1. ふくろを ぽいっと いれると、おくでは なにが おきるの?
1. 投入口に入れたごみは、回転する板がかき込む
1. 回転板式は、2枚の板でごみを荷箱へかき込む
ごみ しゅうしゅうしゃの うしろには、ごみを いれる 大きな 口が あります。ふくろを ぽいっと 入れると、中で 板が うごいて、のみこむ ように ごみが きえて いきます。
この おくでは、「かいてんばん」と いう 板が ぐるりと まわって、ごみを 中へ かきこみます[2]。つづいて 「おしこみばん」が、おくへ ぎゅっと つめて いきます[2]。
ある メーカーの せつめいでは、この 1かいの うごきは 10〜13びょうです[4]。1ぷんは 60びょうなので、1ぷんに 4〜6かいぶんの けいさんに なります。ただし これは せつめいの 数から だした めやすで、いつも この はやさとは かぎりません。
ところで、この 大きな 板を うごかす ちからは、どこから くるのでしょう。
収集車の後ろに立つと、投入口の奥で板が動くのが見えます。回転板式と呼ばれる方式では、回転板が投入口のごみを荷箱へかき込み、押込板が奥へ詰めていきます[2]。
極東開発工業の「パックマン」は、ごみや汚水が飛び散ったり戻ってきたりするのを少なくするため、2枚の板で積みこむ造りです[3]。国内では、家庭ごみ向けの方式として説明されています[1]。
モリタエコノスの「パックマスター」では、この積みこみ1サイクルが10〜13秒とされています[4]。60秒をその秒数で割ると、1分間に4〜6回ほどです。仕様表の数字から計算した目安で、実際の作業ではごみの量や形によって変わります。
こうして板が休まず動くには、力が要ります。その力はどこから来るのでしょうか。
後部の投入口から荷箱へごみを送る方式のうち、回転板式は、回転板が投入口のごみを荷箱へかき込み、押込板が奥へ詰める構造である[2]。極東開発工業の「パックマン」は、ごみや汚水の飛散・戻りを少なくするため、2枚の板で積む設計を採る[3]。国内では、家庭ごみ向けとして説明される方式だ[1]。
では、その速さと弱点はどうか。モリタエコノスのパックマスターの諸元表では、1サイクルの積込時間が10〜13秒とされる[4]。60秒を割ると1分に4〜6サイクルだが、これは仕様上の値から出した目安であり、現場のごみの量や形で変わる。一方で、硬い材質や長い鉄製のものが挟まると回転板が止まるため、収集できるごみには制限がある[6]。
この板は、荷箱の容積5.2〜8.2立方メートル(小型・小型ワイド・中型)の車に載る[4]。2リットルのペットボトルに換算すると、約2600〜4100本分の大きさだが、これは荷箱の大きさであり、積めるごみの重さを示す数字ではない。では、これだけの板を動かす力はどこから来ているのか。
2. 大きな 板は、どこから ちからを もらうの?
2. 板を動かす力は、走るためのエンジンから取り出す
2. 積込み装置の動力は、走行用エンジンからPTOで取り出す
板は 大きくて おもそうです。うごかす ための「べつの エンジン」が あるのでしょうか。
しらべると、しゅうしゅうしゃは ふつうの トラックを もとに つくられます[2]。その トラックを はしらせる エンジンの ちからを、「PTO(ピーティーオー)」と いう そうちで とりだし、あぶらの ちからで 板を うごかします[2]。
あぶらの ちからは、水を いれた ちゅうしゃきを 2本、ほそい くだで つないだ ようすに にて います。1本を おすと、もう 1本が うごきます。ほそい くだを とおして、はなれた 大きな 板まで ちからを とどけられます。
では、かきこまずに、もっと ぎゅっと つぶして つめる くるまは、なにが ちがうのでしょう。
収集車は、トラックを一から作るのではなく、既存の車両を改造して作られます。ベースには、2〜3トンクラスの小型トラックや、4トンクラスの中型トラックが使われます[2]。
積込み装置を動かす力は、そのトラックのエンジンから出ています。エンジンの動力を、PTO(動力取出装置)という部品で取り出し、油圧で装置を動かします[2]。PTOは、エンジンの力の「取り出し口」です。積込み用に別のエンジンを積んでいるわけではありません。
油圧は、遠くの板まで力を運ぶ
水を入れた注射器を2本、細い管でつないで、片方を押すともう片方が動く。油圧は、これと同じ考え方で、油に力を加えて離れた装置を動かします。細い管で力を運べるので、荷箱の奥の重い板も動かせます。
従来は、回転板の油圧をエンジンの力で制御していました。いまは、モーターで制御するハイブリッド駆動のシステムもあります[2]。
板を動かす方法が分かると、次の疑問が出ます。同じ「積む」でも、押しつぶす車は何がちがうのでしょうか。
ごみ収集車は、既存の小型(2〜3トンクラス)や中型(4トンクラス)のトラックを改造して作られる[2]。積込み装置は、走行用エンジンの動力をPTO(動力取出装置)で取り出し、油圧で動かす[2]。PTOは動力の取り出し口であり、積込み用の別エンジンではない。
油圧は、液体に加えた圧力が管を通じて伝わる性質を使い、離れた場所の装置を動かす方式だ。管を引き回せば、荷箱の奥の板まで力を運べる。
従来は、回転板の油圧をエンジンの力で制御していたが、モーターで制御するハイブリッド駆動システムも出ている[2]。つまり、板を動かす力の源はエンジンだけではなくなりつつある。この流れが電気トラックでどうなるかは、第6章で見る。その前に、押しつぶす方式の特徴を確かめる。
3. 「ぎゅっと つぶす」くるまは、なにが ちがうの?
3. 「かき込む」車と「押しつぶす」車は、何がちがうのか
3. プレス式は、圧縮してから詰める ── 得意なごみと注意点
もう 1しゅるいの くるまは、「プレスしき」と いいます。2まいの 板、「あっしゅくばん」と「スライドばん」で、ごみを ぎゅっと つぶして から、にばこへ つめます[2]。
ペットボトルを つぶすと、たくさん はいりますね。それと にて います。かぐや れいぞうこの ような 大きな ごみも、つぶせると いわれます[1]。
ただし、つぶす とき、ライターや でんちが まざって いると、かじに なった れいが ほうこく されて います[6]。だから、ごみを だす ときは、ルールを まもって わけます。
もう1つの方式がプレス式です。圧縮板とスライド板を使って、ごみをギュッと圧縮してから荷箱へ詰めます[2]。ペットボトルを手で押しつぶしてから袋に入れると、たくさん入るのと同じ考え方です。
この方式は、荷箱の容積を無駄にしないため多く積めるとされます。家具や冷蔵庫のような大きなごみも圧縮できる、という説明もあります[1][6]。一方で、圧縮するときにライターやリチウムイオン電池が原因となる火災の例も、報告されています[6]。
ごみの種類で、向き不向きが分かれる
回転板式は、飛び散りが少なく、家庭ごみに向くといわれます[1]。プレス式は、大きなごみまで圧縮できる強みがあります。どちらが優れているかではなく、ごみの種類に合わせて選ばれる、と読むのが自然です。
世界には、円筒形の荷箱そのものを回しながら積む方式もあります[7]。日本では、回転板式と圧縮板式が主流です。
プレス式は、圧縮板とスライド板でごみを圧縮したあと荷箱へ詰める構造で[2]、容積を無駄にせず多く積める点が強みとされる[6]。家具や冷蔵庫のような大きなごみも圧縮できると説明される[1]。
では、弱点はないのか。ライターやリチウムイオン電池が原因で、圧縮中に火災に至った例が報告されている[6]。回転板式にも、硬い・長い鉄製のごみが挟まると板が止まる制約があった(第1章)[6]。どちらの方式も、入れられるごみに条件がある。
モリタエコノスのプレスマスターは、積込時間が1サイクル10〜16秒(機種による)で、荷箱の容積は4.3〜10.2立方メートルの機種がある[5]。10.2立方メートルは、2リットルのペットボトル約5100本分の大きさだ。世界には、円筒形の荷箱そのものを回しながら積む方式もある[7]。日本の収集車の主流は回転板式と圧縮板式であり、方式の選択は、ごみの種類と、その場所の条件に左右される。
4. つんだ ごみは、どうやって おろすの?
4. 積んだごみを降ろす方法も、2通りある
4. 排出方式:ダンプ式と水平押出式
ごみを つんだら、あとは おろす だけです。でも、おろしかたも しゅるいが あります。
あるメーカーの かいてんばんしきは、「ダンプしき」です。ダンプカーの ように、にばこを かたむけて おろします[4]。
おなじ メーカーの プレスしきは、「すいへい おしだししき」です。おしだし ばんが、よこへ おしだします。おろすのに かかる 時間は 15〜20びょうです[5]。
おなじ しゅうしゅうしゃでも、つみかたと おろしかたは いろいろです。
5. はたらく 人の ために、どんな くふうが あるの?
5. 投入口のまわりには、作業する人のための工夫がある
5. 作業者の近くで動く板を、どう扱いやすくしているか
しゅうしゅうしゃの うしろでは、人が ごみを 入れます。すぐ そばで 板が うごくので、くふうが あります。
あるメーカーの プレスしきでは、板が ちかづくと、ライトと 音で 作業する 人に しらせます[5]。あしもとの バーを あしで おすと、板を とめられます[5]。
また、かいてんばんしきの 小がたは、ごみを 入れる 口が 地めんから 70センチです。車の 高さは 2メートル 20センチで、ビルの ちかの ような 高さの かぎられた ばしょにも はいれます[4]。
収集車は、作業する人のすぐ近くで大きな板を動かします。そのため、仕様書には工夫がいくつも書かれています。
プレスマスターには、積込プレートが近づくと、上部のLEDシグナルライトと音声で作業者に知らせる機能があります。足元にはバー型のスイッチがあり、足などで押すと積込動作が止まります[5]。これはプレスマスターの例で、すべての収集車に付いているとは限りません。
一方、パックマスターの小型は、投入口の地上高が700ミリ、車高が2,200ミリです。ビルの地下など、高さに制限がある場所にも入れるとされています[4]。
収集の現場は、狭い路地やビルの地下まで、さまざまです。車の大きさや投入口の高さは、その現場に合わせた設計です。
積込み装置は作業者の手元で動くため、仕様には、近づく板を知らせる仕組みと、止める手段が含まれる。モリタエコノスのプレスマスターは、積込プレートの接近時に、上部のLEDシグナルライトと音声で作業者に伝え、足元のバー型スイッチを足などで押せば積込動作を停止できる[5]。ただし、これは1機種の仕様であり、全ての収集車の標準装備とは言えない。
現場への適合も、設計に表れる。パックマスターの小型は、車高2,200ミリ、投入口の地上高700ミリで、ビルの地下など高さ制限のある場所にも進入できる[4]。700ミリという数字は小型の値で、中型や他機種には当てはまらない。
こうした現場ごとの条件に合わせて、方式(回転板・プレス)、降ろし方、大きさが選ばれる、と読める。次に、動力の側の変化を見る。エンジンを使わない電気トラックでは、板は何の力で動くのか。
6. でんきの トラックでは、板は なにで うごくの?
6. 電気トラックになっても、板は動く ── 変わる部分と変わらない部分
6. 電動化とePTO ── 収集装置をそのまま使うための動力の取り出し方
エンジンの かわりに、でんきの モーターで はしる トラックも あります。この ときは、板を うごかす ちからも でんちから もらいます。
三菱ふそうの でんきの しゅうしゅうしゃは、モーターで ちからを とりだす「ePTO(イーピーティーオー)」を つかいます。これまでの ディーゼル車用の しゅうしゅう そうちを、そのまま つかえるとされます[8]。
つまり、板や にばこの かたちは かわらず、ちからの とりだしぐちだけが かわる ことに なります。
音や しんどうも 少なく なると、せつめいされて います[8]。
三菱ふそうトラック・バスは、ごみ収集仕様の電気トラック「eCanter」で、モーター式の動力取り出し装置(ePTO)を採用しています。既存のディーゼル車用の収集装置システムを、そのまま使えるとされます[8]。
つまり、板や荷箱の動きは変えずに、動力の取り出し口だけがエンジン式からモーター式に替わります。騒音や振動の少ないゼロエミッションの収集車になる、と説明されています[8]。
バッテリー容量は41kWhで、6kWの普通充電で0〜100%まで約8時間とされています[8]。
板を動かす負担も、バッテリーを使う
モリタエコノスのEV回転式塵芥収集車には、積込み作業の負荷状況を示すインジケーターが車両後部にあります。作業の負荷が見えるようになり、バッテリーの消費を減らす操作を促す、と説明されています[9]。
電気の車では、板を動かす力も、走る力と同じバッテリーから出ます。インジケーターは、その負担を作業する人にも見えるようにする工夫です。
三菱ふそうのごみ収集仕様の電気トラック「eCanter」は、モーター式の動力取り出し装置(ePTO)を採用し、既存のディーゼル車用の収集装置システムをそのまま使えるとされる。騒音や振動の少ないゼロエミッションの収集車を目指した仕様である[8]。
電動化では、第2章の「エンジン→PTO→油圧」の流れのうち、前半だけが置き換わる。バッテリー容量は41kWhで、6kWの普通充電では0〜100%まで約8時間である[8]。
電気の場合、積込み作業もバッテリーを使う。モリタエコノスのEV回転式塵芥収集車は、積込作業の負荷状況を示すインジケーターを後部に備え、バッテリー消費の軽減を促す[9]。エンジン車では見えにくかった「板を動かす負担」を、運転者が把握できるようにした設計だと読める。
7. こんど しゅうしゅうしゃを みかけたら、どこを みる?
7. 次にごみ収集車を見かけたら、見てみたいところ
7. 収集車を観察するときの手がかりと、原典のたどり方
ごみ しゅうしゅうしゃが とまって いたら、あんぜんな ところから、すこし はなれて みて みましょう。
やってみよう。1つめは、板の うごきです。うしろの 口の おくで、かいてんばんが まわるか、ぎゅっと つぶす うごきか、見て みましょう。2つめは、音です。はしって いる とき、とまって 板が うごいて いる とき、音は かわるでしょうか。
あまり ちかづかず、車の うごきに ちゅうい して、おうちの 人と いっしょに 見ましょう。
もっと しりたく なったら、メーカーの サイトで「せいひん しょうかい」を さがすと、つみこむ 時間や 大きさの 数が のって います。
収集車に出会ったら、離れた歩道から、次の2つを観察してみてください。
- 投入口の奥で、板がどう動くか。回転して巻き込むように見えるか、ぐっと押しつぶすように見えるか。
- 走っているときと、止まって板を動かしているときで、エンジン音は変わるか。
近づきすぎず、車や作業の人の動きに注意しましょう。方式の分類は、外から見た印象だけでは決められません。
数字を確かめたいときは、モリタエコノス、極東開発工業、三菱ふそうの製品ページに、積込時間や荷箱容積の仕様表があります。「10〜13秒」という数が、どの機種の、どの条件の値かが分かります。
もう1つ、自分の町の収集日や分別のルールを、自治体のページで確かめてみるのもよい調べ方です。
観察では、安全な位置から、投入口の奥の板の動きと、停車中・走行中の音の違いを見るとよい。外見だけでは方式や機種は判別できないため、観察は仮説づくりにとどまる。
数字を確かめるには、メーカーの製品ページの諸元表が早い。積込方式・積込時間・排出方式・荷箱容積が並んでおり[4][5]、本記事の「4〜6回」「約5100本分」といった計算も、この表の数字を割ったり掛けたりしたものだ。上限値の目安であることは、元の表を読めば自分で確かめられる。
動力の取り出し方(エンジンのPTOとモーター式のePTO)については、本記事は報道とメーカーの発表に依拠した。エンジン版PTOの詳細は、機種ごとの技術資料で読める可能性がある。また、日本で現在の形の収集車がいつ使われ始めたかは、資料によって年代が分かれていたため、本記事では扱っていない。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
出典について:メーカーの仕様ページ、三菱ふそうの発表、報道記事、百科事典を使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。
- Wikipedia「ごみ収集車」。https://ja.wikipedia.org/wiki/ごみ収集車 (区分の名前、回転板式・圧縮板式の向くごみについて。二次資料)
- 乗りものニュース「『ゴミ収集車』とは言いません」。https://trafficnews.jp/post/134813/2 (積込み方式、ベース車、PTOと油圧について。報道)
- 極東開発工業 回転板式ごみ収集車「パックマン」。https://www.kyokuto.com/product/buturyu_syusyu_13.html (2枚の板での積込みと、ダンプ式の排出について)
- モリタエコノス 回転式「パックマスター KA7・KB7型」。https://www.morita-econos.com/garbage/dump07/index.html (積込時間、荷箱容積、車高と投入口の高さについて)
- モリタエコノス プレス式「プレスマスター PA7・PB7型」。https://www.morita-econos.com/garbage/press07/ (積込時間、排出時間、安全装置について)
- くるまのニュース「ゴミ収集車の内部はどうなっている?」。https://kuruma-news.jp/post/281213 (回転板式の制約、プレス式の強みと火災の例について。報道)
- ベストカーWeb「ゴミ収集車」の解説記事。https://bestcarweb.jp/feature/column/287189 (荷箱回転式について。報道)
- 三菱ふそうトラック・バス プレスリリース(2023年5月24日)「ごみ収集仕様の新型eCanter」。三菱ふそうトラック・バス プレスリリース (ePTOとバッテリー容量について)
- Car Watch「モリタエコノス eパックマスター」。https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1504697.html (EV回転式収集車のインジケーターについて。報道)
なおした ところ
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