1. パンの 中の 泡は、だれが つくって いるの?
1. 泡を作る係と、泡を逃がさない係がいる
1. 気体を作る側と、気体を保つ側:パン生地の役割分担
パンを つくるとき、生地に イーストを まぜます。イーストは、じつは 目に 見えない 小さな いきもの。酵母とも よばれます。
イーストは、生地の 中の 糖を たべて、アルコールと 炭酸ガスに かえます。これを 発酵と いいます。ガスは、生地の 中に 小さな 泡を つくります。
でも、ガスは かるいので、ほうって おくと にげて しまいます。そこで はたらくのが、小麦の 粉の 中の グルテンです。グルテンは、ガスを つかまえる 小さな 小さな あみの ような もの。
つまり、小麦の パンでは、泡を つくる 係が イースト、にがさない 係が グルテンです。
では、その あみは、どこから やって くるのでしょう。
2. グルテンの あみは、どうやって できるの?
2. こねると、グルテンの網ができる
2. 水を加えてこねると、なぜグルテンの網目が生じるのか
小麦粉に 水を まぜて こねると、ねばって、のびる かたまりに なります。この ねばりと のびが、グルテンの はたらきです。ほかの こくもつには ない、小麦の とくちょうだと いわれます。
グルテンは、ふたつの たんぱくしつが まざって できると いう せつめいが あります。ひとつは、ゴムのように はねかえる グルテニン。もうひとつは、のびやすい グリアジンです。
パンを つくるときは、粉 100に たいして、水を 60から 70の わりあいで まぜます。粉が 100グラムなら、水は 60から 70グラムです。これを よく こねると、グルテンが あみのように つながります。
ところで、小麦粉の つぶは、とても 小さいのです。大きい つぶでも 0.2ミリ いか。はんぶんくらいは 0.035ミリより 小さい つぶです。1ミリの 長さに、この つぶが 28こ くらい ならぶ ことに なります。
こねると、小麦粉の たんぱくしつが 水と まざって、のびる かたまりに かわるのです。では、小麦粉なら どれでも おなじ あみが できるのでしょうか。
小麦粉に水を加えてこねると、ほかの穀物にはない粘りと弾力が生まれます。これが、グルテンです[2]。グルテンの材料になるのは、小麦粉に含まれる2種類のたんぱく質です。弾力を持つグルテニンと、伸びやすいグリアジンです[5]。ゴムのように戻る力と、ぐにゃりと伸びる力が混ざるので、生地は伸びながらもちぎれません。
パンを作るときの水の量は、小麦粉100に対して60〜70です。粉100gなら水は60〜70g。これをよくこねて、グルテンの網目構造を十分につくります[2]。
もう一つ、粉そのものの大きさにも注目してみましょう。市販の小麦粉の粒は、直径が150〜200ミクロン以下です。種類によって違いますが、半分くらいは35ミクロンより小さい粒です[2]。35ミクロンは0.035mmなので、1mmの長さに28粒ほど並ぶ計算です。粒はとても細かいのですが、生地が伸びるのは、粉の中のたんぱく質が水とこねる力でグルテンになるからです。
では、どの小麦粉でも、同じ網ができるのでしょうか。
グルテンは、小麦粉に水を加えてこねたときに形成される、粘りと弾力をもつたんぱく質である[2]。主成分となるたんぱく質は2種類で、弾力性をもつグルテニンと、伸びやすいグリアジンである[5]。弾力と伸びの両方をもつため、生地は引き伸ばされても切れにくく、ガスを内側に抱えたまま薄く広がることができる。
パン生地では、小麦粉100に対し水60〜70を加え、副材料とともによくこねて、網目構造を十分に形成させる[2]。粉100gなら水は60〜70g、すなわち粉に対し6〜7割の水を使う計算になる。
粉の粒の大きさも見ておこう。普通の小麦粉の粒の直径は150〜200ミクロン以下で、半分程度は35ミクロン未満である[2]。35ミクロンは0.035mmで、1mmに約28粒が並ぶ大きさになる。ただし、グルテンをつくるのは粒の細かさではなく、たんぱく質が水とこねる力でつながることである。
ここまでは、小麦粉を一つのものとして扱ってきた。しかし、実際の小麦粉は、グルテンの力によって何種類にも分けられている。その違いはパンの出来にどう影響するのか。
3. 強力粉と薄力粉は、なにが ちがうの?
3. 強力粉はパン向き、薄力粉はお菓子向きなのはなぜか
3. 小麦粉の4分類:グルテンの強さと、たんぱく質の量
お店には、強力粉や 薄力粉という 名前の 粉が ならんで います。ほかに 中力粉と、じゅんきょうりきこも あります。ぜんぶで 4しゅるいです。
ちがいは、グルテンの 力です。パンや ぎょうざの かわには、グルテンの 力が 強い 強力粉を つかいます。ケーキなどの おかしには、グルテンが 少なくて やわらかい 薄力粉を つかいます。
どれくらい ちがうのでしょう。小麦粉に ふくまれる たんぱくしつは、強力粉で 100グラム あたり 11.5から 13グラム。薄力粉では 6.6から 9グラムです。いちばん 少ない 強力粉でも、いちばん 多い 薄力粉より 2.5グラム 多いのです。
パンが ふくらむには、ガスを つかまえる あみが 強い ほうが 向いて います。ふんわり やわらかい ケーキには、やわらかい 粉が 向いて います。つかい道に あわせて えらぶのです。
では、グルテンが 少ない 粉や、まったく ない 粉で、パンは つくれるのでしょうか。
小麦粉は、パンやめんなどに必要なグルテンの力の強さなどによって、大きく4つに分けられます。強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉です[3]。強力粉はグルテンの力が強く、パンや餃子の皮に使われます。薄力粉はグルテンの量が少なく、質がやわらかくて、ケーキなど多くの菓子やとろみ付けに使われます[3]。
農林水産省の表では、たんぱく質の含有量は、強力粉が11.5〜13.0%、準強力粉が10.5〜12.5%、中力粉が7.5〜10.5%、薄力粉が6.6〜9.0%です。強力粉は食パン向けとされています[4]。薄力粉の上限9.0%と強力粉の下限11.5%を比べると、2.5ポイントの差があり、この二つの範囲は重なりません。
パン生地は泡を抱えて大きく伸びるので、網目の強い強力粉が向いています。ケーキは、かたく強い網よりも、ふんわりした口当たりが大切です。つまり粉の種類は、品質の上下ではなく、使い道に合わせた違いです。
強ければ強いほどよい、というわけでもありません。デュラム小麦はたんぱく質を多く含み、グルテンは強くて硬いのですが、伸びにくいため、パンには使われません。パスタ用になります[2]。
では、そもそもグルテンのない粉からは、パンはできないのでしょうか。
小麦粉は、用途で必要とされるグルテンの力の強弱などにより、強力粉・準強力粉・中力粉・薄力粉の4つに大別される[3]。強力粉はグルテンの力が強く、パンや餃子の皮に使う。薄力粉はグルテンの量が少なく質がソフトで、ケーキなどの菓子やとろみ付けに使う[3]。
この分類は、たんぱく質の含有量とも対応する。農林水産省の表では、強力粉11.5〜13.0%、準強力粉10.5〜12.5%、中力粉7.5〜10.5%、薄力粉6.6〜9.0%で、強力粉は食パン向けとされる[4]。薄力粉の上限(9.0%)と強力粉の下限(11.5%)の間には2.5ポイントの差があり、両者の範囲は重ならない。一方、準強力粉と中力粉は10.5%で接しており、境界は連続的である。
ただし、たんぱく質が多ければパンに向くとは限らない。デュラム小麦はたんぱく質を多量に含み、グルテンは強く硬いが、伸びにくいためパンには使われず、パスタ用になる[2]。資料は、伸びにくさをパンに使われない理由として挙げている。
品種の側からも調整が行われている。超強力秋まき小麦「ゆめちから」は、コムギ縞萎縮病への抵抗性に優れる品種で、「ホクシン」などの中力小麦とブレンドすると、優れた製パン適性を示す[8]。強い粉を、別の粉と混ぜて使う発想である。
ここまでの説明は、すべてグルテンを前提にしている。では、グルテンを持たない粉では、パンはふくらまないのか。
4. グルテンが ない 米の 粉でも、パンは ふくらむの?
4. グルテンのない米粉は、何で泡を支えるのか
4. グルテンなしで膨らむ米粉パン:でんぷんが泡を支える仕組み
お米の 粉だけで つくる パンは、小麦の グルテンを つかわなくても、ふくらみます。
ある けんきゅうでは、グルテンも、とろみを つける ざいりょうも つかわずに つくった パンが、ふくらむ しくみを しらべました。その けっか、お米の でんぷんの つぶが、泡と 水の さかいめに あつまって、泡が こわれにくい ように ささえて いると わかりました。
パンを やく とき、でんぷんは 水と ねつで ねばりが 出ます。この ねばりが、ガスを とじこめる ほねぐみに なると いう せつめいも あります。小麦の パンでは、グルテンが その やくめを すると かんがえられて います。
でも、ふくらませ すぎは だめです。米の 粉の 生地は、発酵で ふえた ガスの おす 力に たえきれず、やいている とちゅうで つぶれて しまう ことが あります。
グルテンの あみも、でんぷんの ねばりも、やって いる ことは おなじ。泡を にがさない ことです。
米粉100%のパンは、小麦由来のグルテンを使わずに作れます。それでも、ちゃんとふくらみます。農林水産省の資料によると、グルテンや増粘剤を使わずに作った米粉パンは、「微粒子型フォーム」というしくみでふくらむことが明らかになりました。米のでんぷん粒が、泡と水の境目で界面活性剤のように働き、発酵ガスの泡を安定させるのです[6]。
別の説明もあります。ある家電メーカーの解説では、でんぷんが水分と熱で糊化して生まれた粘りが、炭酸ガスを閉じこめる生地の骨格になるとされています。小麦のパンでは、グルテンがその役をすると考えられます[7]。
ただし、この骨格は限界があります。同じ解説によると、発酵しすぎて増えた炭酸ガスの圧力に、グルテンのない米粉生地の骨格が耐えきれず、焼いている途中でつぶれることがあるそうです。発酵に使う水の温度も、30℃前後のぬるま湯が最適で、水温が低すぎても高すぎても、発酵が進まないことがあるとされます[7]。
どの条件で、どれくらい安定するのかという詳しい点は、まだ研究が進められている段階です。分かっているのは、パンのふくらみに必要なのは「グルテンそのもの」ではなく、「泡を支えて逃がさない仕組み」だということです。
では、その小麦粉のグルテンを、自分の目で見ることはできるでしょうか。
米粉100%のパンは、小麦由来のグルテンを使わなくてもふくらむ。農林水産省が紹介する研究では、グルテンや増粘剤を使用しない米粉100%パンは、「微粒子型フォーム」というしくみで膨らむことが明らかにされた。でんぷん粒が界面活性剤のような役割を果たし、発酵ガスと水の境界を安定化させる[6]。
別の観点からの説明もある。パナソニックの解説(企業の公式資料で、一般向けの説明)では、でんぷんが水分と熱で糊化して生じた粘りが、炭酸ガスを閉じこめる生地の骨格になるとされる。小麦パンではグルテンがその役をすると考えられる[7]。この二つの説明は、泡を支える仕組みの異なる面に注目している。
この骨格には限界もある。発酵しすぎて発生した炭酸ガスの圧力に、グルテンのない米粉生地の骨格が耐えきれず、焼成中につぶれることがある。また、発酵に使う水温は30℃前後が最適とされ、低すぎても高すぎても発酵が進まない場合がある[7]。この記述は米粉パンの解説に基づくもので、小麦パンにそのまま当てはまるかは示されていない。
この条件の詳細、すなわち、どの粒度・水分・温度で安定するのかという点は、さらに研究が進められている。現時点で言えるのは、気体を保持する構造を作るのは、グルテンに限られないということである。
一方、小麦粉に限っていえば、保持構造は目に見える形で取り出せる。では、グルテンを自分の手で取り出し、確かめることはできるか。
5. グルテンを 手で とり出して みよう
5. 小麦粉を水で洗って、グルテンを取り出してみる
5. 洗い出し実験:グルテンを分離して粉の違いを確かめる
グルテンは、おうちでも 見る ことが できます。おうちの 人と いっしょに やりましょう。
まず、小麦粉が 50グラム あれば、そこに 水を 30から 35グラム くわえて、よく こねます。ひとつの かたまりに なったら、ボウルに 水を ためて、その 中で かたまりを やさしく もみあらいします。
すると、水が 白く にごって きます。小麦粉の デンプンが 出て きたからです。なんども 水を かえて あらって いくと、手の 中に、ねばって のびる かたまりが のこります。これが グルテンです。
強力粉と 薄力粉の りょうほうが あれば、のこる かたまりの 大きさを くらべて みましょう。薄力粉は グルテンが 少ない と いわれて いるので、どちらが 小さく なるか、よそうしてから ためして みましょう。
やる ときは、手を よく あらいましょう。小麦で 体の ぐあいが わるく なる 人は、さわらないで ください。
グルテンは、家でも取り出して見ることができます。おうちの人と一緒に試してみましょう。
小麦粉50gに水を30〜35g(粉の6〜7割)加えて、ひとつの塊になるまでよくこねます。次に、ボウルにためた水の中で、塊をやさしくもみ洗いします。
すると、水が白く濁ってきます。小麦粉に含まれるでんぷんが出てくるためです。何度か水を替えながら洗い続けると、最後に、粘りと弾力のある塊が手に残ります。これがグルテンです。
強力粉と薄力粉の両方があれば、同じ量・同じ水で洗い比べてみてください。薄力粉はグルテンの量が少ないとされているので、残る塊が小さくなるか、予想を立ててから試して比べてみましょう。
洗ったあとは手をよく洗ってください。小麦で体調が悪くなる人は、さわらないでください。
さらに知りたくなったら、出典欄の農林水産省の「小麦粉の種類について教えてください。」や製粉振興会の「小麦粉の加工と製品」で、使い分けや製品の例を見られます。米粉パンの研究も、農林水産省の資料で読めます。
グルテンは、水洗いによって分離することができる。粉と水を6〜7割の水分でこね(粉50gなら水30〜35g)、水中で塊をもみ洗いすると、でんぷんが洗い出されて水が白濁する。複数回水を替えて洗うと、粘弾性のある塊が残る。これがグルテンである。
この実験では、予想を立ててから比べることを勧める。薄力粉はグルテンの量が少ない[3]とされ、たんぱく質含有量も強力粉より低い(薄力粉の上限9.0%、強力粉の下限11.5%)[4]。そのため、同じ質量・同じ水分で洗い比べれば、残る塊は薄力粉のほうが小さくなるか、予想して比べてみるとよい。ただし、洗い方の力加減や水の量で結果が変わるため、個人差は避けられない。同じ人が同じ手順で、続けて両方を行うのが望ましい。
洗い出した塊を、発酵した生地に置き換えて考えてみる。気体を保持する構造は、グルテンのようにたんぱく質が作る場合もあれば、米粉のようにでんぷん粒の働きによる場合もある[6][7]。パンは、泡を作る側と保持する側の組み合わせで考えられる。
さらに知りたい場合は、出典欄の一次資料が入口になる。農林水産省の「小麦粉の種類について教えてください。」と「微粒子型フォーム」の資料を読み比べ、米粉パンの条件と小麦粉の分類を並べて、パンの出来を決める要素を自分で整理してみるとよい。実験は、小麦で体調が悪くなる人は行わないこと。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
数値は報告された範囲や目安であり、製品や条件によって変わります。
- 農林水産省 こども相談「パンをつくるときに使うイーストの役割について教えてください。」 https://www.maff.go.jp/j/heya/kodomo_sodan/0009/01.html (イーストと発酵)
- 製粉振興会「小麦粉の加工と製品」 https://www.seifun.or.jp/pages/79/ (グルテンの形成、水の量、粒の大きさ、デュラム小麦)
- 農林水産省「小麦粉の種類について教えてください。」 https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/1106/02.html (小麦粉の4分類と用途)
- 農林水産省 東海農政局「小麦の消費・用途」 https://www.maff.go.jp/tokai/seisan/shinko/mugi/wheat/shohi/index.html (種類別のたんぱく質含有量)
- 兵庫県「小麦粉からガムを作ろう」 https://web.pref.hyogo.lg.jp/iphs01/kikikanribu/kids/documents/komugikokaragamu.pdf (グルテニンとグリアジン)
- 農林水産省「増粘剤を使用しない米粉100%パンの開発とメカニズムの解明」 https://www.maff.go.jp/j/syouan/keikaku/soukatu/okome_summary/09/rice_flour_pro_cessing_01.html (米粉パンがふくらむしくみ)
- パナソニック「米粉パンのQ&A」 https://panasonic.jp/life/food/990006.html (糊化した粘り、発酵しすぎ、水温。メーカーの一般向け解説)
- 農研機構「ゆめちから」 https://www.naro.go.jp/collab/breed/0100/0108/001772.html (超強力小麦とブレンド)
なおした ところ
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