1. えどの にんじんは なにいろ?
1. 江戸のにんじんは、何色だったのか
1. 東洋種と西洋種 ── 江戸に入ったにんじんの姿
いまの にんじんと、江戸時代の にんじんを ならべられたら、びっくり するかも しれません。
江戸の ころ ちゅうごくから 入った にんじんは、ほそながい かたちでした。いろも いろいろで、あかむらさきや くろむらさきも ありました[2]。
いまの ように 中まで オレンジいろなのは、明治に 入った 「せいようしゅ」です。オランダで ひんしゅを かえて つくられました[2]。
ただし、江戸の ひとが どんな あじと かんじたかは、この しりょうでは わかりません。
2. どうして オレンジの にんじんに かわったの?
2. 入れかわった理由は、味より「作りやすさ」だった
2. 短根化 ── とう立ちと収穫作業の面から
あじが よかったから かわった、と おもいたく なります。でも しりょうが あげて いるのは、べつの わけです。
いまの 「ごすん にんじん」は、みじかくて、そだてる 日かずが すくなく、ぬくのも らくです[1]。
むかしの ながい にんじんは、そだてて いる うちに、はなを さかせる くきが のびて しまいやすい ものでした[2]。
やさいは、たべる 人の すきな あじだけで なく、つくる 人の くろうでも えらばれて きたのです。
3. トマトと キャベツは、はじめ みる ものだった
3. トマトとキャベツは、最初は「眺める植物」だった
3. 観賞用として渡来したトマトとキャベツ
トマトも キャベツも、江戸の ころ オランダの ひとが もって きました。でも すぐには、たべものに なりませんでした。
トマトは、はなを たのしむ ためや、くすりに つかわれました[3]。キャベツは、はなだんに うえて ながめる ものでした[5]。
いまの 食たくからは、ちょっと そうぞうできません。
4. すっぱかった トマトは、どう あまく なったの?
4. 酸っぱすぎたトマトが、甘い桃色系で主役になるまで
4. 酸味とトマト臭 ── 桃色系の生食向き品種と「桃太郎」
明治に なって、アメリカから 品しゅを かえた トマトが 入りました。でも すっぱくて、においも つよく、日本の 食たくには なじみませんでした[3]。
その あと、せんそうの おわった あとに 洋ふうの 食じが ふえ、品しゅも かわって、トマトを たべる 人が ぐんと ふえました[3]。
いまの 日本で おおい トマトは、あまみが つよく、すっぱさが すくない 「ももいろ」の なかまです[3]。なまで たべる 人が おおい からです。
「ももたろう」という 品しゅは、あかく うれてから とっても いたみにくく、いちばん おおく つくられて いると しょうかい されて います[4]。
明治時代に米国から改良品種が入ると、トマトは食べ物としての一歩を踏み出しましたが、酸味が強く香りもきつかったため、当時の食生活には根づきませんでした[3]。
流れが変わるのは戦後です。食生活の洋風化が進み、品種改良も重なって、消費が急に増えたと説明されています[3]。
トマトは果皮の色で桃色系・赤色系・黄色系に大別され、桃色系は甘みに富み、酸味やトマト臭が少なく、生食に向きます。生で食べることが中心の日本では、桃色系が主流です[3]。
代表的な品種の「桃太郎」は、1985年に初代が登場しました。赤く色づいてから収穫しても、輸送中に傷みにくく、店で長持ちするように開発されたと紹介されています[4]。ここにも、味だけでなく、運びやすさという事情が重なっています。
明治に米国から導入された改良品種は、酸味が強く香りもきついため、当時の食生活には根づかなかった。普及は、戦後の食生活の洋風化と品種改良を受けて消費が急増してからである[3]。
トマトは果皮の色で桃色系・赤色系・黄色系に大別される。桃色系は甘みに富み、酸味やトマト特有の香り(トマト臭)が少なく生食向きで、生食中心の日本では桃色系が主流となった。これは果皮の色による分類で、収穫のしかたによる「完熟系」(赤く熟してから収穫する大玉)とは別の見方である。完熟系の大玉が最も多く出回る[3]。
完熟系の先駆けとなった桃色系の「桃太郎」は、1985年に初代が登場した。赤く色づいてから収穫しても輸送中の傷みが少なく、店に並べてから傷みにくい(棚持ちがよい)品種として開発されたと、マイナビ農業は紹介する。現在最も多く生産されている品種ともいう[4]。
にんじんが「作りやすさ」で入れかわったのに対し、トマトは「甘さ・生食向き」と「傷みにくさ」が、人が選ぶ側の条件として重なっている。野菜の味は、自然にできあがるのではなく、選びなおされてきた結果として読める。
5. おみせで、ひんしゅの なまえを さがして みよう
5. 店の野菜で、「選ばれた理由」を探してみる
5. 出口 ── 品種名の札と江戸東京野菜、資料の読みどころ
おうちに ある トマトや にんじんを、きる まえに よく みて みましょう。いろや かたち、ながさは どうですか。ふくろや ねふだに 「ももたろう」のような 品しゅの なまえが かいて あれば、それも みて みます。
おうちの 人と 「あまいかな、すっぱいかな」と はなして、たべて みます。トマトを きる ときは、おうちの 人に てつだって もらいましょう。
東京には、江戸時代から つづく 「江戸とうきょうやさい」という なかまも つくられて います[6]。
家にあるトマトやにんじんを、切る前にじっくり見てみましょう。色、形、長さ、持ったときの重さはどうでしょうか。食べるときは、甘さや酸味、歯ごたえを家族と話してみます。そのうえで、「作る人」「運ぶ人」「食べる人」のうち、だれの都合でこの形や色が選ばれたのかを考えてみてください。包丁を使うときは、おうちの人にお願いしてください。袋や値札に品種名があれば、それも手がかりになります。
東京には、江戸時代から昭和40年代までの固定種のうち、一定の条件で認められた「江戸東京野菜」があります。2018年1月時点で48種と紹介されています。種は、自分で採るか、近所の種苗商から手に入れてきたといいます[6]。
江戸の野菜の味そのものは、資料からは分かりません。それでも、野菜が選びなおされてきたことは、店の札や、こうした取り組みから手がかりをたどれます。
確かめる手がかりは、身近なところにある。4章の桃太郎の特徴(桃色系、赤く熟してから収穫、傷みにくい)を、ふだん食べるトマトと見比べて整理してみるとよい。果皮の色と収穫のしかたは別の見方なので、2つに分けて書き出すと分かりやすい。にんじんは、農畜産業振興機構の野菜情報([1][2])の短根・とう立ちの箇所を読むと、作る側の事情が見えてくる。
江戸東京野菜は、江戸時代から昭和40年代までの固定種を対象にした東京の野菜で、2018年1月時点で48種が紹介されている。種は自家採種か近隣の種苗商から確保されていたという[6]。今はいくつあるのだろう、というのも調べがいのある問いだ。
この資料群は、味そのものを数値で比べてはいない。江戸の人が何をおいしいと感じたかは、残る問いだ。農林水産省の「食卓の野菜」シリーズなどを読み、野菜が「だれの何の都合で選ばれたか」を探してみるとよい。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文の事実は、次の資料をつき合わせて書いた。各資料は、にんじん・トマト・キャベツの導入と品種の話に使った。
- 農畜産業振興機構「野菜情報 2023年2月号(にんじん)」 https://www.alic.go.jp/content/001222418.pdf (東洋種と西洋種、五寸にんじん)
- 農畜産業振興機構「野菜情報(にんじん)」 https://www.alic.go.jp/content/001159603.pdf (色の多様さ、金時にんじん、とう立ち、戦後の品種の分化)
- 農畜産業振興機構「野菜情報(トマト)」 https://www.alic.go.jp/content/000147263.pdf (伝来、酸味、桃色系、洋風化)
- 農林水産省 東北農政局「食卓の野菜(キャベツ)」 https://www.maff.go.jp/tohoku/monosiritai/syokutaku/kyabetu.html (キャベツの伝来と観賞用)
なおした ところ
更新履歴
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