1. 火山の はいは、なにが こなに なった ものなの?
1. 火山灰は、燃えかすではなく砕けたマグマだった
1. 火山灰は燃焼の残りではなく、噴火で砕けたマグマと岩の破片である
こたえから 言います。火山の はいは、もえた あとの ものでは ありません。ふんかの ときの 大きな ちからで、かたい 石や マグマが こなごなに くだけた ものです[1]。
くだけて 空に とんだ マグマは、そのまま ひえて かたまり、石や ガラスの かけらに なります。
つぶの 大きさは いろいろです。すなのように 大きい もので 2ミリ、ねんどのように こまかい ものは 0.004ミリより 小さいです[1]。2を 0.004で わると 500。いちばん 大きい つぶと 小さい つぶでは、500ばい いじょうも ちがいます。
では、たきびの はいは、なにが のこった ものなのでしょう。
噴火では、マグマの中にとけていたガスが、ふくらみながら外へ逃げようとします。その力で固い岩は激しく砕かれ、マグマ自身もちぎれて、空へ吹き飛ばされます[1]。飛ばされたかけらは空中で冷えて固まり、岩石や鉱物、火山ガラスの破片になります。これが火山灰です。何かが燃えた結果ではなく、砕けてできたものです。
大きさは、砂から粘土まで
粒の直径は、2mmほどの砂のようなものから、0.004mmより小さい粘土のようなものまで幅があります[1]。2÷0.004=500なので、大きいほうと小さいほうでは500倍以上の開きがあります。
木を燃やしてできる灰は、生まれ方がまったく違います。次に、その中身を見てみましょう。
2. たきびの はいは、なにが のこった ものなの?
2. 木の灰は、燃えた木の残りで、カルシウムが多い
2. 木灰は燃焼後に残る物質で、主成分はカルシウムである
木を もやすと、もえて なくなる ぶぶんと、もえずに のこる ぶぶんが できます。のこった ほうが 木の はいです[7]。
木の はいで いちばん 多い ものは、カルシウムです。畑で つかう「せっかい」に にた せいしつが あると されて います[7]。
ひりょうの せいぶんで 見ると、木の はいは、ちっそが 0、りんが 1、カリウムが 3 ぐらいの 数字で 表されます[7]。ただし、もやした 木の しゅるいや ばしょで かわるので、この 数字は 目あてです。
もう ひとつ。木の はいは、アルカリせいが とても 強いです。アルカリせいは、さんせいの はんたいの せいしつの ことです。pHという 数字では 9から 13 の あいだに なる と されます[7]。
では、火山の はいの かけらは、どんな せいしつなのでしょう。
たき火で木を燃やすと、燃え切らなかった成分が灰として残ります。この灰は、無機質と有機質の混じった燃焼後の残りです[7]。中で最も多い元素はカルシウムで、農業用の石灰に似た性質をもつとされます[7]。
肥料の成分で見ると、平均的な木灰は窒素・リン酸・カリ(N-P-K)が約0-1-3です[7]。窒素はほぼなく、カリが少し入っているという姿です。
強いアルカリ性
もう一つの特徴は、アルカリ性が強いことです。pHは9から13の範囲にあるとされます[7]。中性のpH7より、ずっとアルカリ側です。
ただし、燃やした木の種類や場所によって成分は大きく変わります。ここに挙げた数字は目安で、「木灰は必ずこう」と言い切れるものではありません。では、火山灰のかけらは、どんな性質をもっているのでしょうか。
木灰は、木材が燃えたあとに残る無機質と有機質の残留物である[7]。最も多い元素はカルシウムで、農業用石灰に似た性質を与える[7]。肥料の成分で見ると、平均的な木灰は窒素・リン酸・カリ(N-P-K)が約0-1-3である[7]。窒素はほとんど含まず、カリがいくらか入るという構成になる。
木灰の性質で土への影響を左右するのは、アルカリ性の強さである。pHは9から13の範囲にある[7]。pHは1変わると水素イオンの濃度が10倍変わる目盛りなので、9と13では濃度で10の4乗、つまり1万倍の開きがある。同じ「木灰」でも、強さに幅があることが分かる。
この幅は、燃やした木の種類や場所で成分が大きく変わることの表れでもある。数字は目安として扱い、一つの値で木灰全体を言い切らないほうがよい。
これに対し、火山灰のガラス片は、生まれ方だけでなく硬さの面でも、木灰とは別の性質を持っている。
3. 火山の はいは、どうして ものを きずつけるの?
3. 火山灰のかけらは、なぜ硬くて角張っているとやっかいなのか
3. 硬さと形と溶けにくさ:火山灰が研磨性をもつ理由
火山の はいの なかの ガラスの かけらは、モース硬度で 5 です[2]。モース硬度は、ひっかいて くらべる かたさの ものさしです。
しかも、かけらは かどが とがって います。かどが とがって いる ほど、ものを けずる ちからが 強く なると されて います[2]。
火山の はいは 水に とけません。ぬれると 電気も とおします[1]。ガラスの かけらは、同じ 大きさで くらべると、水の 2ばい いじょう おもい ものです[3]。
いちばん 小さい つぶは、風に のって、火山から 数十キロから 数千キロも はなれた ところまで はこばれる ことが あります[4]。
つぶの 表面には、見えない ものが ついて いる ことも あります。
火山灰の中のガラス片は、モース硬度で5とされ、比較的硬いものです[2]。しかも破片は角張っていて、角が立っているほど研磨性(ものを削る力)が強くなります[2]。
USGSは、火山灰を、硬くて削る力があり、ぬれると電気を通し、水には溶けないものと説明しています[1]。ガラス片の粒子密度は、1立方メートルあたり2350〜2450kgです[3]。水は1000kgなので、同じ体積なら、水の約2.35〜2.45倍の重さになります。
風に乗って遠くへ
いちばん小さな粒は風に乗り、火山から数十kmから数千km先まで運ばれることがあります[4]。木の灰を風が運ぶ距離がどれくらいかは、今回の資料には書かれていませんが、火山灰は噴火口から離れた地域にも降る点が特徴です。
粒の表面にも、見えない違いがあります。
火山灰中のガラス片はモース硬度5で、角張った破片ほど研磨性が高い[2]。USGSは火山灰を、硬く、研磨性があり、ぬれると導電性を示し、水に溶けないものと整理している[1]。ガラス片は砕けた断面が鋭くなりやすいので、「硬い」ことと「角張る」ことが重なって、ものを削る力になる、と読める(ここは資料の言葉そのものではなく、ここまでの事実からの推測である)。
粒子密度はガラス片で2350〜2450kg/m³である[3]。水が1000kg/m³なので、水の約2.35〜2.45倍になる。水に溶けないことと合わせると、降り積もったあとも粒として残る性質だと言える。
小さな粒は風下に、数十kmから数千km運ばれることがある[4]。噴火口から離れた地域でも、粒の大きさが小さいほど、風に乗って届く可能性があるということだ。木灰が風で運ばれる距離は、今回の資料に数値がなく、比較はできない。
ところが、火山灰が「やっかい」である理由は、硬さだけではない。粒の表面に付着した物質も関わる。
4. 火山の はいの 表面には、なにが ついて いるの?
4. 火山灰の表面には、噴火の直後、何が付いているのか
4. 表面の付着物と目・のどへの刺激:酸性の火山灰と、アルカリ性の木灰
ふんかした ばかりの はいの つぶには、水に とける しおの なかまと、さんが ついて いることが ふつうです[5]。
ふんかで 出た けむりが 空で ひえる とき、火山の ガスが つぶの 表面に くっついて できると いわれて います[5]。
この ため、はいの 表面が さんせいに なる ことが あり、はだや 目、のどを ちくちくさせる ことが あります[5]。すって しまったり 目に 入ったり した とき、すぐに 出る えいきょうでは、目や のどが ちくちくする ことが 多いと されます[6]。
息に ぐあいが ある 人は、空気中の はいを さけるよう、とくに 気を つけると いいと されて います[6]。
木の はいは アルカリせい、ふんかした ばかりの 火山の はいは さんが ついて いる ことが ある。ここも 反対向きです。
噴火直後の火山灰の粒の表面には、水に溶ける塩類や酸が付いているのがふつうです[5]。噴煙が大気の中で冷えるとき、火山ガスが粒の表面で凝縮してできると説明されています[5]。
そのため、表面が強い酸性になることがあり、皮膚や目、粘膜に触れると刺激を起こすことがあります[5]。吸い込んだり目に入ったりしたときの短期的な影響は、目と上気道の刺激が多いとされます[6]。もともと呼吸器に問題がある人は、空気中の火山灰を避けるよう、特に注意が必要です[6]。
酸の火山灰、アルカリの木灰
表面が酸性になりうる火山灰と、pH9〜13のアルカリ性の木灰は、性質が反対の方向を向いています。そう考えると、アルカリ性の木灰を、酸性に傾いた畑の土に使う理由も見えてきます。
噴火直後の火山灰の粒には、水溶性の塩類と酸の付着物がふつうにある[5]。噴煙が大気中で冷える過程で、火山ガスが粒の表面に凝縮してできるものである[5]。粒の内部は岩石やガラスで水に溶けないが、表面だけは水に溶ける成分を持つ、という二重の姿になる。
この付着物のために、表面が強い酸性になることがあり、皮膚・目・粘膜に触れると酸による刺激を起こしうる[5]。短期的な影響は、目と上気道の刺激が多い[6]。呼吸器にもともと問題がある人は、空気中の灰を避けるよう特に注意するべきだとされる[6]。ただし、火山灰に含まれる微量の鉱物が長期的に健康へどう影響するかは、資料の範囲では断定されていない。
ここで木灰と並べると、噴火直後の火山灰は表面に酸の付着物があり、木灰はpH9〜13のアルカリ性である。「酸の灰」と「アルカリの灰」という反対向きの性質が、同じ呼び名の下に並んでいる。ただし、火山灰の付着物の強さは噴火ごとに違うはずで、すべての火山灰が強い酸性になるわけではない点には注意が要る。
この反対向きの性質は、土に使うときの扱い方の違いに直結する。次は、木灰が畑で役に立つ条件と、その限界を見る。
5. たきびの はいは、畑で どう やくに たつの?
5. 木の灰が畑で役に立つ理由と、まいてはいけない場面
5. 木灰は石灰の代わりになるが、量と植物を選ぶ
木の はいは、畑で やくに たつ ことが あります。土が さんせいに かたむいた とき、アルカリせいの はいを 入れると、さんせいを 弱める はたらきが あるからです。「せっかい」の かわりに つかわれます[9]。
せっかいより 水に とけやすく、土の さんせいの つよさを はやく かえると いわれます[8]。
でも、いつでも いいわけでは ありません。ブルーベリーの ように さんせいの 土が すきな 植物の 近くには、まかないように 言われて います[9]。入れすぎると、土の さんせいの つよさが、育てたい 植物に 合わなくなって しまうので、入れる ぶんを かぎることも 大切だと されます[7]。
たきびの あとの はいには、あつい 炭が のこって いて、かじの もとに なる ことが あります。さわる ときは 大人と いっしょに、よく ひえてから にしましょう。はだが ちくちくする ことも あります[7]。
木灰は土のpHを上げ、酸性に傾いた土を中和する石灰の代わりとして使われます。カルシウムとマグネシウムも、土に入ります[9]。石灰より水に溶けやすく、土のpHをすばやく変えるとされます[8]。
まいてはいけない場所と、量の限界
ブルーベリーやシャクナゲは、pH5.5より低い、かなり酸性の土を好むので、まわりには木灰を加えないよう勧められています[9]。また、石灰の代わりに入れると養分も一緒に入るため、肥料を減らす必要が出ることがあります。作物に合うpHの範囲に収まるよう、量を限ることが大切とされます[7]。
扱うときの注意
新しい灰には熱い炭が残っていて、火事のもとになることがあります。粉じんが出るときはマスクが勧められ、皮膚への刺激にも注意が必要です[7]。
木灰が畑で役立つのは、カルシウムを含み、アルカリ性で、水に溶けやすいからです。火山灰は水に溶けず、表面に酸が付くことがあるなど、反対向きの性質が並びます。同じ「灰」でも、使い方は全く別になる理由がここにあります。
木灰は土のpHを上げ、酸性土壌を中和する石灰の代替として使われ、カルシウムとマグネシウムも補う[9]。アイオワ州立大学の資料は、木灰は石灰より水溶性が高く、土のpHをより速く変えると述べる[8]。第2章のpH9〜13というアルカリ性とカルシウム量が、この働きを支えている。
ただし、条件と限界がある。ブルーベリーやシャクナゲはpH5.5未満の酸性土を好むため、その周囲に木灰を入れることは避けるよう勧められている[9]。また、石灰の代わりに使うと養分も同時に入るため、肥料を減らす必要が出ることがある。pHが目的の作物に適した範囲に収まるよう、量を限ることが求められる[7]。
取り扱いでは、新しい灰に熱い炭が残って火災の原因になること、粉じんが出るときのマスク、皮膚への刺激への注意が挙げられている[7]。
こうして並べると、二つの灰の使い方が反対になる理由が見える。木灰は、カルシウムを含み、アルカリ性で、水に溶けやすいので、酸性の土を直すのに使える。火山灰は水に溶けず、表面に酸が付くことがあるなど、木灰とは性質が違う。ただし、火山灰が土に及ぼす影響そのものは、今回の資料では扱っていないので、ここでは言い切らない。
6. 木の はいと 火山の はいを 見くらべて みよう
6. 木の灰と火山灰を、観察と数字で見くらべる
6. 二つの灰を、自分の観察と計算で比べる
きょう できる こと
おうちで、たきびや バーベキューの はいが あれば、大人に たのんで、火が ぜんぶ きえて、よく ひえた ものを スプーン1ぱいだけ もらいます。マスクと ゴムてぶくろを して、目に 入らないように 気を つけます。
コップの 水に 入れて まぜ、しばらく おいて ようすを 見ます。にごり方や、そこに たまる つぶを ノートに 書きます。
つぎに、ずかんや ニュースで 火山の はいの 写真を 見ます。つぶの 大きさや かどの ようすを、木の はいと 見くらべます。火山の はいは さわらず、写真で 見るだけにします。
木の はいは せっかいより 水に とけやすいと 言われます。火山の はいは 水に とけません。自分の 目で 見て、同じかどうか 考えて みましょう。
木の灰を水に入れて観察する
たき火やバーベキューの灰が家にあれば、大人にたのんで、火が完全に消えてよく冷めたものを、スプーン1杯だけもらいます。マスクとゴム手袋を着け、目に入らないようにします。コップの水に入れて混ぜ、しばらく置いたときのにごり方や、底にたまる粒の様子を、ノートに書きます。
火山灰の写真と比べる
図鑑やニュースの写真で火山灰を見て、粒の大きさや角の様子を木の灰と比べます。火山灰の実物は触らず、写真で見るだけにします。
木灰は石灰より水に溶けやすく[8]、火山灰は水に溶けません[1]。自分の観察が、その説明と合うかどうか、考えてみてください。
原典を読むなら
USGSの火山灰のページ[1]は英語ですが、粒の大きさや性質が書かれています。日本語で調べたいときは、図鑑や火山噴火のニュースで、火山灰の写真を探してみるのもよいでしょう。木灰については、ジョージア大学の資料[7]に、成分や使い方が詳しくあります。
自分で比べるなら
たき火の灰が家にあれば、大人に頼み、完全に消えて冷めたものをスプーン1杯だけもらう。マスクと手袋を着け、目に入らないようにして、コップの水に入れて混ぜ、にごり方と底にたまる粒の様子を記録する。火山灰は実物に触れず、図鑑やニュースの写真で粒の大きさと角の様子を比べる。木灰が石灰より水に溶けやすく[8]、火山灰が水に溶けない[1]という説明と、自分の観察が合うかを考える。
数字で確かめる
粒径の幅は2÷0.004=500倍以上[1]、ガラス片の密度は水の約2.35〜2.45倍[3]、木灰のpH9〜13は水素イオン濃度で1万倍の幅[7]。いずれも本文の数字からの検算である。
資料を読むなら
火山灰の成分や性質はUSGSの各ページ[1][2][3][4][5][6]が、木灰の使い方と注意はジョージア大学とアイオワ州立大学の資料[7][8][9]が詳しい。いずれも英語である。日本語なら、図鑑や噴火のニュースで火山灰の写真を探し、粒の細かさを見くらべる手もある。長期的な健康影響や、木灰の成分が木の種類でどう変わるかは、資料の中でも断定されておらず、次に調べる手がかりになる。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文で使った資料です。
- USGS Volcano Hazards Program「Impacts & Mitigation - Volcanic Ash」. https://volcanoes.usgs.gov/volcanic_ash/ash.html (火山灰の成り立ち、粒の大きさ、性質)
- USGS Volcano Hazards Program「Impacts & Mitigation - Components of Ash」. https://volcanoes.usgs.gov/volcanic_ash/components_ash.html (ガラス片の硬さと研磨性)
- USGS Volcano Hazards Program「Impacts & Mitigation - Density & Hardness」. https://volcanoes.usgs.gov/volcanic_ash/density_hardness.html (ガラス片の密度)
- USGS Volcano Hazards Program「Impacts & Mitigation - Ash Particle Size」. https://volcanoes.usgs.gov/volcanic_ash/ash_particle_size.html (火山灰が運ばれる距離)
- USGS Volcano Hazards Program「Ash surface coatings」. https://volcanoes.usgs.gov/volcanic_ash/ash_surface_coatings.html (粒の表面の付着物と刺激)
- USGS Volcano Hazards Program「Volcanic ash health」. https://volcanoes.usgs.gov/volcanic_ash/health.html (短期的な健康への影響)
- University of Georgia Extension「Best Management Practices for Wood Ash as Agricultural Soil Amendment」(B1142). https://fieldreport.caes.uga.edu/publications/B1142/ (木灰の成分、pH、使う量と取り扱い)
- Iowa State University Extension「Using Wood Ashes in the Home Garden」. https://yardandgarden.extension.iastate.edu/how-to/using-wood-ashes-home-garden (木灰と石灰の水への溶けやすさ)
- University of Georgia Extension「Using wood ash in the garden」. https://site.extension.uga.edu/fannin-gilmer/2020/12/using-wood-ash-in-the-garden/ (木灰を庭で使うときの注意)
なおした ところ
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