1. くっつく 手の ない アルゴンが、ひやすと どうなるの?
1. 手を持たないはずのアルゴンが、冷やすと液体になる
1. 結合をしない原子を、一瞬のかたよりが引き合わせる
アルゴンは、原子が 1つずつ ばらばらに とんで いる ガスです。ほかの ものと むすびつく ことは、ほとんど ありません。
でも、マイナス186度くらいまで ひやすと、液体に なります[1]。
電気を おびて いない 原子どうしにも、ごく 弱い ひきあう 力が あるからです。この 力を、ファンデルワールス力と いいます[3]。
原子の 中では、小さな 電気の つぶが いつも うごいて います。ほんの いっしゅんだけ、そのつぶが かたがわに かたよる ことが あります。すると、となりの 原子にも かたよりが 生まれて、プラスと マイナスが 向かい合い、ひきあいます[3]。
ふだんは、原子の うごきの ほうが 強いので、アルゴンは ガスの ままです。ひやして うごきが ゆっくりに なると、ひきあう 力が 勝って、液体に なります。
アルゴンは貴ガスの一つで、原子が一つずつばらばらに飛び回っています。それでも、約−186℃まで冷やすと液体になります[1]。アメリカの国立標準技術研究所(NIST)のデータでも、アルゴンの沸点は約87.3K、つまり約−186℃です[2]。
先に答えを言うと、電気を帯びていない原子や分子のあいだにも、ごく弱い引力が働いているからです。分子と分子のあいだに働く弱い引力は、ファンデルワールス力と呼ばれます[3]。
しくみはこうです。原子の中の電子は動き続けているので、ある一瞬だけを見ると、電子の位置が片寄ることがあります。すると原子の片側がわずかにマイナス、反対側がわずかにプラスになります。この一瞬の片寄りが、隣の原子にも同じような片寄りを生み、プラスとマイナスが向き合って引き合います。辞典では、これを瞬間的な誘起双極子による引力と説明しています[3]。
ファンデルワールス力は、配向力・誘起力・分散力をまとめた呼び名です。アルゴンのように最初から電気の偏りがない原子どうしでは、主役は分散力だと考えられます[4]。
室温では原子の動きのほうが引力に勝つので、アルゴンは気体のままです。冷やして動きがゆっくりになると、引力が勝ち、原子がくっついたまま動き回る液体になります。
アルゴンは貴ガスの一つで、原子は他の原子と化学結合をつくらない。それでも沸点は約−186℃(87.3K)で、これはNISTのデータとも合う[1][2]。結びつく相手を持たない原子が液体になれるのは、結合とは別の、はるかに弱い引力が働くからである。
この引力はファンデルワールス力と呼ばれ、分子と分子のあいだに働く弱い引力の総称として辞典に載っている[3]。東京大学のプレスリリースによれば、ファンデルワールス力は配向力・誘起力・分散力をまとめた呼び名であり、分散力がその主要な引力である[4]。永久的な電気の偏りを持たないアルゴンでは、配向力や誘起力が働く余地は小さく、分散力が中心になると考えられる。
分散力は次のように説明される。原子の電子は動き続けているため、ある瞬間には電子の分布が片寄り、原子の片側がわずかにマイナス、反対側がわずかにプラスになる。この瞬間的な偏りが隣の原子の電子を押しのけ、隣にも向きのそろった偏り(誘起双極子)を生むので、両者は引き合う[3]。偏りは一瞬ごとに向きを変えるが、隣り合う原子の偏りがそろう傾向があるため、平均すれば引力が残る。
1組の原子のあいだの引力はごく小さい。室温では原子の運動のほうが勝って気体になり、温度を下げて運動が弱まると、引力が勝って原子が集まる。これが液化である。では、この引力は原子の種類によってどれだけ違うのか。貴ガスを並べると、手がかりが見える。
2. 大きな 原子ほど、ひきあう 力は 強いの?
2. 原子が大きいほど、液体になる温度は高くなる
2. ヘリウムからラドンまで、沸点は原子の大きさとともに上がる
ガスの なかまは、ほかにも います。大きさの じゅんに ならべて、ガスが 液体に なる 温度を 見て みましょう。
いちばん 小さい ヘリウムは、マイナス269度。アルゴンは マイナス186度。キセノンは マイナス107度。いちばん 大きい ラドンは、マイナス62度です[1]。
原子が 大きく なるほど、高い 温度でも 液体に なれます。ヘリウムと キセノンでは、160度ほども ちがいます。
これは、大きい 原子ほど 電気の かたよりが 生まれやすく、ひきあう 力が 強く なるからだと いわれます[4]。
やわらかい ふうせんほど、ちょっと おすだけで かたちが かわりやすい ですね。それに 少し にて います。ただし、原子は ふうせんでは ありません。
貴ガスを、原子の小さい順に並べてみます。沸点は、ヘリウムが約−269℃、ネオンが約−246℃、アルゴンが約−186℃、クリプトンが約−152℃、キセノンが約−107℃、ラドンが約−62℃です[1]。資料によって小数点以下がわずかに違うため、約の値で書いています。
原子が大きくなるほど、沸点が高くなっています。ヘリウムとキセノンの差は、−107−(−269)で約162℃です(筆者の計算)。ヘリウムは約4.15Kで、絶対零度(−273.15℃)のすぐ上で液体になります。
なぜ大きな原子ほど引き合う力が強いのでしょうか。分散力は、原子の分極率、つまり電子の分布の変形しやすさに関係します[4]。大きな原子は電子が原子核から遠くまで広がっていて、片寄りが生まれやすいと説明されます。片寄りやすいほど分散力が強くなり、冷やさなくても、より高い温度まで原子が離れずにいられます。ここは一般的な説明で、この数字だけから個々の原子の力を計算したわけではありません。
では、原子ではなく分子になると、どうなるのでしょうか。
貴ガスを原子の小さい順に並べると、沸点はヘリウム約−269℃(4.15K)、ネオン約−246℃、アルゴン約−186℃、クリプトン約−152℃、キセノン約−107℃、ラドン約−62℃と、ほぼ単調に上がる[1]。ヘリウムとキセノンの差は約162℃(筆者の計算)である。アルゴンは87.3K、キセノンは165K付近というNIST系のデータとも、ほぼ一致する[2]。ただし資料により小数点以下は少しずれるため、約の値で扱う。
この並びの理由は、分散力が原子の分極率と距離に依存する[4]、という点にある。分極率とは、外からの影響や瞬間的な偏りに対する電子分布の変形しやすさである。原子が大きいほど電子が核から遠くまで広がり、変形しやすいと説明される。変形しやすいほど瞬間的な偏りが大きくなり、分散力が強まる。そのため、より高い温度まで原子が離れずにいられる。
ただし、この説明は一般原理であり、貴ガス6種の沸点の差がすべて分極率だけで決まる、という意味ではない。この記事で使った資料から言えるのは、大きな原子ほど分散力が強いという方向性と、沸点の並びがそれと矛盾しないことまでである。次の問いは、原子が結びついて分子になり、その分子が長くなったとき、同じ傾向が続くのかである。
3. 炭素が ながく つながると、ガスが 液体に なるの?
3. 炭素の鎖が伸びると、気体が液体に変わっていく
3. 炭素の鎖が長くなるほど、アルカンの沸点が上がる
こんどは、炭素と 水素だけで できた ガスを 見ましょう。炭素が 1つの メタンは、マイナス162度で 液体に なります。
炭素が 4つの ブタンは、ほぼ 0度。5つの ペンタンは 36度。6つの ヘキサンは 69度です[5]。
へやの 温度は 20度くらいですから、ブタンまでは ガスで、ペンタンから あとは 液体です。炭素が 1つ ふえるごとに、液体に なりやすく なって いきます。
この なかまは、電気の かたよりが ほとんど ない つくりで、ひきあう 力は 主に ファンデルワールス力だと されます。ながい ぶん、となりの 分子と ふれ合う ぶぶんが ふえて、力が 強く なるのです[6]。
長い ものさし 2本を ならべると、ふれる 長さは 長く なります。消しゴム 2こより、ひっつく ところが 多い ような ものです。ただし、分子は ものさしでは ありません。
つぎに、炭素と水素だけでできた直鎖のアルカンを見ます。沸点は、メタンが−162℃、エタンが−89℃、プロパンが−42℃、ブタンが−0.5℃、ペンタンが36℃、ヘキサンが69℃です[5]。
炭素が1つ増えるたびに沸点が上がり、メタンからヘキサンまでで約231℃の差があります(筆者の計算)。メタンの−162℃は、貴ガスのアルゴン(約−186℃)に近い値です。室温を20℃くらいとすると、ブタンまでは気体、ペンタンからは液体です。
アルカンは炭素と水素だけの無極性の分子で、分子どうしに働く力は主に分散力だと説明されます。鎖が長いほど分子の表面積が増え、隣の分子とふれ合う部分が広がるので、分散力が強まって沸点が上がるとされます[6]。
貴ガスでは「原子が大きいほど」、アルカンでは「鎖が長いほど」、どちらも弱い力が積み重なって、沸点を押し上げているわけです。では、この力はどれくらい遠くまで届くのでしょうか。
炭素と水素だけでできた直鎖アルカンの沸点は、メタン−162℃、エタン−89℃、プロパン−42℃、ブタン−0.5℃、ペンタン36℃、ヘキサン69℃と、炭素が1つ増えるごとに上がる[5]。メタンからヘキサンまでで約231℃の差である(筆者の計算)。メタンの沸点はアルゴン(約−186℃)に近く、貴ガスの原子と、小さな無極性の分子が似た値を示す点は興味深い。
室温を約20℃、1気圧とすれば、ブタンまでは気体、ペンタン以降は液体である。同じ炭素と水素の化合物が、鎖の長さだけで気体から液体へ変わっていく。
理由として、アルカンは無極性で、分子間には主に分散力が働くとされる。分散力は分子の表面積に依存し、鎖が長いほど隣の分子と接する部分が増えるため、沸点が上がるという説明がある[6]。貴ガスでは「原子が大きいほど」、アルカンでは「鎖が長いほど」、どちらも分散力が積み重なって沸点を押し上げているとみなせる。
ただし、この「表面積」の説明は教育向け資料の一般的な説明であり、分岐のある分子など別の形の分子まで同じ単純さで言えるかは、この記事の資料の範囲を超える。直鎖に限った話として読む必要がある。
4. ヤモリの 足の 毛も、おなじ 力を つかって いるの?
4. 近づいたときだけ働く力は、ヤモリの足指にも顔を出す
4. 近づいたときだけ効く力が、ヤモリの足指でも観察される
この 力には、大きな 弱点が あります。とても 近づいた ときしか、はたらかないのです。距離が 少し はなれると、あっと いう まに 弱く なります[4]。
手のひらを かべに おしつけても、くっつきません。原子が とどく ところまで 近づく ぶぶんが、ほとんど ない からだと 考えられます。
では、ヤモリは どうして かべに くっつけるのでしょう。足の ゆびには、とても 細い 毛が びっしり 生えて います。
毛の 先は 小さくて、かべに ぴったり 近づけます。1本の 力は わずかでも、数が 多いので、合わせると 大きな 力に なると 考えられて います[7]。
ある 研究では、水を はじく 表面にも、水に なじむ 表面にも、ほとんど おなじ 強さで くっつきました[7]。
この ヤモリの 足を まねて、のりを 使わない テープを 作った 人たちが います。2003年の ことです[8]。7年後、その 1人が、あるものの 発見で ノーベル賞を もらいました。
ファンデルワールス力のもう一つの特徴は、ごく近い距離でしか効かないことです。分散力は原子間の距離に強く依存し、距離の六乗に反比例すると説明されます[4]。ただしこれは分子どうしの相互作用エネルギーの話で、「距離が2倍になれば力が64分の1」という意味ではありません。わずかに離れるだけで急に小さくなる、という程度の理解にとどめておきます。
手のひらを壁に押しつけてもくっつかないのは、原子が届く距離まで近づく面がほとんどないからだと考えられます。この弱点を逆手にとっているのが、ヤモリです。
2002年のアメリカの論文は、トッケイヤモリの足指の毛1本の付着力を約40μN(マイクロニュートン)と報告しました。毛の密度から計算すると、約5.7気圧にあたる付着応力になります[7]。40μNは、約4ミリグラムのおもりにかかる重さです(筆者の計算)。ただし5.7気圧は、毛の密度から出した理論上の値で、実際にぶら下がれる重さそのものではありません。
この論文では、水をはじく表面にも、水になじむ表面にも、ヤモリの足指はほぼ同じ強さでくっつきました。毛の先端の小ささと密度のほうが、表面の性質より重要だと論じています[7]。
2003年には、ガイムらが人工の毛を並べたテープを作りました。直径約500nm、長さ約2μmのポリイミドの毛を約1cm²に並べたもので、のりを使わずに貼れます。ただし貼りなおせる回数には限りがありました[8]。その7年後、同じガイムが別のテープの使い方でノーベル賞を受けます。
この力のもう一つの特徴は、ごく近い距離でしか効かないことである。分散力は距離の六乗に反比例するとされるが[4]、これは分子間の相互作用エネルギーの話であり、距離が2倍になれば力が64分の1になる、とは言えない。わずかな距離の違いで急に小さくなる、という程度に理解しておくのが安全である。手のひらを壁に押しつけてもくっつかないのは、原子が届く距離まで近づく面が、ほとんどないためだと考えられる。
この弱点を逆手にとるのがヤモリである。トッケイヤモリの足指の毛1本の付着力は約40μNと測られ、毛の密度から計算した付着応力は576,000N/m²、約5.7気圧に相当した。ただしこれは理論上の値で、実際にぶら下がれる重さではない。40μNは約4mgの重さにあたる(筆者の計算)。同じ研究では、水をはじく表面にも水になじむ表面にも、ほぼ同じ強さで付着した。このため著者らは、表面の化学的な性質より、毛の先端の小ささと密度、つまり原子に近づける形のほうが大切だと論じた[7]。
それなら人工の毛でも似たことができるのか。2003年、ガイムらは直径約500nm・長さ約2μmのポリイミドの毛を約1cm²に並べたテープをつくった。天然の毛1本は約10⁻⁷N、合わせて1cm²あたり約10Nとされる。やわらかい台につけると付着力が約1000倍になり、のりなしで繰り返し貼れたが、貼りなおせる回数には限りがあった[8]。なお、PNAS論文の約40μNとこの10⁻⁷Nは出典も定義も異なるため、並べて比べられない。
この実験の中心にいたガイムは、7年後の2010年、まったく別のテープの使い方でノーベル賞を受ける。
5. 鉛筆の 芯に テープを はると、なにが とれるの?
5. 鉛筆の芯にテープを貼ってはがすと、薄い薄片がとれる
5. 黒鉛にテープを貼ってはがす操作が、グラフェンを取り出した
鉛筆の 芯には、黒鉛という ものが つかわれて います。炭素の 原子が 平らに ならんだ シートが、なんまいも かさなって います。
シートの 中は、しっかり つながって います。でも、シートと シートの あいだは、とても 弱い 力で つながって いるだけです[9]。この 弱い 力も、ファンデルワールス力の なかまだと いわれます[10]。
そこで、黒鉛に テープを はって、はがします。シートが 1まい ずつ、うすく はがれます。テープに ついた 黒鉛に また テープを はって、はがします。これを なんども くりかえします[9]。
こうして、とても 薄い 黒鉛の かけらを、シリコンの 板に こすりつけて、とりだしました。
この うすい シートが、グラフェンです。とりだした ガイムさんと ノボセロフさんは、2010年に ノーベルぶつり賞を もらいました[9]。
鉛筆の芯には黒鉛が使われています。黒鉛は、炭素原子が平らに並んだ層が何枚も重なったつくりをしています。層の中の結びつきは強いのに、層と層のあいだは、桁違いに弱い力で結ばれているといわれます[9][10]。その弱い力も、ファンデルワールス力の仲間と説明されます。
この性質を使ったのが、グラフェンの取り出し方です。黒鉛に粘着テープを貼ってはがすと、層が薄くなった薄片がはがれます。薄くなった薄片のついたテープにまたテープを貼ってはがす、という操作を何度も繰り返し、最後に薄くなったものをシリコン基板にこすりつけて取り出しました[9]。
テープの粘着力がなぜ層間の力に勝てるのかまでは、ここでは立ち入りません。
グラフェンは、炭素原子が1層に並んだシートです。マンチェスター大学のガイムとノボセロフは、この研究で2010年のノーベル物理学賞を受賞しました[9]。
ヤモリから、鉛筆の芯まで。「ごく弱い力」を、なくそうとするのではなく、使いこなしたことが共通しています。
鉛筆の芯の材料である黒鉛は、炭素原子が平面状に並んだ層が重なった構造をもつ。層の内側の結合は強いが、層と層は互いに弱くしか結びついていない[9]。層間の結びつきはファンデルワールス力と説明され、層内の結合より桁違いに弱いとされる[10]。
この性質を使った手法で、マンチェスター大学のガイムとノボセロフは黒鉛から薄い炭素の膜、グラフェンを取り出した。粘着テープを黒鉛に貼ってはがすと、層が薄くなった薄片がはがれる。この操作を何度も繰り返し、薄くなった薄片をシリコン基板にこすりつけて取り出した。層どうしが弱くしか結びついていないため、はがすたびに、より薄い薄片が取れるのである[9]。
注意したいのは、因果の書き方である。取り出せた理由は、黒鉛の層間が弱い力で結ばれていることにある。「テープがファンデルワールス力で黒鉛にくっつくから」という説明は、使った出典に書かれていない。テープと黒鉛のあいだの力が何なのかは、ここでは立ち入らない。
この研究により、二人は2010年のノーベル物理学賞を受けた[9]。グラフェンは炭素原子が1層に並んだシートで、アルゴンを液体にする力と、ヤモリの足指の力と、鉛筆の芯を薄くはがす力は、どれもファンデルワールス力という言葉でつながる。
6. シャープペンの 芯を、テープで はがして みよう
6. シャープペンの芯をテープではがし、色の変化を見る
6. 芯のかけらで再現する剥離と、日本語で読める原典
シャープペンの 芯は 黒鉛だけとは かぎりませんが、黒鉛が 多く ふくまれて います。ひとつ ぬいて、指で 半分に おります。かけらの ほうを 使います。
セロハンテープの 上に、かけらを おきます。その 上から、べつの テープを ぺたっと はります。ゆっくり はがすと、かけらの 黒い 色が、2まいの テープに 分かれます。
テープを かえて、もう 一回。黒い ところの 色が、うすく なって いくか 見て みましょう。
ここで 見えて いるのは、たくさんの シートが かさなった ままの かけらです。グラフェンでは ありません。でも、芯の かけらが うすく はがれる ようすを、自分の 目で 見られます。
おわったら、手を あらいましょう。黒鉛の こなで、手が 黒く なります。
もっと 知りたい 人は、東京大学が 出している、日本語の お知らせも 読んでみて ください。ファンデルワールス力の ことが のって います[4]。
家にあるもので、芯のかけらが薄くはがれる様子を見てみます。シャープペンの芯は黒鉛だけとは限らず、黒鉛が多く含まれています。芯を指で折り、小さなかけらを作ります。セロハンテープの上にかけらを置き、別のテープを貼り合わせて、ゆっくりはがしてください。
黒い部分が2枚のテープに分かれます。さらに新しいテープでもう一度はがし、黒い部分の色が薄くなっていくかを見てください。結果は芯の種類やテープによって違うかもしれません。
ここで見えているのは、層がたくさん重なったままのかけらで、グラフェンではありません。それでも、芯のかけらが薄くはがれる様子を、手で見られます。作業のあとは手を洗ってください。黒鉛の粉で手が汚れます。
次の問いとして、水中では分散力がどう変わるのかを調べるのもよさそうです。東京大学のプレスリリース「水中における分散力に及ぼす分極率の効果」は、日本語で読めます[4]。ヤモリについては、本サイトの別の記事に詳しくあります。
黒鉛の剥離に近い様子は、家でも小さく見られる。シャープペンの芯は黒鉛だけでできているとは限らず、黒鉛のほかに芯の強さを保つための材料も含まれる。その芯を折って小さなかけらを作り、セロハンテープの上に置いて、別のテープを貼り合わせ、ゆっくりはがす。黒い部分が2枚のテープに分かれる。新しいテープでさらに繰り返し、黒い部分の色が薄くなっていくかを見る。結果は芯の硬さやテープで変わるかもしれない。
ここで見えるのは、層が多数重なったままのかけらで、単層のグラフェンではない。グラフェンの取り出しでは、はがす操作を何度も繰り返して薄くしていった[9]。家の実験は、その入り口にすぎない。それでも、芯のかけらが薄くはがれる様子は手で見られる。作業のあとは手を洗う。粉で手や机が汚れる。
読む価値のある原典は、まず東京大学のプレスリリース「水中における分散力に及ぼす分極率の効果」(2019年12月12日)である[4]。水中では分散力が空気中とどう違うのか、という次の問いに入れる。まずはこの日本語の資料から読むとよい。
テープと黒鉛のあいだの力が何なのか、層の弱い力はどれほど弱いのか。この記事では踏みこまなかった問いが、まだ残っている。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
資料の確認日はすべて2026年10月16日。引用元の用途は各項目の後ろに書いた。
- Noble gas (data page). Wikipedia. https://en.wikipedia.org/wiki/Noble_gas_(data_page) (貴ガスの沸点の表。℃の値はBritannicaの引用で、二次資料。アルゴンはNISTでも確認)
- NIST Chemistry WebBook(アルゴン). https://webbook.nist.gov/ (アルゴンの沸点の確認)
- コトバンク「ファンデルワールス力」(デジタル大辞泉・マイペディア). https://kotobank.jp/ (ファンデルワールス力の定義)
- 東京大学 プレスリリース「水中における分散力に及ぼす分極率の効果」(2019年12月12日). https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/press/z0109_00281.html (分散力と距離・分極率の関係)
- ウィキブックス「単結合のみの炭化水素」. https://ja.wikibooks.org/ (アルカンの沸点の表。二次資料。鎖が長いほど上がる傾向はJoVEの説明と合う)
- JoVE. Physical Properties of Alkanes. https://www.jove.com/science-education/11706/physical-properties-of-alkanes (鎖の長さと分散力の説明。要約の範囲で参照)
- Autumn, K. et al. Evidence for van der Waals adhesion in gecko setae. PNAS 99(19), 12252 (2002). https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC129431 (ヤモリの毛1本の付着力)
- Physics World. Gecko tape sticks with polymer fibres. https://physicsworld.com/a/gecko-tape-sticks-with-polymer-fibres/ (ヤモリ風テープの試作)
- Physics Today. Nobel physics prize honors achievements in graphene. https://physicstoday.aip.org/news/nobel-physics-prize-honors-achievements-in-graphene (テープによるグラフェンの取り出し)
- Gould, T. et al. (2013). arXiv:1311.5899. https://arxiv.org/abs/1311.5899 (黒鉛の層間の力。検索結果の抜粋の範囲で参照)
なおした ところ
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