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100円玉で、おみせに なんまいまで はらえるの?

100円玉で何枚まで払えるのか ── 法律の「20倍」と、銀だった百円玉の話

100円硬貨の法貨通用力と素材の変遷 ── 額面の20倍という上限、4.80gの規格、銀貨から白銅貨へ

分野:歴史・文化

100円玉 20まいと、1円玉 100まいは、ほとんど おなじ おもさです。でも、2000円と 100円で、ねだんは 20ばいも ちがいます。ほうりつでは、100円玉は 20まいまで「つかえる」と きめられています。

じゃあ、21まい めからは どうなるの? むかしの 100円玉は、ぎんで できていたって ほんとう? そのひみつが わかります。

100円玉20枚(96グラム)と、1円玉100枚(100グラム)は、ほぼ同じ重さです。それなのに、金額は2000円と100円。法律には、お金として支払いに使える範囲を「額面の20倍まで」と決めた条文があり、100円玉ならちょうど20枚です。

では、21枚目からはどうなるのでしょうか。最初の百円玉は銀でできていた、という話も出てきます。重さや素材の話から、その決まりの意味が分かります。

百円硬貨は、額面の20倍、つまり2000円分までが法貨として通用すると法律で定められている[2]。これは20枚を超えたら違法という意味ではない。では、この「20倍」は何を決めた数字なのか。

あわせて、1円玉100枚との重さの比較、昭和32年(1957年)の銀貨から昭和42年(1967年)の白銅貨への素材変更を、財務省の資料と法令から読むと、百円玉の使われ方の決まりと歴史が分かる。

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1. 100円玉は、なんまいまで はらえるの?

1. 100円玉は、何枚までなら支払いに使えるのか

1. 「額面の20倍」── 百円硬貨で2000円分という上限

100円玉で、1000円の ものを かうとします。100円玉 10まいで、ちょうど 1000円です。

では、100円玉を 30まい もって いって、3000円の ものを かおうと したら? ほうりつでは、100円玉は 20まいまで 「おかねとして つかえる」と きめて います[2]。20まいは、2000円ぶんです。

この きまりは、1円玉にも あります。1円玉なら 20まいまで、20円ぶんです。100円玉なら 20まいまで、2000円ぶんです。

20まいを こえても、はらっては いけない わけでは ありません。20まいを こえた ぶんは、おみせの 人が うけとらないと いっても よいのです。

ただし、20まいを こえたら いけない、という きまりでは ありません。おみせの 人が 「それいじょうは ことわります」と いえる、はんいの はなしです[2]。

たとえば、お祭りの出店で、貯めておいた100円玉30枚を出して3000円の品物を買おうとしたとします。法律が受け取りを保証する範囲は、100円玉なら20枚までです。30枚はその範囲を超えています。

通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律の第7条は、貨幣は額面価格の20倍までを限り、法貨として通用すると定めています[2]。100円玉なら20枚、2000円分までです。1円玉なら20枚で20円分、500円玉なら20枚で1万円分になります。

ここで気をつけたいのは、20枚を超えて使うこと自体が違法になるわけではない、という点です。この条文は、20倍を超える枚数を、受け取る側が断ってもよい範囲を示しています[2]。お店とお客さんが話し合って受け取るなら、それも自由です。

通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律(昭和62年法律第42号)第7条は、「貨幣は、額面価格の二十倍までを限り、法貨として通用する」と定める[2]。百円硬貨なら20枚、2000円分である。1円硬貨なら20円分、500円硬貨なら1万円分が、それぞれの上限になる。

この条文は、受け取る側に受け取りを義務づけるものではなく、また20枚を超えた支払いを禁じるものでもない。20倍を超える分については、法貨としての通用力を法律が保証しない、という範囲を示した規定だ[2]。当事者どうしが合意すれば、それ以上の枚数でも授受できる。

ではなぜ、20倍という数字が「使える範囲」として決められているのか。条文だけでは、その理由までは読み取れない。そこで次に、1枚1枚の重さに注目して、20枚という数の大きさを実感してみる。

2. 100円玉 20まいと、1円玉 100まい、どっちが おもい?

2. 手に持って分かる「20枚」── 1円玉100枚との重さ比べ

2. 重さで見る20枚 ── 4.80gの規格と、1円玉100枚との比較

100円玉は、1まいが 4.8グラムです[1]。1円玉は、1まいが ちょうど 1グラムです[1]。

だから、100円玉 20まいは 96グラム、1円玉 100まいは 100グラムです。ほとんど おなじ 重さです。

でも、ねだんは ぜんぜん ちがいます。100円玉 20まいは 2000円、1円玉 100まいは 100円です。ほぼ 同じ 重さで、20ばいも ちがう わけです。

こんど、おうちの はかりで はかって みましょう。ぎゅっと 重いと おもうのは、1円玉の ほうです。1円玉は 数が 多いので、100まいは ずっしりします。

財務省の一覧表によると、現在発行されている百円硬貨は、直径22.6ミリメートル、重さ4.80グラムです。1円硬貨は直径20.0ミリメートル、重さ1.00グラム、10円硬貨は4.50グラム、500円硬貨は7.10グラムです[1]。

この数字を使うと、法律の「20倍」の大きさが見えてきます。100円玉20枚は、4.80×20=96グラムです。1円玉100枚は100グラムです。つまり、ほぼ同じ重さの金属を持っているのに、片方は2000円分、もう片方は100円分という計算になります。

2000円は100円の20倍ですから、重さがほぼ同じなら価値も約20倍、という見方です。重さ自体が価値になるわけではありませんが、「小さな硬貨を数えて払う」ときの感覚をつかむ手がかりになります。

財務省の「現在発行されている貨幣」の表によれば、百円白銅貨幣は直径22.6mm・量目4.80g、1円アルミニウム貨幣は20.0mm・1.00g、10円青銅貨幣は23.5mm・4.50g、50円白銅貨幣は21.0mm・4.00g、500円硬貨は26.5mm・7.10gである[1]。

これを使って「20倍」を重さに直すと、100円玉20枚は4.80×20=96g、1円玉100枚は100gで、ほぼ同じ重さになる。金額は2000円と100円で、20倍違う。重さは96gと100gで、ほぼ同じである。ただしこれは計算上の比較で、硬貨の価値が重さで決まるわけではない。

とはいえ、単位あたりの重さに対して額面の差が大きい硬貨ほど、財布の中で「重さの割に価値がある」ことになる。では次に、百円硬貨の素材が銀から白銅に変わった理由を見てみよう。昭和32年の最初の百円硬貨は、今のものと同じ大きさと重さながら、素材が違った。

3. さいしょの 100円玉は、ぎんだった

3. 最初の百円玉は、今と同じ大きさの銀貨だった

3. 昭和32年の百円銀貨 ── 同じ規格・別の素材

いま、さいふに ある 100円玉は、さくらの 絵が あります。むかしは、ちがいました。

1957年、昭和32年に、さいしょの 100円玉が 出ました。ぎんで できて いて、とりの 絵が ありました。「ほうおう」という とりです[1]。せんごはじめての ぎんの おかねで、その ころの こうかの 中で いちばん 高い 金がくでした[3]。

大きさも 重さも、いまの 100円玉と おなじ、22.6ミリ、4.8グラムです[1]。ぎんの 100円玉は、ほうおうの つぎに、いなほの 絵に かわりました[1]。

ぎんの 100円玉は、いまも つかえます[1]。ぎんが 6わりくらい はいって いたと いわれます[4]。

財布の中に、桜の模様ではない百円玉を見つけたことはありますか。昭和32年(1957年)、最初の百円硬貨が発行されました。戦後初めての銀貨で、当時の硬貨としては最高額面でした[3]。

この百円銀貨は、表の絵が鳳凰でした。昭和34年からは稲穂の絵に変わり、昭和41年まで発行されました。直径22.6ミリメートル、重さ4.80グラムという寸法は、今の百円玉と同じです[1]。

素材の銀は、全体のおよそ6割とされています。ただし、残りの銅や亜鉛の割合は、資料によって書き方が分かれています[4][3]。

鳳凰や稲穂の銀貨は、今も通用力のある貨幣として財務省の表に載っています[1]。昔の百円玉が出てきたら、そのまま100円として使える、ということです。

百円硬貨は、昭和32年(1957年)に初めて発行された。戦後初の銀貨で、当時の硬貨の最高額面だった[3]。財務省の表では、鳳凰の百円銀貨が昭和32〜33年、稲穂の百円銀貨が昭和34〜41年と整理されている[1]。

いずれも直径22.6mm・量目4.80gで、現在の白銅貨と寸法が同じである[1]。つまり、硬貨の形と大きさを保ったまま、素材だけを銀から白銅へ入れ替えたことになる。この点が、百円硬貨の歴史でもっとも重要だと思われる。

銀の割合は、資料により「銀60%・銅30%・亜鉛10%」とするものと「銀60%・銅40%」とするものがあり、食いちがう。銀が6割という点は一致するので、ここでは銀約6割までを確かな範囲とする[4][3]。

銀貨も、現在は発行されていないが通用力を有する貨幣として、財務省の表に載る[1]。「通用力がある」ことと、「法貨として20倍まで使える」ことは、同じ法律の枠組みの中にある。

4. どうして ぎんから かわったの?

4. なぜ銀から白銅に変わったのか

4. 昭和42年の素材変更 ── 銀価格と、額面より高い金属

1967年、昭和42年に、100円玉は ぎんから「はくどう」に かわりました。はくどうは、どうと ニッケルを まぜた きんぞくです[4]。さくらの 絵も、このとき からです[1]。

りゆうは、ぎんの ねだんが 世界で 上がって、100円玉を つくりつづけるのが たいへんに なったから、と いわれます[4]。ぎんの ねだんが とても 上がると、100円玉の 中の ぎんの ねだんが、100円を こえることが あります。そうなると、ぎんで つくりつづけるのが たいへんに なります。

100円と かいて あるのに、中身の ぎんの ほうが 高く なると、つくるほど そんです。だから、ざいりょうを かえたのだと いわれます。

昭和42年(1967年)、百円硬貨は銀貨から白銅貨に切り替わりました。白銅は銅75%、ニッケル25%の合金です[4]。表の絵も、このとき桜になりました[1]。

切り替えの理由は、銀の国際価格が上がり、硬貨の素材として使い続けるコストが問題になったため、と説明されています[4]。ただし、財務省の一覧表そのものには理由が書かれていません。そのため、ここでは「といわれる」の範囲にとどめます[1]。

金属の価値が額面を上回るとどうなるか。額面より中身の金属のほうが高くなれば、硬貨を作るほど損をします。銀の価格が上がると、百円銀貨の中の銀の価値も上がります。額面の100円を上回ると、硬貨を作るほど損になります。

こうして見ると、百円玉の素材の入れ替えは、デザインの流行ではなく、お金そのものを安定して作り続けるための選択だったと考えられます。

昭和42年(1967年)、百円硬貨の素材は銀から白銅(銅75%・ニッケル25%)に切り替えられ、表の意匠は桜花になった[4][1]。以降、同じ直径22.6mm・量目4.80gの規格が現在まで続く[1]。

切り替えの理由について、財務省の表には理由が書かれていない。記念日サイトは、銀の国際価格の上昇で素材として採用し続けるコストが問題になったと説明する[4]。この説明は二次資料に基づくため、「といわれる」の強さで受け取るのが妥当だ。

金属の側から見れば、額面より素材の価値が高い硬貨は、作るほど損になる。銀価格の上昇は、百円銀貨をその状態に近づける要因になる。

なお、自動販売機のような機械には、硬貨の直径や材質・厚みで判別する方式が知られる[6]。ただし全機種が同じ方式ではない。素材が替わった当時の機械との関係は、ここで使った資料では扱われていない。硬貨を見分ける仕組みは、次の節で取り上げる。

5. 100円玉の ぎざぎざは、なんのため?

5. 縁のぎざぎざは、手で本物を確かめる手がかりだった

5. 縁の「ギザ」── 偽造の見分けと、手触りという検査

100円玉の ふちを、ゆびで なでて みましょう。ぎざぎざ していますね。これは「ギザ」と いいます。

にせものの 100円玉の みわけ方として、ざいむしょうは、「まわりの ギザが、本物より かどばって いて、手ざわりが ちがう」ことを あげて います[5]。ほかにも、「すこし かるい」「もようの ほりが あさい」が あります[5]。

ギザは、手ざわりで たしかめられる 手がかりに なって います。ただし、いちばん さいしょに ギザを つけた りゆうは、しりょうでは わかりませんでした。

じどうはんばいきは、おちて くる こうかの ちょっけいや なかみを、きかいで しらべて います[6]。人は ゆびで、きかいは センサーで たしかめて いるのです。

百円玉の縁を指でなぞると、細かいぎざぎざがあります。偽造の百円白銅貨を見分けるとき、財務省は「周囲のギザが真貨に比べて角張り、手触りが異なる」「やや軽い」「模様の彫りが浅い」などを挙げています[5]。

つまり、ギザは手で確かめられる、本物のしるしの一つになっています。重さも手がかりです。先ほどの4.80グラムという規格が、ここで意味を持ちます[1][5]。

ただし、ギザを最初に付けた目的が何だったのかは、今回の資料では確かめられません。偽造を確認する手がかりとして使える、という範囲で理解しておくのが安全です。

機械の側では、通路を落ちる硬貨がコイルの磁束を変えることを利用し、左右のセンサで直径を、中央のセンサで材質や厚みを調べる方式が知られています[6]。人は手触りで、機械はセンサで、同じ百円玉を確かめているわけです。

財務省は、偽造の百円白銅貨の特徴として、周囲のギザが真貨に比べ角張り手触りが異なること、量目がほとんどのもので真貨よりやや軽いこと、模様の彫りが浅いことなどを挙げる[5]。ギザは、触覚による簡易な真贋確認の手がかりになっている。

ただし、ギザを付けた当初の目的は、今回の資料では確認できない。偽造確認に有効であることと、導入当初の目的は別の問題として分けて読む必要がある。

機械側の識別では、通路を落下する硬貨がコイルの磁束を変えることを利用し、左右のセンサで直径、中央のセンサで材質・厚みを検出する方式が特許の背景技術として説明される[6]。直径22.6mm・4.80gという規格は、人の手触りにも機械のセンサにも、検査の基準を与えている。ただし全機種が同じ方式ではない。

法律の「20倍」、重さの規格、銀から白銅への素材変更、縁のギザ。百円玉の使い方は、法令・規格・素材・検査が重なって成り立っている。

6. 100円玉を、手で たしかめて みよう

6. 家の百円玉で、決まりと重さを確かめる

6. 出口 ── 手元の硬貨で確かめられること

おうちに 100円玉が あったら、3つ たしかめて みましょう。

ひとつめは、ふちの ギザです。ゆびで なでて、10円玉の ふちと くらべて みます。

ふたつめは、絵です。さくらの 絵が あれば、昭和42年より あとの 100円玉です[1]。ぎんの 100円玉が あれば、とりか いなほの 絵が あります。

みっつめは、重さです。おうちの 台所の はかりで 100円玉を なんまいか のせて、重さを はかって みましょう。

家に百円玉があれば、次の三つを試せます。

まず、縁のギザを指でなぞり、10円玉の縁と比べます。次に、表の絵を見ます。桜なら昭和42年以降、鳳凰や稲穂なら銀貨です[1]。

最後に、台所のはかりで、100円玉を1枚、できれば20枚のせます。20枚なら、法律の「20倍」の枚数であり、96グラムに近い数字が出るはずです。1円玉100枚を、同じはかりで量って比べることもできます[1]。

法律の条文そのものは、通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律[2]で読めます。財務省の一覧表[1]には、今あるすべての硬貨の寸法が載っています。

手元に百円硬貨があれば、縁のギザを指でなぞって10円硬貨と比べ、表の意匠(桜花か、鳳凰・稲穂の銀貨か)を確かめられる[1]。台所のはかりで20枚を量れば、96g前後という値が、規格の4.80gから見て妥当かどうかが分かる。

第7条の条文は、法令データの公開サイトで全文を読める[2]。偽造貨幣の見分け方は財務省のページ[5]に、識別機の仕組みは特許の背景技術[6]に、それぞれ書かれている。価格や相場による試算は、資料の執筆時点の値であることに注意して読むとよい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:財務省の資料、法令、報道記事、記念日サイト、特許公報を使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。

  1. 財務省「現在発行されている貨幣」。https://www.mof.go.jp/policy/currency/coin/general_coin/list.htm (各硬貨の直径・重さ、百円玉の意匠と発行年について)
  2. 通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律(昭和62年法律第42号)。https://laws.e-gov.go.jp/law/362AC0000000042 (額面の20倍までの法貨通用力、貨幣の6種類について)
  3. 現代ビジネス「12月11日 100円硬貨が発行される」。https://gendai.media/articles/-/58767 (最初の百円硬貨が戦後初の銀貨だったことについて。報道・二次資料)
  4. 百円玉記念日(bestcalendar.jp)。https://bestcalendar.jp/dates/kinenbi/5049 (銀貨の合金と、白銅貨に変わった理由の説明について。二次資料)
  5. 財務省「偽造貨幣の特徴(百円白銅貨)」。https://www.mof.go.jp/policy/currency/fake_money/ks201118.htm (ギザと重さによる見分けについて)
  6. 特許 JP5167470B2「コイン識別センサ」。https://patents.google.com/patent/JP5167470B2/ja (硬貨識別機のセンサ方式について。背景技術の説明)

なおした ところ

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