1. おなじ くもなのに、したと うえで いろが ちがう?
1. 空港で見た黒い雲が、雲の上では白かった
1. 同じ雨雲の色が、下と上で逆になる
あめが ふりそうな ひ、くうこうで そらを 見あげると、くもが はいいろや くろっぽく 見えます。
その くもの なかを ひこうきが ぬけて、くもの うえに 出ると、ようすが ひっくり かえります。くもは まぶしいほど しろく かがやいて 見えます[1]。
くもが、とちゅうで いろを かえたのでは ありません。おなじ くもです。かわったのは、見る ばしょと、ひかりの とどき かたでした。
では、そもそも くもは、どうして しろいのでしょう。しろい ものが つまって いるのでしょうか。
雨が降りそうな日、空港で見上げた雨雲は、灰色や黒っぽく見えます。ところが飛行機でその雲を抜けて上に出ると、雲は白く輝いて見えます[1]。
雲が途中で色を変えたわけではありません。同じ雲を、下から見るか上から見るかで、目に届く光がちがっているのです。上から見るときは、太陽の光が弱まらないまま雲の表面で跳ね返されたものを見ています[1]。
この「見る場所で色が変わる」ことが、あとの章の手がかりになります。まず、そもそも雲はなぜ白いのかを考えます。雲に白い物質が含まれているのでしょうか。
雲を白く見せる特別な物質があるわけではありません。次の章で、雲の正体を見てみます。
空港で下から見ると灰色や黒っぽい雨雲も、飛行機で雲の上に出ると白く輝く。福岡管区気象台の広報誌は、太陽からの光が弱まらずに雲の表面で跳ね返された光を見ているため、と説明している[1]。
同じ雲が、下からは暗く、上からは明るい。つまり、雲の色は雲そのものに固定された性質ではなく、どの方向から来る光を見るかで決まる。この見方が、後の章で雲の底が暗い理由を説明する鍵になる。
ただし、その前に確認すべき点がある。そもそも雲に白い物質は含まれているのか。含まれていないとすれば、何が白く見せているのか。まず雲の正体から確かめる。
2. しろい ものが はいって いるの?
2. 雲の正体は、透明な水の粒
2. 雲粒は光をどう通し、どう返すのか
くもの しょうたいは、とても ちいさな みずの つぶです。ふつうの くもは、みずの つぶの はんけいが 0.01ミリメートルくらいです[2]。
これが、あめつぶに なるには、たいせきで 800万ばいも 大きく ならなければ なりません[2]。それほど ちいさい つぶが、そらに たくさん うかんで います。
みずは、コップに 入れると とうめいです。ところが、くもに なると しろく 見えます。
みずは、めに 見える ひかりを ほとんど すいこみません。だから、あたった ひかりは、いろを えらばずに ちらばります[5]。ゆきも、こおりの つぶですから、しろく 見えます。
でも、すいこまないだけでは、まだ ふしぎです。ひかりが はねかえるだけで、どうして しろく なるのでしょう。
雲は、水滴や氷の粒が空にたくさん浮かんだものです。代表的な雲粒の大きさは、半径が0.01mmほどです。半径2mmの雨粒になるには、体積で800万倍にもなる計算です[2]。(半径と直径は別のものです。雲粒の直径は、約0.02mmになります。)
こんなに小さな粒が無数に集まっているのですが、粒の材料は水です。コップの水は透明なのに、雲は白い。ここに引っかかりがあります。
NASAの地球観測のページは、凝結した水は、液体でも固体でも可視光をほとんど吸収せず、すべての波長の光を同じように散らして白く見える、と説明しています[5]。雲も雪も、白いのはこのためです。
光をほとんど吸収しない、というのは大事な手がかりです。吸収されにくいなら、光は消えずに、どこかへ向かうはずです。では、その光は粒に当たって、どう進むのでしょうか。
雲は水滴や氷の粒の集まりで、代表的な雲粒の半径は0.01mm(直径で約0.02mm)ほどだ。半径2mmの雨粒に育つには、体積で(2÷0.01)の3乗、つまり800万倍が必要になる[2]。別の資料でも、雲粒の半径は0.001〜0.01mm(1〜10μm)程度のものが多いとされ、数値は矛盾しない。
では、水でできた雲粒がなぜ白いのか。まず、凝結した水は、液体でも固体でも可視光をほとんど吸収しない。吸収が弱ければ、すべての波長が同じように散乱され、結果として白く見える。NASAの地球観測のページは、雲や雪が白いことをこの理由で説明している[5]。
ただし、「ほとんど吸収しない」だけでは、透明なコップの水と雲の白さのちがいは説明できない。透明な水は光をそのまま通すが、雲は光を四方へ散らして返す。その散らし方に、色の秘密がある。
3. あおぞらと くもは、なにが ちがう?
3. 青空は小さな粒、雲は大きな粒
3. 粒の大きさと散乱 ── 空は青く、雲は白い
そらが あおいのは、くうきの ごく ちいさな つぶが、あおい ひかりを つよく ちらすからです[3]。
くもの みずの つぶは、くうきの つぶより ずっと 大きいので、ようすが ちがいます。どの いろの ひかりも、だいたい おなじ つよさで ちらします[3]。
あおだけが つよく ちる ときは あおく、どの いろも おなじ つよさなら、まざって しろに なります。
ひかりは、くもの なかで 1どだけ ちるのでしょうか。それとも…。
空が青いのは、空気の分子のような小さな粒が、青い光を強く散らすからです。一方、雲の水滴のような大きな粒は、どの波長の光もほぼ同じ強さで散らします[3]。
香港天文台の説明では、雲の中の水滴や氷の粒は、約10マイクロメートル以上と、可視光の波長よりずっと大きい。そのため、可視光のどの波長もほぼ同じ程度に散らされる、とされています[4]。(先に出てきた半径0.01mmは、10マイクロメートルにあたる値です。)
青い光だけが強く散らされれば空のように青く、どの色も同じなら、色は混ぜても偏らず、白っぽくなります。
ただ、色を選ばないだけでは「白」にはなりません。散らされた光がどう集まって目に届くのかが、もう1つの鍵です。
4. ひかりは、くもの なかで どう すすむ?
4. 光が何度も散らされて、白くそろう
4. 多重散乱 ── 無数の粒の間で光が散らされ続ける
くもの なかには、みずの つぶが かぞえきれないほど あります。たいようの ひかりは、その つぶに ぶつかって、ちらされます。
ちらされた ひかりは、また つぎの つぶに ぶつかり、また ちらされます。これを なんども くりかえします[4]。
こうして いろいろな むきに ちらされた、どの いろの ひかりも、まざって 目に とどきます。だから、くもは しろく 見えます[4]。
ひかりは、おおくの つぶの あいだを、まよいながら すすむ ようなものです。ただし、これは 見やすくする ための たとえです。
ところで、くもの なかを ひかりが まよって いるなら、くもの したに とどく ひかりは、へって しまいませんか。
雲の中の光は、1回散らされて終わりではありません。香港天文台は、光が多数の水滴や氷の粒の間で、あらゆる方向へ何度も散乱されると説明しています。散らされたすべての波長の光が合わさって、雲は白く見えます[4]。
ここまでを整理すると、雲の白さには3つのことが関わっています。水が可視光をほとんど吸収しないこと、粒が大きく、色を選ばずに散らすこと、そして光が何度も散らされて、いろいろな色が混ざって目に届くこと。
白い物質は、どこにもありません。透明な水の粒と、光の散らされ方から、白が生まれます。
ところで、光が雲の中を迷い続けるなら、雲の底へ届く光は減ってしまうはずです。次の章では、雲の底が暗くなる理由を考えます。
5. くもの そこは、どうして くらいの?
5. 雲の底が灰色なのは、白くする仕組みと同じ
5. 雲の底の灰色 ── 同じ散乱が光を減らす
くもの なかで ひかりが なんども ちらされると、した むきに とどく ひかりが へります。くもの 底が はいいろに 見えるのは、そのためです[3]。
くもが しろく 見える わけと、そこが くらい わけは、おなじ しくみです。くもが あつく なるほど、ひかりは とおりぬけにくく なって、そこまで とどく ひかりが へります[3]。
あめぐもは、みずの つぶが たくさん あり、あめつぶも ふくみます。ひかりは なんども ぶつかって、もとの むきに すすむ ひかりが よわく なります[1]。つぶの 大きさも かんけい します。だから、とくに くらく 見えることが あります。
では、とおくから 見る くもは、なぜ しろいのでしょう。
雲の底が灰色なのは、雲を白くしているのと同じ散乱の結果だ、とイギリスの気象機関(Met Office)は説明しています[3]。雲が厚くなるほど光が通りぬけにくくなり、底まで届く光が減るのです。
雨雲は、雲粒や雨粒をたくさん含んでいます。太陽の光が水滴に当たって方向を変え続けるので、もとの方向に進む光は弱まります。そのため、雲の底は灰色や黒っぽく見えます[1]。雲の底近くの水滴の大きさなども、明るさに関わります。
この灰色は、色がついているのではありません。光が減って暗くなっただけで、白と同じ仕組みが続いているのです。
雲の中で光が迷う回数が多いほど、通りぬけてくる光は減ります。雲が厚く、水滴が多い雨雲の底が特に暗いのは、このためと考えられます。
では、雲を遠くから見るときは、どう見えるのでしょうか。
6. とおくの くもは しろくて、くもの したは くらいの?
6. 遠くからは白く、真下に入ると暗い
6. 雲の外側は白く、真下は暗く見える
もくもくした くもを とおくから 見ると、しろく かがやきます。くもの そとがわに はねかえされた ひかりを 見ているからです[1]。
くもが うごいて、じぶんが くもの したに はいると、たいようの ひかりが さえぎられて、くらく 見えます[1]。
ひこうきで くもの うえに 出ると、たいようの ひかりが よわまらないまま、くもの おもての ほうで はねかえります。だから、まぶしい ほど しろいのです[1]。
はじめの ふしぎが とけました。おなじ くもでも、したから 見ると、ひかりが ちらされて へった あとの ひかり。うえから 見ると、はねかえされた ひかりを 見て いたのです。
7. こんどの くもりの ひに、くもを 見くらべよう
7. 次の曇りの日に、雲の底と横を見比べる
7. 雲の明暗を観察し、資料を読む
くもりの ひに、そらを 見て みましょう。くもの そこが くらい ところと、よこが あかるい ところを さがします。
くもが うすい ところは あかるく、あつい ところは くらい ことが ありますか。すこし ながめて みましょう。
たいようを ちょくせつ 見ては いけません。くもの ほうを 見て ください。
ひこうきに のる ことが あれば、まどから くもの うえを 見て みましょう。したから 見た ときの いろと くらべて みて ください。
次の曇りの日に、空を見上げて、雲の底の暗いところと、雲の縁や横の明るいところを見比べてみましょう。雲が厚そうなところほど暗く見えるでしょうか。
太陽は直接見ないようにして、雲のほうだけを見ます。1日のうちに時間を変えて、同じ空をもう一度見ると、明るさのちがいが変わるかもしれません。
飛行機に乗る機会があれば、窓から雲の上を見て、地上から見た雲との色のちがいを思い出してみてください。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
出典について:福岡管区気象台の広報誌、名古屋市科学館の資料、Met Office、香港天文台、NASAの地球観測のページを使いました。
- 福岡管区気象台「はれるんマガジン」第8号(2019年)。 https://www.data.jma.go.jp/fukuoka/chosa/files/harerun0071.pdf (雲の下と上で色が変わること、雨雲の底が暗い理由について)
- 名古屋市科学館『窮理の部屋』2019年6月号。 https://www.sci-museum.jp/wp-content/themes/scimuseum2021/pdf/study/universe/2019/06/201906_12-13.pdf (雲粒の大きさについて)
- Met Office, "Why are clouds white?"。 https://weather.metoffice.gov.uk/learn-about/weather/types-of-weather/clouds/why-are-clouds-white (小さな粒と大きな粒の散らし方のちがい、雲の底の色について)
- Hong Kong Observatory, "Colours of Clouds"。 https://www.hko.gov.hk/en/education/earth-science/optical-phenomena/00349-colours-of-clouds.html (雲粒の大きさと多重散乱について)
- NASA Earth Observatory, "Shades of White"。 https://science.nasa.gov/earth/earth-observatory/shades-of-white-87125/ (水が可視光をほとんど吸収しないことについて)
なおした ところ
更新履歴
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