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にゅうさんきんいんりょうは、どうやって つくるの?

乳酸菌飲料はどうやって作るの? ── 砂糖を足して置いたら味がよくなった、が始まりだった

乳酸菌飲料の作り方 ── 砂糖を足して置いたら味がよくなった発見から、乳等省令の区分まで

分野:技術

あまい 白い のみものの もとは、モンゴルの すっぱい 乳ちちだったと いわれます。そこに さとうを たして 1〜2日 おいたら、あじが よく なった。その はっけんが、カルピスの はじまりでした。

どうして すっぱい 乳ちちが、あまくて のみやすい のみものに なるのでしょうか。つくり かたの すじみちが わかります。

カルピスの始まりは、モンゴルの遊牧民が日常的に飲む、酸っぱい乳だったとされています。そこに砂糖を加えて1〜2日置いたら、味がよくなった。その気づきが、日本初の乳酸菌飲料につながりました。

乳酸菌飲料は、どんな材料を、どう変えて作るのでしょうか。発酵の筋道と、乳の成分の量で名前が分かれる決まりまでが分かります。

1919年に発売されたカルピスは、日本初の乳酸菌飲料とされる[1]。きっかけは、内モンゴルで勧められた酸乳と、発酵させた脱脂乳に砂糖を加えて1〜2日置いたら味がよくなったという気づきだった[1]。

乳を発酵させる工程は何を変え、砂糖や酵母は何のために加えるのか。その筋道と、乳の成分量によって呼び名が分かれる区分(乳等省令)の考え方が分かる。

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1. すっぱい 乳ちちを のんだら、げんきに なった?

1. 体調をくずした人が、酸っぱい乳で元気になった話

1. 三島海雲は、内モンゴルで勧められた酸乳から着想を得た

カルピスを つくった 人の なまえは、三島海雲(みしま かいうん)と いいます。むかし、モンゴルへ いった とき、からだの ちょうしが わるく なりました。

そこで すすめられたのが、馬や 牛の 乳ちちを、乳酸菌にゅうさんきんで 発酵はっこうさせた「さんにゅう」です。モンゴルの 人たちが ふだんから のむ ものでした。のんだら げんきに なったと、三島が はなした おはなしです[1]。さんにゅうが からだに よいと きまった わけでは ありません。

三島は、この ちからを 日本の 人にも とどけたいと かんがえたと されます。ただし、いつ ごろの 話かは、しりょうに よって ばらつきが あります。

三島海雲は、内モンゴルで体調をくずしたとき、現地の遊牧民が日常的に飲む「酸乳」を勧められたと伝えられています。馬や牛の乳を乳酸菌で発酵させた飲み物で、飲んだら元気になったそうです[1]。これは三島自身にまつわる逸話で、酸乳に体調を治す効果があると言っているわけではありません。

三島は、この力を日本に伝えたいと考えたとされます。ただ、モンゴルを訪れた年は資料によって1902年から1908年までとばらつくため、ここでは年を決めずにおきます。

では、日本に持ち帰った酸っぱい乳を、どうやって飲み物にしたのでしょうか。

三島海雲は、内モンゴルで体調を崩した際、遊牧民が日常的に飲む馬や牛の乳の酸乳を勧められて回復し、その力を日本に伝えたいと考えたとされる[1]。これは三島にまつわる逸話であり、酸乳の効果を示す根拠ではない。酸乳とは、乳を乳酸菌で発酵させたものである。

この訪問の年は、資料によって1902〜1908年とばらつくため、年は確定させない。確かなのは、発売が1919年という点である[1]。訪問から発売までは10年以上あいた計算になる。つまり、モンゴルで飲んだものがそのまま商品になったのではなく、日本で飲み物として成り立たせる試行の時間があったと読める。では、その試行は何を変えたのか。

2. 乳ちちは、どうやって すっぱく なるの?

2. 乳を乳酸菌にあずけると、何が起きるのか

2. 脱脂乳を乳酸菌で発酵させるとき、温度を管理する

つくり かたの はじまりは、乳ちちに 乳酸菌にゅうさんきんを まぜて、しばらく おく ことです。これを 発酵はっこうと いいます。

乳酸菌にゅうさんきんは、あたたかい ところが すきです。ヨーグルトの なかまを つくる 工場では、大きな タンクの 中を 40〜45℃に します[3]。おふろより すこし あつい くらいです。

カルピスの ばあいは、あぶらを とった 乳ちち(だっしにゅう)を つかって、乳酸菌にゅうさんきんで 発酵はっこうさせます[1]。

ただし 40〜45℃は、ヨーグルトの ばあいの 数です。カルピスや ほかの のみものが 同じとは かぎりません。

発酵とは、菌の働きで乳が変わること

乳酸菌飲料づくりの出発点は、乳に乳酸菌を加え、菌が活動しやすい温度で置くことです。菌が乳の中の成分を使って増え、乳酸などを作ります。これが発酵です。

ヨーグルト類の工場の例では、発酵タンクの中を乳酸菌が活動しやすい40〜45℃にします[3]。体温より少し高い温度で、菌にとって居心地のよい環境をつくるわけです。

カルピスは脱脂乳を使う

カルピスは、乳から脂肪を除いた脱脂乳を乳酸菌で発酵させて作られたと説明されています[1][2]。ただし40〜45℃は、ヨーグルト類の例です。カルピスの製造条件そのものではない点に注意が必要です。

ここまでは「酸っぱい乳」です。三島はここから、もう一歩進みました。

乳酸菌飲料の原点は、乳を乳酸菌で発酵させる工程にある。ヨーグルト類の製造例では、原料に乳酸菌を加えて混ぜ、発酵タンクを乳酸菌の活動しやすい40〜45℃に保つ[3]。温度を管理するのは、菌の増える速さと、できあがる味や酸味の出方が温度に左右されるからである。

カルピスは、脱脂乳を乳酸菌で発酵させたものから出発する[1][2]。脱脂乳を使う点は、後に述べる区分の「無脂乳固形分」とも関わる。ただし、40〜45℃という温度はヨーグルト類の例であって、カルピスやほかの乳酸菌飲料の製造条件ではない。

では、発酵させただけの酸乳が、なぜ日本で受け入れられる飲み物に変わったのか。転機は、砂糖を加えたことにあった。

3. さとうを くわえて おいたら、どう なった?

3. 「砂糖を足して置く」で、味がよくなった

3. 砂糖を加えて置くと味がよくなり、酵母の追究を経てカルピスが完成した

三島は、乳酸菌にゅうさんきんで 発酵はっこうさせた 乳ちちに、さとうを くわえて、1〜2日 おいて みました。すると、あじが よく なった のです[1]。

これは おどろきでした。すっぱいだけだった 乳ちちが、のみやすい あじに なったからです。

そこで 三島は、さとうの わりあいや、酵母こうぼの しゅるい、発酵はっこうや おいて おく ときの じょうけんを、なんども しらべました[1]。

こうして 1919年に、日本で はじめての 乳酸菌にゅうさんきんいんりょうとして、カルピスが うまれました[1]。その日は 七夕でした。

気づきは「置いてみたら」だった

三島は、乳酸菌で発酵させた脱脂乳に砂糖を加え、1〜2日置くと味がよくなることに気づきました[1]。酸っぱいだけだった乳が、飲みやすい味になったのです。

その後は、砂糖の割合、酵母の種類、発酵や熟成の条件を、一つずつ変えて確かめていったとされます[1]。乳酸菌に加えて酵母も使い、研究を進めて完成させたという説明もあります[2]。

1919年の七夕に発売

こうして完成したカルピスは、1919年の七夕に、日本で初の乳酸菌飲料として発売されました[1]。1919年から数えると、100年あまりがたちました。

では、似た名前の飲み物は、何がちがうのでしょうか。

三島は、乳酸菌で発酵させた脱脂乳(資料では「醍醐素」と呼ばれる)に砂糖を加えて1〜2日置くと、味がよくなることに気づいた[1]。酸味だけの発酵乳が、砂糖を加えて置くと飲みやすい味になった。この観察が出発点になった。

その後は、砂糖の割合、酵母の種類、発酵・熟成の条件を追究し、カルピスを完成させたとされる[1]。乳酸菌に酵母を組み合わせて発酵させる研究が完成に結びついたとも説明される[2]。

こうして1919年の七夕、日本初の乳酸菌飲料として発売された[1]。この年にはカルシウムを加えて栄養価を高めたとされる[1]。1919年から本稿執筆の2026年までは107年である。

4. おなじ 「乳酸菌にゅうさんきんいんりょう」でも、なまえが ちがうのは なぜ?

4. 乳の成分の量で、飲み物の名前が分かれる

4. 乳等省令は、無脂乳固形分3.0%を境に呼び名を分けている

おみせには、「乳酸菌にゅうさんきんいんりょう」「にゅうせいひん乳酸菌にゅうさんきんいんりょう」など、にた なまえが ならびます。じつは、乳ちちの せいぶんが どれくらい はいって いるかで、なまえが わかれる きまりが あります[4]。

ヨーグルトの なかまは、乳ちちの せいぶんが いちばん おおく、いんりょうは それより すくない ものが 多いのです。

カルピスの なまえにも、ひみつが あります。「カル」は カルシウム、「ピス」は むかしの インドで つかわれた サンスクリット語から きたと いわれます[1]。

無脂乳固形分が3.0%かどうか

乳等省令(乳及び乳製品の成分規格などを定めた省令)の区分では、無脂乳固形分が3.0%以上のものが「乳製品乳酸菌飲料」、3.0%未満のものが「乳酸菌飲料」と分かれると説明されています[4]。ヨーグルトなどの発酵乳は、無脂乳固形分が8.0%以上です[4]。

8.0÷3.0を計算すると、約2.7倍です。無脂乳固形分の量によって、区分名が分かれます。菌の数に関する条件も区分には含まれますが、種類や殺菌の有無で異なるため、ここでは数字を示しません。

名前に残る材料

「カルピス」の「カル」はカルシウム、「ピス」はサンスクリット語の「サルピス」(熟酥)に由来するとされます[1]。発売の1919年には、カルシウムを加えて栄養価を高めたといいます。

乳等省令に基づく区分では、乳製品乳酸菌飲料は無脂乳固形分3.0%以上、乳酸菌飲料は3.0%未満とされ、発酵乳(ヨーグルト類)は8.0%以上である[4]。8.0÷3.0=約2.7倍の開きがあり、同じ「乳酸菌」を名乗る飲み物でも、乳由来の成分の量で呼び名が変わる。

この区分には乳酸菌数・酵母数の条件も付くが、種類や、発酵後に殺菌するかどうかで条件が異なるため、本稿では数値を示さない。

「カルピス」の名は、カルシウムの「カル」と、サンスクリット語の「サルピス」(熟酥)の「ピス」に由来するとされる[1]。名前に栄養素を入れた点にも、栄養価を高めて売り出した当時の意図が読める。

5. うちの 冷蔵庫れいぞうこで、さがして みよう

5. 冷蔵庫のラベルで「種類」を探してみる

5. 容器の表示で、種類別と無脂乳固形分を読む

おうちの ひとと いっしょに、冷蔵庫れいぞうこの 中を みて みましょう。ヨーグルトや 乳酸菌にゅうさんきんいんりょうの パックを 手に とります。

うらの ひょうじに、「しゅるいべつ」と いう 場所が あります。そこに かかれた なまえを よんで みましょう。「発酵はっこうにゅう」「乳酸菌にゅうさんきんいんりょう」など、パックに よって ちがいます。

ならべて みると、おなじ なかまなのに、なまえが わかれて いるのが わかります。

冷蔵庫や店の棚で、ヨーグルトや乳酸菌飲料のパックを手に取り、裏の表示を見てください。「種類別」の欄に、「発酵乳」「乳製品乳酸菌飲料」「乳酸菌飲料」などの名前が書かれています。

見た目が似ているのに、種類別の名前がちがうものが見つかるかもしれません。名前の差が、乳の成分の量や作り方の差を表している可能性があります。成分表示の「無脂乳固形分」の欄があれば、数字も見比べてみましょう。

家にある発酵乳・乳酸菌飲料の容器を見て、「種類別」の欄の名称を確かめるとよい。成分表示に無脂乳固形分が載っていれば、本稿の区分(3.0%・8.0%)と照らし合わせられる。

確かめた先の問いとしては、条文(乳等省令)そのものを読んで、本稿が数値を示さなかった菌数の条件がどう書かれているかを調べる道がある。公的機関の資料や、各社の公式の製法説明を読み比べると、同じ「乳酸菌飲料」の中の作り方の違いが見えてくる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本稿で参照した資料。製法や区分の数値は、資料により書き方が異なる場合がある。

  1. j-net21(中小企業基盤整備機構)「人気飲料」 https://j-net21.smrj.go.jp/special/populardrinks/2012010401.html (カルピスの誕生、発売年、気づき、名前の由来)
  2. 現代ビジネス(講談社)カルピスの記事 https://gendai.media/articles/-/141874 (乳酸菌と酵母の研究)
  3. 明治 ヨーグルトライブラリー https://www.meiji.co.jp/smartphone/yogurtlibrary/laboratory/yogurt/03/ (発酵タンクの温度の例)
  4. 厚生労働省 審議会資料 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000036782.pdf (乳等省令の区分の説明)

なおした ところ

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