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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

「ドライ」の ふくを、水で あらう ことが ある?

ドライクリーニングの服を、水で洗うことがある ── 汚れの種類で変わる2つの洗い方

ドライクリーニングとウエットクリーニング ── 油溶性・水溶性の汚れと、40℃以下の水洗いという条件

分野:技術

ドライクリーニングは、水を つかわない あらい方です。ところが、そのドライむきの ふくを、わざわざ 水で あらう ことも あります。

どうして そんな ことを するのでしょう。この メモでは、よごれの しゅるいで あらい方が かわる わけが 分かります。

ドライクリーニングは、水を使わずに洗う方法です。ところが、そのドライ向きの服を、あえてぬるま湯で洗う「ウエットクリーニング」というやり方もあります。

水を使わない洗い方があるのに、なぜ水で洗い直す必要があるのでしょうか。汗と食用油という2つの汚れを入り口に、2つの洗い方の使い分けが分かります。

ドライクリーニングは水を使わない洗い方だが、本来ドライにすべき衣類を水で洗うウエットクリーニングも存在する。その分かれ目は、汚れが油に溶けるか、水に溶けるかにある[1][3]。

では、なぜ水で洗うと衣類が傷みやすいのか、ウエットはどんな条件でそれを避けるのか。公的機関の解説、事典、機器メーカーの資料を突き合わせ、2つの洗い方の使い分けの理由が分かる。

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1. ドライで、汗あせの よごれは おちるの?

1. ドライに出した服の汗じみが、残ることがあるのはなぜか

1. ドライクリーニングが苦手な汚れ ── 水溶性の汚れ

おきにいりの 毛の ふくを、クリーニングに だしました。もどって きた ふくは きれいです。でも、汗あせの においが すこし のこって いる ことが あります。

ドライクリーニングは、水の かわりに 油のような えきたいで あらいます。この えきたいを「ようざい」と いいます。ようざいは、汗あせのように 水に とける よごれには、あまり ききません[3]。

ただし、どんな ふくでも かならず のこる わけでは ありません。ここでは、そういう ことが ありうる、という はなしです。

お気に入りのウールの服をドライクリーニングに出したのに、戻ってきた服に汗のにおいが少し残っている。そんなことが起こりえます。

ドライクリーニングは、揮発しやすい有機溶剤で洗う方法です。この溶剤が得意なのは、油に溶ける汚れ(油溶性の汚れ)です[1]。事典の解説でも、油性の汚れをよく落とす一方で、水溶性の汚れは落ちにくいことが短所として挙げられています[2]。

汗や尿、手あかのような水に溶ける汚れは、ドライクリーニングでは落ちにくいとされています[3]。ただし、これは「そういうことが起こりうる」という話で、ドライに出せば必ず汗が残るという意味ではありません。

ドライクリーニングは、揮発性の有機溶剤で油溶性の汚れを取り除く洗い方で、毛・シルクのように水洗いで風合いが落ちやすい衣料に使われる[1]。長所は油性汚れをよく落とし、型くずれや収縮が起きにくいことだが、短所として水溶性の汚れが落ちにくい点が挙げられる[2]。

汗・尿・手あかのような水溶性の汚れは、ドライクリーニングでは落ちにくいことがある[3]。

2. 水を つかわないのに、どうして よごれが おちるの?

2. 水を使わず、なぜ油の汚れが落ちるのか

2. 溶剤が油汚れに効く理由と、溶剤の種類

水と 油を まぜようと した ことは ありますか。水に サラダ油を たらしても、まざらず まるい つぶに なります。

食べものの 油や けしょうひんの よごれは、水に とけにくい かわりに、油や アルコールには とけやすい せいしつが あります[3]。だから、油のような ようざいで あらうと、おちるのです。

ようざいは、ふくの 生地を あまり ちぢめたり かたくしたり しません。毛や シルクの ふくに ドライが つかわれるのは、そのためだと いわれます[1][2]。

「似たものは似たものに溶ける」

食用油や化粧品の汚れは、水には溶けません。反対に、油脂やアルコールには溶けやすい性質があります[3]。だから、水ではなく油の仲間の溶剤を使えば、こうした汚れを溶かして取り除けます。

溶剤の種類と、短所

日本のドライクリーニングでは、1999年の時点で、石油系の溶剤が約85%、テトラクロロエチレン(パークロロエチレン)が約14%を占めていたとされます[2]。これは1999年の数字で、今の割合を示すものではありません。

溶剤は、生地が硬くならず風合いが保たれるという長所をもつ一方で、値段が高く、毒性や公害性があるという短所も、事典に書かれています[2]。

食用油や化粧品に由来する汚れは水に溶けず、油脂やアルコールに溶けやすい[3]。そのため、油の性質に近い溶剤が、この種の汚れに効く。ただし、この説明はメーカーの解説にもとづく。

溶剤について、事典は、1999年現在の主要溶剤の割合を石油系約85%、テトラクロロエチレン(パーク)約14%とする[2]。現在の国内の割合を示す資料は今回使っておらず、「今も同じ」とは言えない。同じ事典は、ドライの長所に風合いの良さを、短所に溶剤が高価で毒性や公害性があることを挙げる[2]。短所があっても使われ続けるのは、水洗いでは衣類が傷みやすいという別の理由があるためと考えられる。

3. 毛の ふくを 水で あらうと どうなるの?

3. 雨にぬれた羊は縮まないのに、洗った毛糸は縮むのはなぜか

3. ウールの縮み ── スケールの絡まりと、その条件

ひつじは、雨に ぬれても ちぢみません。でも、毛の セーターを せんたくきで あらうと、ちぢむ ことが あります。

毛の ひょうめんには、うろこのような 小さな ものが かさなって います。ぬるい せっけん水の 中で、こすったり ゆすったり すると、この うろこが ひらいて、毛どうしが からまります[4]。

雨に ぬれた ひつじは、あたたかい せっけん水も、ゆする 力も ありません。だから ちぢまないのだ、と せつめい されて います[4]。

ハーバード大学の解説は、羊が雨にぬれても縮まない理由を説明しています。ウールの繊維の表面には、うろこ状の層(スケール)があります。温かい石けん水と、洗濯物が動くときの摩擦で繊維が揺さぶられると、このうろこが開いて、繊維どうしが引っかかり、絡み合うというのです[4]。

雨にぬれるだけでは、洗濯のように温かい石けん水の中で揉まれることがありません。だから縮まない、というわけです[4]。つまり、水そのものより、温度・洗剤・揺さぶる力がそろうことが、縮みや型崩れにつながるわけです。

ハーバード大学SITNの解説は、羊が雨で縮まないのに洗濯で毛が縮む理由を、次のように説明する。ウールの繊維表面にはうろこ状の層(スケール)があり、温かい石けん水と、洗濯物が動く際の摩擦で繊維が揺さぶられると、スケールが開き、互いに引っかかって絡み合う[4]。

雨にぬれるだけでは、洗濯のように温かい石けん水の中で揉まれることがないため、同じことは起こらない。ここから、縮みの条件は「水」ではなく、「温かさ・洗剤・機械的な力」の組み合わせだと読める。この点が、次章のウエットクリーニングの条件(ぬるま湯・弱い力)につながる。

4. ドライむきの ふくを、そっと 水で あらう「ウエット」

4. ドライ向きの服を、そっと水で洗う「ウエットクリーニング」

4. ウエットクリーニングの条件 ── 40℃以下・弱い機械力

でも、汗あせの よごれは、水で ないと おちにくいのでした。そこで、ドライむきの ふくを、わざと 水で あらう やり方が あります。「ウエットクリーニング」です[1]。

ただし、おうちの せんたくとは ちがいます。40度いかの ぬるい お湯で、きかいの 力を よわくして、そっと あらいます[1]。ちぢんだり かたちが くずれたり しないように、気を つけるのです。

ドライでは おちない 水の よごれや シミを おとす ために、これを おこなうと いわれて います[1]。

ウエットクリーニングは、本来ならドライクリーニングをすべき衣類を、型崩れや縮みをできるだけ起こさないように、40℃以下のぬるま湯で、機械の力を小さくして水洗いする方法です。目的は、ドライでは落ちにくい水溶性の汚れやシミを落とすことです[1]。

前の章で見たとおり、縮みの引き金は、温かさ・洗剤・揺さぶる力でした。ウエットは、水を使いながら、温度と力をおさえます。ただし、縮みを完全になくす方法ではなく、あくまで「できるだけ起こさない」ための条件です。

ウエット=家庭の水洗い、というわけではありません。40℃以下・弱い力という条件のもとで、プロが行う方法です[1]。

ウエットクリーニングは、本来ドライにすべき衣類を、型崩れ・縮みをできるだけ避けるため、40℃以下のぬるま湯で機械力を小さくして水洗いする方法で、ドライで落ちない水溶性の汚れ・シミを落とす目的で行う[1]。

前章のスケールの絡まりの条件(温かさ・洗剤・摩擦)と照らすと、40℃以下・弱い機械力という条件は、水洗いで衣類を傷める要因のうち温度と力を下げる設計と読める。ただし、資料はこの設計意図を明示していない。「ウエット=水洗い一般」ではなく、条件つきの処理である点が重要だ。

洗濯表示のJIS記号でも、ドライクリーニングは石油系溶剤やパークロロエチレン等を使う処理、ウエットクリーニングは水を用いる処理として区別され、ドライは「通常・弱い」、ウエットは「通常・弱い・非常に弱い」の段階が定められている[6]。記号の読み方そのものは、別のメモ(洗濯表示の記号)に譲る。

5. 日本では、いつごろから はじまったの?

5. 日本のドライクリーニングは、どのように広まったか

5. 日本への導入と洋装化による需要の拡大

日本で ドライクリーニングを はじめた 会社の ひとつが、はくようしゃです。会社の 年表では、1906年に 東京の 日本橋で ひらき、1907年に 東京の おおいに 日本で はじめての ドライの 工場を つくったと されて います[5]。

そのあと、1923年の 関東大震災かんとうだいしんさいの あと、人びとが 洋服を きる ことが 多く なりました。すると、ドライの 仕事も ふえたと いわれます[2]。

「日本で はじめて」と いうのは、この 会社が 自分で 書いて いる ことです。

白洋舎の沿革によると、創業者の五十嵐健治は、1906年(明治39年)に東京・日本橋で開業し、同年11月にドライクリーニングの研究に着手しました。1907年(明治40年)7月には、東京の大井に日本初のドライクリーニング工場を開いたといいます[5]。「日本初」は、同社が自社の沿革で述べていることです。

その後、1923年の関東大震災のあと、洋服が広がるにつれて、ドライクリーニングの需要が急に増えたとされます[2]。洋服はウールなど水洗いしにくい素材が多く、ドライの出番が増えたと考えられますが、この因果は資料にはっきり書かれていません。

白洋舎の沿革では、五十嵐健治が1906年(明治39年)3月に東京・日本橋呉服町で開業し、同年11月にドライクリーニングの研究に着手、1907年(明治40年)7月に東京・大井に日本初のドライクリーニング工場を開設したとされる[5]。「日本初」は同社の自己記述であり、第三者の資料で裏づけたものではない。

需要の拡大について、事典は、1923年以降の関東大震災後の洋装化により需要が急増したと記す[2]。ただし、この記述は事典の要約であり、洋装化が水洗いしにくい衣料の増加を通じてドライの需要を押し上げたという因果の説明までは、資料にない。

6. 汗あせや 油の よごれで、あらい方を 考えて みよう

6. 汗や油の汚れで、洗い方を考えてみよう

6. 出口 ── 汗や油の汚れと洗濯表示から、洗い方を考える

コップの 水に、サラダ油を 1てき だけ たらして みましょう。水と 油が すぐには まざらない ようすを、見てください。油は 水に とけにくいと いう ことが 分かります。

つぎに、おうちの 人と いっしょに、ふくの タグを 見て みましょう。水を つかう あらい方か、ドライかが、記ごうで 書いて あります[6]。

さいごに、何が ついたか 分かって いる よごれを 思い出して みます。汗あせの ような 水の よごれかな、それとも 食べものの 油かな。水に とける よごれと、油に とける よごれが ある ことを、たしかめられます。

コップの水に、サラダ油を1滴だけ落としてみましょう。水と油がすぐには混ざらない様子を見てください。油は水に溶けにくい、という性質を目で確かめられます。

次に、家の人と一緒に、服のタグ(洗濯表示)を見てみましょう。水洗いの記号か、ドライクリーニングの記号かが書かれています[6]。

そのうえで、何がついたか分かっている汚れを思い出してみてください。汗のような水に溶ける汚れでしょうか、それとも食用油のような油の汚れでしょうか。油が水に溶けにくいことと、服に洗濯表示があることが、これで確かめられます。

もっと読みたくなったら、岡山県の豆知識のページ[1]や、消費者庁の洗濯表示のページ[6]を開いてみてください。

コップの水にサラダ油を1滴落とし、水と油がすぐには混ざらない様子を見れば、油が水に溶けにくいことが実感できる。服のタグでは、ドライクリーニングとウエットクリーニングのどちらが指定されているかを確かめられる[6]。何がついたか分かっている汚れ(汗や食用油など)を、水溶性か油溶性かで分けてみると、2つの洗い方がそれぞれ何を得意とするかを考える手がかりになる。

資料を読むなら、定義と条件は岡山県の解説[1]、長所・短所と溶剤は事典[2]、表示記号は消費者庁[6]、会社の沿革は白洋舎[5]が日本語で読める。国内のウエットの実施率や、現在の溶剤別の割合は、今回の資料の範囲外で、さらに調べる価値のある問いだ。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:岡山県のページ、事典、機器メーカーの解説、米国大学の解説、白洋舎の沿革、消費者庁の資料を使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。

  1. 岡山県「豆知識 クリーニング」。https://www.pref.okayama.jp/site/syohi/mame-kurining.html (ドライとウエットの定義と条件について)
  2. コトバンク「ドライクリーニング」(世界大百科事典ほか)。https://kotobank.jp/word/ドライクリーニング-585277 (長所・短所、溶剤の割合、洋装化について。二次資料)
  3. エレクトロラックス・プロフェッショナル ブログ。https://www.electroluxprofessional.com/jp/blog/0026/ (油性と水溶性の汚れの違いについて。業務機器メーカーの解説)
  4. Harvard SITN「Why don't sheep shrink in the rain?」。https://sites.harvard.edu/sitn/?p=14557 (ウールが縮む条件について。英語の資料)
  5. 白洋舎「沿革」。https://www.hakuyosha.co.jp/company/history/ (日本のドライクリーニングの始まりについて。会社の自己記述)
  6. 消費者庁「新しい洗濯表示(取扱表示)」。https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/wash_02.html (ドライとウエットの表示記号について)

なおした ところ

更新履歴

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