1. こんぶの はじまりは、どんな すがた?
1. 食べるコンブの前に、目に見えにくい姿がある
1. 1mmに満たない配偶体と、数mの胞子体 ── 交代する2つの姿
おおきな こんぶの はっぱには、なつごろ、ぽつぽつと はんてんが できます。そこから ちいさな たねが、うみに ほうりだされます[1]。
たねが いわや つなに くっつくと、めを だします。でも まだ、こんぶの かたちでは ありません。1ミリにも ならない すがたで、なつから あきを すごします[1]。
ふゆに なると、そのなかで たまごと せいしが できて、くっついて、あたらしい こんぶの めに なります[1]。
では、そこから どれくらい たてば、たべる こんぶに なるのでしょう。
マコンブの場合、夏ごろから、大きなコンブの葉の表面に「子嚢斑(しのうはん)」という斑点ができます。ここから「遊走子(ゆうそうし)」というタネが海に放たれます[1]。
タネが岩やロープに付いて芽を出すと、雄か雌の「配偶体(はいぐうたい)」になります。大きさは1ミリにも満たず、夏から秋にかけて、コンブはこの姿で過ごします[1]。
冬になると、それぞれの配偶体から卵と精子ができて受精し、芽が「胞子体(ほうしたい)」、つまり私たちが知っている大きなコンブになっていきます[1]。1ミリ未満の世代と数メートルの世代が、入れかわりに現れる生き物です。時期は海域や年で幅があります。
では、芽が出てから食べられる大きさになるまでに、どれくらいかかるのでしょうか。
2. たべる こんぶは、なんねんめの はっぱ?
2. 食べているのは、何年目のコンブなのか
2. 1年目の葉は枯れ、残った部分から2年目の葉が育つ ── 寿命と種・海域の差
ふゆに うまれた こんぶは、なつごろまで おおきく なります。そのあと、はっぱの さきから かれて、だんだん みじかく なります[1]。
でも、ぜんぶ なくなる わけでは ありません。のこった ところから また はえて、2ねんめの こんぶに なります[1]。
りしりこんぶでは、たべるのは おもに 2ねんめの はっぱです[7]。1ねんめの はっぱは、しつが おとると いわれます[7]。
ただし、どこの こんぶも 2ねんとは かぎりません。とうほくより みなみでは、なつの おんどで ぜんぶ かれて、1ねんで おわる ことが おおいそうです[5]。
冬に生まれた1年目のコンブは、夏ごろまで伸びます。その後は葉の先から枯れて、徐々に短くなります[1]。それで終わりかというと、生き残った個体は残った部分から再生し、2年目のコンブになります[1]。北海道の沿岸では、葉の付け根にある成長点が再び動き出し、2年目の葉を新しくつくると説明されています[5]。
天然のコンブとして漁獲されるのは、主にこの2年目です[1]。農林水産省のリシリコンブの紹介では、食用にされるのは主に2年目の海藻で、1年目の葉は品質が劣るため、枯れたあとに生える2年目の葉を収穫するとされます[7]。天然のリシリコンブの漁は、7月上旬から8月末ごろまでの約2か月です[7]。
ここまでが、題名の問いへの大きな答えです。
ただし「2年」はどのコンブにも当てはまるわけではありません。リシリコンブの寿命は2年ですが[4]、東北以南では夏の高い水温で体全体が枯れ、1年で終わることが多いとされます[5]。
それにしても、コンブはどうして冬に大きくなれるのでしょうか。
1年目の胞子体は夏ごろまで生長し、その後は葉状部の先端から枯れて短くなる。枯死せずに生き残った個体は、残存部分から再生して2年目の胞子体になり、天然コンブとして漁獲されるのは主にこの2年目である[1]。北海道沿岸では、成長点が再び活動して2年目の葉をつくる。一方、東北以南では、夏の高水温で体全体が枯れ、1年で終わることが多い[5]。
食用の側から見ると、理由はさらにはっきりする。農林水産省のリシリコンブの紹介では、食用にされるのは主に2年目の海藻で、1年目の葉は品質が劣る(水こんぶ)ため、枯れたあとに生える2年目の葉を収穫する。天然リシリコンブの漁期は7月上旬から8月末ごろの約2か月である[7]。
題名の問いへの骨格は、ここまでで出そろう。夏から秋は配偶体、冬に受精、胞子体は夏ごろまで伸びて、再生した2年目の葉を収穫する。ただし2年というのは種や海域で異なり、リシリコンブの寿命は2年である一方[4]、全種に当てはまるわけではない。
では、胞子体の成長は、なぜ季節としては冬から始まるのか。
3. こんぶは、どうして ふゆに おおきく なれるの?
3. 北海道日本海南部の冬の海では、コンブの栄養が増える
3. 北海道日本海南部の冬の鉛直混合と栄養塩 ── 使える期間はどこまでか
ふゆの うみは つめたいので、おもての みずが しずみます。すると、ふかい ところに あった えいようが、うえに あがって きます[2]。
この えいようは、11がつの なかごろから ふえて、1〜2がつに いちばん おおく なります[2]。
2がつの おわりから 3がつに なると、ちいさな プランクトンが ふえて、えいようを つかって しまいます。こんぶが つかえるのは、はじめの ふゆから そのころまでです[2]。
これは、ほそめこんぶを おもに しらべた ほっかいどうの うみの はなしです。ほかの こんぶや うみでは、すこし ちがう かもしれません[2]。
冬は海面が冷えて沈み、深い所にあった栄養塩(植物が育つのに必要な窒素などの養分)が表層に上がってきます[2]。
北海道の日本海南部の泊(とまり)沿岸では、栄養塩は11月の中旬から下旬ごろから増え、1〜2月にピークを迎えます[2]。コンブの配偶体が成熟して芽を出すのに必要な硝酸態窒素の濃度は、5μM(1リットルの海水に5マイクロモル)ほどが目安で、過去15年のうち8年は5μMを超えず、資料は約2年に1回、必要な栄養塩が供給されなかったとしています。ただし、冬の観測は1〜2回に限られます[2]。
さらに2月下旬から3月になると、植物プランクトンが大発生して栄養塩が使われます。コンブが使えるのは、初冬からその時期までの限られた期間です[2]。
成熟には栄養の蓄えも関わります。マコンブが子嚢斑をつくるには水温・光・栄養などの条件が必要で、組織に窒素などをためておく必要があるとされます。近年は海の環境の変化で、成熟の時期が年々遅れているという報告もあります[3]。
ただしこの5μMの数字は、ホソメコンブを念頭に置いた、北海道日本海南部の資料です。マコンブやリシリコンブ、他の海域に、そのまま当てはめることはできません。
栄養が増えるのは、冬の海です。では、増えた栄養を使って、コンブはどこから伸びるのでしょうか。
冬の海面が冷えて沈むと、深い所の栄養塩が表層に上がる(鉛直混合)。北海道日本海南部の泊沿岸の資料では、栄養塩は11月中旬から下旬に増え始め、1〜2月にピークとなる[2]。
このとき重要なのは、必要な濃度に届くかどうかである。コンブ配偶体の成熟・発芽に必要な硝酸態窒素濃度は5μM(1Lあたり5μmol)程度が目安で、泊沿岸の過去15年のうち8年は5μMを超えず、資料は約2年に1回必要な栄養塩が供給されなかったとしている。冬の観測は1〜2回に限られる。さらに2月下旬から3月に植物プランクトンが大発生すると栄養塩が消費されるため、コンブが利用できるのは初冬からこの時期までに限られる。1月前半は配偶体の成熟から幼胞子体の発芽期、後半以降は胞子体の成長期とされている[2]。
成熟側の条件にも栄養が関わる。マコンブが成熟して子嚢斑をつくるには、水温、光、栄養などの条件が必要で、組織中に窒素などの栄養分を蓄積させる必要がある。近年は海洋環境の変化により、成熟の時期が年々遅れている[3]。
この5μMは、ホソメコンブを念頭に置いた北海道日本海南部の記述であり、目安である。マコンブやリシリコンブ、他海域で同じとは限らない。ここから、冬の栄養は「たくさんある」のではなく「使える期間が限られる」と読むのが資料に沿う。
栄養が決まった期間に集中するなら、その間にどこで体を大きくするかが、コンブにとって重要になる。
4. こんぶは、さきと ねもと、どっちが のびるの?
4. 伸びるのは先端ではなく、葉の付け根
4. 成長点は葉の下端にある ── 介在成長と、1日1.6cmの意味
こんぶは、はっぱの さきが のびて いそうです。でも、ちがいます。のびるのは、はっぱの したの はしの、くきに ちかい ところです[5]。
そこで あたらしい さいぼうが ふえて、うえの ぶぶんを おしあげて いきます。だから、さきの ほうが ふるく、したの ほうが わかい はっぱです[5]。
りしりこんぶは、2ねんめの 5〜6がつに いちばん おおきく なります。そのころは、1にちに 1.6センチも のびます[4]。
じょうぎで 1.6センチを みて みましょう。この はやさが 30にち つづけば、48センチです。ただし、いちばん のびる じきの かずで、1ねん じゅうでは ありません。
コンブの成長点は、葉の下端、茎との境目あたりにあります。ここで細胞分裂が起こり、上の部分が押し上げられていきます[5]。このような伸び方を「介在成長(かいざいせいちょう)」といいます。
そのため、葉は先端ほど古く、付け根に近いほど若くなります[5]。先端は、そのコンブがいちばん早くつくった部分です。
伸びる速さを示す資料もあります。北海道の「お魚図鑑」によれば、リシリコンブは2年目の5〜6月に長さ・重量とも最大になり、この時期は1日に約1.6cm伸びます[4]。もしこの速さが30日続けば、約48cmです。ただしこれはリシリコンブの最盛期の値で、コンブ全般や1年じゅうの速さではありません。
こうして伸びた葉は、海の中でどうやって流されずにいるのでしょう。そして、栄養はどこから受け取るのでしょうか。
コンブの成長点は葉の下端、茎との移行部付近にある。ここで細胞分裂が起こり、上部が押し上げられる。この成長法を介在成長という[5]。先端が伸びる成長とは反対で、葉は先端ほど古く、基部に近いほど若い。
この構造から、夏に葉の先から枯れて短くなる現象も説明しやすい。古い組織のほうが先に傷み、新しい組織は基部側で作られ続けるためである。ただし資料がこの因果を直接述べているわけではなく、読み手の推測にとどまる。
伸びる速さは種で異なる。北海道水産林務部の資料では、リシリコンブは寿命が2年で、2年目の5〜6月に長さ・重量が最大となり、1日あたり約1.6cm伸びる。通常は岩礁地帯の水深1〜7mに生育する[4]。5〜6月を約60日として単純に計算すると約96cmになる。ただし、これは最盛期の値を延ばした上限側の見積もりで、期間じゅう同じ速さで伸びるとは限らない。マコンブなど他種の速さは、今回の資料からは示せない。
伸びる位置と速さが分かったので、次は、伸びた葉を支える側に目を向ける。根のように見える部分は、何をしているのか。
5. こんぶの 「ね」は、ほんとうの ねっこ?
5. 根のように見える部分は、何をしているのか
5. 付着器は根ではない ── 固定の器官と、栄養塩フラックス
こんぶの したの ほうに、ねっこの ような ものが あります。でも、くさや きの ねっことは ちがう ものです[6]。
この ぶぶんの やくめは、いわに しっかり くっついて、からだを とめる ことです[6]。くさや きに ある、みずを はこぶ くだは ありません。
えいようは、はっぱの ひょうめんに あたる りょうで かんがえる ほうが よい とされて います。ながれが つよいと、うすい うみの みずでも、たくさん あたります[2]。
コンブの根のように見える部分は「仮根(かこん)」、大型の褐藻では「付着器(ふちゃくき)」と呼ばれます。仮根が集まった偽組織で、役目は岩などに体を固定することです[6]。陸上植物の根とは水を運ぶ管(維管束)もなく、外見と役目こそ根に似ていますが、体のつくりとしては別物です[6]。
それなら、栄養はどこで受け取るのでしょうか。道総研の資料によると、コンブが得られる栄養塩は、海水中の濃度だけでなく、単位時間に藻体表面に当たる量で評価するほうが適切です。これは「栄養塩フラックス」と呼ばれ、「濃度×流速」で表せます[2]。
この式を読むと、濃度が低い海水でも、流れが速ければ、体の表面に当たる栄養の量が増えます。付着器が栄養を吸収する主役だと決めつけることは、資料からはできません。
では、固定された岩の上に、次の世代のタネはどこから届くのでしょうか。
コンブの根に見える部分は仮根で、大型褐藻では付着器(holdfast)と呼ばれる。仮根が集まった偽組織であり、維管束はなく、陸上植物の根とは外見と役目こそ根に似るが、体のつくりとしては別物である[6]。
では栄養吸収はどうなるのか。海水中の濃度のみで考えるのは不十分で、単位時間に藻体表面に当たる栄養塩量で評価するほうが適切とされる。これが栄養塩フラックスで、「濃度×流速」で表せる[2]。たとえば濃度が同じなら、流速が2倍の場所では、藻体表面に当たる栄養塩の量も約2倍になる。
ここで読み方に注意がいる。資料は栄養塩の評価に藻体表面を使うことを述べているが、付着器が栄養を吸わないとまでは述べていない。「付着器は主に固定用」という役割の説明と、「栄養は藻体表面に当たる量で評価する」という評価法を、混ぜずに別の話として読む必要がある。
体を固定し、栄養を表面で受けるコンブにとって、次の世代がどこに根づくかは、別の問題になる。タネは、どこまで届くのか。
6. こんぶの たねは、どこまで とどくの?
6. コンブのタネは、遠くまでは届かない
6. 遊走子の拡散範囲 ── 数百mという限界と、プレートの実験
こんぶの たねは、うみに ちらばります。でも、とおくまでは いけません。おおきな なかまの むれから でも、とどくのは すうひゃくメートルほどです[2]。
ようしょくじょうの しけんでは、たねの ふくろから 1〜3メートルの はんいに おもに みられ、5メートル いじょう はなれると ぐっと へりました[1]。ただ、うみの ながれで かわる ひとつの しけんです。
ちかくに おや こんぶが いなくて、こんぶが はえて いなかった ばしょに、たねを つけた いたを おきました。すると、つぎの はるに、こんぶが はえました[2]。
海に放たれた遊走子は、思ったほど遠くへ行けません。広がる範囲は群落の規模に比例し、比較的大きな群落でも数百メートル程度とされます[2]。
養殖場での試験では、子嚢斑のある母藻を袋に入れて海へ入れたところ、遊走子は袋から主に1〜3mの範囲で見られ、5m以上離れると著しく減りました[1]。ただし、これは1つの養殖場での試験で、場所の流れの影響を受けます。この数字を一般の値にはできません。
タネが届かないと、どうなるでしょうか。周囲に母藻がなく、遊走子が届かない磯焼けの場所に、タネをくっつけたプレートを置いてみました。すると次の春、少しだけですが、コンブが育ちました[2]。この例では、近くに母藻がない場所にタネを運ぶと、コンブが生えました。
この例では、タネの届く範囲が狭いことが分かります。では、人が手を貸すと、育てる時間はどう変わるのでしょうか。
遊走子は海中に拡散するが、その範囲は群落の規模に比例し、比較的大きな群落からでも数百m程度しか広がらない[2]。拡散範囲の小ささは、養殖場の試験でも確かめられている。子嚢斑のある母藻を入れた袋(スポアバッグ)から、遊走子は主に1〜3mの範囲に見られ、5m以上離れると出現数は著しく低下した[1]。ただし、これは1つの養殖場での1試験で、流れの影響を受けるため、一般値として扱えない。
ここから、周囲に母藻がなければ、タネは届かないはずだという予測が立つ。実際、周囲に母藻がなく遊走子が届かない磯焼けの場所に、タネを付着させたプレートを設けると、次の春に、規模は小さいがコンブが育った[2]。タネの供給が不足していたことが、少なくともこの場所で生えない理由の一部だったと読める。
なお、数百mとスポアバッグの1〜3mは、対象も条件も異なる数字で、同じ物差しでは比べられない。前者は天然の群落が広げる範囲、後者は袋1つから出た遊走子の観察であり、桁の違いは条件の違いと見るのが妥当である。
天然のコンブがタネの届く範囲に依存するなら、人間がタネを運べば、育つ時間を短縮できるのか。養殖の工程を見る。
7. ひとの てを かりると、どれくらいで とれるの?
7. 人の手で育てると、どれくらいで収穫できるのか
7. 促成養殖の工程 ── 母藻の遊走子から約10か月の収穫まで
ようしょくでは、ひとが たねを あつめます。2ねんめの こんぶの たねを いとに つけて、すいそうで 2〜3しゅうかん そだてると、すう ミリの なえに なります[1]。
この なえを 10〜11がつごろ うみに おろし、つぎの 7〜8がつごろ とります。やく 10か月です[1]。
しぜんの こんぶは 2ねんめの なつに とります。ようしょくでは、それより みじかい じかんで とれます。
促成養殖では、8〜9月に子嚢斑ができた天然の2年目の母藻から、遊走子を集めます。これを糸に付け、水槽で2〜3週間培養すると、数ミリの種苗になります[1]。
種苗は10〜11月ごろに沖の養殖施設へ設置され、翌年の7〜8月ごろまで育てて収穫されます[1]。設置から収穫までは、約10か月です。
天然では、胞子から数えて2年目の夏に漁獲されるのが基本でした。人が配偶体の時期を水槽で面倒を見て、種苗を海に置くことで、収穫までの時間が短くなります。養殖の話は促成養殖のもので、天然の育ち方と同じではない点には気をつけたいところです。
ここまでで、見えない姿から収穫までの流れが分かりました。最後に、身近なもので確かめられることを見てみましょう。
促成養殖では、8〜9月に子嚢斑を形成した天然の2年目の母藻から遊走子を採取し、糸に付着させる。室内の水槽で2〜3週間培養すると、配偶体を経て微細な胞子体が生じ、数mmの種苗になる[1]。この種苗は概ね10〜11月ごろに沖の養殖施設に設置され、翌年7〜8月ごろまで養成して収穫される。設置から収穫まで約10か月である。
天然のコンブが2年目を収穫するのに対し、この方法は、自然界では海中で起こる配偶体の時期と受精を、水槽の管理下に移している。種苗の設置が10〜11月、栄養塩の増加が11月中旬以降という時期の重なりは、資料からは事実として並べられるが、設置時期がその栄養と結びついて決められたとまでは述べられていない。
なお養殖で述べた約10か月は促成養殖の工程であり、天然の2年とは別物である。「コンブは養殖すると1年で育つ」と一般化するのは、資料の範囲を超える。種や海域の違いも、本文の各所で述べたとおり大きい。
ここまでの工程は、数字を自分の手で計算し直すことで、より実感できるようになる。
8. こんぶの はやさを、じょうぎで たしかめて みよう
8. 1日1.6センチを、定規で確かめてみる
8. 数字を自分の手で確かめる ── 1日1.6cmと、資料の読み方
おうちの じょうぎで、1.6センチの ながさを はかって みましょう。これが、りしりこんぶの いちばん よく のびる じきの 1にち ぶんです[4]。
1しゅうかんなら、1.6に 7を かけて、11.2センチです。じょうぎを つなげて ならべると、どれくらいか わかります。
おいしい だしこんぶを つかう とき、「この こんぶは、ふゆの うみで おおきく なったのかな」と おもいだして みて ください。
1日1.6センチは、定規があれば自分の目で確かめられる長さです。リシリコンブが最もよく伸びる時期の値なので、1週間なら約11.2cm、30日なら約48cmと計算できます[4]。
だしこんぶや、お店で売っているコンブを見る機会があれば、その長さや幅を測ってみるのもよいでしょう。店で売られているコンブは収穫後の姿で、育った期間や種類は袋の表示だけでは分からないことが多いため、1.6cmとの比較はあくまで目安です。
もっと読みたくなったら、この記事の出典にある北海道立総合研究機構の「北水試だより」が手がかりになります。水産試験場の研究者が、コンブの育ち方や磯焼けの研究を、一般向けに書いています。
この記事で使った数字のうち、読者が自分で再計算できるものがいくつかある。たとえば、リシリコンブの1日1.6cmは、30日で約48cm、60日で約96cmである。ただしこれは最盛期の値を延ばした上限側の見積もりで、通年の成長量ではない。
数字を読むときの確認事項を整理しておく。5μMはホソメコンブを念頭にした目安で、種・海域が異なれば同じとは限らない。数百mは群落規模に比例した範囲、1〜3mはスポアバッグの1試験の観察で、条件が異なる。約10か月は促成養殖、天然は2年目を収穫する。それぞれ、対象の種と条件が資料で限定されている。
出典欄にある資料はいずれも一般向けに書かれている。気になったものをひとつ選んで読んでみると、本文で取り上げなかった工程や、他種の記述も載っている。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
出典について:北海道立総合研究機構・北海道・農林水産省の資料を主に使い、百科事典の項目は、成長点や仮根など一般的な説明に補助的に使いました。何に使ったかは、それぞれの項目に書いています。
- 北海道立総合研究機構 水産試験場「北水試だより」96号 前田(2018)道南海域のコンブ漁業。https://www.hro.or.jp/upload/41186/dayori961konbu.pdf (生活環、1年目・2年目、促成養殖の工程、遊走子の広がりの試験)
- 北海道立総合研究機構 水産試験場「北水試だより」104号(2022)磯焼け研究のこれまで、これから。https://www.hro.or.jp/upload/55991/dayori104-04.pdf (冬の栄養塩、栄養塩フラックス、遊走子の拡散範囲。ホソメコンブを念頭にした記述を含む)
- 北海道立総合研究機構 函館水産試験場「試験研究は今」No.1032 マコンブ成熟誘導技術。https://www.hro.or.jp/upload/54377/ima1032.pdf (成熟に必要な条件と、成熟時期の変化)
- 北海道水産林務部「北海道お魚図鑑 リシリコンブ」。https://www.pref.hokkaido.lg.jp/sr/gid/fis091.html (リシリコンブの寿命、最盛期の伸びる速さ、生育水深)
- 日本大百科全書・世界大百科事典「コンブ」(コトバンク)。https://kotobank.jp/word/%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%96-67549 (成長点の位置と介在成長、地域による寿命の違い。百科事典の項目)
- デジタル大辞泉・世界大百科事典「仮根」(コトバンク)。https://kotobank.jp/word/%E4%BB%AE%E6%A0%B9-44045 (仮根・付着器が根と対応しないこと。百科事典の項目)
- 農林水産省 aff(あふ)達人レシピ「リシリコンブ」。https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2009/producer01.html (食用になるのは2年目の葉であること、漁期)
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