1. たけのこの さきは、どうして きいろいの?
1. 掘りたてのたけのこは、なぜ穂先が黄色いのか
1. 穂先の黄色は何を示すか ── 地上に出る前と後のちがい
たけのこを ほると、さきの ところ(ほさき)が きいろい ものが あります。これは「まだ 土から 出て いない しるし」だと いわれます[3]。
土から あたまを 出すと、ひかりを つかって 養分を つくる はたらきが はじまって、みどりに かわります。あじも、えぐみが ふえると いわれます[3]。
つまり、きいろい たけのこは、土の 中で じっと まって いた たけのこです。では、その たけのこは、いつ できたのでしょう。
農林水産省の解説によると、たけのこの黄色い穂先は、まだ土から出ていない証拠です。土から頭を出すと光合成を始めて緑に変わり、えぐ味も増すそうです[3]。
八百屋さんや台所で、穂先が黄色いたけのこと緑がかったたけのこを見くらべると、土の中にいた時間のちがいが色に出ていると考えられます。
ここで一つ、疑問がわきます。春に土から出るたけのこは、春になってから急に作られるのでしょうか。それとも、もっと前から準備されているのでしょうか。
2. たけのこの もとは、いつから あるの?
2. たけのこの「もと」は、前の年から地下にある
2. 地下茎の芽子 ── 秋にふくらみ、翌春に出る
竹は、土の 中に ちかけいと いう、のびる くきを もって います。この ちかけいの ふしには、「め」が あります[1]。この めから、まいとし あたらしい 竹が 出て きます[1]。
石川けんの しりょうには、ふしごとの めの 一ぶが 秋に ふくらみ、つぎの 春に たけのこに なる、と あります。のこりの めは、ちかけいと して のびて いくそうです[7]。
だから、春に 見る たけのこは、まえの 年の 秋ごろから 土の 中で じゅんびを して いた、と かんがえられます。
竹は、土の中をはう地下茎をもっていて、その節に芽があります。林野庁の資料では、この芽から毎年新しい竹が出てくると説明されています[1]。
では、芽はいつ動き出すのでしょうか。石川県林業試験場の資料には、地下茎の節ごとにある芽の一部が秋にふくらみ、翌春にたけのこになり、残りは地下茎として伸びていく、と書かれています[7]。すべての芽がたけのこになるわけではなく、地下茎として伸びるものもある、というところが面白い点です。
つまり、春に顔を出すたけのこは、前の年の秋ごろから土の中で準備されていた芽だと考えられます。ただ、この「秋にふくらむ」という点は、一つの県の資料での説明です。
では、その準備を土の中で支えているのは何でしょうか。
竹は常緑の多年生植物で、毎年、地下茎の節にある芽子(めご)から新しい竹を出す[1]。ここで大事なのは、たけのこが「春に生まれる」のではなく、すでにある芽が春に地上へ出る、という点だ。
では、その芽子はいつ動き出すのか。石川県林業試験場の資料は、地下茎の節ごとの芽子の一部が秋にふくらみ、翌春にたけのこになると述べ、残りは地下茎として伸びていくとする[7]。つまり芽子には、たけのこになる道と、地下茎として伸びる道の二つがある。春に見るたけのこは、前の年の秋にはすでに用意が始まっていたことになる。
ただし、この「秋にふくらむ」という記述は、一つの県の試験場の資料にもとづく。年や地域、竹の種類による差までは、ここで使った資料では分からないので、時期は「秋ごろ」くらいに受け取っておくのがよい。
こうして準備された芽は、冬のあいだ地中で待つ。その間、また出てからの成長を支えるのは何か。次の章で、地下茎に目を向ける。
3. 土の 中で、ちからを だして いるのは だれ?
3. 地下茎が支える準備 ── 年齢で変わる出方と、豊作・凶作
3. 地下茎の年齢と発筍数 ── 隔年で豊凶があらわれる
たけのこを 出す ちからの もとは、ちかけいです。ちかけいは 竹に とって、いちばん たいせつな ぶぶんの 一つと いわれます[5]。
この ちかけいにも、年れいが あります。林野庁の しりょうでは、たけのこを いちばん たくさん 出すのは、3〜4年目の ちかけいです。5年目を すぎると へって いきます[1]。
また、たくさん 出る 年と、すくない 年が、1年おきに あらわれる ことが あります[1]。たくさん 出る 年を「おもて年」、すくない 年を「うら年」と いいます。
洛西竹林公園の解説では、地下茎は竹にとって最も重要な器官の一つで、寿命は10年以下とされています[5]。
この地下茎には、たけのこをよく出す年齢があります。林野庁の資料では、たけのこを最も多く出すのは3〜4年目の地下茎で、5年目を過ぎると減るそうです[1]。熊本県の手引では、おおむね2〜5年生の若い地下茎が最も多く、1年生の地下茎ではたけのこの発生率が非常に低い、とされています[6]。
年数の範囲が資料で少しちがうのは、竹林や調べ方で差があるためと考えられます。どちらの資料も、若い地下茎ほどよく出す、という点では同じです。
さらに、たけのこがたくさん出る年(表年)とあまり出ない年(裏年)が、おおむね一年おきに現れるとも説明されています[1]。ここで、次の疑問がわきます。土から出たたけのこは、どうやって短い間に竹になるのでしょうか。
地下茎は竹にとって最も重要な器官の一つとされ、その寿命は10年以下という[5]。そのため、竹林ではつねに古い地下茎と新しい地下茎が入れかわっていることになる。
では、どの年齢の地下茎がたけのこをよく出すのか。林野庁の資料は、3〜4年目が最も多く、5年目を過ぎると減るとする[1]。一方、熊本県の手引は、おおむね2〜5年生の若い地下茎が最も多く、1年生では発生率が非常に低いとする[6]。この二つは年数の幅が異なるが、若い地下茎ほどよく出す点は共通する。年数の細かい差は、断定せずに「資料によって幅がある」と受け取っておく。
もう一つの特徴が、豊凶の周期だ。林野庁の資料では、豊作(表年)と凶作(裏年)がおおむね隔年にあらわれると説明されている[1]。なぜ隔年になるのかまでは、ここで使った資料には書かれていない。
いずれにしても、春に出るたけのこの数は、地下茎の年齢と、前の年の状態に左右される。では、地上に出たたけのこは、どのように竹の高さまで伸びるのか。次の章で見る。
4. 土から 出たら、どうやって のびるの?
4. 土から出たあとは、節ごとに伸びていく
4. 節の数は、たけのこの段階で決まる ── 節ごとに伸びる成長
土から 出た たけのこは、ぐんぐん のびます。竹には、ふしごとに、のびる ための 場しょが あると いわれます[2]。
きんきだいがくの いのうえ先生の せつめいでは、ふしの かずは、たけのこの ときに もう きまって います。その かずの ぶんだけ、ふしごとに のびて いくそうです[4]。
竹の ふしを、たためる つりざおの ふしと くらべると、すこし にて います。ただし 本当は、たけのこの 中の ふしの あいだが、ひろがって いくのです。
のびた あとは、竹は それ いじょう のびたり 太ったり しないと いわれます[4]。
竹には節ごとに、細胞が分裂して成長する「成長点」があると、農林水産省の記事で紹介されています[2]。ふつうの木は、枝や幹の先でしか細胞分裂しません。
近畿大学の井上昭夫さんの説明では、竹の節の数はたけのこの段階で決まっていて、その節の数だけ、節ごとに伸びるそうです[4]。これは報道記事の専門家の説明なので、「そうした説明がある」と受け取っておきます。
つまり、節の数はたけのこの時点ですでに決まっていて、地上に出ると、その節の間がそれぞれ伸びていくと考えられます。
なお、伸びるのは2〜3か月ほどで、成長しきった後は伸びも太りもしない、とも説明されています[4]。
伸びる速さの最大級の記録は、24時間でマダケが121cm、モウソウチクが119cmです[1]。ただしこれは記録で、毎日そのくらい伸びるわけではありません。
竹が短い期間で高くなる理由のひとつは、成長のしかたにある。樹木が先端でしか細胞分裂しないのに対し、竹は全ての節に成長点をもつ[2]。近畿大学の井上昭夫氏の説明では、竹の節の数はたけのこの段階で決まっていて、その数だけ節ごとに伸びる[4]。
ここから、地上に出た時点で、完成した竹の「節の数」はほぼ用意されている、という読み方ができる。伸びるのは、新しく節が増えるからではなく、すでにある節の間が広がるからだ。ただしこの点は報道記事に載った専門家の談話であり、論文など別の資料の裏づけは、ここでは示せない。そのため「という説明がある」の強さで受け取る。
この伸び方の速さの最大級の記録は、林野庁の資料で24時間にマダケ121cm、モウソウチク119cmだ[1]。ただしこれは最大級の記録で、ふつうの速さではない。毎日1m伸びるわけではなく、成長は2〜3か月ほどで終わり、その後は伸びも太りもしないとされる[4]。
では、これだけの伸びを支える栄養はどこから来るのか。そして、「何日で竹になるか」が資料で割れる理由は何か。次の章で見る。
5. 竹に なるまで、なん日 かかるの?
5. 「何日で竹になるか」が、資料でちがうのはなぜか
5. 成竹になるまでの期間 ── 約50日・約100日・数か月・半年
たけのこが 土から 出て、竹に なるまでの 日すうは、しりょうに よって ちがいます。
くまもとけんの てびきでは、土から 出て から 50日ぐらい です。そのあいだの 養分は、ちかけいに ためて あった ものを つかう そうです[6]。京都市の 竹林公園では、たけのこが 出て から 一人前の 竹に なるまで 100日 ほどと しょうかい して います[5]。
数が ちがって いても、どれかが まちがい とは かぎりません。
いずれにしても、まる 1年 かかる わけではなく、すうか月ほどで 竹に なる と いわれます[1]。
たけのこが出てから竹になるまでの日数は、資料によってちがいます。熊本県の手引では、地上にあらわれてから竹の幹を完成させるまでの期間は50日前後です[6]。洛西竹林公園の解説では、たけのこが発生してから一人前の竹になるまでは約100日程度です[5]。林野庁は「わずか数か月」[1]、農林水産省の記事は「半年もすると立派な若竹」と表現しています[2]。
50日前後から約100日、さらに数か月、半年と幅があり、理由はこれらの資料だけでは特定できません。ひとつの数に決めず、「出てから数十日〜数か月、芽の準備を入れれば半年以上」と受け取るのがよさそうです。
熊本県の手引によると、その間の栄養は、主に地下茎に蓄えられた養分でまかなわれます[6]。たけのこは、土の中の地下茎から力をもらって育つ、ということです。
地上に出てから成竹になるまでの日数は、資料によって大きく異なる。熊本県の手引は、地上にあらわれてから竹稈を完成させる期間を50日前後とする[6]。洛西竹林公園は、たけのこが発生してから一人前の竹になるまでを約100日程度と説明する[5]。林野庁は「わずか数か月」[1]、農林水産省の記事は「半年もすると立派な若竹」と書く[2]。
50日前後から約100日、さらに数か月、半年と幅があり、この差の理由はこれらの資料だけでは特定できない。起点(地上に出た時点か、発生した時点か)や「完成」の基準が資料ごとに書き分けられている点は目につくが、それが差の原因だとは言い切れない。1つの数に決められないことが、この資料群から言える点だ。
では、その間の栄養はどこから来るのか。熊本県の手引によれば、栄養は主に地下茎に蓄えられた養分でまかなわれる[6]。
つまり、竹は地上に出てから短期間で高くなるが、その材料の中心は前から地下茎に蓄えていたものだ。第1章の疑問に戻ると、地中のたけのこが光合成をしない(できない)のに育つ理由の一つが、これになる。
では、竹が伸びきったあと、その地下茎の養分はどうなるのか。次の章で見る。
6. 竹が のびた あと、ちかけいは どうなるの?
6. 伸びきった竹は、来年のたけのこの準備にも役立つ
6. 光合成の産物は地下茎へ ── 来年の発筍につながる循環
竹が のびきった あとも、竹の はっぱは ひかりを うけて、養分を つくります。林野庁の しりょうでは、その 養分は、竹を 太く したり 高く したり する ためではなく、ちかけいに ためられる、と あります[8]。
ためた 養分は、あたらしい たけのこや 竹の せいちょうに つかわれると いわれます[8]。
つまり、秋に めが ふくらみ、春に 出て、夏に 竹に なり、また ちかけいに 養分を ためる。ぐるっと まわって います。
林野庁の竹の利用に関する資料では、竹の幹が短期間で成長したあと、その後の光合成で得られた有機成分は、幹の太さや高さには回されず、地下茎に蓄えられます。蓄えたものは、新しいたけのこや幹の成長に使われると説明されています[8]。
こう考えると、竹の一年は、ぐるっと一周しています。前の年の秋に芽がふくらみ、春にたけのこが出て、数か月で竹になる。その竹の葉が光合成で作った養分は地下茎に戻り、翌年の準備になる。
この流れを知ると、「毎年、同じ場所から新しい竹が出る」ことが、少し不思議でなくなります。竹林の竹は、一本ずつ独立しているのではなく、地下茎でつながり、地下茎に蓄えた養分が新しい竹の成長に使われるからです。
竹稈は短期間で成長するが、その後の光合成で得られた有機成分は、それぞれの稈の直径や高さの成長には充てられず、地下茎に蓄えられる。林野庁の資料はそう述べ、蓄えられた成分は新しいたけのこや稈の成長に使われるとする[8]。
これで、竹の一年が一つの輪としてつながる。前の年の秋に芽子がふくらむ[7]。春にたけのことして出て、地下茎の養分を使って数十日〜数か月で竹になる[6]。その竹の葉が光合成で得た養分は、また地下茎に蓄えられ、次の年の準備になる[8]。
ここから、一つの見方が出てくる。竹林の竹は、一本ずつが独立しているというより、地下茎を通じてつながったまとまりとして働いている。ただしこの「つながり」は、ここで使った資料が直接述べているわけではなく、地下茎の貯蔵という説明からの推測だ。そのため、確かな事実とは分けて読む。
竹を 見つけたら、ふしを かぞえて みよう
近所の竹で、節の数を数えてみよう
近所の竹と一次資料で、「準備された芽」を確かめる
こうえんや 竹やぶの そとから、竹を 見つけたら、ふしを 下から 数えて みましょう。たけのこの ときに、ふしの かずは もう きまって いたと いう せつめいも あります[4]。
ほそい 竹と ふとい 竹の ふしの かずを くらべると、どうでしょう。ただし 竹は とげや かたい きりくちが あるので、さわるのは そっと。竹やぶには ひとりで はいらず、おうちの 人と いきましょう。
公園や、竹林の外から見える竹で、節を下から数えてみます。細い竹と太い竹で、節の数はちがうでしょうか。近くに立つ背の高い竹と低い竹も見くらべてみましょう。
「節の数は、たけのこの段階で決まっている」という説明もあります[4]。数えた結果を、その説明と並べてみましょう。切り口やとげに気をつけ、竹林には一人で入らず、勝手に折ったり切ったりしません。
調べてみたくなったら、林野庁の「竹の性質」のページや、農林水産省の「aff」2021年3月号の竹の特集が、入り口になります[1][2]。
確かめられることは二つある。一つは、近所の竹の節を下から数え、細い竹と太い竹、背の高い竹と低い竹で比べること。「節の数はたけのこの段階で決まる」という説明[4]と、見た目が合うかを自分の目で見る。竹林の竹は切り口やとげがあるので、一人で入らず、勝手に折ったり切ったりしない。
もう一つは、一次資料に当たることだ。林野庁の「竹の性質」は、毎年の発生・隔年の豊凶・1日の伸びの記録まで、短くまとめている[1]。農林水産省の「aff」2021年3月号には、東京大学の久本洋子助教による竹の生態の解説がある[2]。熊本県・石川県・林野庁の利用資料も、本文を読んで年数や時期の条件を確かめてみるとよい[6][7][8]。
この記事を書くために見た範囲では、芽が動く時期や貯蔵の細かい数字は、資料の間で十分にそろっていなかった。そこが次に調べる入口になる。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
数字や説明は、公的機関や研究機関の資料をもとにしています。資料によって数え方がちがうところは、そのまま本文で説明しました。
- 林野庁「竹の性質」 https://www.rinya.maff.go.jp/j/tokuyou/take/seisitu.html (毎年の発生・1日の伸びの記録・地下茎の年齢と表年裏年)
- 農林水産省 aff 2021年3月号「身近で不思議なタケの生態に迫る!」(東京大学 久本洋子助教) https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2103/spe1_01.html (成長点・半年で若竹)
- 農林水産省 aff 2021年3月号「これからが旬!たけのこで「春」を感じよう」 https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2103/spe1_02.html (穂先の色の変化)
- ウェザーニュース「竹は木、草、どっち?」(近畿大学 井上昭夫氏の解説) https://weathernews.jp/news/202604/280131/ (節の数・節ごとの伸び。報道記事の専門家談話)
- 京都市洛西竹林公園「竹博士の研究室」 https://chikurin-park.com/knowledge_02 (約100日・地下茎の寿命)
- 熊本県林業研究・研修センター「タケノコ栽培の手引」 https://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/attachment/240466.pdf (50日前後・2〜5年生・貯蔵養分。検索抜粋で確認)
- 石川県林業試験場「石川の森林・林業技術 No.12 モウソウチク林の駆除と森林化」 https://www.pref.ishikawa.lg.jp/ringyo/publish/documents/mousoutiku-1.pdf (秋の芽のふくらみ。検索抜粋で確認)
- 林野庁「竹の利用に関する資料」 https://www.rinya.maff.go.jp/j/tokuyou/take-riyou/attach/pdf/index-3.pdf (光合成産物の貯蔵。検索抜粋で確認)
なおした ところ
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