1. すっぱい 乳を のんだら、げんきに なった?
1. 体調をくずした人が、酸っぱい乳で元気になった話
1. 三島海雲は、内モンゴルで勧められた酸乳から着想を得た
カルピスを つくった 人の なまえは、三島海雲(みしま かいうん)と いいます。むかし、モンゴルへ いった とき、からだの ちょうしが わるく なりました。
そこで すすめられたのが、馬や 牛の 乳を、乳酸菌で 発酵させた「さんにゅう」です。モンゴルの 人たちが ふだんから のむ ものでした。のんだら げんきに なったと、三島が はなした おはなしです[1]。さんにゅうが からだに よいと きまった わけでは ありません。
三島は、この ちからを 日本の 人にも とどけたいと かんがえたと されます。ただし、いつ ごろの 話かは、しりょうに よって ばらつきが あります。
三島海雲は、内モンゴルで体調をくずしたとき、現地の遊牧民が日常的に飲む「酸乳」を勧められたと伝えられています。馬や牛の乳を乳酸菌で発酵させた飲み物で、飲んだら元気になったそうです[1]。これは三島自身にまつわる逸話で、酸乳に体調を治す効果があると言っているわけではありません。
三島は、この力を日本に伝えたいと考えたとされます。ただ、モンゴルを訪れた年は資料によって1902年から1908年までとばらつくため、ここでは年を決めずにおきます。
では、日本に持ち帰った酸っぱい乳を、どうやって飲み物にしたのでしょうか。
2. 乳は、どうやって すっぱく なるの?
2. 乳を乳酸菌にあずけると、何が起きるのか
2. 脱脂乳を乳酸菌で発酵させるとき、温度を管理する
つくり かたの はじまりは、乳に 乳酸菌を まぜて、しばらく おく ことです。これを 発酵と いいます。
乳酸菌は、あたたかい ところが すきです。ヨーグルトの なかまを つくる 工場では、大きな タンクの 中を 40〜45℃に します[3]。おふろより すこし あつい くらいです。
カルピスの ばあいは、あぶらを とった 乳(だっしにゅう)を つかって、乳酸菌で 発酵させます[1]。
ただし 40〜45℃は、ヨーグルトの ばあいの 数です。カルピスや ほかの のみものが 同じとは かぎりません。
発酵とは、菌の働きで乳が変わること
乳酸菌飲料づくりの出発点は、乳に乳酸菌を加え、菌が活動しやすい温度で置くことです。菌が乳の中の成分を使って増え、乳酸などを作ります。これが発酵です。
ヨーグルト類の工場の例では、発酵タンクの中を乳酸菌が活動しやすい40〜45℃にします[3]。体温より少し高い温度で、菌にとって居心地のよい環境をつくるわけです。
カルピスは脱脂乳を使う
カルピスは、乳から脂肪を除いた脱脂乳を乳酸菌で発酵させて作られたと説明されています[1][2]。ただし40〜45℃は、ヨーグルト類の例です。カルピスの製造条件そのものではない点に注意が必要です。
ここまでは「酸っぱい乳」です。三島はここから、もう一歩進みました。
乳酸菌飲料の原点は、乳を乳酸菌で発酵させる工程にある。ヨーグルト類の製造例では、原料に乳酸菌を加えて混ぜ、発酵タンクを乳酸菌の活動しやすい40〜45℃に保つ[3]。温度を管理するのは、菌の増える速さと、できあがる味や酸味の出方が温度に左右されるからである。
カルピスは、脱脂乳を乳酸菌で発酵させたものから出発する[1][2]。脱脂乳を使う点は、後に述べる区分の「無脂乳固形分」とも関わる。ただし、40〜45℃という温度はヨーグルト類の例であって、カルピスやほかの乳酸菌飲料の製造条件ではない。
では、発酵させただけの酸乳が、なぜ日本で受け入れられる飲み物に変わったのか。転機は、砂糖を加えたことにあった。
3. さとうを くわえて おいたら、どう なった?
3. 「砂糖を足して置く」で、味がよくなった
3. 砂糖を加えて置くと味がよくなり、酵母の追究を経てカルピスが完成した
三島は、乳酸菌で 発酵させた 乳に、さとうを くわえて、1〜2日 おいて みました。すると、あじが よく なった のです[1]。
これは おどろきでした。すっぱいだけだった 乳が、のみやすい あじに なったからです。
そこで 三島は、さとうの わりあいや、酵母の しゅるい、発酵や おいて おく ときの じょうけんを、なんども しらべました[1]。
こうして 1919年に、日本で はじめての 乳酸菌いんりょうとして、カルピスが うまれました[1]。その日は 七夕でした。
4. おなじ 「乳酸菌いんりょう」でも、なまえが ちがうのは なぜ?
4. 乳の成分の量で、飲み物の名前が分かれる
4. 乳等省令は、無脂乳固形分3.0%を境に呼び名を分けている
おみせには、「乳酸菌いんりょう」「にゅうせいひん乳酸菌いんりょう」など、にた なまえが ならびます。じつは、乳の せいぶんが どれくらい はいって いるかで、なまえが わかれる きまりが あります[4]。
ヨーグルトの なかまは、乳の せいぶんが いちばん おおく、いんりょうは それより すくない ものが 多いのです。
カルピスの なまえにも、ひみつが あります。「カル」は カルシウム、「ピス」は むかしの インドで つかわれた サンスクリット語から きたと いわれます[1]。
無脂乳固形分が3.0%かどうか
乳等省令(乳及び乳製品の成分規格などを定めた省令)の区分では、無脂乳固形分が3.0%以上のものが「乳製品乳酸菌飲料」、3.0%未満のものが「乳酸菌飲料」と分かれると説明されています[4]。ヨーグルトなどの発酵乳は、無脂乳固形分が8.0%以上です[4]。
8.0÷3.0を計算すると、約2.7倍です。無脂乳固形分の量によって、区分名が分かれます。菌の数に関する条件も区分には含まれますが、種類や殺菌の有無で異なるため、ここでは数字を示しません。
名前に残る材料
「カルピス」の「カル」はカルシウム、「ピス」はサンスクリット語の「サルピス」(熟酥)に由来するとされます[1]。発売の1919年には、カルシウムを加えて栄養価を高めたといいます。
5. うちの 冷蔵庫で、さがして みよう
5. 冷蔵庫のラベルで「種類」を探してみる
5. 容器の表示で、種類別と無脂乳固形分を読む
おうちの ひとと いっしょに、冷蔵庫の 中を みて みましょう。ヨーグルトや 乳酸菌いんりょうの パックを 手に とります。
うらの ひょうじに、「しゅるいべつ」と いう 場所が あります。そこに かかれた なまえを よんで みましょう。「発酵にゅう」「乳酸菌いんりょう」など、パックに よって ちがいます。
ならべて みると、おなじ なかまなのに、なまえが わかれて いるのが わかります。
冷蔵庫や店の棚で、ヨーグルトや乳酸菌飲料のパックを手に取り、裏の表示を見てください。「種類別」の欄に、「発酵乳」「乳製品乳酸菌飲料」「乳酸菌飲料」などの名前が書かれています。
見た目が似ているのに、種類別の名前がちがうものが見つかるかもしれません。名前の差が、乳の成分の量や作り方の差を表している可能性があります。成分表示の「無脂乳固形分」の欄があれば、数字も見比べてみましょう。
家にある発酵乳・乳酸菌飲料の容器を見て、「種類別」の欄の名称を確かめるとよい。成分表示に無脂乳固形分が載っていれば、本稿の区分(3.0%・8.0%)と照らし合わせられる。
確かめた先の問いとしては、条文(乳等省令)そのものを読んで、本稿が数値を示さなかった菌数の条件がどう書かれているかを調べる道がある。公的機関の資料や、各社の公式の製法説明を読み比べると、同じ「乳酸菌飲料」の中の作り方の違いが見えてくる。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本稿で参照した資料。製法や区分の数値は、資料により書き方が異なる場合がある。
- j-net21(中小企業基盤整備機構)「人気飲料」 https://j-net21.smrj.go.jp/special/populardrinks/2012010401.html (カルピスの誕生、発売年、気づき、名前の由来)
- 現代ビジネス(講談社)カルピスの記事 https://gendai.media/articles/-/141874 (乳酸菌と酵母の研究)
- 明治 ヨーグルトライブラリー https://www.meiji.co.jp/smartphone/yogurtlibrary/laboratory/yogurt/03/ (発酵タンクの温度の例)
- 厚生労働省 審議会資料 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000036782.pdf (乳等省令の区分の説明)
なおした ところ
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