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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

町の 空で、星は へったの? ── 明かりと 夜空の 話

街の空で星が少ないのはなぜ? ── 上に漏れる光と、夜空を取りもどす取り組み

光害とは何か ── スカイグロー・環境省の実測値・生きものへの影響と星空保護区

分野:宇宙・天文

町の 夜空には 星が 少なく、山の 夜空には たくさん 見えます。町の 空から、星は いなく なって しまったのでしょうか。

ところが 星の 数は、どちらの 空でも 同じです。ちがうのは 空の 明るさ。その 明るさは、ウミガメや いねにも かかわって いました。

街では夜空に星が少なく、山ではたくさん見えます。街の空から星が消えたわけではなく、星は街の上にも同じようにあります。変わっているのは、空の明るさです。

環境省の実測値で街と山の空を比べると、どのくらい違うのでしょうか。その光は、遠くの空や生きもの、稲にまで届いていました。光を上に逃がさない工夫で空を取りもどした島も、あわせて見ていきます。

街で星が少なく見えるのは、星が減ったからではなく、明るくなった夜空に淡い星が埋もれるからだ。環境省のガイドラインは、この現象をスカイグローと呼び、光害の中心に置く[1]。

この記事は、環境省の実測値で街と山の空の明るさの差を見たうえで、光の影響がウミガメ・昆虫・稲にまで及ぶことをたどる。最後に、光を上に逃がさない照明で空を取りもどした神津島と西表石垣国立公園の例を見る。

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1. 星は、いなく なった の?

1. 星が減ったのではなく、空が明るくなった

1. 光害の定義とスカイグロー ── 「光の量」ではなく、照明の使い方や漏れ光が問題

町の 星が 少なく 見えるのは、星が へった からでは ありません。星の 数は、町の 上でも 山の 上でも かわりません。

町の 電気の 明かりの 一部は、上の ほうへ もれます。その 光が 空気に ぶつかって ちらばり、夜空が ぼんやり 明るく なります。この 明るさを スカイグローと いいます[1][2]。すると、かすかな 星は 見えなく なります。

にぎやかな 教室では、小さな 声が 聞こえません。声が なくなった わけでは なく、まわりの 音に うもれて いるのです。星も それに にて います。ただし 星の 場合は、音では なくて 空の 明るさが じゃまを します。

こうして 明かりが 夜を こわして しまう ことを、光害ひかりがいと いいます。環境省かんきょうしょうの 文書では、明かりの 使い方が 合って いなかったり、光が もれたり して、よい 光の 環境かんきょうが じゃまされる ことだと 説明せつめいして います[1]。「光が 多い」ことだけが 問題では ない ようです。

照明の光のうち、水平より上へ向かう光を上方光束といいます。この光が大気中で散らばり、夜空がぼんやり明るくなる現象がスカイグロー(skyglow)です。空が明るくなると、かすかな星は背景に埋もれて見えなくなります[1]。国立天文台も、上向きに漏れた光が大気で拡散して夜空が明るくなる、と説明しています[2]。

にぎやかな教室で、小さな声が聞き取れないのに似ています。声が消えたのではなく、周りの音に埋もれているだけです。ただし星の場合、じゃまをするのは音ではなく空の明るさです。

光害の定義

環境省の光害対策ガイドラインは、明かりの使い方や運用が不適切だったり配慮に欠けたり、光が漏れたりして、よい光の環境がさまたげられている状態と、そこから生じる悪影響を光害と定義しています[1]。最初のガイドラインは、1998年(平成10年)3月に当時の環境庁がつくりました[1][10]。

光が「多いか少ないか」より、使い方・運用・漏れ方に注目した定義です。

スカイグローは、上方光束(照明器具から水平より上へ向かう光)が大気中で散乱して夜空が明るくなる現象だ。環境省の光害対策ガイドライン(令和3年3月改訂版)によると、スカイグローが大きくなると星が見えにくくなり、天体観測に影響する[1]。国立天文台も、上向きに漏れた光が大気で拡散して夜空が明るくなる、という同じ筋で説明する[2]。星が減るのではなく、背景の空が明るくなって淡い星が埋もれる、と読める。

光害の定義は、少し意外だ。ガイドラインは、人工光の不適切あるいは配慮に欠けた使用や運用、漏れ光によって「良好な光環境」の形成が阻害されている状況、およびそこから生じる悪影響を光害とする[1]。光があること自体ではなく、使い方・運用・漏れ光に焦点がある。最初のガイドラインは、1998年(平成10年)3月に環境庁が策定した[10]。

2. 町と 山で、空の 明るさは どのくらい ちがう?

2. 街と山の夜空は、約36倍ちがう ── 環境省の実測値

2. 都市規模別・土地利用別の夜空の明るさ ── 2006年夏の全国観察と、2024年の調査

環境省かんきょうしょうは、2006年の 夏に、夜空の 写真を つかって 全国の 空の 明るさを しらべました[3]。

夜空の 明るさは、数が 大きい ほど 暗い、という きまりで 表します。お店や 会社が 多い ところの だいたいの 数は 17.9、山の 森の 中の だいたいの 数は 21.8 でした[3]。この 2つの 数から 計算すると、お店や 会社が 多い ところの 空は、山の 森の 中より およそ 36ばい 明るい ことに なります。この 36ばいは 計算した 数で、環境省かんきょうしょうが 書いた 数では ありません。

星が たくさん 見える 山の 空は、町の 空と くらべて、それだけ 暗かった のです。

環境省は、2006年(平成18年)8月15〜28日に、全国星空継続観察を行いました。夜空の写真から、夜空の明るさを「等級」で表した平均が公表されています。等級は、数が大きいほど暗い空を表します[3]。

土地の使われ方別の平均は、商業地域が17.9、住宅地が19.7、農業地域が21.2、森林・山間地が21.8でした。都市の規模別では、巨大都市が16.9、小都市が21.3です[3]。

等級は、5等の差が100倍の差にあたる決まりです。同じ区分の中で計算すると、商業地域と森林・山間地の差3.9等は約36倍、巨大都市と小都市の差4.4等は約58倍になります。この倍率は記事側の計算値で、環境省が書いた数字ではありません。また、都市規模別と土地利用別は別の区分なので、17.9と16.9のような数字を混ぜて比べることはしません。

2024年(令和6年)には、デジタルカメラを使った調査も行われ、有効データ471件が集まりました。そのうち、20等級以上21等級未満が177件(「天の川がよく見られる」暗さ)、21等級以上が111件(「天の川の複雑な構造が確認できる」レベル)とされています[4]。方法も参加地点も2006年とは違うので、2006年より明るくなった、暗くなった、とは比べられません。

環境省の全国星空継続観察(平成18年度夏期、観察期間は2006年8月15〜28日)は、カラースライド写真から夜空の明るさ(mag/□″。値が大きいほど暗い)を求めた。都市規模別の平均は、巨大都市16.9・大都市18.7・中都市19.4・小都市21.3。土地利用別は、商業地域17.9・住宅地19.7・工場地帯19.9・農業地域21.2・森林山間地21.8だった[3]。mag/□″は本文では「等級」と呼ぶ。

等級は、5等の差がちょうど100倍の明るさの差にあたる定義だ。同じ区分の中で計算すると、商業地域と森林山間地の差3.9等は約36倍(10の1.56乗≒36.3)、巨大都市と小都市の差4.4等は約58倍(10の1.76乗≒57.5)になる。この倍率は記事側の計算値で、環境省の記述ではない。都市規模別と土地利用別は別の区分なので、16.9と21.8のように区分をまたいだ倍率は出さない。

2024年(令和6年)8月24日〜9月6日の環境省「夏の星空観察」では、デジタルカメラによる調査で有効データ471件が集まり、農業地域20.61・住宅地域19.02・森林山間地20.78・自然公園等20.26等級だった。20以上〜21未満が177件で「天の川がよく見られる」暗さ、21以上が111件で「天の川の複雑な構造が確認できる」レベルとされた[4]。2006年のスライド写真と2024年のデジタルカメラ調査は、方法も参加地点も異なる。年をまたいで、明るくなった、暗くなったとは比べない。

3. 町の 明かりは、どこまで とどくの?

3. 大きな街の光は、100km以上先の星空にも届くことがある

3. 影響の範囲と増加 ── 100km以上先へ届き、世界の人工光は年に約2%増えた(2012〜2016年)

スカイグローの ひろがりは、とても 広い ことが あります。環境省かんきょうしょうの 文書には、大きな 都会の 明かりが、100キロ いじょう はなれた ところで 星を 見る ときにも えいきょうする ことが ある、と 書かれて います[1]。

アメリカで 国立公園を まもる 役所は、都会の 光が、国立公園から 200マイル(およそ 320キロ)いじょう はなれた ところでも 記ろくされた と 説明せつめいして います。ロサンゼルスの 光を、ホイットニー山の 上から 見つけた ことも あります[5]。

しかも 世界ぜんたいでは、2012年から 2016年に かけて、明かりの ついた 屋外の 広さが 1年に 2%ちょっとずつ ふえた、という 研究が あります[6]。国に よって ちがい、へった 国も あります。

環境省のガイドラインは、スカイグローの影響は極めて広範囲に及び、大都市の街明かりは100km以上離れた地点での天体観測にも影響することがある、と書いています[1]。「ことがある」という条件つきで、すべての都市の光が届くわけではありません。

米国国立公園局は、都市の光が国立公園から200マイル(約320km)以上離れた地点でも記録されているとし、ロサンゼルスの光をホイットニー山頂から観測した例を挙げています[5]。

その光は、増えているという報告もあります。2017年の論文(Kyba ほか、Science Advances)によると、2012〜2016年に、地球の人工照明で照らされた屋外面積は年2.2%、放射輝度の合計は年1.8%の割合で増えました。LEDにして省エネになったぶん、使う量が増えてしまう「リバウンド効果」の可能性を、論文は挙げています[6]。これは世界全体の値です。国ごとの差は大きく、減った国もあります。

ガイドラインは、スカイグローの影響が極めて広範囲に及び、大都市の街明かりは100km以上離れた地点での天体観測にも影響することがある、と述べる[1]。「ことがある」という条件つきで、すべての都市が届くわけではない。米国国立公園局は、都市の光が国立公園から200マイル(約320km)以上離れた地点でも記録されているとし、ロサンゼルスの光をホイットニー山頂から観測した例を挙げる[5]。

空気中のちり(エアロゾル)も関わる。Kocifaj と Barentine(2021, Scientific Reports)の論文要旨は、エアロゾルを減らす大気汚染対策で、光源から比較的小さな距離では夜空の明るさが数十%下がる可能性を報告する[7]。理論モデルでの条件つきの結果で、実際の都市で必ずその値になるとはいえない。

光そのものも増えている。Kyba ほか(2017, Science Advances)は、2012〜2016年に、地球の人工照明で照らされた屋外面積が年2.2%、放射輝度の合計が年1.8%の割合で増えたと報告した[6]。LED化による省エネの効果が使用量の増加で打ち消される「リバウンド効果」の可能性を挙げ、この増加は世界規模の省エネの傾向とは合わず、光害の増加を示すものと論文は解釈している。衛星が測ったのは人工照明の面積と放射輝度で、光害そのものの直接測定ではない。世界全体の値で、国ごとの差は大きく、減った国もある。

4. 明かりは、ウミガメや 虫にも えいきょうするの?

4. 星だけではない ── ウミガメとホタルの困りごと

4. 生きものへの影響 ── ウミガメの上陸と稚ガメ、光に集まる虫と避ける虫

明かりの えいきょうは、星だけでは ありません。ウミガメの 赤ちゃんは、たまごから 出ると 海へ 向かいます。日本ウミガメきょうぎかいの 説明せつめいでは、暗い 中で 出て きた 赤ちゃんは、少しだけ 海の ほうが 明るい ことを 手がかりに 進むようです[8]。

ところが すなはまを 明かりが てらすと、環境省かんきょうしょうの 文書では、赤ちゃんが 海の 向きを まちがえたり、海に たどり着けずに 死んで しまったり する ことが ほうこくされて いると あります。たまごを うみに 来る 親ガメが、上がって 来るのを やめて しまう ことも あるそうです[1]。

虫も 明かりに えいきょうされます。ガの ように 光に 集まる 虫が いますが、ホタルの ように 光を さける 虫も います[1]。ホタルが 光って とぶ ころに 外の 明かりが あると、ホタルは あいてを 見つけにくく なる ことが 知られて います[9]。

環境省のガイドラインによると、ウミガメは月や星の明かりを頼りに行動する動物です。砂浜を照らす照明のせいで、産卵のための上陸を避けたり、稚ガメが海の方向を間違えたり、海にたどり着けず死んでしまったりすることが報告されています[1]。日本ウミガメ協議会は、暗闇の中で砂から出た子ガメが、ほのかに海の側が明るいことを手がかりに海へ向かうと説明します[8]。

昆虫には、蛾のように光に引き寄せられる種と、ホタルのように光を避ける種があります[1]。日本自然保護協会の解説によると、ホタルが飛ぶ時期に外灯があると交配相手を見つけにくいことが知られています。夜間の照明で昆虫の群集の多様性が下がるという研究や、光に集まった虫が捕食者に食べ尽くされる連鎖も紹介されています[9]。「光に集まる虫がすべて」ではありません。

ガイドラインは、光害の影響を星に限らない。ウミガメは月や星の明かりを頼りに行動する動物で、砂浜を照らす照明によって、産卵のための上陸を避ける、稚ガメが海の方向を間違える、海にたどり着けず死ぬ、といった報告がある[1]。日本ウミガメ協議会は、暗闇の中で脱出した子ガメが、ほのかに海の側が明るいことを手がかりに海へ向かうと説明する[8]。協議会のページは自然な手がかりの説明で、照明の悪影響の報告は環境省ガイドラインによる。

昆虫では、蛾のように光に誘引される種(走光性)と、ホタルのように光を避ける種(背光性)がある[1]。日本自然保護協会の解説は、ホタルが発光して飛ぶ時期に外灯があると交配相手を見つけにくいこと、夜間照明で昆虫群集の多様性が下がるという研究、光に集まった虫が捕食者に食べ尽くされる連鎖を紹介する[9]。光に集まる虫がすべてではない。

5. 田んぼの いねにも、えいきょうが あるの?

5. 数ルクスの明かりで、稲の穂が遅れる

5. 植物への影響 ── 水稲の出穂の遅れ(照明学会1995年の資料にもとづく)

植物にも えいきょうが あります。環境省かんきょうしょうの 文書には、いねに よって ちがいは ありますが、数ルクスの 明るさでも、いねの ほ(実の つく ところ)が 出るのが おくれる、と あります。ルクスは 明るさの たんいです。明るく なる ほど おくれる 日数も ふえ、ほが 出ない ことも ある そうです[1]。

ほうれんそうは 花が はやく さき、プラタナスの 木は 葉が 落ちるのが おそく なる、とも あります[1]。

夜に 明かりが あたる だけで、育ち方が ずれるのです。ただし、すべての いねで おきる わけでは ありません。

環境省のガイドラインに、植物への影響をまとめた表があります。それによると、水稲は品種によって違いがあるものの、数ルクスの照度でも出穂(穂が出ること)が遅れます。照度が増すほど遅れる日数も長くなり、穂が出ない場合もあります[1]。ホウレンソウなどは開花が早まり、プラタナスなどは落葉が遅れます。環境省の別のページも、出穂の遅れ、開花の促進、落葉の遅れを挙げています[10]。

ただし、数ルクスの目安は品種によるもので、すべての稲で起きるわけではありません。この表の元は1995年の照明学会の資料です。

ガイドラインの表2(元は照明学会1995年)によると、水稲は品種により異なるが、数ルクスの照度でも出穂が遅延する。照度の増加に伴い遅延日数も長くなり、不出穂の場合も発生する。ホウレンソウなどは開花が早まり、プラタナスなどは落葉が遅れる[1]。環境省の別のページも、出穂の遅れ、開花の促進、落葉の遅れを挙げる[10]。

数ルクスは品種による値で、すべての稲で起きるわけではない。出典の資料は1995年のもので、最近の品種や田んぼでの実態は別に調べる必要がある。

6. 空を とりもどす ことは できるの?

6. 光を上に逃がさない ── 神津島と西表石垣国立公園の星空保護区

6. 上方光束を減らす照明と星空保護区 ── 神津島(2020年)・西表石垣国立公園(2018年)

では、空を とりもどす ことは できるのでしょうか。環境省かんきょうしょうの 文書は、明かりの 光の うち 上へ 向かう 分を、できる かぎり ゼロに 近づける ことが のぞましい と しています。上へ 向かう 光は、夜空を 明るくして、鳥や 虫にも えいきょうする 一方で、とくべつな 場合 いがいは くらしの 役に 立たない ためです[1]。

東京都の 神津島こうづしまでは、2020年12月に、島ぜんたいが 星空保護区ほしぞらほごくに みとめられました。むらの ぜんぶの 土地が 星空保護区ほしぞらほごくに なったのは、日本で はじめてです[1]。外の 明かりの 明るさや つけて おく 時間を きめた きまりを つくり、上へ 光が 出ない 明かりに かえて いきました[11]。

また、いりおもて いしがき 国立公園は、2018年3月に、日本で はじめての 星空保護区ほしぞらほごくに「ざんてい」で みとめられました。理由の 1つは、くらい しぜんを ひつような ヤエヤマヒメボタルが すんで いる ことです。ただ、直す ひつようの ある 明かりが まだ 多く のこって いたので、「ざんてい」でした。その あと 正式に みとめられた、と 石垣市いしがきしの ページに あります[12]。

星空を まもる ことは、ホタルの すみかを まもる ことにも つながって いるのです。

環境省は、上方光束は夜空の明るさや鳥・昆虫への影響があり、特別な場合以外は生活の便利さに役立たないので、できる限りゼロに近づけるのが望ましいとしています。上方光束比(ULR)は、照明器具の光のうち水平より上へ向かう光の割合です[1]。青色光など波長の短い光は、波長の長い光より大気中で散乱しやすく、スカイグローを増やします。そのため、相関色温度は3000K以下が望ましいとされます[1]。これは目安で、法律の上限値ではありません。

神津島は、島ぜんたいを星空保護区にした

東京都の神津島村は、2020年12月に国際ダークスカイ協会(IDA)から国内2番目の星空保護区に認定されました。自治体の全域(18.58km2)が星空保護区になったのは、日本初です[1]。屋外照明の明るさや点灯時間を定める条例をつくり、島内の屋外照明を、上方光束比0.0%・相関色温度3000K以下の光害対策型に改修しました[11]。

ホタルのために暗さを守る

沖縄県の西表石垣国立公園は、2018年3月に国内初の星空保護区(ダークスカイ・パーク)に暫定認定されました。理由の1つが、自然のままの暗闇を必要とする八重山固有のヤエヤマヒメボタルの生息です。ただ、改修が必要な屋外照明が多く残っていたため「暫定」で、2023年度までに園内の全屋外照明を光害対策型に改修する計画でした。石垣市のページは、その後に正式な認定になったと記しています[12]。

ガイドラインは、上方光束は夜空の明るさや鳥類・昆虫類等への影響があり、特殊な状況・目的以外では生活の利便性の向上に寄与しないため、光環境の区分によらずできる限りゼロに近づけることが望ましいとする。上方光束比(ULR)は、照明器具の光のうち水平より上へ向かう光の割合をいう。設計上ゼロにできない場合もあることを、ガイドライン自身も認めている[1]。

色にも目安がある。青色光など波長の短い光は、波長の長い光より大気中で散乱しやすく、スカイグローを増大させる。夜空を暗く保つには、上方光束を減らしつつ、相関色温度(K=ケルビン)を3000K以下にするのが望ましいとされる[1]。3000Kは望ましいとされる目安で、法的な上限値ではない。ただし、青い光が遠くまで届くかどうかは、距離によって研究の指摘が分かれるため、ここでは単純には書かない。

東京都の神津島村は、2020年12月に国際ダークスカイ協会(IDA)から国内2番目の星空保護区に認定された。自治体の全域(18.58km2)が星空保護区になったのは日本初だ[1]。屋外照明の明るさや点灯時間を定める条例をつくり、島内の屋外照明を上方光束比0.0%・相関色温度3000K以下の光害対策型に改修した[11]。

沖縄県の西表石垣国立公園は、2018年3月に国内初の星空保護区(ダークスカイ・パーク)に暫定認定された。理由の1つは、自然のままの暗闇を必要とする八重山の固有種、ヤエヤマヒメボタルの生息だ。認定時に改修が必要な屋外照明が多く残っていたため「暫定」で、2023年度までに園内の全屋外照明を光害対策型に改修する計画だった[12]。石垣市のページは、その後に正式な認定になったと記す。

7. 夜の 外の 明かりを、見上げて みよう

7. 外の照明の向きを、自分の目で確かめる

7. 出口 ── 照明の向きを見て、ガイドラインの表と事例を読む

夜、おうちの 人と いっしょに、家の 近くを 歩いて みましょう。歩道の 上だけを 歩いて、くるまに 気を つけます。見る ところは 1つ。道の 明かりや お店の 明かりの 光が、上にも もれて いるか、下だけを てらして いるかです。

もう 1つ、空を 見上げて、星が いくつ 見えるか 数えて みましょう。ちがう 場所で 数えて くらべると、空の 明るさの ちがいが 分かります。明かりの 少ない 場所へ 行く ときは、かならず おうちの 人と いっしょに 行きます。

おうちの人と一緒に夜、外へ出て、道の明かりや店の明かりが、上まで光を漏らしているか、下だけを照らしているかを見てみましょう。歩道の上だけを歩き、車に気をつけます。かさやカバーのついた照明と、むき出しの照明とで、見え方が違うかもしれません。

同じ夜、場所を変えて、見える星の数を比べてみるのもよい方法です。数え方を決めておくと(たとえば「同じ方向の空を10秒ながめて数える」)、場所ごとの違いが分かりやすくなります。環境省の「星空を見よう」にも、光害の説明ページがあります[10]。

観察は単純にできる。夜、大人と一緒に外へ出て(暗い場所へ行くときも同じ)、外灯・看板・店の照明が、上方へ光を漏らしているか、下方だけを照らしているかを見る。歩道の上を歩き、車に注意する。かさで光を遮ったものと、むき出しのものとの差が見えるかどうかを、メモする。

資料を読むなら、ガイドライン(令和3年3月改訂版)のスカイグローの記述(p.17)と、植物の影響をまとめた表(p.16)が入り口になる[1]。星空保護区の事例(p.39)や、環境省の実測値の報道発表[3][4]を読むと、数値がどんな調査から出たのかが分かる。Kyba ほか(2017)は、人工照明の増加をどう測ったのか[6]。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:環境省のガイドラインと報道発表、国立天文台と米国国立公園局の解説、論文の要旨、団体や自治体の説明を使った。何に使ったかは、それぞれの項目に書いている。

  1. 環境省「光害対策ガイドライン(令和3年3月改訂版)」。https://www.env.go.jp/air/hikarigai-gaido-R3.pdf.pdf (光害の定義、スカイグロー、上方光束、生きものと植物への影響、星空保護区の事例)
  2. 国立天文台 周波数資源保護室「光害とは」。https://prc.nao.ac.jp/freqras/optical_and_infrared_astronomy.html (上向きに漏れた光が大気で拡散し、夜空が明るくなること)
  3. 環境省報道発表「全国星空継続観察 平成18年度夏期観察の結果について」。https://www.env.go.jp/press/8058.html (2006年夏の夜空の明るさの平均。倍率は記事側の計算)
  4. 環境省報道発表「令和6年度夏の星空観察 デジタルカメラによる夜空の明るさ調査の結果」。https://www.env.go.jp/press/press_03979.html (2024年のデジタルカメラ調査の結果)
  5. 米国国立公園局 Light Pollution。https://www.nps.gov/subjects/nightskies/lightpollution.htm (都市の光が200マイル以上先でも記録された例)
  6. Kyba ほか (2017) Science Advances(NOAA Repository掲載の要旨)。https://repository.library.noaa.gov/view/noaa/24734 (2012〜2016年の人工照明の面積・放射輝度の増加)
  7. Kocifaj & Barentine (2021) Scientific Reports。https://www.nature.com/articles/s41598-021-94241-1 (エアロゾルと夜空の明るさ。論文要旨の範囲)
  8. 日本ウミガメ協議会「子ガメの分散」。https://www.umigame.org/umigamenitsuite/cn11/kyoukasho_bunsan.html (子ガメがほのかに明るい海の側へ向かうこと)
  9. 日本自然保護協会「生きものを苦しめてきた光害」。https://www.nacsj.or.jp/2021/06/26238/ (ホタルなど昆虫への影響の紹介)
  10. 環境省 星空を見よう「光害について」。https://www.env.go.jp/air/life/hoshizorakansatsu/observe-5.html (植物への影響の一覧、最初のガイドライン策定の年)
  11. アストロアーツ「神津島、国内2番目の星空保護区に認定」。https://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/11753_kouzushima (神津島の条例と、照明の改修)
  12. 石垣市「西表石垣国立公園の星空保護区正式認定について」。https://www.city.ishigaki.okinawa.jp/soshiki/kanko_bunka/star_tourism/12254.html (西表石垣国立公園の暫定認定とヤエヤマヒメボタル)

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