1. 花の 中の 筒は、なにを つつんで いるの?
1. 花の中の筒には、何が入っているのか
1. 雄しべの筒は花粉をどう包み、ハチの振動は何を変えるのか
ミニトマトの 花を よく 見ると、5本の おしべが くっついて 筒の ように なり、めしべを つつんで います。花粉は、その 筒の 中に あります。
この 形の ため、花粉を そとへ 出すには、ゆれが いる ことが あります。[1]
そこで 出て くるのが マルハナバチです。ハチは おしべに ぶらさがり、むねの 筋肉を ふるわせて、花粉を おとします。トマトの 花には みつが なく、花粉も 多く ありません。そのため、ミツバチは あまり 動かないと 考えられて います。[2]
花粉が めしべに つくことを、受粉と いいます。ゆれて 花粉が 出ると、受粉が すすみ、実に なる じゅんびが 始まります。
トマトの花は、5本の雄しべが合わさった筒の形をしていて、その筒が雌しべを包んでいます。花粉はこの筒の中にあります。この形は、花の中で受粉が済む「自家受粉」につながる一方で、花粉を外に出すには、揺れや振動が必要になることがあるとされます[1]。
その役をする代表が、マルハナバチです。トマトの雄しべにぶら下がり、胸の筋肉を震わせて花粉を落とします。論文では、ハチ類のなかでも特にマルハナバチは、ほかの花粉を運ぶ虫より強い胸の振動を出すと説明されています[1]。
トマトの花には蜜がなく、花粉も多くありません。そのため、ミツバチの活動は停滞しやすいと考えられています[2]。花の形と相性がいいのは、体を震わせられるハチだったのです。
では、庭やベランダにハチが来ないとき、花はどうなるのでしょうか。
トマトの花は、5本の雄しべが合わさった葯の筒(anther cone)が雌しべを包む構造をもつ。この構造は閉花受粉に近い自家受粉につながるが、花粉を取り出すには、ハチとの接触で生じる振動が必要になることがあると報告されている[1]。
この役を担う代表がマルハナバチである。トマトの雄しべにぶら下がり、胸の筋肉を振動させて花粉を落とす。同じ論文は、ハチ類、とりわけマルハナバチは、ほかの花粉媒介者より大きな胸部の振動を出すと述べる[1]。
トマトの花は蜜がなく花粉が少ないため、ミツバチの活動は停滞しやすいと考えられている[2]。蜜という報酬が小さいかわりに、花の形が「体を震わせられる相手」を選んでいる格好である。ただし、これは資料の説明を組み合わせた読み方で、花がハチを選ぶ仕組みを直接述べた記述ではない。
では、ハチが来ない庭やベランダでは、花はどうなるのか。
2. ハチが いない 家では、花に なにを するの?
2. ハチが来ないとき、家庭菜園では花をどう受粉させるのか
2. ハチの代わりを人がするとき、何を狙い、何がまだ研究段階なのか
家で そだてる ミニトマトは、受粉させないと 実が つきにくい ことが あると いわれます。そこで、朝の はやい 時間に、人が 受粉を 手つだいます。[3]
とくに だいじなのは、いちばん 下の 花の かたまりの、いちばん 先に さいた 花です。ここを しっかり 受粉させると いいと されます。[3]
音を 使った けんきゅうも あります。2025年に、音の ゆれで 筒の 毛が ほどけて、受粉が すすみ、実が 大きく なったと ほうこくされました。ただ、これは まだ けんきゅうの とちゅうです。家で 音を 当てれば 育つ、という ことでは ありません。[1]
家庭菜園では、受粉させないとミニトマトは実がつきにくく、朝の早い時間に花へ手を加えるとよいとされています。とくに、いちばん下の花房の最初に咲いた花を確実に受粉させることが大切といわれます[3]。
ハチの代わりに「振動」を使う研究も進んでいます。2025年の論文は、温室で育てた市販のトマト4品種に50〜10,000ヘルツの音の振動を当てる実験で、葯の筒を閉じ合わせていた毛のような組織がほどけ、条件によっては自家受粉が促されて果実が大きくなったと報告しました[1]。
これは研究段階の結果です。家で音を当てれば必ず育つ、という意味ではありません。それでも、トマトの花にとって「揺れ」が大きな意味をもつことは、この報告からも伝わってきます。
家庭栽培では、受粉させないとミニトマトは着果しにくいとされ、朝の早い時間に花へ処理を行う。とくに第1花房の第1花を確実に受粉させることが大切だという[3]。ここでは「着果しにくい」であり、受粉なしでは必ず実がならないとまでは言えない。
ハチの振動を人為的に置きかえる研究もある。2025年の論文は、市販の4品種に50〜10,000Hzの音の振動を当てたところ、葯の筒を絡み合わせている毛状組織(トリコーム)がほどけ、自家受粉が促されて果実が大きくなったと報告した[1]。花の形が花粉を閉じこめている以上、その「錠」を外す何らかの振動が受粉の鍵になる、という筋書きと整合する。
ただし、結果は特定の品種と条件のもとで得られたもので、家庭で音を当てれば必ず育つことを示すものではない。家庭の人工授粉の具体的な手順は、ここで用いた資料では示されていないため、記述しない。
3. 暑すぎると、どうして 実が つきにくく なるの?
3. 暑すぎると、なぜ実がつきにくくなるのか
3. 高温は花粉の何を変え、農家はどう対処するのか
ミニトマトが よく そだつ 気温は、およそ 21〜26℃ です。10℃より 下や、35℃より 上では、せいちょうが とまると いわれます。[4]
あつすぎると、花粉の 元気が なくなる ことも あります。花粉が 元気で、めしべで のびやすいことが、受粉が うまくいく 条件です。[5]
ハチを 使う 農家でも、あつい 日が つづくと、ハチだけでは たりなくなります。そのときは、くすりを 使う 方法に きりかえる ことが あると いいます。[5]
あつい 日の あとに、花は さいたのに 実が つかない。それは、花粉の 元気が かんけい しているのかも しれません。
ミニトマトの生育に適した気温は、約21〜26℃とされます。10℃以下や35℃以上では成長が止まるといわれ、温度の変化にも敏感です。ただし適温の数字は資料により少しずつ違い、20〜30℃とするものもあります[4]。
暑さは、花粉にも関わります。花粉の発芽しやすさ(稔性)が、受粉に成功する条件の一つです。高温で花粉の状態が悪くなると、農家ではマルハナバチによる受粉だけでは足りなくなり、ホルモン処理に切りかえる必要が出てくるとされています[5]。
暑い日が続いたあと、花は咲いたのに実がつかないことがあれば、花粉の調子が関わっているのかもしれません。ただし、実がつかない理由は温度だけとは限りません。
では、受粉がうまくいった花は、そこからどう変わっていくのでしょうか。
生育適温は21〜26℃とされ、育苗中は25〜28℃に保つ。10℃以下や35℃以上では成長が止まるとされるが、適温は資料によって20〜30℃など幅がある[4]。
高温は花粉に響く。受粉の成否は花粉の稔性、つまり発芽しやすさに左右され、解説資料によれば、高温で花粉の状態が悪くなる場合があり、マルハナバチによる受粉だけでは足りなくなると、ホルモン処理に切りかえることがある[5]。ハチの振動で花粉を出せても、花粉そのものが傷んでいれば受粉は成り立たない、という二段構えの条件である。
品種や栽培条件によって、ある気温を超えると稔性のある花粉が大きく減る例も報告されている。ただし、その数値は特定の条件のもので、家庭の鉢にそのまま当てはまるとは限らず、実がつかない原因が温度だけとは断定できない。
では、受粉に成功した花は、どんな日数をかけて赤い実になるのか。
4. 花が さいてから 赤く なるまで、なにを 見たら いいの?
4. 開花から赤い実まで、毎日の観察で見えること
4. 開花から着色までの約35〜50日に、人は何を手入れするのか
花が さいてから 赤く なるまでは、およそ 35〜50日 かかります。5しゅう間から 7しゅう間くらいです。気温や ひんしゅで かわる、目安の 日数です。[4]
この 間、茎と 葉の つけねから、小さな 芽が 出て きます。わき芽と いいます。小さい うちに、指の 先で つみ取ります。はさみは 使いません。病気が ひろがる ことが あるからです。[4]
わき芽を はやく 取る ことは、長く そだてる ために、いちばん だいじな 作業と いわれます。[3]
実が ヘタの ちかくまで 赤く なったら、食べごろです。赤く なるほど、われやすく なります。[3]
ミニトマトは、開花から約35〜50日で実が色づきます。5週間から7週間ほどで、気温や品種によって変わる目安です[4]。花が咲いた日を覚えておけば、収穫の時期を予想する手がかりになります。
待つあいだにも仕事があります。茎と葉のつけねから出てくる「わき芽」を、小さいうちに指先で摘み取ります。はさみを使うと、ウイルス病が広がるおそれがあるためです[4]。わき芽をできるだけ早く切除することは、長く栽培を続けるために最も大切な作業とされます[3]。
実がヘタの近くまで赤くなったら、食べ頃です。完熟させるほど、実は割れやすくなります[3]。赤くなるのを待つ気持ちと、割れる前に収穫したい気持ちの間で、ちょうどよい日を見つけるのが栽培の楽しさです。
開花後、約35〜50日で果実が色づく。気温や品種で変わる目安だが、資料によっては約50日で収穫できるとする[4]。この長さは毎日観察できる長さで、開花日を記録しておけば、収穫時期を予測する手がかりになる。
この間の作業のうち、要になるのがわき芽の処理である。わき芽は小さいうちに指先で摘み、はさみは使わない。刃物を介してウイルス病が広がるおそれがあるためだ[4]。わき芽を早く切除することは、栽培を長く続けるためにもっとも大切な作業とされ、摘心(茎の先端を止める作業)の目安は5〜6段目の花房が咲いたころとされる[3]。
収穫は、実がヘタの近くまで赤く熟したときが食べ頃である。完熟させるほど割れやすくなるため[3]、色の進み具合と割れやすさの兼ね合いで収穫日を決めることになる。
5. 赤い 小さな 実は、もとは どんな 大きさだったの?
5. ミニトマトの祖先の実は、どれくらい小さかったのか
5. 栽培トマトの祖先種の実は、どのくらいの大きさと推定されるのか
トマトは、南アメリカの ペルーや エクアドルが ふるさとと いわれます。[6]
いま 食べている トマトの もとに なったのは、小さくて 丸い 実を つける、野生の 草だと 考えられて います。[7]
その 実は、よこはばが 1cmより 小さく、重さも 数グラム くらいと すいていされて います。栽培される トマトの 実は、野生の 祖先の 実の いちばん 大きい もので 1000倍ほどに なると、しょうかいされて います。くわしい じょうけんは、はっきり していません。[8]
ただし、ミニトマトが 野生の 大きさと おなじ、という ことでは ありません。ひんしゅに よって、大きい ものも 小さい ものも あります。
トマトは、南アメリカのペルーやエクアドルが原産地とされます[6]。栽培トマトは、小さくて丸い、食べられる実をつける野生の祖先種から進化したと、論文で説明されています[7]。
その祖先の実は、直径が1cmに満たず、重さは数グラムと推定されます。栽培トマトの実は、野生の祖先の最大1000倍にもなるという紹介があります[8]。ただし、どの条件での比較かははっきりしていません。
また、ミニトマトが野生の祖先の大きさというわけではなく、品種によって大小さまざまです。大切なのは、いま私たちが食べている小さな実も、長い時間をかけて形が変わってきた結果だという点です。
トマトの原産地は、南アメリカのペルー、エクアドルとされる[6]。栽培トマト(Solanum lycopersicum)は、小さく丸い食用の実をつける野生の祖先種 S. pimpinellifolium から進化したと説明される[7]。
この祖先の実は、直径1cm未満、重さ数グラムと推定され、栽培トマトの実は野生の祖先の最大1000倍に達するとされる。ただしこの数値は英文の紹介記事の抜粋にもとづく目安で、原文までは照合しておらず、「最大」の条件も不明である[8]。
注意したいのは、ミニトマトが野生種の大きさというわけではない点だ。ミニトマトは栽培品種群の一つで、品種によって大小はさまざまである。ミニトマトの個別の来歴は、ここで使った資料では扱われていないため、記述しない。
6. 花が さいた 日を、かいて おくと?
6. 花が咲いた日を書いておくと見えてくること
6. 開花日の記録から、自分の株の「日数」を確かめる
きょう できる こと
ミニトマトの 花が さいたら、日づけを ノートに かいて おきます。そして 実が 赤く なった 日も かきます。花から 赤く なるまで 何日 かかったか、数えて みましょう。35〜50日の 間に はいるでしょうか。
花が さいた ころの 気温も、いっしょに メモして おくと、日数との かんけいが 見えて くるかも しれません。
しらべる とき
農林水産省の こどもページに、野菜の ふるさとの ページが あります。トマトの ふるさとが のって います。
今日できること
ミニトマトの花が咲いた日をノートに書き、実が赤くなった日も書き込みます。何日かかったかを数えると、紹介した35〜50日の範囲に入るか、自分の株で確かめられます。花房ごとに日数を比べると、下の花房と上の花房の違いも見えてくるかもしれません。
咲いた日の気温も一緒にメモしておくと、暑い日の花と涼しい日の花で、実のつき方や日数に違いがあるか観察できます。ただし、気温だけが違いの理由とは限りません。
資料を読むなら
農林水産省のこどもページ「野菜のふるさと」[6]に、トマトの原産地が紹介されています。受粉と振動については、参考資料[1]を大人と一緒に確認できます。
今日できること
開花日と、実が色づいた日を記録し、日数を求める。資料の35〜50日の範囲に入るか、花房の段ごとにずれるか、開花前後の気温と関係するかを、自分の株で確かめられる。ただし1株の記録は一例であり、品種や栽培条件による差を一般化はできない。
資料を読むなら
農林水産省のこどもページ[6]は、原産地を日本語で確かめるのに適している。受粉と振動の部分は、2025年の論文[1]を読むとよい。高温と花粉については、ゼロアグリの解説[5]が日本語で読める。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文で使った資料です。
- Sonic-induced cellular vibrations unzip intertwined anther cone trichomes to trigger floral self-pollination and boost tomato fruit size(PMC12060008, 2025). https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12060008/ (花の構造と振動受粉)
- セイコーエコロジア コラム「マルハナバチの働き」. https://ecologia.100nen-kankyo.jp/column/single296.html (マルハナバチの受粉)
- コメリ「ミニトマトの育て方」. https://www.komeri.com/contents/howto/html/03470.html (適温・開花後の日数・わき芽)
- ゼロアグリ「マルハナバチの利用について」. https://www.zero-agri.jp/guide/bumblebee-pollen-mating/ (高温と花粉)
- 農林水産省 こどもpage「野菜のふるさと」. https://www.maff.go.jp/j/kids/agri/roots/region07.html (トマトの原産地)
- Frontiers in Plant Science(2014)tomato fruit weight and shape. https://www.frontiersin.org/journals/plant-science/articles/10.3389/fpls.2014.00227/full (野生の祖先種)
- Plant Breeding and Genomics, Tomato Fruit Size. https://plant-breeding-genomics.extension.org/?p=163 (実の大きさの変化の目安)
なおした ところ
更新履歴
更新履歴(改版の記録)
- 初版を公開。
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