このサイトは、ほんの入り口です

ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

おんどけいは、どうして おんどが わかるの?

温度計は、温度の何を見ているのか ── 液の背たけ・電気・赤外線

温度計の測定原理 ── 液体の熱膨張・サーミスタ・放射温度計と、目盛りの成り立ち

分野:技術

おんどけいは、じつは 「おんど」を そのまま 見ては いません。見て いるのは、えきの せたけや、でんきの とおりにくさ、目に 見えない ひかりの りょうです。

でんしの たいおんけいは、はかりおわる まえに、ピッと なる ものが あります。どうして そんな ことが できるのでしょう。おんどけいの しゅるいごとの ひみつを 見て いきましょう。

温度計は、温度そのものを見ているわけではありません。見ているのは、液体の背たけ、電気の通りにくさ、物から出る赤外線の量といった、温度で変わるほかの性質です。

電子体温計の中には、測り終わる前に、「予測」でブザーが鳴るものがあります。ある製品の説明書では、それが検温開始から25秒でした。温度計は種類ごとに何を読みかえているのか。水銀体温計がなくなっていく理由も含めて、順に見ていきます。

温度計は、温度を直接見る装置ではない。一般に、温度によって変化する物質の性質を利用して温度を測る器具と定義される[2]。液体の膨張、電気抵抗の変化、放射される赤外線の量と、種類によって読みかえる量が違う。

ある予測式電子体温計の添付文書には、検温開始から25秒で予測検温が成立してブザーが鳴ると記されている[4]。測り終える前に鳴る体温計は、何をどう読んでいるのか。この記事では、事典・添付文書・メーカーの技術資料などを突き合わせ、液体温度計・サーミスタ・放射温度計の原理と、目盛りの成り立ち、水銀体温計の製造禁止までを整理する。

読み方を切り替えられます。画面の上にある「よみかた」のボタンで、小学校低学年むけ・小学校高学年むけ・中学生むけの3つの書き方に切り替わります。むずかしいと思ったら、いつでもやさしい方に戻ってください。選んだ読み方はブラウザが覚えているので、次に別の記事を開いたときも同じ読み方で始まります。

1. おんどけいは、なにを 見て いるの?

1. 温度計が見ているのは、温度そのものではない

1. 温度計の定義と分類

おんどは、ものさしのように 手で さわって はかれません。そこで、おんどで かわる ものを 見つけて、その かわりかたを 読みとります。

おんどけいには、えきの せたけが かわる もの、でんきの とおりかたが かわる もの、ものから でる ひかりを 読む ものが あります[2]。

あついと せのびする、と いう たとえが わかりやすいかも しれません。ただし ほんとうは、せのびして いるのでは なく、えきが ふくらんで いるのです。

温度を、ものさしのように直接測ることはできません。そこで、温度によって変わる別の性質を見つけ、その変わり方を目盛りに読みかえます。

百科事典では、温度計は「温度によって変化する物質の性質を利用して測るもの」とされ、熱膨張を使うもの、電気的な方法を使うもの、触れずに測る放射温度計に分けられています[2]。

たとえば、暑いと液が背のびするように見えますが、実際には液が膨らんでいます。この記事では、その3つの型を順に見ます。

温度計の一般的な定義は、温度によって変化する物質の性質を利用して温度を測るものである。熱膨張を使う液体温度計・バイメタル温度計・気体温度計、電気的方法を使う抵抗温度計・熱電対・サーミスタ温度計、非接触の放射温度計が代表的な方式である[2]。

この記事は、そのうち液体温度計(2章)、サーミスタを使う電子体温計(4〜5章)、放射温度計(6章)を扱う。分類の記述は事典の要約に基づく。

2. えきの せたけで はかる しくみは?

2. 液体温度計 ── 水銀とアルコールの使い分け

2. 液体温度計 ── 感温液の熱膨張と測定範囲

がっこうの りかしつに ある、ほそい ガラスの ぼうの おんどけいを 思い出して みましょう。中に、あかい えきや ぎんいろの えきが 入って います。

えきは、あつく なると ふくらんで、ほそい くだの 中を のぼって いきます[1]。この たかさを、めもりで 読みます。

えきは 水ぎん、アルコールなどが つかわれます。水ぎんは -30 から 300 ど くらい、アルコールは -100 から 100 ど くらいまで はかれると いわれます[1]。せいひんで ちがいます。

液体温度計は、細いガラス管の中に液体(感温液)を閉じこめた温度計です。温度が上がると液体が膨らみ、細い管の中の液面が上がります。その位置を目盛りで読みます[1]。

液体には、水銀やアルコール類が使われます。水銀はおよそ-30〜300℃、アルコール類はおよそ-100〜+100℃の測定に向くとされ、さらに低い温度用にはペンタンなども使われます[1]。範囲は目安で、製品によって違います。

水銀は融点が-39℃、沸点が357℃です[1]。凍る温度と沸く温度の間が広いので、広い範囲を測れるのだと説明されます。

液体温度計は、ガラス製の毛細管に感温液を密封し、温度による液体の膨張で液面の位置が変わることを目盛りで読む[1]。液の体積変化を、細い管の中の長さの変化として拡大して見る構造である。

感温液は水銀が約-30〜300℃、アルコール類が約-100〜+100℃の測定に使われ、低温用にはペンタンなども使われる。水銀の融点は-39℃、沸点は357℃である[1]。範囲は目安であり、製品ごとに異なる。

3. おんどけいの めもりは、どう きまったの?

3. ガリレオの装置と、摂氏・華氏の目盛り

3. 温度計の原型と目盛りの制定 ── ガリレオ、ファーレンハイト、セルシウス

むかし、ガリレオと いう ひとが、くうきの ふくらみかたを つかった そうちを つくったと いわれます[5]。ガラスの うつわに ほそい くだを つけて、水の 中に さかさに します。

くうきが ふくらむと、くだの 水が さがります。ちぢむと、あがります。

それから 100ねんあまり あと、めもりを つけた おんどけいが うまれました。そのころ、「かし」と 「せっし」と いう ふたつの めもりが きまりました[6]。

16世紀の終わりごろ、ガリレオが空気の膨らみを使った温度の装置を作ったと伝えられます。ガラスの容器に細い管をつけて水の中に逆さに立て、容器の空気が膨らむと管の水位が下がり、縮むと上がります[5]。年は資料により1592年説と1597年説があるため、ここでは「16世紀の終わりごろ」としておきます。

目盛りをつけて温度計とするようになったのは、18世紀です。気象庁は、1720年にファーレンハイトが華氏を、1742年にセルシウスが摂氏を定義したと説明しています[6]。ファーレンハイトの年は資料によって割れているので、目安として読んでください。

水は、摂氏で0℃で凍り100℃で沸きますが、華氏では32°Fで凍り212°Fで沸きます[7]。間が100に分かれるか、180に分かれるかが違います。

ガリレオは16世紀末に、空気の熱膨張を利用した装置を作ったとされる。ガラス容器に細い管を付けて水中に逆さに立て、空気が膨張すると管内の水位が下がる[5]。年は1592年説と1597年説がある。

温度に目盛りを付けて温度計とするのは18世紀で、気象庁の説明では、1720年にファーレンハイトが華氏を、1742年にセルシウスが摂氏を定義した[6]。ファーレンハイトの年は資料により1714・1717・1720・1724年と割れる。

水の融点・沸点は、摂氏で0℃・100℃、華氏で32°F・212°Fと表される[7]。華氏では両者の間が180目盛り(212−32=180)、摂氏では100目盛りで、1目盛りの大きさは華氏のほうが小さい。

4. でんしの たいおんけいは、なにを 読むの?

4. 電子体温計 ── サーミスタという部品

4. サーミスタと抵抗変化

いえに ある でんしの たいおんけいには、ガラスの くだも えきも ありません。かわりに、ちいさな ぶひんが 入って います。

その ぶひんは、「サーミスタ」と いいます。おんどで、でんきの とおりかたが かわります[4]。かわりかたを けいさんして、たいおんとして 出して います。

あたたかい へやで、水の 入った コップに さわると、ひんやり します。それは てで おんどを かんじて いる からです。サーミスタは、でんきで おなじような ことを して います。ただし ほんとうは、人の てとは しくみが ちがいます。

家庭にある電子体温計には、ガラス管も液体もありません。先端に入っているのは、サーミスタという小さな部品です。

ある予測式電子体温計の添付文書には、「サーミスタの抵抗変化を利用して温度を検出し、体温として表示する」と書かれています[4]。温度が変わると、サーミスタの電気の通りにくさ(電気抵抗)が変わります。その変化を電気信号として読み取り、温度に直します。

液体の背たけを目で読むかわりに、電気の値を回路で読んでいる、といえます。

電子体温計の検温部にはサーミスタが使われる。医療機器添付文書には、サーミスタの抵抗変化を利用して温度を検出し、体温として表示すると記される[4]。温度→電気抵抗→電圧などの電気信号→温度表示、という変換を経る。

サーミスタは、温度で抵抗値が変わる部品として説明される。ここでは、添付文書の記述の範囲にとどめる。

5. どうして はやく ピッと なるの?

5. 測り終える前に鳴る ── 予測検温と実測検温

5. 予測検温の添付文書上の記述

ある たいおんけいの せつめいしょには、はかりはじめて 25びょうで ピッと なる、と かいて ありました[4]。でも、その とき たいおんが ほんとうに そこまで あがったとは かぎりません。

ピッと なるのは、「たぶん、この くらいに なる」と よそうした こたえが 出た ときです。そのまま はかりつづけると、5ふんの じっさいの たいおんも しらせて くれます[4]。

この 25びょうは、その せいひんの 数字です。ぜんぶの たいおんけいが おなじでは ありません。

先ほどの添付文書には、「検温開始から25秒で予測検温が成立してブザーが鳴るが、そのまま計測を続けると実測検温になる」という趣旨の記述があります[4]。続けて測ると、開始から5分の実測値も知らせてくれるとされています。

予測とは、体温がまだ上がっている途中のデータから、最終的にこのくらいになるだろうと見積もる方法です。実測は、上がりきるまで待って読み取る方法です。

25秒はこの1製品の値で、全機種共通ではありません。予測にかかる時間は、製品によって違うと考えてください。

当該の添付文書では、検温開始から25秒で予測検温が成立してブザーが鳴り、そのまま計測を続けると実測検温になる。開始から5分の実測値も知らせる[4]。体温計には、体温の上昇が止まるまで測る実測式と、初期のデータから演算で最終値を予測する予測式があるとされる。

25秒はこの製品に限った値で、予測に要する時間は製品によって異なる。予測の演算方法は資料に書かれていない。予測値は演算の結果であり、実測値とは区別して扱われる。

6. さわらずに はかる おんどけいは?

6. 放射温度計 ── 赤外線の量を読む

6. 放射温度計 ── 熱放射とプランクの放射公式

おでこに むけて、ピッと はかる おんどけいを 見た ことが あるかも しれません。さわらないのに、どうして わかるのでしょう。

ものは、おんどに おうじて、目に 見えない 赤外線などの ひかりを だします。おんどが たかいほど、つよく なります[7]。この ひかりの りょうを センサーで 読んで、おんどに かえて います。

たきびの ちかくに いくと、さわらなくても ぽかぽか します。あれに にた ことです。ただし ほんとうは、赤外線は 目に 見えません。

読んで いるのは、ものの おもての おんどです。からだの おくの おんどでは ありません。

放射温度計は、物から出ている赤外線のエネルギーの量を赤外線センサーで検出し、その量から物の表面の温度を求めます[7]。触れなくても、短時間で測れます。

物は温度が高いほど強い熱放射を出し、強さの波長ごとの分布も変わります[3]。この関係は「プランクの放射公式」で表されます。センサーに届く量から、逆に温度を割り出せるわけです。

測っているのは表面の温度で、体や物の内部の温度ではありません。この点は、使うときに覚えておきたいところです。

放射温度計は、物体表面から放射される赤外線エネルギーの量を赤外線センサーで検出し、そのエネルギー量から温度を求める計測器である。非接触で短時間の測定ができる[7]。ここでの「放射」は熱放射の意味で、放射線とは別の話である。

原理はプランクの放射公式で、物体の温度が高いほど熱放射は強くなり、強さの波長ごとの分布(分光分布)も変わる[3]。検出した放射量から、物体の温度を逆算する。

測定できるのは物体表面の温度であり、内部ではない。

7. すいぎんの たいおんけいは、どうなるの?

7. 水銀体温計の製造・輸出入は禁止された

7. 水銀体温計と水俣条約 ── 2021年1月1日以降の製造・輸出入禁止

むかしから ある、すいぎんの たいおんけいは、いま 新しく つくる ことが できなく なって います。

2021ねんの 1がつ 1にちから、すいぎんの たいおんけいを つくる ことと、ほかの くにと やりとりする ことが きんしされました[8]。

すいぎんの たいおんけい 1ぽんには、けいこうとうと いう ほそながい でんきゅう 200ぽんぶんの すいぎんが 入って いるそうです[8]。

すでに もって いる ものを つかう ことは、ゆるされて います。ただ、すてる ときは、おうちの ひとに きいて、きまりに したがいます。

水銀を使った体温計や血圧計は、水俣条約を受けた水銀汚染防止法により、2021年1月1日以降、製造と輸出入が禁止されました[8]。条約の中では、水銀を含む製品の廃止期限が2020年とされていました[9]。

ある業界のリーフレットによれば、水銀体温計1本には蛍光管約200本分の水銀が使われています[8]。ただし、この数字には2010年度ごろの値が含まれます。

禁止されたのは製造と輸出入で、持っているものの使用が禁止されたわけではありません。ただし、捨てるときは注意が必要で、自治体の案内に従います。

水俣条約を受けた水銀汚染防止法により、水銀体温計・水銀血圧計は2021年1月1日以降、製造・輸出入が禁止された[8]。条約上の水銀含有製品の廃止期限は2020年で、日本は国内措置を検討した[9]。

リーフレットは、水銀体温計1本に蛍光管約200本分、水銀血圧計に約8,000本分の水銀が使われていると記す。ただし2010年度ベースの数字を含む[8]。

禁止の対象は製造・輸出入であり、使用中のものの使用禁止ではない。廃棄には注意が要る。

自分でも しらべて みたく なったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

今日できること

おうちに ある おんどけいや たいおんけいを ぜんぶ さがして、せつめいしょの 「げんり」や 「センサー」の ところを 見て みましょう。えき、でんき、赤外線の どれを 読んで いるのか、わかるかも しれません。

出かけてできること

がっこうの りかしつで、ガラスの ぼうの おんどけいを 見せて もらいましょう。えきの たかさが、めもりの どこに あるか 見て みます。

こうしきの 情報じょうほう

きしょうちょうの こども むけの ページに、おんどの めもりの はなしが あります。

ここまでで、温度計の種類ごとに読みかえる量が違うことを見てきました。では、身のまわりの温度計は、何を読んでいるのでしょうか。

今日できること

家にある体温計・室温計・調理用の温度計などを集めて、説明書や本体の表示で「原理」「センサー」の欄を探してみてください。液体・サーミスタ・赤外線のどれにあたりそうか、予想してから確かめると面白くなります。

出かけてできること

学校の理科室や、博物館の展示で、ガラス管の温度計を見せてもらってください。液面の位置と目盛りの関係を、実物で確かめられます。

公式情報

気象庁の「こども向けの質問集」や、出典に挙げた体温計の添付文書(PMDA)は、日本語で読めます。

身のまわりの温度計が、液体・サーミスタ・赤外線のどれを読んでいるかを、説明書や添付文書の原理欄で確かめてみるとよい。

今日できること

家の体温計・室温計・調理用温度計などの原理欄を調べ、本記事の3つの型に分類する。記載がなければ、メーカーの製品ページを読む。

出かけてできること

理科室や博物館で、棒状の液体温度計の液面と目盛りを実物で見る。

公式情報

PMDAの医療機器添付文書検索で体温計の添付文書を読み、予測検温に関する記述を比較する。原理の細部を確かめたい場合は、JIS規格などの規格類も手がかりになる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

今回は、液体温度計・放射温度計は事典とメーカー資料、電子体温計は添付文書、目盛りは気象庁の説明を突き合わせた。

  1. コトバンク「液体温度計」 https://kotobank.jp/word/液体温度計 (液体温度計の構造・感温液の範囲)
  2. コトバンク「温度計」 https://kotobank.jp/word/温度計-41987 (温度計の定義と分類)
  3. コトバンク「放射温度計」 https://kotobank.jp/word/放射温度計 (熱放射と温度の関係)
  4. PMDA 医療機器添付文書(予測式キャラクター電子体温計) https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/kikiDetail/OldPdfData/227AGBZX00013000_A_01/1 (サーミスタ・予測検温と実測検温)
  5. Museo Galileo 展示解説(Thermoscope) https://brunelleschi.imss.fi.it/itineraries/multimedia/Thermoscope.html (ガリレオの装置)
  6. 気象庁 気象の質問(こども) https://www.jma.go.jp/jma/kids/kids/faq/b1_23.html (華氏・摂氏の制定)
  7. A&D 放射温度計の技術資料 https://aandd.co.jp/pdf_storage/tech_doc/sp/t_radiation_thermometer.pdf (放射温度計の原理・温度目盛りの対応)
  8. 日本医師会・日本医療機器産業連合会 水銀に関するリーフレット https://www.jfmda.gr.jp/wp/wp-content/uploads/2018/12/Hg-leaflet.pdf (水銀体温計の製造・輸出入禁止と水銀の量)
  9. 環境省 審議会資料 https://www.env.go.jp/council/05hoken/y0512-06b/900421702.pdf (条約上の廃止期限)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

  •  初版を公開。

このサイトでは、公開した記事の本文は原則として書き直しません。誤りが見つかったときや、内容が古くなったときだけ手を入れ、その理由をこの欄に残します。