このサイトは、ほんの入り口です

ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

まばたきは、どうして かんがえなくても できるの?

まばたきは、目を守るのに必要な回数の4倍前後。考えなくても続くしくみは、どこまで分かっているのか

自発まばたきの回数は、角膜の保湿に必要な3〜4回/分の数倍になる ── 脳幹の回路と、読書・会話での変化

分野:からだ

人は 1日に 14000回ほど まばたきを します[1]。数えた おぼえは ないのに、です。

目を まもる だけなら、1分に 3〜4回で たりる という しりょうも あります[1]。どうして こんなに ふえたのでしょう。かんがえなくても できるのは、目に なにか 来たら すぐ とじる はんしゃが あり、脳のうの おくにも まばたきを じどうで つくる しくみが あると かんがえられて いるからです。のこりの 回数の やくめは、まだ はっきり わかって いません。じどうで うごく しくみと、本を よむ ときや おしゃべりの ときに かわる ようすが わかります。

起きている間に、人は約14,000回もまばたきをするといわれます[1]。ところが、目の表面のうるおいを保つだけなら、1分に3〜4回で足りるという説明があります[1]。

必要な回数の4倍前後も、なぜ私たちは考えないままくり返しているのでしょうか。考えなくても続くのは、脳の奥にまばたきを自動で作る回路があるからだと考えられています。ただ、余った回数が何のためにあるのかは、まだはっきりしていません。目を守る反射、脳の中の自動の回路、読書や会話で変わる回数から、まばたきが何を映しているのかが分かります。

起きている1日の自発的なまばたきは約14,000回と見積もられているが[1]、角膜の涙の膜を保つだけなら1分に3〜4回で足りるとされる[1]。実際の回数は、その数倍にのぼる。

余った回数は何のためにあり、なぜ意識しなくても続くのか。意識しなくても続く点は脳幹の回路で説明する仮説があるが、余った回数の役目は、注意の切りかえと結びつける報告があるものの、まだ確定していない。反射の経路、脳幹にあるとされる回路、課題によって変わる回数、注意との関係までを、動物実験と人の研究の違いを分けて読むと分かる。

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1. 1日に 14000回って、ほんとう?

1. 1日に約14,000回 ── 数えた覚えのないまばたき

1. 1日約14,000回という見積もりと、「数えていない」という事実

いま、この ぶんしょうを よんでいる あいだに、なん回 まばたきを したか、おぼえて いますか。ほとんどの 人は、おぼえて いません。

ある しりょうでは、まっすぐ まえを 見て いる ときの まばたきは、1分に 平均へいきん 14回ほど でした。おきて いる 1日で 14000回ほどに なります[1]。

これだけ やって いるのに、気づきません。どうして でしょう。まず、まばたきが 何の ために あるのかを 見て みます。

この文章を読み始めてから、何回まばたきをしたか覚えているでしょうか。ほとんどの人は覚えていません。

神経科学の論文では、正面を見ているときの平均がおよそ1分に14回、起きている1日でおよそ14,000回とされています[1]。計算してみると、14回×60分×16時間で13,440回です。1日の起きている時間を16時間前後と見れば、約14,000回という数字と合います。

これだけの回数を、私たちは数えも命令もしていません。まばたきには、考えなくても起こるだけの理由があるはずです。まず、目を守る働きから見ていきます。

この文章を読む間に自分が何回まばたきをしたか、答えられる人はほとんどいない。ところが神経科学の論文によれば、正面を見ているときの平均はおよそ1分に14回で、起きている1日の自発的なまばたきは約14,000回になる[1]。14回×60分×16時間は13,440回で、起きている時間を16時間前後と置けばこの見積もりと合う。

ただし、この14回は目安である。同じ論文には、人の測定例として1分あたり17.6回(標準偏差2.4)という値も載っている[1]。別の資料は約20回と書いており[6]、課題や人によって数字が動くことをすでに示している。

数えもしない行動が、1日に1万回を超える。では、まばたきは何の役に立っているのか。まず目を守るという最も分かりやすい役目から確かめる。

2. 風や ほこりが 来たら どうなる?

2. 風やほこりが来た瞬間に、まぶたが閉じる反射

2. 異物や風から眼を守る反射 ── 三叉神経と顔面神経の経路

ふいに 風が ふいて、目の まえを 虫が とんで きたと します。かんがえる まえに、目は ぱっと とじます。

まぶたは はやく とじて、ごみや 風、ほこり、虫、まぶしい 光から 目を まもります[2]。なみだは 目の ひょうめんを しめらせ、目の ひょうめんに さんそと えいようを とどけます[2]。

この ように、かんがえなくても 体が かってに うごく ことを「はんしゃ」と いいます。ただ、はんしゃだけで、1日に 14000回も ふえるのでしょうか。

突然の風、飛んできた虫、まぶしい光。そのとき、考える前にまぶたが閉じます。まぶたは反射的に素早く閉じて、異物や風、塵、虫、強い光から目を守ります。涙は目の表面を湿らせ、角膜に酸素と栄養を届けます[2]。

目の表面に触れた刺激は、感覚を運ぶ三叉神経(第V脳神経)から脳幹へ伝わり、まぶたを動かす顔面神経(第VII脳神経)へつながって、まぶたの筋肉を動かします。この経路のおかげで、片方の目だけを刺激しても、通常は両方の目がまばたきをします[3]。

ここまでは「危ないものから目を守る」という分かりやすい役目です。しかし、風も虫も来ていないのに、まばたきは1分に14回ほど起こります。守る反射だけで、この数は説明できるのでしょうか。

風や異物に対するまばたきは、典型的な防御反射である。まぶたは反射的に素早く閉じ、異物・風・塵・虫・強い光から眼を物理的に守り、涙は眼の表面を湿らせて角膜へ酸素と栄養を運ぶ[2]。

この反射の経路は、感覚を運ぶ求心路と、運動の指令を出す遠心路に分けて説明される。角膜に触れた刺激は三叉神経(第V脳神経)が伝え、まぶたの筋肉への指令は顔面神経(第VII脳神経)が出す。そのため、片目を刺激しても通常は両目がまばたきをする[3]。

では、風も虫も来ていない1日の大半の14,000回はどう説明するのか。刺激を待つ反射だけでは、回数が合わない可能性がある。次の章で、必要な数との差を数字で比べる。

3. まもるだけなら、なぜ そんなに いらないの?

3. 守るだけなら1分に3〜4回で足りるのに、14回あるのはなぜか

3. 必要数3〜4回/分と実際の約14回/分 ── 差は4倍前後

ここで ふしぎな ことが あります。目の ひょうめんを しめらせて おく だけなら、1分に 3〜4回の まばたきで たりる そうです[1]。

ところが、ほんとうの まばたきは 1分に 14回ほど。いるぶんの 4ばいぐらいです。かりに 水やりで たとえると、花は 1分に 3〜4回で たりるのに、14回も やって いる ような ものです。ただし、まばたきは 目だけの 水やりでは ないかも しれません。

のこりの まばたきは、なんの ために あるのでしょう。じつは、まばたきを うごかして いる ばしょが、脳のうの おくの ほうに あると かんがえられて います。

目の表面の涙の膜を保つだけなら、1分に3〜4回で足りるとされます。実際のまばたきは、それよりずっと多いのです[1]。

14回を3〜4回で割ると、およそ3.5〜4.7倍です。切りのよい言い方をすれば、4倍前後になります。たとえば、花に1分に3〜4回水をやれば足りるのに、14回やっているようなものです。ただし、まばたきは単なる水やりではなく、そのたびに目の表面を整える動きもしています。

この論文が注目するのは、風も虫も来ていないのに起こるまばたきです。「自発的なまばたき」と呼ばれ、刺激がなくても自動的に生まれます。つまり、目を守る反射とは別に、まばたきを自動で作り出す回路が脳の中にあるのではないか、という考えが出てきます。

では、その回路はどこにあるのでしょうか。

「涙の膜の維持に必要なのは1分に3〜4回」という数字は、角膜の湿り気だけを条件にした値である。実際の自発的なまばたきは約14回で、必要数より多い[1]。14÷3〜4は約3.5〜4.7倍で、およそ4倍前後にあたる。

注意したいのは、この3〜4回が涙の膜の保持だけの話だという点だ。まばたきの役目が保湿だけなら、余った分は無駄になる。逆に、保湿以外の役目が上乗せされていると考えれば、この差が説明しやすくなる。ただし、資料はその役目を断定していない。

論文は、風や虫のような刺激がないときにも出る「自発的なまばたき」を取り上げる。刺激に応じるだけの反射では14回は出てこない。では、刺激がないのに、まばたきは何が起こしているのか。研究が目をつけたのは、脳幹だった。

4. 考えなくても うごく、のうの おくの しくみ

4. 考えなくても続くまばたきと、脳の奥の自動回路という仮説

4. 自発まばたきを作る脳幹の回路 ── ラットの研究が示した仮説

ある けんきゅうでは、まばたきを つくる ばしょの ひとつとして、のうの おくの「のうかん」と いう ところに ある、さんさしんけいの あたりが 大切だと かんがえられて います[1]。

ここには、目が かわいた ときに おこる まばたきの しらせと、のうの べつの ところからの しらせが あつまって、まばたきの もとを つくる と いう かんがえが しめされて います[1]。ただし、これは おもに ねずみ(ラット)で しらべた はなしです。人でも おなじ しくみかどうかは、まだ はっきり していません。

いきを する ことに すこし にて います。ふだんは かんがえなくても できて、いしきを すれば、しばらく とめる ことも できます。ただし、まばたきと こきゅうは おなじ しくみでは ありません。

この じどうの まばたきは、している こと によって かわる ようです。つぎは、本を よむ ときと おしゃべりの ときを くらべます。

動物を使った研究では、自発的なまばたきを作るうえで、脳幹にある三叉神経脊髄路核の複合体が重要な役目をもつと示されました。目が乾いたことで起こる反射性のまばたきと、大脳の奥にある大脳基底核からの間接的な入力が、ここで合流して「まばたきを作る回路」に入るという仮説です[1]。

つまり、まばたきは「危ないから閉じる」反射と、「脳の側から定期的に出す」指令が混ざり合ったものだと考えられています。ただし、この研究は主にラットで行われたもので、人でもまったく同じ回路だと決まったわけではありません。

考えなくても続くのは、この自動の回路のおかげかもしれません。ただし、これはラットの研究で示された仮説で、人でも同じかどうかはまだ決まっていません。ふだんはこの回路に任せていて、自分の意思でまばたきを止めたり、わざと強く閉じたりもできます。これは息をするのに少し似ています。ただし、まばたきと呼吸が同じ仕組みという意味ではありません。

この自動の回路は、していることによって回数が変わります。次は、本を読むときと話すときを比べます。

人の脳の中で何が起きているかを直接観察するのは難しく、まばたきを生み出す回路の詳しい調べは動物モデルが中心になる。ラットを用いた論文は、自発的なまばたきの生成に、脳幹の三叉神経脊髄路核の複合体が重要だと報告した。ドライアイ由来の反射性まばたきと、大脳基底核からの間接的な入力が、ここで「まばたき発生器」に合流するという仮説である[1]。

この仮説のよい点は、先の疑問に筋が通ることだ。目の乾きに応じる反射の信号に、脳の側からの入力が上乗せされるなら、必要数を超える回数が出る理由になる。一方で、これはあくまで仮説であり、動物の結果をそのまま人に当てはめて確定とは言えない。

私たちは自分の意思でまばたきを我慢することも、わざと強く閉じることもできる。意識すれば止められるが、すぐに忘れて元に戻る。自動の回路が下で動き続け、意思がその上から一時的に重なる、という見方である。

この自動回路が脳の状態と結びついているなら、している作業によって回数が変わるはずだ。次はその変化を見る。

5. 本を よむと へって、おしゃべりで ふえる?

5. 読書で減り、会話で増える ── まばたきは「していること」で変わる

5. 課題による回数の変化 ── 読書で最少、会話で最多、個人差は大きい

おなじ 人でも、まばたきの かずは いつも おなじでは ありません。しりょうに よると、平均へいきんでは、本を よんで いる ときに いちばん すくなく、おしゃべりを して いる ときに いちばん おおく なります[1]。

ほかの しりょうでは、話す こと、おぼえる こと、あたまの 中で 計算する ことで ふえ、ぼんやり 空想する ときに へる という けいこうも ほうこく されて います[4]。

ただ、これは 人に よって ちがいが 大きい はなしです。「何回が ふつう」と きまった 数は ありません。1人1人の 回数は、その人の ふつうで いいのです。

では、まばたきの 1回1回は、あたまの 中で なにかと かんけいが あるのでしょうか。

まばたきの回数は、していることによって変わります。平均では、読書中がいちばん少なく、会話中がいちばん多いと報告されています[1]。

別の資料は、読書中のまばたきは1分に1.4〜14.4回と個人差が大きく、画面を見る作業では1.8〜4.4回とする報告を紹介しています。話す、暗記する、暗算をするときに増え、空想にふけるときに減るという関連も、学会発表などで報告されたものとして紹介されています[4]。これらは研究ごとの報告値で、誰にでも当てはまる決まった数ではありません。

集中して文字や画面を見つめるときは減り、人と話したり、頭の中で数を扱ったりするときは増える。まばたきの回数は、目の乾きだけではなく、頭の使い方とも関係しているように見えます。

それでは、1回のまばたきは、頭の中の何かと結びついているのでしょうか。

自発的なまばたきの回数は、課題の影響を強く受ける。論文は、平均の回数が読書中に最も少なく、会話中に最も多いと整理している[1]。目の乾きだけが回数を決めるのなら、会話で増える理由が説明しにくい。

眼科の総説は、より細かい数字を挙げる。読書中は個人差が大きく1.4〜14.4回/分、画面を使う作業では1.8〜4.4回/分と報告され、話す・暗記する・暗算をするときに増え、空想で減るという関連も、学会発表などで報告されたものとして紹介されている[4]。ただし、これらは個々の研究で報告された範囲であり、固定した値として使えない。範囲の上限と下限が10倍近く離れること自体が、個人差の大きさを示している。

読書と会話の違いは、目の動きや口の動きだけでは語りきれない。「何を考えているか」と回数が結びついているなら、まばたき1回が脳内の切りかえと関係している可能性がある。次にその点を調べた日本の研究を見る。

6. まばたきの あとで、あたまの 中は かわる?

6. まばたきの直後に、脳の活動が切りかわるという報告

6. まばたき直後の脳活動 ── 注意の解放という解釈と、その限界

大阪大学おおさかだいがくの 中野さんたちの けんきゅうでは、どうがを 見て いる 人の まばたきの あとで、ちゅういに かかわる 脳のうの はたらきが さがり、ぼんやり かんがえる ときに はたらく 脳のうの ぶぶんが あがる ことが わかりました[5]。どうがを まっくらに して みても、おなじ へんかは 出ませんでした[5]。

この けんきゅうには 10人ほどが きょうりょく しました。ですから、まばたきが 「ちゅういを ひと休みさせる きっかけ」に なって いるかも しれない、という かんがえです[5]。ただし、この けっかだけで、まばたきが ぜんぶ きめて いるとは いえません。

中野さんは、まばたきが 脳のうの じょうほうの しょりと かんけいして いる かのうせいが ある、とも のべて います[6]。

大阪大学の中野珠実さんらの研究では、動画を見ている人のまばたきの直後に、注意に関わる脳のネットワークの活動が下がり、内向きの処理に関わる脳のネットワークの活動が上がったと報告されました。動画を暗転させたときには、同じ変化は出なかったとされます[5]。研究に協力したのは10人ほどです。

この結果から、まばたきが「注意をいったんゆるめるきっかけ」になっているのではないか、という見方が出ています[5]。中野さんは講義の紹介でも、まばたきが脳の情報処理と関係している可能性を述べています[6]。

ここでは、「まばたきが脳を切りかえている」と言い切れない点が大切です。協力した人数は少なく、因果はまだ検討の途中にあります。ただ、必要な回数の4倍前後も起こるまばたきの余りが、頭の中の動きと結びついているかもしれない、という見方には、資料の裏づけがあります。

大阪大学の中野珠実らの研究は、動画視聴中のまばたきの直後に、背側注意ネットワークの活動が下がり、デフォルトモードネットワークの活動が上がることを報告した。動画を暗転させた場合には同様の変化は見られなかった[5]。大学の研究紹介は、まばたきが注意の解放に能動的に関わっているという解釈を述べている。被験者は10人ほどで、大学の紹介は2012年12月、論文は2013年に出ている。

暗転で同じ変化が出ないことは、変化が単なる「画面が一瞬消えたこと」だけでは説明できないことを示す。しかし、因果の向きの決定には、さらに多くの検証が要る。まばたきが原因で脳が切りかわるのか、切りかわりのタイミングで結果としてまばたきが出るのかは、この研究だけでは区別しにくい。

中野教授の講義の紹介には、まばたき中にデフォルトモードネットワークと、記憶の中枢である海馬が活発化していたという記述もあり、まばたきと脳の情報処理の関係が「可能性」として述べられている[6]。必要数をはるかに超えるまばたきの意味は、保湿を超えて、脳の処理の区切りにある可能性がある。ただし、資料はそこまでの断定をしていない。

一次資料(論文)に当たる読者は、被験者数・条件・解析の範囲を、ここで述べた研究紹介と見比べるとよい。

7. じぶんの まばたきを、1分だけ かぞえて みよう

7. 本を開いた1分と、おしゃべりの1分を数え比べる

7. 自分のまばたきを数える ── 実験の組み方と、結果の読み方

いえに ある とけいで、1分を はかって、じぶんの まばたきを かぞえて みましょう。かぞえる あいだは、すこし いしきして しまうので、ふだんより かわる ことが あります。かぞえるのを だれかに たのめれば、もっと ふつうに ちかい かずが わかります。

1つめは、本を よんで いる 1分。2つめは、家の 人や ともだちと おしゃべりして いる 1分です。2つの かずを くらべて みると、どちらが おおいでしょうか。

かずが ちがっても、それは 人と くらべる ための ものでは ありません。まばたきの かずは、人に よって 大きく ちがいます。じぶんの 「ふつう」を しるのが ねらいです。目が いたい ときは むりを しないで ください。

時計で1分を計り、自分のまばたきを数えてみましょう。数えている間は意識してしまい、いつもと違う回数になることがあります。数えるのを家の人や友だちに頼めれば、ふだんに近い回数が分かります。

1回目は、本を開いて読んでいる1分です。2回目は、家の人や友だちとおしゃべりしている1分です。2つの数を比べると、どちらが多いでしょうか。資料の平均どおりなら、読書のほうが少なく出ます。ただし、個人差が大きいので、逆に出ても変ではありません。

数えた回数は、他の人と比べて優劣をつけるためのものではありません。目が痛いときや疲れたときは、無理をしないでください。

もっと調べるなら、大阪大学の研究紹介[5](英語のページです)が入り口になります。1回のまばたきの前後に頭の中で何が起きているかを、どう測ったのかを読んでみると、数字の意味がより分かります。

家庭でできる確かめ方は単純である。時計で1分を測り、(a) 本を読んでいる間と、(b) 人と会話している間のまばたきの回数を数える。自分で数えると意識して回数が変わるため、協力者に数えてもらうほうがふだんの値に近づく。回数は個人差が大きいので、平均の傾向(読書で少なく、会話で多い)と逆の結果が出ても不自然ではない[1][4]。

数えた値を他人と比べて優劣をつけることには意味がない。前の章の資料では、読書中の報告値だけでも1.4〜14.4回/分と10倍ほど開いている。自分にとっての基準値を知り、課題を変えたときの変化を見るのが、この確かめ方の使い方である。目が痛いときや疲れているときは、行わない。

資料の読み方としては、動物実験か人の研究か、仮説か報告された結果かを見分けることが分かれ目になる。ラットの脳幹の研究[1]は動物で、仮説の段階にある。眼科の総説[4]の数字は研究ごとの報告範囲である。大阪大学の紹介[5]の研究は10人ほどの協力で行われ、因果は断定されていない。同じ「まばたき」でも、確かさの段階が資料ごとに違う。原典の論文に当たるときは、この3つの段階がどう書かれているかを比べるとよい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:神経科学の論文、MSDマニュアル、生理学の解説、眼科の総説、大阪大学の研究紹介、大学の講義紹介を使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。

  1. Spontaneous Blink Generator: An Animal Model, J Neurosci(2011)。https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3156585 (回数の目安、必要数との差、課題による変化、脳幹の回路の仮説について。英語の論文)
  2. MSDマニュアル家庭版「眼の保護機能」。https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/20-%E7%9C%BC%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E7%9C%BC%E3%81%AE%E7%94%9F%E7%89%A9%E5%AD%A6/%E7%9C%BC%E3%81%AE%E4%BF%9D%E8%AD%B7%E6%A9%9F%E8%83%BD (まばたきと涙の役目について)
  3. Deranged Physiology「Corneal reflex」。https://derangedphysiology.com/main/node/2812 (三叉神経と顔面神経の反射の経路について。英語の解説)
  4. Review of Ophthalmology「Breaking Down the Blink」。https://www.reviewofophthalmology.com/article/breaking-down-the-blink (読書・画面作業などで変わる回数の範囲について。眼科の専門誌の記事)
  5. 大阪大学 研究紹介(2012年12月25日)。https://resou.osaka-u.ac.jp/en/research/2012/20121225_1 (まばたきの直後の脳活動の変化について。大学の研究紹介)
  6. テレメール進学情報「中野珠実 講義」。https://telemail.jp/shingaku/academics-research/lecture/g014689 (約20回という目安と、脳の情報処理との関係について。講義の紹介)

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