1. 冬の 虫は、どこに いるの?
1. 消えたのではなく、姿を変えている
1. 越冬の4つのステージ
冬に なると、虫の すがたは ほとんど 見えなく なります。でも、いなく なったのでは ありません。
虫は、たまご・ようちゅう・さなぎ・せいちゅうの、どれかの すがたで 冬を こします。どの すがたに なるかは、虫の しゅるいで ほとんど 決まって います[2]。
冬は 葉が 落ちるので、さなぎや まゆが 見つけやすく なる、と いわれます[2]。冬は、虫を さがす のに いい 時きでも あるのです。
2. カマキリの たまごは、あわの 家に 入って いる
2. カマキリの卵は、泡の家で冬を越す
2. 卵で越冬する ── カマキリと卵鞘の断熱
カマキリの なかまは、ほとんどが たまごの すがたで 冬を こします。秋に たまごを うんだ おやは、そのあと 一生を おえます[4]。
たまごは 「らんしょう」と いう かたまりの 中に 入って います。空気を たくさん ふくんだ あわの ような もので、ねつを にがしにくいと いわれます[5]。
あわの ふとんに くるまって いる ようなもの です。ただし 本当は、ふとんのように あたためて いるのでは なく、外の さむさが 中に 入りにくい だけです。
オオカマキリの らんしょう 一つには、数百この たまごが 入って います[4]。
3. 目ざめる 日を、わざと ばらばらに
3. 卵から出る時期を、あえてずらす
3. 休眠しない卵 ── オオカマキリの日長読み取り
冬を こす たまごは、ずっと ねむって いるのだと 思いませんか。ところが オオカマキリの たまごは、「きゅうみん」を しないと ほうこくされて います[6]。
たまごを うんだ 時期が ちがうので、冬に なった とき、たまごの 中の 育ちぐあいが ばらばらです。すると 春に かえる 日も ばらばらに なります。
いっせいに かえると、赤ちゃんどうしで えさを うばい あったり、食べ あったり して しまいます。かえる 日が ずれると、それを さけやすい、という せつめいが あります[6]。
おやも 日の 長さを よんで、たまごを うむ 時期を 調整して います[6]。
卵で越冬しても、休眠するとは限らない
「卵で冬を越す」なら休眠しているはず、と思いがちです。しかしオオカマキリは、卵で冬を越しますが休眠しないと報告されています[6]。産まれた時期がちがう卵は、さまざまな育ちの段階で冬を迎え、そのため春に孵化する時期もばらつきます。
これが、孵化した幼虫どうしの共食いや獲物の奪い合いを避けるのに役立つ、と説明されています[6]。
親は日の長さを読む
成虫は日長を読み取って、産卵を始める時期を調整しているといいます。日が長い夏のあいだは性成熟が遅れ、日が短くなる秋に速やかに進みます。これで、冬になる前に卵が孵化してしまう事態を避けつつ、遅く羽化した個体も冬の前に産卵できます[6]。
4. ようちゅうや さなぎは、土・水・えだで 冬を こす
4. 幼虫と蛹の冬越し ── 土・水・枝の上
4. 幼虫・蛹で越冬する虫たち
カブトムシは、土の 中で ようちゅうの すがたで 冬を こします[3]。夏に 見た おとなの カブトムシは、冬には 生きて いません。
トンボの ようちゅう「やご」は、水の 中で ようちゅうの まま 冬を すごします[3]。トンボの 中には、ほかの すがたで 冬を こす しゅるいも いるので、「トンボは みんな やご」とは いえません。
アゲハは、さなぎの すがたで 冬を こします。秋に さなぎに なって、春に せいちゅうに なります[3]。
5. アゲハは、暗い 時間を はかる
5. 冬が来る前に、季節を予測する
5. アゲハは暗い時間の長さで冬越しを決める ── 光周期と暗期の計測
虫は、さむく なってから 冬じたくを する わけでは ありません。日の 長さや 気おんの かわり方から、冬が くる ことを よそうして、きびしく なる 前に じゅんびを はじめると いわれます[1]。
アゲハの ようちゅうは、暗い 時間の 長さを はかって いると せつめいされて います。冬を こす さなぎに なるか どうかは、ようちゅうの ころの 日の 長さで 決まります[7]。
この はかり方は ふしぎで、暗い 時間の とちゅうで、ほんの すこし 光を あびた だけでも、はかり直しに なると されて います[7]。
寒くなる前に備える
昆虫は、日長(1日の明るい時間の長さ)や温度の変化から季節の到来を予測して、環境が実際に悪くなる前に休眠に入るといわれます[1]。寒さを待ってから準備を始めるのでは、間に合わないからです。
暗い時間を測るアゲハ
アゲハの蛹が冬を越すかどうかは、幼虫のころの日長で決まると説明されています。アゲハは暗い時間の長さを測っていて、暗い時間の途中でほんの短い光を感じただけでも、測り直しになる仕組みがあるといいます[7]。夜に強い光が当たると、季節の判断が狂うかもしれない、という話につながります。
春には「寒さ」が必要
冬を越した蛹が春に羽化するには、一定の寒さを経験する必要があるとされます。ナミアゲハでは、地域によって必要な日数が変わり、4℃以下の日が北東北・北海道で30日以上、南関東・関西で60日以上、九州以南で90日以上という目安が紹介されています。あたたかい部屋の中では足りないそうです[7]。数字は目安です。
昆虫は、日長や温度の変化から季節の到来を予測し、環境が実際に悪化する前に休眠に入る[1]。アゲハでは、蛹が越冬するか否かが幼虫期の日長で決まり、暗い時間(暗期)の長さを測っていて、暗期の途中で短時間の光を感じただけでも計測がリセットされる仕組みがあるとされる[7]。
また、休眠蛹の羽化には一定期間の低温が必要で、ナミアゲハでは4℃以下の期間が北東北・北海道で30日以上、南関東・関西で60日以上、九州以南で90日以上とされる。屋内の暖房下では低温の要求が満たされない[7]。これらの日数は目安で、条件や個体群で変わりうる。冬を越すことは寒さに耐えるだけでなく、「十分な寒さを経験したかどうか」で春の開始を測る仕組みでもある、と読める。
6. 大人の すがたで、みんなで 冬を こす
6. 成虫のまま、集まって冬を越す虫
6. 成虫越冬 ── テントウムシの集団と、同じ仲間の中のちがい
ナミテントウは、せいちゅうの すがたで 冬を こします。しかも、たくさんの なかまと あつまります。はしの てすり、木の ねもと、かべや コンクリートの すきまなどに、集まる ことが あります[8]。
バッタの なかまは、ほとんどが 土の 中の たまごで 冬を こします。でも ツチイナゴは、かれ草に かくれて せいちゅうで 冬を こします[3]。同じ なかまでも、すがたは 分かれる のです。
自分でも しらべて みたく なったら
自分でも調べてみたくなったら
自分でも調べてみたくなったら
すきな 虫を 三つ えらんで、紙に 名前を 書きます。それぞれ、たまご・ようちゅう・さなぎ・せいちゅうの どれで 冬を こすか、まず よそうを 書いて ください。
そのあと、ずかんや、日本語の ホームページ「こどもの国」などで しらべて、あって いたか たしかめます。はずれても だいじょうぶ。なぜ ちがったのか 考える のが たのしい ところです。
今日できること:好きな虫を3種選び、卵・幼虫・蛹・成虫のどれで冬を越すか、先に予想を紙に書きます。そのあと、図鑑や、日本語で読める施設のサイトで調べて、答え合わせをします。予想がはずれたときは、その虫がなぜその姿を選んだのか、自分の仮説を1行書いてみましょう。
公式情報:「こどもの国」の「冬越しする虫を探そう」のページ、「気候変動いきもの大調査」のカマキリの卵のページが、日本語で読めます。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
出典について:日本語の解説ページ、自治体・博物館・研究機関のサイトを使いました。何に使ったかは、各項目の最後に書いています。
- 日本応用動物昆虫学会など JSCPB wiki「昆虫の環境適応:休眠と低温耐性について」。JSCPB wiki の該当ページ (休眠の4つのステージ、日長や温度による季節の予測、耐寒物質について)
- るるぶKids「冬の昆虫」。https://kids.rurubu.jp/article/41569/ (冬越しの4つの姿と、冬は観察向きであることについて)
- こどもの国「冬越しする虫を探そう」。https://www.kodomonokuni.org/nature/winter/winter_insect.html (アゲハ・カブトムシ・ヤゴ・バッタ類とツチイナゴの冬越しについて)
- 矢作川研究所「オオカマキリの卵鞘」。https://www.yahagigawa.jp/ikimono/entry-392.html (カマキリの卵越冬と卵の数について)
- 気候変動いきもの大調査「カマキリの卵を探そう」。https://ccbio.jp/topics/k020 (卵鞘の断熱性について)
- 環境文化創造研究所「オオカマキリの越冬に隠された『戦略』」。https://www.kanbunken.org/daily/220323/ (休眠しない卵、孵化時期のばらつき、産卵時期の調節について)
- JT生命誌研究館「『一定期間の低温』について」。https://www.brh.co.jp/salon/talk/detail/1979 (アゲハの暗期の計測と、羽化に必要な低温について)
- 富山市科学博物館「テントウムシ」。https://www.tsm.toyama.toyama.jp/_ex/curators/negoro/tentoumusi.htm (ナミテントウの集団越冬の場所について)
なおした ところ
更新履歴
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