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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

せが ぐんと のびるのは いつごろで、一年で どれくらい のびるの?

思春期の身長は、いつごろ、どれくらい急に伸びるのでしょうか

思春期の身長は、いつ、どれほど急に伸びるのか:平均の曲線と、一人ひとりの伸び方のちがい

分野:からだ

福井県ふくいけんの 平均へいきんを 見ると、11さいの ときは 女の子の ほうが 高いのに、12さいに なると 男の子が おいこします。でも 一人ひとりを 見ると、いちばん のびる 年には、一年で 10センチ いじょう のびる 子も います。

どうして こんな ことが 起こるのでしょう。この ページを 読むと、せが のびる ころと はやさ、のびを 動かす ものが わかります。

福井県の2020年度(令和2年度)の平均では、11歳は女子のほうが男子より1.4cm高く、12歳になると男子が2.6cm高くなります[1]。ところが一人ひとりを見ると、いちばん伸びる年には、1年で10cm以上伸びる男子もいると説明されています[2]。

平均の表より、一人ひとりの伸びのほうが急なのはなぜでしょうか。この記事を読むと、思春期の身長が伸びる時期と速さ、伸びを動かすもの、止まるまでのおおまかな道すじが分かります。

福井県の2020年度(令和2年度)の学校保健統計では、11歳の平均身長は男子146.7cm、女子148.1cmで女子が高いが、12歳では男子155.3cm、女子152.7cmと入れかわる[1]。一方、成長が最も速い年の伸びは、男子で10cm以上と見込まれ、女子でも9cmに達することがあると説明されている[2]。

平均の表に出てくる伸びより、個人の最大の伸びのほうが大きいのはなぜか。この記事を読むと、思春期の成長スパートの時期と速さ、それを動かすホルモンと睡眠、止まるまでの道すじ、そして平均の傾向を一人ひとりに当てはめてはいけない理由が分かる。

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1. 11さいでは 女の子が 高くて、12さいでは 男の子が 高いの?

1. 11歳では女子が高く、12歳で男子が追いこすのはなぜか

1. 平均身長が11歳と12歳のあいだで男女入れかわる理由:思春期の始まりのずれ

六年生の ころは 女の子の ほうが 大きかったのに、中学生に なると 男の子が おいこしていた。そんな ことを 見た 人も いるでしょう。

福井県ふくいけんの 2020年度の 平均へいきんは、11さいで 男の子が 146.7センチ、女の子が 148.1センチです。女の子が 1.4センチ 高いのです。12さいでは、男の子が 155.3センチ、女の子が 152.7センチで、男の子が 2.6センチ 高くなります[1]。

この わけの 一つは、大人の 体に かわりはじめる ころが、女の子の ほうが 早いからです。この ころを 思春期ししゅんきと いいます。思春期の 体の かわりは、女の子は 10さいごろ、男の子は 12さいごろから 出てくると 言われて います[3]。

ただし これは 福井県ふくいけんの 一年ぶんの 平均へいきんで、日本じゅうの 数字では ありません。思春期が はじまる ころや、せが のびる じきは、人によって ずいぶん ちがいます。早い 人も おそい 人も、ふつうの ことです。

小学校の高学年では女子のほうが大きかったのに、中学生になると男子が追いこしていた。そんな場面を見た人は多いかもしれません。福井県の2020年度の平均を見ると、実際に11歳と12歳のあいだで順番が入れかわっています。11歳は男子146.7cm、女子148.1cmで女子が1.4cm高く、12歳は男子155.3cm、女子152.7cmで男子が2.6cm高くなります[1]。

理由の一つは、思春期の始まる時期が男女でずれることです。日本小児内分泌学会の解説では、通常、思春期の変化は女子が10歳ごろ、男子が12歳ごろから出てくるとされます。始まると性ホルモンが増え、身長が著しく伸びます[3]。

身長が急に伸びる時期(成長スパート)も、MSDマニュアルでは、女子は9歳半〜13歳半ごろ、男子は12〜16歳ごろの幅で示され、ピークは女子が典型的に11〜12歳半、男子が13〜14歳です[2]。女子のほうが先に伸びるため、一時期だけ女子が上回る形になります。

ここで注意が必要です。この数字は、福井県の1年度分の平均で、全国の値ではありません。年齢の幅も資料ごとに取り方が少しちがうため、目安として読んでください。それより大きな問題は、平均の数字が、一人ひとりの伸びをそのまま表さないことです。

小学校高学年では女子のほうが高く、中学に入ると男子が追いこす。この入れかわりは、福井県の2020年度の学校保健統計にも現れている。11歳の平均身長は男子146.7cm、女子148.1cmで女子が1.4cm高いが、12歳では男子155.3cm、女子152.7cmとなり、男子が2.6cm高くなる[1]。

背景にあるのは、思春期の始まりが男女でずれることである。日本小児内分泌学会の解説では、通常、思春期の変化は女子が10歳ごろ、男子が12歳ごろから出始め、性ホルモンが上がると著しい身長の伸びが見られる[3]。MSDマニュアルは、成長スパートが起こる年齢を女子で9歳半〜13歳半ごろ、男子で12〜16歳ごろとし、ピークは女子で典型的に11〜12歳半、男子で13〜14歳とする[2]。女子の伸びが先に来るため、その時期には平均で女子が上回ると考えられる。

ただし、ここで挙げた数字には、読むときの条件がある。福井県の値は1年度・1県の平均で、全国値ではない。同じ学年でも誕生日の差があり、年齢の取り方は資料によってちがう。「思春期の変化が出る年齢」と「身長が急に伸びる年齢」も別の指標なので、数字を一つの表に並べず、幅のある目安として読む必要がある。

では、この平均の表は、一人ひとりの伸び方をそのまま映しているのだろうか。

2. 一人ひとりの せは、へいきんより 急に のびるの?

2. 平均の表より、一人ひとりの伸びのほうが急なのはなぜか

2. 平均の差と個人の最大の伸び:なぜ「平均はなだらか」に見えるのか

先に 答えを 言うと、へいきんの ちがいは、同じ 人が 一年で のびた 長さでは ありません。ちがう 人たちを くらべた 数字だからです。

さっきの 数字で、男の子の 11さいから 12さいまでの ちがいを 計算すると、155.3 ひく 146.7 で、8.6センチです。女の子は 152.7 ひく 148.1 で、4.6センチです[1]。

ところが、いちばん のびる 年には、男の子で 10センチ いじょう、女の子でも 9センチに なる ことが あると 書かれています[2]。へいきんの ちがいより、大きいのです。

どうして でしょう。目ざまし時計を 思いうかべて ください。クラスの みんなが、ばらばらの 時こくに 目ざましを 鳴らすと、ならした 時計は 一つずつなのに、教室ぜんたいでは 長く 鳴りつづけます。それと にて、のびる 時期が 人ごとに ずれると、へいきんは ゆるやかに 見えると 考えられます。

ただし 本当は、時計と ちがって、体の のびは 人によって 速さも ちがいます。

先に答えを言うと、平均の差は、11歳の子たちと12歳の子たちという、別々の集団を比べた数字で、同じ一人が1年で伸びた量ではありません。

先ほどの福井県の平均で、男子の11歳から12歳の差を計算すると、155.3 − 146.7 = 8.6cm。女子は152.7 − 148.1 = 4.6cmです。男子の12歳から13歳は161.7 − 155.3 = 6.4cmにとどまります[1]。

一方、MSDマニュアルには、成長速度が最高になる年には、男子で10cm以上、女子で9cmに達することもあると書かれています[2]。平均の差の8.6cmより、一人ひとりの最高の年の伸びは大きいわけです。

これは矛盾ではありません。平均の差は、11歳の子たちの平均と12歳の子たちの平均を比べた数字で、同じ一人が1年で伸びた量ではありません。それに、いちばん伸びる年は人によってずれます。たとえば、ばらばらの時刻に目覚まし時計を鳴らすと、1つ1つは短い音でも、部屋全体では長く鳴り続けるように聞こえます。伸びる年のずれが重なって、平均の曲線がなだらかに見えるのだと考えられます。ただし体の伸びは、時計のように鳴るか鳴らないかではなく、人ごとに速さも長さもちがいます。

平均の曲線を見て「自分は遅い」「早い」と心配するのは、少し先走りかもしれません。では、その急な伸びは、何が合図になって始まるのでしょうか。

結論を先に言えば、集団の平均の差は、同じ一人の1年間の伸びではない。

福井県の平均から計算できる伸びは、男子の11→12歳が8.6cm、12→13歳が6.4cm、女子の11→12歳が4.6cmである[1]。これに対して、MSDマニュアルは、成長速度が最高になる年には男子で10cm以上、女子で9cmに達することもあると述べる[2]。平均の差の最大8.6cmより、個人の最大の伸びのほうが大きい。

この食いちがいは、二つの理由で説明できる。第一に、平均の差は「11歳の集団の平均」と「12歳の集団の平均」の差であり、同じ一人の1年間の伸びではない。第二に、最も伸びる年は人によってずれる。ある子が12歳に急伸し、別の子は13歳に急伸すれば、集団の平均は、どの年も中くらいの伸びになる。目覚まし時計をばらばらの時刻に鳴らすと、一つ一つは短いのに全体では長く鳴り続けるのと同じ重なり方である。ただしこれは例えであり、実際の伸び方は、一人ごとに速さも期間もちがう。

この資料のみで個人のずれの幅は示せないが、少なくとも、平均の曲線は「全員が同時に同じペースで伸びる」ことを意味しない。平均の傾向を、一人ひとりの予想に使えるかどうかは、後の章で、脚と座高の研究を例に確かめる。

そもそも、この急な伸びは何をきっかけに始まるのか。

3. のびを 動かす ものは なに? ねむる ことと かんけいは?

3. 急な伸びを動かすものは何か:性ホルモンと睡眠

3. 成長スパートを動かすもの:性ホルモン、成長ホルモン、深い睡眠

思春期が はじまると、体の中で 「せいホルモン」と いう ものが ふえます。すると 体が 大人に ちかづき、せも ぐんと のびます[3]。

のびを 助ける ものは、ほかにも あります。「せいちょうホルモン」です。やまなし県立大学の ろんぶんには、思春期の のびは、せいホルモンの 一つが せいちょうホルモンの 出かたを 強めるため だと 考えられて いる、と あります[5]。

この せいちょうホルモンは、ねむって すぐ あらわれる 深い 睡眠すいみんの ときに、血の 中で 大きく ふえると 書かれて います[6]。ただし、ぐっすり ねれば せが 高くなる、と いう ことでは ありません。ねている あいだに ホルモンが 出る、と いう 話です。

日本小児内分泌学会によると、思春期が始まると性ホルモンが増え、男子は男性らしく、女子は女性らしく体が変わり、身長も著しく伸びます[3]。

千葉大学の資料は、思春期の身長の伸びには主に性ホルモンが関わり、成長ホルモンも一部関係すると説明します[9]。山梨県立大学の論文には、思春期の身長スパートは、主にエストラジオールというホルモンが成長ホルモンの分泌を促すためと考えられている、とあります[5]。男女どちらにも当てはまると考えられていますが、男子の場合の細かい仕組みまでは、ここで使った資料からは分かりません。

成長ホルモンは、いつ出るのでしょうか。駒田陽子さんの2025年の論文は、入眠後に最初に現れる深い睡眠(徐波睡眠)のあいだに、血中の成長ホルモンの濃度が顕著に上がると述べています。眠らずに過ごすと、睡眠前半のこのピークが消えるとも書かれています[6]。成長期の子にとって、睡眠は、体を休めるだけでなく、成長ホルモンが出る時間でもあるようです。ただし、よく眠れば身長が高くなる、という意味ではありません。

ところで、体全体が一度に同じ速さで伸びるわけではありません。たとえば、脚と背中では、伸びのピークがずれていたのでしょうか。

日本小児内分泌学会の解説によると、思春期が始まると性ホルモンが上昇し、身長の著しい伸びが見られる[3]。

ホルモンの働きについては、千葉大学小児科の資料が、思春期の伸びには主に性ホルモンが関わり、成長ホルモンも一部関係するとしている[9]。山梨県立大学の論文は、思春期の身長スパートは、主にエストラジオールが成長ホルモンの分泌を促進するためと考えられている、とする[5]。「考えられている」とあるように、仮説を含む説明であり、男子でエストラジオールがどう働くかまでは、この資料の範囲には含まれない。

成長ホルモンの血中濃度は、一日じゅう一定ではない。駒田陽子の2025年の論文によると、入眠後に最初に現れる深い睡眠、すなわち徐波睡眠期に一致して顕著に上昇し、断眠すると睡眠前半の分泌ピークが消える[6]。つまり、睡眠は成長ホルモンの出るタイミングと結びついている。ただし、睡眠中にホルモンが増えることと、よく眠れば身長が高くなることは同じではない。自治体の資料に見られる「夜の特定の時間帯が重要」という言い方は、根拠が弱いため、ここでは扱わない。

ホルモンが体に指令を出すとして、全身が一斉に同じ速さで伸びるわけではない。身長は脚と胴の合計であり、その伸びのピークにずれがあるかどうかは、研究で調べられている。

4. あしと 上半身は、どちらが 先に のびるの?

4. 脚が先、座高があと:平均の傾向は、一人ひとりに当てはまるのか

4. 脚と座高の伸びのピークのずれ:集団の平均と個人予測の限界

せの 高さは、あしの 長さと、上半身の 長さ(すわった ときの 高さ)を たしたものです。この ふたつの のびる ころを 調べた けんきゅうが あります。

せぼねが 曲がる 病気の 子どもたちを おいかけた 研究では、のびる はやさが いちばん 大きい 年の へいきんは、女の子で、あしが 11.3さい、上半身(すわった 高さ)が 12.1さいでした。男の子は、あしが 14.0さい、上半身が 14.3さいです[7]。

ちがいを 計算すると、女の子は 0.8さい(やく10か月)、男の子は 0.3さい(やく4か月)。へいきんで 見ると、あしが 先で、上半身が あとです。

けれども、この 研究を した 人たちは、この じゅんばんを 一人ひとりの 子に 当てはめては いけないと 書いて います。子どもによって ちがいが 大きいからです[7]。「へいきんは こう」と、「あなたは こう」は、ちがう 話なのです。

身長は、脚の長さと、上半身の長さにあたる座ったときの高さ(座高)を合わせたものです。この二つの伸びのピークは、同じ時期なのでしょうか。

ブッシャーらの2011年の研究は、背骨が曲がる側弯症の思春期の子どもたちを追って、脚の成長速度が最大になる年齢と、座高の成長速度が最大になる年齢を比べました。平均では、女子は脚が11.3歳、座高が12.1歳。男子は脚が14.0歳、座高が14.3歳です[7]。差は、女子が0.8歳(約10か月)、男子が0.3歳(約4か月)で、どちらも脚のピークが先でした。

しかし研究者たちは、この順序は集団の平均を反映したもので、子どもの間の差が大きいため、一人ひとりの予測には使えない、と結論づけています[7]。対象が側弯症の子どもなので、すべての子にそのまま当てはまるとも言えません。男子の差は4か月ほどと、小さいことにも注意が必要です。

では、こうした平均の傾向を知ることに、どんな意味があるのでしょうか。そして、伸びはどうやって終わるのでしょうか。

身長は、脚と座高(体幹)の長さの合計である。Busscher らの2011年の研究(Eur Spine J)は、側弯症の思春期の子どもたちを追跡し、座骨より下の脚長(subischial leg length)と座高について、成長速度が最大になる年齢を調べた。平均は、女子が脚11.34歳・座高12.12歳、男子が脚14.00歳・座高14.33歳で、どちらの性でも脚が先に最大になった[7]。時間差にすると、女子が約0.8歳(約10か月)、男子が約0.3歳(約4か月)である。

この結果には、条件が三つある。第一に、対象は側弯症の思春期児であり、全員に当てはまるとは限らない。第二に、男子の差は4か月ほどと小さい。第三に、著者自身が、この順序は集団平均を反映したもので、子どもの間のばらつきが大きいため、個人の予測には使えないと結論している[7]。平均で見える傾向と、一人の子に起こることは別である。

伸びの早さと、大人の身長との関係を調べた研究もある。若い男性を対象にしたLorentzonらの研究の要旨では、成長速度のピークが早かったグループは、大人の身長がやや低く、その差は脚の長さの差で説明でき、座高には差がなかったとされる[8]。ただし、これは一つの研究であり、「早く伸びる人は低くなる」と一般化することはできない。伸びる時期の早い遅いは、優劣を表すものではない。

伸びのピークがあれば、いつか伸びは終わる。その終わりはどのように決まるのか。

5. せの のびは、どうして とまるの?

5. 身長の伸びが止まるのは、骨の中で何が起こるからか

5. 成長板が閉じるしくみと、伸びが止まるまでの年数

うでや あしの 長い 骨ほねの はしには、やわらかい 軟骨なんこつの 部分が あります。「成長板せいちょうばん」と いいます。子どもの あいだは、ここで 骨ほねが のびて、せが 高くなります。20さいまでに、すべての 成長板せいちょうばんが 骨ほねに かわります[4]。

思春期が はじまって しばらく すると、成長板せいちょうばんが とじて、せの のびが とまると、千葉大学の しりょうは 書いて います[9]。やまなし県立大学の ろんぶんは、成長板せいちょうばんが とじるのも、のびを おこした ホルモンの はたらきだと 考えられて いる、と しています[5]。

ここまでで、せが のびる じきや はやさは、人によって 大きく ちがう ことが わかりました。のびが 早くても おそくても、ふつうの はんいに 入ります。ほかの 人と くらべるより、自分の かわりかたを 知る ほうが、たのしいはずです。

身長が伸びるのは、腕や脚の長い骨の端にある成長板という軟骨の部分で、骨が伸びているからです。成長板は、子どもが十分な身長に達するまで骨を伸ばし、20歳までにはすべての成長板が骨になります[4]。成長板の層の構造など、この仕組みの詳しい説明は、別の記事で扱いました。

伸びが止まるしくみについて、千葉大学の資料は、思春期が始まってしばらくすると骨が成熟し、骨端線(成長板)が閉じて、身長の伸びが止まると説明しています[9]。先に見た山梨県立大学の論文は、成長板が閉じるのも、スパートを引き起こしたホルモンの作用と考えられているとしています[5]。「考えられている」とあるので、ここでは仮説も含む説明と受けとってください。

この章をまとめると、伸びの始まりも終わりも、性ホルモンの働きと結びついています。伸びる時期は、女子9歳半ごろから男子16歳ごろまで広く、同じ平均の曲線の下に、さまざまな伸び方が重なっています。

早いか遅いかは、優劣ではありません。では、自分の伸び方は、どうすれば知ることができるのでしょうか。

身長の伸びを担うのは、長管骨の端にある成長板で、軟骨の領域である。MSDマニュアル家庭版によると、成長板は子どもが十分な身長に達するまで骨を伸ばし、20歳までにはすべての成長板が骨になる[4]。成長板の層構造は別の記事で扱ったので、ここでは立ち入らない。

千葉大学の資料によれば、思春期の開始からしばらくすると骨が成熟して骨端線が閉鎖し、身長の伸びが止まる[9]。ホルモンの関与については、山梨県立大学の論文が、骨端線の閉鎖による身長発育の停止もエストラジオールの作用と考えられていると述べる[5]。ここでも「考えられている」とあるとおり、因果を完全に証明した話ではない。

こうして見ると、思春期の伸びには性ホルモンや成長ホルモンが関わり、成長板が閉じると伸びが止まる、という大まかな流れで理解できる。開始年齢は個人差が大きいので、集団平均の曲線は、この流れが人ごとにずれて重なった結果の姿である。

では、自分の流れは、どうすれば確かめられるのか。

6. 自分の せの のびを しらべよう

6. 自分の記録から、いちばん伸びた年を探す

6. 自分の記録で平均との差を計算し、原典にあたる

きょう できる こと

学校の 健康診断けんこうしんだんの 記録きろくや、ほけんの ノートで、自分の 身長しんちょうの 数字を 年ごとに 見てみましょう。おうちの 人に 手つだって もらいます。

ある 年の 数字から、前の 年の 数字を ひくと、一年で どれだけ のびたかが わかります。いちばん 大きかった 年は いつでしょう。友だちとは くらべません。自分の ノートだけで いいのです。

しらべる とき

学校の 図書室や 図書館には、体の ことを 書いた 本が あります。「成長せいちょう」や「思春期ししゅんき」の ページを 見ると、今日の 話の つづきが 読めます。

自分の記録で調べる

学校の健康診断の記録や、母子健康手帳などに、年ごとの身長の数字が残っていれば、家の人に手伝ってもらいながら、年ごとの差を引き算してみましょう。いちばん伸びた年はいつでしょうか。そして、その年は、この記事で見た「平均より急」の中に入っているでしょうか。友だちとは比べず、自分の記録だけを使います。

資料を読むなら

日本小児内分泌学会の解説[3]と、MSDマニュアルの家庭版[4]は、日本語で読めます。睡眠と成長ホルモンの関係は、駒田陽子さんの論文[6]が詳しく書いています。二つを読み比べると、つながりが見えてきます。記録を使うときは、自分が見てもよい記録だけを使いましょう。

自分の記録で確かめる

学校の健康診断の記録や母子健康手帳から、年ごとの身長を取り出し、前年との差を計算する。最も差の大きい年が、自分の「いちばん伸びた年」の候補になる。差の値を、福井県の平均の差(男子11→12歳で8.6cm、女子で4.6cm)や、MSDマニュアルの最大の伸び(男子10cm以上・女子9cm)と見比べてもよい[1][2]。ただし、記録の測定時期や、測る人・器具がちがえば、数字に誤差が入る。友人との比較には使わないほうがよい。

資料を読むなら

学会の解説[3]や、睡眠と成長ホルモンの論文[6]は日本語で読める。脚と座高の数字は Busscher らの論文[7]に、早く伸びるグループの大人の身長は Lorentzon らの論文の要旨[8]にある(ともに英語)。資料ごとに年齢の取り方がちがうので、数字は、本文の条件とあわせて読み比べると、見え方が変わる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文で使った資料です。検索で抜粋を確かめた資料は、数値を目安として扱いました。

  1. 福井県 令和2年度学校保健統計. https://www2.pref.fukui.lg.jp/press/atfiles/pa221626754762c0.pdf (11〜13歳の平均身長)
  2. MSDマニュアル プロフェッショナル版「青年の身体的成長および性的成熟」. https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/19-小児科/成長および発達/青年の身体的成長および性的成熟 (成長スパートの時期と最大の伸び)
  3. 日本小児内分泌学会「思春期早発症」. https://jspe.umin.jp/public/sishunnki.html (思春期の始まる年齢)
  4. MSDマニュアル家庭版「成長板の骨折」. https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/25-外傷と中毒/骨折/成長板の骨折 (成長板)
  5. 山梨県立大学 看護学雑誌(リポジトリ KJ00004517905). https://yamanashi.repo.nii.ac.jp/record/3702/files/KJ00004517905.pdf (エストラジオールと成長ホルモン)
  6. 駒田陽子「寝る子は育つ…」『精神医学』67巻5号 (2025). https://imis.igaku-shoin.co.jp/contents/journal/04881281/67/5/048812810670050568 (成長ホルモンと深い睡眠)
  7. Busscher, I. et al. Eur Spine J (2011). https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3082670 (脚と座高のピーク年齢)
  8. Lorentzon, M. et al. PubMed 20961561. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20961561 (早く伸びたグループの大人の身長)
  9. 千葉大学小児科「思春期の成長」. https://cpms.chiba-u.jp/kodomo/medical/medical17.pdf (性ホルモンと、伸びが止まるまでの年数)

なおした ところ

更新履歴

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