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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

くもは どうして しろいの? はいいろの くもが、ひこうきの うえでは しろかった

同じ雲が、下から見ると灰色で、上から見ると白い ── 透明な水の粒が雲を白くするわけ

雲はなぜ白く、底はなぜ灰色なのか ── 雲粒による散乱と、雲の下と上で色が逆転する理由

分野:自然

くうこうで 見あげた はいいろの あめぐもが、ひこうきで くもの うえに 出ると、まっしろに かがやいて 見える ことが あります。おなじ くもなのに、いろが ぎゃくに なるのです。

みずは とうめいなのに、くもは どうして しろいのでしょう。くもの つぶと ひかりの うごきを たどると、しろい わけと、そこが くらい わけが わかります。

空港では灰色や黒っぽく見えた雨雲も、飛行機で雲の上に出ると、白く輝いて見えるといいます[1]。同じ雲の色が、見る場所で入れかわってしまうのです。

水は透明なのに、雲はなぜ白いのでしょうか。雲を白くする仕組みと、雲の底が暗くなる仕組みが、じつは同じものだと分かります。

空港では灰色や黒っぽく見えた雨雲も、飛行機で雲の上に出ると白く輝く。太陽の光が弱まらないまま、雲の表面で跳ね返された光を見ているためと、福岡管区気象台の広報誌は説明している[1]。

透明な水でできた雲が白いのはなぜか。そして、白くする仕組みが、雲の底を灰色にもするのはなぜか。粒の大きさ、光の散らされ方、見る位置の3点から、その理由が分かる。

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1. おなじ くもなのに、したと うえで いろが ちがう?

1. 空港で見た黒い雲が、雲の上では白かった

1. 同じ雨雲の色が、下と上で逆になる

あめが ふりそうな ひ、くうこうで そらを 見あげると、くもが はいいろや くろっぽく 見えます。

その くもの なかを ひこうきが ぬけて、くもの うえに 出ると、ようすが ひっくり かえります。くもは まぶしいほど しろく かがやいて 見えます[1]。

くもが、とちゅうで いろを かえたのでは ありません。おなじ くもです。かわったのは、見る ばしょと、ひかりの とどき かたでした。

では、そもそも くもは、どうして しろいのでしょう。しろい ものが つまって いるのでしょうか。

雨が降りそうな日、空港で見上げた雨雲は、灰色や黒っぽく見えます。ところが飛行機でその雲を抜けて上に出ると、雲は白く輝いて見えます[1]。

雲が途中で色を変えたわけではありません。同じ雲を、下から見るか上から見るかで、目に届く光がちがっているのです。上から見るときは、太陽の光が弱まらないまま雲の表面で跳ね返されたものを見ています[1]。

この「見る場所で色が変わる」ことが、あとの章の手がかりになります。まず、そもそも雲はなぜ白いのかを考えます。雲に白い物質が含まれているのでしょうか。

雲を白く見せる特別な物質があるわけではありません。次の章で、雲の正体を見てみます。

空港で下から見ると灰色や黒っぽい雨雲も、飛行機で雲の上に出ると白く輝く。福岡管区気象台の広報誌は、太陽からの光が弱まらずに雲の表面で跳ね返された光を見ているため、と説明している[1]。

同じ雲が、下からは暗く、上からは明るい。つまり、雲の色は雲そのものに固定された性質ではなく、どの方向から来る光を見るかで決まる。この見方が、後の章で雲の底が暗い理由を説明する鍵になる。

ただし、その前に確認すべき点がある。そもそも雲に白い物質は含まれているのか。含まれていないとすれば、何が白く見せているのか。まず雲の正体から確かめる。

2. しろい ものが はいって いるの?

2. 雲の正体は、透明な水の粒

2. 雲粒は光をどう通し、どう返すのか

くもの しょうたいは、とても ちいさな みずの つぶです。ふつうの くもは、みずの つぶの はんけいが 0.01ミリメートルくらいです[2]。

これが、あめつぶに なるには、たいせきで 800万ばいも 大きく ならなければ なりません[2]。それほど ちいさい つぶが、そらに たくさん うかんで います。

みずは、コップに 入れると とうめいです。ところが、くもに なると しろく 見えます。

みずは、めに 見える ひかりを ほとんど すいこみません。だから、あたった ひかりは、いろを えらばずに ちらばります[5]。ゆきも、こおりの つぶですから、しろく 見えます。

でも、すいこまないだけでは、まだ ふしぎです。ひかりが はねかえるだけで、どうして しろく なるのでしょう。

雲は、水滴や氷の粒が空にたくさん浮かんだものです。代表的な雲粒の大きさは、半径が0.01mmほどです。半径2mmの雨粒になるには、体積で800万倍にもなる計算です[2]。(半径と直径は別のものです。雲粒の直径は、約0.02mmになります。)

こんなに小さな粒が無数に集まっているのですが、粒の材料は水です。コップの水は透明なのに、雲は白い。ここに引っかかりがあります。

NASAの地球観測のページは、凝結した水は、液体でも固体でも可視光をほとんど吸収せず、すべての波長の光を同じように散らして白く見える、と説明しています[5]。雲も雪も、白いのはこのためです。

光をほとんど吸収しない、というのは大事な手がかりです。吸収されにくいなら、光は消えずに、どこかへ向かうはずです。では、その光は粒に当たって、どう進むのでしょうか。

雲は水滴や氷の粒の集まりで、代表的な雲粒の半径は0.01mm(直径で約0.02mm)ほどだ。半径2mmの雨粒に育つには、体積で(2÷0.01)の3乗、つまり800万倍が必要になる[2]。別の資料でも、雲粒の半径は0.001〜0.01mm(1〜10μm)程度のものが多いとされ、数値は矛盾しない。

では、水でできた雲粒がなぜ白いのか。まず、凝結した水は、液体でも固体でも可視光をほとんど吸収しない。吸収が弱ければ、すべての波長が同じように散乱され、結果として白く見える。NASAの地球観測のページは、雲や雪が白いことをこの理由で説明している[5]。

ただし、「ほとんど吸収しない」だけでは、透明なコップの水と雲の白さのちがいは説明できない。透明な水は光をそのまま通すが、雲は光を四方へ散らして返す。その散らし方に、色の秘密がある。

3. あおぞらと くもは、なにが ちがう?

3. 青空は小さな粒、雲は大きな粒

3. 粒の大きさと散乱 ── 空は青く、雲は白い

そらが あおいのは、くうきの ごく ちいさな つぶが、あおい ひかりを つよく ちらすからです[3]。

くもの みずの つぶは、くうきの つぶより ずっと 大きいので、ようすが ちがいます。どの いろの ひかりも、だいたい おなじ つよさで ちらします[3]。

あおだけが つよく ちる ときは あおく、どの いろも おなじ つよさなら、まざって しろに なります。

ひかりは、くもの なかで 1どだけ ちるのでしょうか。それとも…。

空が青いのは、空気の分子のような小さな粒が、青い光を強く散らすからです。一方、雲の水滴のような大きな粒は、どの波長の光もほぼ同じ強さで散らします[3]。

香港天文台の説明では、雲の中の水滴や氷の粒は、約10マイクロメートル以上と、可視光の波長よりずっと大きい。そのため、可視光のどの波長もほぼ同じ程度に散らされる、とされています[4]。(先に出てきた半径0.01mmは、10マイクロメートルにあたる値です。)

青い光だけが強く散らされれば空のように青く、どの色も同じなら、色は混ぜても偏らず、白っぽくなります。

ただ、色を選ばないだけでは「白」にはなりません。散らされた光がどう集まって目に届くのかが、もう1つの鍵です。

空が青いのは、空気分子のような小さな粒が、青い光を強く散らすためだ。一方、雲の水滴のように大きな粒は、どの波長もほぼ同じ効率で散らす[3]。香港天文台の資料は、雲粒が約10μm以上と可視光の波長よりはるかに大きいので、可視光のどの波長もほぼ同程度に散らされる、と説明している[4]。

この散乱は、粒が波長より大きいときの散乱(ミー散乱)にあたる。ただし、散乱の式まで踏みこまなくても、粒の大きさが色の偏りを決める、という大筋は押さえられる。

では、色を選ばない散乱だけで雲全体が白くなるのか。ここに、光が雲の中で何度も散らされる過程が加わる。それを次に見る。

4. ひかりは、くもの なかで どう すすむ?

4. 光が何度も散らされて、白くそろう

4. 多重散乱 ── 無数の粒の間で光が散らされ続ける

くもの なかには、みずの つぶが かぞえきれないほど あります。たいようの ひかりは、その つぶに ぶつかって、ちらされます。

ちらされた ひかりは、また つぎの つぶに ぶつかり、また ちらされます。これを なんども くりかえします[4]。

こうして いろいろな むきに ちらされた、どの いろの ひかりも、まざって 目に とどきます。だから、くもは しろく 見えます[4]。

ひかりは、おおくの つぶの あいだを、まよいながら すすむ ようなものです。ただし、これは 見やすくする ための たとえです。

ところで、くもの なかを ひかりが まよって いるなら、くもの したに とどく ひかりは、へって しまいませんか。

雲の中の光は、1回散らされて終わりではありません。香港天文台は、光が多数の水滴や氷の粒の間で、あらゆる方向へ何度も散乱されると説明しています。散らされたすべての波長の光が合わさって、雲は白く見えます[4]。

ここまでを整理すると、雲の白さには3つのことが関わっています。水が可視光をほとんど吸収しないこと、粒が大きく、色を選ばずに散らすこと、そして光が何度も散らされて、いろいろな色が混ざって目に届くこと。

白い物質は、どこにもありません。透明な水の粒と、光の散らされ方から、白が生まれます。

ところで、光が雲の中を迷い続けるなら、雲の底へ届く光は減ってしまうはずです。次の章では、雲の底が暗くなる理由を考えます。

雲の中では、光は粒に当たって散乱され、また別の粒に当たって散乱される。香港天文台は、光が多数の水滴や氷の粒の間であらゆる方向へ多重散乱を受け、散乱された全波長の光が合わさって雲の白さになる、と説明する[4]。

整理すると、雲の白さには3つのことが関わる。水が可視光をほとんど吸収しない[5]。粒が波長より大きく色を選ばずに散乱する[4]。多重散乱で全方向に光が行き渡る[4]。これらが重なって、雲は白く見える。

だが、光が雲の中を何度も散らされるなら、雲を通りぬけて底へ向かう光は減るはずだ。ここから、雲の底が暗くなる理由の説明に進める。

5. くもの そこは、どうして くらいの?

5. 雲の底が灰色なのは、白くする仕組みと同じ

5. 雲の底の灰色 ── 同じ散乱が光を減らす

くもの なかで ひかりが なんども ちらされると、した むきに とどく ひかりが へります。くもの 底そこが はいいろに 見えるのは、そのためです[3]。

くもが しろく 見える わけと、そこが くらい わけは、おなじ しくみです。くもが あつく なるほど、ひかりは とおりぬけにくく なって、そこまで とどく ひかりが へります[3]。

あめぐもは、みずの つぶが たくさん あり、あめつぶも ふくみます。ひかりは なんども ぶつかって、もとの むきに すすむ ひかりが よわく なります[1]。つぶの 大きさも かんけい します。だから、とくに くらく 見えることが あります。

では、とおくから 見る くもは、なぜ しろいのでしょう。

雲の底が灰色なのは、雲を白くしているのと同じ散乱の結果だ、とイギリスの気象機関(Met Office)は説明しています[3]。雲が厚くなるほど光が通りぬけにくくなり、底まで届く光が減るのです。

雨雲は、雲粒や雨粒をたくさん含んでいます。太陽の光が水滴に当たって方向を変え続けるので、もとの方向に進む光は弱まります。そのため、雲の底は灰色や黒っぽく見えます[1]。雲の底近くの水滴の大きさなども、明るさに関わります。

この灰色は、色がついているのではありません。光が減って暗くなっただけで、白と同じ仕組みが続いているのです。

雲の中で光が迷う回数が多いほど、通りぬけてくる光は減ります。雲が厚く、水滴が多い雨雲の底が特に暗いのは、このためと考えられます。

では、雲を遠くから見るときは、どう見えるのでしょうか。

雲の底の灰色は、雲を白くしているのと同じ散乱の結果だ、とMet Officeは述べている[3]。雲が厚くなるほど光は通りぬけにくくなり、底面に届く光が減る。雲底近くの水滴の大きさなども明るさに関わり、水滴の多い雨雲は底が特に暗い。

福岡管区気象台の広報誌も、雨雲には雲粒・雨粒が多く含まれ、水滴にぶつかる回数が多いほど、もとの方向に進む光が弱まる、と説明する[1]。つまり、「白い雲」と「灰色の底」は別々の現象ではなく、1つの散乱の表と裏にあたる。

では、同じ雲を外側から見るとき、この散乱はどう働くのか。その答えが、冒頭の空港と飛行機の場面を説明する。

6. とおくの くもは しろくて、くもの したは くらいの?

6. 遠くからは白く、真下に入ると暗い

6. 雲の外側は白く、真下は暗く見える

もくもくした くもを とおくから 見ると、しろく かがやきます。くもの そとがわに はねかえされた ひかりを 見ているからです[1]。

くもが うごいて、じぶんが くもの したに はいると、たいようの ひかりが さえぎられて、くらく 見えます[1]。

ひこうきで くもの うえに 出ると、たいようの ひかりが よわまらないまま、くもの おもての ほうで はねかえります。だから、まぶしい ほど しろいのです[1]。

はじめの ふしぎが とけました。おなじ くもでも、したから 見ると、ひかりが ちらされて へった あとの ひかり。うえから 見ると、はねかえされた ひかりを 見て いたのです。

もくもくした雲を遠くから見ると、白く明るく輝いています。たくさんの水滴によって、雲の外側へ跳ね返された光を見ているためです[1]。

その雲が頭の上に来て、自分が雲の下に入ると、太陽の光がさえぎられるので、黒っぽく見えます[1]。

これで、最初の場面の答えが出ます。空港で下から見る雨雲は、散乱で弱まった光を見ています。飛行機で上に出れば、弱まっていない太陽の光が雲の表面で跳ね返ったものを見るので、白く輝きます[1]。

雲の白さは、雲の色というより、雲と光と自分の位置関係で決まる色だと言えそうです。

もくもくした雲を遠くから見ると、たくさんの水滴で雲の外側に跳ね返された光を見ることになり、白く明るく見える。その雲が来て自分が下に入ると、太陽の光がさえぎられ、黒っぽく見える[1]。

冒頭の問いも、これで説明がつく。空港で下から見た雨雲は、散乱を重ねて弱まった光の側にいる。飛行機で雲の上に出れば、弱まる前の太陽の光が雲の表面で跳ね返った光を見る側になる[1]。雲の色は、粒の性質(吸収せず、色を選ばず散らす)と、観測者の位置の両方で決まる。

7. こんどの くもりの ひに、くもを 見くらべよう

7. 次の曇りの日に、雲の底と横を見比べる

7. 雲の明暗を観察し、資料を読む

くもりの ひに、そらを 見て みましょう。くもの そこが くらい ところと、よこが あかるい ところを さがします。

くもが うすい ところは あかるく、あつい ところは くらい ことが ありますか。すこし ながめて みましょう。

たいようを ちょくせつ 見ては いけません。くもの ほうを 見て ください。

ひこうきに のる ことが あれば、まどから くもの うえを 見て みましょう。したから 見た ときの いろと くらべて みて ください。

次の曇りの日に、空を見上げて、雲の底の暗いところと、雲の縁や横の明るいところを見比べてみましょう。雲が厚そうなところほど暗く見えるでしょうか。

太陽は直接見ないようにして、雲のほうだけを見ます。1日のうちに時間を変えて、同じ空をもう一度見ると、明るさのちがいが変わるかもしれません。

飛行機に乗る機会があれば、窓から雲の上を見て、地上から見た雲との色のちがいを思い出してみてください。

次に曇った日は、雲の底の暗い部分と、雲の縁や横の明るい部分を見比べるとよい。雲の厚さや位置による明暗を見分ける練習になる。太陽は直接見ない。

原典に当たるなら、福岡管区気象台「はれるんマガジン」第8号[1]は、同じ雲の下と上の見え方を日本語で読める。Met Office[3]と香港天文台[4]は、散乱の説明を英語で載せている。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:福岡管区気象台の広報誌、名古屋市科学館の資料、Met Office、香港天文台、NASAの地球観測のページを使いました。

  1. 福岡管区気象台「はれるんマガジン」第8号(2019年)。 https://www.data.jma.go.jp/fukuoka/chosa/files/harerun0071.pdf (雲の下と上で色が変わること、雨雲の底が暗い理由について)
  2. 名古屋市科学館『窮理の部屋』2019年6月号。 https://www.sci-museum.jp/wp-content/themes/scimuseum2021/pdf/study/universe/2019/06/201906_12-13.pdf (雲粒の大きさについて)
  3. Met Office, "Why are clouds white?"。 https://weather.metoffice.gov.uk/learn-about/weather/types-of-weather/clouds/why-are-clouds-white (小さな粒と大きな粒の散らし方のちがい、雲の底の色について)
  4. Hong Kong Observatory, "Colours of Clouds"。 https://www.hko.gov.hk/en/education/earth-science/optical-phenomena/00349-colours-of-clouds.html (雲粒の大きさと多重散乱について)
  5. NASA Earth Observatory, "Shades of White"。 https://science.nasa.gov/earth/earth-observatory/shades-of-white-87125/ (水が可視光をほとんど吸収しないことについて)

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