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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

大工さんは、家づくりで どんな しごとを して いるの?

大工は家づくりの現場で、木をどう読み、どう組み上げているのか

大工は木をどう読み、どう刻み、どう組むのか ── 墨付けから造作まで、現場に最も長くいる職人の仕事

分野:技術

大工さんの 物差しものさしの うらには、表の およそ1.4倍の 長さで ふった めもりが あります。まるたに あてると、そこから とれる しかくい 木の 太さが すぐ よめると いわれます[6]。

どうして そんな 物差しものさしが いるのでしょう。大工さんの 仕事の 流れと、木の 見かた、いま 変かわって きた ところが わかります。

大工が使う曲尺(かねじゃく)という金属の物差しの裏には、表の約1.4倍(√2倍)の長さで目盛りがふってあります。丸太の直径に当てれば、そこから取れる角材の幅が計算なしで読めるといいます[6]。

なぜ、木の仕事にそんな目盛りが必要なのでしょうか。墨付けから造作までの流れ、木の個性の読み方、プレカットで変わってきた分担が分かります。

大工の曲尺の裏には、表の√2倍(約1.414倍)の目盛りがあり、丸太の直径に当てると、そこから取れる角材の幅が直接読める[6]。この目盛りは、丸太から角材を取るという仕事の入口に、数学の発想が埋めこまれていることを示している。

大工は、木材に印をつけ、刻み、現場で組み、内装まで仕上げる。しかも現場に最も長くいる職人とされる。この仕事の流れ、手加減の難しさ、プレカットによる分業の進み方が、国の資料から分かる。

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1. 大工さんは、部屋を どうやって あっと いう間に あたらしく したの?

1. 部屋があっという間に変わった。大工は家づくりのどこを担うのか

1. 家づくりで大工が担うこと ── 基礎のあとから、造作の仕上げまで

ある 新人の 大工さんは、小学生の ときに、大工の おじさんが 自分の 部屋を あたらしく して くれるのを 見ました。道具と 材料ざいりょうを もちこんで、あっと いう間に つくりあげる すがたを 見て、「かっこいい」と 思ったそうです[1]。

大工さんの 仕事は、家の ほねぐみを つくる ことが 中心です。木に しるしを つける「すみつけ」、木を けずって 形に する「きざみ」、柱や 梁はりを 現場げんばで 立てて つなぐ「たてかた」、中の かべや ゆかを しあげる「ぞうさく」と、すすんで いきます[1][2]。

家づくりでは、土台の きそが できた あとが 大工さんの 出番で、いちばん 長く 現場げんばに いる 職人しょくにんと いわれます[2]。

では、まだ 1本の 木に すぎない ものに、大工さんは 最初さいしょに なにを するのでしょうか。

ある新人大工さんが大工をめざしたのは、小学生のとき、大工だった叔父さんが自分の部屋をリフォームするところを間近で見たのがきっかけでした。材料と道具を持ちこみ、あっという間に新しい部屋をつくる姿が「カッコいい」と思えたといいます[1]。

では、その「あっという間」の中で、大工は何をしているのでしょうか。家づくりで見ると、仕事は大きく四つの段階に分かれます。木材をどこに使うかを決めて印をつける「墨付け」、印に沿って木を加工する「刻み」、柱を立てて梁でつなぎ、屋根の骨組みを組む「建て方」、そして内装の下地や仕上げをする「造作」です[1][2]。

基礎ができたあとが大工の出番で、工事中にいちばん長く現場にいる職人とされています[2]。「木の家」の職人というイメージがありますが、鉄筋コンクリートの建物でも、床や骨組みなど下地をつくる仕事を担います[3]。

この四つの段階の最初にある墨付けは、ただの目印づけではありません。まだ1本の木材でしかないものに、大工は何を見ているのでしょうか。

厚生労働省の入職促進ガイドブックによれば、ある新人大工が大工をめざしたきっかけは、小学生のとき、大工だった叔父が材料と道具を持ちこんで自分の部屋をあっという間に改装したのを見て、「カッコいい」と感じたことだった[1]。

では、その短い時間の中で、大工は何を担っているのか。家づくりの流れでは、まず構造材の使い方を決めて刻む位置に印をつける墨付け、印に沿って木を整える刻み加工がある[1]。基礎ができたあとは、柱を立て、梁でつなぎ、小屋組と垂木を組む建て方、内装の下地や仕上げをする造作へと進む[2]。冊子は、こうした工程を通して、大工は工事中にいちばん長く現場にいる職人だと紹介している[2]。

大工の仕事は木造に限らない。鹿児島市の職人紹介は、木造住宅だけでなく鉄筋コンクリート建築も含め、建物の基礎・骨組み・床・屋根などの下地となる部分をつくる仕事と説明する[3]。これは鹿児島市の職人紹介(2018年時点)での説明である。

四つの段階のうち、最初の墨付けは、単に線を引く作業なのだろうか。そこで大工は、木の何を読もうとしているのか。

2. 木は 1本ずつ ちがう。しるしを つける 前に、なにを 考えるの?

2. 墨付けは、木の個性と家全体の木組みを思いうかべる仕事

2. 墨付け ── 木材の個性を読み、完成形から逆算して印をつける

同じ 名前の 木でも、1本 1本、かたさや 曲がりぐあいが ちがいます。それを「木の こせい」と いいます。

「すみつけ」では、家の ほねぐみに どの 木を 使うかを 決めて、きざむ ところに しるしを つけます。この 仕事で だいじなのは、家ぜんたいの 木の 組み合わせを 思いうかべながら、木の こせいを いかす ことだと されています[1]。

たとえば、この 木は 長いから 柱、この 木は 曲がって いるから、ここに 使おう、というように 考えるのでしょう。

しるしを つけた あとは、木を きざみます。でも その 前に、まるたから どれくらいの 太さの しかくい 木が とれるのかを、すぐ 知りたい ときも あります。

墨付けは、墨で線を引くだけの作業ではありません。家の骨組みにどの木材を使うかを決め、それぞれを刻む位置に印をつける仕事です。厚生労働省の資料は、この仕事で大切なのは、家全体の木組みをイメージして、木の個性を生かすことだと説明しています[1]。

木は1本ごとに太さ、曲がり、かたさが違います。同じ設計でも、手元にある木材によって、どこに何を使うかの答えが変わります。完成した家を先に頭の中で組み立て、それに合う木を選ぶ。言いかえると、墨付けは「木を読む」仕事です。

ここで、大工が最初に知りたくなることがあります。この丸太から、どれくらいの太さの角材が取れるのか、ということです。

墨付けとは、家の骨組みに使う木材を決め、刻む位置に印をつける作業である。厚生労働省の資料はこの仕事の要点を、家全体の木組みを思いうかべ、木の個性を生かすことだと述べている[1]。

この説明が示すのは、墨付けが部材ごとの寸法の指示ではなく、全体から逆算する作業だという点である。木は1本ごとに太さも曲がりも違うため、同じ設計図でも、どの部材をどこに充てるかは材料によって変わる。一本を選ぶ判断は、ほかの部材の選び方にも響く。大工は、完成した家を頭の中で組み立てながら、木材を読んでいると読み取れる。ただし、資料は「どう読むか」の具体的な基準までは述べていない。

その作業の一部に、丸太を角材にするときの目の測り方がある。大工の物差しには、そのための工夫が刻まれている。

3. 物差しものさしの うらの めもりは、なにを よんで いるの?

3. 曲尺の裏の目盛りは、丸太に収まる四角の大きさを読む

3. 曲尺の裏目 ── √2倍の目盛りが、丸太から取れる角材の幅を示す

大工さんが つかう 物差しものさしは、曲尺かねじゃくと いって、L字に 曲がった 金属きんぞくです。この うらには、表の 約やく1.4倍の 長さで ふった めもりが あります[6]。

まるたの まるい 切り口に、できるだけ 大きな 四角を かくと、四角の 4つの すみが、円の ふちに ちょうど つきます。このとき、四角の たいかくせんは 円の 直径ちょっけいと 同じです。

四角の ひとつの へんは、たいかくせんの 約やく0.7倍です。たとえば 直径ちょっけいが 30cmの まるたなら、とれる しかくい 木の ひとつの へんは 約やく21cmです。

うらの めもりは、この 計算を 先に して あります。まるたの 直径ちょっけいに あてて、うらの 数字を よむと、しかくい 木の 太さが すぐ わかります。

ただし これは 「いちばん 大きく とれる ときの 目安」です。木には 曲がりや ふしも あるので、ほんとうは 木を 見ながら 決めます。

曲尺は、直角に曲がった金属の物差しです。裏には、表の目盛りを√2倍(約1.414倍)にした目盛りがふってあります[6]。使い方は、丸太の直径に当てて、裏の目盛りを読むだけです。そこから取れる角材の幅が、計算なしで読めるといいます[6]。

なぜ√2倍なのでしょうか。丸い切り口の中に、いちばん大きな正方形を入れてみます。四つの角が円周にちょうど触れるとき、正方形の対角線は円の直径と同じになります。正方形の対角線は一辺の√2倍なので、一辺は直径の約0.71倍(1÷1.414)です。

たとえば直径30cmの丸太なら、30÷1.414で約21.2cm。一辺21cmの正方形の対角線は21×1.414=約29.7cmで、ほぼ直径に収まります。裏の目盛りは、この割り算を、物差しの目盛りの間隔のほうに先に組みこんだものです。

これは、丸太から取れる「いちばん大きい」角材の幅の目安です。実際の木は曲がりや節があり、使う部材の太さもいろいろなので、現場では木を見て決めます。それでも、木の入口の計算が物差しに刻まれていると知ると、道具が少し身近に見えてきます。次は、いよいよ木を刻む段階です。

曲尺(かねじゃく/さしがね)は、直角に曲がった金属の物差しで、裏面には表の目盛りの√2倍(約1.414倍)の目盛りがある。世界大百科事典などの辞典類は、丸太の直径に当てると、そこから取れる角材の幅が読めると説明する[6]。この裏目は、辞典によって「かくめ」「かどめ」と読みが分かれる。

数学的な根拠は単純である。円の内側にできるだけ大きな正方形を入れると、四隅が円周に接し、その対角線は円の直径に等しい。対角線は一辺の√2倍であるから、一辺は直径を√2で割った値、つまり約0.707倍になる。たとえば直径30cmの丸太では、30÷1.414≒21.2cmとなる。表の目盛りの上で30cmの長さが、裏の目盛りでは約21の位置に当たる。割り算を道具のほうに組みこむ設計である。

この値は、断面が正円で、そこに正方形を最大に収める場合の理論上の上限であり、実際の丸太は断面が真円でなく、曲がりや節がある。つまり、裏目は「いちばん太く取れたときの目安」を一目で与える補助であり、判断を代行するものではない。

なお曲尺の長さそのもの(約30.3cm)の話は、本サイトの別記事で扱った。ここでは、角材の幅を直径から読む裏目に絞った。木取りのあとは、いよいよ刻みの段階に入る。そこでは、ゆるさやきつさという別の難しさが待っている。

4. きつすぎても、ゆるすぎても だめ。きざむ 仕事の むずかしさは?

4. 刻みは「きつすぎてもゆるすぎてもだめ」。一度削ると元に戻せない

4. 刻みと継手・仕口 ── 加減の難しさと、釘に頼らない接合技術

しるしを つけたら、木を けずって、ほかの 木と 組み合わせる 形に します。これを「きざみ」と いいます[1]。

木と 木が はまる ところが きつすぎると、現場げんばで 外すのに 手間が かかります。ゆるすぎると、しっかり 組めません。しかも 木は、一度 けずって しまうと、もとに もどせません[1]。

パズルの ピースを 想像そうぞうして みて ください。ちょうど いい きつさで はまる 形を、1回で 作る のです。

木を つなぐ 形には 名前が あります。長い 方向に つなぐ ものを「つぎて」、角度を つけて 組む ものを「しぐち」と いいます[7]。くぎなどが なかった 時代に 考えられた 技わざで、大工さんごとに 受けついだ 工夫くふうが あると いわれます[7]。

学校では、決められた 長さどおりに 作る ことが 第一です。でも 現場げんばでは、さらに、組みやすく する 小さな 直しや、見て きれいな しあげまで もとめられると、新人の 大工さんは 話して います[1]。

印をつけたら、刻みです。木材どうしを組み合わせる部分は、きつすぎると現場で外すのに手間がかかり、ゆるすぎるとしっかり組めません。しかも、木の加工は一度失敗すると元に戻せません[1]。

ペットボトルのふたが、きつすぎても、ゆるすぎても使いにくいのと似ています。ただし、ふたは作り直せますが、削った木は戻せません。

木をつなぐ形には名前があります。長い方向につなぐものを継手、ある角度(ふつうは90度)で組むものを仕口と呼びます[7]。どちらも、釘などがなかった時代に考えられた接合技術で、大工ごとに秘伝の継手や仕口がある、ともいわれます[7]。いまの家づくりでも、金物や釘とあわせて使われることがあります。

この資料の取材を受けた新人大工は、学校の授業では決められた寸法どおりに加工することが第一だったと話しています。現場ではそれに加えて、組みやすくするための微調整や、見て美しい仕上げが求められるそうです[1]。先輩は、木の個性を見極めながら、手際よく削っていくといいます。

では、こうして刻んだ木は、どこで、どう組み上がるのでしょうか。

刻み加工では、木材を組み合わせる部分の加減が重要になる。きつすぎれば現場での取り外しに手間がかかり、ゆるすぎればしっかり組めない。木の加工は一度失敗すると元に戻せないため、削りすぎは取り返しがつかない[1]。したがって刻みは、「正確に削る」だけでなく、「削る前に仕上がりを見通す」作業になる。

長手方向につなぐ接合を継手、ある角度(ふつうは90度)で組む接合を仕口という。釘などがなかった時代に考えられた技術で、大工ごとに独自の継手・仕口があるともいわれる[7]。ただし、これは「釘を一切使わない」という意味ではなく、実際の家づくりでは金物や釘も使われる。

新人大工の証言として、授業では寸法どおりに加工することが第一だったが、現場ではさらに組みやすくするための微調整や、見て美しい仕上げが求められる、という記述がある[1]。寸法を満たすことと、現場で組みやすく見た目も整えることは、別の次元の課題である。この差こそが、図面の数字だけでは職人の仕事が済まない理由の一つだと読み取れる。ただし、この記述は一人の新人の証言であり、すべての現場に当てはまるとは限らない。

刻み終えた部材は現場へ運ばれる。そこでは、建て方という、大工がもっとも注目される場面が待っている。

5. 現場げんばでは、柱と 梁はりを どう 立てるの?

5. 現場で柱を立て、梁をつなぎ、内装まで仕上げる

5. 建て方と造作 ── 骨組みを立て、見える部分を仕上げる

きざんだ 木は、現場げんばに はこばれます。きその 上に 柱を 立て、梁はりで つなぎ、屋根を ささえる 木を 組んで いきます。これを「たてかた」と いいます[2]。

ほねぐみが できたら、つぎは 家の 中です。かべの 下地や、ゆか、天井てんじょうを 整えて、見える ところを しあげて いきます。これを「ぞうさく」と いいます[2]。

家は、そこに 長く すむ 人の くらしの 場所です。だから 大工さんは、できあがった ときの うれしさが 大きいと 話します。うでを みとめられて、べつの 人から 「うちも たのみたい」と しょうかい される と、じんわり 実感できる そうです[3]。

ところで、いま 家の 木は、すべて 大工さんが 現場げんばで けずって いるのでしょうか。

刻んだ部材は、現場へ運ばれます。基礎の上に柱を立て、梁でつなぎ、屋根を支える小屋組や垂木を組んでいく。この段階が建て方です[2]。家の骨組みが一気に空へ立ち上がるので、大工の仕事でもっとも目立つ場面といえるかもしれません。

骨組みができたあとは、内装の下地をつくり、見える部分を仕上げる造作です[2]。ここまで、大工は工事の初めから終わりまでかかわり、いちばん長く現場にいる職人とされます[2]。

鹿児島市の職人紹介では、その家に長く住む人の暮らしをつくる仕事なので、完成後の達成感が大きいと説明されています。腕が評価され、別の施主を紹介されると、そのやりがいを実感できるそうです[3]。

ところが、いまの家づくりでは、この流れの最初のほうが、少し変わってきています。

建て方は、基礎ができたあと、柱を立て、梁でつなぎ、小屋組と垂木を組む工程である。造作は、内装の下地や仕上げを担う。国土交通省系の「大工になろうNET」の冊子は、大工は基礎の完成後に出番があり、工事中にいちばん長く現場にいる職人だと紹介している[2]。

鹿児島市の職人紹介(2018年時点)は、大工の仕事を、その家に長く住む人の暮らしをつくることと位置づけ、完成後の達成感が大きいことや、腕が評価されて別の施主を紹介される実感を挙げている[3]。資料は、仕事の手応えを「暮らしをつくること」と結びつけて語っている。

しかし、これらの工程のうち刻みと墨付けの部分は、いまは必ずしも現場の大工の手で行われていない。そこには、プレカットという工場での加工が深く関わっている。

6. 木を 工場で きる「プレカット」で、大工さんの 仕事は どう かわった?

6. 木を工場で切る「プレカット」で、大工は現場の組み立てに専念する

6. プレカットと分業 ── 工場加工が広がるなかで、大工の仕事はどう変わるか

いま、家の ほねぐみに 使う 木を、工場で きって 形に する やりかたが 広まって います。「プレカット」と いいます[5]。

2009年には、「木造もくぞうの ざいらい こうほう」の 家の うち、プレカットの 木を つかった 家が 86%でした[5]。100けんの うち、86けんです。

そのぶん 大工さんは、現場げんばで 組み立てる 仕事に 力を そそげます。工場と 現場げんばで 仕事を わける ように なって きた、と いえます。

ただし、手で きざむ 家が どれだけ あるのか、いまの わりあいは、ここで 使った 資料しりょうには のって いません。「大工さんは もう きざまない」とは 言えません。

日本の 木造もくぞうの 家は、2016年に、ざいらい こうほうが 75%を しめました[4]。つくる 人の 中には、小さな 大工さんや こうむてんも 多く います[4]。

近年は、骨組みに使う木材の切断や加工を、先に工場で行うプレカットが広く使われています[5]。林野庁の審議会資料には、在来工法の住宅のうち、プレカット材を使った住宅が2009年に86%だったという数字があります[5]。100軒のうち86軒です。

このため、いまの家づくりでは、工場と現場の分業が進んでいます。大工は、加工された部材を現場で組み上げる役割が大きくなりました[5]。木を刻む仕事が、まったくなくなったわけではありません。ただ、手で刻む割合は、ここで読んだ資料では分からず、「大工は刻まない」とも言えません。

家づくりの全体では、どうでしょうか。林野庁の白書によると、2016年の木造住宅は、在来工法(木造軸組構法)が75%、ツーバイフォーが23%、木質プレハブが3%でした[4]。在来工法の注文住宅では、半数以上を、年間50戸未満の中小の大工・工務店が建てています。ただし、この数字は請負契約で供給された住宅についての調査で、全住宅ではありません[4]。

手で刻む時間が減っても、図面の意図を読み、現場で微調整し、見た目まで整える仕事は残ります。その技を、どう受けつぐのでしょうか。

近年は、骨組みの木材の切断・加工を工場で機械的に行うプレカットが普及した。林野庁の審議会資料には、在来工法の住宅のうち、プレカット材を使った住宅の割合が2009年に86%だったという数値がある[5]。ただしこの数値は検索結果の抜粋で確かめた範囲であり、本文を直接読んで裏づけたものではない。また、2009年の値であり、現在の割合を示すものではない。

この数値から読み取れるのは、加工の工程が工場に移ったぶん、大工の役割が現場での組み立てや調整に比重を移した、という分業の進み方である[5]。しかし「大工は刻まなくなった」とは言えない。手刻みの割合を示す資料は今回の材料になく、その割合がどう変わったかは述べられない。

木造住宅の工法別シェアを見ると、2016年は在来工法(木造軸組構法)が75%、ツーバイフォーが23%、木質プレハブが3%だった[4]。そのため、在来工法の現場を担う大工の仕事が、木造住宅全体のなかで大きな部分を占めると考えられる。また、在来工法の木造戸建て注文住宅では、半数以上を年間供給戸数50戸未満の中小の大工・工務店が供給している。ただしこれは請負契約による供給の調査であり、全住宅の話ではない[4]。

加工が機械に移っても、木の個性を読み、組みやすさと見た目まで整える仕事は人に残る。その技能を、どのような道すじで身につけ、どう評価するのか。

7. 大工さんには、どうやって なるの?

7. 大工になる道すじは一つではない。技を見せる検定もある

7. 技能検定と養成の道すじ、そして伝統技術の国際的な評価

大工さんに なる 道は、1つでは ありません。工業高校や ふつうの 高校、建築けんちくの 大学など、出身は いろいろです[2]。

はたらきながら まなぶ 学校も あります[2]。

国には「ぎのう けんてい」という しけんも あります。ごうかくすると「ぎのうし」と なのれます[9]。

また、日本の 木で つくる たてものを うけつぐ でんとうの 技わざは、2020年12月に ユネスコの 無形文化遺産むけいぶんかいさんに 登録とうろくされました[8]。

大工になる道すじは、実はさまざまです。国土交通省の「大工になろうNET」によると、工業高校、普通高校、建築系の大学など、出身はばらばらです[2]。職業能力開発校のほか、働きながら学べる認定職業訓練校もあります[2]。

腕前を示す制度もあります。建築大工には国の技能検定があり、合格すると「技能士」と名乗れます[9]。

木造建築の技術は、国際的にも評価されています。2020年12月、「伝統建築工匠の技:木造建造物を受け継ぐための伝統技術」がユネスコ無形文化遺産に登録されました。登録の対象は、国が文化財保護制度で選定した18の「選定保存技術」で、法隆寺などの保存修理に欠かせず、今の建築にも活用されています[8]。

では、こうした技を持つ大工の道具や仕事を、実際にどこで確かめられるのでしょうか。

大工になる道すじは出身が多様で、工業高校、普通高校、建築系大学のほか、職業能力開発校(高等技術専門校)や、働きながら学べる認定職業訓練校もある[2]。一つの養成ルートが定まっているわけではない。

国家検定として、建築大工には技能検定があり、合格者は「技能士」と称する[9]。

より広い評価として、「伝統建築工匠の技:木造建造物を受け継ぐための伝統技術」が2020年12月にユネスコの無形文化遺産に登録された。国が文化財保護制度で選定した18の選定保存技術で構成され、法隆寺などの保存修理に欠かせず、今の建築にも活用されている[8]。ただし、これは登録当初の数であり、その後に構成技術の数は増えている。また、ここで登録されたのは保存修理に関わる技術の集まりであり、一般の大工の仕事すべてを指すものではない。

これらの資料から、大工の技は個人の腕と制度の両方に支えられていると読める。それは、木の個性を読み、加減を見極める仕事の延長にある。では、その技と道具を、実物で確かめるにはどうすればよいか。

8. まちの 家で、大工さんの 仕事を さがして みよう

8. 身近な家や道具館で、大工の仕事を探してみる

8. 身近な建物と道具館で、大工の仕事を確かめる方法

まず、家に ある 丸い ものを つかって、おなじ ことを ためして みましょう。丸い ふたや コースターの うえに、四つの すみが ふちに つくように 四角を かいて みます。

ふたの 直径ちょっけいと、四角の ひとつの へんを じょうぎで はかって、「ひとつの へん ÷ 直径ちょっけい」を 計算して みてください。0.7に 近い 数に なるはずです。大工さんの 物差しものさしの うらの めもりは、この 数を もとに して います。

つぎに、家や 学校の 柱や 梁はり、天井てんじょうや ゆかの つぎ目を 見て みましょう。木が 見える ところが あれば、どこで 木と 木が つながって いるのか、さがして みて ください。

大工道具を 見たく なったら、神戸市の 竹中大工道具館が あります。1984年に できた、日本で ただ 一つの 大工道具の はくぶつかんで、3万点を こえる 資料しりょうを あつかって います。いつも 見られる ものは、およそ 1000点です[10]。

家にある丸いふたやコースターで、曲尺の裏目の理由を確かめてみましょう。丸の縁に四つの角がちょうど触れる正方形を描き、直径と一辺を定規で測って「一辺÷直径」を計算します。約0.7になれば、裏の目盛りが前提にしている数字に重なります。

それから、家や学校の天井や柱のまわりを見てください。木が見える部分があれば、木と木のつなぎ目や、角のそろい方を探してみます。誰がどう組んだのかを想像してみると、刻みの加減や仕上げの工夫が少し見えてくるかもしれません。

実物の道具を見たくなったら、神戸市の竹中大工道具館があります。1984年に設立された、日本で唯一の大工道具の博物館とされ、保管資料は3万点以上、展示は約1,000点です[10]。ただし、点数は資料によってゆれがあります。

この記事は、墨付けから造作までの仕事の流れを、公的資料や辞典などから読んだものです。木の個性をどう読むのか、継手と仕口にどんな形があるのか。もっと知りたくなった部分を、出典の資料で確かめてください。

曲尺の裏目の理由は、手元の円形のもので追試できる。丸いふたやコースターの縁に四隅が触れる正方形を描き、直径と一辺を測って「一辺÷直径」を求めると、0.707に近い値になる。断面が正円でない丸太の場合は、ここから外れる。この差が、裏目は「目安」であるという前節の注意に対応する。

身近な建物を見るときは、木の柱や梁の接合部、造作の仕上げの細部に注目できる。ただし、柱や梁は仕上げ材で隠れていることが多く、見えない部分をどう施工したかは、外から断定できない。

資料としては、厚生労働省の入職促進ガイドブック[1]が、墨付け・刻みの要点と新人の証言を示す。国土交通省の「大工になろうNET」[2]は、仕事の流れと養成の道すじを載せる。林野庁の資料[4][5]は、工法別シェアとプレカットを数字で示す。曲尺の裏目は辞典類[6]で確かめられる。

実物を見るなら、神戸市の竹中大工道具館がある。1984年設立の、日本で唯一の大工道具の博物館とされ、保管資料は3万点以上(資料により3万〜3万4千点台とゆれる)、展示は約1,000点、2014年に現在地へ移転した[10]。この記事では、手刻みの現在の割合、大工就業者数の推移、宮大工など専門の分かれ方は扱っていない。それぞれ、公的統計や専門の資料で読む価値がある。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:国と自治体の公式資料、辞典、博物館の紹介記事を使った。何に使ったかは、それぞれの項目に書いている。

  1. 厚生労働省「技のとびら」入職促進ガイドブック 建築大工(平成29年度)。http://waza.mhlw.go.jp/nyushoku/webcontents/h29/construction/ (墨付け・刻み、現場での加減、新人大工の証言について)
  2. 国土交通省「大工になろうNET」。https://daiku-narou.mlit.go.jp/ (仕事の流れ、建て方・造作、大工になる道すじについて)
  3. 鹿児島市「鹿児島の職人」大工。https://www.city.kagoshima.lg.jp/koyosuishin/shokunin-job8.html (大工の役割とやりがいについて。2018年時点の職人紹介)
  4. 林野庁『平成28年度 森林・林業白書』。https://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/28hakusyo_h/all/chap4_14.html (木造住宅の工法別シェアと、中小の大工・工務店の供給について)
  5. 林野庁 審議会資料。https://www.rinya.maff.go.jp/j/rinsei/singikai/attach/pdf/110301si-13.pdf (プレカット材を使った住宅の割合について。2009年の数値)
  6. コトバンク「曲尺」(デジタル大辞泉・世界大百科事典など)。https://kotobank.jp/word/%E6%9B%B2%E5%B0%BA (曲尺の裏目が表の√2倍であることについて)
  7. 島根県 中山間地域研究センター コラム。https://www.pref.shimane.lg.jp/life/region/kikan/chusankan/column/column23/column1/20120123.html (継手・仕口について)
  8. 「伝統建築工匠の技」の保存、活用及び発展を推進する会。https://kenchikukosho.jp/ (ユネスコ無形文化遺産の登録について)
  9. 厚生労働省 技能検定 建築大工 試験科目資料。https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001167958.pdf (技能検定の等級について)
  10. 企業メセナ協議会「竹中大工道具館」見学記事。https://www.mecenat.or.jp/ja/column/visit/2272 (竹中大工道具館の設立年、保管資料と展示の点数について)

なおした ところ

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