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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

袴はかまの ひもは、どうやって むすぶの?

剣道教室の資料では、袴はかまのひもをどんな順番で結ぶのか

剣道の袴の紐は「出世結び」でどう結ばれるのか:男物の着付けや明治の刺貫袴とくらべる

分野:歴史・文化

剣道けんどうの 袴はかまの ひもを むすぶ ほうほうには、「しゅっせむすび」という 名前が ついて います。ひもを 四つに おり、うしろの ひもを 何回も くぐらせる、ふしぎな むすび方です。

どんな じゅんばんで むすぶのでしょう。ほかの 袴はかまは、おなじ むすび方なのでしょうか。この ページを 読むと、むすび方の ながれと、むかしの 袴はかまとの ちがいが わかります。

剣道の袴はかまのひもには、「出世結び」という名前がついています[1]。前のひもを四つに折り、後ろのひもを何度もくぐらせて仕上げる、手数の多い結び方です。

どんな順番で結ぶのか。男物の着付けや、明治のころの袴も同じ結び方なのか。たとえば明治の刺貫袴(さしぬきばかま)は、裾のひもを足にくくって着ました[4]。この記事を読むと、出世結びの手順と、袴のひもの使い方が場面によってちがうことが分かります。

剣道などで使う袴の紐の結び方は「出世結び」と呼ばれ、前紐を四つ折りにしたうえで後紐を何度もくぐらせる、手数の多い手順で成り立っている[1]。ところが、袴の紐はどれもこの結び方というわけではない。男物の着付けでは別の巻き方が示され[2]、明治の袴には裾でくくるものもあった[4]。

この記事を読むと、出世結びの手順の組み立てと、男物の着付けや明治の袴との使い分けが分かる。

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1. しゅっせむすびって、どんな むすび方?

1. 「出世結び」は、どんな結び方か

1. 剣道の袴の紐は、なぜ手数の多い結び方なのか

剣道けんどうの 道ぐを つけた 人の 腰こしを 見ると、袴はかまの ひもが きちんと むすんで あります。この むすび方は、「しゅっせむすび」と よばれて います。剣道けんどうを おしえる 会の ページに、そう 書いて ありました。

むすぶ まえに、大事な ことが あります。前から 出ている 長い ひもを、右も 左も、四つに おって おくのです。そのあと、うしろの ひもを、×の かたちに かさねた 前の ひもの 下に くぐらせます。ひもが ほどけにくい かたちに なって いくのです。

「しゅっせ」という ことばが 入って いる ふしぎな 名前ですが、名前の わけは、しらべた 資料しりょうには 出て きませんでした。

剣道を教える会のページには、袴の畳み方と並んで、ひもの結び方が「出世結び」として載っています[1]。腰に袴をつけると、前から出た長いひもと、後ろから出たひもがあります。この二組をどうからめるかが、結び方の中心です。

はじめにすることは、結ぶ前の準備です。左の前ひも(長いほう)を四つ折りにし、右の前ひもも同じように四つ折りにします[1]。そのうえで、後ろのひもを、×の形にした前ひもの上から入れて、下へくぐらせます。つまり、ただ蝶のように結ぶのではなく、ひもをたたんで重ね、その間に別のひもを通していくのです。

「出世」という言葉が入った名前です。名前の由来は、手元の資料には書かれていません。では、くぐらせたあと、ひもはどう動くのでしょうか。

剣道を教える団体のページは、袴の畳み方に続けて、紐の結び方を「出世結び」として示している[1]。腰に袴を当てると、前から回る長い前紐と、背中側の後紐が出る。出世結びは、この二組を重ねて絡めることで固定する方式である。

準備として、左の前紐(長いほう)を四つ折りにし、右の前紐も同様に四つ折りにする[1]。その上で、×の形にした前紐の上側から後紐を入れ、下へくぐらせる。単純な蝶結びとちがい、紐を畳んで幅と厚みをそろえ、その隙間に別の紐を通す構造である。

名称に「出世」の語が含まれるが、由来はこの資料には記されていない。いずれにせよ、準備を終えた紐は、さらに左右の後紐をくぐらせる動きが続く。その手順を順に見る。

2. うしろの ひもは、どこを くぐるの?

2. 後ろのひもを、どこへくぐらせるのか

2. 後紐をくぐらせる順番:左右の動きから最後の交差まで

つぎは、うしろの ひもの 出番です。まず、うしろの ひもを、×の 前の ひもの 下へ くぐらせて、上に 出します。右がわも おなじように くぐらせて、上に 出します。

それから、上に 出した 左の うしろの ひもを、左に たおします。そして、前の ひもの つけねの 下から くぐらせます。右の うしろの ひもも、右に たおして、つけねの 下から くぐらせます。

さいごです。左の うしろの ひもを、右の うしろの ひもの 下に とおします。つぎに、右の うしろの ひもを、左の うしろの ひもの 下に とおすと、できあがりです。たがいに 下を くぐりあって、おさまる ように なって います。

ひもを くぐらせる ところが 何回も あるので、はじめは まごつく かも しれません。

四つ折りの準備ができたら、後ろのひもを動かします。最初に、後ろのひもを、×の形にした前ひもの上から下へくぐらせ、くぐらせたひもを上に出します。次に、右側も同じようにくぐらせて、上に出します[1]。ここまでで、左右のひもが前ひもの下をくぐった形になります。

次の動きは、倒して通すことです。上に出した左の後ろひもを左へ倒し、前ひもの付け根の下から通します。右の後ろひもも右へ倒して、付け根の下から通します[1]。ひもが胴の近くで動くので、付け根のあたりをさわって位置を確かめながら進めると、迷いにくくなります。

仕上げは、左右のひもの交換です。左の後ろひもを右の後ろひもの下から通し、右の後ろひもも左の後ろひもの下から通すと完成します[1]。左右が互いの下をくぐって、結び目がまとまる順番です。

手順を数えると、後ろのひもが下へくぐる動きは、左右に一回ずつ、付け根の下にも左右で二回、そして最後に互いの下へ二回と、何度も出てきます。では、この結び方は袴を着るときの全体の流れの、どこに出てくるのでしょうか。

準備を終えたら、後紐を動かす。最初に、×の形にした前紐の上から後紐を下へくぐらせて上に出し、右側にも同じ操作をして上に出す[1]。この段階で、左右の後紐がともに前紐の下をくぐった状態になる。

次に、上に出した左の後紐を左へ倒し、前紐の付け根の下から通す。右の後紐も右へ倒して、付け根の下から通す[1]。ここまでで、後紐は前紐の下と付け根の下という二つの場所を通ったことになる。

最後に、左の後紐を右の後紐の下から通し、右の後紐も左の後紐の下から通して完成する[1]。互いの下をくぐる形なので、左右の後紐は交互に押さえ合う構造になる。くぐる動きを数えると、左右の最初の2回、付け根の下で左右の2回、最後の交換で2回の計6回に整理できる(この回数は資料の記述を数え直したもので、資料に明記された数ではない)。

では、この手順は着る流れのどこに入り、きつさはどうするのか。弓道の資料を見る。

3. 袴はかまは、いつ きるの? ひもは、きつく するの?

3. 袴は、着る順番のどこで結ぶのか

3. 弓道衣の着る順番と、ひもを締める強さ

きゅうどうの 道ぐを つける ときは、じゅんばんが あります。足袋たび、うわぎ、おび、そして 一ばん さいごに 袴はかまです。袴はかまは、さいごに はくのです。

うわぎの ひもは、きつく しばりません。ゆとりを もって むすぶように 書かれて います。きつすぎると、体が うごかしにくく なるからです。

ただ、これは うわぎの ひもの 話です。袴はかまの ひもを どれくらい しめるかは、この 資料しりょうには 書かれて いませんでした。

弓道の道着の着方を説明する資料では、順番は足袋、上衣、帯、そして最後に袴です[3]。袴のひもを結ぶのは、いちばん最後の仕上げなのです。

同じ資料に、上衣のひもは「きつく縛らず、ゆとりを持って結ぶ」とあります[3]。体を動かす武道では、ぎゅっと締めるより、動きに余裕を残す考え方が示されています。ただし、これは上衣のひもの説明で、袴のひもの強さは書かれていません。出世結びのひもを、どれくらいの強さで引くのかは、教わる先生に聞くのがいちばんです。

ところで、ひもを四つ折りにして何度もくぐらせる結び方は、袴の世界の標準なのでしょうか。男物の着付けを見ると、ちがう巻き方が出てきます。

弓道衣の着装資料によれば、着る順番は足袋、上衣、帯、袴の順で、袴は最後に着ける[3]。袴の紐を結ぶ作業が、着装の最終段階に置かれることになる。

同じ資料は、上衣の紐について「きつく縛らず、ゆとりを持って結ぶ」ことを述べている[3]。これは上衣の紐に限った指示であり、袴の紐の締め具合までは述べていない。したがって、出世結びの締める強さは、別の指導資料か実際の指導に当たる必要がある。

ところで、四つ折りの紐を何度もくぐらせる結び方は、袴全般の標準なのか。男物の着物に袴を合わせる着付けの解説を見ると、巻き方の発想がちがうことが分かる。

4. きものの 男の人の 袴はかまは、おなじ むすび方?

4. 男物の着付けでは、ひもを巻いて交差させる

4. 男物の着付けの袴:紐を巻き、余りを長さで管理する

男の人が きものに 袴はかまを つける ときの せつめいを 見ると、また ちがう やり方が 出て きます。

前の ひもを せなかがわに まわして、おびの ところで ×に かさねます。ひもを まいて いって、のこりが 25センチくらいに なるように します。うしろの ひもの 先は、おびの 内がわに さしこみます。さいごに ひもを ひっぱって しめ、あまった ひもは、むすびめの 中に とおして おさめます。

この 話では、四つに おる ことも、くぐらせる じゅんばんも 出て きません。おなじ 袴はかまの ひもでも、場面に よって、やり方が ちがうのです。

男物の着物に袴を合わせる着付けの解説では、前ひもを背中側に回し、角帯の位置で交差させます[2]。後ろ側の板(へら)は、帯の内側に差し込みます。へらがないときは、腰板を帯結びの上に乗せる、とも書かれています[2]。

そのあと、ひもを繰り返し巻いていって、余りが約25センチになるようにします[2]。ここで長さの目安があるのは、巻く回数でひもの余りを調節するためです。最後に、すべてのひもの下へ通した後ろひもを引っ張って締め、余ったひもは結び目の内側に通し、端を結び目の後ろ側に差し込んで仕上げます[2]。

剣道の出世結びと見比べると、紐を「四つ折りにして、互いの下をくぐらせる」手順は、この解説には出てきません。同じ袴でも、着る場面や、合わせる服によって、ひもの扱いがちがうのです。では、昔の袴では、ひもはどう使われていたのでしょう。

男物の着物に袴を合わせる着付けでは、前紐を背中側に回して角帯の位置で交差させる[2]。後ろ側の板(へら)は帯の内側に差し込み、へらがない場合は腰板を帯結びの上に乗せる[2]。帯と板で袴を固定したうえで、紐を巻く段階に入る。

巻く段階では、紐を繰り返し巻いて、余りが約25センチになるようにする[2]。この長さの指定は、巻く回数を調節して最後の処理に必要な余りを残すためと読める(この意図は資料に明記されておらず、筆者の読みである)。最後は、すべての紐の下へ通した後紐を引いて締め、余った紐を結び目の内側に通し、端を結び目の後ろ側に差し込んで仕上げる[2]。

出世結びとくらべると、前紐を四つ折りにする準備や、左右の後紐を互いの下へ通す最後の交換は、この解説には出てこない。したがって、「袴の紐の結び方」は一つに決まったものではなく、袴を着る目的と服装で変わる、と整理できる。では、さらに時代をさかのぼると、紐の役割はどう変わるのか。

5. むかしの 袴はかまは、ひもを どこに むすんだの?

5. 明治の刺貫袴は、ひもを足にくくった

5. 明治の刺貫袴と、袴の紐の役割のちがい

むかしの 袴はかまの ひもは、こしだけでは ありませんでした。めいじ38年に つくられた 「さしぬきばかま」という 袴はかまは、すその 口に ひもを とおして います。そして、そのひもを しぼって 足に くくりつけて、はいたそうです。

ひもを しぼると、すその ところが ふっくら ふくらみます。足に くくる ことで、かたちを きめて いたのですね。

めいじ40年に 出た 本には、うめむすび、花むすびなど、いろいろな ひもの むすび方も 出て います。むすび方は、一つだけでは なかったのです。

文化遺産オンラインに載る明治38年製の「刺貫袴」は、裾口に紐を通してあることからその名がついた袴で、紐をしぼって足にくくりつけて着ます[4]。ひもをしぼると、裾がふっくらします[4]。腰で固定するだけでなく、足元で形を整えるのにも、ひもが使われていたのです。

同じころの明治40年に出た『衣服裁縫図解』の附録には、「紐結び」として、梅結び、花結びなどが載っています[5]。ひもの結び方には、いくつもの型があったことが分かります。ただし、題名からは、それぞれが袴のどこに使われたかまでは読み取れません。

学校でも袴が着られていました。跡見女学校は、明治8年の開学当初から、宮中の緋袴を紫に改めた袴を生徒に着せていました。その袴は、マチのないスカート状の行燈袴でした[6]。

袴の紐は、腰を固定するだけではなかった。文化遺産オンラインが載せる明治38年製の「刺貫袴」は、裾口に紐を通してあることからこの名が付いた袴で、紐をしぼって足にくくりつけて着る[4]。紐をしぼると、裾がふっくらと広がる[4]。つまり、この袴では紐が、裾の形を整える役割を担っていた。

同じ時期の明治40年の『衣服裁縫図解』は、附録に「紐結び」として梅結びや花結びなどを挙げる[5]。紐の結び方に複数の型があったことは分かるが、題名から袴のどの部分にどの型を使ったかまでは分からない。

学校の袴にも触れておく。跡見女学校は、明治8年の開学当初から、宮中の緋袴を紫に改めた袴を生徒に着せ、採用された袴はマチのないスカート状の行燈袴だった[6]。この資料は袴の形を伝えるもので、行燈袴の紐の結び方は述べていない。

以上から、出世結びは「袴の紐の結び方」の一つであり、裾でくくる袴や帯の位置で交差させる着付けと並べると、使い分けが見えてくる。

6. ひもで ためして みよう

6. ひもを使って、最初のくぐらせ方を試す

6. 手で確かめ、原典に当たる

きょう できる こと

長い ひもか リボンを 三本 用意して みましょう。二本は、一本ずつ 四つに おります。その二本を ×の かたちに かさねたら、のこりの 一本の ひもを その 下に くぐらせて、上に 出して みます。くぐる とき、どちらに ひもが うごくのかを、ゆびで たしかめましょう。

しらべる とき

剣道けんどうや 弓道を している 人が まわりに いたら、袴はかまの ひもを むすぶ ところを 見せて もらいましょう。おとなの 人と いっしょに たのんで くださいね。

ひもでくぐらせ方を試す

長めのひもかリボンを三本用意して、そのうち二本をそれぞれ四つ折りにします。二本を×の形に重ね、残り一本のひもを、×の上から下へくぐらせて上に出してみましょう。どこで向きが変わるのかが、手でつかめます。

近くの人に聞く

剣道や弓道を習っている人がいたら、結ぶところを見せてもらいます。教わったとおりの順番と、この記事の順番が同じか、確かめてみましょう。ちがっていたら、それも手がかりです。流派や教え方で、細かな点がちがう可能性があるからです。

資料を読むなら

剣道教室のページ[1]は、手順を日本語で読めます。刺貫袴は文化遺産オンライン[4]で見られ、明治の紐結びの本は大学のデジタルライブラリー[5]で公開されています。

手順をひもで再現する

長めの紐かリボンを三本用意し、うち二本を四つ折りにして×の形に重ね、残りの一本をその上から下へくぐらせて上に出す。左右で繰り返し、最後に互いの下をくぐらせる。手順を文章で追うより、動きの順序が分かる。

この記事の限界

出世結びの手順は、剣道教室の一つのページ[1]に基づく。流派や指導者で細部が異なる可能性があるため、実際に習うときは、その場の指導に従う。名称の由来、四つ折りにする理由、行燈袴など女袴の紐の結び方は、手元の資料からは述べられない。

資料を読むなら

男物の着付けは京都の着物店の解説[2]、着る順番とゆとりは弓道衣の資料[3]、刺貫袴は文化遺産オンライン[4]、紐結びの図は『衣服裁縫図解』のデジタルライブラリー[5]、女学校の袴は跡見学園女子大学の記事[6]にある。同じ「袴の紐」が、道具・服・時代でどう変わるかを、自分で比べられる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文で使った資料です。

  1. 赤坂台剣道クラブ「豆知識:袴の畳み方と紐の結び方(出世結び)」. https://akasakadai-kendo.jpn.org/index_10.html (出世結びの手順)
  2. 京都きもの友禅「男物 着物の着付け方 着物・帯〜羽織〜袴」. https://www.kimono-kyoto.jp/wp/?p=669 (男物の袴の巻き方)
  3. 「弓道衣の着方について(女性・男性)」. https://www7b.biglobe.ne.jp/~akirunoshiyumi/shiryou-12dougityakusou.pdf (着る順番・上衣のひも)
  4. 文化遺産オンライン「裁縫雛形 刺貫袴」. https://api.online.bunka.go.jp/heritages/detail/185447 (裾口のひも)
  5. 『衣服裁縫図解』(椙山女学園大学デジタルライブラリー). https://zeami.ci.sugiyama-u.ac.jp/dl/IFukuSaihou/ (紐結びの附録)
  6. 跡見学園女子大学 弥生美術館『はいからモダン袴スタイル』の紹介. https://www.atomi.ac.jp/univ/museum/news/detail/17955/ (跡見女学校の袴)

なおした ところ

更新履歴

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