1. ドライで、汗の よごれは おちるの?
1. ドライに出した服の汗じみが、残ることがあるのはなぜか
1. ドライクリーニングが苦手な汚れ ── 水溶性の汚れ
おきにいりの 毛の ふくを、クリーニングに だしました。もどって きた ふくは きれいです。でも、汗の においが すこし のこって いる ことが あります。
ドライクリーニングは、水の かわりに 油のような えきたいで あらいます。この えきたいを「ようざい」と いいます。ようざいは、汗のように 水に とける よごれには、あまり ききません[3]。
ただし、どんな ふくでも かならず のこる わけでは ありません。ここでは、そういう ことが ありうる、という はなしです。
2. 水を つかわないのに、どうして よごれが おちるの?
2. 水を使わず、なぜ油の汚れが落ちるのか
2. 溶剤が油汚れに効く理由と、溶剤の種類
水と 油を まぜようと した ことは ありますか。水に サラダ油を たらしても、まざらず まるい つぶに なります。
食べものの 油や けしょうひんの よごれは、水に とけにくい かわりに、油や アルコールには とけやすい せいしつが あります[3]。だから、油のような ようざいで あらうと、おちるのです。
ようざいは、ふくの 生地を あまり ちぢめたり かたくしたり しません。毛や シルクの ふくに ドライが つかわれるのは、そのためだと いわれます[1][2]。
3. 毛の ふくを 水で あらうと どうなるの?
3. 雨にぬれた羊は縮まないのに、洗った毛糸は縮むのはなぜか
3. ウールの縮み ── スケールの絡まりと、その条件
ひつじは、雨に ぬれても ちぢみません。でも、毛の セーターを せんたくきで あらうと、ちぢむ ことが あります。
毛の ひょうめんには、うろこのような 小さな ものが かさなって います。ぬるい せっけん水の 中で、こすったり ゆすったり すると、この うろこが ひらいて、毛どうしが からまります[4]。
雨に ぬれた ひつじは、あたたかい せっけん水も、ゆする 力も ありません。だから ちぢまないのだ、と せつめい されて います[4]。
ハーバード大学の解説は、羊が雨にぬれても縮まない理由を説明しています。ウールの繊維の表面には、うろこ状の層(スケール)があります。温かい石けん水と、洗濯物が動くときの摩擦で繊維が揺さぶられると、このうろこが開いて、繊維どうしが引っかかり、絡み合うというのです[4]。
雨にぬれるだけでは、洗濯のように温かい石けん水の中で揉まれることがありません。だから縮まない、というわけです[4]。つまり、水そのものより、温度・洗剤・揺さぶる力がそろうことが、縮みや型崩れにつながるわけです。
ハーバード大学SITNの解説は、羊が雨で縮まないのに洗濯で毛が縮む理由を、次のように説明する。ウールの繊維表面にはうろこ状の層(スケール)があり、温かい石けん水と、洗濯物が動く際の摩擦で繊維が揺さぶられると、スケールが開き、互いに引っかかって絡み合う[4]。
雨にぬれるだけでは、洗濯のように温かい石けん水の中で揉まれることがないため、同じことは起こらない。ここから、縮みの条件は「水」ではなく、「温かさ・洗剤・機械的な力」の組み合わせだと読める。この点が、次章のウエットクリーニングの条件(ぬるま湯・弱い力)につながる。
4. ドライむきの ふくを、そっと 水で あらう「ウエット」
4. ドライ向きの服を、そっと水で洗う「ウエットクリーニング」
4. ウエットクリーニングの条件 ── 40℃以下・弱い機械力
でも、汗の よごれは、水で ないと おちにくいのでした。そこで、ドライむきの ふくを、わざと 水で あらう やり方が あります。「ウエットクリーニング」です[1]。
ただし、おうちの せんたくとは ちがいます。40度いかの ぬるい お湯で、きかいの 力を よわくして、そっと あらいます[1]。ちぢんだり かたちが くずれたり しないように、気を つけるのです。
ドライでは おちない 水の よごれや シミを おとす ために、これを おこなうと いわれて います[1]。
ウエットクリーニングは、本来ならドライクリーニングをすべき衣類を、型崩れや縮みをできるだけ起こさないように、40℃以下のぬるま湯で、機械の力を小さくして水洗いする方法です。目的は、ドライでは落ちにくい水溶性の汚れやシミを落とすことです[1]。
前の章で見たとおり、縮みの引き金は、温かさ・洗剤・揺さぶる力でした。ウエットは、水を使いながら、温度と力をおさえます。ただし、縮みを完全になくす方法ではなく、あくまで「できるだけ起こさない」ための条件です。
ウエット=家庭の水洗い、というわけではありません。40℃以下・弱い力という条件のもとで、プロが行う方法です[1]。
ウエットクリーニングは、本来ドライにすべき衣類を、型崩れ・縮みをできるだけ避けるため、40℃以下のぬるま湯で機械力を小さくして水洗いする方法で、ドライで落ちない水溶性の汚れ・シミを落とす目的で行う[1]。
前章のスケールの絡まりの条件(温かさ・洗剤・摩擦)と照らすと、40℃以下・弱い機械力という条件は、水洗いで衣類を傷める要因のうち温度と力を下げる設計と読める。ただし、資料はこの設計意図を明示していない。「ウエット=水洗い一般」ではなく、条件つきの処理である点が重要だ。
洗濯表示のJIS記号でも、ドライクリーニングは石油系溶剤やパークロロエチレン等を使う処理、ウエットクリーニングは水を用いる処理として区別され、ドライは「通常・弱い」、ウエットは「通常・弱い・非常に弱い」の段階が定められている[6]。記号の読み方そのものは、別のメモ(洗濯表示の記号)に譲る。
5. 日本では、いつごろから はじまったの?
5. 日本のドライクリーニングは、どのように広まったか
5. 日本への導入と洋装化による需要の拡大
日本で ドライクリーニングを はじめた 会社の ひとつが、はくようしゃです。会社の 年表では、1906年に 東京の 日本橋で ひらき、1907年に 東京の おおいに 日本で はじめての ドライの 工場を つくったと されて います[5]。
そのあと、1923年の 関東大震災の あと、人びとが 洋服を きる ことが 多く なりました。すると、ドライの 仕事も ふえたと いわれます[2]。
「日本で はじめて」と いうのは、この 会社が 自分で 書いて いる ことです。
6. 汗や 油の よごれで、あらい方を 考えて みよう
6. 汗や油の汚れで、洗い方を考えてみよう
6. 出口 ── 汗や油の汚れと洗濯表示から、洗い方を考える
コップの 水に、サラダ油を 1てき だけ たらして みましょう。水と 油が すぐには まざらない ようすを、見てください。油は 水に とけにくいと いう ことが 分かります。
つぎに、おうちの 人と いっしょに、ふくの タグを 見て みましょう。水を つかう あらい方か、ドライかが、記ごうで 書いて あります[6]。
さいごに、何が ついたか 分かって いる よごれを 思い出して みます。汗の ような 水の よごれかな、それとも 食べものの 油かな。水に とける よごれと、油に とける よごれが ある ことを、たしかめられます。
コップの水に、サラダ油を1滴だけ落としてみましょう。水と油がすぐには混ざらない様子を見てください。油は水に溶けにくい、という性質を目で確かめられます。
次に、家の人と一緒に、服のタグ(洗濯表示)を見てみましょう。水洗いの記号か、ドライクリーニングの記号かが書かれています[6]。
そのうえで、何がついたか分かっている汚れを思い出してみてください。汗のような水に溶ける汚れでしょうか、それとも食用油のような油の汚れでしょうか。油が水に溶けにくいことと、服に洗濯表示があることが、これで確かめられます。
コップの水にサラダ油を1滴落とし、水と油がすぐには混ざらない様子を見れば、油が水に溶けにくいことが実感できる。服のタグでは、ドライクリーニングとウエットクリーニングのどちらが指定されているかを確かめられる[6]。何がついたか分かっている汚れ(汗や食用油など)を、水溶性か油溶性かで分けてみると、2つの洗い方がそれぞれ何を得意とするかを考える手がかりになる。
資料を読むなら、定義と条件は岡山県の解説[1]、長所・短所と溶剤は事典[2]、表示記号は消費者庁[6]、会社の沿革は白洋舎[5]が日本語で読める。国内のウエットの実施率や、現在の溶剤別の割合は、今回の資料の範囲外で、さらに調べる価値のある問いだ。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
出典について:岡山県のページ、事典、機器メーカーの解説、米国大学の解説、白洋舎の沿革、消費者庁の資料を使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。
- 岡山県「豆知識 クリーニング」。https://www.pref.okayama.jp/site/syohi/mame-kurining.html (ドライとウエットの定義と条件について)
- コトバンク「ドライクリーニング」(世界大百科事典ほか)。https://kotobank.jp/word/ドライクリーニング-585277 (長所・短所、溶剤の割合、洋装化について。二次資料)
- エレクトロラックス・プロフェッショナル ブログ。https://www.electroluxprofessional.com/jp/blog/0026/ (油性と水溶性の汚れの違いについて。業務機器メーカーの解説)
- Harvard SITN「Why don't sheep shrink in the rain?」。https://sites.harvard.edu/sitn/?p=14557 (ウールが縮む条件について。英語の資料)
- 白洋舎「沿革」。https://www.hakuyosha.co.jp/company/history/ (日本のドライクリーニングの始まりについて。会社の自己記述)
- 消費者庁「新しい洗濯表示(取扱表示)」。https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/wash_02.html (ドライとウエットの表示記号について)
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