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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

あおりんごも あおしんごうも みどりいろなのに、どうして 「あお」と よぶの?

青りんごも青信号も緑色なのに、なぜ「青」と呼ぶのか ── 「あお」が広い色の言葉だったころ

古代日本語の「アオ」は青と緑を含んでいた ── 「みどり」が新芽から色名になり、青信号が名残として残るまで

分野:歴史・文化

あおりんご、あおむし、あおしんごう。どれも 見た 目は みどり色なのに、「あお」と よばれて います。

むかしの 人が みどりの ものを「あお」と よんで いた、という 話が あります。では「みどり」という ことばは、どこから 来たのでしょう。ふたつの ことばが わかれて いった わけが わかります。

青りんご、青虫、青のり、青信号。どれも見た目は緑色なのに、日本語では「青」と呼びます。まちがいではなく、昔の日本語の「あお」が、今の青よりずっと広い色を指していたからだといわれます。

では、「緑」という言葉はいつ色の名前になり、青と緑はどうやって別々の色になったのでしょうか。その道すじと、信号の「青」が緑色のまま残った理由が分かります。

青りんご、青虫、青のり、青信号。緑色のものを「青」と呼ぶ例は今も多い。古代の日本語では「アオ」が藍に近い色から黄みを帯びた緑まで広く含み、青と緑を区別していなかったためだと、国語辞典は説明する[2]。

では、「緑」はいつ独立した色名になったのか。「みどり」の語の出自、分化の時期をめぐる資料の食いちがい、信号の「青」が緑色のまま残った経緯がどこまで分かっているかを、辞典・研究者への取材記事・競馬の用語集で比べて読むと分かる。

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1. みどりなのに、どうして あおりんごなの?

1. 緑色のものが「青○○」と呼ばれている

1. 「青○○」の多くは緑色 ── 現代語に残る古い用法

スーパーに ならぶ あおりんごは、みどり色です。あおむしも、あおのりも、みどり色です。

ほかにも、あおば、あおな、あおじるなど、みどりの ものを「あお」と よぶ ことばが たくさん あります[3]。

まちがいなのでしょうか。じつは、むかしの「あお」は、いまより ずっと ひろい 色の ことばだった、と いわれて います。

八百屋さんに並ぶ青りんごは、緑色をしています。青虫も、青のりも、青汁も、実際の色は緑です。青葉や青物(野菜のこと)のように、古くからある言葉にも、緑色のものを「青」と呼ぶ例があります[3]。

これは言い間違いが残ったのではありません。今の私たちが「青」と聞いて思い浮かべる色と、昔の「あお」が指していた色の広さがちがっていたのです。

では、昔の「あお」はどれくらい広い言葉だったのでしょうか。

青りんご、青虫、青のり、青汁、青葉、青物。これらの実際の色は、いずれも緑である。国語辞典は、古代から「青葉」「青物」のように、実際には緑色のものが「青」と呼ばれてきたと述べている[3]。

言い間違いが固まったものなら、これほど多くの語に一貫して現れるはずがない。むしろ、現代の「青」と古い「アオ」の指す範囲がずれていると考えるほうが筋が通る。では、そのずれはどのくらいの大きさだったのか。

2. むかしの「あお」は、どれくらい ひろかったの?

2. 昔の「あお」は、藍色から緑までを含む広い言葉だった

2. 「アオ」の範囲 ── 藍系から黄みを帯びた緑系まで、さらに黒っぽい毛色にも

ことばの 本には、「あお」は 青い 色から みどりの 色までを まとめて よぶ ことば、と 書いて あります[2]。

むかしの 日本語には、色の 名前が「あか・くろ・しろ・あお」の 四つしか なかった、という かんがえも あります[1]。みどりは、この「あお」の 中に 入って いたのです。

「あお」は、くろっぽい 色にも つかわれました。うまの 毛の 色の「あおげ」は、まっくろな 毛の ことです[6]。

では、「みどり」は、いつ 生まれたのでしょう。

辞典は、「青」を、藍色に近い色から、黄みを帯びた緑までを総称する言葉と説明しています[2]。今なら別々の色とされる範囲を、一つの言葉でまとめていたことになります。

古代の日本語では、今の緑も「青」で表されていました。基本の色名が「赤・黒・白・青」の四つだけだったからだ、という説もあります[1]。色名の数が少ないと一つひとつの言葉が広い範囲を受け持つので、緑が「青」に入っていたこととも合います。

「青」の広さは、緑だけにとどまりません。競馬で使う毛色の言葉の「青毛」は、黒い毛の馬のことです。日本中央競馬会は、季節によって毛先が褐色になり、黒鹿毛や青鹿毛のように見えることがある、とも説明しています[6]。

では、その広い「青」の中から、「緑」はどのように独立していったのでしょうか。

『日本国語大辞典』系の辞典は、「青」を藍系統の色から黄みを加えた緑系統の色までを総称する語とする[2]。緑は従来「青」で表されたとされ、その背景に、古代日本語の基本色名が「赤・黒・白・青」の四語だけだったという説がある[1]。語の数が少ないほど、一語が受け持つ範囲は広くなる。説が正しければ、緑が青に含まれていたことと整合する。

「アオ」の守備範囲は、緑より下の明るさにも及んでいた。JRAの用語集では、青毛は黒い毛色で、季節によって毛先が褐色になり、黒鹿毛や青鹿毛のように見えることがあると説明される[6]。ここから、「アオ」は色相だけでなく、黒っぽく沈んだ色にも使われたと分かる。「四色だけ」は仮説として紹介されたもので、断定はできない。

では、広い「アオ」から離れて、「ミドリ」という語はどこから来たのか。

3. 「みどり」は、はじめ 色の 名前じゃ なかったの?

3. 「みどり」はもともと新芽のことで、色の名前になったのはあとから

3. 「みどり」の出自 ── 新芽の瑞々しさを表す語から色名へ

「みどり」は、はじめ、草や 木の あたらしい め の ことだった、と いわれます[3]。

ことばに「みずみずしい」という 意味が あって、そのなごりが「みどりご」に のこって います。みどりごは、うまれたばかりの あかちゃんの ことです[1]。「みどりの くろかみ」も、つやつやした かみの ことです。

のちに、新しい めの 色から、みどりの 色の 名前にも なって いきました。ただ、はじめは「あお」との ちがいが はっきり して いなかった、と じてんは 書いて います。

「みどり」は、もとは草木の新芽を指す言葉だったといいます[3]。言葉の中心にあるのは、色よりも「瑞々しさ」です。

その名残は、今も使われる表現に見つかります。生まれたばかりの赤ちゃんを「嬰児(みどりご)」と呼ぶのも、「みどりの黒髪」とほめるのも、つやつやと若々しいものに使われたからだと説明されています[1]。

色の名前としての「みどり」は、奈良時代の『万葉集』に「春は萌え夏は緑に」という例があり、そこまでさかのぼれるとされています[3]。ただし、文献に出る時期を平安時代からとする説明もあり、「奈良から平安にかけて」と幅をもたせて考えるのが安全です。

色名になってからも、緑と青がはっきり分けて使われていたとはいえない、と辞典は述べています[3]。では、いつごろからはっきり分かれたのでしょうか。

「みどり」はもと草木の新芽を指す語で、色名としての使用は、『万葉集』の「春は萌え夏は緑に」まで遡るとされる[3]。一方で、文献に現れるのは平安時代からとする説明もあり[1]、時期は資料によって食いちがう。そのため、ここでは奈良〜平安のどこかと幅をもたせて読む。

語の本来の意味は、色ではなく「瑞々しさ」だった。その名残が、嬰児を指す「みどりご」や、「みどりの黒髪」という言い方に今も残る[1]。新芽の若々しい色から色名へと意味が広がった、と読めるが、この順序を示す資料は辞典の説明が中心で、一次資料の裏づけまでは確認していない。

色名になったあとも、緑と青は「かならずしもはっきり分けて使っているとはいいがたい」と辞典は述べる[3]。つまり、「みどり」が現れた時点で青と緑の区別が完成したわけではない。では、分かれ目はどこにあるのか。

4. 「あお」と「みどり」は、いつ わかれたの?

4. 青と緑が別々の色になったのは、平安時代の終わりごろ

4. 青と緑の分化 ── 平安末期〜鎌倉時代という説明と、「あをによし」の読み

けんきゅうしゃの 話では、「あお」と「みどり」が べつべつの 色の 名前として かたまって きたのは、へいあんじだいの おわりごろから、だそうです[4]。

ならの 町を ほめる「あをによし」という ことばが あります。「あを」は、木の わかばの みどり色。「に」は、おてらの 赤い はしら、という かんがえが あります[5]。みどりと 赤を ならべた ながめだった のかも しれません。

ただし、ことばの 本当の 意味は いろいろな かんがえが あって、ひとつには きまって いません。

青と緑が別々の色名として固まったのは、平安時代の終わりから鎌倉時代にかけてだという研究者の説明があります[4]。ほかの資料には奈良時代の例もあるため、時期には幅があります。

手がかりの一つが、奈良を導く枕詞「あをによし」です。「あを」は木々の新緑を、「に(丹)」は寺社の赤い柱を指し、緑と赤の対比を表しているという説があります[5]。一方で、「青丹」は岩緑青という緑色の顔料の古い名前だとする説明もあります[5]。

新緑説なら、「あを」は今の緑にあたる色の例と読めます。「青丹」を顔料の名とする説では、この言葉だけから「あを」の色は決められません。語源は諸説あり、一つに決めることはできません。

では、信号の「青」はなぜ今も緑色なのでしょうか。

青と緑が別々の色名として固まった時期を、取材を受けた研究者は平安時代末期〜鎌倉時代と説明する[4]。ただし、奈良時代の例を挙げる資料もあり、時期は幅をもって読むのが適切だ。区別の時期は、語によって異なった可能性がある。

この時期の議論の材料に、奈良の枕詞「あをによし」がある。「あを」は新緑、「に(丹)」は寺社の赤い柱とし、緑と赤の色の対比を表すという説がある[5]。別の説では、「青丹」は岩緑青、つまり緑色の顔料の古名とされる[5]。新緑説なら「あを」は緑の例と読めるが、顔料説に立てば、この例だけから「あを」の色は決められない。枕詞の語源は定まっておらず、一つの解釈で結論を出すことはできない。

こうして語は分かれたが、全部の言葉が新しい区別に従ったわけではない。信号の「青」は、その残り方の一つと見られる。

5. しんごうの「あお」は、なぜ みどり色なの?

5. 信号が緑色でも「青信号」と呼ばれつづけている

5. 信号機の「青」 ── 1930年の新聞報道から、法令上の「青」まで

日本で さいしょに じどうの 信号しんごうきが 立ったのは、1930年、東京の ひびやの こうさてんだと いわれます[7]。そのころの しんぶんは、あかい ひ・きいろい ひ・あおい ひ、と 書きました。

みどり色の ひなのに、むかしからの ことばで「あお」と よんで いたのでしょう。のちに、ほうりつの 上でも「あお」と 書かれる ように なった、と いわれます[8]。

むかしの「あお」が、いまの みどりの ことも ふくんで いた なごりだと、せつめいされて います[2]。

日本で最初の自動信号機は、1930年に東京の日比谷交差点に設置されたといわれます。アメリカから輸入したもので、当時の新聞は灯の色を「赤・黄・青」と報じました[7]。

実際の灯は緑色でも、人々にとって「進んでよい合図」の色は、昔からの言葉で「青」だったのでしょう。1933年の公式文書は「緑信号」と記したという紹介もありますが、1947年には法令上も「青」に改められ、今に至ると紹介されています[8]。

信号の「青」が緑色のまま残っているのは、青と緑を区別していなかった時代の名残だ、と辞典は説明しています[2]。信号だけが特別なのではなく、青りんごや青虫と同じ仲間なのです。

ところで、なぜ「青」には、緑のものがこれほど結びついているのでしょうか。

日本初の自動信号機は、1930年に東京・日比谷交差点に米国から輸入されて設置されたといわれる。当時の新聞は灯の色を「赤・黄・青」と報じた[7]。灯が緑色でも新聞が「青」と書いたのは、進んでよい合図を表す語として「青」がすでに定着していたからだと考えられる。

その後、1933年の公式文書は「緑信号」と記したとする二次資料があり、1947年には法令上も「青」に改められたと紹介されている[8]。呼び名は一時的に「緑」へ動いたが、結局は「青」に落ち着いたことになる。この経緯は二次資料の紹介による。

信号の「青」を、青と緑の区別がなかった時代の名残とする説明は、国語辞典にある[2]。つまり信号は特別な例ではなく、青りんごや青虫と同じ仲間として読める。では、緑のものにまで「青」を使い続けた、その背景には何があったのか。

6. 「あお」には、どんな 気もちが こめられて いたの?

6. 「青」が若さや未熟さと結びついている理由

6. 「青」と若さ ── 五行説の木と、青りんごの未熟さ

むかしの 中国から 来た 考え方では、「あお」は 木に あたる 色でした。木は のびる ものなので、わかさや まだ できあがって いない ようすを あらわす 色にも、つかわれました[2]。この 考え方と、つながって いるのかも しれません。

あおりんごが、まだ うれて いない りんごの ことなのも、つながって いるのかも しれません。

みどりも、あたらしい 木の めの ことばでした。わかい もの、みずみずしい ものを あらわす、という ところが、「あお」と「みどり」は にて います。

「青」は、五行説という古い考え方で木に当てられ、若々しさや未熟さを表す色として使われてきました[2]。木は春に芽吹き、伸びていくものです。

この考え方が、青りんごのように「まだ熟していないもの」を指す使い方と結びついているのかもしれません。ただし、辞典が述べているのは「青が若さや未熟さの象徴だった」という点までで、青りんごという言い方との関係を直接結びつけた説明は、ここでは見ていません。

「みどり」もまた、新芽の瑞々しさを表す言葉でした。「青」も「みどり」も、若々しく生き生きとしたものを表す言葉として通じ合っていた、と読むことができます。

「青」は五行説で木に配当され、若々しさや未熟さを象徴する色として使われてきた[2]。「みどり」が新芽の瑞々しさから来ていたことを思い出すと、「青」も「みどり」も、若さや生き生きしたものを表す言葉として使われた。意味が近かったことも、緑を「青」と呼ぶ背景の一つかもしれない。

青りんごの「未熟」の意味合いも、ここにつながって見える。ただし、辞典が述べているのは、青が若さ・未熟さの象徴として用いられてきたという点までである。青りんごや「青二才」という語が五行説から直接生まれたという説明は、今回見た資料にはない。そのため、「つながっているかもしれない」にとどめる。

では、身のまわりには、緑色の「青」がどれだけあるのだろうか。数えてみれば、いまの言葉にも、昔の「アオ」の広さが残っていることが実感できる。

7. おうちの 中で「あお」を さがして みよう

7. 家の中の「青」がつく言葉を数えてみる

7. 「青○○」を集めて色を確かめる ── 辞典で語を引くところまで

おうちの 台どころや 本だなで、「あお」の つく ことばを さがして みましょう。

たとえば、あおじる、あおのり、あおじそ、あおねぎ など、パッケージに 書いて ある ことばが あります。

みつけたら、その ものの 色を 見て、みどり色か 青色か、えらんで みましょう。みどり色が おおいか、数えて みて ください。

火や ほうちょうは つかわず、見る だけで できます。

台所の食品のラベルや、図鑑・本の言葉の中から、「青」がつくものを探してみてください。青のり、青じそ、青ねぎ、青汁など、パッケージに書かれている言葉があります。

見つけたら、実際の色を見て、緑色か青色かを書き分けます。最後に、緑のほうが何個あったかを数えると、昔の「あお」の広さが今の言葉にどれだけ残っているかが、数字で見えてきます。

家にある国語辞典で「青」「緑」を引くと、ここで読んだ説明の言い回しを自分の目で比べられます。図書館では、日本語の色名の歴史を扱った本も探せます。

身のまわりの食品名・草木の名・慣用句から「青」がつく語を10個ほど集め、実際の色を見て緑・青・その他に分けてみるとよい。緑のものの割合を、自分で数えた数字で出すことができる。

家にある国語辞典で「青」「緑」「みどり」を引き、語義の並び順や用例を比べると、本文で見た「青が藍から緑までを含む」という説明が、辞典の中でどう書かれているかを確かめられる。

この記事の説明は、辞典・研究者への取材記事・競馬の用語集という二次資料に基づく。「みどり」の語の初出や、青と緑の分化の時期については、国語学の論文で直接確かめるとさらに詳しく分かる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

語の意味と時期はすべて辞典・取材記事の説明に基づき、年号は資料により幅がある。

  1. Weblio辞書「緑」 https://www.weblio.jp/content/%E7%B7%91 (「みどり」の語の意味と、古代の色名が四つだったという説)
  2. コトバンク「青」(日本国語大辞典などの辞典項目) https://kotobank.jp/word/%E9%9D%92-192607 (「青」の範囲と、若さの象徴という説明)
  3. コトバンク「緑」(精選版日本国語大辞典) https://kotobank.jp/word/%E7%B7%91-139038 (「みどり」の語の出自と、青との使い分け)
  4. マイナビニュース(青信号の呼び名について研究者に取材した記事) https://news.mynavi.jp/article/20170427-green_light/ (青と緑が別々の色名になった時期の説明)
  5. JAANUS(日本美術用語辞典)「青丹」 https://www.aisf.or.jp/~jaanus/deta/a/aoni.htm (「あをによし」の「青丹」の説)
  6. 日本中央競馬会(JRA)競馬用語 毛色 https://www.jra.go.jp/kouza/yougo/c10150_list.html (「青毛」の説明)
  7. 乗りものニュース(日本初の自動信号機を扱った記事) https://trafficnews.jp/post/129844 (1930年の日比谷の信号機と新聞の表記)
  8. くるまのニュース(信号の呼び名の変遷を扱った記事) https://kuruma-news.jp/post/516219 (1933年・1947年の呼び名の変化)

なおした ところ

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