1. さして しぬのは、みつばちだけ?
1. 刺して死ぬハチと、刺しても平気なハチ
1. 針が離れるハチと、離れないハチ
みつばちが 人を さすと、はりは 体から はなれると いわれます[1]。ほかの さす むしとは ちがう、と いわれて います[1]。
すずめばちの なかまの はりには、ミツバチのような おおきな とげは ありません。なんども させると いわれて います[2]。
女王ばちや くまばちの はりも なめらかで、人などを なんども させる ようです[3]。
では、みつばちの はりには、なにが あるのでしょう。
2. はりは、つりばりに にて いる?
2. 一方向にしか進めない、逆とげの針
2. 逆とげによる一方向の牽引と、針が抜けない条件
はりの まわりには、ぎゃくむきの とげが あります。つりばりの「かえし」に にて います[1]。
とげが あると、はりは おく へ すすむ ときは いいのですが、もどる ときには ひっかかります。
そのため、はりは 皮ふに ささった まま、みつばちの 体から ちぎれると いわれます[3]。しばらくして、みつばちは しぬと いわれて います[3]。
ただし 本当は、つりばりと ちがって、はりが ぬけなく なるのは、人の ように 皮ふが のびちぢみして あつい あいての ときだと、ネットの じてんなどに かかれています(くわしい ほんでは たしかめて いません)[3]。
結束バンドのようなギザギザ
針の先には、逆向きのとげが並んでいます。とげのおかげで、針は一方向にだけ引っぱる力を受けます。針が離れたあとも動き、とげのせいで肉の奥へ進むことがある、と説明されています[1]。ケーブルをまとめる結束バンドが、締める向きにしか進まないのと似ています。ただし針は、自分の力でさらに奥へ動くところが、結束バンドとは違います。
針が抜けなくなる相手
針は皮膚に引っかかったまま、ミツバチの腹部からちぎれ、ミツバチは短い時間のうちに死ぬとされます。これは二次資料の記述です[3]。針が抜けなくなるのは、哺乳類のように皮膚に弾力があって厚い相手のときで、他の昆虫が相手なら引っかからず、何度も刺せると説明する資料もあります。ただし、これは二次資料にもとづく条件です[3]。
3. はなれた はりが、うごきつづける?
3. 体から離れても、針は毒を送り続ける
3. 離れた針の毒注入 ── 弁とピストンの仕組みと、取り除く速さ
ちぎれた はりには、どくの ふくろが ついて います。はりの ねもとには、ポンプのような しくみが あります[1]。
この ポンプが、ふくろの どくを おし出します。しかも、はりが 体から はなれた あとも、どくを おくり つづけると いわれます[1]。
はらの さきの 一ぶも、いっしょに ついて くると いう せつ明も あります[6]。ただ、どこまでが ついて くるかは、まだ はっきり しません。
そこで、はやく はりを とった ほうが、はれが 小さく なった、という けんきゅうが あります[1]。ほんの すこしの あいだでも、ちがいが 出たそうです。
昔ながらの水ポンプのような仕組み
針は2本の細い針(やり)が組み合わさってできていて、根もとの弁とピストンが、毒ぶくろから毒を押し出します。解説では、昔の手押しの水ポンプにたとえられています[1]。針が体から離れたあとも、この仕組みは毒を送り続けます[1]。
何がいっしょに離れるのか
一般向けの解説には、腹部の先の一部、神経の集まり、筋肉、毒ぶくろ、消化管の端などが針についてくる、という説明があります[6]。ただし、これは一般向け解説の記述です。「内臓が抜ける」と大きく言うより、「体の先が一部ちぎれる」ぐらいに受け取るのが安全です。
数秒でも差が出る
UCRの解説によると、刺されてから針を取るまでの時間が長いほど、赤い腫れは大きくなりました。0.5秒から8秒までの遅れでも差が出たという要約です[1]。実験では、取る方法よりも、取る速さのほうが大切だと報告されています。刺されたときの針の取り方は、この記事では案内しません。医療機関や公的機関の案内を確かめてください。
UCRの解説によると、針の可動する2本の槍状部の根もとに弁とピストンがあり、旧式の水ポンプのように毒嚢から毒を押し出す。針が体から離れた後も、この装置は毒を注入し続ける[1]。
針に付随する部位については、一般向け解説(ScienceABC)に、腹部末端の一部、神経節、筋肉、毒嚢、消化管の末端がついてくるとの記述がある[6]。範囲は限って読む必要がある。
UCRの実験の要約では、刺してから針を取るまでの遅れが0.5〜8秒の範囲で、遅いほど膨疹が有意に大きくなった。同じ解説は、取る方法より速さが重要だと報告している[1]。針の具体的な取り方はこの記事では扱わない。刺されたときの手当は、医療機関などの案内に従ってほしい。
4. どうして、しんで まで さすの?
4. 一匹の死と、巣の防衛
4. 巣の防衛と警報フェロモン
みつばちは、すを まもる ために さすと いわれます[5]。すには、たくさんの なかまが くらして います。
はりの ねもとからは、あぶないよ、と 知らせる においが 出ます。この においを かぐと、ほかの みつばちが さす かのうせいが たかく なると いわれます[1]。
ただし、なぜ こんな しくみが できたのかは、はっきり 言えません。
5. はりは、もともと なんの ための もの?
5. 針は、もとは卵を産む管だった
5. 産卵管の変化としての針 ── 毒針で刺すのはメス
はりは、もともと たまごを うむ ための くだが、かたちを かえた もの、と いわれます[4]。
だから、どくの はりで さすのは メスです[4]。
神戸大学の 発表には、ドロバチという ハチの オスの中に、どくの ない とげで ちくっと さす ものが いる、という 話も あります[4]。
ミツバチの はりが ぬけるのも、そんな くだの かたちが もとに なって いるのかも しれません。ここは、まだ 分かりません。
針は産卵管が変化したもの
神戸大学のニュースでは、ハチの毒針は産卵管が変化したものだと説明されています。そのため、毒針で刺すのはメスです。ただし同じ発表には、ドロバチの一部のオスが、交尾に使う器官のとげ(毒はない)で刺す例も出てきます[4]。
ここから先は、まだ分からないこと
逆とげのある針が、産卵管のどんな形から生まれたのかは、この資料からは分かりません。ミツバチとスズメバチで針の形が違う理由は、これから自分で調べてみたい問いです。
神戸大学の発表によると、ハチの毒針は産卵管が変化したもので、毒針で刺すのはメスである。ただし同じ発表は、ドロバチの一部のオスが、交尾器のとげ(偽針。毒はない)で刺す例にも触れている[4]。
逆とげのある針が産卵管の構造から進化した過程は、この資料からは分からない。ミツバチの針が抜ける仕組みの詳細は、2023年のiScience誌の働きバチの針の論文(PubMed 37485367)などにあたる必要がある。
自分でも しらべて みたく なったら
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
としょかんの ずかんで、みつばちと すずめばちの 体の えを 見くらべて みましょう。はりの かたちが、どう かいて あるか、さがして みます。
ハチを 見かけても、さわったり、すに ちかづいたり しては いけません。とおくから、そっと 見ましょう。
今日できること:図書館の図鑑で、ミツバチ、スズメバチ、マルハナバチの針や体の描かれ方を見比べてみると、この記事の「とげの強さの差」が実際の絵でどう表されているかが確かめられます。
出かけてできること:花にくるミツバチを、遠くから観察してみてください。巣には近づかず、触らないことが大切です。
公式情報:刺されたときの手当は、医療機関や自治体などの案内を見てください。この記事は医療の助言ではありません。
図書館の図鑑で、ミツバチ・スズメバチ・マルハナバチの針の描かれ方を見比べ、この記事の「とげの強さの差」が絵でどう表されているか探してみよう。
針が産卵管の変化だという点や、ドロバチのオスの話は、神戸大学のニュース[4]が日本語で読める。針の構造の出典は、下の資料の一覧にまとめてある。刺されたときの手当は、この記事ではなく医療機関などの案内に従うこと。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
出典について:大学の解説、医学書、Wikipedia、神戸大学の発表、日本語の解説サイトを使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。
- UC Riverside Bee Research Facility「Bee Sting Removal」。https://bees.ucr.edu/bee-sting-removal (針の逆とげ、離れた針のポンプ、警報フェロモン、取り除く速さについて)
- StatPearls「Hymenoptera Stings」。https://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/books/n/statpearls/article-18182/ (スズメバチ科の針、針の取り方について)
- Wikipedia「Bee sting」。https://en.wikipedia.org/wiki/Bee_sting (ハチの種類による針の違い、針が抜けなくなる条件について。二次資料)
- 神戸大学ニュース「ドロバチのオス」(2022年12月20日)。https://www.kobe-u.ac.jp/ja/news/article/2022_12_20_01/ (針が産卵管の変化であること、オスが刺せないことについて)
- ハチ110番「ミツバチの針」。https://www.sharing-tech.co.jp/hachi/honeybee-hari/ (巣を守るために刺すという説明について)
- ScienceABC「Why Does A Bee Die Right After It Stings You?」。https://www.scienceabc.com/nature/animals/why-does-a-bee-die-right-after-it-stings-you (針についてくる体の一部について。一般向けの解説)
なおした ところ
更新履歴
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