1. 12月の しょうなのに、どうして 10月で しめきるの?
1. 12月に発表するのに、候補はなぜ秋に集めるのか
1. 発表は12月初め、募集は10月 ── 締め切りが生む時間差
はやりことばの しょうは、12月の はじめに はっぴょうされます[1]。でも こうほの ことばを あつめるのは、れいねん 10月ごろです。よみ手に メールで たずねます[3]。
だから 10月より あとに はやった ことばは、ふつう こうほに ならないと いわれます[4]。
たとえば 学校の しゅくだいで、先に あつめた ものだけを 見て、まとめる ような ものです。あとから ふえた ものは、まとめに 入りません。
では、あつまった ことばは、ぜんぶ こうほに なるのでしょうか。
2. たくさんの ことばは、どう 30に へるの?
2. 約250語は、どうやって30語に絞られたのか
2. 絞り込みの段階 ── アンケート約250語から62語、そして30語へ
ある年は、よみ手から やく 250の ことばが あつまりました[3]。へんしゅうぶが それを 62に へらし、さいごに 30の ことばが こうほに なりました[3]。
こまかい あなの ある「ふるい」を 思いうかべて ください。おおきな ものから、1ども、2どと ふるいに かけて いくと、のこる ものは すこしに なります。
30を 250で わると、0.12ぐらいです。やく 8つに 1つが、のこった ことに なります。
ただし ほんとうは、ふるいの あなの 大きさで きまるのでは ありません。人が 話しあって えらびます。それに この数は、その年だけの れいです。まい年 おなじとは かぎりません[3]。
ふるいを何度もかける
ある年の例では、アンケートで約250語が集まり、編集部が62語に絞り、最終的に30語がノミネートされました[3]。もちろん、この数字はその年だけのもので、毎年同じではありません。
数を計算すると、62語は約250語の4分の1ほど(62÷250で約25%)です。30語は250語の約12%で、約8語に1語しか残りません。62語から30語への段階では、約半分(30÷62で約48%)が残り、約52%が落ちています。
ことばの出どころも、アンケートだけではありません。ノミネート語は、辞典『現代用語の基礎知識』に収録された用語をベースに、出版社の自由国民社と大賞事務局が選びます[1]。2025年のノミネートも、『現代用語の基礎知識2026』に載った新語や話題のことばから、選考を重ねて選ばれた30語でした[2]。
予選・準決勝・決勝のような段階を思い浮かべると近いですが、ふるいに数字だけでなく、人の判断が入る点が違います。30語が決まったあと、最後は誰がどう選ぶのでしょうか。
候補はどう絞られるのか。ある年の例では、アンケートで約250語が集まり、編集部が62語に絞り、最終的に30語がノミネートされた[3]。62÷250は約25%、30÷250は約12%(約8語に1語)、30÷62は約48%で、62語のうち約半分が残り、約52%が落ちたことになる。これは特定の年の例で、毎年同じ数ではない。
2015年の記事では、読者投票の上位100語から候補50語を選び、委員は7人とされた[4]。当時は100語から50語で半分に絞る形だったことになる。ただし2015年の100語は「投票の上位」、先の250語は「集まった語」で、母集団の数え方が違う可能性があり、割合を単純には比べられない。
出どころの面でも、アンケートだけではない。公式ページによれば、ノミネート語は『現代用語の基礎知識』収録の用語をベースに、自由国民社と大賞事務局が選出する[1]。2025年の30語も、『現代用語の基礎知識2026』に掲載された語や話題のことばから選考を重ねたものだ[2]。つまり、読者の声と、辞典の編集という2つの道が重なっている。
では、30語が出そろったあと、トップテンと年間大賞はどう決まるのか。
3. たくさん 人が えらんだ ことばが 大賞なの?
3. 票がいちばん多いことばが、大賞になるとは限らない
3. 読者投票は「参考」── 6人の選考委員が見るもの
30の ことばから、トップテンと 大賞を えらぶのは、せんこう 委員会です[1]。2025年は、6人でした[1]。
よみ手が 入れた 数は、さんこうに されます。でも、さいごは 委員の人が、それぞれの 考えで えらびます[3]。大切に されるのは、その年を あらわす ことばか どうか、です[3]。
委員には、こうだんしや、まんがか、おわらいげいにん、はいゆう、じてんの へんしゅう長が います[1]。しごとも 考えかたも ちがう 人が、ひとつの ことばを 見ます。
では、「その年を あらわす」とは、どういう ことでしょう。
最後は委員の見識
トップテンと年間大賞を選ぶのは、選考委員会です[1]。報道によると、読者投票の票数は参考にしつつ、委員が各自の方針と見識で選ぶとされ、その年を象徴することばかどうかが重視されます[3]。「票が多かったことば」が、そのまま大賞になるわけではありません。
2025年の委員6人
2025年の委員は、講談師の神田伯山さん、漫画家でコラムニストの辛酸なめ子さん、お笑い芸人のパトリック・ハーランさん、俳優でエッセイストの室井滋さん、漫画家のやくみつるさん、『現代用語の基礎知識』編集長の大塚陽子さんです[1]。ことばを話す人、描く人、書く人、集める人が顔をそろえています。
「その年を象徴する」とはどういうことなのか。賞の趣旨に戻って、確かめてみましょう。
トップテンと年間大賞を選ぶのは選考委員会である[1]。日刊ゲンダイの取材記事は、読者投票の票数を参考にしつつ、委員が各自の方針と見識で選ぶこと、その年を象徴することばかどうかが重視されることを伝える[3]。したがって「票数で決まる」と読むのは正確でない。ただし、この点は報道による説明で、公式ページには同じ記述が見当たらない。
2025年の委員は、神田伯山(講談師)、辛酸なめ子(漫画家・コラムニスト)、パトリック・ハーラン(お笑い芸人)、室井滋(俳優・エッセイスト)、やくみつる(漫画家)、大塚陽子(『現代用語の基礎知識』編集長)の6人である[1]。仕事は、言葉を語る・描く・書く・集めるとさまざまだ。
では「象徴する」の基準は何か。賞の趣旨を確かめる。
4. 「その年を あらわす ことば」って、どんな ことば?
4. 「世相を衝いた」ことばには、どんな形があるのか
4. 賞の趣旨と2025年の受賞語 ── 「世相を衝いた表現」は何を指すか
しょうの めあては、「世の中の ようすを かるく うまく あらわして、たくさんの 人の 目や 口や 耳を にぎわせた ことば」を えらぶ ことです[1]。1984年に はじまりました[1]。
2025年の 大賞は、「はたらいて はたらいて はたらいて はたらいて はたらいて まいります/じょせい しゅしょう」でした[1]。トップテンには、「エッホエッホ」や「ミャクミャク」も 入りました[1]。
この 3つを 見ると、おなじ 音を くりかえす ことばが 多いです。くちに 出すと、きもちが いい ことばです。
ただし これは、わたしたちが ならべて 気づいた ことです。委員が そう えらんだ わけでは ありません。
賞が選ぼうとしているもの
公式ページによると、賞の趣旨は、「軽妙に世相を衝いた表現とニュアンスをもって、広く大衆の目・口・耳をにぎわせた新語・流行語」を選び、関係者を顕彰することです[1]。賞は1984年に創設されました[1]。「世相」は、その時代の世の中のようすという意味です。
2025年のことばを並べてみる
第42回(2025年)の年間大賞は、「働いて働いて働いて働いて働いてまいります/女性首相」でした[1]。トップテンには、「エッホエッホ」「オールドメディア」「ミャクミャク」などが入りました[1]。
ことばだけを並べると、同じ音を繰り返すものが3つ見えます(大賞の「働いて」、「エッホエッホ」、「ミャクミャク」)。声に出すとリズムが良く、耳に残りやすいことばです。ただしこれは、並べた筆者の気づきで、委員が選んだ理由として資料に書かれているわけではありません。
ことばの意味や、それを使った人の評価には踏み込まず、ここでは「どんな形のことばが選ばれたか」だけを見ています。賞のしくみは、いつからこの形なのでしょうか。
公式ページは、賞の趣旨を「軽妙に世相を衝いた表現とニュアンスをもって、広く大衆の目・口・耳をにぎわせた新語・流行語」を選び、関係者を顕彰することと説明する[1]。創設は1984年である[1]。「世相を衝く」とは、世の中の動きを的確に突く、といった意味合いだ。
第42回(2025年)の年間大賞は「働いて働いて働いて働いて働いてまいります/女性首相」で、トップテンには「エッホエッホ」「オールドメディア」「ミャクミャク」などが入った[1]。発言の内容や人物の評価は、この記事の関心外であり、扱わない。
形に注目すると、大賞の「働いて」、「エッホエッホ」、「ミャクミャク」は、同じ音や語の繰り返しを含む。並べてみると、同じ音や語を繰り返す形が目につく。声に出すとリズムがあり、耳に残るように感じる。これは筆者の観察で、選考理由として資料に書かれているわけではない。
では、この形の賞は、最初から同じだったのだろうか。
5. しょうの しくみは、ずっと おなじ だったの?
5. 賞の形は、40年以上のあいだに変わってきた
5. 賞の方式は、部門や候補数、委員の数とともに変わってきた
はじめは、ちがう かたちでした。1984年の 1回めは、「新語」と「流行語」の 2つに わかれて いたと、ウィキペディアに 書いて あります[5]。
おなじ ウィキペディアに よると、1991年に 年間大賞が できました[5]。1994年ごろ、2つの ぶもんは ひとつに まとまり、トップテンの かたちに なりました[5]。
こうほの 数や 委員の 人数も、かわって きました。2015年の ころは 50ご、委員は 7人だった という 記事が あります[4]。いまは 30ご、6人です。
ことばも しょうも、年と ともに かわって いきます。
新語部門と流行語部門に分かれていた時代
第1回(1984年)は、新語部門と流行語部門に分かれていたとされます。新語部門の金賞は「オシンドローム」、流行語部門の金賞は「○金(まるきん)・○ビ(まるび)」と、ウィキペディアは記します[5]。この記録は二次資料によるものなので、補足として読んでください。
年間大賞とトップテンの登場
ウィキペディアによると、年間大賞は1991年に新設され、初回はチャーリー浜さんの「…じゃあ〜りませんか」でした[5]。授賞が「トップテン=大賞」の方式になったのは第11回(1994年)からだと、自由国民社は記しています[5]。2004年にはユーキャンが特別協賛になり、2025年からはT&D保険グループに変わりました[5]。
数も変わってきた
2015年の記事では、読者アンケートの上位100語から候補50語、委員は7人とされています[4]。今は候補30語、委員6人です[1]。変わった年は特定できません。年が移るとともに、賞も形を変えながら続いてきた、というところまでが言えそうです。
第1回(1984年)は新語部門と流行語部門に分かれ、新語部門の金賞が「オシンドローム」、流行語部門の金賞が「○金(まるきん)・○ビ(まるび)」とされる[5]。この記録は二次資料に基づくので、補足にとどめる。
ウィキペディアによると、1991年に年間大賞が新設され、初回はチャーリー浜の「…じゃあ〜りませんか」だった[5]。授賞が「トップテン=大賞」の方式になったのは第11回(1994年)からだと、自由国民社は記している[5]。第1回が1984年なので、第11回は1994年で、年数も合う。
協賛は、2004年にユーキャンが特別協賛となり、2025年にT&D保険グループへ移った[5]。ノミネートの規模も、2015年の記事では「上位100語から候補50語、委員7人」[4]、2025年は候補30語、委員6人[1]と違う。ただし、数が変わった年は資料から特定できない。
この賞が実際に見ているのは秋までの流行、集め方はアンケートと辞典の二本立て、最終判断は委員、という手順をもつ。「流行の大きさ」と「賞に選ばれること」は同じではない、というのがこの記事の読み取りである。
自分の はやりことばを、日づけつきで 書いてみよう
身のまわりの流行語を日づけつきでメモすると、候補と見くらべられる
自分の観察と公式のノミネートを、同じ基準でくらべる
学校や 家で 聞いた「はやって いるな」と 思う ことばを、日づけを 書いて ノートに ためて みましょう。人を わるく いう ことばは 書きません。
はっぴょうが あったら、じぶんの ノートと 見くらべます。同じ ことばが いくつ あったか、かぞえて みましょう。
10月より あとに 書いた ことばは、いくつ ありましたか。
学校や家、動画などで「最近よく聞くな」と思ったことばを、聞いた日づけといっしょにノートに書きためてみましょう。人を傷つけることばは書きません。
ノミネートが発表されたら、公式ページ[1]の30語と自分のノートを見くらべます。重なったことばは何語か。自分のノートのうち、10月以降に書いたことばは何語か。数えれば、割合も出せます。
自分のノートにあって候補にないことばがあったら、それは流行の大きさでなく、集める時期や集め方のちがいかもしれません。あなたのノートの1語は、委員の目にどう映るでしょうか。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
出典について:賞の主催側の公式ページ、プレスリリース、取材記事、ウィキペディアを使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。
- 自由国民社『現代用語の基礎知識』選 新語・流行語大賞について。https://www.jiyu.co.jp/singo/ (賞の趣旨、ノミネートと選考の仕組み、2025年の委員・受賞語、現在の候補数について)
- 財経新聞(自由国民社プレスリリース)。https://www.zaikei.co.jp/releases/3169211/ (2025年のノミネート30語と発表日について)
- 日刊ゲンダイ「選考過程を聞いた『流行語大賞』どうやって決まるのか」。https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/194345 (アンケートの時期と、候補の絞り込み、票数の位置づけについて。報道)
- 週刊現代系 jprime(2015年)。https://www.jprime.jp/articles/-/6505 (10月以降のことばの扱いと、2015年当時の候補数・委員数について。報道)
- ウィキペディア「新語・流行語大賞」。https://ja.wikipedia.org/wiki/新語・流行語大賞 (第1回の部門、年間大賞の新設、協賛の変遷について。二次資料)
なおした ところ
更新履歴
更新履歴(改版の記録)
- 初版を公開。
このサイトでは、公開した記事の本文は原則として書き直しません。誤りが見つかったときや、内容が古くなったときだけ手を入れ、その理由をこの欄に残します。