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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

あかちゃんの いる 家や ひなんじょに 来る 「ほけんしさん」は、どんな しごとを する 人なの?

赤ちゃんの家や避難所を訪ねる保健師は、どんな仕事をしているのか

保健師はなぜ病院より市区町村に多いのか:地域診断と予防という仕事

分野:からだ

ほけんしは、かんごしさんと おなじ しかくを もとに した 人です。それなのに、はたらいて いる 人の 半分より 多くは、病院では なく、市区町村に います。

病院に あまり いない ほけんしは、どこで 何を して いるのでしょう。この ページを 読むと、ほけんしが 町ぜんたいを 見て はたらく ことが わかります。

看護師の3人に2人ほどは病院で働いているのに、保健師で病院にいる人は、約16人に1人です。保健師の半分より多くは、市区町村で働いています[4]。

病院にいないなら、保健師は誰を相手に、何をしているのでしょうか。この記事を読むと、患者さんではなく町ぜんたいを見る仕事の中身と、赤ちゃんの家や災害の避難所まで出向く理由が分かります。

就業している保健師のうち、病院で働くのは6.3%にすぎず、半数を超える52.3%は市区町村で働く[4]。看護師は逆に、65.7%が病院で働いている。

病院にいない保健師は、誰を相手に何をしているのか。このメモを読むと、「地域診断」という考え方を軸に、乳児のいる家庭への訪問、感染症への対応、災害時の活動がどうつながっているか、人数の地域差や名称の変遷とあわせて分かる。

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1. ほけんしさんは、どこで はたらくの?

1. 保健師の半分より多くは、病院ではなく市区町村にいる

1. 保健師の52.3%は市区町村、病院は6.3%:看護師の資格が土台なのに逆になる

ほけんしは、かんごしさんと おなじ しかくを もとに した 人です[1]。それなのに、はたらいて いる 人の 半分より 多くが いるのは、市区町村です。町や 市や 区、村の 仕事を する ところの ことです。

病院で はたらく ほけんしは、16人に 1人ほど です[4]。かんごしさんは ぎゃくで、3人に 2人ほどが 病院で はたらいて います[4]。

病院に あまり いない ほけんしは、どこで 何を して いるのでしょう。

統計で見ると意外な働き場所

2024年末に働いていた保健師は、全国で63,536人でした。そのうち市区町村で働く人が33,217人(52.3%)と半分を超え、保健所が9,623人(15.1%)、事業所が5,045人(7.9%)、病院は3,987人(6.3%)です[4]。看護師は反対に、65.7%が病院で働いています[4]。

保健師になるには、保健師と看護師の国家試験の両方に合格して免許を受けると、法律に定められています[1]。看護師と同じく看護師免許が必要ですが、保健師は病院より市区町村で働く人が多くいます。ただし、学校養成所と研究機関を合わせた区分はありますが、学校で働く保健師だけの人数は分かりません。

治療ではなく「保健指導」

では、病院にいない保健師は何をしているのでしょうか。法律は、保健師を、免許を受けて「保健指導に従事する」人と定めています[1]。中心にあるのは治療ではなく指導で、その相手は、1人の患者さんとは限りません。

病院の白衣の看護師を思い浮かべて保健師を考えると、統計は意外に見える。令和6(2024)年末に就業していた保健師は63,536人で、内訳は市区町村が33,217人(52.3%)、保健所が9,623人(15.1%)、事業所が5,045人(7.9%)、病院が3,987人(6.3%)である[4]。看護師は、病院で働く人が65.7%を占める[4]。

保健師になるには、保健師国家試験と看護師国家試験の両方に合格して免許を受けると、保健師助産師看護師法に定められている[1]。つまり看護師と同じ資格を土台にしながら、働く場所は逆向きになる。割合は就業保健師全体に占めるもので、この区分には学校が独立して入っていないため、学校で働く保健師の数は読み取れない。

病院にいないとき、保健師は何をしているのか。同じ法律は、保健師を、免許を受け、保健師の名称を用いて「保健指導に従事することを業とする者」と定義する[1]。定義の中心にあるのは病気の治療ではなく保健指導であり、その指導が、1人の患者ではなく町ぜんたいに向かうところに、この仕事の特徴がある。町を相手にするとは、具体的にどういうことか。

2. さいしょに 見るのは、町

2. 保健師は、町全体の健康課題を調べる

2. 地域診断:診察室で待たず、暮らしの場へ出て町の課題を調べる

病院の お医者さんは、目の 前の 人の 体を 見ます。ほけんしが さいしょに 見るのは、町の ほうです[5]。

町の 人は、どんな ことで こまって いるのか。くらしは どうか。それを しらべて、町ぜんたいの 問題を 見つけます。これを「ちいきしんだん」と いいます[5]。

ひとりひとりの 問題だけでなく、町の 人に 同じように ある 問題を 見ます[5]。そのために、ほけんしは 自分から、町の 人の 家や 集まる ところへ 行きます[5]。

まって いるだけでは なく、でかけて いって しらべる 仕事です。では、どんな 家へ でかけるのでしょう。

「地域診断」という考え方

病院では、診る相手は目の前の患者さんです。保健師は、まず町のほうを調べます。2013年の厚生労働省の通知(のちに改正されています)は、保健活動の基本方向の最初に、住民の健康状態や生活環境を調べ、健康の問題を分析して、その地域で取り組むべき課題を明らかにすることを置いています。これを「地域診断」と呼びます[5]。

待たずに、出向く

通知は、1人ひとりの問題を解決するだけで終わらず、同じ地域の人に共通する健康課題を見ることを求めています。そのために、訪問指導、健康相談、健康教育などを通じて、積極的に地域へ出向き、暮らしの実態や、健康問題の背景にある要因をつかむことも挙げています[5]。診察室で待つのではなく、暮らしの場へ出て調べる姿勢です。

担当する地区を決めて責任をもつ「地区担当制」も、同じ通知にあります[5]。同じ人が同じ地区を受け持てば、暮らしの変化を続けて見られると考えられます。では、地域に出向くとは、どの家のどんな場面なのでしょうか。

病院では、診る相手は目の前の患者である。保健師が最初に診る相手は、町のほうだ。2013年の厚生労働省の通知(のちに改正されている)は、保健活動の基本方向の最初に、住民の健康状態や生活環境の実態を把握し、健康問題を構成する要素を分析して、地域で取り組むべき健康課題を明らかにすることを置き、これを「地域診断」と呼んでいる[5]。

通知が求めるのは、個々の住民の問題の解決で終わらず、集団に共通する地域の健康課題を見ることである[5]。そのために、訪問指導、健康相談、健康教育などを通じて積極的に地域へ出向き、地区活動で住民の生活の実態や、健康問題の背景にある要因を把握することも挙げられている[5]。診察室で待つのではなく、暮らしの場へ出て調べる姿勢である。

担当する地区を決めて責任をもつ地区担当制も、同じ通知に位置づけられている[5]。担当が決まっていれば、住民の暮らしの変化を続けて見やすくなる。では、地域に出向くとは、具体的にどの家のどんな場面か。母子保健を例にする。

3. 赤ちゃんの 家を たずねる

3. 元気な赤ちゃんの家にも、保健師は訪ねる

3. 乳児家庭全戸訪問:病気でない赤ちゃんの家にも出向く設計

たとえば、赤ちゃんが 生まれた 家です。「こんにちは赤ちゃん」と いう 取り組みでは、生まれて 4か月までの 赤ちゃんの いる 家を、1回 たずねます[7]。

赤ちゃんが 元気でも、たずねます。おとうさんや おかあさんの なやみを 聞いて、助けが ひつような ときは つなぎます[7]。

たずねるのは、ほけんしだけでは ありません。じょさんしさんや かんごしさん、子そだての けいけんが ある 人なども、たずねる ことが あります[7]。町の みんなで、赤ちゃんを 見まもる ようです。

1さい6か月と 3さいの ときの けんしんも、市区町村が ひらきます[6]。ほけんしは、市区町村だけでなく、ほけんじょにも います。

全部の家を、1回訪ねる

市区町村の保健師の仕事で分かりやすいのが、母子保健です。厚生労働省の資料によると、市区町村は、妊娠の届出から、赤ちゃんのいる家庭への訪問、乳幼児健診、予防接種までの流れを受け持ちます。1歳6か月の子と3歳の子の健康診査は、母子保健法第12条に基づきます[6]。窓口に保健師などを置いて妊婦や産後の人の相談に応じる子育て世代包括支援センターも、2017年4月に法律で位置づけられました[6]。

なかでも目を引くのが、乳児家庭全戸訪問事業、通称「こんにちは赤ちゃん事業」です。生後4か月までの赤ちゃんがいる家庭を、原則として1回訪ね、悩みを聞き、情報を伝え、必要な支援につなぎます[7]。病気の赤ちゃんに限らず、すべての家庭が対象です。

訪ねるのは保健師だけではない

資料では、訪問する人は、保健師、助産師、看護師のほか、母子保健推進員、児童委員、子育ての経験者などでもよいとされています[7]。地域の人も含めて、町で赤ちゃんを見守る形だといえます。

すべての家庭を訪ねることで、悩みを自分から言い出しにくい家庭にも声をかけられます。通知も、虐待など表に出にくい問題を早く見つけて関わること(予防的介入)を挙げています[5]。ただし、全戸訪問の目的がそれだけだと資料が述べているわけではありません。

赤ちゃんの家へ出向くのは市区町村の保健師ですが、同じ保健師でも、保健所にいる人の受け持ちはちがいます。

市区町村の保健師の仕事のなかで、地域に出向く姿がいちばん分かりやすいのは母子保健である。厚生労働省の資料によれば、市町村は、妊娠の届出から乳児家庭全戸訪問、乳幼児健診、予防接種までの流れを担い、1歳6か月児と3歳児の健康診査は母子保健法第12条に基づく[6]。窓口に保健師等を置いて妊産婦の相談に応じる子育て世代包括支援センターも、2017年4月施行で法定化された[6]。

とくに目を引くのが、乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)である。生後4か月までの乳児のいるすべての家庭を原則1回訪ね、悩みを聞き、情報提供や必要な支援につなぐ[7]。病気の赤ちゃんに限らず、「すべての家庭」が対象である点が、病院の外来との大きなちがいになる。

訪問者は保健師に限られない。資料では、保健師・助産師・看護師のほか、母子保健推進員、児童委員、子育て経験者などでもよいとされる[7]。保健師の専門性だけに頼らず、地域の人も含めて乳児家庭を見守る形といえる。

すべての家庭を訪ねることで、悩みを自分から言い出しにくい家庭にも声をかけられる。通知が、虐待など表に出にくい潜在的な問題への早期介入(予防的介入)を挙げているのとも、方向が重なる[5]。ただし、全戸訪問の目的がそれだけだと資料が述べているわけではない。こうして市区町村の保健師は暮らしの近くで動くが、同じ保健師でも、保健所にいる人は受け持つ範囲がちがう。

4. 町と ほけんじょで、仕事が ちがう

4. 市区町村と保健所では、保健師の受け持ちがちがう

4. 市町村と保健所の役割分担:感染症対応で増えた仕事

市区町村の ほけんしは、町の 人の みぢかな けんこうの ことを 受け もちます[5]。

ほけんじょの ほけんしは、もっと 広い はんいで、むずかしい 仕事を します。うつる びょうきや、なおりにくい びょうきなどです[5]。

コロナの びょうきが ひろがった とき、ほけんじょの 仕事は きゅうに 多く なりました[8]。そこで 国は、ほけんしを コロナの 前の 1.5ばいに ふやす ための、おかねの しくみを つくりました[8]。ただし 1.5ばいは「ふやす ための しくみ」の もくひょうで、ほんとうに ふえた 数では ありません。

ふだんは 町の くらしの 中で、いざと いう ときは 広く 動く。どちらも、びょうきを ふせぐ ための 仕事です。じしんや 大雨など、さいがいの ときも、ほけんしの 出番です。

身近な健康は市区町村、広い範囲の専門的な対応は保健所

2013年の通知は、役割を分けています。市町村の保健師は、住民の身近な健康問題を受け持ち、健康増進、高齢者、母子保健、児童福祉、精神保健、障害福祉などの分野で、保健サービスを計画し、提供し、評価します。都道府県の保健所の保健師は、結核や感染症、難病、精神保健、自殺予防、災害を含む健康危機など、広い範囲の専門的な対応を担います[5]。

新型コロナで増えた仕事

この広い範囲の役割が目に見えたのが、新型コロナの流行です。保健所では、感染が広がらないように、感染した人の周りの状況を調べる積極的疫学調査などの仕事が急に増えました[8]。そこで国は、感染症に対応する保健師の恒常的な体制を、コロナ前の1.5倍に増やすための地方財政措置を取りました。保健師などの応援の仕組みIHEAT(2022年3月末で登録者約3,500人以上)も整えられました[8]。ただし1.5倍は、増員のための措置の目標であり、実際に増えた人数を示す数字ではありません。

ふだんは町の暮らしのなかで健康づくりを進め、感染症のような非常時には広い範囲で動く。同じ「予防」でも、平常時から非常時までつながっています。非常時といえば、災害もあります。

2013年の通知は、市町村と保健所で役割を分けている。市町村に所属する保健師は、住民の身近な健康問題に取り組み、健康増進、高齢者医療福祉、母子保健、児童福祉、精神保健福祉、障害福祉などの分野で、保健サービスを企画・立案し、提供し、評価する。これに対して都道府県の保健所の保健師は、結核・感染症、難病、精神保健、自殺予防、災害を含む健康危機など、広域的で専門的な対応を担う[5]。

この広域的・専門的な役割が目に見えたのが、新型コロナの流行である。保健所では、感染拡大を防ぐために、感染者の周辺の状況を調べる積極的疫学調査などの業務が急増した[8]。そこで国は、感染症対応にあたる保健師の恒常的な人員体制をコロナ禍前の1.5倍に増員するための地方財政措置を講じ、保健師等の応援の仕組みIHEAT(令和4年3月末で登録者約3,500人以上)も整えた[8]。ただし1.5倍は、増員を目指して講じた措置の目標であり、実際に増えた人数を示す数字ではない。

ふだんは町の暮らしのなかで健康づくりを進め、感染症のような非常時には広域で動く。同じ予防でも、平常時から非常時までが一続きになっている。非常時といえば、災害もある。

5. さいがいの あとの ひなんじょで

5. 災害のあとの避難所で、保健師は何を防ぐのか

5. 災害時の保健活動:二次的な健康被害を先に防ぐ

さいがいの あとの ひなんじょでは、たくさんの 人が いっしょに くらします。そこで、びょうきが うつったり、体を 動かさなくて 体力が 落ちたり する ことが あります[8]。

ほけんしは、そう なる 前に ふせぎます。ひなんじょに いない、家で くらす 人の ところにも 行きます。心の ケアも します[8]。

町の ほけんしだけで たりない ときは、国が、ぜんこくの ほけんしの おうえんを まとめて くれます[8]。

こうした 仕事を する ほけんしは、ぜんこくで 何人 いて、どこに 多いのでしょう。

病気になる前に防ぐ

災害のあとの避難所では、健康をそこなう原因が、病気やけがだけではなくなります。厚生労働省の資料は、保健師の活動として、避難所での感染症、深部静脈血栓症、生活不活発病などの二次的な健康被害の予防、在宅の被災者への健康支援、心のケアを挙げています[8]。深部静脈血栓症は脚の血管に血のかたまりができる病気、生活不活発病は体を動かさない状態が続いて心身の働きが落ちることです。

全国から集まる応援

被害が大きい災害では、被災した県の要請を受けて、厚生労働省が全国の保健師の応援を調整します[8]。自分の町の保健師だけで足りないときに、全国から保健師が集まる仕組みがあるということです。

ここでも、中心にある考え方は同じです。起きた被害を治すだけでなく、これから起こりうる二次的な健康被害を先に防ぐ。ふだんの地域診断と、災害時の避難所での活動は、予防という一本の線でつながっています。こうした仕事を担う保健師は、全国にどれくらいいて、どこに多いのでしょうか。

災害のあとの避難所では、健康をそこなう原因が、病気やけがだけではなくなる。厚生労働省の資料は、保健師の活動として、避難所での感染症、深部静脈血栓症、生活不活発病などの二次的な健康被害の予防、在宅の被災者への健康支援、心のケアを挙げる[8]。深部静脈血栓症は脚の血管に血のかたまりができる病気、生活不活発病は体を動かさない状態が続いて心身の働きが落ちることを指す。

大規模災害では、被災した都道府県の要請を受け、厚生労働省が全国の保健師の応援を調整する[8]。自分の町の保健師だけで足りないとき、全国から保健師が集まる仕組みがある、ということだ。

ここでも、中心にある考え方は変わらない。起きた被害を治すだけでなく、これから起こりうる二次的な健康被害を先に防ぐ。ふだんの地域診断と、災害時の避難所での活動は、予防という一本の線でつながっている。では、こうした仕事を担う保健師は、全国にどれくらいいて、どこに多いのか。

6. ほけんしの 数は、県で 3ばい ちがう

6. 保健師の数は、都道府県で約3倍ちがう

6. 人口10万人あたり98.6人と33.4人:島根県と神奈川県の約3倍の差

2024年の 終わりに はたらいて いた ほけんしは、6万3千人あまりです[4]。2年 前より、3千人ほど ふえました[4]。

でも、人口に たいする 数は、ところに よって ちがいます[4]。人口10万人 あたりで 見ると、島根県は 98.6人です。神奈川県かながわけんは 33.4人です[4]。

つまり、3ばい ほどの ちがいです。98.6を 33.4で わると、およそ 3に なります。

なぜ ちがうのかは、この しりょうには 書いて ありません。ところで、この 仕事の 名前は、むかしは ちがいました。

全国で63,536人、増えている

2024年末の就業保健師63,536人は、2022年より3,237人(5.4%)増えました[4]。ただし、人口に対する数は、都道府県で大きくちがいます。

島根県と神奈川県のくらべ

人口10万人あたりの就業保健師数は、島根県が98.6で最も多く、長野県98.1、高知県89.9と続きます。少ないのは神奈川県33.4、大阪府33.9、埼玉県34.7です[4]。島根県と神奈川県を比べると、98.6÷33.4でおよそ2.95、約3倍の差です。

10万人を保健師の数で割ると、島根県は保健師1人あたり約1,000人、神奈川県は約3,000人です。ただし、これは病院や企業などで働く保健師も含めた、見かけの数です。

この差が生まれた理由は、参照した統計には書かれていません。同じ制度でも、町によって保健師の数が大きくちがうことまでが、この資料から言えることです。ところで、この仕事の名前は、昔は今とはちがっていました。

令和6年末の就業保健師63,536人は、男性2,076人、女性61,460人で、令和4年より3,237人(5.4%)増えている[4]。年齢で最も多いのは40〜44歳(8,754人、13.8%)、雇用形態は正規雇用が80.9%(51,413人)である[4]。

ただし、人口に対する数は都道府県で大きく異なる。人口10万人あたりの就業保健師数は、島根県が98.6で最も多く、長野県98.1、高知県89.9と続く。少ないのは神奈川県33.4、大阪府33.9、埼玉県34.7である[4]。最多の島根県と最少の神奈川県を比べると、98.6÷33.4で約2.95倍、およそ3倍になる。

10万人をこの数で割ると、島根県は保健師1人あたり約1,000人、神奈川県は約3,000人になる。ただし就業保健師の全体を人口で割った見かけの数で、病院や企業で働く人も含むため、地域の住民を1人の保健師が実際に受け持つ人数を示すものではない。

この差が生まれた理由は、参照した統計に書かれていない。この統計だけでは、都道府県の差が生まれた理由までは分からない。言えるのは、同じ制度でも、都道府県によって保健師の数が大きく異なるという事実である。ところで、この仕事の名前は、今の「保健師」になるまでに何度か変わってきた。

7. 名前が かわった

7. 「保健婦」から「保健師」へ、名前が変わった

7. 1937年の保健婦から2002年の保健師へ:名称と免許の範囲の変遷

むかしの 名前は、「ほけんふ」でした。1937ねんの ほうりつで、ほけんじょで はたらく 人として 書かれました[3]。1948ねんの ほうりつでは、女の 人の しかくと 決まりました[3]。

1993ねんに、男の 人も なれる ように なりました。1994ねんの 3月に、さいしょの 男の 人の ほけんしが うまれました[2]。

2002ねんの 3月からは、男の 人も 女の 人も、「ほけんし」と いう 名前に そろいました[2]。

ほけんしに なる ためには、ほけんしの しけんと、かんごしの しけんの りょうほうに うからないと いけません[1]。

女子の資格から、男女の資格へ

前身の「保健婦」は、1937年の保健所法で、保健所の職員として位置づけられました[3]。1948年の保健婦助産婦看護婦法では、「保健指導に従事する女子」と定められました[3]。

1993年の法改正で、男性にも免許が認められ、1994年3月の国家試験で、最初の男性の保健師(当時の名称は「保健士」)が誕生しました[2]。2001年の改正(2002年3月施行)で、呼び名は男女とも「保健師」に統一されました[2]。

いま働く保健師のうち、男性は2,076人で、全体の約3.3%です[4]。名前が変わるたびに、資格を取れる人の範囲が広がってきたといえます。では、自分の町では、この仕事はどんな形で見えるでしょうか。

保健師の前身の名称「保健婦」は、1937年の保健所法で、保健所職員として位置づけられた[3]。1948年の保健婦助産婦看護婦法では「保健指導に従事する女子」と定義され、女性の資格になった[3]。

1993年の法改正で男性にも免許が認められ、1994年3月の国家試験で最初の「保健士」(男性)が誕生した[2]。さらに2001年の改正(2002年3月施行)で、呼び名は男女とも「保健師」に統一された[2]。現在の就業保健師のうち男性は2,076人で、全体の約3.3%(2,076÷63,536)にあたる[4]。名称の変遷は、免許を受けられる人の範囲が女性から男女へ広がった過程と重なる。

この名称の変遷は、法律の改正が重なった結果であり、変更の理由までは、参照した資料に書かれていない。では、自分の町では、この仕事はどんな形で見えるか。

8. 自分の 町の おしらせを 見て みよう

8. 自分の町のお知らせから、保健師の仕事を探す

8. 自分の町の保健活動を、広報と公式資料で確かめる

町の「こうほう」や、市区町村の ホームページには、赤ちゃんの けんしんや、けんこうの 教室の おしらせが のって いる ことが あります。おうちの 人と いっしょに 見て みましょう。

おしらせを 見て、「びょうきに なる 前に する こと」と「こまった ときに そうだん できる こと」を さがして みます。「なる 前に する こと」が、「ふせぐ 仕事」の ヒントです。

すんでいる けんの 数を、おとなの 人と いっしょに 見つけてみましょう。

広報やホームページで探す

保健師の仕事は、地域診断や予防のように、見えにくい形で町に出ています。手がかりになるのは、市区町村の広報紙やホームページにのる、健診、教室、訪問、相談のお知らせです。

乳幼児健診、予防接種、健康相談、高齢者の教室などの案内のうち、どれが「病気になってから」ではなく「なる前」に向けたものかを、家の人と分けて読んでみてください。保健活動の予防の考え方が、見えてきます。

数字と原典を確かめる

原典は、厚生労働省の通知「地域における保健師の保健活動について」(健発0419第1号、2013年4月19日)と、令和6年衛生行政報告例です[5][4]。自分の県の人口10万人あたりの保健師数が、98.6と33.4のどのあたりにあるか、報告例の図で探せます。

保健師の仕事は、地域診断や予防のように、見えにくい形で町に出ている。手がかりになるのは、市区町村の広報紙やホームページに載る、健診・教室・訪問・相談のお知らせである。乳幼児健診、予防接種、健康相談、高齢者の教室などの案内のうち、どれが「病気になってから」ではなく「なる前」を狙ったものかを分けて読むと、保健活動の予防の考え方が見えてくる。

原典は、厚生労働省の通知「地域における保健師の保健活動について」(健発0419第1号、平成25年4月19日)[5]と、令和6年衛生行政報告例[4]である。人数の地域差は、報告例の図と表で、都道府県別に確かめられる。自分の県が98.6と33.4のあいだのどこにあるかを探すと、数字の意味が身近になる。法律の定義は、保健師助産師看護師法の第2条と第7条にある[1]。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文は、ここにある資料の内容を、自分の言葉で言いかえたものです。人数・割合は2024年末のものです。

  1. 保健師助産師看護師法(日本法令外国語訳データベース) https://www.japaneselawtranslation.go.jp/en/laws/view/3993/ja (保健師の定義、免許の条件)
  2. コトバンク「保健師」「保健婦」 https://kotobank.jp/word/%E4%BF%9D%E5%81%A5%E5%B8%AB (男性への免許、名称の統一。事典の記述のため二次資料)
  3. 全国市町村保健活動協議会「保健師活動の歴史と国保保健師」(2009年) https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/04/dl/s0430-5d.pdf (1937年・1948年の名称の年表)
  4. 厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/24/dl/gaikyo.pdf (人数、働く場所、都道府県別の数)
  5. 厚生労働省「地域における保健師の保健活動について」(健発0419第1号、平成25年4月19日) https://www.mhlw.go.jp/content/12205250/001129302.pdf (地域診断、地区担当制、市町村と保健所の役割。2013年の通知の内容で、のちに改正されている)
  6. 厚生労働省 母子保健課「最近の母子保健行政の動向」(令和3年3月) https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000765911.pdf (乳幼児健診、子育て世代包括支援センター)
  7. 厚生労働省「乳児家庭全戸訪問事業」の資料(WAM掲載) https://www.wam.go.jp/gyoseiShiryou-files/documents/2007/18000/20070227_1tsuika2_2.pdf (訪問の対象と訪問する人)
  8. 厚生労働省 健康課「健康危機管理体制と災害時の保健活動の動向」(令和4年11月) https://www.mhlw.go.jp/content/11907000/001004719.pdf (災害時の活動、新型コロナ時の体制)

なおした ところ

更新履歴

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