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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

「クールビズ」って、だれが 名前を つけたの?

クールビズの名前は、なぜ公募で決まったのか ── 2005年、上着とネクタイを外す夏

クールビズはどう始まり、初年度に何が起きたのか ── 名称の公募から28℃、約46万トンの推計まで

分野:歴史・文化

「クールビズ」という ことばは、ふつうの 人が 考えた ものです。環境省かんきょうしょうが 名前を あつめたら、およそ 3,000こ も とどきました。

なんで 国が、名前まで みんなに 聞いたのでしょう。ネクタイを はずす 夏は、どうやって 始まったのでしょう。この メモで 分かります。

「クールビズ」という名前は、役所の人が机の上で決めたのではありません。2005年に環境省が一般から名前を募集したところ、約3,000件の応募が集まり、その中から選ばれた言葉です。

では、なぜ国が、夏の服装に名前をつけようとしたのでしょうか。上着とネクタイを外す運動は、何をねらって始まり、1年目にどんな数字が出たのでしょうか。このメモで分かります。

「クールビズ」という名称は、環境省が2005年に一般公募し、約3,000件の応募から有識者の審査委員会が選んだものである[3]。役所の内部で付けられた名前ではない。

国はなぜ、服装の呼びかけに名前を公募までしたのか。28℃という冷房の設定は何を根拠にしていたのか。初年度の効果として示された約46万トンという数字は、実測なのか推計なのか。環境省の報道発表から、これらの答えが分かる。

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1. 2005年の 夏、なぜ ネクタイを はずそうと したの?

1. 京都議定書の発効から、夏の軽装の呼びかけへ

1. 2005年2月の京都議定書の発効 ── 夏の冷房が課題になった背景

2005年の 2月に、京都議定書きょうとぎていしょと いう 世界の やくそくが 使われ はじめました。ちきゅうが あつく なる ことを おさえる ために、先進国せんしんこくに、出す ガスを へらす 目標もくひょうを きめた やくそくです。日本は 1990年に くらべて 6%、へらす ことに なりました[1]。

6%と いう 数字は、クールビズだけで へらす ものでは ありません。でも、夏の 会社では、れいぼうの 温度を 上げて、上着と ネクタイを やめれば、みんなで できます。

この 夏、国が すすめた のが、れいぼうを 28℃ ぐらいに して、ネクタイも 上着も つけない はたらきかたです[1]。では、この 話は、だれが 言い出したの でしょう。

2005年2月16日、京都議定書が発効しました。地球温暖化の原因になる温室効果ガスを減らすための国際的な約束で、日本は1990年と比べて6%の削減を義務づけられました[1]。この6%は、2008〜2012年の平均で達成する目標です。夏の服装の呼びかけだけで届く数字ではありません。

それでも、暑い時期のオフィスには、動かせるものがありました。冷房の設定温度と、そこで働く人の服装です。2005年の夏、政府主導で実施されたのが、冷房を28℃に設定し、ノーネクタイ・ノー上着で働くスタイルでした[1]。

この呼びかけは、誰が言い出したのでしょうか。

夏のオフィスで、何を変えれば温室効果ガスの排出を減らせるのか。その問いが現実になったのは、京都議定書が2005年2月16日に発効し、日本に1990年比6%の削減が義務づけられたためである[1]。ただし6%は、2008〜2012年の平均で達成する目標であって、夏の服装の見直しだけで達成する数字ではない。

それでも、冷房の設定温度と、そこで働く人の服装は、個々の職場で変えられる。そこで2005年夏には、冷房を28℃に設定し、ノーネクタイ・ノー上着で働くスタイルが、政府主導で実施された[1]。

この呼びかけは、誰の発想から生まれたのか。

2. 言い出したのは、だれ?

2. 首相の一言が、きっかけとされる

2. 小泉首相の助言とされる話

こんな 話が 知られて います。この 年、小泉こいずみ純一郎じゅんいちろう首相しゅしょうが、小池百合子ゆりこ環境大臣かんきょうだいじんに、こう すすめた そうです。「夏に かるい ふくそうで れいぼうを へらす ことを、みんなに 分かる ことばに したら どう?」

ただし、これは 国の 発表では たしかめて いません。「そう いわれて いる」と いう 話です。

たしかなのは、国が「かるい ふくそう」を、みんなに 分かる 名前で つたえよう と した ことです。その 名前を、国は みんなから あつめました。

2005年、当時の小泉純一郎首相が小池百合子環境大臣に、夏の軽装で冷房を節約することをキャッチフレーズにしてはどうかと助言したのが始まりとされています[2]。

ただし、この話は、環境省の資料では確かめられていません。首相が発案したと言い切ることはできず、「助言があったとされる」までにとどめておきます。

はっきりしているのは、その後の動きです。「軽装で涼しく働く」という考えを、誰にでも通じる短い言葉にするため、環境省は名前を一般に募りました。

一般に知られている経緯では、2005年、小泉純一郎首相が小池百合子環境相に、夏場の軽装による冷房節約をキャッチフレーズにするよう助言したとされる[2]。ただし、この出典は二次資料であり、環境省の資料には見当たらない。首相の発案と断定せず、「助言とされる」にとどめる。

環境省の資料からたどれるのは、その後の動きである。環境省は軽装のスタイルに付ける名称を一般公募した。

3. 3,000この 名前から、どうやって 選えらんだの?

3. 約3,000件の応募から「COOL BIZ」が選ばれるまで

3. 名称の一般公募 ── 約3,000件、有識者の審査委員会、2005年4月27日の発表

環境省かんきょうしょうは、夏の あたらしい はたらきかたの 名前を、ひろく みんなから ぼしゅうしました。とどいた のは、およそ 3,000こ。そこから、くわしい 人たちの 会が えらびました[3]。

えらばれた のは、「COOL BIZ(クール ビズ)」。発表は、2005年の 4月27日です[3]。東京の 人の あんでした。

この 名前が めざした のは、「すずしく、こうりつよく、かっこよく はたらく」ことです[4]。がまんでは なくて、かっこいい。その ねらいが、名前に こめられて いました。

環境省は、夏の新しいビジネススタイルの名称を一般から募集しました。集まった応募は約3,000件。有識者による審査委員会が選んだのが「COOL BIZ(クール ビズ)」で、2005年4月27日に発表されました。応募したのは、東京都立川市の田形英明さんです[3]。

この名前がねらったのは、28℃程度の冷房設定でも、涼しく効率的に、格好良く働ける夏の軽装スタイルです。環境省は、チーム・マイナス6%という温暖化防止の運動の一環として、この呼びかけを位置づけていました[4]。

「暑いのを我慢してください」ではなく、「格好良く働きましょう」と呼びかける。名前には、その向きが込められています。では、28℃で本当に働けるのでしょうか。

環境省は2005年、夏の新しいビジネススタイルの名称を一般から募った。約3,000件の応募の中から、有識者の審査委員会が「COOL BIZ(クール ビズ)」を選び、同年4月27日に発表した。応募者は東京都立川市の田形英明さんである[3]。審査委員会の開催は4月25日である。

同年5月16日のロゴ決定の発表で、環境省はこの運動を、28℃程度の冷房設定でも「涼しく効率的に格好良く」働けるスタイルとして説明している。位置づけは、チーム・マイナス6%の温暖化防止運動の一環だった[4]。

「我慢」ではなく「格好良さ」を前面に出した名称だったことになる。ただ、28℃の職場で本当に涼しく働けるのか。環境省は、その根拠を別に示していた。

4. 28℃で、あつくないの?

4. 「体感温度が2度下がる」という根拠

4. 28℃の根拠として示された「体感2度」と、その読み方

れいぼうを 28℃に すると、あつく ないの? そう 思う 人も いる でしょう。

環境省かんきょうしょうは、こう 説明せつめいしました。ネクタイも 上着も つけないと、体で かんじる 温度が 2どほど 下がる、という けんきゅうの けっかが あります[4]。

たとえば、あつい 日に 冬の セーターを 1まい ぬぐと、すっと する でしょう。ふくを かるく する ことは、れいぼうの 温度を 上げる ぶん、体を すずしく する ことに つながる、という 考えです。ただし 本当は、ひとに よって かんじかたは ちがいます。

環境省は、28℃でも快適に働ける理由として、「ノーネクタイ、ノー上着では体感温度が2度下がる」という研究結果を示しました[4]。

考え方は分かりやすいものです。夏の暑い日に、厚い上着を1枚脱いだときの、すっとする感じを思い浮かべてみてください。服装を軽くした分だけ、冷房の設定を上げても、体で感じる暑さは同じくらいにおさえられる、という筋道です。

ただし、この研究の名前や条件は、環境省の発表には書かれていません。「必ず2度下がる」ということではなく、「研究結果に基づいて、そう説明された」と読むのが、確かめられる範囲です。感じ方には個人差もあります。

28℃の設定で快適に働けるのか。この問いに対し、環境省は2005年5月の発表で、「ノーネクタイ、ノー上着では体感温度が2度下がるという研究結果に基づいている」と説明した[4]。理屈は、服装を軽くした分だけ、同じ体感を保ちながら冷房の設定温度を上げられる、というものである。

ただし、この発表には研究名も条件(湿度、作業内容、着ている服の種類など)も示されていない。「2度下がる」は一般法則ではなく、「環境省がその研究結果を根拠として示した」ものとして読むのが妥当である。

では、この呼びかけは、初年度にどれだけ広まり、どんな効果があったと示されたのか。

5. 1ねん目に、どれくらい ひろがったの?

5. 1年目の成果 ── 約46万トンは、どうやって出した数字か

5. 初年度の推計 ── 約46万トンのCO2削減とアンケート調査の関係

この 年の 10月、環境省かんきょうしょうは 「クールビズを 知って いる 人は 95.8%」と しらせました[5]。12月には「大ブームに なった」と ふりかえって います。この 年の 「新語・りゅうこう語大賞たいしょう」の トップテンにも 入りました[6]。

お店も うごきました。ダイエーは、夏の あいだ、ぜんぶの お店と じむしょの れいぼうを 28℃ぐらいに して、クールビズで はたらいて いました[7]。

へった 二酸化炭素にさんかたんそは、およそ 46万トン と、しらべた 人たちは 見つもりました。およそ 100万せたいの 1か月ぶんに あたる りょうです。ただし、これは 実さいに はかった 数字ではなく、アンケートから 見つもった 数字です[5]。

この年の10月、環境省は、クールビズの認知度を95.8%と発表しました[5]。12月には、キャンペーンが「一大ブームを巻き起こした」と振り返り、クールビズは2005年の新語・流行語大賞のトップテンにも選ばれています[6]。企業も動きました。ダイエーは、夏の間、全店舗・全事業所の設定温度を28℃程度にし、クールビズで接客や事務にあたっていました[7]。

環境省は、初年度のCO2削減量を約46万トンと推計しました。約100万世帯の1か月分の排出量にあたります[5]。

これは実測ではなく、アンケートをもとにした推計です。全国のインターネット調査1,200人のうち、就業者は562人。その約3人に1人(32.7%)が「勤務先の冷房温度が例年より高く設定されていた」と答えた割合を使って算定されています[5]。

この運動は、その後、どう続いてきたのでしょうか。

環境省は2005年10月28日、初年度の成果を発表した。認知度は95.8%、CO2削減量の推計は約46万トンで、これは約100万世帯の1か月分の排出量に相当する[5]。12月には、キャンペーンが「一大ブームを巻き起こした」と総括し、クールビズは新語・流行語大賞のトップテンにも選ばれた[6]。民間でも、ダイエーが2005年夏に全店舗・全事業所で設定温度を28℃程度とし、クールビズでの接客・執務に取り組んでいた[7]。

約46万トンの読み方には注意が要る。この値は削減量の実測ではなく、全国のインターネット調査(1,200人)のうち就業者562人の32.7%が「勤務先の冷房温度を例年より高く設定していた」と回答した割合をもとに算定した推計である[5]。だから、「46万トン削減された」ではなく、「46万トン削減されたと推計された」と書くのが正確である。

では、この取り組みは、その後どう変わったのか。

6. それから、20ねん たったら?

6. 期間が決まっていた運動から、個人の判断へ

6. 実施期間の変遷 ── 標準の6月1日〜9月30日から、期間を設けない運用へ

はじめは、6月1日から 9月30日までが、ふつうの 期間でした[8]。2011年には、地しんの あとの でんきの じじょうで、役所などでは 5月1日から 10月31日までに のびました[8]。

2021年からは、環境省かんきょうしょうは 期間を きめず、ひとりひとりが 考えて きめる かたちに して います。2025年で、はじまってから 20ねんです[8]。

国立環境研究所こくりつかんきょうけんきゅうじょの 資料しりょうでは、クールビズは「ちょうど よい 室温と、それに あった かるい ふくそう」の 代名詞だいめいしとして、しみこんで いると 説明せつめいされて います[8]。

実施期間は、標準では6月1日から9月30日まででした。2011年は、震災後の電力事情から、官公庁などでは5月1日から10月31日に延長されています。2021年以降、環境省は期間を設けず、個人の判断に委ねる形をとっています[2]。2025年には、提唱から20年になりました。

国立環境研究所の資料は、クールビズを「適切な室温管理と、その室温に適した軽装」の代名詞として浸透・定着している言葉と説明しています[8]。名前が決まった2005年の春から、言葉が意味を広げてきた様子がうかがえます。

実施期間は標準で6月1日から9月30日だった。2011年は震災後の電力事情を受けて、官公庁などでは5月1日から10月31日に延長された。2021年以降は、環境省が期間を設けず、個人の判断に委ねる運用になっている[2]。

国立環境研究所の環境展望台は、2025年4月の記事で、クールビズが2005年に提唱され、「適切な室温管理とその室温に適した軽装」の代名詞として浸透・定着していると述べている[8]。「夏の一時的な運動」から、「室温と服装を合わせて考える」という一般的な発想への移り変わりが読み取れる。

7. じぶんでも しらべて みよう

7. 自分でも調べてみたくなったら

7. 自分でも調べてみたくなったら

おうちの 人や 学校の 先生に、「はじめて クールビズを 見たとき、どう 思った?」と 聞いて みましょう。ネクタイを つけない ことに おどろいた 人も、なんとも 思わなかった 人も いるかもしれません。

もう 1つ。おうちの 人と いっしょに、環境省かんきょうしょうの ホームページで、「クールビズ 2005」と さがして みましょう。2005年の おしらせが のって います。名前を あつめた ときの ようすが、そこに 書いて あります。

家族や、学校の先生に、クールビズが始まった2005年の夏の様子を聞いてみるのはどうでしょう。ネクタイを外す服装に、どんな印象を持ったのか。職場の冷房は変わったのか。人によって答えが違うはずです。

もう1つは、環境省のウェブサイトで「クールビズ 2005」などと検索し、2005年の報道発表を探してみることです。名称の募集、ロゴの決定、成果の発表と、一連の発表が公開されています。約46万トンの推計が、どんな調査で出されたのかも、原文で読めます。

確かめられることは、2つある。

  1. 環境省の報道発表(2005年4月27日、5月16日、10月28日、12月6日)を、日付順に読み比べる。名称の発表、28℃と「体感2度」の説明、成果の推計が、どの時点で、どんな言葉で示されたかを比べられる。
  2. 成果の推計について、調査の人数(1,200人、就業者562人)と割合(32.7%)から、どのような計算で約46万トンが導かれたのか、原文の記載を追ってみる。推計の範囲や前提が、どこまで書かれているかを確かめられる。

首相の助言とされる話や、期間の変遷は二次資料に基づく。環境省の資料に記録が残っているかどうかも、調べる手がかりになる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文で使った資料です。環境省の資料は一次資料、Wikipediaは二次資料として使い分けました。

  1. 環境省「環境研究総合推進費 研究課題(田辺新一)」。 https://www.env.go.jp/press/files/jp/11480.pdf (2005年夏の28℃・ノーネクタイ・ノー上着、1990年比6%)
    環境省「平成17年版 環境白書」。 https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/h17/21939.html (京都議定書の発効日2005年2月16日、6%、2008〜2012年の平均)
  2. Wikipedia「クール・ビズ」。 https://ja.wikipedia.org/wiki/クール・ビズ (首相の助言とされる話、実施期間の変遷。二次資料)
  3. 環境省 報道発表(2005年4月27日)。 https://www.env.go.jp/press/5936.html (名称の公募、約3,000件、選考結果)
  4. 環境省「COOL BIZ」の成果について(2005年10月28日)。 https://www.env.go.jp/press/6491.html (約46万トンの推計、アンケート調査、認知度)
  5. 環境省 報道発表(2005年12月6日)。 https://www.env.go.jp/press/6619.html (新語・流行語大賞のトップテン、一大ブーム)
  6. 環境省 報道発表(2005年8月10日)。 https://www.env.go.jp/press/6248.html (ダイエーの取り組み)
  7. 国立環境研究所 環境展望台(2025年4月22日)。 https://tenbou.nies.go.jp/news/jnews/detail.php?i=37709 (提唱から20年、「適切な室温管理と軽装」の代名詞)

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