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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

あかちゃんは、どうして あんなに よく なくの?

赤ちゃんは、どうしてあんなによく泣くのか ── 生後1か月ごろに増える泣き声の役目

乳児の泣きは何を知らせ、いつ多く、どうおさまるのか ── 泣く量の推移・信号としての役割・泣き声の韻律・抱いて歩く効果

分野:からだ

うまれて 1か月ごろの あかちゃんは、1日に 2時間 ちかくも、ないたり ぐずったり する ことが あります。こうした なきかたは、おおくの あかちゃんに みられます[1]。

うまれて すうじつの あかちゃんの ないた こえには、おなかの 中で きいた ことばの メロディが まざって いる ようだ、という けんきゅうも あります。あかちゃんは、なぜ そんなに ないて、なにを つたえて いるのでしょう。この 記事で、その こたえと、だっこの ふしぎな ちからが わかります。

生まれて1か月ごろの赤ちゃんは、平均すると1日に2時間ほども、泣いたりぐずったりしています。これは病気でも、育て方の失敗でもなく、多くの赤ちゃんに見られる姿です[1]。

しかも、生まれて数日の赤ちゃんの泣き声には、おなかの中で聞いた言葉のメロディが入りこんでいる、という研究があります[4]。赤ちゃんはなぜあんなに泣くのか。泣き声は何を知らせているのか。抱いて歩くと何が起こるのか。研究を読むと、その答えが分かります。

乳児の泣きとぐずりは、生後5〜6週ごろに平均で1日126分に達する。57の研究、約7,580人分の保護者の報告をまとめた分析の数字で、多くの親が「うちの子だけ泣きすぎでは」と感じる時期は、統計の上ではむしろ標準的な姿だ[1]。

では、なぜ泣くのか。泣き声は誰に何を伝えるのか。生まれて数日の泣き声にすでに母語のメロディが現れるという報告や、抱いて歩くと心拍が下がるという実験を手がかりに、その答えが分かるようにする。

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1. あかちゃんは、いつ いちばん なくの?

1. 泣く量がいちばん多いのは、生後1か月前後

1. 泣く量は生後1か月前後にピークを迎え、その後へる

いえに あかちゃんが いる ところを、そうぞう して みましょう。ミルクも のんだ。おむつも きれい。それでも ずっと ないて いる。おとなは「どうして?」と おろおろ します。

17の くにの 57の けんきゅうを まとめた しらべでは、ないたり ぐずったり する 時間は、うまれて 5〜6しゅうかん ごろに、へいきんで 1日 126ぷん でした。2時間 ちょっと です[1]。

でも、そのあと だんだん へります。11〜12しゅうかん ごろには、1日 34〜66ぷん ほどに なります[1]。にほんの そだてかたの 本や サイトにも、うまれて 1〜2か月が いちばん ないて、5〜6か月ごろには おちつく ことが おおい、と かかれて います[3]。

これは おうちの 人の 話を まとめた へいきんです。ひとりひとり、ちがいます。

家に赤ちゃんが来た場面を想像してみてください。ミルクは飲んだ、おむつも替えた、それでも泣きやまない。周りの大人は「どこか悪いのでは」と心配になります。

17か国の57の研究、約7,580人の赤ちゃんの保護者の報告をまとめた分析では、泣きとぐずりの時間は、生後5〜6週ごろに平均で1日126分でした。2時間をこえる量です。ところが11〜12週ごろからは、1日34〜66分ほどに減っていきます[1]。

この分析がグラフから推定したピークは、約4週(95%区間で2.6〜5.5週)で、従来言われていた5〜6週より、やや早めでした[1]。日本の育児情報でも、泣きのピークは生後1〜2か月ごろで、5〜6か月ごろには落ち着くことが多いと説明されています[3]。

資料によって「4週」「5〜6週」「1〜2か月」と幅があるので、「生後1か月前後がいちばん多い」くらいに覚えるのがよさそうです。どれも平均で、1人ひとりの赤ちゃんの泣き方はちがいます。

では、赤ちゃんはなぜ、そんなに泣くのでしょうか。

57の研究、17か国、約7,580人の乳児の保護者報告をまとめた2022年の分析によると、泣きとぐずりの時間は、生後5〜6週ごろに平均で1日126分に達し、11〜12週以降は1日34〜66分に下がる。曲線にあてはめたモデル上のピークは約4週(95%区間2.6〜5.5週)で、従来の「6週ごろ」という説明よりやや早い[1]。

ただし、これは保護者が記録・回答した値の平均で、機械で測った泣き声の長さではない。したがって「6週が必ずピーク」とは言えず、ピークの位置は資料により4週から6週まで幅がある。日本の育児情報でも、ピークは生後1〜2か月ごろ、5〜6か月ごろには収まることが多いと説明され、時期の幅は似ている[3]。ただしこちらは助産師の監修による記事で、研究の統計とは性格が異なる。

いずれにせよ、1日2時間前後という量は、ピーク期の乳児の平均像であって異常値ではない。では、なぜ乳児は、これほど泣くのか。

2. なくのは、なにを つたえて いるの?

2. 泣き声は「困っているから来て」という呼び声

2. 泣きは世話を引き出す信号 ── 理由は多く、声の高さにも情報がある

うまれたばかりの あかちゃんは、ことばも つかえないし、ひとりでは ごはんも たべられません。だから、ないて おとなを よぶのです。

ある けんきゅう者は、あかちゃんの なきごえは、せわを する 人を ちかくに よんで、せわを して もらう ための しくみだ、と かんがえて います[2]。

ないて いる りゆうは、おなかが すいた、おむつが ぬれた、あつい、さむい、ふくが きもちわるい、ねむい、さびしい、などです[3]。なかには、はっきりした りゆうが ない ときも あります[3]。

いたい ときの こえは、たかく なる ことも あるそうです[2]。おとなは、こえの ちがいから「いつもと ちがう」と きづく ことが できます。

ただ、どうして うまれて 1か月ごろに いちばん ふえるのかは、まだ はっきり わかって いません[2]。

赤ちゃんは、言葉も使えず、自分で食べ物を取りにも行けません。泣くことは、周りの大人に助けを求める大切な方法です。

人間行動学の論文は、赤ちゃんの泣きを、世話をする人を近くに引きよせ、世話を引き出す働きがあると考えています[2]。泣き声は「泣く/泣かない」の2つではなく、少しずつ変わっていく信号で、痛みがあるときなどは声の高さが上がります[2]。

泣く理由は、空腹、おむつの汚れ、暑さ寒さ、服の不快感、眠気、さびしさなど、いろいろです[3]。理由が見つからないのに泣く時期もあり、日本の育児情報では「パープルクライング」と呼ばれることがあります[3]。

生まれて数週間ごろに泣きが増えるのは、文化を超えて見られる現象で、疝痛(コリック)と呼ばれる強い泣きは、その多い側の端にあたると考えられています[2]。ただ、なぜ初期に泣きが増えるのかは、いくつかの説が並んでいるだけで、決着していません[2]。

泣き声が、生まれる前の体験と関わっているとしたら、おもしろいと思いませんか。

人間行動学のレビュー論文によれば、乳児の泣きには、世話をする大人を近くにとどめ、世話を引き出す働きがあると考えられている。泣き声は離散的な型ではなく連続的に変わる信号で、痛みなどがあると基本周波数が上がることがある。この性質のおかげで、受け手は声の高さから緊急度を読み取りやすい[2]。

泣く理由は、空腹・おむつの汚れ・暑さ寒さ・衣服の不快感・眠気・さびしさなど多様で、特に理由が見あたらない泣きも日常的に起こる。日本の育児情報はこれを「パープルクライング」の名で紹介している[3]。

では、なぜ生後1か月ごろに増えるのか。Soltis は、世話を操作するための泣き、必要を正直に伝える泣き、元気であることを知らせる泣き、という3つの説明を並べるが、決着はついていない。初期の増加が文化を超えて見られること、疝痛(コリック)がその分布の多い側の端とみなされることは、共通の事実として挙げられている[2]。

泣き声が「伝える」道具なら、その形は生まれる前の経験にも影響されるのだろうか。

3. おなかの 中で きいた ことばが、なきごえに でるの?

3. 生まれて数日の泣き声に、おなかの中で聞いた言葉のメロディ

3. 新生児の泣き声の韻律は、母語の影響を受ける

あかちゃんは、うまれる 前から、おなかの 中で おかあさんの こえや まわりの 話しごえを きいて います。

フランスの あかちゃん 30人と、ドイツの あかちゃん 30人の、うまれて すうじつの なきごえを くらべた けんきゅうが あります。フランスの あかちゃんは、こえが 上がる ように なく ことが おおく、ドイツの あかちゃんは、下がる ように なく ことが おおかった のです[4]。

けんきゅう者は、まわりの ことばの メロディに、おなかの 中で なれて いた ことが かかわって いるのでは、と かんがえて います[4]。

ただし、あかちゃんが フランスごや ドイツごを はなして いる わけでは ありません。ちがうのは、こえの 上がり下がりの くせ だけです[4]。

赤ちゃんは、生まれる前から、おなかの中で母親の声や周りの話し声を聞いています。その経験は、泣き声にまで現れるのでしょうか。

2009年の研究は、フランス人30人とドイツ人30人の新生児(生まれて数日)の泣き声を比べました。フランスの赤ちゃんは声の高さが上がる泣き方が、ドイツの赤ちゃんは下がる泣き方が、それぞれ多くなりました[4]。

著者は、赤ちゃんがおなかの中で聞いた周囲の話し言葉のメロディが、泣き方に影響した可能性を示しました[4]。

ここで大切なのは、言葉を話しているわけでも、発音のなまりが出ているわけでもない点です。分かったのは、声の高さの上がり下がりという「調子」の傾向だけです[4]。60人という規模の、この1本の研究で見えたことなので、すべての言語や赤ちゃんに同じようにあてはまると決めつけることもできません。

それでも、泣き声が「ただの音」ではなく、生まれる前からの経験を含んだ声だったとしたら、泣き声を聞く大人の見方も、少し変わるかもしれません。

では、泣きが長く続く夕方は、どうなっているのでしょうか。

Mampe らは2009年、フランス人30人・ドイツ人30人の新生児の泣き声を比べ、フランスの新生児は上昇する調子(上昇型の輪郭)を、ドイツの新生児は下降する調子を、より多く示すと報告した[4]。著者は、胎内で聞いた周囲の話し言葉の韻律が、泣きの調子に影響した可能性を示した[4]。

この結果の読み方には条件がある。1つは、新生児が言語を話している、あるいは「なまり」があるという意味ではないこと。見えているのは、声の高さの時間変化という韻律の傾向だけだ[4]。もう1つは、調べた対象がフランスとドイツの60人であり、他の言語へ一般化するには別の研究が要ること。詳しい手法を知りたい人は、原典の論文を読んでみよう。

それでも、泣き声は「生まれてからの学習」ではなく、生まれる前の聞く経験から形作られはじめている、という見方は、泣きの意味を考える手がかりになる。

では、何をしても泣きやまないように見える夕方は、どう理解されているのか。

4. ゆうがたに なにを しても なきやまないのは、なぜ?

4. 夕方になると泣きやまない「たそがれ泣き」

4. 夕方の泣き「たそがれ泣き」── 3割ほどに見られるが原因は不明

ゆうがたに なると、なにを しても なきやまなく なる あかちゃんが います。「たそがれなき」と よばれる ことが あります[5]。

うまれて 1〜2か月に おおく、3わりほどの あかちゃんに みられる そうです[5]。おなかも いっぱい、おむつも きれいなのに、ないて しまいます。

でも、どうして おきるのかは、はっきり わかって いません[5]。

ほかの くにでも、うまれて すぐの ころに ないて いる 時間が ふえる ことは みられます[2]。

夕方になると、ミルクを飲ませても、おむつを替えても、何をしても泣きやまない。そんな赤ちゃんの泣きは、日本では「たそがれ泣き」と呼ばれることがあります[5]。

北海道助産師会の会長の話として、生後1〜2か月に多く、3割ほどの赤ちゃんに見られるといわれます。原因ははっきりと分かっていません[5]。新聞の育児連載が伝える話なので、数字は目安として受け取るのがよさそうです。

前の章の論文でも、初期の泣きの増加は文化を超えて見られ、強い泣きであるコリックはその多い側の端とされていました[2]。

理由が分からないまま泣かれると、周りは不安になります。そんなとき、昔から多くの人が試してきた方法に、研究がありました。

北海道新聞の連載によれば、北海道助産師会の会長は、夕方に何をしても泣きやまない「たそがれ泣き」が生後1〜2か月に多く、3割ほどの赤ちゃんに見られると説明している。原因ははっきり分かっていない[5]。この数字は新聞記事に載った助産師の説明であり、疫学調査の値ではないため、目安として扱う。

2章で見たとおり、Soltis は初期の泣きの増加が文化を超えて観察されると述べ、疝痛をその分布の多い側の端に位置づけている[2]。夕方に泣きが強まる現象も、同じ時期に重なる。ただし、夕方の泣きとコリックが同じ仕組みなのかは、使える資料からは言えない。

つまり、「泣く量が1か月前後でピークになる」ことは複数の資料で一致するが、「なぜ夕方に増えるのか」は説明がついていない。これが、この分野の現在地だ。

説明がつかなくても、泣きを落ち着かせる方法の研究は進んでいる。次に見るのは、抱く、という最も古い方法である。

5. だっこして あるくと、あかちゃんは どうなるの?

5. 抱いて歩くと、泣きも心拍も落ち着く

5. 抱いて歩く効果 ── 心拍の低下と、泣きの減少を示した2つの研究

おかあさんが あかちゃんを だっこして あるくと、あかちゃんは すぐに なきやみ、からだの うごきも とまります。しんぞうの うごく はやさも、すっと ゆっくりに なりました[6]。うまれて 1〜6か月の あかちゃん 12人の けんきゅうです[6]。

すわって だっこした ときは、そこまで おちつきませんでした[6]。

ネズミの 子でも おなじ ことが おきました。ネズミの 子は、おかあさんに はこばれると、こえを だすのを やめました[6]。

だっこは、よく します。もっと たくさん だっこすると、どうなるのでしょう。99ぐみの おやこで しらべた けんきゅうでは、よく だっこした グループは、6しゅうかん ごろの ないて いる 時間が 43%、すくなく なりました[7]。

ただし、ないて いる 時間が ゼロに なる わけでは ありません。いつも ぴたっと とまる まほうでも ありません。

泣いている赤ちゃんを抱いて、部屋の中を歩く。この方法を、理化学研究所を含む研究チームが実験で調べました。

生後1〜6か月の赤ちゃん12人で、母親が歩いて運ぶと、椅子に座って抱くときにくらべ、すぐに泣きと動きが止まり、心拍も急に下がりました[6]。マウスの子でも同じように、運ばれると鳴くのをやめました。マウスでは、この反応には、体が運ばれる感覚(触覚や体の動きの感覚)が必要で、リラックスに関わる副交感神経と小脳が関わっていたと報告されています[6]。人数が少ない研究なので、研究者も「魔法のスイッチ」ではないと話しています。

もうひとつの研究は、抱く時間の長さを比べました。99組の母と赤ちゃんを無作為に2グループに分け、よく抱いたグループは、生後6週のピーク時に、泣きとぐずりが1日1.23時間で、そうでないグループの2.16時間より43%少なくなりました[7]。確かめると、(2.16−1.23)÷2.16は約0.43で、43%という数字と合います。夕方4時から深夜の時間帯では51%少なかったものの、4・8・12週では差は小さくなりました[7]。

泣きがなくなるのではなく、減る。1986年の古い研究ですが、泣く量が世話の仕方によっても変わりうることを示した結果です。

泣き声が「呼ぶ力」なら、受けとめる側にも、それに応える仕組みがあるのかもしれません。

抱いて運ぶことの効果は、2つの実験で示されている。理化学研究所を中心とするチームは、生後1〜6か月の乳児12人で、母親が歩いて運ぶ条件と、座って抱く条件を比べた。歩いて運ぶと、乳児の泣きと自発的な動きがすぐに止まり、心拍が急に低下した。マウスの子でも同様に、運ばれると超音波の鳴き声が止まった。マウスでは、この反応には触覚と体の動きの感覚が必要で、副交感神経と小脳が関わっていた[6]。ただし乳児の人数は12人と小さく、研究者も「魔法のスイッチ」ではないと述べている。

もうひとつは、Hunziker と Barr による1986年の無作為化比較試験である。99組の母子を、よく抱く群とそうでない群に分けたところ、生後6週のピーク時に、よく抱く群の泣きとぐずりは1日1.23時間、対照群は2.16時間で、約43%少なかった。確かめると、(2.16−1.23)÷2.16は約0.43で、示された43%と一致する。夕方4時から深夜では約51%少なかった[7]。一方、4・8・12週では差は小さく、効果は時期によって異なる。また、泣きが消えたのではなく、減ったにとどまる[7]。

2つの研究は対象も方法もちがう。それでも、抱くという世話が、乳児の状態と泣く量を変えうることは共通している。この研究では、抱く時間を増やした群で、ピーク時の泣きとぐずりが少なかった。

泣くのが「呼ぶ力」で、抱くと落ち着くなら、赤ちゃんと大人は、呼びかけと応えを、体の反応でつないでいることになる。

6. ことばの メロディを、じぶんの 声で ためして みよう

6. 身の回りの話し言葉で、声の上がり下がりを聞いてみる

6. 手がかりを、身近な声と原典で確かめる

あかちゃんの なきごえに、ことばの メロディが まざって いる、という はなしを よみました。じぶんの ことばでも、メロディを きいて みましょう。

「おはよう」と、いつもの ように いって みます。つぎに、「ほんとう?」と きく ときの こえを いって みます。こえが 上がるのか 下がるのかが、ちがうでしょうか。

おうちの 人や ともだちの こえも きいて みましょう。「ごはん できたよ」を よぶ ときと、「いただきます」を いう ときでは、メロディが ちがうかも しれません。

おうちの 人の こえが 上がる ときと 下がる ときを、おとなの 人と いっしょに、そっと きき くらべて みましょう。

赤ちゃんの泣き声に言葉のメロディが入っている、という話を読みました。自分の話し言葉でも、メロディに耳をすませてみましょう。

「おはよう」を普通に言ってみます。次に、相手に確かめるときの「ほんとう?」を言ってみます。声の高さが上がるでしょうか、下がるでしょうか。家の人や友だちの声でも、同じ言葉の上がり下がりを聞き比べてみます。人によっても、場面によっても、メロディは変わるはずです。

身近な大人の声が、話の途中で高くなったり低くなったりする瞬間はあるでしょうか。大人と一緒に、決めつけずに聞き比べてみましょう。

この記事で出てきた研究は、出典欄から読めます。まずは理化学研究所の発表など、日本語の資料から読み比べてみましょう。

この記事の手がかりを、身近な声と原典で確かめる方法を挙げる。

第一に、母語の韻律を意識して聞く。「ほんとう?」のような疑問の文末と、「ほんとうだよ」のような平叙の文末で、声の高さの動きがどう違うかを自分の声で試す。論文の主張は泣き声の話であり、この練習で泣き声の理由が分かるわけではないが、韻律という言葉の意味を体で理解する助けになる。

第二に、数字を検算する。Hunziker らの43%は (2.16−1.23)÷2.16 で計算でき、「1日126分」は2時間より6分長い、と換算できる。出典の数字を自分で割ってみると、「減る」「ピーク」といった言葉の大きさが実感できる。

第三に、原典に当たる。2022年のメタ分析(Vermillet ら)は PubMed Central で全文が公開されており、研究ごとの泣き量のばらつきが図で示されている[1]。Soltis の論文(2004年)は、泣きが「適応」である根拠と、反対の説を並べて読める[2]。Mampe らの短報は、泣き声の分析の方法が簡潔に書かれている[4]。

読み比べると、「泣く量のピーク」「泣き声の韻律」「抱く効果」は、それぞれ別の研究者が別の方法で測っている。だからこそ、数字の幅や、一般化できる範囲を意識することが、資料を読むときの出発点になる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

泣く量の推移、泣きの役割、泣き声のメロディ、夕方の泣き、抱く効果は、次の資料による。研究の人数や月齢は資料の記載にしたがう。

  1. Vermillet ほか(2022)「Crying in the first 12 months of life」(Developmental Science 系・PubMed Central) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9541248/ (泣き+ぐずりの時間の推移・ピークの位置)
  2. Soltis(2004)Behavioral and Brain Sciences 27(4) https://www.cambridge.org/core/product/60A96FC730BB04E398A672F4056DB5CC (泣きは世話を引き出す信号・声の高さ・初期の増加の諸説)
  3. HugKum(小学館)助産師・河井恵美監修(2023年9月21日) https://hugkum.sho.jp/235315 (日本の育児情報でのピークの時期・泣く理由)
  4. Mampe ほか(2009)「Newborns' cry melody is shaped by their native language」Current Biology 19(23):1994-1997 Europe PMC の記録(アブストラクト) (フランスとドイツの新生児の泣き声の調子)
  5. 北海道新聞「0カ月からの育児塾」 https://www.hokkaido-np.co.jp/article/916554/ (たそがれ泣きの時期・割合の目安)
  6. 理化学研究所 プレスリリース(Esposito ほか 2013, Current Biology) https://www.riken.jp/en/news_pubs/research_news/pr/2013/20130419_2/ (歩いて運ぶと泣きと心拍が落ち着く)
  7. Hunziker・Barr(1986)「Increased carrying reduces infant crying」Pediatrics 77(5):641-648 Europe PMC の記録(アブストラクト) (よく抱いたグループの泣きの量)

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