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おなじ漢字なのに、読み方で いみが かわる ことばは ほかにも ある?

同じ漢字なのに、読み方で意味が変わる言葉はほかにもあるか

同じ漢字で読みが分かれ、意味も分かれる言葉 ── 「人気」「上手」「一日」「生物」を辞書で確かめる

分野:歴史・文化

「ひとけの ない こうえん」と 「にんきの ない おみせ」。どちらも「人気」と 書きますが、読み方が ちがうと、はなしが かわります。こうえんは、人の けはいが しません。おみせは、はやって いません。

こういう ことばは、ほかにも たくさん あります。「上手」「下手」「一日」「生物」「市場」。この 記事では、それを 1つずつ 見て、どうして こんな ことが おきるのかを 考えます。

「人気のない公園」は、「ひとけのない公園」と読めば、人の気配がしない公園です。「にんきのない公園」と読めば、多くの人に好まれていない公園になってしまいます。同じ漢字なのに、読み方で話が変わります。

こういう言葉は、ほかにもたくさんあります。この記事では、「上手」「下手」「一日」「生物」「市場」などを辞書で確かめ、なぜこんなことが起きるのかを考えます。

「人気のない公園」は、「ひとけのない」と読めば人の気配がしない公園になる。「にんきのない」と読めば、評判のよくない公園になる。同じ漢字の並びなのに、読み方で意味が分かれる。

こうした言葉は、「上手」「下手」「一日」「生物」「市場」など、身の回りに多い。この記事は、国語辞典の記述でそれぞれの意味を確かめ、読みが分かれる理由と、読み分けの手がかりを整理する。

読み方を切り替えられます。画面の上にある「よみかた」のボタンで、小学校低学年むけ・小学校高学年むけ・中学生むけの3つの書き方に切り替わります。むずかしいと思ったら、いつでもやさしい方に戻ってください。選んだ読み方はブラウザが覚えているので、次に別の記事を開いたときも同じ読み方で始まります。

1. 「人気」は 2つの 読み方で ぜんぜんちがう

1. 「人気」と「大人気」── 読みで意味が分かれる

1. 「人気」「大人気」── 読みで語義が分かれる例

「人気」は、「にんき」と 読むと、たくさんの 人に すかれて いる ことです[1]。「ひとけ」と 読むと、人が いる 気はいの ことです。「人気が ない」は、「にんきが ない」なら はやって いません。「ひとけが ない」なら、人の けはいが しません[2]。

もう 1つ、「大人気」も あります。「だいにんき」と 読むと、とても 人気が あると いう ことです。「おとなげ」と 読むと、大人らしい 考え方や ふるまいの ことです[3]。「大人気ない」と 言うと、大人らしく ない、という 意味に なります。

ためして みましょう。「人気のない 駅」を、ちがう 読み方で 2回 声に 出して 読んで みます。どちらの 駅の ことか、文の 前後で きまります。

「人気」は、「にんき」と読めば、世間の評判や、多くの人に好かれていることです[1]。「ひとけ」と読めば、人がいる気配のことです。「人気がない」は、「にんきがない」なら不人気、「ひとけがない」なら人の気配がしないことになります[2]。

「大人気」も同じ形です。「だいにんき」と読めば、とても人気があるという意味です。「おとなげ」と読めば、大人らしい思慮や分別のことで、「大人気ない」のように打ち消しの言葉と使われます[3]。

「人気のない駅」を、読み方を変えて2回声に出してみましょう。どちらの意味になるかは、前後の文で決まります。

「人気」は、「にんき」と読めば世間一般の評判や気受けを指す[1]。「ひとけ」と読めば、人のいる様子や気配を指す。「じんき」という読みもあり、その土地の人々の気風などを意味する[1]。

「人気のない」は、「にんきのない」なら不人気、「ひとけのない」なら人の気配がないことになり、前後の文脈で判断するほかない[2]。「大人気」も、「だいにんき」と「おとなげ」で意味が分かれる。後者は打ち消しを伴い、「大人気ない」の形で、大人らしい分別に欠けることを表す[3]。

これらは、同じ漢字に別の語が重なった例である。次の章では、読みが3つに分かれる語を見る。

2. 「上手」と「下手」は、読みが 3つも ある

2. 「上手」と「下手」── 読みが3つある言葉

2. 「上手」「下手」── 読みが3つに分かれる語

「上手」は、「じょうず」と 読むと、やり方が うまい ことです[4]。ところが 「うわて」と 読むと、相手より 力が 上、という 意味に なります。「かみて」と 読むと、位置いちの ことです。

「舞台ぶたいの かみて」と 言うと、客席きゃくせきから 見て 右がわの ことです。反対の 左がわは、「下手」と 書いて 「しもて」と 読みます[4][5]。

「下手」には、「へた」という 読みも あります。うまく ない ことです[5]。「したて」と 読むと、相手より 立場が 下の ことです。「下手に 出る」は、相手を 立てて、ひかえめに ふるまう ことです。「上手」と「下手」は、書いても 読んでも、1組の ことばです。

「上手」には、読みが3つあります。「じょうず」は、やり方が巧みであることです。「うわて」は、位置が上のほうであること、または相手より技能や知識がすぐれていることです。「かみて」は、上座に近いほう、川の上流、そして舞台で客席から見て右側のことです[4]。

「下手」も3つあります。「へた」は、やり方が巧みでないことです。「したて」は、位置が下のほうであること、相手より地位や能力が低いこと、へりくだった態度のことです。「しもて」は、下座のほう、川の下流、舞台で客席から見て左側のことです[5]。

「上手に出る」は「うわてにでる」、「下手に出る」は「したてにでる」と読みます。

「上手」は、「じょうず」(やり方が巧みなこと)、「うわて」(位置が上であること、技能や知識が他よりすぐれていること、高飛車な態度など)、「かみて」(上座に近い方、川の上流、舞台で客席から見て右側)と読み分けられる[4]。

「下手」は、「へた」(巧みでないこと)、「したて」(位置が下であること、相手より地位や能力が低いこと、へりくだった態度)、「しもて」(下座の方、川の下流、舞台で客席から見て左側)と読み分けられる[5]。

「上手」と「下手」は、漢字の組み合わせが反対の意味を持つだけでなく、読みの数まで対になっている。辞書では、舞台用語の意味が、「上のほう」「下のほう」という位置の意味と並んで載っている。

3. 「一日」「生物」「市場」「風車」も そうです

3. 「一日」「生物」「市場」「風車」── 日常の言葉にも

3. 「一日」「生物」「市場」「風車」── 日常語の読み分け

「一日」は、「いちにち」と 読むと、24 時間の ことです[6]。「ついたち」と 読むと、月の 1 日目の ことです。「五月一日に 会おう」の 「一日」は、「ついたち」と 読みます。

「生物」は、「せいぶつ」と 読むと、生きている ものぜんぶの ことです。「なまもの」と 読むと、にたり やいたり して いない 食べ物の ことです[7]。「いきもの」と 読む ことも あります。

「市場」も そうです。「いちば」は、魚や やさいを 売る 場所の ことです。「しじょう」も とりひきを する 場所を さしますが、「国内しじょう」の ように、売り買いの ひろがりや しくみを 言う ことも あります[8]。

では、「風車」は どうでしょう。「かざぐるま」は 子どもの おもちゃを、「ふうしゃ」は 風で 回って 力を とり出す そうちを さす ことも あります。ですが、じしょでは、どちらも 「風を 受けて 回る 羽根車」の ことです[9]。

「一日」は、「いちにち」と読めば24時間や終日のことです。「ついたち」と読めば、月の第1日のことです[6]。ほかに「ひとひ」「いちじつ」という読みも辞書にあります。

「生物」は、「せいぶつ」と読めば、動物や植物など生命をもつものの総称です。「なまもの」と読めば、加熱や乾燥をしていない食品、ことに魚類のことです。「いきもの」とも読み、生き物の意味です[7]。

「市場」は、「いちば」なら、商品を売買する場所です。「しじょう」なら、取引をする場のほか、売買の広がりや仕組みを抽象的にとらえた言葉としても使われます[8]。「魚市場」は「うおいちば」で、「国内市場」は「こくないしじょう」です。

「風車」は、「かざぐるま」とも「ふうしゃ」とも読みます。じしょでは、どちらも風を受けて回る羽根車ですが、「かざぐるま」は子どもの玩具、「ふうしゃ」は動力を得る装置の意味を中心に説明されています[9]。

「一日」は、「いちにち」(一昼夜、終日)、「ついたち」(月の第1日)、「ひとひ」(終日、先日など)、「いちじつ」(月の第1日、ある日)と、辞書に複数の読みが載る[6]。

「生物」は、「せいぶつ」(生命をもつものの総称)、「なまもの」(加工していない食品、とくに魚類)、「いきもの」(生命のあるもの)の3通り[7]。「市場」は、「いちば」(商品を売買する場所)と「しじょう」(取引をする場所のほか、取引が成り立つ領域を抽象的にとらえた概念)で、中心となる意味が分かれる[8]。

「風車」は、「かざぐるま」「ふうしゃ」のどちらでも、風を受けて回る羽根車を指す。ただし「かざぐるま」には玩具の意味が、「ふうしゃ」には動力装置の意味があり、読みで中心となる意味が偏る[9]。つまり、読みで意味が「完全に分かれる語」と、「重なる語」の間には、段階がある。

4. どうして 同じ 漢字に 読み方が いくつも あるの?

4. 同じ漢字に、読みが複数ある理由

4. 読みが複数ある理由 ── 音と訓、そして呉音・漢音

漢字は、もともと 中国の 文字です。日本人は、それを 日本語の ことばに あわせて 使いました。

「音読み」は、中国の 発音を まねた 読み方です。「訓読みくんよみ」は、漢字の 意味に あたる 日本語を 当てた 読み方です[10]。たとえば 「生」を 「なま」とか 「いきる」と 読むのは、訓読みくんよみです。

それに、音読みにも 中国の 時代や 場所で、ちがいが ありました。「男」は 「ナン」と 「ダン」、「明」は 「ミョウ」と 「メイ」と 「ミン」と 読めます[11]。

「人気」の 「ひとけ」の 「ひと」は 訓読みくんよみ、「にんき」の 「にん」は 音読みです。同じ 漢字でも、読み方の しゅるいが ちがうと、べつの ことばとして 使われて きました。

漢字はもともと中国の文字です。日本では、中国での発音をもとにした「音読み」と、漢字の意味にあたる日本語を当てた「訓読み」の、2種類の読み方が使われてきました[10]。

音読みの中にも、いくつかの層があります。日本に早く入った「呉音」、隋や唐の都の発音を伝えたとされる「漢音」、あとから伝わった「唐音」です[11]。たとえば「男」は呉音「ナン」・漢音「ダン」、「明」は呉音「ミョウ」・漢音「メイ」・唐音「ミン」です。

「人気」の「ひとけ」の「ひと」は訓読み、「にんき」の「にん」は音読みです。同じ漢字でも、読みの種類がちがうと、別々の言葉として使われてきました。

漢字の読みには、音読みと訓読みがある。音読みは中国語の発音に由来し、訓読みは漢字の意味にあたる日本語を当てたものである[10]。

音読みはさらに、呉音・漢音・唐音に分かれる。呉音は漢音以前に日本へ伝わった字音で、7世紀ごろまでに伝わったともされ、仏教関係の語に多い。漢音は隋・唐代の北方音を伝えたとされる。「明」は呉音ミョウ・漢音メイ・唐音ミン、「男」は呉音ナン・漢音ダンである[11]。

「人気」は、「にんき」の「にん」が音読み、「ひとけ」の「ひと」が訓読みである。読みが分かれた結果として意味が分かれたというより、別々の語が同じ表記に重なった、と見ることもできる。

5. 読み方は どう 決まるの? いみが かわらない ことばも ある

5. 読み分けの手がかりと、読みが分かれても意味が変わらない言葉

5. 読み分けの手がかりと、意味が変わらない読みの揺れ

読み方は、文の 前後で 決まります。「人気」の ばあいは、「人気者」「人気が 出る」なら にんきです。「人気の ない 路地」なら ひとけと 考えられます。ただし 「人気の ない」だけだと、どちらにも 読めます。

反対に、読み方が ちがうのに 意味が かわらない ことばも あります。「日本」は、「にほん」とも 「にっぽん」とも 読みます。どちらか 1つに 決めなくても よい、と 2009年に 国は 国会で 答えました[12]。

読みで 意味が かわる ことばは、読む 人が まよう ことも あります。ですから、書く ときは、前後の 文で 読み方が はっきり するように すると、読む 人が こまりません。

読み分ける手がかりは、前後の文です。「人気者」「人気が出る」なら「にんき」、「人気のない路地」「人気を感じない」なら「ひとけ」、と考えられます。それでも、「人気のない」だけでは、どちらにも読めます[2]。

逆に、読みが分かれても意味が変わらない言葉もあります。「日本」は「にほん」とも「にっぽん」とも読み、どちらも広く通用しています。2009年に政府は国会で、「どちらか一方に統一する必要はない」と答弁しました[12]。

書くときの工夫もできます。読みで意味が変わる言葉は、「ひとけのない」のように、ひらがなにすれば読み間違いを避けられます。

読み分けの手がかりは、前後の文脈である。「人気者」「人気が出る」なら「にんき」、「人気を感じない」なら「ひとけ」と判断できる。しかし、「人気のない店」のように、どちらの読みも成り立つ文では、文脈なしには決まらない[2]。

読みが2つあっても意味が変わらない例もある。「日本」は「にほん」「にっぽん」の両方が使われ、2009年に政府は国会答弁で、どちらも広く通用しており一方に統一する必要はないとした[12]。読みが複数あることと、意味が分かれることは別の問題である。

書き手にできる工夫は、読みで意味が変わる語を、ひらがなに開くか、文脈を足すことである。辞書は、読みごとの意味を別の項目として示している。

6. じぶんでも さがして みよう

6. 自分で探してみたくなったら

6. 自分で探してみたくなったら

いえに ある 本や しんぶんで、「人気」「上手」「下手」「一日」「生物」「市場」を さがして みましょう。見つけたら、読み方を 考えて 声に 出して 読んで、文の 前後に 合う 読み方を えらびます。

国語辞典こくごじてんが あれば、「上手」を ひいて、いくつの 読みが 出て いるか 数えて みましょう。

家にある本や新聞で、「人気」「上手」「下手」「一日」「生物」「市場」を探してみましょう。見つけたら、読み方を考えて声に出して読み、前後の文に合う読み方を選びます。

国語辞典があれば、「上手」の項目で、読みがいくつ載っているかを数えてみましょう。辞書によって、載せる順番や説明の切り方が違うかもしれません。

この記事で調べたのは、ごく一部です。「大事」「見物」「人間」など、ほかにも読み分けのある言葉は多くあります。

国語辞典やコトバンクで、「人気」「上手」「下手」「一日」「生物」「市場」の項目を読み比べると、読みごとに別の項目に分けて意味を載せていることが分かる。辞書によって意味の分け方や順序が違う点にも注目できる。

さらに、「見物」「大事」「人間」など、読みで意味が分かれる語を自分で探して、辞書の記述と照らし合わせると、読み分けの手がかりが文脈のどこにあるかを具体的に確かめられる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

この記事の説明に使った資料です。辞書の記述は、国語辞典のデータベース「コトバンク」で読みました。

  1. コトバンク「人気」(デジタル大辞泉、精選版 日本国語大辞典ほか)。 https://kotobank.jp/word/%E4%BA%BA%E6%B0%97-110785 (「にんき」「じんき」「ひとけ」の読みごとの意味)
  2. TKG Japanese-English Learner's Dictionary「人気(にんき)」。 https://www.tkgje.jp/entries/01000/01488_ninki.html (「人気のない」が読みによって意味が変わり、文脈で判断する、という説明。日英の学習者向け辞書)
  3. コトバンク「大人気」。 https://kotobank.jp/word/%E5%A4%A7%E4%BA%BA%E6%B0%97 (「おとなげ」の意味と、「大人気ない」の形)
  4. コトバンク「上手」(デジタル大辞泉、精選版 日本国語大辞典ほか)。 https://kotobank.jp/word/%E4%B8%8A%E6%89%8B (「じょうず」「うわて」「かみて」の意味。舞台の「かみて」が客席から見て右側であること)
  5. コトバンク「下手」。 https://kotobank.jp/word/%E4%B8%8B%E6%89%8B (「へた」「したて」「しもて」の意味。舞台の「しもて」が客席から見て左側であること)
  6. コトバンク「一日」。 https://kotobank.jp/word/%E4%B8%80%E6%97%A5-45036 (「いちにち」「ひとひ」「ついたち」「いちじつ」の意味)
  7. コトバンク「生物」。 https://kotobank.jp/word/%E7%94%9F%E7%89%A9 (「せいぶつ」「いきもの」「なまもの」の意味)
  8. コトバンク「市場」。 https://kotobank.jp/word/%E5%B8%82%E5%A0%B4 (「いちば」「しじょう」の意味)
  9. コトバンク「風車」。 https://kotobank.jp/word/%E9%A2%A8%E8%BB%8A (「かざぐるま」「ふうしゃ」の意味)
  10. コトバンク「訓読み」。 https://kotobank.jp/word/%E8%A8%93%E8%AA%AD%E3%81%BF (訓読みと音読みの定義)
  11. コトバンク「呉音」(マイペディア、世界大百科事典ほか)。 https://kotobank.jp/word/%E5%91%89%E9%9F%B3 (呉音・漢音・唐音の説明と、「明」「男」の読み分け)
  12. コトバンク「日本」(日本大百科全書)。 https://kotobank.jp/word/%E6%97%A5%E6%9C%AC-107034 (「にほん」「にっぽん」の読みと、2009年の政府答弁)

なおした ところ

更新履歴

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