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洗濯せんたくばさみは どうして 洗濯せんたく物を はさめるの?

洗濯ばさみは、なぜ洗濯物をはさめるのか ── ばね・てこ・摩擦のはたらき

洗濯ばさみはなぜ布を挟めるのか ── 閉じるばね、支点のてこ、静止摩擦(1853年の特許から)

分野:技術

ひもに かけた 洗濯せんたく物が 風で ゆれても、洗濯せんたくばさみは ぬのを おとさず はさんで います。どうして そんな ことが できるのでしょうか。

答えは、3つの はたらきが かさなる ことです。ばねが、先を しめる 力で ぬのを おします。おされた ぬのと 先の あいだに、ずれにくい 力(摩擦まさつ)が うまれます。指で ひらけるのは、支点してんを 中心にした 「てこ」の しくみが あるからです。この 記事では、その 3つを じゅんに 見て いきます。

ひもにかけた洗濯物が風でゆれても、洗濯ばさみは布を落とさずにはさんでいます。どうして、そんなことができるのでしょうか。

答えは、3つのはたらきが重なることです。ばねが先を閉じる力で布を押します。押された布と先のあいだに摩擦が生まれ、布がすべり落ちるのを防ぎます。指で開けられるのは、支点を中心にした「てこ」のしくみがあるからです。この記事では、この3つを順に説明したうえで、木の棒からはじまった歴史と、くり返し使っても外れないための改良を見ていきます。

ひもにかけた洗濯物が風で揺れても、洗濯ばさみは布を落とさない。挟めるのは、3つの仕組みが重なっているからである。

ばねが先を閉じる力で布を押す。押された布と先の間に静止摩擦が生じ、布が重力で滑り落ちるのを防ぐ。指で開けられるのは、支点をはさんで持つ部分と挟む部分が反対側にある、てこの仕組みがあるからだ。この記事では3つを順に説明し、木の棒からの歴史と、1989年に出願された改良の工夫を追う。

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1. ばねが、ぬのを ずっと おさえて いる

1. ばねが、布を押しつづける

1. 閉じるばね ── 1853年の米国特許の形から

洗濯せんたくばさみの 中には、「ばね」が あります。ばねは、もつ 部分の 2本の うでを そとへ ひろげる むきに 力を かけつづけます。その はんたいがわに ある 先は、ばねの 力で しまって、ぬのを ずっと おさえて いられるのです。

ばねを 使った 洗濯せんたくばさみの かたちが かかれた 特許とっきょは、アメリカの デイヴィッド・M・スミスの ものです。1853年10月25日づけの 特許とっきょには、2本の うでを 支点してんで つなぎ、そのあいだに ばねを 入れた かたちが 書かれて います[1]。

ばね式の洗濯ばさみの中心にあるのは、ばねです。ばねは、持ち手の2本の腕を外へ広げようとします。その反発で、反対側の先が閉じて、布をはさみ続けます。

この形を記した特許の発明者は、アメリカのデイヴィッド・M・スミスです。1853年10月25日付の特許(米国特許10,163号)は「洗濯物用のばね式クランプ」と題され、2本の腕を支点で蝶番のようにつなぎ、そのあいだにばねを入れる形を書いています[1]。この設計の概要は、英語版のウィキペディアにも書かれています[2]。

ばね式の洗濯ばさみの中心にあるのは、ばねである。ばねは2本の腕を外へ広げようとし、その反発で反対側の先が閉じて布を挟み続ける。

この形を記した特許の発明者は、アメリカのデイヴィッド・M・スミスである。1853年10月25日付の米国特許10,163号は「Spring-clamp for clothes-lines(洗濯物用のばね式クランプ)」と題され、2本の腕を支点で蝶番のように連結し、そのあいだにばねを入れる構造を書いている[1]。英語版ウィキペディアにも、この設計の概要が載っている[2]。

2. 指で開けると、先が開く ── てこの しくみ

2. 指で開き、ばねで閉じる ── てこのしくみ

2. 支点をはさむ「てこ」── 持つ部分と挟む部分の位置関係

洗濯せんたくばさみの まん中には、2本の うでを つなぐ ところが あります。これを「支点してん」と いいます。指で もつ 部分と、ぬのを はさむ 部分は、支点してんを はさんで はんたいがわに あります[1]。

もつ 部分を 指で おすと、先が ひらきます。指を はなすと、ばねの 力で 先が しまります。これが「てこ」の しくみです。てこは、支点してんから 持つ ところまでの ながさが、先までの ながさより 長いほど、先に 大きな 力が 出やすい どうぐです[3]。

洗濯ばさみの真ん中には、2本の腕をつなぐ軸があります。これを「支点」といいます。指で持つ部分と、布をはさむ部分は、支点をはさんで反対側にあります[1]。

持つ部分を指で押すと、先が開きます。指を離すと、ばねの力で先が閉じます。これが「てこ」のしくみです。てこは、支点から持つ部分までの距離が、先までの距離より長いほど、先に大きな力が出やすい道具です[3]。持つ部分と挟む部分の長さの比で、挟む力がどれくらい変わるかが決まります。

洗濯ばさみの支点は、2本の腕をつなぐ軸である。持つ部分と挟む部分は、支点をはさんで反対側にある。持つ部分を押すと先が開き、指を離すとばねの力で先が閉じる。

これは「てこ」の仕組みである。てこでは、力点(力を加える点)と作用点(力が働く点)の、支点からの距離の比によって、力の大きさが変わる。釣り合いの式は「支点からの距離 × 力」が両側で等しいというものである[3]。洗濯ばさみの場合、持つ部分の指の力が、挟む先の力に変えられている。ばねの力も加わるため、指で開くのに必要な力は、ばねと腕の長さの両方で決まる。

3. ぬのが おちない わけ ── 摩擦まさつ

3. 布が落ちないのは、摩擦のおかげ

3. 静止摩擦の上限 ── 押す力と材料の組み合わせ

ばねが ぬのを おすと、ぬのと 先の あいだに、摩擦まさつと いう ずれにくい 力が はたらきます[4]。ぬのは 下へ 引っぱられますが、摩擦まさつが その 力を ささえられる あいだは、ぬのは 落ちません。

摩擦まさつは、おす 力が 強いほど 大きく なります。また、どんな ものどうしが ふれて いるかでも、すべりにくさが かわります。同じ 力で おしても、ものが ちがえば、落ちにくさは ちがうのです。

布が洗濯ばさみから落ちないのは、摩擦のおかげです。止まっている物どうしが、すべろうとしても動かないとき、そのあいだではたらく摩擦を「静止摩擦」といいます。

静止摩擦には、限界があります。その大きさの上限は、おす力(垂直抗力)と「摩擦係数」の積で決まります。摩擦係数は、ふれ合う材料の組み合わせや表面の状態などで変わる数です[4]。ばねがおす力を大きくすると、摩擦の上限も大きくなり、布をとどめやすくなります。

布が落ちないのは、静止摩擦のおかげである。止まっている物が滑り出すまでにはたらく摩擦力には上限があり、その上限は「摩擦係数 × 垂直抗力」で表される。ここで垂直抗力とは、先が布を押す力のことで、ばねが生み出している。

摩擦係数は、ふれ合う2つの材料で決まる経験的な数である。温度や湿度、すべる速さ、表面のあらさでも変わるため、材料の組み合わせだけで決まる数ではない[4]。布の重さがこの上限を超えなければ、布は滑らない。押す力と材料の組み合わせが、洗濯ばさみの挟む力を支える、と整理できる。

4. 木の ぼうから いまの かたちまで

4. 木の棒を割っただけの道具から、いまの形へ

4. 木製の割り棒から、プラスチック製まで ── 日本での移り変わり

洗濯せんたくばさみの いちばん ふるい かたちは、ばねの ない 木の ぼうでした。木の ぼうの 先を 2つに わって、その われた ところで ぬのを はさみます。2本は わずかに ひらいて いて、ぬのを おすように しまるのです[2]。

日本には、明治めいじの ころに つたわった と されて います[5]。むかしは 木の ものや うすい アルミの ものが 多く、くらしが ゆたかに なって いく ころに、プラスチックの ものが ふえました。平成へいせいの ころからは、木製もくせいや ステンレスの ものが また 見なおされて いるそうです。

洗濯ばさみの古い形は、ばねのない木の棒でした。木の棒の先を2つに割り、そのわずかな開きで布をはさんでいました[2]。ばね付きの形が特許として現れたのは、1853年の米国特許が一つの節目です[1]。

日本には明治時代に伝わったとされています。昭和初期は木製や薄いアルミ製が多く、高度成長期にプラスチック製が増えて主流になりました。平成のころからは、質感のよい木製やステンレス製が見直されています[5]。

洗濯ばさみの原型は、西欧で近世までに考案され、19世紀初頭には家庭に広く普及していたとされる。初期のものは木の棒の先を割っただけで、割れた2本の弾力で布を挟んだ[2]。

ばね付きの形を特許として示した早い例が、1853年10月25日付の米国特許10,163号である[1]。日本には明治時代に伝来し、昭和初期は木製や薄いアルミ製が多かった。高度成長期に安価なプラスチック製が増え、平成のころからは木製やステンレス製が見直されたとされる[5]。日本の洗濯ばさみの材質は、時代の暮らしと工業の流れに合わせて変わってきたのである。

5. くり返し 使っても、外れない くふう

5. くり返し使っても外れないための改良

5. 1989年の実用新案 ── 出願された時点での弱点と、部品の形による対策

ばねの 洗濯せんたくばさみは、何度も ひらいたり しめたり すると、こわれる ところが でて きます。1989年に 日本で 出願しゅつがんされた 実用新案じつようしんあんは、その 弱い ところを 書いて います[6]。支点してんの でっぱりが あなから はずれたり、こわれたり する 心配が あった、と いうのです。

この 実用新案じつようしんあんでは、でっぱりと あなを 組み合わせて、ずれにくく しました。ばねは 線を 「コ」の字に 近い かたちに まげ、先を 本体の くぼみに はめこんで、ぬけない ように して います。

ばね式の洗濯ばさみは、何度も開け閉めすると、弱いところが見えてきます。1989年1月31日に出願された日本の実用新案は、その弱点を文章にまとめています[6]。支点の突起が受け孔から外れたり、こわれたりする心配があったというのです。

この実用新案の洗濯ばさみは、突起と受け孔を互い違いに組み合わせて、ずれにくくしました。ばねは線材を「コ」の字に近い形に曲げ、先を本体のくぼみにはめこんで、ぬけないようにしています。

ばね式の洗濯ばさみは、開閉を繰り返すと支点が弱くなる。1989年1月31日に出願された日本の実用新案(公開は1994年5月2日、JPH0616626Y2)は、従来の問題を四つ挙げている。支点の突起が受け孔から外れる、突起が破損する、開閉のたびに枢着部がずれて挟み片が外れやすい、リング状のばねが外に突き出して物に引っかかる、などである[6]。

この考案は、支点の突部と受け孔を互い違いに係合させ、挟み片どうしを面で接触させてねじれに抗するようにした。ばねは、ばね鋼などの線材を略コ字形に曲げ、先端を挟体の正面中央の凹所に差し込み、折り曲げ部で抜け止めする。部品の形で「外れない」を実現しようとした工夫である。

じぶんでも たしかめて みよう

自分で確かめてみたくなったら

自分で確かめてみたくなったら

洗濯せんたくばさみの しくみは、家に ある ものでも たしかめられます。

  • 洗濯せんたくばさみを 1つ とって、ばねが 金属きんぞくか、プラスチックか、見て みましょう。
  • うすい ポリぶくろと 紙を、同じ 洗濯せんたくばさみで はさんで、そっと 引っぱって みましょう。どちらが 先に すべって ぬけるかを くらべて ください。引く 力と 速さは、なるべく おなじに しましょう。けっかは めやすと して 見て ください。紙は やぶれる ことも あるので、ゆっくり 引いて ください。

洗濯ばさみのしくみは、家にあるものでも確かめられます。

  • 洗濯ばさみを1つ手に取り、ばねが金属か、プラスチックか、見てみましょう。
  • 薄いポリ袋と紙を、同じ洗濯ばさみではさみ、そっと引っぱってみましょう。どちらが先にすべって抜けるかを比べてください。引く強さと速さは、なるべく同じにそろえましょう。結果は目安として見てください。紙は破れることもあるので、ゆっくり引いてください。

資料を読むなら、日本語のウィキペディア「摩擦」と「てこ」、そして特許の文章を見てみましょう。特許の文章には、腕・支点・ばねの位置が書かれているので、この記事の説明と見くらべられます。

洗濯ばさみの仕組みは、家にあるもので確かめられる。

  • 洗濯ばさみを1つ手に取り、ばねが金属製か、プラスチックのねじりばねかを見る。支点がどこにあるかも指で確かめる。
  • 薄いポリ袋と紙を同じ洗濯ばさみではさみ、ゆっくり引く。どちらが先にすべるかを比べる。すべり方を比べて、材料の組み合わせで結果が変わるかを確かめられる。引く強さや速さはそろえ、結果は目安として受け取る。紙は破れることもあるので、大人といっしょに行う。

特許の英語の文章(米国特許10,163号)は、支点とばねの位置を原文で確かめられる資料である。日本語では、ウィキペディアの「摩擦」と「てこ」が、この記事で使った式の出どころを示している。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

この記事の説明に使った資料です。英語の資料も、番号の順に並んでいます。

  1. Google Patents「US10163A」「Spring-clamp for clothes-lines」(David M. Smith、1853年10月25日付)。 https://patents.google.com/patent/US10163A/en (米国の特許。支点・ばね・腕の位置の説明を、原文の英語で確かめた。英語の資料)
  2. Wikipedia(英語版)「Clothespin」。 https://en.wikipedia.org/wiki/Clothespin (一本の木製ペグの形、1853年のばね式の発明、コイルばねが支点を兼ねる改良について。英語の資料)
  3. ウィキペディア「てこ」。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%A6%E3%81%93 (支点・力点・作用点と、力のモーメントの釣り合い)
  4. ウィキペディア「摩擦」。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%91%A9%E6%93%A6 (静止摩擦の上限が「摩擦係数 × 垂直抗力」であること。摩擦係数が材料の組み合わせで決まる経験的な数であること)
  5. ウィキペディア「洗濯ばさみ」。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B4%97%E6%BF%AF%E3%81%B0%E3%81%95%E3%81%BF (日本への伝来(明治時代)、昭和初期・高度成長期・平成ころの材質の移り変わり。この記事の参考文献として山口昌伴『水の道具誌』(岩波新書、2006年)を挙げている)
  6. Google Patents「JPH0616626Y2 洗濯ばさみ」(出願日1989年1月31日、公開日1994年5月2日)。 https://patents.google.com/patent/JPH0616626Y2/ja (日本の実用新案。従来の問題点、突部と受け孔の係合、ばね鋼の略コ字形ばね)

なおした ところ

更新履歴

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