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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

こおりに 塩しおを かけると、どうして アイスが できるの?

氷に塩をかけると、氷より冷たくなってアイスクリームができるのはなぜ?

氷に食塩を混ぜると0℃より冷たい塩水ができる:アイスクリームが固まる理由と、冷え方の限界

分野:技術

こおりに 塩しおを かけると、こおりは とけるのに、もっと つめたく なります。とけて いるのに ひえる、ふしぎな はなしです。こおりは とけながら まわりの ねつを うばい、0度より つめたい 塩しおみずが できます。

この メモを よむと、とける ときに ねつを うばう ことが アイスを つくる ひみつだと わかります。どこまで つめたく なるかも わかります。

氷に塩をかけると、氷は溶けはじめます。ところが、溶けているのに温度は下がり、0℃より冷たい塩水ができます。氷だけでは作れない冷たさを、氷を溶かすことで作る、というのが氷と塩の使い方です。氷は溶けながら周りの熱を奪い、0℃より冷たい塩水ができます。

なぜ溶けると冷えるのでしょうか。この記事を読むと、アイスクリームが固まるしくみと、理論上は約-21℃で冷え方が止まること、昔の人がどんなふうに氷と塩でアイスを作ったかが分かります。

0℃の氷より冷たいものを作るには、氷を溶かせばよい。氷に食塩を混ぜると、氷は溶けながら周りの熱を奪い、0℃より低い塩水ができる。冷え方には限りがあり、理論上は約-21℃で止まる。

溶けることが、なぜ冷却になるのか。塩を増やせば無限に下がるわけではないのはなぜか。この記事を読むと、融解熱と凝固点降下の組み合わせで冷たさが生まれる道すじと、その限界が、どう決まるのかが分かる。

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1. こおりは、とけると どうして ひえるの?

1. 氷が溶けると、どうして周りが冷えるのか

1. 氷を溶かすと、どうして周りの温度が下がるのか

こおりは、とける ときに、まわりから ねつを もらいます。ねつを うばわれた まわりは、つめたく なります。

ふつうの こおりは、0度に なると、ゆっくり とけます。ここに 塩しおを かけると、0度でも どんどん とけます。塩しおが、こおりの とける 温度を ひくく するからです。

とけるたびに ねつを うばうので、塩しおみずは 0度より つめたく なります。この つめたい 塩しおみずで、アイスの もとを まわりから ひやすのです。

たとえば、あついスープに つめたい スプーンを いれると、スプーンが あたたまって、スープは すこし さめます。スプーンが ねつを もらった ぶんだけ、スープから ねつが へるからです。こおりが とける ときは、もっと たくさんの ねつを もらいます。

氷が水に変わるとき、氷は周りから熱を吸います。この熱を融解熱といいます。氷が溶けている間は、吸った熱が「形を変えること」に使われるので、氷の温度そのものは上がりません[4]。熱を取られた周りのほうは、温度が下がります。

ふつうの氷は0℃だと、ゆっくりしか溶けません。そこに塩をかけると、氷に触れた部分の凝固点(水が凍る温度)が下がります。温度はそのままでも氷が溶けつづけ、0℃より冷たい塩水ができる、と説明されています[3]。

溶けるたびに熱が奪われるので、塩水はどんどん冷えます。この冷たい塩水と氷の中にクリームを入れると、クリームの熱が塩水に移って、アイスクリームが固まっていきます。氷だけだと0℃までなのに、氷を「溶かす」ことで、それより下を作る。これが、題名の問いへの答えの要点です。

氷が溶けるときに奪う熱の大きさは、氷1kgで約334kJ(0℃のとき)です[4]。温度が変わらないまま、これだけの熱を吸ってくれるので、冷やす道具として頼りになります。

氷が融解するとき、氷は周囲から融解熱を吸収する。0℃の氷1kgが溶ける間には約333.55kJの熱を吸収し、その間、氷自体の温度は変化しない[4]。吸収された熱は温度の上昇ではなく、氷が水へと形を変えるために使われる。熱を奪われた周囲の物質は、そのぶん温度が下がる。

ただし、純粋な氷は0℃でゆっくりしか溶けず、0℃より冷たいものは作れない。そこで食塩を加える。塩は、氷に接した部分の水の凝固点を下げる。そのため、温度が0℃以下のままでも氷は溶けつづけ、0℃より冷たい塩水ができる[3]。

つまり、冷たさの正体は「塩が氷を溶かしつづけ、融解熱を周囲から奪いつづける」ことである。氷が溶けるほど温度が下がり、氷とクリームの間で熱が移って、クリームが固まる。寒剤の説明でも、氷が融解熱を、食塩が溶解熱を吸収して温度が下がるとされる[1]。

では、このしくみで、どこまで冷たくできるのだろうか。

2. しおを たくさん いれたら、どこまで ひえるの?

2. 塩を増やしていくと、どこまで冷えるのか

2. 塩をどれだけ増やしても、-21℃付近で冷え方が止まるのはなぜか

こおりと 塩しおを まぜて ひやす とき、かんがえの上で いちばん ひくい 温度は、-21度ぐらいです。

塩しおを ふやしても、ずっと ひえる わけでは ありません。-21度に なると、こおりと 塩しおの つぶが まじった ものに なって、こおりと 塩しおでは そこから さがらなく なります。

おうちで やると、よく まぜないと、これより すこし たかい 温度で とまると いわれます。

氷と食塩の混合物は、約-21℃まで下がるといわれます[1]。食塩水の凍る温度(共融点)は約-21.1℃で、このとき塩水の濃さは質量で23.3%です。この温度では、氷と塩の結晶の混ざったものになります[2]。氷と食塩を混ぜて冷やすときは、理論上、これより低くなりません。

温度の下がり方は共融点で止まり、一定の値になる、と説明されています[1]。つまり、塩を足せば足すほど冷たくなる、という考え方は正しくありません。

この-21℃は理論上の下限です。実際の氷と塩の混ぜ方では、細かく混ぜないと共融点まで下がりません。

食塩水は、塩の濃さによって凍りはじめる温度が変わる。濃くすれば凝固点はさらに下がるが、下がりつづけはしない。質量で23.3%(水100gに対して塩約30gの割合)のとき、凍る温度は約-21.1℃で最低になり、これが共融点である[2]。共融点では、氷と塩の結晶が混ざった状態になる。氷と食塩の混合物は、理論上この温度より低くならない。

氷と食塩の混合物でも、温度の低下は共融点で止まり、一定の値になる[1]。だから、氷に塩をどれだけ足しても、理論上は-21℃付近より先へは進めない。塩を増やせば無限に下がるという理解は誤りである。

また、-21℃はあくまで理論上の下限である。実際には、氷と塩を細かく混ぜ合わせないと、共融点まで下がりにくい。これは目安である。

理論上の下限と、家庭での到達点にはずれがある。このずれの中で、アイスクリームはどう作られたのだろうか。

3. おうちで、こおりと しおは どれぐらい?

3. 家庭ではどのくらいの割合で氷と塩を使うのか

3. 氷と塩を3対1で混ぜる割合は、共融点の濃さと比べてどうか

おかしの 会社の じっけんでは、おおきな ボウルに こおりと 塩しおを 3対1ぐらいの わりあいで いれます。こおり 3に たいして、塩しおが 1です。

その なかに、アイスの ざいりょうを いれた ちいさな 袋ふくろを うめて、ひやします。そして、アイスが かたまった 温度を はかる、という もんだいが ついて います[5]。

こおりが たくさん とけるほど、まわりの 塩しおみずは つめたく なります。だから、こおりを たっぷり つかうのが コツです。

明治の食育のページでは、大きなボウルに氷と塩を「3対1くらいの割合」で入れ、小さな袋に入れたアイスの材料を埋めて冷やす実験を紹介しています。固まったときの温度を測る課題も付いています[5]。

この割合を、前の章の23.3%と比べてみます。氷1kgに塩約300gなら、すべての氷が溶けて塩水になったとしても、塩の割合は300÷1300で約23%です。共融点の濃さ(23.3%)とほぼ同じです。つまり、この割合は、理論上の下限に近づける濃さになっています。

ただし、ここで書いたのは計算の上のことで、実際に何℃まで下がるかを示す実測値は、出典のページにはありません。

家庭向けの実験として、明治の食育のページは、大きなボウルに氷と塩を3対1くらいの割合で入れ、小さな袋に入れたアイスの材料を埋めて冷やす方法を紹介している。固まった温度を測る課題も付いている[5]。

この3対1を、共融点の濃さと比べる。氷1kgに塩約300gとすれば、すべての氷が溶けて塩水になったと仮定したとき、塩の質量の割合は300÷(1000+300)で約23%となり、共融点の23.3%[2]とほぼ一致する。経験的に使われる割合が、理論上の共融組成に近いことが分かる。

ただし、これは筆者の計算であり、実際には氷がすべて溶けるわけではなく、混ざり方も均一ではない。出典のページに実測温度は示されていない。

冷やすだけでアイスになるのだろうか。クリームの側にも、固まり方の事情がある。

4. アイスは、どうして かちかちに ならないの?

4. アイスクリームは、なぜ冷やしても石のようにならないのか

4. 0℃以下でもアイスクリームが固くなりすぎない理由と、かき混ぜる意味

牛乳ぎゅうにゅうには、とけて いる ものが はいって います。この ものが あると、水が こおる 温度が さがります。だから、0度より ひくくても、すこしの 水は こおらず、アイスは かちかちに なりません。

それと、アイスは ひやしながら、まぜます。まぜると 空気が はいって、ふわっと します。こおりの つぶも こまかく なって、ざらざらしない、なめらかな アイスに なります。

牛乳に含まれる乳糖などが凝固点を下げるので、アイスクリームは0℃以下でも、水の一部が凍らないまま残ります。そのおかげで、全部が氷の塊のように固くなりすぎません[6]。

また、アイスクリームは冷やしながらかき混ぜるのが大切です。かき混ぜると空気が入り、氷の結晶が目立たない小さな大きさのまま保たれます。小さな結晶が、なめらかさをつくります[7]。

つまり、氷と塩は「冷たさ」を、かき混ぜることと牛乳の成分は「口当たり」を、それぞれ受け持っているのです。

アイスクリームの混合物には、牛乳由来の乳糖などが溶けている。溶けた物質は凝固点を下げるため、アイスクリームは0℃以下でも水の一部が凍らず、固くなりすぎない[6]。氷と塩の冷却でも、塩が氷の側の凝固点を下げたのと同じ原理が、クリームの側でも働いている。

さらに、冷やしながらかき混ぜることで空気が混ざり、氷の結晶が目立たない大きさに保たれる。小さな結晶が、なめらかさをつくる[7]。

氷と塩が冷たさを担い、かき混ぜることと溶けた成分が食感を担う。この役割分担が、昔の道具にも見えるのだろうか。

5. むかしの ひとは、どう アイスを つくったの?

5. 硝石や氷と塩を使い、昔の人はどうアイスを作ったのか

5. 硝石から食塩、手回しフリーザーへ:氷で氷菓を作る工夫はどう進んだか

1843ねん、アメリカの ナンシー・ジョンソンさんが、手で まわす アイスの きかいで とっきょを とりました。桶おけに こおりと 塩しおを いれて、なかの クリームを ハンドルで まわします。

やく 45ふん、まわすと できたと いわれます。ずっと うでを うごかす、たいへんな しごとでした。それでも、おいしい アイスが できる たのしさが ありました。

1885ねんには、アグネス・マーシャルさんが、アイスの きかいを かんがえる ことに かかわり、おっとの アルフレッドさんの なまえで とっきょが だされたと いわれます。

氷と塩の前には、硝石(せきしょう)を使う方法がありました。1558年、ジャンバッティスタ・デッラ・ポルタがワインを凍らせる方法として、雪に硝石の粉をふりかけると書いています[8]。

1843年、ナンシー・M・ジョンソンは、手回し式のアイスクリームフリーザーで米国の特許を取りました。氷と塩を詰めた桶の中でクリームを回す形で、約45分回すとできたと伝えられています[8]。

1885年には、アグネス・マーシャルがアイスクリーム機の考案に関わり、夫アルフレッドの名義で特許が出された、とされています[9]。

桶を回す手の動きは、前の章のかき混ぜる意味と、同じ働きをしていたことになります。

氷を混ぜて冷やす発想は、食塩より前からあった。1558年、ジャンバッティスタ・デッラ・ポルタは、ワインを凍らせる方法として、木の容器に雪を入れて硝石の粉をふりかける方法を書いた[8]。

1843年、ナンシー・M・ジョンソンは手回し式のアイスクリームフリーザーで米国特許を得た。氷と塩を詰めた桶の中でクリームを回す構造で、約45分回すとできたと伝えられる[8]。居住地については資料により食いちがいがあるため、書かない。

1885年には、アグネス・マーシャルがアイスクリーム機の考案に関わり、夫アルフレッドの名義で特許が出されたとされる[9]。ジョンソンの桶のように氷の冷却と回して混ぜることを組み合わせる構造は、前章の「冷やしながらかき混ぜる」という要点に対応する。

6. こおりを ふたつ ならべて、くらべて みよう

6. 塩を入れた氷と入れない氷を、並べて比べてみる

6. 塩ありの氷と塩なしの氷で、冷え方の差を測る

おなじ おおきさの コップを ふたつ ならべます。どちらにも こおりを おなじ りょう いれます。かたほうだけに、塩しおを ひとつまみ いれて まぜます。

しばらく おいて、コップの そとがわを さわって くらべます。塩しおを いれた ほうが、つめたいと かんじるでしょうか。さわって わかるのは、どちらが つめたく かんじるかまでです。

0度より ひくく なったかは、おんどけいで たしかめます。おんどけいは、おとなと いっしょに つかいます。塩しおみずは、くちに いれては いけません。つめたい コップを ながく さわらない ように します。

家にあるものでできる比べ方です。同じ大きさのコップを2つ用意し、氷を同じ量ずつ入れます。片方にだけ塩をひとつまみ入れてよく混ぜ、しばらく置いてから、コップの外側を触って比べます。

温度計があれば、大人といっしょに、氷水の中に入れて数分おきに数字を書き取ります。塩を入れたほうが、0℃より低い値になるかどうかを見ます。触った感じは「どちらが冷たく感じるか」までで、0℃より低いかは温度計で確かめます。ただし、塩水は口に入れず、冷たいコップは長く持たないようにします。

測れた値が-21℃に届かなくても、不思議ではありません。前の章のとおり、氷と塩の下限は理論上のもので、実際には混ぜ方などで変わるといわれるからです。

同じ大きさの容器を2つ用意し、同量の氷を入れる。片方にだけ食塩を加えて混ぜ、数分おきに温度計で記録する。塩ありのほうが0℃より低くなるか、時間とともにどう変化するかを見る。塩水は口に入れず、冷えた容器を長く素手で持たない。

ここで測れる値は、-21.1℃という理論上の下限[2]より高くなると予想される。それは出典の考え方(細かく混ぜないと共融点まで下がらない)と合うが、実際の値は、混ぜ方・氷の量・塩の量・容器の断熱によって変わるので、自分の測定結果として扱うのがよい。

次に気になるのは、塩の量を変えたらどう変わるか、という点だろう。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

氷と塩の冷却と、アイスクリームづくりの説明に使いました。

  1. コトバンク「寒剤」(大辞泉・世界大百科事典・日本大百科全書) https://kotobank.jp/word/%E5%AF%92%E5%89%A4-48759 (氷と食塩の約-21℃、共融点で止まること)
  2. Chemguide “Solid-liquid phase diagrams: salt solution” https://chemguide.co.uk/physical/phaseeqia/saltsoln.html (共融点-21.1℃、塩の濃さ23.3%)
  3. ナゾロジー「アイスの作り方」の解説記事 https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/32666/3 (氷が溶けて0℃より冷たい塩水ができること)
  4. Wikipedia “Enthalpy of fusion” https://en.wikipedia.org/wiki/Enthalpy_of_fusion (氷の融解熱の値)
  5. 明治 食育「塩と氷でアイスクリーム」 https://www.meiji.co.jp/meiji-shokuiku/homework/experiment/icecream/ (氷と塩の割合、実験の手順)
  6. Wikipedia “Freezing-point depression” https://en.wikipedia.org/wiki/Freezing-point_depression (アイスクリームが0℃以下でも固くなりすぎない理由)
  7. Wikipedia “Ice cream” https://en.wikipedia.org/wiki/Ice_cream (かき混ぜと小さな氷の結晶)
  8. National Geographic History “How long everyone screamed for ice cream” https://www.nationalgeographic.com/history/magazine/2020/07-08/how-long-everyone-screamed-for-ice-cream/ (硝石の方法、手回しフリーザーの特許)
  9. Wikipedia “Ice cream maker” https://en.wikipedia.org/wiki/Ice_cream_maker (1885年の特許)

なおした ところ

更新履歴

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