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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

冬の 虫は、どんな すがたで すごして いるの?

冬の虫はどんな姿で春を待つのか ── 卵・幼虫・蛹・成虫、種ごとに決まった冬越し

昆虫の越冬ステージ ── 卵・幼虫・蛹・成虫のどれで冬を越すかは、種ごとにほぼ決まる

分野:生きもの

冬の 木の えだに、茶色い あわの ような かたまりが ついて います。中には、カマキリの たまごが 入って いる ことが あります。

夏に いた 虫たちは、どこへ 行ったのでしょう。すがたを かえて、じっと 春を まって いる 虫が たくさん います。どの すがたで まつのか、その わけが わかります。

冬の枯れ枝に、茶色いスポンジのような塊がついていることがあります。カマキリの卵の入れ物です。夏にあれほどいた虫は、冬になるとどこへ行ったのでしょうか。

消えたのではなく、卵・幼虫・蛹・成虫のどれかの姿で、それぞれ冬をやり過ごしています。どの姿を選ぶかは、虫の種類でほぼ決まっています。この決まりと、虫が冬の前に何を読み取っているのかが分かります。

昆虫の冬越しの姿は、卵・幼虫・蛹・成虫の4通りに整理でき、種ごとにほぼ決まっている[2]。休眠に入る発育段階は、一般に1つの種で1つだけとされる[1]。

このメモでは、カマキリ(卵)・カブトムシとヤゴ(幼虫)・アゲハ(蛹)・テントウムシ(成虫)を比べ、卵で冬を越すのに休眠しないカマキリの例外的な戦略[6]と、暗い時間の長さで冬を予測するアゲハ[7]を軸に、虫がなぜその姿で冬を越すのかが分かる。

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1. 冬の 虫は、どこに いるの?

1. 消えたのではなく、姿を変えている

1. 越冬の4つのステージ

冬に なると、虫の すがたは ほとんど 見えなく なります。でも、いなく なったのでは ありません。

虫は、たまご・ようちゅう・さなぎ・せいちゅうの、どれかの すがたで 冬を こします。どの すがたに なるかは、虫の しゅるいで ほとんど 決まって います[2]。

冬は 葉が 落ちるので、さなぎや まゆが 見つけやすく なる、と いわれます[2]。冬は、虫を さがす のに いい 時きでも あるのです。

4つの姿のどれか

昆虫は、卵からかえった幼虫が、蛹を経て成虫になります。冬越しの姿は、この4つの段階のどれかで、種類ごとにほぼ決まっていると説明されています[2]。

成長を止めて冬をやり過ごすことを「休眠」といいます。これとは別の話として、一般に、1つの種が休眠に入る段階は1つだけで、生活の中で一度しか起こらないとされます[1]。「一般に」なので、例外はあります。

冬は探しやすい季節

冬は葉が落ちるため、木についた蛹や繭が見つけやすくなります[2]。虫がいない季節ではなく、隠れている虫を探せる季節です。

冬越しの姿は、成虫・蛹(繭)・幼虫・卵の4形態に整理される。種ごとにほぼ決まっており、冬は落葉で蛹や繭が見つけやすい[2]。

休眠は、卵休眠・幼虫休眠・蛹休眠・成虫休眠に分けられ、一般に1つの種が休眠に入るステージは1つで、生活史の中で一度しか起こらないという整理がある[1]。「一般に」とあるとおり、例外は残る。以下では、4つのステージを代表的な虫で順に見ていく。

2. カマキリの たまごは、あわの 家に 入って いる

2. カマキリの卵は、泡の家で冬を越す

2. 卵で越冬する ── カマキリと卵鞘の断熱

カマキリの なかまは、ほとんどが たまごの すがたで 冬を こします。秋に たまごを うんだ おやは、そのあと 一生を おえます[4]。

たまごは 「らんしょう」と いう かたまりの 中に 入って います。空気を たくさん ふくんだ あわの ような もので、ねつを にがしにくいと いわれます[5]。

あわの ふとんに くるまって いる ようなもの です。ただし 本当は、ふとんのように あたためて いるのでは なく、外の さむさが 中に 入りにくい だけです。

オオカマキリの らんしょう 一つには、数百この たまごが 入って います[4]。

秋の産卵、そして親は

カマキリの仲間は、ごく一部の例外を除き、北海道から九州まで卵で冬を越すといわれます。秋に卵を産んだ親は、そこで寿命を終えます[4]。冬を越すのは、次の世代だけです。

空気を含んだ入れ物

卵は「卵鞘」という塊に包まれています。空気をたくさん含んだ泡のような構造で、断熱性があります[5]。暖房のように暖めるのではなく、外の冷たさが伝わりにくいということです。

オオカマキリの卵鞘1つには、約300個の卵がまとまっているという記録があります[4]。数は個体や資料によってちがうので、「数百個」くらいに考えておくのが安全でしょう。

カマキリ類は、ごく一部の例外を除き、北海道〜九州で卵鞘の形で越冬する。秋に産卵した親は寿命を終える[4]。卵鞘は空気を多く含む泡状の塊で、断熱性がある[5]。暖房のように暖めるのではなく、外気の冷たさを伝えにくくする構造と読むのが適切だろう。

オオカマキリでは、1つの卵鞘に約300卵がまとまるという[4]。別のサイトは「200個ほど」とするなど、数字は個体や資料でばらつくため、「数百卵」程度が妥当な言い方である[5]。

3. 目ざめる 日を、わざと ばらばらに

3. 卵から出る時期を、あえてずらす

3. 休眠しない卵 ── オオカマキリの日長読み取り

冬を こす たまごは、ずっと ねむって いるのだと 思いませんか。ところが オオカマキリの たまごは、「きゅうみん」を しないと ほうこくされて います[6]。

たまごを うんだ 時期が ちがうので、冬に なった とき、たまごの 中の 育ちぐあいが ばらばらです。すると 春に かえる 日も ばらばらに なります。

いっせいに かえると、赤ちゃんどうしで えさを うばい あったり、食べ あったり して しまいます。かえる 日が ずれると、それを さけやすい、という せつめいが あります[6]。

おやも 日の 長さを よんで、たまごを うむ 時期を 調整して います[6]。

卵で越冬しても、休眠するとは限らない

「卵で冬を越す」なら休眠しているはず、と思いがちです。しかしオオカマキリは、卵で冬を越しますが休眠しないと報告されています[6]。産まれた時期がちがう卵は、さまざまな育ちの段階で冬を迎え、そのため春に孵化する時期もばらつきます。

これが、孵化した幼虫どうしの共食いや獲物の奪い合いを避けるのに役立つ、と説明されています[6]。

親は日の長さを読む

成虫は日長を読み取って、産卵を始める時期を調整しているといいます。日が長い夏のあいだは性成熟が遅れ、日が短くなる秋に速やかに進みます。これで、冬になる前に卵が孵化してしまう事態を避けつつ、遅く羽化した個体も冬の前に産卵できます[6]。

オオカマキリは卵で越冬するが、休眠しない。産卵時期の違いにより、卵はさまざまな胚の段階で冬を迎え、孵化時期がばらつく。これが幼虫どうしの共食いや獲物の奪い合いを避けるのに役立つと説明される[6]。休眠は一般に1つのステージだけとするまとめ[1]とは矛盾せず、「卵で越冬すること」と「休眠すること」が別のことだと分かる例といえる。

産卵開始の時期も、成虫が日長を読み取って調節するとされる。夏の長日では性成熟が遅れ、日が短くなる秋に速やかに進む。この仕組みで、冬前の孵化を避けつつ、遅く羽化した個体も冬前に産卵できる[6]。

4. ようちゅうや さなぎは、土・水・えだで 冬を こす

4. 幼虫と蛹の冬越し ── 土・水・枝の上

4. 幼虫・蛹で越冬する虫たち

カブトムシは、土の 中で ようちゅうの すがたで 冬を こします[3]。夏に 見た おとなの カブトムシは、冬には 生きて いません。

トンボの ようちゅう「やご」は、水の 中で ようちゅうの まま 冬を すごします[3]。トンボの 中には、ほかの すがたで 冬を こす しゅるいも いるので、「トンボは みんな やご」とは いえません。

アゲハは、さなぎの すがたで 冬を こします。秋に さなぎに なって、春に せいちゅうに なります[3]。

土の中と水の中の幼虫

カブトムシは、土の中で幼虫の姿のまま冬を過ごします。夏に飛んでいた成虫は、冬には生きていません[3]。

トンボの幼虫のヤゴは、水の中で幼虫のまま冬を過ごします[3]。ただし、これはヤゴで冬を越すトンボの話で、トンボ全体がそうだと決めることはできません。

蛹で待つアゲハ

アゲハ(ナミアゲハ)は蛹で冬を越します。秋に蛹になったものが、そのまま冬を過ごして、春に成虫になります[3]。

カブトムシは土中で幼虫(終齢)のまま冬を過ごす。成虫は冬には生きていない[3]。トンボの幼虫ヤゴは、水中で幼虫のまま冬を越す[3]。ただし、卵で冬を越すトンボの種もあるとされ、トンボ全般がヤゴ越冬とはいえない。

アゲハ(ナミアゲハ)は蛹で越冬し、秋に蛹になった個体がそのまま冬を過ごして春に羽化する[3]。同じ「幼虫越冬」でも土中と水中では環境がまるで異なる。水は空気より温度変化がゆるやかだといえるが、本メモの資料はこの理由づけを直接には示さない。

5. アゲハは、暗い 時間を はかる

5. 冬が来る前に、季節を予測する

5. アゲハは暗い時間の長さで冬越しを決める ── 光周期と暗期の計測

虫は、さむく なってから 冬じたくを する わけでは ありません。日の 長さや 気おんの かわり方から、冬が くる ことを よそうして、きびしく なる 前に じゅんびを はじめると いわれます[1]。

アゲハの ようちゅうは、暗い 時間の 長さを はかって いると せつめいされて います。冬を こす さなぎに なるか どうかは、ようちゅうの ころの 日の 長さで 決まります[7]。

この はかり方は ふしぎで、暗い 時間の とちゅうで、ほんの すこし 光を あびた だけでも、はかり直しに なると されて います[7]。

寒くなる前に備える

昆虫は、日長(1日の明るい時間の長さ)や温度の変化から季節の到来を予測して、環境が実際に悪くなる前に休眠に入るといわれます[1]。寒さを待ってから準備を始めるのでは、間に合わないからです。

暗い時間を測るアゲハ

アゲハの蛹が冬を越すかどうかは、幼虫のころの日長で決まると説明されています。アゲハは暗い時間の長さを測っていて、暗い時間の途中でほんの短い光を感じただけでも、測り直しになる仕組みがあるといいます[7]。夜に強い光が当たると、季節の判断が狂うかもしれない、という話につながります。

春には「寒さ」が必要

冬を越した蛹が春に羽化するには、一定の寒さを経験する必要があるとされます。ナミアゲハでは、地域によって必要な日数が変わり、4℃以下の日が北東北・北海道で30日以上、南関東・関西で60日以上、九州以南で90日以上という目安が紹介されています。あたたかい部屋の中では足りないそうです[7]。数字は目安です。

昆虫は、日長や温度の変化から季節の到来を予測し、環境が実際に悪化する前に休眠に入る[1]。アゲハでは、蛹が越冬するか否かが幼虫期の日長で決まり、暗い時間(暗期)の長さを測っていて、暗期の途中で短時間の光を感じただけでも計測がリセットされる仕組みがあるとされる[7]。

また、休眠蛹の羽化には一定期間の低温が必要で、ナミアゲハでは4℃以下の期間が北東北・北海道で30日以上、南関東・関西で60日以上、九州以南で90日以上とされる。屋内の暖房下では低温の要求が満たされない[7]。これらの日数は目安で、条件や個体群で変わりうる。冬を越すことは寒さに耐えるだけでなく、「十分な寒さを経験したかどうか」で春の開始を測る仕組みでもある、と読める。

6. 大人の すがたで、みんなで 冬を こす

6. 成虫のまま、集まって冬を越す虫

6. 成虫越冬 ── テントウムシの集団と、同じ仲間の中のちがい

ナミテントウは、せいちゅうの すがたで 冬を こします。しかも、たくさんの なかまと あつまります。はしの てすり、木の ねもと、かべや コンクリートの すきまなどに、集まる ことが あります[8]。

バッタの なかまは、ほとんどが 土の 中の たまごで 冬を こします。でも ツチイナゴは、かれ草に かくれて せいちゅうで 冬を こします[3]。同じ なかまでも、すがたは 分かれる のです。

すき間に集まる

ナミテントウは成虫のまま、集団で冬を越します。橋の欄干、木の根元、壁やコンクリートのすき間などに集まることが知られています[8]。

同じ仲間でもちがう

バッタの仲間の大多数は、土の中に産まれた卵で冬を越します。ところがツチイナゴは、枯れ草の中に隠れて成虫で冬を越します[3]。冬越しの姿は、仲間ごとに決まっているようで、同じ仲間の中でも分かれることがあります。

ナミテントウは成虫で集団越冬する。橋の欄干、木の根元、壁やコンクリートのすき間などに集まる[8]。

バッタ類の大多数は土中の卵で越冬するが、ツチイナゴは枯れ草に隠れて成虫で越冬する[3]。冬越しのステージは種ごとに「ほぼ」決まっていて[2]、系統が近くても選択が分かれる例がある。なお、耐寒の仕組みとして、グリセロールなどの糖アルコールやトレハロースなどの糖類が、体液の凍結を防ぎ細胞を守るとされる種がある[1]。どの種がどの物質を使うかは種ごとで、個別の虫に結びつけて断定することはできない。

自分でも しらべて みたく なったら

自分でも調べてみたくなったら

自分でも調べてみたくなったら

すきな 虫を 三つ えらんで、紙に 名前を 書きます。それぞれ、たまご・ようちゅう・さなぎ・せいちゅうの どれで 冬を こすか、まず よそうを 書いて ください。

そのあと、ずかんや、日本語の ホームページ「こどもの国」などで しらべて、あって いたか たしかめます。はずれても だいじょうぶ。なぜ ちがったのか 考える のが たのしい ところです。

今日できること:好きな虫を3種選び、卵・幼虫・蛹・成虫のどれで冬を越すか、先に予想を紙に書きます。そのあと、図鑑や、日本語で読める施設のサイトで調べて、答え合わせをします。予想がはずれたときは、その虫がなぜその姿を選んだのか、自分の仮説を1行書いてみましょう。

公式情報:「こどもの国」の「冬越しする虫を探そう」のページ、「気候変動いきもの大調査」のカマキリの卵のページが、日本語で読めます。

越冬のステージ全般は、日本語の解説[1][2]から入れる。カマキリの卵鞘は[4][5]、休眠しない卵の戦略は[6]、アゲハの暗期計測と低温要求は[7]に詳しい。

数字(孵化のばらつきの仕組み、低温の日数など)は、原典の論文にたどり着くための手がかりとして読んでほしい。次に調べる入口としては、アゲハの羽化に必要な低温の日数が、なぜ地域で大きくちがうのかが面白い。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:日本語の解説ページ、自治体・博物館・研究機関のサイトを使いました。何に使ったかは、各項目の最後に書いています。

  1. 日本応用動物昆虫学会など JSCPB wiki「昆虫の環境適応:休眠と低温耐性について」。JSCPB wiki の該当ページ (休眠の4つのステージ、日長や温度による季節の予測、耐寒物質について)
  2. るるぶKids「冬の昆虫」。https://kids.rurubu.jp/article/41569/ (冬越しの4つの姿と、冬は観察向きであることについて)
  3. こどもの国「冬越しする虫を探そう」。https://www.kodomonokuni.org/nature/winter/winter_insect.html (アゲハ・カブトムシ・ヤゴ・バッタ類とツチイナゴの冬越しについて)
  4. 矢作川研究所「オオカマキリの卵鞘」。https://www.yahagigawa.jp/ikimono/entry-392.html (カマキリの卵越冬と卵の数について)
  5. 気候変動いきもの大調査「カマキリの卵を探そう」。https://ccbio.jp/topics/k020 (卵鞘の断熱性について)
  6. 環境文化創造研究所「オオカマキリの越冬に隠された『戦略』」。https://www.kanbunken.org/daily/220323/ (休眠しない卵、孵化時期のばらつき、産卵時期の調節について)
  7. JT生命誌研究館「『一定期間の低温』について」。https://www.brh.co.jp/salon/talk/detail/1979 (アゲハの暗期の計測と、羽化に必要な低温について)
  8. 富山市科学博物館「テントウムシ」。https://www.tsm.toyama.toyama.jp/_ex/curators/negoro/tentoumusi.htm (ナミテントウの集団越冬の場所について)

なおした ところ

更新履歴

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