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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

保育士ほいくしさんは、どんな 仕事を する人なの?

保育士の仕事は、法律でどう決められているのか ── 子どもの保育のほかに、保護者への指導も

保育士の法律上の定義と職責 ── 「児童の保育」と並ぶ「保護者に対する保育に関する指導」、養護と教育の一体性、配置の基準

分野:歴史・文化

ほいくえんの 先生は、子どもと いっしょに あそんで くれます。その 先生たちは 保育士ほいくしと よばれます。じつは 法律ほうりつには、保育士ほいくしの 仕事は 「子どもの 世話」だけでは なく、「おうちの 人に 保育ほいくの ことを 指導しどうする こと」も あわせて 書いて あります[1]。

あそんで いるように 見える 毎日の 中で、保育士ほいくしさんは なにを して いるのでしょう。名前の ひみつ、世話と 勉強の ちがい、先生の 人数の 決まりが 分かります。

保育所の先生は、子どもと一緒に遊んでいるように見えます。ところが法律は、保育士を「子どもを保育する人」と書くだけでなく、「保護者に対して保育に関する指導を行う人」とも書いています[1]。

遊んでいるように見える毎日の裏で、保育士は何を引き受けているのでしょうか。昔の「保母」という呼び名がなぜ変わったのか、世話と教育がどう一つになっているのか、先生の人数がどう決められているのかが分かります。

児童福祉法第18条の4は、保育士を「児童の保育」と並べて「児童の保護者に対する保育に関する指導」を業とする者と定める。仕事の相手が子どもだけでなく、その保護者にも及ぶ書き方である[1]。

この定義の意味を、保母から保育士への名称変更、保育所保育指針の「養護及び教育を一体的に行う」という考え方、省令が定める配置基準という3つの条文・告示から確かめる。保育士の仕事がどんな枠組みで成り立っているかが分かる。

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1. 法律ほうりつには、保育士ほいくしの 仕事が どう 書いて あるの?

1. 法律の定義は、子どもの次に「保護者」を挙げている

1. 児童福祉法第18条の4 ── 定義の後半に置かれた「保護者に対する指導」

「ほいくしって、なに?」と 聞かれたら、なんと 答えますか。「子どもを あずかって あそんで くれる 人」と 答える 人が 多いかもしれません。

ところが 児童福祉法じどうふくしほうという 法律ほうりつには、こう 書いて あります。保育士ほいくしとは、国の 登録とうろくを 受けて、「保育士ほいくし」と いう 名前を 使い、専門せんもんの ちしきと ぎじゅつで、「子どもの 保育ほいく」と「保護者ほごしゃへの 保育ほいくに ついての 指導しどう」を 仕事に する 人です[1]。

保護者ほごしゃとは、子どもを 育てて いる おうちの 人の ことです。つまり 保育士ほいくしの 仕事の 相手は、子どもだけでは ないのです。

では この 「保育士ほいくし」と いう 名前は、いつから 使われて いるのでしょう。じつは、むかしは ちがう 名前でした。

「保育士とは何か」と聞かれたとき、多くの人は「保育所で子どもを預かり、遊んでくれる人」と答えるでしょう。法律の文章を読むと、答えの形が少し違って見えます。

児童福祉法第18条の4は、保育士を、保育士の登録を受け、保育士の名称を用いて、専門的な知識と技術をもって、児童の保育と児童の保護者に対する保育に関する指導を行うことを仕事とする者、と定めています[1]。

注目したいのは、仕事の中身が二つ並んでいることです。一つは子どもの保育、もう一つは保護者への保育に関する指導です。保育士の相手は、目の前の子どもだけではありません。その子を育てている家庭にも向いています。

この定義には「保育士の名称を用いて」という言葉も入っています。いまの「保育士」という名前は、じつは最初からあったものではありません。次はその名前の話です。

保育士とは何者か。児童福祉法第18条の4は、保育士を「保育士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて、児童の保育及び児童の保護者に対する保育に関する指導を行うことを業とする者」(登録を受けた者に限る)と定義する[1]。

この一文には、読み落としやすい点が三つある。第一に、仕事の内容が「児童の保育」と「保護者に対する保育に関する指導」の二本立てになっていること。つまり法律は、保育士を子どもだけに向き合う職として描いていない。第二に、「専門的知識及び技術をもって」という限定が付くこと。第三に、「保育士の名称を用いて」と、登録と名称が結びつけられていること。この条文が結びつけているのは、あくまで「保育士」という名称である。

ここで、定義の前半にあたる「名称」に目を向ける。いまの「保育士」は、実はある時点で付け替えられた名前である。何のために、いつ変わったのか。

2. 「保母ほぼさん」は、どうして 「保育士ほいくし」に かわったの?

2. 「保母」から「保育士」へ ── 名前が変わった理由

2. 1998年の政令改正と1999年度の名称変更 ── 「男性保母」をどう呼ぶか

むかしは、保育所ほいくしょで はたらく 人を 保母ほぼさんと よんで いました。「母」の 字が 入って いるので、女の 人の 仕事のように 聞こえます。

1998年の 2月に、国は 政令せいれいという 決まりを あらためて、「保母ほぼ」の 名前を 「保育士ほいくし」に する ことに しました[4]。新しい 名前を 使い はじめたのは、1999年度からです[5]。

この 名前が かわった ことは、男の 人も 同じ 名前で よべるように する ためだったと されて います[5]。男の 人の 場合は 保父ほふという よびかたも 出ましたが、男女で 分けずに 「保育士ほいくし」に そろえたと いわれて います[5]。

名前が かわっても、仕事の 中身が 急に かわった わけでは ありません。では 保育士ほいくしさんは、毎日の 中で 子どもに どう 向きあって いるのでしょう。

保育所で働く人は、かつて「保母」と呼ばれていました。「母」という字が入った名前は、働き手を女性としてイメージさせます。

この呼び名は、平成10年(1998年)2月の「児童福祉法施行令等の一部を改正する政令」で「保育士」に改められました[4]。実際に新しい名称が使われ始めたのは、平成11年度(1999年度)からです[5]。

厚生省関連の1998年の資料には、この変更の目的が「男性保母」の名称を決めることにあったと書かれています[5]。男性は「保父」と呼ぶ案もありましたが、性別によって名前を分けず「保育士」に統一することになったと説明されています[5]。

名前が変わっても、仕事そのものは続いていきます。では、その仕事は日々の保育所でどんな形をしているのでしょうか。

名称の問題は、法律の側から見ると次のように整理できる。かつて児童福祉施設の基準に「保母」と書かれていた職は、平成10年(1998年)2月の「児童福祉法施行令等の一部を改正する政令」(平成10年政令第24号)によって「保育士」に改められた[4]。名称が実際に切り替わったのは平成11年度(1999年度)である[5]。

変更の目的について、厚生省関連の1998年の資料は「男性保母」の名称を定めることだと記す[5]。そのため「保父」という呼び名も案に上がったが、性別で名称を分けない観点から「保育士」に統一されたと説明されている[5]。「保母」の字が示す性別を外し、男性も同じ名称で働ける形にしたわけである。

なお、ここで確かめられるのは名称の変更までである。資格制度の成り立ちや、男性が資格を取れるようになった時期は、本稿の資料の範囲では扱わない。では、名前を改めた「保育士」が日々の保育所で行う仕事とは、具体的にどのような中身か。その手がかりは、国が定める保育所保育指針にある。

3. 世話と 勉強は、べつべつの ものなの?

3. 世話と教育は、別々でなく「一体」で行われる

3. 「養護及び教育を一体的に行う」 ── 保育所保育指針の特性規定

保育所ほいくしょには、国が つくった 「保育所保育指針ほいくしょほいくししん」と いう きまりごとが あります[2]。保育士ほいくしが 子どもと どう 向きあうかが 書かれた 本のような ものです。

この 指針ししんでは、保育所ほいくしょの とくちょうを 「養護ようごと 教育を 一体で 行う こと」と 書いて います[2]。養護ようごとは、子どもの いのちを まもり、気持ちを おちつかせる ための 手だすけです[2]。ごはんを 食べる、ねむる、あんしんする、そうした 毎日の ことです。

そして 「一体」とは、世話と、遊びや 生活の 中で 学ぶ ことを、べつべつに 分けない 考え方です。指針ししんは、子どもが 自分から やりたくなる ような 環境かんきょうを 用意して、生活や 遊びを とおして まとめて 育てる ことを もとめて います[2]。

たとえば おもちゃを どこに おくか、子どもが 手を のばしやすい 高さは どこか。そんな 工夫くふうも、環境かんきょうづくりの 一部だと 考えられます。あそんで いるように 見える 時間に、先生の 仕事が かくれて いるのです。

では 世話の 部分は、毎日の 中で どんな 場面に なるのでしょう。

「世話をすること」と「教えること」は、別の仕事に思えます。ところが保育所保育指針(平成29年厚生労働省告示第117号、2018年4月から適用)は、保育所の特性を、保育の専門性をもつ職員が家庭と連携しながら、子どもの状況や発達の道すじをふまえ、環境を通して「養護及び教育を一体的に行うこと」と書いています[2]。

養護とは、指針の言葉では、子どもの生命を守り、情緒を安定させるために保育士などが行う援助や関わりです[2]。教育と分けず「一体的に」と書かれている点が肝心です。

では教育はどこで行われるのか。指針は保育の方法として、子どもが自分から意欲的に関われるような環境を整え、子ども自身の活動や子ども同士の関わりを大切にすること、そして乳幼児期にふさわしい体験が得られるよう「生活や遊びを通して総合的に保育すること」を挙げています[2]。

つまり遊びは、世話の合間の息抜きではなく、保育の中心的な手段として位置づけられています。おもちゃをどこに置くか、部屋をどう使うかといった工夫も、「環境を整える」仕事の一部と考えられます。遊んでいるように見える時間の裏側に、先生の準備があるわけです。

では、その土台にある「世話」の部分は、毎日の中でどんな場面になるのでしょうか。

保育所保育指針は、保育所の特性をこうまとめている。専門性をもつ職員が家庭と密に連携し、一人一人の状況と発達の過程に目を配りながら、保育所の環境を通して「養護及び教育を一体的に行う」こと、である(平成29年厚生労働省告示第117号、平成30年(2018年)4月適用)[2]。

ここで養護は、「子どもの生命の保持及び情緒の安定を図るために保育士等が行う援助や関わり」と定義される[2]。養護と教育を別領域と見るのではなく「一体的に」と置く点が、この規定の核である。

では教育はどの方法で行われるのか。指針は保育の方法として、子どもが自発的・意欲的に関われるような環境を構成すること、子どもの主体的な活動や子ども相互の関わりを大切にすること、そして乳幼児期にふさわしい体験が得られるように「生活や遊びを通して総合的に保育すること」を挙げる[2]。

この構造から、遊びは世話の合間の時間ではなく、保育の方法そのものとして位置づけられていると読める。おもちゃの置き場所や部屋の使い方のような工夫も、「環境を構成する」仕事に含まれると考えられる。外から見れば遊んでいるだけの時間に、保育士の準備と判断が入っている理由は、ここにある。

では、「養護」にあたる日々の世話は、具体的にどんな場面で現れるのか。指針の養護の内容を見る。

4. 毎日の ごはんや おきがえは、どう 手だすけするの?

4. 食事・排泄・着替えを「できるよう助ける」とはどういうことか

4. 養護の内容 ── 把握・援助・受容と共感による信頼関係

朝、保育所ほいくしょに つくと、先生は 一人ひとりの 顔を 見ます。元気か、ねむそうか、ちょっと ようすが ちがうか。指針ししんには、子ども一人ひとりの 健康けんこうの ようすや 育ち方を つかむ ことが、養護ようごの 内容ないようとして 書かれて います[2]。

ごはん、トイレ、きがえ、手や からだを きれいに すること。こうした 毎日の ことを、子どもが 「やって みよう」と 思えるように 手だすけする、と 指針ししんは 書きます[2]。ぜんぶ やって あげる のでは なく、自分で やる 気持ちを 大切に する、という 考え方です。

もう 一つ 大切に されて いるのが 気持ちです。子どもの 気持ちを 受けとめて、いっしょに 感じながら、時間を かけて 信頼しんらいの 関係かんけいを 作って いく、と 書かれて います[2]。

これだけ たくさんの ことを、先生は 何人で 見て いるのでしょう。じつは 国には、先生の 人数を 決めた 数字が あります。

朝、保育所に着いた子の顔色や機嫌を、先生は一人ひとり見ています。指針は、養護の内容に、一人一人の健康状態や発達の様子を把握することを挙げています[2]。

日々の世話の中心は、食事、排泄、衣類の着脱、身の回りを清潔にすることです。ここで指針が使う言葉は、「子どもが意欲的に生活できるよう適切に援助する」です[2]。代わりに全部やってあげるのではなく、自分でやろうとする気持ちを支える、という方向の書き方です。

もう一つ大切にされているのが、気持ちへの向き合い方です。指針は、気持ちを受け止め、共感しながら、子どもとの継続的な信頼関係を築いていくことを求めています[2]。

これらを毎日、一人ひとりに対して行うには、先生の数が足りなければなりません。実は国の基準に、年齢ごとの先生の人数が数字で書かれています。

養護の内容は、日常の場面に即して書かれている。一人一人の子どもの健康状態や発達の状態を把握すること、食事や排泄、衣服の着脱、清潔を保つことといった場面で、子どもが「意欲的に生活できるよう」手助けすること、そして気持ちを受容し共感しながら、子どもとの継続的な信頼関係を築いていくことである[2]。

ここで注意したいのは「意欲的に生活できるよう」という限定である。援助の目標は、世話をこなすことそのものより、子どもが自分の生活に意欲をもって関われるようにすることに置かれている。前の章の「環境を通して」と合わせると、指針が全体として、子どもが自分から動き出せる条件を整えることを保育士の役割にしていると読める。

ただし、この三つの内容は、一人一人の違いに合わせて毎日行うことが前提になっている。そこで問題になるのが、一人の保育士が同時に何人の子どもを見られるのかという点である。国は保育士の数を、子どもの年齢に応じた比率で定めている。

5. 先生は、子ども 何人に 一人 いるの?

5. 先生一人が見る子どもの人数は、年齢でどう違うのか

5. 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第33条 ── 年齢別の配置基準

全国には、保育所ほいくしょや 保育所ほいくしょに にた こども園が 2万3千あまり あります。そこで はたらく 保育士ほいくしは、常勤換算じょうきんかんさんで やく38万人です(2023年10月1日)[6]。この 数え方は、はたらく 時間を 一人ぶんに そろえて 数えた ものです。

では 先生は、子ども 何人に 一人 いるのでしょう。国の 基準きじゅんには、年れいごとに 数が 決めて あります[3]。いまの 条文じょうぶんで 調べた ところ、こうでした。

  • あかちゃん(乳児にゅうじ)は おおむね 3人に 1人
  • 1さいから 2さいは おおむね 6人に 1人
  • 3さいは おおむね 15人に 1人
  • 4さい いじょうは おおむね 25人に 1人

あかちゃんは 3人に 1人、4さいから 上は 25人に 1人。1人の 先生が 見る 人数の めやすは、やく8倍も ちがいます(25÷3は やく8.3)。年れいが 小さい ほど、1人の 先生が 見る 人数の めやすが 小さく、先生の 数が 多く なって います。

この ほか、どんなに 子どもが 少なくても、1つの 保育所ほいくしょに 先生は 2人 いないと いけません[3]。ただし 決まりは 見直される ことが あるので、いまの 数字は 最新さいしんの 条文じょうぶんで たしかめてください。

先生の 仕事は、子どもを 見るだけでは ありません。法律ほうりつの 定義ていぎに もどって、「おうちの 人」との かかわりを 見て みましょう。

全国の保育所と、保育所型の認定こども園は、令和5年(2023年)10月1日現在で23,726施設。そこで働く保育士は、常勤換算で384,011人です[6]。「常勤換算」は働く時間を一人分にそろえて数える方法で、実際に働く人の頭数ではありません。

単純に割ると、1施設あたり約16人(384,011÷23,726)ですが、これは平均にすぎません。実際に何人の子を何人の先生が見るのかは、国の基準にあります。

児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の第33条は、保育士の数を、乳児おおむね3人につき1人以上、満1歳以上満3歳に満たない子おおむね6人につき1人以上、満3歳以上満4歳に満たない子おおむね15人につき1人以上、満4歳以上の子おおむね25人につき1人以上と定めています(この記事を書いた時点で調べた条文)[3]。保育所一つあたりの保育士は、2人を下回ってはならないともあります[3]。

比べると、乳児の「3人に1人」と4歳以上の「25人に1人」では、先生一人が見る人数の目安が約8倍違います(25÷3は約8.3)。年齢が低いほど、基準上の保育士の数が多くなっています。

ただし基準は見直されることがあるため、今の数字は最新の条文で確かめるのが安全です。

先生の数が決まっているのは、子どもを見るためだけではありません。もう一つの相手、保護者との関わりを次に見ます。

令和5年(2023年)10月1日現在、厚生労働省の「社会福祉施設等調査」では、保育所等(保育所と保育所型認定こども園)は23,726施設、保育士は常勤換算で384,011人だった[6]。常勤換算とは勤務時間を一人分に直した数なので、実際の頭数ではない。単純に施設数で割ると1施設あたり約16人だが、これは平均にすぎず、各施設の実態を示す数字ではない。

では一人の保育士が見る子どもの数は、何で決まるのか。児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第33条は、保育士の数を次のように定める(この記事を書いた時点で調べた条文)。乳児おおむね3人につき1人以上、満1歳以上満3歳に満たない幼児おおむね6人につき1人以上、満3歳以上満4歳に満たない幼児おおむね15人につき1人以上、満4歳以上の幼児おおむね25人につき1人以上。ただし、保育所一つにつき2人を下ることはできない[3]。

この数字を比べると、乳児の「3人に1人」と満4歳以上の「25人に1人」では、1人の保育士が受け持つ人数の目安が約8倍違う(25÷3は約8.3)。年齢が低いほど、基準上の保育士の数が多い。ただしこれは「おおむね」の基準であり、現場の実際の配置は別に確かめなければならない。

また、保育士の配置をめぐる数字は、別の制度(費用の算定など)で別の数が使われることもあり、省令の条文の数字とは区別して読む必要がある。決まりは改正されることがあるので、読むときは最新の条文に当たりたい。

ここまでは、子どもに向き合う側の仕事である。残る問いは、定義のもう一つの柱、保護者への指導が、法令の上でどんな責任と結びついているのかである。

6. おうちの 人との かかわりは、どう 決められて いるの?

6. 保護者への指導を支える「専門性」「秘密を守る約束」「地域への相談」

6. 職責・守秘義務・地域の保育相談 ── 保護者への指導を支える三つの規定

保育所保育指針ほいくしょほいくししんは、保育士ほいくしの 仕事を こう まとめて います。正しい 心がまえを もち、専門せんもんの ちしきや ぎじゅつ、じぶんで 考える 力で 子どもを 保育ほいくし、同時に おうちの 人にも 保育ほいくについての 指導しどうを する。そのために、勉強を いつも つづける ことが もとめられます[2]。

もう一つ、法律ほうりつには 大事な 約束やくそくごとが あります。保育士ほいくしは、仕事で 知った 人の 秘密ひみつを、正当な 理由なく ほかの 人に 話しては いけません。保育士ほいくしを やめた あとでも 同じです[1]。おうちの 人が 安心して 相談できる ように する ための 決まりです。

さらに、保育所ほいくしょは まわりに 住む 人にも 保育ほいくの 情報じょうほうを 出し、子そだての 相談に のるように つとめる、と 法律ほうりつに 書いて あります[1]。これは 「つとめる」と いう 書き方で、かならず しなくては いけない 決まりではなく、がんばって ほしい、という 内容ないようです。

こうして 見ると、保育士ほいくしは 子どもと あそぶ だけの 人では なさそうです。子どもを 見る 人であり、家庭と 手を つなぐ 人でも あります。

保育所保育指針は、保育士の職責を、倫理観に裏付けられた専門的知識・技術・判断で子どもを保育し、あわせて保護者に対して保育に関する指導を行うこと、と書いています。その職責を果たすため、専門性の向上に絶えず努めなければならないとも定めます[2]。

法律の側にも、この仕事を支える決まりがあります。一つは秘密を守る義務です。保育士は、正当な理由なく、仕事で知った人の秘密を漏らしてはならず、保育士でなくなった後も同じとされています[1]。家庭の事情を保育士に相談できるのは、この決まりは、家庭の事情を相談するときの支えの一つです。

もう一つは地域への相談です。児童福祉法第48条の4は、保育所が地域の住民に保育の情報を提供し、保育に支障がない範囲で、乳児・幼児などの保育に関する相談に応じ助言するよう「努めなければならない」と定めています[1]。「努めなければならない」は努力義務で、必ず応じなければならないという意味ではありません。

こうして並べると、定義にあった「保護者に対する保育に関する指導」は、専門性、秘密を守る約束、地域に開かれた相談という三つの決まりに支えられた仕事だと分かります。

遊んでいるように見える先生は、子どもの毎日を整える専門職であり、家庭とつながる窓口でもあります。

保護者への指導は、法令上どのような責任と結びつくのか。保育所保育指針は、保育士の職責を二つ並べて書く。倫理観に支えられた専門的な知識・技術・判断で子どもを保育すること、そして保護者に保育についての指導をすることである。そのうえで、この職責を果たすために専門性を高め続ける努力を求めている[2]。

児童福祉法にもこれを支える規定がある。第18条の22は、保育士が仕事を通じて知った他人の秘密を、正当な理由なく外に漏らすことを禁じ、保育士をやめた後もこの義務が続くとしている。保護者が家庭の事情を保育士に伝えられるのは、この守秘義務が前提にあるためと考えられる[1]。

さらに第48条の4は、保育所が地域の住民に保育の情報を提供し、保育に支障がない範囲で乳児・幼児等の保育に関する相談に応じ、助言を行うよう努めなければならないとする。これは努力義務であって、すべての相談に応じる義務を課す条文ではない。保育所の保育士にも、そのための知識・技能の修得と向上に努めることを求めている[1]。

以上を、第1章の定義とつなげて読むと、「保護者に対する保育に関する指導」は条文上の単独の語にとどまらず、指針の職責規定、守秘義務、地域への相談という複数の規定に支えられた仕事の一部であることが分かる。

では、保育士の仕事を一文でいえば何か。国の規定に即せば、「子どもの生活と遊びを専門性で整え、その保護者や地域にも保育の知識を届ける仕事」となる。外から見える「遊び相手」は、その一部にすぎない。

7. 「3人に 1人」を、じぶんの まわりで 計算して みよう

7. 「先生の数」の計算と、条文の探し方

7. 条文と告示を自分で読むために

今日 できる ことです。たとえば 3さいの 子が 30人 いる ところを 想ぞうして みましょう。3さいは おおむね 15人に 1人でした。30÷15で、先生は 2人以上いじょうの 計算です。

あかちゃんなら どうでしょう。9人なら 3人、12人なら 4人です。同じ 人数でも、年れいが 小さい ほど、先生の 数が ふえるのが 分かります。

国の 公式な 資料しりょうを 見たい ときは、おうちの 人と いっしょに 調べて みましょう。「保育所保育指針ほいくしょほいくししん」は 厚生労働省こうせいろうどうしょうの ページに のって います。先生の 人数は、「e-Gov 法令検索ほうれいけんさく」で 「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準じどうふくししせつのせつびおよびうんえいにかんするきじゅん」を さがすと、第33条だいさんじゅうさんじょうに 書いて あります。

遊んで いる 先生の うしろには、どんな 準備じゅんびが あるでしょう。今度 保育所ほいくしょの 前を 通る ときは、たなの 高さや おもちゃの ならべ方を、そっと 思い出して みてください。

今日できることは、計算です。たとえば3歳の子が30人いる保育所を考えます。3歳は「おおむね15人に1人」なので、30÷15で、保育士は2人以上の計算になります。

乳児が9人なら3人、12人なら4人です。同じ人数でも、年齢が低いほど先生の数が増えることが、数字の上からも確かめられます。

公式の文章を読むなら、保育所保育指針は厚生労働省のウェブサイトで、児童福祉法と基準の条文は「e-Gov 法令検索」で読めます。基準の第33条は、検索窓に「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」と入れれば出てきます。数字が改められていないかも、そこで見られます。

本文で見た第18条の4と第48条の4も、同じ「e-Gov 法令検索」で読み比べられます。「子どもの保育」と並ぶ「保護者への指導」が、どんな言葉で書かれているか探してみてください。お住まいの市区町村のホームページにも、地域向けの子育て相談の案内がのっていることがあります。

次に保育所の前を通ったとき、先生は子どもと遊ぶ以外に、どんなことをしているか見えるでしょうか。

この記事の数字と定義は、すべて原文で確かめられる。児童福祉法第18条の4(保育士の定義)、第18条の22(秘密保持)、第48条の4(地域の保育相談)は、いずれも「e-Gov 法令検索」で条番号から探せる。配置の基準は「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」第33条である。

保育所保育指針(平成29年厚生労働省告示第117号)は厚生労働省のウェブサイトにあり、特性は第1章1(1)、養護の定義と内容は第1章2、保育の方法は第1章1(3)に書かれている。章と節の位置を手がかりに、同じ文言を自分の目で確かめられる。

読むときの観点は三つある。第一に、「努めなければならない」(努力義務)と「しなければならない」(義務)を区別すること。第二に、配置基準の「おおむね」と、別の制度で使われる別の人数の数字を混同しないこと。第三に、条文は改正されうるので、取得日と版を確かめること。

保育士の定義の後半にある「保護者に対する保育に関する指導」が、現場で具体的にどんな形をとるのかは、条文だけでは分からない。それを調べる手がかりとして、自治体が公開している子育て相談の案内などもある。まずは条文どうしを読み比べ、定義の二本立てがどの規定に支えられているかを自分で追ってみるとよい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

法令・告示・省令は、取得時点の条文を確認した。法令は改正されることがあるため、数字は公式サイトの最新版で確かめること。

  1. 児童福祉法(第18条の4・第18条の22・第48条の4) e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000164 (保育士の定義・秘密保持・地域の保育相談)
  2. 保育所保育指針(平成29年厚生労働省告示第117号) 厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000800750.pdf (養護と教育の一体性・養護の内容・保育の方法・職責)
  3. 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(第33条) e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323M40000100063 (保育士の配置の人数)
  4. 日本標準職業分類 第3回改定の経緯 総務省 https://www.soumu.go.jp/toukei_toukatsu/index/seido/shokgyou/3kaitei.htm (保母から保育士への名称改正の年月)
  5. 厚生省関連資料(1998年) 国立保健医療科学院掲載 https://www.niph.go.jp/wadai/mhlw/1998/h1032002.pdf (名称変更の時期と目的)
  6. 令和5年 社会福祉施設等調査の結果 厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/fukushi/23/dl/press.pdf (保育所等と保育士の数)

なおした ところ

更新履歴

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