このサイトは、ほんの入り口です

ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

みつばちは、さすと どうして しんで しまうの?

刺したミツバチが死ぬのは、針が「抜けない」からなのか

ミツバチの針はなぜ体から抜けないのか ── 逆とげ、毒を送り続ける針、産卵管という起源

分野:生きもの

みつばちは、人を さすと、しんで しまうと いわれます。ところが、女王ばちや すずめばちは、なんども させるようです。

ちがいは、はりの かたちに ありました。いっしょに、のぞいて みましょう。

ミツバチは、人を刺すと死んでしまうといわれます。それなのに、同じハチの仲間でも、スズメバチや女王バチは何度も刺せるようです。

この差は、針の形と、相手の皮膚の性質から説明されています。針が体から離れたあとも毒が送られ続けるという、意外な仕組みも見ていきます。

セイヨウミツバチの働きバチは、哺乳類を刺すと針が体から離れ、死ぬとされる[1][3]。一方、スズメバチ科などの針は逆とげがなく、何度も刺せると説明される[2]。

このメモでは、針の構造、離れた針の動き、集団としての防衛、針の起源を、大学の解説・医学書・研究機関の発表などをつき合わせてたどる。確かめきれていない点は、その旨を書く。

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1. さして しぬのは、みつばちだけ?

1. 刺して死ぬハチと、刺しても平気なハチ

1. 針が離れるハチと、離れないハチ

みつばちが 人を さすと、はりは 体から はなれると いわれます[1]。ほかの さす むしとは ちがう、と いわれて います[1]。

すずめばちの なかまの はりには、ミツバチのような おおきな とげは ありません。なんども させると いわれて います[2]。

女王ばちや くまばちの はりも なめらかで、人などを なんども させる ようです[3]。

では、みつばちの はりには、なにが あるのでしょう。

針が体から離れるのは、ミツバチの特徴

カリフォルニア大学リバーサイド校のミツバチ研究室の解説では、セイヨウミツバチは刺したあとに針が体から離れ、この点は他の刺す昆虫と対照的だとされています[1]。

何度も刺せるハチもいる

医学書の記述では、スズメバチ科の針には逆とげがなく、何度も刺せるとされています[2]。女王バチや、マルハナバチ、多くの単独性のハチも、針がなめらかで小さなとげしかなく、哺乳類を繰り返し刺せると説明されています[3]。

ただし、スズメバチの一部にも小さなとげはあるとされます。「ミツバチだけが特別」と言い切らず、とげの強さの違いと考えるほうが正確そうです[3]。

UCRのミツバチ研究室の解説は、セイヨウミツバチの針は刺した後に体から離れ、他の刺す昆虫とは対照的だと述べる[1]。医学書StatPearlsは、スズメバチ科は逆とげのある針をもたず複数回刺せると記す[2]。

Wikipediaの記述では、セイヨウミツバチは強い逆とげのある針をもつ唯一のハチ類で、スズメバチ類の一部にも小さなとげはある。女王バチ、マルハナバチ、多くの単独性のハチは、針がなめらかで小さなとげしかなく、哺乳類を繰り返し刺せるという[3]。「ハチのうちミツバチだけ」と単純化せず、とげの強さの程度差として読むのが安全だ。

2. はりは、つりばりに にて いる?

2. 一方向にしか進めない、逆とげの針

2. 逆とげによる一方向の牽引と、針が抜けない条件

はりの まわりには、ぎゃくむきの とげが あります。つりばりの「かえし」に にて います[1]。

とげが あると、はりは おく へ すすむ ときは いいのですが、もどる ときには ひっかかります。

そのため、はりは 皮ふに ささった まま、みつばちの 体から ちぎれると いわれます[3]。しばらくして、みつばちは しぬと いわれて います[3]。

ただし 本当は、つりばりと ちがって、はりが ぬけなく なるのは、人の ように 皮ふが のびちぢみして あつい あいての ときだと、ネットの じてんなどに かかれています(くわしい ほんでは たしかめて いません)[3]。

結束バンドのようなギザギザ

針の先には、逆向きのとげが並んでいます。とげのおかげで、針は一方向にだけ引っぱる力を受けます。針が離れたあとも動き、とげのせいで肉の奥へ進むことがある、と説明されています[1]。ケーブルをまとめる結束バンドが、締める向きにしか進まないのと似ています。ただし針は、自分の力でさらに奥へ動くところが、結束バンドとは違います。

針が抜けなくなる相手

針は皮膚に引っかかったまま、ミツバチの腹部からちぎれ、ミツバチは短い時間のうちに死ぬとされます。これは二次資料の記述です[3]。針が抜けなくなるのは、哺乳類のように皮膚に弾力があって厚い相手のときで、他の昆虫が相手なら引っかからず、何度も刺せると説明する資料もあります。ただし、これは二次資料にもとづく条件です[3]。

UCRの解説によると、針の逆とげは一方向のみの牽引を生み、針は肉の奥へ進み続ける[1]。針は皮膚に引っかかった状態で腹部から脱落し、ミツバチは数分で死ぬとされるが、これは二次資料の記述であり、時間を断定はできない[3]。

針が抜けなくなる条件は、相手の皮膚が哺乳類のように厚く弾力があることとされ、他の昆虫相手では引っかからず、ミツバチも何度も刺せるとする説明もある。ただしこれは二次資料にもとづく条件だ[3]。ミツバチの死因も、資料によって表現が異なるため、ここでは「腹部がちぎれる」ことに触れるにとどめる。

3. はなれた はりが、うごきつづける?

3. 体から離れても、針は毒を送り続ける

3. 離れた針の毒注入 ── 弁とピストンの仕組みと、取り除く速さ

ちぎれた はりには、どくの ふくろが ついて います。はりの ねもとには、ポンプのような しくみが あります[1]。

この ポンプが、ふくろの どくを おし出します。しかも、はりが 体から はなれた あとも、どくを おくり つづけると いわれます[1]。

はらの さきの 一ぶも、いっしょに ついて くると いう せつ明も あります[6]。ただ、どこまでが ついて くるかは、まだ はっきり しません。

そこで、はやく はりを とった ほうが、はれが 小さく なった、という けんきゅうが あります[1]。ほんの すこしの あいだでも、ちがいが 出たそうです。

昔ながらの水ポンプのような仕組み

針は2本の細い針(やり)が組み合わさってできていて、根もとの弁とピストンが、毒ぶくろから毒を押し出します。解説では、昔の手押しの水ポンプにたとえられています[1]。針が体から離れたあとも、この仕組みは毒を送り続けます[1]。

何がいっしょに離れるのか

一般向けの解説には、腹部の先の一部、神経の集まり、筋肉、毒ぶくろ、消化管の端などが針についてくる、という説明があります[6]。ただし、これは一般向け解説の記述です。「内臓が抜ける」と大きく言うより、「体の先が一部ちぎれる」ぐらいに受け取るのが安全です。

数秒でも差が出る

UCRの解説によると、刺されてから針を取るまでの時間が長いほど、赤い腫れは大きくなりました。0.5秒から8秒までの遅れでも差が出たという要約です[1]。実験では、取る方法よりも、取る速さのほうが大切だと報告されています。刺されたときの針の取り方は、この記事では案内しません。医療機関や公的機関の案内を確かめてください。

UCRの解説によると、針の可動する2本の槍状部の根もとに弁とピストンがあり、旧式の水ポンプのように毒嚢から毒を押し出す。針が体から離れた後も、この装置は毒を注入し続ける[1]。

針に付随する部位については、一般向け解説(ScienceABC)に、腹部末端の一部、神経節、筋肉、毒嚢、消化管の末端がついてくるとの記述がある[6]。範囲は限って読む必要がある。

UCRの実験の要約では、刺してから針を取るまでの遅れが0.5〜8秒の範囲で、遅いほど膨疹が有意に大きくなった。同じ解説は、取る方法より速さが重要だと報告している[1]。針の具体的な取り方はこの記事では扱わない。刺されたときの手当は、医療機関などの案内に従ってほしい。

4. どうして、しんで まで さすの?

4. 一匹の死と、巣の防衛

4. 巣の防衛と警報フェロモン

みつばちは、すを まもる ために さすと いわれます[5]。すには、たくさんの なかまが くらして います。

はりの ねもとからは、あぶないよ、と 知らせる においが 出ます。この においを かぐと、ほかの みつばちが さす かのうせいが たかく なると いわれます[1]。

ただし、なぜ こんな しくみが できたのかは、はっきり 言えません。

巣を守るために刺す

ミツバチは、おもに巣を守るために攻撃するとされます。巣を守るために刺す、と日本語の解説サイトは説明しています[5]。ただし、刺した一匹が死ぬことの意味や、「犠牲になるために進化した」かどうかまでは、この資料では分かりません。

針の根もとから出るにおい

針の根もとからは警報フェロモンが出ていて、これを受け取った他のミツバチは、刺す可能性が高まると説明されています[1]。針が体から離れたあとも、このにおいが仲間に届くのかどうかは、この解説からは分かりません。

ミツバチは巣を防衛するために攻撃するとされる。ただし、刺した個体が死ぬことの意味や、「犠牲になるために進化した」かどうかまでは、この資料の範囲では分からない[5]。

UCRの解説には、針の基部から出る警報フェロモンが仲間の刺す可能性を高める、とある[1]。個体の死と集団の防衛がどう結びつくかは、この解説の範囲では分からない。

5. はりは、もともと なんの ための もの?

5. 針は、もとは卵を産む管だった

5. 産卵管の変化としての針 ── 毒針で刺すのはメス

はりは、もともと たまごを うむ ための くだが、かたちを かえた もの、と いわれます[4]。

だから、どくの はりで さすのは メスです[4]。

神戸大学の 発表には、ドロバチという ハチの オスの中に、どくの ない とげで ちくっと さす ものが いる、という 話も あります[4]。

ミツバチの はりが ぬけるのも、そんな くだの かたちが もとに なって いるのかも しれません。ここは、まだ 分かりません。

針は産卵管が変化したもの

神戸大学のニュースでは、ハチの毒針は産卵管が変化したものだと説明されています。そのため、毒針で刺すのはメスです。ただし同じ発表には、ドロバチの一部のオスが、交尾に使う器官のとげ(毒はない)で刺す例も出てきます[4]。

ここから先は、まだ分からないこと

逆とげのある針が、産卵管のどんな形から生まれたのかは、この資料からは分かりません。ミツバチとスズメバチで針の形が違う理由は、これから自分で調べてみたい問いです。

神戸大学の発表によると、ハチの毒針は産卵管が変化したもので、毒針で刺すのはメスである。ただし同じ発表は、ドロバチの一部のオスが、交尾器のとげ(偽針。毒はない)で刺す例にも触れている[4]。

逆とげのある針が産卵管の構造から進化した過程は、この資料からは分からない。ミツバチの針が抜ける仕組みの詳細は、2023年のiScience誌の働きバチの針の論文(PubMed 37485367)などにあたる必要がある。

自分でも しらべて みたく なったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

としょかんの ずかんで、みつばちと すずめばちの 体の えを 見くらべて みましょう。はりの かたちが、どう かいて あるか、さがして みます。

ハチを 見かけても、さわったり、すに ちかづいたり しては いけません。とおくから、そっと 見ましょう。

今日できること:図書館の図鑑で、ミツバチ、スズメバチ、マルハナバチの針や体の描かれ方を見比べてみると、この記事の「とげの強さの差」が実際の絵でどう表されているかが確かめられます。

出かけてできること:花にくるミツバチを、遠くから観察してみてください。巣には近づかず、触らないことが大切です。

公式情報:刺されたときの手当は、医療機関や自治体などの案内を見てください。この記事は医療の助言ではありません。

図書館の図鑑で、ミツバチ・スズメバチ・マルハナバチの針の描かれ方を見比べ、この記事の「とげの強さの差」が絵でどう表されているか探してみよう。

針が産卵管の変化だという点や、ドロバチのオスの話は、神戸大学のニュース[4]が日本語で読める。針の構造の出典は、下の資料の一覧にまとめてある。刺されたときの手当は、この記事ではなく医療機関などの案内に従うこと。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:大学の解説、医学書、Wikipedia、神戸大学の発表、日本語の解説サイトを使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。

  1. UC Riverside Bee Research Facility「Bee Sting Removal」。https://bees.ucr.edu/bee-sting-removal (針の逆とげ、離れた針のポンプ、警報フェロモン、取り除く速さについて)
  2. StatPearls「Hymenoptera Stings」。https://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/books/n/statpearls/article-18182/ (スズメバチ科の針、針の取り方について)
  3. Wikipedia「Bee sting」。https://en.wikipedia.org/wiki/Bee_sting (ハチの種類による針の違い、針が抜けなくなる条件について。二次資料)
  4. 神戸大学ニュース「ドロバチのオス」(2022年12月20日)。https://www.kobe-u.ac.jp/ja/news/article/2022_12_20_01/ (針が産卵管の変化であること、オスが刺せないことについて)
  5. ハチ110番「ミツバチの針」。https://www.sharing-tech.co.jp/hachi/honeybee-hari/ (巣を守るために刺すという説明について)
  6. ScienceABC「Why Does A Bee Die Right After It Stings You?」。https://www.scienceabc.com/nature/animals/why-does-a-bee-die-right-after-it-stings-you (針についてくる体の一部について。一般向けの解説)

なおした ところ

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