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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

麦茶は「お茶」なのに、なにから つくるの?

麦茶の「茶」は何からできている? 茶葉を使わない麦茶の作り方と、冷たくなるまで

茶葉を使わない麦茶は、何をどう加工して作られ、いつ冷たい飲み物になったのか ── 焙煎・麦湯・冷蔵庫

分野:技術

麦茶の「茶」には、お茶の葉が はいって いません。つかうのは、大麦です。

では、かたい 麦の つぶが、どうして あの 茶色と こうばしい かおりに なるのでしょう。かぎは、麦を 高い おんどで いる ことです。つめたく のむように なったのは、れいぞうこが 家に ひろまった ころでした[1]。むかしは あたたかい 麦茶だった ことや、つめたく のむように なった わけも 分かります。

麦茶には「茶」とつきますが、茶葉は使いません。原料は大麦で、緑茶や紅茶とは、植物からしてちがいます[1]。

では、その大麦はどうやって、あの茶色と香ばしさの飲み物になるのでしょうか。かぎは、大麦を高い温度で炒る「焙煎」です[1]。冷たく飲むのが広まったのは、昭和30年代(1955〜1964年ごろ)に冷蔵庫が家庭に広まったころでした[1]。江戸の夏の夜に飲まれていた温かい麦茶の姿と、冷たく飲むようになった時期まで分かります。

麦茶に「茶」の字がつくのに、原料は茶葉ではなく大麦(主に六条大麦)である[1]。緑茶・ウーロン茶・紅茶は同じ茶葉を発酵の度合いで作り分けるが、麦茶はその外にある。

では、穀物の大麦が飲み物の香りを持つのは、どの工程のおかげか。そして、江戸では温かく飲まれた麦湯が、いつ「冷やして飲む麦茶」になったのか。要点を先に言えば、香りを生むのは高温で炒る焙煎で、冷やして飲む習慣は昭和30年代(1955〜1964年ごろ)に冷蔵庫が家庭に広まったころに広がった[1][3]。加工の温度と、飲み方が変わった時期が分かる。

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1. 「茶」なのに、お茶の葉を つかわないの?

1. 緑茶・紅茶と麦茶は、どこがちがう?

1. 緑茶・紅茶・ウーロン茶と、麦茶は何がちがうのか

緑茶も、ウーロン茶も、こうちゃも、もとは お茶の葉です。葉を どのくらい はっこうさせるかで、3つに わかれます[1]。

ところが 麦茶は、お茶の葉を つかいません。つかうのは 大麦で、「ろくじょう大麦」という しゅるいが おもに つかわれます[1]。

お米や パンの なかまの 麦から、お茶のような のみものが できる。なんだか ふしぎですね。「茶」は、のみものの 名前に ついた 言葉だと 考えると 分かりやすいです。

お茶売り場に並ぶ緑茶、ウーロン茶、紅茶は、じつは同じ茶の木の葉から作られます。ちがいは、葉をどのくらい発酵させるかです[1]。

麦茶は、この仲間に入りません。農林水産省東海農政局の資料によると、原料は大麦で、主に六条大麦が使われます[1]。六条大麦は、穂を上から見ると実が六列に並ぶ大麦です。

お米やパンの原料に近い穀物から、お茶のような飲み物ができる。その入り口にあるのが「焙煎」という作業です。

緑茶・ウーロン茶・紅茶は、同じ茶葉を発酵させる度合いで作り分けた飲み物だ。一方、麦茶は茶葉を使わず、原料は大麦、なかでも主に六条大麦である[1]。ここまでは一次の公的資料(農林水産省東海農政局)が明記している。

それなら、穀物の大麦が飲み物の香りをもつのは、どの段階か。答えは、発酵ではなく加熱乾燥にある。次の章で、その工程を見る。

2. 麦が こうばしい かおりに なる ひみつは?

2. 大麦は、どんな高さの温度で焙煎ばいせんされるのか

2. 大麦の香りは、どの工程で生まれるのか ── 焙煎ばいせんの温度と回数

ひみつは、焙煎ばいせんです。あぶらや 水を つかわずに、麦を あつく して かわかす ことを いいます[1]。

麦茶を つくる 会社の あつまりは、えらびぬいた 大麦を 200〜280℃の 高い 温度で、2〜3回 ていねいに 焙煎ばいせんすると、あの こうばしい かおりが うまれると 話して います[3]。

水が ふっとうする 温度は 100℃です。それより ずっと 高い 温度で やく 場合も ある、ということですね。ただし 温度は 会社に よって ちがいます。

パックの 麦茶は、麦を ためる、えらぶ、焙煎ばいせん、ひやす、こなに する、小分けに つつむ、の じゅんで つくられます[1]。

油も水も使わず、熱だけで

焙煎とは、油や水を使わず、食材を加熱して乾燥させることです[1]。コーヒー豆でおなじみの作業ですが、麦茶の大麦にも使います。

記念日の解説ページには、全国麦茶工業協同組合の説明として、精選した大麦を200〜280℃の高温で、2〜3回ていねいに焙煎することで香ばしい香りと風味が生まれる、と紹介されています[3]。お湯が沸く温度の100℃より、ずっと高い数字です。ただし、これは焙煎機の側の目安で、麦そのものの温度ではありません。メーカーによっても差があります。

工場での流れ

パック麦茶の工程は、大麦を貯蔵する、選別する、焙煎する、冷やす、粉砕する、小分けして包装する、の順です[1]。焙煎のあとに「冷やす」工程が入ることは分かりますが、その理由は資料に書かれていません。

麦茶の香りは、発酵ではなく焙煎で作られる。焙煎とは油や水を使わず食材を加熱乾燥する作業で、農林水産省東海農政局の資料はこれを麦茶づくりの中心に置く[1]。ではその温度はどれくらいか。全国麦茶工業協同組合の説明として紹介された値では、精選した大麦を200〜280℃で2〜3回焙煎し、香ばしい香りと風味を出すという[3]。水の沸点100℃より高い温度で焙煎する場合がある、ということになる。

ただしこの温度は、記念日解説ページ経由の二次的な紹介で、メーカー・工程によって異なる。また焙煎機側の設定の目安として読むべきで、麦粒そのものの温度ではない。だから「麦を280℃で焼く」と言い切る書き方は避けたい。

パック麦茶の工程は、貯蔵→選別→焙煎→冷却→粉砕→小分け包装の順に説明される[1]。この工程もメーカーごとに細部が異なる。焙煎のあとに冷却が置かれる理由は、資料に書かれていない。

3. むかしの 麦茶は、あたたかかったの?

3. 江戸の夏の夜は、行灯の「麦湯」で涼んだ

3. 江戸の「麦湯」は温かく、夜の店で売られた

江戸えどの 町の 夏の 夕がた。「麦湯」と かいた あかりが、道ばたに ともります。麦湯は、麦茶の むかしの 名前です。

この 店は、麦湯だけを 出す お店でした。いまの きっさてんや カフェのような ものです[1]。のむのは、つめたい 麦茶では なく、あたたかい 麦湯でした。

じしょには、夕がたから 町ごとに「麦湯」の あかりを 出した、と かいて あります[2]。そのころは まだ、冷蔵庫れいぞうこは ありません。

夏の夕方になると、町ごとに「麦湯」と書いた行灯を出す店が現れた。天保のころの記録として、辞典にはそう書かれています[2]。行灯は、紙で囲った昔の明かりです。

麦湯屋は、江戸時代から広く飲まれるようになった麦湯だけを扱う専門店でした。今の喫茶店やカフェのような店だった、と農林水産省の資料は説明します[1]。行灯を出す店のようすは辞典に書かれたもので、江戸の人が書いた原典そのものではありません。

この麦湯は、昔は温かいものが普通でした[1]。麦湯そのものはさらに古く、原形は平安時代に飲まれていたとされ、そのころは貴族の飲み物でした。庶民の飲み物になったのは江戸時代からです。呼び名はずっと「麦湯」のままでした[1]。

江戸の夏の夕方、町ごとに「麦湯」と書いた行灯を出す店が現れ、麦湯店と呼ばれた。天保のころの記録を引く辞典の記述による[2]。ただしこれは辞典経由の二次情報で、原典の『守貞謾稿』を直接たどったものではない。

麦湯屋そのものは、江戸時代から一般に飲まれるようになった麦湯だけを扱う専門店で、現在の喫茶店やカフェに近い、と農林水産省東海農政局の資料は説明する[1]。同資料によれば、麦湯の原形は平安時代に飲まれたとされ、当時は貴族の飲み物だった。庶民のものになったのは江戸時代で、呼び名は江戸時代も「麦湯」のままである[1]。平安期の飲み方の詳細は資料により異なり、確かなことは「そう伝えられる」にとどまる。

当時の麦湯は、温かく飲むのが普通だった[1]。冷蔵庫のない時代に、夏の夜に温かい飲み物を売る店が成り立ったことになる。では、いつ、なぜ「冷たい麦茶」に変わったのか。

4. 麦茶は、いつから つめたく なったの?

4. 冷蔵庫が家に広まったころ、麦茶は冷たく飲まれるようになった

4. 麦湯が「冷やして飲む麦茶」になったのは、いつか

おうちで のむように なったのは、明治めいじ時代の あとです。いった 麦を 買ってきて、おうちで にだして いました[1]。

つめたく のむように なったのは、昭和しょうわ30年代、1955年から 1964年ごろの ことです。冷蔵庫れいぞうこが 家に ひろまった ころの ことです。そのころから、「麦茶」と いう よびかたが 広まったと いわれます[1]。

6月1日は「麦茶の日」です。6月は 大麦を とる 時期で、1986年に 麦茶を つくる 会社の あつまりが きめました[3]。

家庭に来た麦茶

家庭で麦湯を飲むようになったのは、明治時代以降です。炒った麦を買ってきて、自宅で煮出しました[1]。

冷蔵庫が広まったころの麦茶

冷やして飲むようになったのは、昭和30年代(1955〜1964年ごろ)に冷蔵庫が家庭に広まってからです。そのころ「麦茶」という呼び方が定着した、と資料は説明します[1]。冷蔵庫と呼び名の関係は、資料の説明であり、それ以上の因果は言い切れません。

夏の台所で、冷たい麦茶が冷蔵庫から出てくる。私たちが当たり前に思う光景は、昭和の家庭に冷蔵庫が広まったころ、冷たい麦茶を飲む習慣も広がりました。

6月1日は麦茶の日

全国麦茶工業協同組合は、1986年(昭和61年)に6月1日を麦茶の日と定めました。6月は大麦の収穫期(麦秋)で、衣替えの日でもあり、麦茶の季節の始まりにふさわしいとされたためです[3]。

家庭で麦茶を飲むようになったのは明治時代以降で、炒った麦を買い、自宅で煮出す形だった[1]。ところが、これは江戸の麦湯と同じく温かい飲み物である。冷たい麦茶への転換は、昭和30年代(1955〜1964年ごろ)に冷蔵庫が家庭に普及してからで、冷やして飲む習慣が広がるとともに「麦茶」という呼び方が定着した、と農林水産省東海農政局の資料は述べる[1]。

ここで注意したいのは、因果の強さだ。資料は冷蔵庫の普及と名称の定着を並べて説明するが、冷蔵庫以外の要因(製品の発売時期や広告など)の影響までは述べていない。だから「冷蔵庫が麦茶を生んだ」と断定せず、「冷蔵庫の普及と同じ時期に、冷たい麦茶と呼び名が広まった」と読むのが妥当である。

季節との結びつきを示すのが、6月1日の麦茶の日だ。全国麦茶工業協同組合が1986年(昭和61年)に制定した。6月は大麦の収穫期にあたる「麦秋」で、衣替えの時期でもあり、麦茶の季節の始まりに合うとされた[3]。この制定理由は記念日解説ページ経由の情報である。

5. おうちで つくると、どんな ちがいが あるの?

5. 粒とパック、煮出しと水出しで、何が変わる?

5. 粒・パック・煮出しの選び方と、飲み切るまでの注意

麦茶には、大麦の つぶの まま のものと、こなに して パックに した ものが あります[1]。

つぶから にだすと、あじや かおりが いいと いわれます。パックは、手軽に つくれるのが いい ところです。すきな ほうを えらんで いいのです[1]。

大麦だけの 麦茶には、カフェインが はいって いません。あかちゃんでも 安心して のめると いわれています。ただし 麦茶も 生ものなので、できるだけ はやく のみきりましょう[1]。

家で作るときの選び方は、大きく2つあります。ひとつは粒かパックか。粒から煮出すと味や香りがいいといわれ、粉砕したティーバッグは手軽に作れるので、好みで選べます[1]。

もうひとつは、煮出すか、水に入れておくか。日本食品標準成分表(2010年版)の麦茶の浸出液は、水1.5リットルに麦茶50グラムを入れ、強火で沸騰させたら火を止めて5分おき、こした条件の値です。製品の表示どおりに浸出した場合も含みます[4]。50÷1.5で、水1リットルあたり約33グラムの計算になります。ただし、これは成分表の値を出すための条件で、おいしい濃さの目安ではありません。市販品は、袋の表示に従ってください。

大麦100%の麦茶には、カフェインが入っていません。農林水産省の資料は、赤ちゃんでも安心して飲めると説明します。ただし麦茶も生ものなので、できるだけ早く飲み切るよう勧めています[1]。ブレンド茶は別の飲み物なので、この話は大麦100%の場合です。

製品には、粒、ティーバッグ、ペットボトル・缶入りなどがある。農林水産省東海農政局の資料は、粒から煮出すと味や香りがよいといわれ、粉砕したティーバッグは手軽に作れるので、好みで選ぶよう勧める[1]。つまり、味か手軽さかの選択であり、どちらかが正解という話ではない。

浸出の条件には、文部科学省の日本食品標準成分表(2010年版)の注記が参考になる。麦茶(浸出液)は、水1.5Lに麦茶50gを入れて強火で沸騰させ、火を止めて5分おいてこすか、製品の表示に従って浸出した値とされる[4]。50÷1.5=約33で、水1Lあたり約33gの比率になる。ただしこれは成分値を揃えるための条件で、家庭向けの推奨濃度ではない。2010年版の記述であり、最新版の値は今回確認していないので、成分の数値は扱わない。

安全面では、大麦100%の麦茶はカフェインを含まず、同資料は赤ちゃんでも安心して飲めると説明する。しかし生ものであるため、できるだけ早く飲み切るよう注意も添える[1]。ブレンド茶など他の原料が入る製品は別に考える必要がある。煮出しや水出しの時間は製品により異なるため、パッケージの表示に従うのが最も確実だ。

6. ふくろの うらを 読んで みよう

6. 台所の麦茶の袋に、答えが書いてある

6. 袋の表示を読み、大麦の姿と煮出し方を確かめる

おうちに 麦茶が あれば、ふくろの うらを 見て みましょう。「大麦」と かいて あるか、どんな 作りかたが のって いるかを さがします。

つぶの 麦茶なら、1つぶ 取り出して、ようく 見てみます。こげ茶色で、少し われた ものも あるかも しれません。かおりも かいで みましょう。生の 大麦は、ここまで こうばしくは ありません。

にだす ときは、火や お湯を つかいます。かならず おとなと いっしょに やりましょう。

今日できること

家に麦茶があれば、袋の裏の原材料欄を見てみましょう。「大麦」だけなのか、ほかの穀物やお茶が混ざっているのか。その表示がわかれば、この記事のカフェインの話が当てはまるかどうかを自分で判断できます。

粒の麦茶があれば、一粒を手に取ってみます。焙煎された色と香りは、台所で確かめられる焙煎の名残です。火やお湯を使うときは、大人と一緒にしてください。

もっと調べるなら

農林水産省東海農政局の「麦茶ができるまで」は、子ども向けの語り口で麦茶の歴史と工程が書かれた資料です[1]。江戸の麦湯店を描いた原典『守貞謾稿』を探して読めば、辞典の説明とどこがちがうか比べることもできます。

家庭でできる確認は、袋の原材料表示を読むことだ。「大麦」だけか、ほかの穀物や茶葉が混ざっているかで、この記事のカフェインの説明が当てはまるかが決まる。粒の麦茶があれば、一粒を観察し、焙煎による色と香りを確かめられる。火や熱湯を使う作業は大人と行うこと。

資料としては、農林水産省東海農政局「麦茶ができるまで」(令和6年8月)が、工程と歴史をまとめている[1]。江戸の麦湯店の描写は辞典を経由した情報なので、原典『守貞謾稿』の該当箇所と照らし合わせれば、記述がどこまで確かなのかを自分で確かめられる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文の事実は次の資料にもとづきます。メーカーによる工程や温度の差、辞典経由の情報には、本文中で注意を添えました。

  1. 農林水産省 東海農政局「麦茶ができるまで」(令和6年8月) https://www.maff.go.jp/tokai/keiei/shokuhin/bunka/attach/pdf/chiikinodentou-47.pdf (原料・歴史・工程・カフェイン・飲み方)
  2. デジタル大辞泉「麦湯」(weblio辞書掲載) https://www.weblio.jp/content/%E9%BA%A6%E6%B9%AF (江戸の麦湯店の記述)
  3. 麦茶の日(記念日解説ページ) https://bestcalendar.jp/dates/kinenbi/2489 (麦茶の日の制定・焙煎温度の紹介)
  4. 文部科学省「日本食品標準成分表2010」 https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu3/attach/1299203.htm (麦茶浸出液の調理条件)

なおした ところ

更新履歴

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