは少し違うので、混ぜずに読みます。
3昼夜の操業の後、釜を壊し、鉧を引き出す作業を鉧出しという。協会は、これを一連の操業のなかで最も緊張し、迫力のある場面と紹介する。日刀保たたらでは約2.5トンの鉧が出る[1]。
名古屋刀剣博物館の解説によれば、1回の操業で砂鉄約10トン・木炭約12トンを使い、鉧は約2.5トン、そのうち玉鋼は約1トンである[2]。玉鋼は鉧の約40%(1÷2.5)にあたる。一方、日本遺産の解説は、歴史的な菅谷たたら等の記述として、同じ砂鉄約10トン・木炭約12トンから鉧約3トン、玉鋼約1トンと記す[3]。鉧の量が約2.5トンと約3トンで異なるので、別々の数字として扱う。
玉鋼は特級から三級に分けられた歴史があり[3]、日刀保たたらでは1〜3級に分類され、基準は炭素の含有量、不純物の含有量、破面の均一性である[2]。1代の玉鋼は全国の刀匠約200人に提供されるとされるが、人数は当該ページの記述であり、年により変わりうる[4]。
5. どうして きれいな 鉄に なるの?
5. 時間をかけてゆっくり ── 純度が上がる理由
5. 純度の理由 ── 長時間の還元と、粘土の炉壁
たたらでは、時間を たっぷり かけて、ゆっくり 砂鉄から 鉄を 取り出します。その あいだに、鉄に まじって いた よけいな ものが、とけて 外へ 出て いくと いわれます[6]。
やさいを ゆっくり ゆでると、あくが 出て いくのに 少し にて います。ただし 本当は、鉄の 中で おきる ことなので、ゆで やさいと ちがう 部分も たくさん あります。
かまの 土の かべにも、はたらきが あります。かべの ねんどが、よけいな ものを 外へ 出す 手助けを すると せつめい されます[7]。
6. 火を 見る 人の 前に、だれが 炭を やくの?
6. 炭を焼くのも、後継者たち
6. 後継者 ── 村下養成員と、炭焼きから続く技
ここまでに 出て きた 炭は、たたらの 場所の 中で やいた ものでした。やいて いるのは、村下の あとを つぐ ための くんれんを して いる 人たちです[4]。
火を 見る 人が 3日 3ばん 火を 守れるのは、その 前に 炭を そろえる 人が いるからです。この 人たちが、たたらの わざを、つぎの 人へ わたして いきます。
日本美術刀剣保存協会の せつめいには、9人が くんれんに はげんで いると 書かれて います[5]。
7. じしゃくで、すなの 中の 黒い つぶを さがそう
7. 磁石で、砂の中の黒い粒を探そう
7. 出口 ── 磁石で砂鉄を探す/資料への入り口
いえに じしゃくが あれば、紙の 上に、いえに ある すなを 少しだけ 出して、そっと 近づけて みましょう。黒い つぶが くっつく ときが あります。まったく つかない ばしょも あります。
つくか、つかないか。どこで つくのか。それを たしかめる だけで、さてつを さがす 気分に なれます。
すなは 口に 入れないで、さわった あとは 手を あらいます。
もっと 知りたく なったら、日本びじゅつとうけんほぞんきょうかいの ホームページを 見て みましょう[1]。
家に磁石があれば、紙の上に出した砂(花だんの土や、植木鉢の砂など)に近づけてみましょう。公園の砂場で試すときは、まわりの人やルールに気をつけてください。黒い粒がくっつくことがあります。まったくつかない場所もあります。
つく場所とつかない場所を、いくつか見比べると、砂鉄が「どこに」たまりやすいのか、想像がふくらみます。砂は口に入れず、さわったあとは手を洗ってください。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
出典について:日本美術刀剣保存協会、名古屋刀剣博物館、日本遺産ポータル、鉄の道文化圏、民間企業の解説記事などを使った。何に使ったかは項目の最後に書いている。
- 日本美術刀剣保存協会「たたら操業と日刀保たたら」。https://www.touken.or.jp/museum/sword/tatara.html (3昼夜の操業、鉧、村下、鉧出しについて)
- 名古屋刀剣博物館「たたら製鉄の解説」。https://www.meihaku.jp/sword-basic/tatara/ (使用量と玉鋼の量、等級について)
- 日本遺産ポータル「出雲國たたら風土記」。https://japan-heritage.bunka.go.jp/ja/special/135/ (歴史的なたたらの量と、村下の役目について)
- 鉄の道文化圏「日刀保たたら」。https://tetsunomichi.gr.jp/fascinating-tatara/only-surviving-tatara/ (操業の時期、材料の調達、村下の仕事の表現について)
- 日本美術刀剣保存協会「たたら事業」。https://www.touken.or.jp/about/jigyou/tatara.html (村下養成員の人数について)
- 中川政七商店の読みもの。https://story.nakagawa-masashichi.jp/39138 (純度が上がる理由と炭素量について。企業の解説記事)
- 鉄の道文化圏「たたらのしくみ」。https://tetsunomichi.gr.jp/history-and-tradition/tatara-outline/part-3/ (粘土の炉壁の働きについて)
- ホームメイト「たたら製鉄の歴史と仕組み」。https://www.touken-world.jp/tips/10863/ (近世の炉の大きさと高殿、送風について)
なおした ところ
更新履歴
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