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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

木星の 中心は、石の 玉じゃ ない かもしれない?

木星の中心は、石の玉ではない可能性がある? ── 地面のない星の中身を知る方法

木星の内部構造 ── 金属水素、ヘリウムの雨、希薄コアの可能性

分野:宇宙・天文

木星の まん中には、石の ような かたい 玉が ある。そう 思う 人も いるでしょう。ところが NASAは、木星の 中心は かたい 玉では なく、まわりの 水素すいそに とけこんで いる ようだ、と しょうかい して います[2]。

木星には、立てる 地めんが ありません。それなら、中の ようすは、どうやって 分かったのでしょう。このメモを 読むと、探査機たんさきが はかった ことと、まだ 分かって いない ことが 分かります。

木星の中心にある「核」は、固い石の玉ではなく、まわりの金属のような水素に、とけこんでいるらしい。NASAは、探査機ジュノーの結果をもとに、そう紹介しています[2]。核は予想より大きく、まわりとの境目もはっきりしないというのです。一方、1995年のガリレオ探査機は、木星の大気へ約180kmしか降りない間に、ヘリウムとネオンが予想より少ないという謎を持ち帰りました。

けれど木星には、立てる地面がありません。ふつうの意味で「掘る」ことも、切り開いて見ることもできない星の中身を、人はどうやって調べたのでしょう。この記事を読むと、重力の測定、探査機の降下、実験室での再現という3つの手がかりと、そこからどこまでが見えていて、どこからが議論の途中なのかが分かります。

木星の中心にある核は、固体の球ではなく、まわりの金属水素との境界がはっきりしない可能性がある。NASAは、探査機ジュノーの結果をもとに、核は部分的にとけていて予想より大きいと紹介している[2]。

地面のない巨大ガス惑星の内部を、人はどうやって推定したのか。この記事を読むと、重力場の精密測定(ジュノー)、大気への直接降下(ガリレオ)、実験室での高圧再現という3つの手がかりと、それぞれが答えを出せる範囲・出せない範囲が分かる。

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1. 地めんの ない 星の 中を、どう しらべる?

1. 地面のない木星の中を、どうやって調べるのか

1. 平均密度と重力場 ── 外から中身を推しはかる

木星は、とても 大きな 星です。おもさは 地球の 317ばいも あります[1]。でも、中身は ずっしり した 石では ありません。ほとんどが、水素すいそと ヘリウムという、かるい 気たいです。おもさで くらべると、水素すいそが 86%、ヘリウムが 14%ほどと されています[1]。

ヒントは、1cm³あたりの おもさです。木星は、水の 1.3ばいくらい しか ありません[1]。かるい ものが、ぎゅっと 集まった ようすが 見えます。

では、もっと 深い ところは、どう しらべるのでしょう。探査機たんさきの ジュノーは、木星の 重力が どこで どれだけ つよいかを、とても くわしく はかりました[4]。重力は、中の おもさの ならび方で かわります。そこで、重力の 数字に ぴったり 合う 中身を、コンピューターで さがすのです。

軽い材料が、巨大な体にぎっしり

木星の質量は地球の約318倍(317.83倍)で、赤道半径は約7万1500kmです。ところが、1cm³あたりの重さにあたる平均密度は約1.33g/cm³しかありません。水の1.3倍ほどです[1]。中身が岩や鉄ばかりなら、もっと重くなるはずです。

成分は、質量の割合で水素が約86%、ヘリウムが約14%とされています[1]。この86%と14%は「重さの割合」で、体積や粒の数の割合ではありません。NASAも、木星の組成は太陽に似ていて、ほとんどが水素とヘリウムだと説明しています[2]。

重力のかたよりから、中を逆算する

表面を見ているだけでは、中は分かりません。そこで使うのが重力です。木星のまわりを回る探査機ジュノーは、木星の重力の分布を表す数(J2〜J8と呼ばれます)を、これまでにない精度で測りました[4]。

重力のかたよりは、中の重さがどう並んでいるかで決まります。中身の候補を計算で作り、測った数字に合うものを探す。これが、地面のない星の中身をのぞく、いちばん大きな手がかりです。

木星の質量は地球の317.83倍、赤道半径は7万1492km、平均密度は1cm³あたり約1.33gである。質量比では水素が約86%、ヘリウムが約14%とされる[1]。この86%・14%は質量の割合であり、体積や粒子数の割合ではない。NASAも、木星の組成は太陽に近く、大半が水素とヘリウムだと説明する[2]。平均密度が水の約1.3倍にとどまる事実は、岩石や鉄が主成分ではないことと整合する。

では、表面から見えない内部を、どう推定するのか。決め手は重力場である。ジュノーは、重力場の低次の偶数次モーメント(J2〜J8)を、前例のない精度で測定した[4]。回転で少しつぶれた惑星の重力は、内部の密度分布を反映する。したがって、内部モデルを計算で作り、観測された値を再現できるかどうかで、モデルを選別できる。

ただし、重力場だけでは答えは1つに定まらない。内部の組成と密度の組み合わせには複数の解がありうるので、以下の章で扱う降下探査や高圧実験の結果が、モデルの範囲をせばめる別の手がかりとして働く。

2. 木星の 下へ 行くと、水素すいそは どう かわる?

2. 深く進むと、水素は液体になり、金属のようになる

2. 分子状水素から金属水素へ ── 圧力が水素の性質を変える

木星に もぐって いったと しましょう。いちばん 外がわは、水素すいその ガスです。ところが、下へ 行く ほど、上から おされる 力が どんどん 大きく なります。

おされつづけた 水素すいそは、ガスでは なく、えきたいに なります。NASAは、これを 「水素すいそでできた 太陽けいで いちばん 大きな 海」と よんで います[2]。水の 海では ありません。

もっと 深く 行くと、水素すいそは、金ぞくの ように 電気を 通す ものに かわります[2]。これを 金ぞく水素すいそと いいます。木星の つよい じしゃくの 力は、この ところが うんで いると いわれて います[2]。

水素の海と、金属水素

木星の外側は、水素が分子の形で広がる層です。その下では、上に積み重なった層の重さで圧力がどんどん上がります。NASAは、深いところで水素が液体になり、水素でできた「太陽系最大の海」になると説明します[2]。

さらに深くなると、圧力があまりに高くて、水素の原子から電子がはぎ取られます。すると液体が、金属のように電気を通すようになります[2]。これが金属水素です。NASAは、木星の強い磁場は、この金属水素の層が生むと説明しています[2]。NASA/JPLの内部図でも、分子状水素の層の下で水素が金属水素へ移り変わる様子が描かれています[3]。

ここで気になるのは、水素だけではないことです。木星には、ヘリウムも約14%(質量)まじっています。深くなると、ヘリウムはどうなるのでしょう。それを考えるヒントは、人類が一度だけ木星の大気に直接入った探査から来ました。

観測から推定された内部構造の大枠は、NASA/JPLの内部図の説明によれば次のとおりである。外側の外層は分子状水素で、その下で水素が金属水素へ移り変わる。多くのモデルでは、金属水素領域の上部に、ヘリウムが分離する「ヘリウムの雨」で安定化した層がある[3]。

なぜ層ができるのか。内部へ進むほど上の層の重さによる圧力が増し、水素は気体から液体へ移る。NASAは、これを水素でできた太陽系最大の海と表現する[2]。さらに圧力が上がると、水素原子から電子がはぎ取られ、液体が金属のように電気を通す。この金属水素が、木星の強い磁場を生むと説明される[2]。つまり金属水素の層は、木星の磁場の発生源とされる層でもある。

ただし、遷移が内部のどこで、どのくらいの厚みで起こるかは、モデルごとに異なる。深さの数値は、直接測ったものではなく、観測を説明する計算から出ていることを、忘れないでおきたい。では、実際に大気へ入って測った値と、この図はどう結びつくのか。

3. 木星に とびこんだ 探査機たんさきは、なにを 見つけた?

3. ガリレオ探査機は58分で約180km降り、予想外の数字を持ち帰った

3. 1995年のガリレオ大気プローブ ── 降下は約180kmにとどまり、ヘリウムとネオンが予想より少なかった

1995年12月7日、ガリレオという 探査機たんさきから、小さな きかいが 木星の 空気の 中へ とびこみました[5]。おりて いった 時間は やく58ぷんです。そのあいだ、見つけた ことを ずっと おくりつづけました。

では、どこまで おりたのでしょう。ふかさは やく180kmです[5]。木星の 半分の ながさは やく7万1500kmですから、180kmは その 0.25%ほどに すぎません。中心までは、まだ ずっと とおいのです。

それでも、おどろく ことが 分かりました。上の ほうの ヘリウムが、予想の 半分しか なかったのです[5]。ネオンという ガスも、太陽の 10ぶんの 1しか ありませんでした[6]。ヘリウムと ネオンは、どこへ 行ったのでしょう。

58分間の降下

1995年12月7日、ガリレオ探査機から切り離された大気プローブが、木星の大気へ突入しました。約58分間データを送り続け、約22気圧の深さまで降りたと、NASAは記録しています[5]。

その深さは約180kmです。木星の半径約7万1500kmに対して、約0.25%にあたります(180÷71,492の計算)。「木星の中心まで届いた」わけではなく、ごく表面のすぐ下です。

予想とちがった3つのこと

この降下で、上層のヘリウムは予想の半分、水蒸気と雷も予想より少ないと分かりました[5]。さらに、ネオンは太陽の約10分の1しかありませんでした[6]。

木星の組成は太陽に似ているはずなのに、ヘリウムとネオンだけが少ない。見えなくなったものは、どこかへ移ったのかもしれません。その候補として出てきたのが、深いところに降る「ヘリウムの雨」です。

1995年12月7日、ガリレオ探査機の大気プローブが木星大気へ突入し、約58分間データを送った。到達したのは約22気圧、深さ約180kmである[5]。半径約7万1492kmに対しては、約0.25%(180÷71 492)にすぎない。降下探査は表層の組成を直接測った貴重な機会だが、内部構造そのものを測ったわけではない。

ところが、その測定結果が研究者を悩ませた。上層のヘリウムは予想の約半分、水蒸気と雷の活動も予想より少なかった[5]。さらにネオンは太陽の約10分の1にとどまった[6]。木星の組成が太陽に近いなら、この不足は説明を要する。

この「少なさ」は、大気から物質が宇宙へ逃げたのか、深部へ移動したのかで、解釈が分かれる。そこで、ヘリウムが液滴になって沈む過程にネオンがとけこみ、一緒に下へ運ばれる、という仮説が検討された[6]。

4. ヘリウムは、雨に なって ふったの?

4. 足りないヘリウムとネオンは、深いところで「雨」になったのか

4. ヘリウムの雨仮説 ── 液滴ができる深さと、2021年の実験

カリフォルニア大学バークレー校の 計算では、木星の ずっと 深い ところで、ヘリウムが 小さな しずくに なる ことが あります。ヘリウムの 雨です。この しずくに、ネオンが とけこんで、いっしょに 下へ しずむ と 考えると、空気の 中の ネオンが 少ない わけが 分かります[6]。

しずくが できるのは、雲の いちばん上から 1万〜1万3000km 下です。温度は やく5000℃、おされる 力は 地球の 空気の 100万〜200万ばいです[6]。ただし、これは 計算で 出した 数字で、まだ だれも 直せつ はかって いません。

2021年には、実験じっけん室で 木星の 深さに 近い ようすを つくる 研究が ありました。水素すいそと ヘリウムが まざらなく なる 場所が ありうる、と いわれて います[7]。ただし 「ありうる」と いう ところです。

ネオンを連れて沈むヘリウム

カリフォルニア大学バークレー校の研究は、こう考えました。木星の深いところでは、ヘリウムが水素に溶けきれなくなり、小さな液滴になって降る。ネオンはヘリウムの液滴にとけこみやすく、一緒に沈む。そうすると、上の大気にネオンが少ないことが説明できます[6]。

計算では、液滴は雲の頂上から約1万〜1万3000km下で生じ、温度は約5000℃、圧力は地球の大気圧の100万〜200万倍にもなります[6]。ただし、これはモデル計算の値で、直接測った値ではありません。

実験室で、混ざらない条件を探す

2021年、Nature誌には、実験室でその条件を探った研究が載りました。レーザーで衝撃をかけて水素とヘリウムを強く圧縮すると、木星内部と同じ条件で、2つが混ざらなくなる領域が現れる、と報告したのです[7]。木星の内部の一部で水素とヘリウムが分かれる可能性が示され、ジュノーとガリレオの観測とも合うとされました。

この研究は「可能性が示された」という段階で、確定ではありません。それでも、ヘリウムの雨を、計算だけの話から実験の裏づけのある話へ近づけた一歩です。

ヘリウムの雨仮説は、ネオン不足を説明する。ネオンがヘリウムの液滴にとけこみやすいとすれば、液滴が沈むときにネオンも運ばれ、上層のネオンは少なくなる[6]。この説に基づく計算では、液滴は雲頂から約1万〜1万3000km下で生じ、温度は約5000℃、圧力は地球の大気圧の100万〜200万倍とされる[6]。木星の赤道半径7万1492kmに対し、1万kmは約14%、1万3000kmは約18%の深さである。ただし、これは観測値ではなく、モデルから出た値である。

では、そもそも水素とヘリウムは、木星内部の条件で混ざらなくなるのか。2021年のNature論文は、レーザーによる衝撃圧縮などの実験で、水素とヘリウムが混ざらない領域が木星内部の条件で現れることを示した。そして、木星内部の一部で相分離が起こりうるとし、ジュノーとガリレオの観測と整合するとする[7]。表現は「可能性が示唆された」であり、確定ではない。

ここで注意したいのは、因果の向きである。ネオン不足という観測が先にあり、それを説明する仮説として雨が考えられ、その仮説が成り立つ条件を実験で調べた。観測・計算・実験が別々の手段で同じ方向を指しているが、雨そのものを誰かが見たわけではない。

5. 中心の 「かく」は、石の 玉なの?

5. 中心の核は、石の玉ではなく、まわりにとけこんでいるらしい

5. 希薄コア ── 重元素の量と、残る不確かさ

では、いちばん まん中の 「かく」は どうでしょう。石や 氷の ような かたい 玉を 思いうかべる 人が 多い でしょう。ところが 2017年に、ジュノーの 重力の 数字に 合う 中身として、べつの 形が 出されました[4]。

石や 氷のような ものが、水素すいそと ヘリウムに とけて、木星の 半分の ながさの かなりの ところまで、うすく ひろがって いる、という 形です。「きはくな かく」と よばれます[4]。

NASAも、ジュノーの けっかから、かくは 思ったより 大きくて、かたい 玉では なく、まわりの 金ぞく水素すいそとの はっきりした さかいめも ない、と しょうかい して います[2]。ただし、どこまで ひろがって いるかは、見つもりに よって ちがいます。

ジュノーの重力が出した、もう1つの答え

中心には岩や氷のような重い物質(重元素)の固い玉がある、と想像する人は多いでしょう。ところが2017年、ジュノーの重力測定に合う内部モデルとして、重元素が水素やヘリウムにとけて、木星の半径のかなりの割合まで広がる「希薄コア」が提案されました[4]。このモデルでは、重元素の量は地球の質量の7〜25倍と見積もられています[4]。

NASAも、核は予想より大きく、固体ではなく部分的にとけていて、まわりの金属水素とのあいだにはっきりした境目がない、と紹介しています[2]。

「地球7〜25個分」は、確定値ではない

7〜25倍という数は、あくまで希薄コアのモデルで出た見積もりの幅です。木星の質量は地球の約318倍なので、7〜25倍は木星全体の約2〜8%にあたります(7÷317.83と25÷317.83の計算)。広がりの範囲もモデルごとに異なり、研究はこれからも続きます。

もしこの描像が正しければ、木星の中心は「岩の玉のまわりに、ガスが巻きついた」姿ではなく、深くなるにつれて少しずつ重い物質が増えていく、なだらかな姿をしていることになります。

核の姿はどう考えられてきたのか。NASAは、ジュノーの結果から、核が予想より大きく、固体ではなく部分的にとけていて、まわりの金属水素との境界がはっきりしないと紹介する[2]。この描像の中心にあるのが、2017年に提案された希薄コア(dilute core)である。

Wahlらの論文は、ジュノーの重力測定(J2〜J8)に計算値を合わせるのに、重元素が水素・ヘリウムにとけ、惑星半径のかなりの割合まで広がる希薄コアが役立つと示した[4]。重元素の量は、地球質量の7〜25倍と見積もられた。木星の質量は地球の317.83倍なので、この7〜25倍は全質量の約2.2〜7.9%にあたる(7÷317.83、25÷317.83)。

この7〜25倍は、希薄コアのモデルでの見積もりの幅であって、確定値ではない。広がりの範囲(半径の何%まで及ぶか)もモデルごとに異なり、条件を変えれば結果も変わる。さらに、重力場から決まるのは密度の分布であって、物質の種類までは直接分からない。したがって「核はとけこんでいる」という言い方は、観測を説明するうえで有力なモデルの1つ、という強さで読むのが正確である。

6. みずと あぶらで、「まざらない」を 見て みよう

6. 水と油で「混ざらない」を見てみる

6. 出口 ── 「混ざらない」の実感と、原典の読みどころ

ふたの できる すきとおった びんに、水を 半分ほど 入れます。そこへ サラダあぶらを 少し 入れて、ふたを しっかり しめ、ふって みましょう。

この じっけんは、かならず おとなと いっしょに しましょう。

あぶらは、小さな つぶに なって 水の 中に ちらばります。でも、しばらく おいて おくと、また 上に あつまって 分かれます。水素すいそと ヘリウムも、深い ところでは、この ように 「まざらなく なる」ことが ある、と 考えられて います。

ただし、本当は ぎゃくです。木星では、ヘリウムの つぶが 下へ しずみます。あぶらは 水より かるいので、上に うかびます。びんの 中は、ようすを つかむための たとえです。水や あぶらは、のまないで ください。

この実験は、必ず大人と一緒に行いましょう。

透明なペットボトルかびんに水を半分ほど入れ、サラダ油を少し加え、ふたをしっかり閉めて振ってみましょう。小さな油の粒が水の中に散らばりますが、しばらく置くと、また集まって上に分かれます。「混ざらない」とは、こういう分かれ方のことです。

ただし木星では、向きが逆です。ヘリウムの液滴は、水素の中を下へ沈むと考えられています。油は水より軽いので浮きます。これはあくまで「分かれる」感じをつかむためのたとえで、ヘリウムの雨と同じ現象ではありません。

もっと知りたくなったら、NASAの「Jupiter Facts」[2]や、ガリレオ探査機の大気プローブの解説[5]に、内部の層の図があります。どちらも英語のページですが、絵だけでも、水素が下へ行くほど姿を変える順番が追えます。

この実験は、必ず大人と一緒に行う。

「混ざらない」の実感には、水と油が使える。透明な容器に水と少量のサラダ油を入れ、ふたを閉めて振る。油は小さな粒になって散らばるが、しばらく置くと、浮かんで上に集まる。ヘリウムの液滴が水素の中を沈むのとは、向きが逆である。あくまで分離のイメージをつかむための例にすぎない。

原典に当たるなら、内部モデルはWahlらの論文[4]、木星の内部図の解説はNASA/JPL[3]、ネオンとヘリウムの雨の話はUCバークレーの記事[6]とNature論文の日本語要旨[7]が起点になる。

読むときの観点は、「どの値が観測で、どの値がモデルか」である。質量や密度は測られた値、1万km下・約5000℃などは計算値、希薄コアの広がりはモデルごとの見積もりだ。同じ木星の内部でも、確かさの段階が異なる。その差を意識して読むと、元の資料の言い方の強さに気づける。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:NASA、NASA/JPL、カリフォルニア大学バークレー校、学術論文、日本語の百科事典やNature Asiaの要旨を使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。

  1. コトバンク「木星」(理科年表などの記述を転載したもの)。https://kotobank.jp/word/%E6%9C%A8%E6%98%9F (質量・半径・平均密度・水素とヘリウムの質量比。二次資料)
  2. NASA「Jupiter Facts」。https://science.nasa.gov/jupiter/facts/ (組成、水素の海、金属水素と磁場、核の紹介について)
  3. NASA/JPL「PIA25062 Jupiter Interior Graphic」。https://www.jpl.nasa.gov/images/pia25062-jupiter-interior-graphic (内部の層の並びと、ヘリウムの雨の層について)
  4. Wahl ほか「Comparing Jupiter interior structure models to Juno gravity measurements and the role of a dilute core」Geophysical Research Letters, 2017(arXiv:1707.01997)。https://arxiv.org/abs/1707.01997 (ジュノーの重力測定と、希薄コアの提案、重元素の量の見積もりについて)
  5. NASA「Galileo Jupiter Atmospheric Probe」。https://science.nasa.gov/mission/galileo-jupiter-atmospheric-probe (1995年の降下の時間・深さと、ヘリウム・水蒸気・雷の観測について)
  6. カリフォルニア大学バークレー校「Helium rain on Jupiter explains lack of neon in atmosphere」。https://vcresearch.berkeley.edu/news/helium-rain-jupiter-explains-lack-neon-atmosphere (ネオン不足とヘリウムの雨の仮説、計算上の深さ・温度・圧力について)
  7. Nature Asia「木星内部の条件での水素–ヘリウム非混和性の証拠」(Nature 593, 2021 の日本語要旨)。Nature Asia(日本語要旨) (実験で水素とヘリウムが混ざらない領域が現れる可能性について)

なおした ところ

更新履歴

更新履歴(改版の記録)

  •  初版を公開。
  •  タイトルを核の構造が確定したように読めない表現へ改め、密度の説明を「1cm³あたり」にしました。水素・ヘリウムの質量比と温度の単位は一次資料で確認できていないため、本文は変更していません。

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