1. 電子レンジを つかうと、Wi-Fiは どう なるの?
1. 電子レンジが、Wi-Fiの邪魔になる理由
1. 電子レンジの干渉は、通信のどこを壊すのか
電子レンジは、あたためる ために でんじはと いう ものを つかいます。その エネルギーが、すこし 外に もれる ことが あり、ちかくの 電波に じゃまを すると、大学の せつめいに 書かれて います。
2.4GHzの Wi-Fiは、とくに えいきょうを うけやすい ようです。テキサス大学の研究では、電子レンジの じゃまで、ルーターが 電波を 出せなく なる ことや、受け取る がわで データの まちがいが ふえる ことが あると 書かれて います。
じゃまを するのは、電子レンジ だけでは ありません。むかしの コードレス電話も、Wi-Fiと おなじ 電波の みちで うごいて、じゃまを する ことが あります。
Wi-Fiが おそく なる わけは、大きく 4つ あります。「ほかの 電波の じゃま」「みちの こみぐあい」「かべ」「つながる 人の かず」です。じゅんばんに 見て いきましょう。
電子レンジは、食べ物を温めるために電磁波を使います。その電磁波のエネルギーが外へ少しもれ、近くの無線信号に干渉する、とコロラド大学の案内は説明しています[1]。
干渉は、Wi-Fiの通信の中で、2つの形で現れると報告されています。テキサス大学の研究チームは、電子レンジの電波が、アクセスポイント(Wi-Fiの親機)の送信を止めてしまう場合と、受け取る側でビットエラー(データの0と1の読みまちがい)を大きく増やす場合がある、と述べています[2]。親機が話せなくなるか、聞きとれなくなるか、という違いです。
電子レンジだけが犯人ではありません。古いコードレス電話も、同じ周波数で動いていて、Wi-Fiの邪魔になることがある、と同じ案内に書かれています[1]。
これを「その1:ほかの電波の干渉」とすると、ほかにもあと3つあります。周波数帯の混雑、壁、機器どうしの分け合いです。次は、どうして混むのかから見ていきます。
電子レンジは電磁波を用いて加熱するが、そのエネルギーの一部が外へ漏れ、近傍の無線信号に干渉する[1]。テキサス大学オースティン校のグループは、IEEE 802.11b/g/nのWLANが電子レンジから大きな無線周波数干渉を受けることを前提に、干渉の確率モデルを論じた[2]。
同じ論文は、干渉の影響を2つに分けて説明している。1つは、電子レンジの放つ電波のため、アクセスポイントが送信を始められなくなること。もう1つは、受信側でビットエラーが急に増えることである[2]。送る側と受ける側のどちらにも害が及ぶので、遅くなるだけでなく、不安定にもなりうる。
電子レンジ以外にも発生源はある。古いコードレス電話は、キャンパスのWi-Fiと同じ周波数で動くことがあり、干渉を起こす[1]。なお、接続の不調には、ドライバーの古さやネットワーク設定、無線アダプターの設定など、干渉以外の原因もある[5]。
以下では、速度低下の原因を、干渉、周波数帯の混雑、壁、機器どうしの分け合いに整理する。では、そもそもなぜ、同じ周波数に家電や電話が集まるのか。
2. Wi-Fiの みちは、どうして こんで いるの?
2. 2.4GHz帯が混みあいやすく、5GHz・6GHz帯が高速通信に向く理由
2. 2.4GHz帯の混雑と、6GHz帯の広さ
Wi-Fiの 電波には、「2.4GHz」「5GHz」「6GHz」と いう 3しゅるいの みちが あります。
おなじ じょうけんなら、2.4GHzは とおくまで とどきやすく、5GHzと 6GHzは はやい つうしんに むいて います。ただし、本当の はやさは、きかいや きょり、かべ、こみぐあいでも かわります。
2.4GHzの みちは、はばが せまく、ふつうは 3本の 道しか つかえません。しかも、いちばん 長く つかわれて きた ので、ふるい きかいの 多くが いまも ここに います。だから、いつも ごちゃごちゃ して います。
たとえば、車が たくさん 走る 3車線の 道を 思いうかべて ください。ほかの 車に ぶつからない ように ゆっくり 走る ことに なります。ただし、本当の 電波は 車では なく、たがいに まざって じゃまを し合う ものです。
6GHzの みちは、みちの はばだけを くらべると、2.4GHzの 17ばいほど あります。ひろい 道は、すいて いる ことが 多いです。
Wi-Fiの電波には、2.4GHz、5GHz、6GHzという3つの帯があります。インテルの解説では、一般に、2.4GHz帯は遠くまで届きやすく、5GHz帯と6GHz帯は高速な通信に向く、と説明されています[3]。ただし実際の速さは、機器・距離・壁・混雑でも変わります。
では、なぜ2.4GHz帯は混むのでしょうか。理由の1つは、帯の幅です。2.4GHz帯の幅は70MHzで、機器は通常、20MHzのチャネルを3つしか使えません[3]。もう1つは歴史です。2.4GHz帯はいちばん長く使われてきたので、古い機器の多くが今もこの帯を使い、混みあっています[3]。
3車線の道に、新旧の車が一度に集まっているような状態です。ただし電波は、車のように前後に並ぶのではなく、重なると互いを聞き取りにくくします。
6GHz帯の幅は1200MHzです[3]。2.4GHz帯の70MHzと帯の幅だけを比べると、1200÷70で約17倍です(速度が17倍という意味ではありません)。帯が広いと、使えるチャネルを多く取れます。
では、速い5GHzや6GHzを選べば、いつでも解決するのでしょうか。次に、遠さと壁の話をします。
同じ条件なら、一般に2.4GHz帯は5GHz帯や6GHz帯より遠くまで届きやすく、5GHz帯と6GHz帯は高速通信に向く[3]。ただし実際の速さは、機器・距離・壁・混雑でも変わる。
2.4GHz帯が混む原因は、2つある。第一に、帯域の狭さである。2.4GHz帯のスペクトラムは幅70MHzで、20MHzのチャネルは通常3つに制限される[3]。第二に、歴史である。この帯が最も長く使われてきたため、レガシー機器の多くが今もこの帯を使い、ネットワーク上に多くの雑音のような通信を生む[3]。第1章の電子レンジやコードレス電話は、同じ帯に新たな干渉源を持ちこむ存在である[1]。
一方、6GHz帯は幅1200MHzで、2.4GHz帯の、周波数帯の幅だけで比べておよそ17倍(1200÷70)ある。速度や通信路の数の比ではない[3]。幅が広いほど、重ならないチャネルを多く取れる。
ただし速さは、端末側の規格にも縛られる。スタンフォード大学は、2009〜2012年のパソコンで802.11n(Wi-Fi 4)なら最大の目安は60〜150Mbps、2013年以降の802.11ac(Wi-Fi 5)なら130〜650Mbpsとしている。これは良い条件での最大の見込みで、実測値ではない[8]。また、2015年より前の古い端末は、新しい規格のルーターでも性能が出にくいことがある[8]。上限どうしを比べると、650÷150で約4.3倍だが、範囲の上端どうしなので、あくまで目安である。
では、速い帯が近くにあれば、壁の向こうでも速いままなのか。
3. かべの むこうでは、でんぱは どう なるの?
3. 壁を通る電波と、中継器の弱点
3. 建材による電波の減衰と、エクステンダーの限界
Wi-Fiの 電波は、かべを とおる とき、よわく なります。アメリカの 研究所は、レンガ、ブロック、コンクリート、ガラス、木の 板など、いろいろな たてものの ざいりょうで、電波が どう よわく なるかを しらべました。
だから、ルーターと スマホの あいだに、かべや 大きな ものが あると、おそく なりやすく なります。メーカーも、ルーターの アンテナと スマホの あいだに、かたい ものを なるべく おかない ように すすめて います。
「つなぎ足しの きかい(エクステンダー)を つければ、いいのでは?」と 思うかも しれません。でも、この きかいは、受け取る ことと おくる ことを、おなじ 電波で します。そのため、ルーターに じかに つなぐ より、いつも すこし おそく なると 書かれて います。
電波は、かべを 何ミリで どれだけ よわく するのか、ここでは 数字を しめせません。
電波は壁にぶつかると、そのまま通るのではなく、弱まります。アメリカの標準技術研究所(NIST)は、レンガ、ブロック、8種類のコンクリート、ガラス、合板、木材といった建築材料で、電波が弱まる様子を調べています[4]。
なので、ルーターと端末の間に壁や大きな物があると、速度が落ちやすくなります。インテルのサポートも、アクセスポイントのアンテナと遅い端末の間の固い物をできるだけ減らし、見通せる位置に置くよう勧めています[5]。
ここで、「中継器(エクステンダー)を付ければ、奥の部屋も速くなるのでは」と考えたくなります。ところが同じ資料は、エクステンダーは無線の容量に限りがあり、ルーターに直接つなぐより、少なくともわずかに遅くなる、と述べています[5]。中継器は受信と送信を同じ無線でこなすためです。
この資料には、どの材料で何dB弱まるかを表にした数字はありません。壁は電波を弱めるが、弱まる量は材料や厚さで変わる、というところまでが言えることです。
壁の影響は、材料で整理されている。NISTの報告は、レンガ、組積ブロック、8種類のコンクリート、ガラス、合板、木材などで、電磁波信号の減衰を測っている[4]。したがって、2.4GHz帯が遠くまで届く(第2章)としても、途中に建材が重なれば、その分弱まる。
実用上の助言として、インテルは、アクセスポイントのアンテナと低速の端末の間の固体を最小にし、見通しを確保するよう勧める[5]。
では、壁の向こうに届かせたいとき、エクステンダーを置けば解決するか。同じ資料は、エクステンダーの無線容量には限りがあり、ルーターに直接つなぐより、少なくとも少し遅くなると述べる[5]。1つの無線で受信と送信を同時にこなす必要があるからである。つまり中継器は、「届くが、遅くなる」交換をしている。
ただし、今回の資料には、材料ごとの減衰量(dB)の表は含まれない。そのため、「コンクリートなら何割弱まる」と数字で言うのは避ける。次に、電波が十分届いている部屋でも遅くなる、もう1つの原因を見る。
5. おそいのは、本当に Wi-Fiの せいなの?
5. 有線でも測って、Wi-Fiのせいかを見分ける
5. 有線との比較による、原因の切り分け
おそい とき、Wi-Fiの せいか、インターネットの もと(回線)の せいかを、わけて かんがえます。
やり方は かんたんです。おなじ スマホで、Wi-Fiでも、ケーブルを つないでも、速さを はかって くらべます。ケーブルでは はやいのに、Wi-Fiだけ おそいなら、もんだいは Wi-Fi のがわに あると 考えられます。
反対に、ケーブルでも おそければ、Wi-Fi の ほかの ところを 見る ひつようが あります。
遅いとき、まず家の中のWi-Fiが原因かを確かめます。オクラホマ州立大学の案内は、同じ端末で、有線接続でも測り直すよう勧めています[6]。
ワイオミング大学は、有線では速いのに無線だけ遅いなら、問題はネットワーク全体ではなくWi-Fiだけにある、と考えられる、としています[7]。反対に有線でも遅ければ、Wi-Fiの置き場所や設定を変えても、あまり変わらない可能性があります。
切り分けができれば、次に打つ手は絞れます。Wi-Fi側なら、電子レンジから離す、見通しのよい場所に置く、5GHzや6GHzにつなぐ、といったことを、1つずつ試せます。
有線との比較で、原因を見分けられる。オクラホマ州立大学は、同一端末で有線接続でも測り直すことを勧めている[6]。ワイオミング大学は、有線では正常で無線だけ遅いなら、問題はネットワーク全体でなくWi-Fiだけに関係する、と整理する[7]。
この比較の意味は、条件を1つだけ変える点にある。同じ端末・同じ測定先で比べ、有線で速く無線で遅ければ、無線区間(干渉・混雑・減衰・分け合い)が原因の可能性が高い。逆に有線でも遅いなら、原因は無線の外側にあり、Wi-Fiの対策では改善しにくい。
なお、ここまでの4つはいずれも「Wi-Fiが遅くなりうる理由」であって、自分の家でどれが効いているかは、測ってみなければ分からない。では、家でそれを確かめる道すじはあるか。
6. おうちで、おそい ばしょを さがして みよう
6. わが家で、遅い場所と原因を探す
6. 家のWi-Fiを測り、資料を読む
きょう できる こと
おうちの 人と いっしょに、スマホを 持って 家の 中を 歩いて みましょう。動画が とまりやすい 場所は ありますか。かべの むこうや、台所の 電子レンジの そばは どうでしょう。
スマホの せっていには、Wi-Fiが 2.4GHzと 5GHzの どちらに つながって いるか 出る ことが あります。おうちの 人と 見て みましょう。
電子レンジを 使う ときは、あつい ものに 気を つけて、おとなの 人と いっしょに しましょう。
家の中を歩いてみる
家族の同意を得て、スマホを持ち、場所を変えながら同じ動画を見たり、速度を測れるサービスを使ったりして、遅くなる場所を探します。壁の向こう、ルーターから遠い部屋、台所などを比べてください。
どの帯につながっているか見る
スマホやパソコンの設定には、つながっているWi-Fiの周波数帯(2.4GHzか5GHzか)が出る機種があります。ルーターの説明書にも、使える帯が書かれていることがあります。
1つだけ条件を変えて比べる
同じスマホで、ルーターの近くと壁の向こうの部屋など、場所を1つだけ変えて速さを測り、比べてみましょう。比べるたびに、変える条件は1つだけにします。
自宅で比較する
同じ端末で、ルーターの近くと壁の向こうの部屋、2.4GHz帯と5GHz帯、無線と有線を、1つずつ変えて測り比べる。比べるたびに、変える条件は1つだけにする。そうすれば、第5章の切り分けを、自分の家に当てはめられる。電子レンジの使用中に測る場合は、加熱物の取り扱いに注意し、大人と一緒に行う。
Wi-Fiの資料を読むなら
干渉源の一覧は[1]、電子レンジ干渉の確率モデルは[2]、周波数帯の比較は[3]、建材の減衰は[4]、接続不調の基本確認は[5]、切り分けの手順は[6]と[7]、規格ごとの目安速度は[8]にある。多くは英語の資料で、数式の部分は飛ばしても、図と結論は読み取れる。壁の減衰は材料ごとに測られているので、自宅の壁がどの程度かは、測って確かめるのが近道である。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文で使った資料です。
- University of Colorado Boulder OIT. Wi-Fi Interference Sources. https://oit.colorado.edu/services/network-internet-services/wi-fi/help/interference-sources (電子レンジ・コードレス電話の干渉/個人用アクセスポイント)
- Stochastic Modeling of Microwave Oven Interference in WLANs (UT Austin, 2011). https://users.ece.utexas.edu/~bevans/papers/2011/microwave/ (電子レンジ干渉の2つの影響)
- Intel. 2.4 GHz vs. 5 GHz vs. 6 GHz: What's the Difference? https://www.intel.com/content/www/us/en/products/docs/wireless/2-4-vs-5ghz.html (周波数帯の幅と混雑)
- NIST. Electromagnetic Signal Attenuation in Construction Materials. https://www.nist.gov/publications/electromagnetic-signal-attenuation-construction-materials (建材ごとの電波の減衰を測った報告)
- Intel. Quick Checks to Improve or Fix Wi-Fi Connection Issues. https://www.intel.com/content/www/us/en/support/articles/000005493/wireless.html (見通し・エクステンダー・不調の原因)
- Oklahoma State University. Slow Internet or Network Performance. https://services.okstate.edu/TDClient/856/Portal/KB/Article/20802/Slow-Internet-or-Network-Performance-Diagnosing-and-Improving-Slow-Connections (有線との比較/帯域の共有/再起動)
- University of Wyoming. "My Network Connection is Slow". https://uwyo.teamdynamix.com/TDClient/1940/Portal/KB/PrintArticle?ID=143600 (Wi-Fi側かの切り分け/更新サービス)
- Stanford UIT. Get the Most From Your High-Speed Internet Service. https://uit.stanford.edu/service/residential/high-speed-overview (規格ごとの最大速度の目安/古い端末)
なおした ところ
更新履歴
更新履歴(改版の記録)
- 初版を公開。
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