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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

本屋さんは、うれなかった 本を どうして いるの?

本屋さんは、売れなかった本をどうしているのか ── 返せる仕組みと、本を選ぶ仕事

本屋の仕事は「売る」だけか ── 委託販売の返品と再販制度の上で、書店員は何を選んでいるのか

分野:歴史・文化

本屋さんに ならぶ 本の うち、4わり ぐらいが うれずに もどって くる、と いわれて います。本と ざっしを あわせた 目やすです[2]。

うれなかった 本は、すてて しまうのでしょうか。本屋さんは まいにち、なにを して いるのでしょう。この 記事で、そのこたえが わかります。

本屋さんで はたらく 人が えらぶ 「本屋大賞たいしょう」では、2026ねんに 490の お店の 698人が とうひょうしました[5]。

本屋さんの棚に並ぶ本のうち、書籍と雑誌を合わせて4割前後は、売れずに戻ってくるといわれています[2]。目安の数字ですが、思ったより多いと感じる人が多いのではないでしょうか。

売れ残る可能性がそれほど高いのに、本屋さんは毎日、どの本を並べるかを決めています。それを支えているのは何で、店の人は何を考えて棚をつくっているのでしょうか。この記事で、その見取り図が分かります。

書店員が自分で「売りたい本」を選ぶ本屋大賞でも、2026年は一次投票に490書店の698人が参加しました[5]。選ぶ仕事が、賞のかたちにもなっているのです。

書籍と雑誌を合わせた返本率は、40%前後に上るという[2]。ただし、これは売れずに出版社へ戻る割合の目安であって、書籍だけの数字ではない。

一方、書店員が「いちばん売りたい本」を選ぶ本屋大賞では、2026年の一次投票に490書店の698人が参加した[5]。

それほど返ってくるのに、書店はなぜ仕入れを続けられるのか。その背景にある委託販売と再販制度、そのうえで書店員が何を選び、何をすすめているのかが分かるように書く。

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1. 朝、本屋さんには なにが とどくの?

1. 朝、店に届く本の箱は、どこから来るのか

1. 取次から届く本 ── 出版社と書店のあいだに立つ問屋

本屋さんの 朝は、本の はこが とどく ところから はじまります。はこの 中身を ならべるのも、本屋さんの 大切な 仕事です[1]。

はこは、本を つくる 会社から じかに くるのでは ありません。まん中に、「とりつぎ」と いう 会社が あります。本を あつめて、全国の お店へ はこぶ 問屋さんの ような 役めです[3]。

大きな とりつぎは、にっぱんと トーハンの 2社だと されて います[3]。本屋さんは、この 道すじで 本を うけとります。

けれど、はこから 出した 本が ぜんぶ うれる とは かぎりません。うれなかったら、どう なるのでしょう。

書店員の仕事は、売ることだけではありません。出版社から取次を通じて送られてきた書籍や雑誌を、店頭に並べるところから始まります[1]。

取次とは、出版社と書店のあいだで本の流れを受け持つ会社です。大手として、日本出版販売(日販)とトーハンが挙げられます[3]。出版社が全国の書店と一軒ずつやりとりする代わりに、取次が間に立って本をまとめて運ぶ形です。

では、箱から出した本が売れなかったとき、書店はどうするのでしょうか。

書店員の基本的な仕事は、取次から送られてきた書籍や雑誌を店頭に並べることと、売れ残った商品を取次に返すことだ[1]。ここで出てくる取次とは、出版社と書店のあいだで流通を担う会社で、大手として日本出版販売(日販)とトーハンが挙げられる[3]。

出版社が全国の書店と個別に取引するより、問屋として間に入るほうが、小さな書店にも多様な本が届きやすい。ただし、この役割分担の説明は主に業界向けの解説にもとづいており、取次自身の公式な説明で補強されたものではない点には注意したい。

さて、この道すじには「戻る」方向の流れもある。売れ残った本を返せるのはなぜか、次の章で考える。

2. うれのこった 本は、かえして いいの?

2. 売れ残った本を返せるのは、なぜなのか

2. 委託販売と返本 ── 返せるから、まだ売れるか分からない本も並べられる

こたえは、「かえせる ことが ある」です。本は、きまった 期間の うちなら、うれのこりを とりつぎを とおして 会社へ かえして よい、と いう しくみが きほんに なって います[3]。これを 「いたく はんばい」と いいます。

ただし、いつでも かえせる わけでは ありません。期間が すぎたら、かえせない ことが あります[3]。

この しくみは、1908ねんに 大学館と いう 会社が 本で はじめて かえす ことを みとめたのが はじまり、と いわれて います[7]。むかしから ある 考えかたです。

かえせるから、本屋さんは まだ だれも 知らない 新しい 本も、思いきって ならべる ことが できます。

日本の本の売り方の基本は、委託販売です。書店は、委託されている期間のうちなら、売れ残りを返本できます[3]。期間を過ぎると返せないので、「いつでも返せる」わけではありません。

この仕組みの始まりは、1908年(明治41年)に大學館という出版社が、書籍ではじめて返品を認めたことだといわれます。それまでは、前金で注文する、買い切りの取引が中心でした[7]。

書店の側から見ると、返せるということは、まだ売れるかどうか分からない新しい本も、試しに並べられるということです。その結果、返ってくる割合は、書籍と雑誌を合わせて40%前後にも上るといいます[2]。

では、返せるなら、本屋さんは適当に仕入れても困らないのでしょうか。

日本の出版流通の基本は委託販売で、書店は委託期間内であれば、売れ残りを返本できる[3]。期間外は返せないので、無制限の返品ではない。

この仕組みは、1908年(明治41年)に版元の大學館が、それまで前金制や買い切り注文が中心だった書籍の販売で、はじめて返品を認めたのが始まりとされる[7]。

返せる仕組みのおかげで、書店は売れ行きの読めない新刊も、まず並べてみることができる。その代わり、返本率は書籍と雑誌の合計で40%前後に上る[2]。ここで注意したいのは、この数字が雑誌を含んだ平均だということだ。書籍だけの割合として読まない。

返せるなら仕入れは気楽だ、という単純な話ではない。書店には、何を並べ、何を返すかを決める仕事が残る。それは具体的に何をすることなのか。

3. 本屋さんは、どうやって 本を えらぶの?

3. 返せるからこそ、何を並べるかを選ぶ

3. 選書・発注から集客まで ── 棚とPOPで本をすすめる仕事

本屋さんの 仕事は、大きく 5つに わけられる ことが あります[2]。

ひとつ目は、どの 本を 入れるか えらんで ちゅうもんする こと。2つ目は、おきゃくさんに 本を うる こと。3つ目は、本の 数を かぞえて 管理かんりする こと。4つ目は、お店を きれいに たもつ こと。5つ目は、人に 来て もらう くふうです。

お店には、「ポップ」と いう 小さな 紙が はって ある ことが あります。本の すてきな ところを 書いた 紙です。話題の 人の 本を あつめて ならべる フェアも あります[1]。

どれも、おきゃくさんが 本を 手に とりたく なる ように する くふうです。

書店の業務は、選書と発注、接客・販売・発送、商品管理、店舗管理、集客の5つに整理されています[2]。ここまでの話を当てはめると、1番目の選書・発注は、返せるといっても、何を並べるかを考える仕事のことです。

書店員は、棚や台を、ポスターや札(POP)で飾ります。話題の人の本を集めたフェアも開き、来た人が本を手に取りやすい雰囲気をつくります[1]。

たとえば、手書きのPOPが評判になって全国に広まった本もあった、という話が伝えられています。

棚の本は、ただ並んでいるのではなく、誰かが選んで置いています。では、その本の値段は、どのように決まっているのでしょうか。

書店の業務は、「選書・発注」「接客・販売・発送」「商品管理」「店舗管理」「集客」の5分野に整理されている[2]。ここまで見てきた流れでいえば、返品できる仕組みの上で、何を発注し何を店に置くかを決めるのが、最初の分野にあたる。

決めたあとも仕事は続く。書店員は店頭のポスターや札(POP)で棚や台を飾り、話題の人の本を集めたフェアなどで、来店客が本を手に取りやすい雰囲気をつくる[1]。

こうした工夫が実際に売れ行きを動かした例も語られており、2001年に書店員が手書きしたPOPがきっかけで注目された本を、出版社が全国の書店に配ったところ、大きく売れたと伝えられる。

棚は売る場所である前に、読者に向けた書店員の編集物でもある。その棚に並ぶ本の値段は、どこで決まるのか。

4. どこの お店でも、本の ねだんは 同じなの?

4. 全国どこでも、本が同じ値段で買えるわけ

4. 再販制度 ── 独占禁止法の例外として認められた定価販売

「さいはん せいど」と いう きまりが あてはまる 本は、どこの お店でも 同じ ねだん です[3]。

この きまりが ゆるされて いる ものは、本、ざっし、しんぶん、おんがくの CDなど、かぎられて います[4]。なんでも 同じ ねだん に できる わけでは ありません。

だから、とおくの 町の 本屋さんでも、さいはん せいどの 本は 同じ ねだん で 買えます。

では、そんな 本屋さんを、おきゃくさんは どうやって 見つけて いるのでしょう。

再販制度の対象になっている本は、全国どこの書店でも同じ値段(定価)で買えます[3]。

独占禁止法は、本来は売る値段を決めて縛ることを禁じています。ところが第23条第4項は、例外を定めています。制度ができた1953年(昭和28年)に定価販売の慣行があった書籍・雑誌・新聞・レコード盤の4品目を、のちに音楽用テープと音楽用CDを加えた6品目に限って、定価での販売を認めているのです[4]。

この決まりがあるので、都会の大きな店でも、小さな町の店でも、対象の本は同じ値段で買えます。

値段が同じなら、お客さんが店を選ぶ理由は、何になるのでしょうか。

再販制度の対象となる本や雑誌は、全国どこの書店や販売店でも同じ値段で購入できる[3]。

独占禁止法は、売る側に価格を守らせる行為を原則として禁じる。ところが、第23条第4項は、再販売価格維持行為を認める「著作物」を限っている。昭和28年(1953年)の制度導入時に定価販売の慣行があった書籍・雑誌・新聞・レコード盤の4品目で、公正取引委員会は、のちに音楽用テープ・音楽用CDを加えた6品目に限る立場を示している[4]。なお、現行の条番号は第23条第4項で、旧条文では第24条の2にあたる。

同じ値段が保証されると、書店どうしの競争は、値引きではなく、どの本をどう並べ、どうすすめるかに向かう。これは筆者の整理であり、資料が直接述べた因果ではない点に注意する。

では、その「選び方」の腕は、書店員のあいだでどう評価されているのだろうか。

5. 本屋さんが えらぶ 賞しょうが あるって ほんと?

5. 本屋大賞 ── 書店員が選ぶ「いちばん売りたい本」

5. 本屋大賞 ── 書店員の投票が示す、「売りたい本」という基準

「ほんとう」です。「本屋大賞たいしょう」は、全国の 本屋さんで はたらく 人たちが、「いちばん うりたい 本」を えらぶ 賞しょうです[5]。

2026ねんは、490の お店の 698人が 1回目の とうひょうに くわわりました[5]。2回目は、345の お店の 470人です。2回目の 人たちは、のこった 作品を ぜんぶ 読んでから、いちばん うりたい 3つを えらびました[5]。

大賞たいしょうは、あさいリョウさんの 『イン・ザ・メガチャーチ』でした[5]。

本を すすめる 人の 目が、そのまま 賞しょうに なっているのです。

書店員の「選ぶ」目を、そのまま賞にしたのが本屋大賞です。全国の書店員が投票して決める、「いちばん売りたい本」の賞です[5]。

2026年は、一次投票に490書店の698人が参加しました。二次投票には345書店の470人が参加し、ノミネートされた作品をすべて読んだうえで、上位3作を選んでいます。大賞は朝井リョウさんの『イン・ザ・メガチャーチ』で、4月9日に発表されました[5]。

本屋さんの仕事のひとつが「売りたい本を選ぶこと」なら、この賞は、その気持ちを全国で持ち寄る場だといえます。

ところで、こうした店は、全国にいくつあるのでしょうか。

書店員の選書眼を可視化したのが本屋大賞である。全国の書店員が投票し、「いちばん売りたい本」を選ぶ[5]。

2026年は一次投票に490書店の698人が参加し、二次投票には345書店の470人が参加した。二次ではノミネート作品をすべて読んで上位3作を選ぶ手順で、大賞は朝井リョウ『イン・ザ・メガチャーチ』(2026年4月9日発表)だった[5]。なお、投票者の数は参加者の延べ数ではなく、一次と二次を別に数えた人数である。

この賞の基準は「売りたい」であり、「優れている」とは限らない。評論家や学者でなく、毎日読者に本を渡す人が基準を決める点に、書店員の仕事の特徴が出ている。

だが、その書店員が働く場所は、いま増えているのだろうか、減っているのだろうか。

6. 本屋さんは、いま 何けん あるの?

6. 全国の書店は、いま何店あるのか

6. 書店数1万店割れと「書店のない町」

日本の 本屋さんは、2024ねんどには 10417けんでした。2025ねんどは 424けん へって、9993けんに なりました。調べはじめて はじめて、1万けんを 下まわりました[8][6]。

お店が ない 市や町も あります。書店の ない 市くちょうそんは、2024ねん8月で、全国の 27.9%に なります[2]。

本屋さんが 少ない 町では、本を 手に とって えらぶ ことが、むずかしく なります。

全国の書店数は、JPO書店マスタによると、2024年度は10,417店でした。2025年度は424店減って9,993店となり、調査を始めて以来はじめて1万店を下回りました[8][6]。

書店のない市区町村も目立っています。2024年8月の時点で、全国の27.9%にのぼるとされます(出版文化産業振興財団の調査)[2]。

数え方によって数字がちがう調査もあるため、ここでは1つの調査の数字として読んでください。

本を手に取って選べる店が減ると、書店員の「選ぶ」仕事の価値は、どうなっていくのでしょうか。

全国の書店数は、JPO書店マスタによれば2024年度が10,417店、2025年度は424店減って9,993店となり、調査開始以来初めて1万店を下回った[8][6]。書店数は調査ごとに数え方が異なるため、ここでは1つの調査の値として読む。

書店のない市区町村は、2024年8月時点で全国の27.9%に及ぶ(出版文化産業振興財団の調査)[2]。

返品できる仕組みと同じ価格で売る仕組みの上で、書店員は本を選び、棚で見せ、すすめてきた。次の章では、棚の前で見られる工夫を紹介する。

7. 本屋さんで、えらんだ 人を さがして みよう

7. 次に本屋へ行くとき、棚から「選んだ人」を探す

7. 棚の前で確かめられること ── 選書・POP・定価を観察する

本屋さんに 行ったら、3つ さがして みましょう。ひとつ目は、ポップです。だれが、なにを 書いて いるでしょう。

2つ目は、ならべ かたです。同じ 人の 本が まとめて ある ところは ありますか。

3つ目は、ねだんです。うら表紙などに 書いて ある おなじ 本の ねだんを、べつの お店でも 見て くらべて みます。行ける 本屋さんで かまいません。

見つけた ことを、おうちの 人に 話して みると、本屋さんが ちがって 見えて きます。

次に本屋へ行ったら、3つ探してみてください。ひとつ目はPOPで、誰が何を書いているかを見ます。2つ目は並べ方で、同じ作家やテーマの本がまとめて置かれている場所を探します。3つ目は定価で、別の店でも同じ本の定価が同じかを見てみます。

ひとつの店で見つけたものを、別の日や別の店とくらべると、棚の向こうにいる人の工夫が見えてきます。

この記事で出てきた返本の割合や、書店数の数字は、出典の調査の元の資料で、定義や年度を確かめられます。出典欄から読み進めると、もっと細かい数字や説明が見つかります。

書店に行く機会があれば、3点を観察できる。第一にPOPや帯の文言で、誰に向けて何を強調しているか。第二に棚の分類と平台の置き方で、書店員が本をどういう関係で並べているか。第三に定価で、同じ本が別の店でも同じ値段かどうか。

その結果は、本章の再販制度の説明や、書店員の業務の整理(選書・集客)と照らして読める。

数字を使う場合は、返本率が書籍と雑誌の合計であること、書店数が調査ごとに数え方が異なることに注意して読む。さらに調べるなら、公正取引委員会の再販制度の資料、本屋大賞の公式サイト、書店数を調べた各団体の報告が出発点になる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文の事実は、次の資料から使いました。参照番号は本文の[ ]と対応します。

  1. 東進 将来の仕事ラボ「書店員」 https://www.toshin.com/mirai/joblab/job/435/ (書店員の仕事の内容・POP・フェア)
  2. J-Net21 書店の開業 https://j-net21.smrj.go.jp/startup/guide/retail/05.html (業務5分野・返本率・書店のない市区町村)
  3. ビジネス+IT 出版流通の記事 https://www.sbbit.jp/article/cont1/132820 (出版取次・委託販売・再販制度)
  4. 公正取引委員会 相談事例集(再販売価格の拘束) https://www.jftc.go.jp/dk/soudanjirei/ryutsutorihiki/kakaku/kakaku4.html (独占禁止法第23条第4項の対象品目)
  5. 本屋大賞 公式サイト https://www.hontai.or.jp/ (2026年の投票数と大賞)
  6. Asia News Network(共同通信の英訳記事) https://asianews.network/bookstores-in-japan-drop-below-10000-amid-print-slump-online-competition-survey-finds/ (書店数。英語の記事)
  7. 日本書籍出版協会 年史 https://www.jbpa.or.jp/nenshi/pdf/p37-47.pdf (1908年の委託販売のはじまり)
  8. 出版科学研究所 書店数の推移 https://www.shuppankagaku.com/knowledge/bookstores/、https://www.shuppankagaku.com/column/20260423/ (2024・2025年度の書店数)

なおした ところ

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