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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

クラゲの からだは、どうして むこうが すけて 見えるの?

クラゲの体は、なぜ向こう側が透けて見えるのか

クラゲの体はなぜ光を通すのか:水の多いゼリー状の体と、光の吸収・散乱の少なさ

分野:生きもの

水ぞくかんの クラゲは、むこうがわが すけて 見えるほど すきとおって います。クラゲを 100g あつめると、水ではない ぶぶんは 5gほどしか ない、と いわれます。1円玉 5まいぶんです。

では、水が たくさん あると、どうして むこうが 見えるのでしょう。しかも、水の 多い 体は、同じ 材料ざいりょうで ほかの 動物より 直径ちょっけいが 3.2倍ほど 大きく なれる、という 意外な ことも あります。この ページを 読むと、すきとおる わけの 大すじと、すきとおって いると 海で どんな いい ことが あると 考えられて いるかが 分かります。

クラゲの体は、重さの95%ほどが水で、水ではない部分は100gのうち5gほどだといわれます。1円玉5枚ぶんです。それほど水だらけなのに、体はちゃんと形を保ち、向こう側まで透けて見えます。

水が多いと、なぜ光が通り抜けるのでしょうか。しかも、水の多い体は、同じ量の炭素でも、ほかの動物より直径で約3.2倍大きくなれるといいます。この記事を読むと、透ける理由の大すじと、透けていると広い海でどんな効果があると考えられているか、その効果にどんな限りがあるかが分かります。

クラゲの体は湿重量の約95%が水で[1]、資料によっては95〜98%とされる[3]。水の割合が高いだけなら他の水っぽい生物も透けるはずだが、実際には多くの動物は不透明である。ところが、クラゲなどのゼリー状の海の動物では、水の多い体と光の通りやすさが結びつけて整理されている[5]。

では、透明とは光に対して体がどういう状態であることなのか。しかも、同じ炭素量の動物と比べて、クラゲは直径で約3.2倍の体に育つことができるとされる。この記事を読むと、透ける仕組みの要点、外洋での隠れ効果という見方とその限界、そして水の多い体に伴う別の特徴が、区別して分かる。

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1. クラゲの からだは、ほとんど なにで できて いるの?

1. クラゲの体は約95%が水

1. 体の約95%は水:中膠という水の多いゲル

クラゲの 体の 重さの 95%ほどは、水です[1]。100gの クラゲなら、水ではない ぶぶんは 5gほど。1円玉 5まいと おなじ 重さです。

体は、外がわの 皮と 内がわの 皮、その まん中に ある 中膠ちゅうこうという ゼリーのような ぶぶんの 3つで できて います[1]。ミズクラゲでは、体の ほとんどが この 中膠ちゅうこうで、水が 95%ふくまれると 書かれて います[2]。

すきとおって 見えるのは、水が 多い うえに、光を じゃまする ものが 少ない ため、と 考えられて います[5]。ただ、水が 多ければ すきとおる、と いう 話では ありません。では、多くの 動物は、どうして むこうが 見えないのでしょう。

体は3つの部分でできている

クラゲの体は、外側の細胞の層、内側の細胞の層、そのあいだにある厚い中膠の3つでできています。中膠は弾力のあるゼリー状の部分です[1]。固形分は体全体の5%ほどで、残りは水だと説明されています[1]。

北海道大学の水産学部の解説では、ミズクラゲの体の大部分はコラーゲンのゲルである中膠で、そのゲルは水を95%含むとされています。中膠の中には、アメーバのような細胞が少しだけ散らばり、表面は薄い細胞の層でおおわれています[2]。

数字は目安として読む

日本の百科事典類は、体の大部分を無色透明の寒天質と書き、水分を95〜98%としています[3]。水族館の解説も、透明なクラゲは体の95%が水だと述べます[4]。種や資料で幅があるので、95%は「だいたいこのくらい」の目安です。

ただし、水が多ければ自動的に透けるわけではありません。そこで、ふつうの動物はなぜ透けないのか、から考えてみます。

クラゲの体は、外側と内側の2つの細胞層、およびその間の厚く弾力のあるゼリー状の中膠(メソグレア)の3層からなり、固形分は約5%、残りは水とされる[1]。ミズクラゲの場合、体の大部分は水を95%含むコラーゲンのゲルである中膠で、そこにはアメーバ状の細胞がまばらに散らばり、表面は1〜2層の薄い細胞層で覆われる[2]。

水分の割合は種や資料によって幅があり、日本語の百科事典類は95〜98%と記す[3]。水族館の解説も、透明なクラゲの体は95%が水だとして一致する[4]。したがって、95%は目安であり、「クラゲは95%が水」と一括して言い切れる数値ではない。

注意したいのは、「水が多いから透明」と短絡できない点である。水の割合は透明さの条件の一部にすぎず、光が体のなかでどう扱われるかが問題になる。そこで、多くの動物が不透明である理由から確かめる。

2. 多くの 動物は、どうして むこうが 見えないの?

2. 多くの動物が透けないのは、光が散って吸われるから

2. 透明であるための条件:吸収と散乱を小さくする

光が 体に 入ると、体の 中の さまざまな ところで あちこちに はねかえされて、ちらばります。細胞さいぼうの さかいめでも、光は ちらばります。これを 光が 「ちる」と いいます。

体の 中の 色素しきそは、光を すいとります。色素しきそには、紫外線しがいせんから 体を まもる はたらきも あります[5]。だから、色素しきそが 多い 体では、光が とおりにくく、むこうが 見えにくく なります。

すりガラスを 思い出して ください。光が ちらばるので、うしろが ぼやけます。多くの 動物の 体も、光が ちって、通りぬけにくいのです。

クラゲは、光を ちらす ところも、すいとる 色素しきそも 少ないと 考えられて います。色を けして いるのでは なく、光の じゃまを する ものが 少ないのです。ただし、これは 光の とおり方の 大すじの 話で、クラゲの 細かい つくりまでは、ここでは 言いません。

体の中では光が散る

生き物の体は、細胞、その中の小さな部品、細胞のあいだの液体など、大きさも密度もちがうものの集まりです。それぞれ光の曲がり方(屈折率)がちがうため、境目に光が当たるたびに進む向きが変わり、光が散らばります[5]。すりガラスの向こうがぼやけるのと同じ現象です。

色素は光を吸う

さらに、色素は光を吸います。色素は有害な紫外線から体を守る役目もあるため、色素が必要な動物は不透明になりやすいと整理されています[5]。

この総説は、体が透明であるには、光の吸収と散乱がどちらも小さいことが必要だと述べています[5]。つまり、透明とは「色が消えている」ことではなく、光をじゃまするものが少ない状態です。では、クラゲの体はそこが、どうちがうのでしょうか。

多くの動物が不透明なのは、生体組織の密度や屈折率が、細胞内小器官から組織まで、さまざまな空間スケールで変化するためである。屈折率の異なる境界では光が進路を変えて散乱する。また、色素は光を吸収し、有害な紫外線から体を守る役割も担うため、色素を必要とする動物は不透明になりやすい[5]。

この観点から、生物が透明であるには、あらゆる大きさの段階で光の吸収と散乱がともに小さいことが要る。海中では、体の屈折率が海水(約1.33)に近いことも条件とされる[5]。屈折率が近ければ、体の表面でも内部でも光が曲がりにくい。

ここで、日常の水が透明であることと混同しやすい。コップの水が透けるのは水に散乱や吸収が少ないからで、「水の割合が高い体」はその状態に近づく、という関係にとどまる。では、クラゲの水の多いゲルは、この条件にどう当てはまるのか。

3. クラゲの 体では、なにが ちがうの?

3. 水が多いゼリーの体は、光が通り抜けやすい

3. ゼリー状の体と海水の屈折率:光が曲がらず、散らない

クラゲの 体は、水を たっぷり ふくんだ ゼリーです。ある 資料しりょうでは、クラゲの ような すきとおった 海の どうぶつの ゼリーの 体には、水が たくさん 入って いると 書かれて います[5]。

水を たくさん ふくむ ゼリーの 体は、海の 水と 光の 曲がり方が 近く、光が 通りぬけやすいと 整理されて います[5]。体の 外と 中で 光の 曲がり方が 近いと、光は 曲がったり ちったり しにくいのです。

中膠ちゅうこうには、アメーバのような 細胞さいぼうが 少しだけ ちらばって います[2]。細胞さいぼうの さかいめで 光が ちると いう 話と あわせて 読むと、光が ちる ところが 少ない 体、と 考えられます。

ただし 本当は、クラゲの 体の すべてが すきとおって いるわけでは ありません。種類しゅるいに よって、すきとおらない ぶぶんも あります。

水の多いゼリーと海水は、光の通り方が近い

総説は、クラゲやウナギの仲間の幼生(レプトケファルス)のような透明な海の動物は、ゼリー状の体に水をたくさん含んでいると述べます。水の多いゼリーの体は海水と屈折率が近いため、光が通り抜けやすいと整理されています[5]。

体と周りの水で光の曲がり方がそろっていれば、体の表面で光が曲がったり、はね返ったりしにくくなります。クラゲの体が水の中で目立たないのは、こうして光が体を素通りしていくからだと考えられます。

ただし「水だから透明」ではない

総説は、屈折率が海水に近いこと、そして体の中で大きさの異なる構造が光を散らさないことが重なって透明になる、と整理しています[5]。中膠にはアメーバ状の細胞が少しだけ散らばる[2]という説明を合わせると、光が散る場所が少ない体だと読めます。

なお、クラゲの体のすべてが透明なわけではありません。胃や生殖腺などのように、透けにくい部分がある種もあります。では、透けていると海でどんな効果があるのでしょうか。

総説は、クラゲやレプトケファルス(ウナギ類の幼生)など、透明な海の動物のゼリー状の体には水が多量に含まれると述べる[5]。水が多いゼリーの体は屈折率が海水に近く、光が界面で曲がりにくいため、散乱も起こりにくい、と整理されている[5]。

ミズクラゲの中膠にはアメーバ状の細胞がまばらに散らばるにすぎず[2]、屈折率の異なる境界が少ない体と読める。細胞の境界で光が散るという一般的な説明[5]と合わせた、筆者の読み方である。

一方、中膠の屈折率の測定値や、コラーゲン繊維が光を散らさない微細構造の詳細には、ここでは踏み込めない。「水が多い」ことと「光が通る」ことをつなぐのは屈折率の近さであり、水の割合そのものではない、という整理までが確かな範囲である。胃や生殖腺など色や厚みのある部分は種によって異なり、体全体が一様に透明とは限らない。次に、この透明さが海の中でどんな意味をもつと考えられているかを見る。

4. すきとおって いると、広い 海で いい ことが あるの?

4. かくれる場所のない外洋では、透明さが姿を消す方法の1つ

4. 外洋の隠蔽戦略としての透明性:3つの方法の1つ

広い 海の まん中には、かくれる 岩も、水草も ありません。ここで 生きものが 見つかりにくく なる やり方は、大きく 3つ あると されます[6]。

1つ目は すきとおる こと。2つ目は かがみのように 光を はねかえす こと。3つ目は、おなかを 光らせて、上から さす 光と 見分けにくく する こと、です。

クラゲの すきとおった 体は、この 1つ目に あたると 考えられて います。すきとおって いれば、まわりの 水に とけこんで 見えにくく なる、と いう わけです。

ただし 「かくれる ために すきとおった」と 言い切る ことは できません。すきとおる しくみと、すきとおって いて いい こととは、べつの 話です。野外で 生きものが どう 動くかは、まだ あまり 観察かんさつされて いません[6]。

何もない海でどう隠れるか

陸には岩や草がありますが、外洋(陸から遠い海の表層)には何もありません。そのため、見つかりにくくなるための方法は限られ、透明になる、鏡のように光を反射する、体の下面を光らせて上からの光にまぎれる、の3つに整理されています[6]。この3つは、外洋ではよく見られる一方、他の環境ではまれとされます。

クラゲのような透明な体は、そのうちの1つです。水と光の通り方がほとんど同じ体なら、背景の水にとけこんで見えるはずだからです。

「そう考えられている」まで

この整理は、光学的な仕組みを根拠にしています。一方で、論文は、これらの構造がどんな機能をもつのかについては、構造そのものよりずっと分かっていないと述べます[6]。理由は、野外で動物の自然な行動を見る機会が少ないことです。透明さに隠れる効果があると考えられていても、「そのために透明になった」と言い切る材料はありません。では、その効果はどこまで通用するのでしょうか。

外洋には背景となる構造物がなく、隠蔽は難しい課題である。Johnsen(2014)は、外洋の動物が見つかりにくくなる方法を、透明化、鏡のような反射、下面の発光(逆照明)の3つに整理し、これらは他の環境ではまれか存在しないと述べる[6]。ゼリー状の透明な体は、このうち透明化にあたる。

ここで、仕組みと機能を区別する必要がある。屈折率が海水に近く散乱が小さいという説明は光学的な構造の話で、これが捕食者から見つかりにくくする機能の話に直結するかは、別に確かめるべきことである。同論文は、関連する光学・視覚系の構造は、その機能に比べてはるかによく分かっていると指摘し、理由として野外で自然な行動を観察する機会の乏しさをあげる[6]。クラゲの透明さが捕食者や獲物から実際にどれだけ見つかりにくくしているかを野外で直接示した実験は、今回の資料には出てこない。

したがって、「隠れる効果があると考えられている」が妥当な書き方であり、「隠れるために透明になった」とは断定できない。次に、この効果の限界を、見る側と深さの両面から確かめる。

5. すきとおって いれば、ぜったいに 見つからない?

5. 透明さの効果は、深さと見る側の目で変わる

5. 隠れ効果の限界:深さ、種差、捕食者の視覚

いいえ、ぜったいでは ありません。魚の 目には、紫外線しがいせんや 偏光へんこうを 見分ける ものも あります。こうした 目が、かくれた 動物を 見つけるのに 役立つと 考えられて います[6]。

深さでも かわります。タラという 魚に ついての 見つもりでは、50%の すきとおり方でも、水の 深さ 650mなら 見えなく なると されます。でも、あさくて 明るい 水では、タラは 98%すきとおる えものでも 見つける ことが ある、と いわれます[8]。

すきとおる ぐあいは、生きものの 種類しゅるいでも ちがいます。ゼリーの ような プランクトン 29種類しゅるいを 生きたまま はかった 研究では、種類しゅるいに よって 大きく ちがいました[7]。「クラゲは 何%すきとおる」と ひとことで は 言えません。

すきとおる ことは、深くて うす暗い 海ほど 役に 立つ、と 考えられて います。

見る側の目も進歩している

透明になっても、見つける側の目は進んでいます。紫外線や偏光(光の波の向き)に敏感な目や、目の中のフィルターが、隠れた動物を見つけるのに役立つと考えられています[6]。

深いところほど効く

水深によっても効き方が変わります。タラのような魚を例にした見積もりでは、50%ほどの透明度でも、水深650mでは獲物は見えなくなるとされます。一方、浅くて明るい水では、タラは98%透明な獲物も見つけることがあるとされます[8]。これはタラという魚の見え方のモデルで、クラゲ全般にそのまま当てはまる数値ではありません。

種によって透明度は大きく違う

ゼラチン質のプランクトン29種を生きたまま測った研究では、種によって透明度が大きく違いました[7]。「クラゲは何%透明」と一括りにはできません。透明さは万能の隠れ蓑ではなく、深さと明るさ、見る側の目、そして種によって効き方が変わります。では、水の多い体には、ほかにどんな特徴があるのでしょうか。

透明化の効果は、見る側の視覚と環境の明るさに依存する。捕食者の側でも、紫外線や偏光に敏感な目や眼内フィルターが、隠れた動物の発見に役立つと考えられている[6]。

Herring(2002)を引用した解説では、ゼラチン質動物の透明度は50〜90%ほどで、タラのような捕食者に対しては、50%の透明度でも水深650mでは見えなくなるとされる。ところが浅く明るい水では、タラは98%透明な獲物も見つけうるという[8]。これはタラの視覚に基づくモデルの値であり、クラゲ一般の数値ではない。また二次資料の記述であるため、数値は目安として扱う。

種差も大きい。Johnsen と Widder(1998)は、ゼラチン質プランクトン29種を生きたまま測り、透明度が種によって大きく異なると報告した[7]。これも要旨を通した紹介であり、個々の数値は採らない。つまり、透明さの効果は、深さ・明るさ・種・見る側の目という複数の条件で変わり、完全な隠蔽にはならない。では、水の多い体のもう1つの側面は何か。

6. 水の 多い 体には、ほかに どんな とくちょうが あるの?

6. 水の多い体は、浮きやすく、大きくなれるが、速くは泳げない

6. 水の多い体の代償と利点:浮力、遊泳速度、炭素量

水が 多い 体は、浮うきやすい という とくちょうが あります。でも、筋肉きんにくに くらべて 体が 大きいので、速くは 泳げません[8]。

もう ひとつ、おもしろい ことが あります。クラゲの 体は、炭素たんそという、生きものの 体の もとに なる ものが 少なくて すみます。同じ だけの 炭素たんそで、ほかの 動物より 直径ちょっけいで 3.2倍ほど 大きな 体に なれると 書かれて います[9]。ちなみに、いちばん 大きいと 200kgに なる 種類しゅるいも あります。

では、水の 多い 体は 「ぜんぶ 安あがり」なのでしょうか。同じ 研究は、水が 多くて 炭素たんそが 少ない だけでは、クラゲと ほかの 動物の ちがいは、すべては 言い切れないと 書いて います[10]。

浮きやすい代わりに、泳ぎは遅い

水が大部分を占める体は、浮きやすい反面、筋肉の量のわりに体が大きいため、速く泳ぐことができません[8]。透明であるためのゼリーの体は、泳ぎの速さと引き換えになっている、と読めます。

少ない材料で大きな体

水の多い体は、体をつくる炭素が少なくてすみます。クラゲでは、炭素が湿重量の1%未満だとされます。同じ炭素量の水中の動物と比べると、直径で約3.2倍の大きさまで育つことができる、と報告されています[9]。3.2倍は直径の比べ方であり、重さの比べ方ではありません。

「省エネ」とは言い切れない

同じ研究者らは、低炭素・高水分だけでは、クラゲと他の動物の差は説明しきれない、とも述べています。排出が10倍遅く、成長が2倍速いという標準化後の結果もあります[10]。水が多い体は体の大きさと引き換えに泳ぎが遅いことなど、利点と代償の両面があるため、「得だけの体」とは書けません。

水の多い体は浮きやすいが、筋肉量に比べて体が大きく、速く泳げない[8]。透明であるためのゼリー状の体には、遊泳速度という代償があるとされる。

一方、Pitt ら(2013)は、クラゲの体は水が95%を超え、炭素は湿重量の1%未満であること、そのため炭素量が同じ非ゼラチン質の動物より、直径で約3.2倍大きな体に育てることを示した。最大200kgの種もあるとされる[9]。3.2倍は炭素量を揃えた直径の比であり、重さの比ではない。

ただし、同じ論文の要旨は、低炭素・高水分だけでは、クラゲと他の動物の回帰直線の切片や傾きの差を説明できないとしている。標準化後の結果として、排出が10倍遅く、成長が2倍速いことも紹介されている[10]。ここはウェブ上の要旨の紹介にとどまるため、数値は詳しく採らない。

以上から、「透けること」「見つかりにくいこと」「大きくなれること」は別々の話であり、透明さの仕組み(屈折率・散乱)を、体の大きさや泳ぎの理由として混ぜて語ることはできない。水の多い体は、透ける仕組みの土台であり、同時に泳ぎの遅さや成長のしかたにも関わる、複数の性質をもつ体である。

7. ゼリーを 水に 入れて、見え方を くらべて みよう

7. ゼリーを水に入れて、透け方を見くらべる

7. 透明さを確かめる:家庭での比較と、原典への道すじ

うちに ある 透明とうめいな ゼリーで、すきとおり方を くらべて みましょう。かならず 家の 人と いっしょに やります。

透明とうめいな コップに 水を 入れ、お皿に のせた ゼリーを 空気の 中で 見ます。つぎに、同じ ゼリーを 水の 中に そっと 入れて、見え方が かわるかを くらべます。

かわった ところが あったら、ノートに 書いて おきましょう。どう かわるかは、ゼリーの 作り方でも ちがいます。

水ぞくかんに 行ったら、クラゲの うしろが 明るいか 暗いかも 見て みましょう。よこから 見たときと、ちがいが あるかも しれません。

家で試す

無色に近い、透明なゼリーを用意します。お皿の上で見たときと、透明なコップの水の中に静かに入れたときで、ゼリーのふちや、後ろに置いた線の見え方がどう変わるかを比べてみてください。これはクラゲの仕組みそのものの再現ではなく、水とゼリーで光の通り方がどう見えるかを確かめる遊びです。形がくずれやすいので、そっと扱います。見え方がどう変わるかは、ゼリーの種類や水の量でも違うので、自分の目で確かめます。食べ物で試すときは、手を洗ってからにして、家の人と一緒にやります。

水族館や資料で確かめる

水族館で、クラゲの背景が明るいか暗いかを見てみましょう。後ろの光の当たり方で、体の見え方が変わるかもしれません。

ページ下の出典のうち、北海道大学水産学部の解説はミズクラゲの中膠を、コトバンクの「クラゲ」は体の水分の目安を、沖縄美ら海水族館の解説は透明なクラゲの水分を扱っています。まずはこのあたりから、気になる所を開いてみましょう。

確かめ方としては、透明なゼリーを空気中で見た場合と水中に入れた場合を比べる方法がある。水と屈折率が近い物体ほど水中で境界が見えにくくなるはずだが、ゼリーの組成によって結果は異なるため、実際に見え方がどう変わるかは自分の目で確認する。食品を使うときは、衛生に気をつけ、家の人と行う。

原典にあたる場合は、体の構造はNOAAの解説[1]と北海道大学の解説[2]、光学的な条件は Frontiers の総説[5]、外洋での隠蔽は Johnsen(2014)[6]、水の多い体の利点と限界は Pitt ら(2013)[9]が手がかりになる。野外での機能の観察が少ないことが、この分野で残されている課題である。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文は、ここにある資料の内容を、自分の言葉で言いかえたものです。数値や割合は資料や種によって幅があり、目安として読んでください。

  1. NOAA National Ocean Service, Jellyfish https://oceanservice.noaa.gov/facts/jellyfish.html (体の約95%が水、3つの層と中膠)
  2. 北海道大学水産学部「ミズクラゲの体」 https://repun-app.fish.hokudai.ac.jp/course/section.php?id=4722 (ミズクラゲの中膠の構造)
  3. コトバンク「クラゲ」 https://kotobank.jp/word/%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%B2-56293 (日本の百科事典類による体の説明、水分の幅)
  4. 沖縄美ら海水族館 Fish Encyclopedia https://churaumi.okinawa/en/fishbook/00000341 (透明なクラゲの水分95%)
  5. Frontiers in Ecology and Evolution (2024) 生物の透明性の総説 https://www.frontiersin.org/journals/ecology-and-evolution/articles/10.3389/fevo.2024.1428976/full (透明であるための条件、不透明な動物の理由)
  6. Johnsen (2014) Annual Review of Marine Science 6:369-392 https://scholars.duke.edu/publication/962047 (外洋での隠れ方3つと、機能の観察の少なさ)
  7. Johnsen & Widder (1998) Biological Bulletin 195:337-348 https://doi.org/10.2307/1543145 (透明度が種で大きく違う。要旨を通した紹介)
  8. Wikipedia, Underwater camouflage(Herring 2002 を引用) https://en.wikipedia.org/wiki/Underwater_camouflage (深さと透明度、水の多い体の泳ぎ。Herring 2002 を引用した二次資料に基づく概数で、本文の数値は目安)
  9. Pitt et al. (2013) PLoS ONE 8(8):e72683 https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0072683 (低炭素・高水分の体と大きさ)
  10. UWA 研究リポジトリ「Jellyfish body plans provide allometric advantages beyond low carbon content」 https://research-repository.uwa.edu.au/en/publications/jellyfish-body-plans-provide-allometric-advantages-beyond-low-car/ (低炭素・高水分だけでは説明しきれない。要旨の紹介)

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