1. ひるまの ナメクジは、どこに いるの?
1. 昼の庭では、石やマルチの下に隠れている
1. 昼は物の下に潜み、夜に動く ── 山口県の資料から
ナメクジは、ひるま、石や、はたけに しく シートの 下に かくれて います[1]。そして 夜に、でて きて うごきます。
雨の ひや つゆの ころは、ひるまも うごく ことが あります。でも、ひどく あつい 夏の ひるは、あまり 見かけません[1]。
夜の にわには いるのに、ひるは 見つからない。どうして かくれるのでしょう。
2. どうして ひるは かくれるの?
2. 殻をなくした体は、乾きやすい
2. 殻のない軟らかい体は、乾燥に弱い
ナメクジは、じつは カタツムリの なかまです。カタツムリに ちかい なかまの うち、からが ほとんど なくなった ものを、ナメクジと よびます[3][2]。
からが ないと、やわらかい からだが、そとの 空気に ふれやすく なります。からだの 水が にげやすいのです。そこで、ひるは しめった ところに かくれます[4]。
しめりけは、ナメクジが どこに いるか、いつ うごくかを きめる 大事な ことでも あります[2]。
ナメクジは、陸にすむ巻貝のうち、殻が退化した種類の総称です[3]。種によっては、殻が体の中に残っています[2]。
殻がないぶん、軟らかい体が外気にさらされます。英語版Wikipediaによると、乾燥するとナメクジは樹皮や丸太の下のような湿った場所に隠れ、多くの種は雨のあとや夜に活発になります[4]。フロリダの昆虫・農業の資料も、夜に動くことと、おもに物かげなどの守られた場所で暮らすことを、水分を保つための行動として挙げています[2]。
また同じ資料は、湿り気がナメクジの分布や活動を決める大事な要因だとも述べています[2]。昼の隠れ場所と夜の活動は、乾きやすい体を守るための組み合わせだと考えられます。
ナメクジは、陸にすむ巻貝のうち殻が退化した種の総称である[3]。種によっては殻が体内に残り、外側に大きく縮んだ殻をもつものも少数いる[2]。殻がないぶん、軟らかい組織が空気にさらされるため、乾きやすい。
フロリダ大学IFASの資料(Capinera)は、ナメクジ類が水分を保つ行動として、夜に活動すること、おもに守られた環境で暮らすことを挙げ、湿り気が分布と活動を決める要因でもあるとする[2]。英語版Wikipediaも、乾燥した条件では樹皮や丸太の下など湿った場所に隠れ、多くの種は雨のあとや夜に活発になると述べる[4]。
だから昼の隠れ場所と夜の活動は、同じ問題への対応として並べて読める。ただし、体の水分の割合などの数字は、これらの資料では確認していないので、ここでは書かない。では、隠れていないとき、体の中ではどんな節約をしているのだろうか。
3. からだの 水を まもる くふうは、ほかにも ある?
3. 息の穴は、ときどきだけ開ける
3. 呼吸孔の開け方と、粘液の役割をどこまで言えるか
ナメクジの からだの よこには、いきを する ための あなが あります。ずっと あけて いると、水が にげて しまいます。そこで、ときどきだけ あけて、水の にげるのを へらします[2]。
ナメクジが すすんだ あとには、ぬるぬるした ものが のこります。この ぬるぬるは、じめんに くっついて すすむ のを たすけて、からだが こすれて きずつく のを ふせぎます[2]。
ぬるぬるが 水を まもって いるのかは、しらべる 人に よって 考えが ちがいます。かくれる、夜に うごく、あなを ときどき あける。この 3つが、わかって いる くふうです。
ナメクジの体の側面には、呼吸のための穴(呼吸孔)があります。フロリダの資料によれば、この穴を開けっぱなしにせず、ときどきだけ開けることも、水分を逃がさない行動の1つです[2]。
ナメクジが通ったあとに残る粘液は、地面にくっついて進むのを助け、すれて傷つくのをある程度防ぎます[2]。ところが、粘液が体の水分を守る働きをどれだけ持つかは、資料によって見方が分かれています。そのため、ここでは粘液で乾燥を防ぐとは言い切りません。
隠れる、夜に動く、息の穴をときどきだけ開ける。この3つを重ねて、乾きやすい体を守っていると考えられます。ただし、穴の開け閉めだけで乾燥を防げるわけではありません[2]。
呼吸孔(pneumostome)は体の側面にある呼吸のための穴で、IFASの資料は、ナメクジ類がこれを連続して開けず、ときどきだけ開けることを、水分を保つ行動の1つに挙げている[2]。これは水分を守る複数の行動のうちの1つであり、これだけで乾燥を防ぐわけではない。
粘液は、基質に付着して移動するのを助け、すれによる傷をある程度防ぐ[2]。粘液には捕食者を遠ざける性質をもつものもあるとされる。ところが「粘液が体の水分蒸発を防ぐ」と言い切れるかは、資料によって見解が分かれる。そのため本記事では、粘液は移動と保護の働きまでを確かな点とし、水分の保持については「隠れる・夜に動く・呼吸孔」を中心に書く。
こうして体の外側では、物の下に隠れる、夜に動く、呼吸孔を絞るという3つの行動が重なる。では、成体だけでなく、卵はどこに産まれるのだろうか。
4. たまごは どこに うむの?
4. 卵も、湿った地中や石の下に産まれる
4. 卵は乾燥に強くない ── 産卵場所の条件
たまごは、かわくのが にがてです。ふ化する ときには、水を すう ことも ひつようです[2]。だから、かなり しめった ところに おいて おかなければ なりません。
山口県の しらべた ものには、チャコウラナメクジは、11月から 4月ごろに、土の 中や 石の 下に、数こから 20こを まとめて うむと あります[1]。
ひるに 石の 下に かくれて いたのは、おとなだけでは なかった のです。
卵は、乾燥にあまり強くありません。そのため、かなり湿った環境にとどまる必要があります。ふ化のために水を吸う必要もあります[2]。
山口県の資料によると、チャコウラナメクジは11月から4月にかけて、地中や石などの下に数個から20個ほどをまとめて産みます[1]。ノハラナメクジは春と秋の2回産卵するとされます[1]。
昼に石の下をめくって見つかるのは、大人だけではなく、卵もある場所かもしれません。隠れ場所は、体を守る場所であり、卵を育てる場所でもあるようです。
卵は乾燥への耐性が高くなく、かなり湿った環境にとどまる必要がある。ふ化に際して水を吸う必要もある[2]。成体の水分の問題が、そのまま次の世代の条件にもなっている。
山口県の資料では、チャコウラナメクジは11月から4月にかけて、地中や石などの下に数個から20個をまとめて産卵する[1]。この時期は、梅雨や夏のイメージとは重ならない。一方、ノハラナメクジの産卵は春と秋の2回である[1]。産卵の時期は種ごとに違うが、地中や石の下という場所は、湿り気を保ちやすい条件と読める。
ただし、産卵場所を調べた資料は限られており、ここに挙げたのは山口県の資料にある2種の例である。種が変われば別の場所に産む可能性は残る。そこで次に、種ごとの住み場所を見てみよう。
5. ナメクジは、みんな おなじ ところに すんで いるの?
5. ナメクジは、人の暮らしの近くや森の木の幹にすむ
5. 種によって住み場所は大きく違う ── 人里の2種と森の2種
ナメクジの なかまは、すむ ところも いろいろです。
チャコウラナメクジは、1950ねんごろに 日本に はいって きた、そとの くにの ナメクジです。山口県では いちばん ふつうに 見られます。からだの ながさは 50ミリほどです[1]。ノハラナメクジは 20ミリほどで、日本の いろいろな ところに います[1]。
ヤマナメクジは 森に すみます。うごいて いる ときは、木の みきを はう すがたが よく 見られます[5]。ヤマコウラナメクジも 山の 森に いますが、木には のぼらず、じめんで くらします[6]。
森の 夜の 木の みきで、ナメクジが あるいて いるのです。
ナメクジの住み場所は、種によって大きく違います[3]。人家の近くや農地、空き地にいる種がいる一方で、山野の森には大型の種がすんでいます。
チャコウラナメクジは1950年ごろに入ってきた外来種で、体長は50mmほどです。山口県では最も普通に見られるとされます(全国の話ではありません)[1]。ノハラナメクジは体長20mmほどの外来種で、日本各地に広く分布します[1]。
森にすむヤマナメクジは、活動中に樹木の幹を這う姿がよく観察されます[5]。ある調査では、兵庫県三田市の森に隣接した歩道を、午後8時から9時15分に歩いて個体を数えています[5]。ヤマコウラナメクジも山地の森林にすみますが、樹上には登らず、地上で暮らします[6]。体長は30〜40mmの個体が多いそうです。
ヤマナメクジとヤマコウラナメクジは別の種なので、混ぜて読まないようにします。
ナメクジの住み場所は、種によって広く異なる。人家周辺・農地・空き地に見られる種がある一方、山野の森にはヤマナメクジのような大型種がいる[3]。
人里の例では、チャコウラナメクジは1950年頃に侵入した外来種で、体長50mm程度、山口県では最も普通に見られる(同県の記述であり、全国にそのまま当てはまるとは言えない)[1]。ノハラナメクジは体長20mm程度の外来種で、日本各地に広く分布する[1]。
森の例では、ヤマナメクジは森林に生息し、活動時には樹幹を這う様子がよく観察される。日本生態学会の講演要旨によると、調査は兵庫県三田市の森に隣接した歩道を、午後8時から9時15分に歩いて個体数と大きさを記録する方法で行われた[5]。要旨は、このナメクジの生態の研究がほとんど行われていないことも指摘している。観察された時間帯は夜だが、これだけで夜行性と断定はできない。
一方、京都府のレッドデータブックによれば、ヤマコウラナメクジは主に山地の森林に、落葉広葉樹林にもスギの植林地にもいて、樹上には登らず地上にすむ。体長は30〜40mmの個体が多い[6]。名前が似ているが別の種であり、ヤマナメクジと混同しないよう注意が要る。
6. ナメクジは、ひとつの かぞくなの?
6. 「ナメクジ」は、殻をなくした体が何度も生まれたグループ
6. 殻の喪失は一度ではない ── 収斂進化という見方
ナメクジは、おなじ そせんから うまれた 1つの なかまでは ないようです。いくつもの カタツムリの なかまが、べつべつに からを なくして、ナメクジの すがたに なりました[4]。
ほとんどの ナメクジは、からの なごりを からだの 中に もって います[2]。
ひろい ところで、ちがう くらしを して いるのは、そういう ことと つながって いるかも しれません。でも、そこまでは まだ はっきり しません。
ナメクジは、ひとつの共通の祖先から生まれた1つのグループではありません。複数のカタツムリの系統が、それぞれ別々に殻をなくしたものです[4]。ほとんどの種は、殻のなごりを体の内側にもっています[2]。
似た姿が別々の系統で何度も生まれたのは、同じ乾きやすさという問題に、同じ方向で答えが出たからなのかもしれません。ただし、殻をなくした理由は、この記事で使った資料からは言えません。
「ナメクジ」という名前は、殻をなくしたカタツムリの総称であり、種ごとに暮らしが違うのも不思議ではありません。
ナメクジは単一の系統ではない。ナメクジ型の体は、いくつかのカタツムリの科で別々に進化したとされ[4]、収斂進化の例として読める。IFASの資料によれば、種によっては体内に殻をもち、外側に大きく縮んだ殻をもつものも少数いる[2]。
このことは、ここまでの話の読み方に関わる。昼に隠れ、夜に動くという傾向は、系統の近さによる共通点というより、殻をなくした体が同じ問題に直面した結果と見ることができる。ただし、これは資料の記述から推測した読み方であり、資料がこの因果を直接述べているわけではない。
また、殻をなくした理由についても、この記事の資料は答えを示していない。したがって、確かなことは「殻のないナメクジ型の体が複数の系統で別々に生まれ、種ごとに住み場所が違う」というところまでである。
7. ひるの にわで、石の 下を そっと のぞいて みよう
7. 昼の庭で、物の下をそっとのぞく
7. 昼の物の下を観察する/資料の読み方
やって みよう
ひるまに、にわや ベランダの 石、うえきばちの 下を、おうちの 人と そっと のぞいて みましょう。ナメクジが いたら、さわらずに 見るだけに します。見おわったら、もとの ところへ もどして おきます。
べつの 日に、おなじ ところを また 見て みると、いる ところが かわって いるかも しれません。夜に 見たい ときは、おうちの 人と いっしょに、あかるく あんぜんな ところで 見ましょう。さわって しまった ときは、手を よく あらいましょう。
しらべる ときは
図書かんの 本や、県の ホームページには、ナメクジの しょうかいが のって いることが あります。
家でできること
昼間に、庭やベランダの石、植木鉢の下を大人と一緒にそっとのぞいてみましょう。ナメクジがいたら、さわらずに観察します。見終わったら、元のとおりに戻します。
天気が違う日の昼間に同じ場所を見て、いる日といない日を書き比べると、湿り気との関係が見えてくるかもしれません。夜に見るときは、大人と一緒に、明るく安全な場所で行います。ナメクジにさわってしまったら、手をよく洗います。
調べるには
山口県の資料は農作物の被害を防ぐ目的で書かれたPDFですが、ナメクジの種の見分け方や産卵の時期が載っています。日本生態学会の大会の講演要旨はウェブで誰でも読めます。
家でできること
昼間に石や植木鉢の下を、大人と一緒にそっとのぞく。ナメクジがいたら、さわらずに観察し、終わったら元に戻す。雨の日と晴れの日で見え方が違うかを書き留めると、湿り気との関係を自分で確かめられる。夜に見る場合は、大人と一緒に明るく安全な場所で行う。さわってしまったら手を洗う。
資料を読むなら
山口県の資料(農林業の害虫防除)は、2種の産卵時期と活動の傾向が日本語で読める。日本生態学会第73回大会の講演要旨PH-079はヤマナメクジの調査方法を、京都府レッドデータブックはヤマコウラナメクジを紹介している。いずれも、どの種についての記述かを確かめて読むとよい。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
昼の隠れ場所と産卵は山口県の資料、水分を保つ行動は米国フロリダ大学IFASの資料、森の種は学会要旨と京都府の資料、ナメクジの定義の概要はWikipediaを補助として使い、殻の残り方はIFASの資料による。
- 山口県「農林業の資料(ナメクジ類)」 https://www.pref.yamaguchi.lg.jp/ (昼の隠れ場所・活動・産卵・2種の特徴)
- Capinera, J. L. Terrestrial Slugs of Florida(University of Florida IFAS) https://ask.ifas.ufl.edu/publication/IN891 (水分を保つ行動・呼吸孔・粘液・卵)
- ナメクジ(Wikipedia 日本語版) https://ja.wikipedia.org/ (ナメクジの定義・住み場所の概要)
- Slug(Wikipedia 英語版) https://en.wikipedia.org/wiki/Slug (乾燥と隠れ場所・殻の喪失)
- 日本生態学会第73回大会 講演要旨 PH-079(ヤマナメクジ) https://esj.ne.jp/meeting/abst/73/PH-079.html (ヤマナメクジの観察)
- 京都府レッドデータブック2015 ヤマコウラナメクジ https://www.pref.kyoto.jp/kankyo/rdb/bio/db/gshel0031.html (ヤマコウラナメクジの住み場所)
なおした ところ
更新履歴
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