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ぎゅうにゅうは、どうして 白いの?

牛乳の白は、色ではなく粒の仕業 ── 光を散らす小さな粒の話

牛乳が白い理由 ── カゼインミセルと脂肪球による光散乱と、粒が壊れたときの色

分野:自然

ぎゅうにゅうを コップに 入れると、まっ白です。白い 色の もとが とけて いるから 白いのでしょうか。

じつは、ちがう と せつめい されて います。ぎゅうにゅうの 中に ういて いる、とても 小さな つぶの はなしを して みます。

牛乳の白さは、白い絵の具のような色素が作っているのだと思いがちです。ところが、資料の説明はちがいます。

白さをつくっているのは、牛乳に浮かぶ小さな粒だとされています。粒の数や大きさ、そして粒をこわしたときに現れる意外な色を、日本乳業協会などの資料から読みます。

牛乳の白は、白い色素の色ではない。乳中のカゼインミセルと脂肪球が可視光を吸収せずにあらゆる方向へ散らす結果、人の目に白く映る、と日本乳業協会は説明する[1]。

この記事では、粒の数と大きさ、粒を壊すと白が消えて黄緑色が現れること、脱脂乳の青みという説明の位置づけを、日本の業界団体・研究機関の資料と英語の資料を突き合わせて整理する。

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1. 白い えのぐは、入って いるの?

1. 白い色素ではなく、光を散らす粒がある

1. 牛乳は粒が光を散らすため白く見える

ぎゅうにゅうの 中には、たんぱくしつや しぼうの 小さな つぶが ういて います[1]。白い 色の えのぐが 白さを つくって いるのでは ありません。

この つぶに 光が あたると、光は いろいろな 方向に はねかえります[1]。赤も 青も 緑も、ほぼ おなじように はねかえると、わたしたちの 目には 白く 見えます[1]。

たとえば、雪です。こおりは とうめいなのに、雪は 白いですね。こまかい 氷の つぶが 光を あちこちに はねかえす からです。ただし ぎゅうにゅうの つぶは 氷では なく、たんぱくしつや しぼうです。

牛乳の中には、カゼインというタンパク質や脂肪でできた小さな粒が浮かんでいます[1]。牛乳が白いのは、この粒に光が当たって反射し、あらゆる方向に散らばる(散乱する)ためだと説明されています[1]。

牛乳の粒は光を吸収せず、あらゆる方向に散らすとされています[5]。赤・青・緑の光がほぼ同じように散らされると、人の目には白く見えます[1]。

空の雲が近い例です。水滴ひとつは透明なのに、集まると白く見えます。ただし牛乳の粒はタンパク質と脂肪なので、水とは材料がちがいます。

日本乳業協会のQ&Aは、牛乳中のタンパク質と脂肪の微粒子が光を反射・散乱させるため白く見える、と説明する[1]。赤・青・緑の光がほぼ同様に反射されると、人の目は白と知覚する[1]。

McGill大学の科学コミュニケーション部門(Office for Science and Society)の解説も、乳中の微粒子は光を吸収せず、すべての光を目に向けて散らすと述べる[5]。つまり白は、吸収で色を選び取った結果ではなく、どの波長も選ばずに散らした結果である。

ここで「粒」に着目するのが、以降の章の出発点になる。粒の数と大きさを見て、粒が壊れたときに何が起きるかを確かめる。

2. つぶは、いくつ ある?

2. 1mLに、約15兆個のカゼインミセル

2. 粒の数と大きさ:大きさで散らす波長域が異なる

ぎゅうにゅう 1ミリリットルの 中には、「カゼインミセル」と いう つぶが、およそ15兆ちょうこ ういて いると されて います[1]。1秒に 1こ 数えると、およそ 47万年 かかる 数です。

もう ひとつ、しぼうの つぶも あります。こちらは 1ミリリットルに、20おくから 60おくこ ほどと されます[1]。カゼインミセルの ほうが、ずっと たくさん あります。

しぼうの つぶは 大きく、カゼインミセルは ずっと 小さい ことも わかって います[5]。電子顕微鏡けんびきょうで 見ると、黒い つぶつぶが たくさん 見えます[2]。

日本乳業協会の説明では、牛乳1mLの中に、カゼインミセルが約15兆個、脂肪球が20〜60億個ほど浮かんでいるとされます[1]。15兆個を1秒に1個ずつ数えると、約47万年かかります。

粒の数は、カゼインミセルが脂肪球の2500〜7500倍ほどです。ただし大きさは逆で、カゼインミセルは脂肪球よりずっと小さな粒です[5]。ミセルは、カゼインがリンやカルシウムなどのミネラルと結びついた集まりで、直径は数十〜数百nmとされています(nmは、1mmの100万分の1)[4]。

電子顕微鏡で脱脂乳を見ると、黒いツブツブがたくさん見えると説明されています[2]。

粒の大きさにちがいがあることは、光の散り方にも関わります。小さいミセルは短い波長の光を、大きい脂肪球は赤外に近い長い波長の光まで散らすと報告されています[4]。

日本乳業協会は、牛乳1mL中にカゼインミセルが約15兆個、脂肪球が20〜60億個含まれるとする[1]。単純計算で、個数はミセルが脂肪球の約2500〜7500倍になる。この数字は協会のQ&A記載の値で、原典の一次資料までは照合していない。

大きさは逆転する。カゼインミセルはカゼインがリン酸カルシウムなどのミネラルと結びついた集合体で、直径は出典により10〜800 nm、40〜600 nm、100〜500 nmなどと幅がある[4]。生乳の脂肪球は0.8〜12 μmで、均質化した牛乳では1 μm未満になる[4]。McGill大学の解説はミセルを約0.1 μm、脂肪球を1〜5 μm程度としており、日本の資料と大小関係は一致する[5]。数値を単一に言い切れないのは、測定法と試料により差が出るためと考えられる。(nm=ナノメートル、100万分の1 mm。μm=マイクロメートル、1000分の1 mm。)

UV領域の透光性を調べた論文(PMC掲載)の要旨は、小さいカゼインミセルが紫外〜可視域の光を散らし、大きい脂肪球が赤外に近い波長まで散らすとまとめる[4]。粒の大きさによって、散らす波長の範囲が異なるということだ。

日本乳業協会の解説には、脱脂乳を電子顕微鏡で見ると黒いツブツブが多数見える、との記述もある[2]。

3. つぶを こわすと、白は どうなる?

3. 粒をこわすと、白が消えて黄緑色になる

3. ミセルの分解と、リボフラビンの黄緑色

カゼインミセルを こわして、直径ちょっけい およそ20ナノメートルの 小さな つぶに して いくと、光を あちこちに はねかえさなく なります[2]。はじめは 白い ままですが、さいごには 黄緑色に なる と せつめい されて います[2]。

この 黄緑色は、リボフラビンと いう ビタミンの 色です[2]。もともと ぎゅうにゅうに 入って いた 色と いわれます。白に かくれて 見えて いなかった ようです。

これは、けんきゅうの ための とくべつな そうさです。おうちでは できません。

カゼインミセルを分解して、直径約20nmの小さな粒にしていくと、光を乱反射しなくなります。分解の途中はまだ白いのですが、最終的には黄緑色になると説明されています[2]。この色は、リボフラビン(ビタミンB2)の色です[2]。

別の資料でも、脱脂乳を脱塩処理したり、酸性の度合いを示すpHを5.5以下にしたりしてミセルの構造をこわすと、牛乳の白い色が消え、ホエイの黄緑色に変わってくると述べられています[3]。リボフラビンは水に溶けるビタミンで、チーズづくりで出るホエイ(乳清)で色が目立つといわれます[5]。

これは条件をそろえた実験室の操作なので、家庭で試す話ではありません。それでも、白さの下に別の色がかくれていたことが分かります。

日本乳業協会の解説によると、ミセルを分解して直径20 nm程度の小粒にしていくと乱反射が起きなくなる。最初は白いが、最終的には黄緑色になり、これはリボフラビンの色とされる[2]。

酪農総合研究所のシンポジウム資料も、脱脂乳を脱塩処理するか、pHを5.5以下にするとミセル構造が壊れ、白色が消えてホエイ色の黄緑色に変わると述べる[3]。異なる方法でミセルを壊しても、同じ方向の変化が報告されていることになる。ただし、どちらも実験室の条件つきの操作であり、家庭で再現するものではない。

リボフラビン(ビタミンB2)は黄緑がかった色をもつ水溶性ビタミンで、チーズ製造で出るホエイ(乳清)で目立つ、とMcGill大学の解説は述べる[5]。つまり牛乳には元から黄緑の色素が含まれ、ミセルによる強い散乱が白でその色を覆っているという整理になる。

4. しろの 中には、ほかの 色も?

4. 白の中にひそむ、青みと黄み

4. 青みと黄み:脱脂乳のとされる青色、カロテンの黄色

しぼうの つぶを とりのぞいた 「だっしにゅう」は、少し 青みが かった 色に 見えると いわれます[5]。小さな つぶは、青い 光を はねかえしやすい からだと されて います。ただし、これは えいごの しりょうに ある せつめいです。

ぎゅうにゅうの 黄みは、うしが 食べる 草などの 色から くると されます[5]。草を 食べる 夏の ちちは、ほし草を 食べる 冬より、黄色みが 強いと いわれます[5]。

脂肪球を取り除いた脱脂乳は、散らす粒が減ります。McGill大学の解説は、小さな粒は青い光をとくに散らしやすいので、脱脂乳は青みを帯びて見えるとしています[5]。

反対に黄みは、牛の食べものに由来します。牛が食べる草などにふくまれるβ-カロテンが、乳に黄色みを加えるとされ、草を食べる夏の乳は、干し草が中心の冬の乳より黄色みが強いといわれます[5]。

牛乳の白は、一色ではありません。散る光の割合、黄緑のリボフラビン、黄色のカロテンが重なって、いつもの白に見えているようです。

McGill大学の解説は、脂肪球を除いた脱脂乳では小さな粒が青い波長を優先的に散らすため、目立つ青みが出ると述べる[5]。

黄みについて、同解説は牛の飼料に含まれるβ-カロテン(カロテノイド)が黄色を与えると述べる[5]。草を食べる夏の乳のほうが、干し草の冬より黄色みが強いともされる[5]。

第3章のリボフラビンを合わせると、牛乳の色は「粒による白い散乱」を主軸に、黄緑と黄色の色素、脂肪の量による青みが加わった合成として説明される。ただし各要素の寄与の割合を示す資料は、今回は見つかっていない。

5. ぎゅうにゅうの 白さを、自分の 目で 見て みよう

5. 白さを、自分の目でくらべてみる

5. 観察のヒントと、読み進める先

おうちの 人と いっしょに、とうめいな コップを 2つ 用意して みましょう。ひとつには ぎゅうにゅうだけ、もうひとつには ぎゅうにゅうを 水で うすめた ものを 入れます。白さは どう ちがいますか。

もし あれば、ふつうの ぎゅうにゅうと ていしぼうにゅうも 白い かみの 上で ならべて、見くらべて みましょう。

安全のために

ぎゅうにゅうで おなかの ぐあいが わるく なる 人も います。見くらべる だけで よく、のむ ひつようは ありません。こぼした ときは ふきましょう。

透明なコップを2つ用意し、片方には牛乳だけ、もう片方には牛乳を水で薄めたものを入れて、大人といっしょに見比べてみましょう。水で薄めると、コップの中の牛乳の粒の割合が小さくなります。白さはどう見えるでしょうか。自分の目で確かめてみてください。

低脂肪乳や無脂肪の牛乳が家にあれば、白い紙の上に並べて比べるのもよいでしょう。脂肪球が少ない牛乳は、どう見えるでしょうか。色の違いが見えるか、比べてみましょう。

安全のために

牛乳で体調をくずす人もいます。見比べるだけでよく、飲む必要はありません。こぼしたらすぐにふきましょう。

透明なコップに牛乳と、水で薄めた牛乳を用意し、白さの違いを見比べるとよい。低脂肪乳・無脂肪乳が手元にあれば白い紙の上に並べ、色味の差を観察できる。本文の説明(粒が減ると散らす光が減る、脂肪球が少ないと青みが出るとされる)と合うかどうか、見えた違いを言葉にしてみるとよい。

さらに調べるなら、日本乳業協会の「乳と乳製品のQ&A」と研究部会の解説がまず読みやすい。日本乳業協会の「第81回 ミルクは何故白いのか?」は、ミセルを分解したときの色の変化まで日本語で読める。英語の原論文は、資料欄に挙げた。

安全のために

牛乳で体調をくずす人もいる。見比べるだけでよく、飲む必要はない。こぼしたらふく。

しらべた ところ

参考にした情報源

参考にした情報源

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  1. 日本乳業協会「乳と乳製品のQ&A」。 https://nyukyou.jp/dairyqa/2107_140_395/ (牛乳が白い理由、粒の種類と個数)
  2. 日本乳業協会「第81回 ミルクは何故白いのか?」。 https://www.nyukyou.jp/effort/studygroup/081/01.html (ミセルを分解したときの色の変化、電子顕微鏡で見える粒)
  3. 酪農総合研究所 シンポジウム講演資料。 https://www.rakusouken.net/symposium/session/120203/lecture-1.html (脱塩やpHの低下でミセルが壊れ、白が消えること)
  4. Observation of a temperature dependent anomaly in the UV translucency of milk(英語、PMC)。 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10713634/ (ミセルと脂肪球の大きさ、散らす波長のちがい)
  5. McGill Office for Science and Society「Why is milk white and not green like grass?」(英語)。 https://www.mcgill.ca/oss/article/general-science-you-asked/why-milk-white-and-not-green-grass (粒が光を吸収しないこと、脱脂乳の青み、リボフラビンとカロテンの色)

なおした ところ

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