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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

ずけいを つぶして せいりする とき、どうして「フリップ」が いるの?

3次元の図形を整えるとき、「つぶす」だけでは足りずに「フリップ」が要るのはなぜか

3次元でなぜフリップが必要になるのか:極小きょくしょうモデル理論と森重文の1988年の仕事、残された終止の問い

分野:歴史・文化

すうがくでは、ずけいを「いちばん すっきりした かたち」に ととのえる ほうほうを かんがえます。たいらな めんの ずけいなら、じゃまな せんを 1つの てんに つぶすと、すっきり して いきます。

ところが 3じげんでは、つぶすと こまる ことが あります。つぶしたあとの ずけいを はかる どうぐが つかえなく なるのです。そこで、つぶす かわりに ほかの ずけいへ のりかえる「フリップ」が いります。この フリップを つくれると しめしたのが、もりしげふみさんです。この きじでは、その わけと、いまも のこる もんだいが わかります。

数学者は、図形を「いちばんすっきりした代表」に整える方法を考えてきました。平らな面のような2次元の図形では、ある曲線を1点につぶすだけで整理が進みます。ところが3次元では、つぶしたあとの図形で、その特徴をはかる目印が使えなくなる場面が出てきます。

つぶしたあとに図形を比べる目印が使えなくなると、次の整理に進めません。そこで、つぶす代わりに別の図形へ乗りかえる「フリップ」が必要になります。1988年、森重文が3次元で、必要な場合にこの乗りかえを作れることを示しました。なぜ、つぶすだけでは足りないのでしょうか。この記事では、その理由と、高次元になっても残る問いが分かります。

曲面では「問題の曲線を点につぶす」だけで図形が整理できた。ところが3次元では、つぶしたあとの図形で標準因子が比較の道具として働かなくなる場合がある。そのとき、つぶす代わりに別の図形へ取りかえる操作が「フリップ」で、必要な場合にそれを作れると3次元で示したのが1988年の森重文の論文である。では、なぜつぶすだけでは足りないのか。

この記事では、曲面での整理の仕方、3次元で壁になる理由、森の道すじ、高次元で決着した部分と残った部分が分かる。

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1. ずけいを つぶして せいりする、って どういうこと?

1. 平らな曲面では、「つぶす」だけで図形が整っていく

1. 曲面では、(-1)曲線をつぶすだけで極小な曲面に行き着く

たとえば、ふうせんの うえに、ぷっくり ふくらんだ ぶぶんが あるとします。そこを おして へこませると、かたちは すこし かんたんに なります。すうがくの 「つぶす」は、この ような せいりの ことです。ただし ほんものの ずけいは、しきで あらわされる もっと むずかしい ものです。

2じげんの めん(曲面)では、「(-1)曲線」と よばれる せんを 1つの てんに つぶせる ことが しられて います。つぶした あとも、めんは なめらかな ままです。この せんが なくなるまで つぶすと、すっきりした ずけいに なります。

だから、「3じげんでも つぶして いけば いい」と おもえます。ところが、そうは いかないのです。

式で表される図形(代数多様体)には、「同じ仲間」とみなせる図形がたくさんあります。仲間の中から、いちばん簡単な代表を選べないか。その選び方を、図形の特徴をはかる目印(標準因子)の比べ合いで考えるのが、極小モデル理論です。2次元の図形(曲面)については、イタリアの数学者たちが研究を進めました。これを3次元以上に広げる計画が、極小モデルプログラム(MMP)です[1]。

曲面の場合は、手順が単純です。自己交点数が-1の、なめらかな曲線((-1)曲線)は、カステルヌオーヴォの判定条件により、1点につぶせます。つぶしたあとも曲面はなめらかです。(-1)曲線をもたない曲面が「極小」で、つぶす操作は有限回で止まります[6]。ただし、極小な曲面が仲間の中でいつも1つに決まるわけではありません。

この手順を、3次元にもそのまま持ちこめばよさそうに見えます。ところが、そこで壁にぶつかります。

図形を、同じ仲間のなかでいちばん簡単な形に整えられないか。数学者がそう考えるのは、図形の分類をすっきりさせたいからである。代数幾何では、式で表される図形(代数多様体だいすうたようたい)のうち、双有理そうゆうりという関係で結ばれたものを1つの仲間とみなす。その仲間から、標準因子ひょうじゅんいんしの比較によって代表を選ぶ理論が極小モデル理論であり、曲面についてはイタリア学派が研究し、高次元化を目指して極小モデルプログラム(MMP)になった[1]。

曲面では、整理の手順が単純だった。自己交点数が-1のなめらかな有理曲線((-1)曲線)は、カステルヌオーヴォの判定条件によって点につぶせ、つぶしても曲面はなめらかなままである。そのため、(-1)曲線を含まない曲面を極小とすれば、つぶす操作は有限回で止まる[6]。ただし、極小な曲面が仲間のなかでいつも1つに決まるとは限らない(線織曲面は例外とされる)。

MMPは、この考えを一般の次元に広げたものである。標準因子と負の交点数をもつ曲線を減らす双有理変換を繰り返し、最終的に標準因子が数値的に非負になれば極小モデル、負の曲線で覆われていれば森ファイバー空間に行き着く[1]。曲面と同じ「つぶす」で3次元も進みそうに見える。だが、そこに壁がある。

2. 3じげんでは、つぶすと なにが こまるの?

2. 3次元では、つぶしたあとに「はかる目印」が使えなくなる

2. 3次元の小さな収縮のあと、標準因子で比較できなくなる

いつもの ものさしで くらべて いたのに、つぶした とたん、おなじ やりかたで くらべられなく なって しまった。そんな ことが 3じげんの ずけいでは おきます。(これは せつめいの ための たとえです。ほんとうは、ずけいの とくちょうを くらべる どうぐが つかえなくなります。)

つぶしたあとの ずけいは、とがった ところが ふえて、「どれだけ ちぢめたら いいか」を くらべる どうぐが うまく はたらきません。これでは、つぎの せいりに すすめません。

そこで、つぶす かわりに、その どうぐが つかえる べつの ずけいを つくって のりかえます。この のりかえが「フリップ」です。フリップは 3じげん いじょうの はなしで、めんでは いりません。

3次元でも、標準因子との交点数が負になる曲線を、まとめて1点などにつぶす写像を考えます。問題が起きるのは、つぶされる曲線の集まりが小さく、写像が余次元1で同型になる場合(小さい収縮)です。このとき、つぶしたあとの図形では「負かどうか」を調べる目印が使えなくなります。専門的には、標準因子がQ-Cartier因子にならず、曲線との交点数が決まらないからです[1]。

たとえば、同じものさしで比べていたのに、つぶしたとたん、同じやり方では比べられなくなる、というようなものです。これは説明のためのたとえで、実際には、図形の特徴をはかる目印が使えなくなっています。

このあと、図形に特異点(とがったり、つぶれたりした点)が現れる場面もあります。そこで、標準因子がQ-Cartierとなる別の図形に取りかえる必要が出てきます。

この取りかえがフリップです。標準因子がQ-Cartierになる別の図形を作り、MMPを続けられるようにします。フリップは通常、余次元1で同型です[1]。曲面ではつぶすだけで済むので、フリップは3次元以上の話です。

では、この乗りかえは、いつも用意できるのでしょうか。

3次元でも、標準因子と負の交点数をもつ曲線群を点などにつぶす収縮を考える。問題は、写像が余次元1で同型になる場合(小さい収縮)である。このとき、収縮後の図形では標準因子がQ-Cartier因子にならず、曲線との交点数が定義できない。負かどうかを調べる比較の基準そのものが失われるため、次の変換に進めない[1]。高次元化の障害として特異点が自然に現れる、とも説明される。

たとえるなら、同じ物差しで比べていたのに、同じ手順では比べられなくなる状況に近い。ただしこれは説明のためのたとえで、出典の主張ではない。

途中で図形に特異点が現れ、標準因子がCartier因子でなくなる場合がある。そこで、標準因子がQ-Cartierとなる別の図形を作る必要が生じる。この操作がフリップであり、通常は余次元1で同型である[1]。曲面ではつぶすだけで足りるため、フリップは3次元以上に固有の問題である。

残るのは、この取りかえが本当に存在するのか、という問いだった。

3. もりさんは、どうやって 3じげんの とびらを あけたの?

3. 曲線を「折る」ことから始まった、森重文の道すじ

3. bend and break から1988年のフリップ存在証明まで

この もんだいに いどんだのが、数学者すうがくしゃの 森重文さんです。はじまりは、1979ねんの ろんぶんでした。せんを まげて、おると いう あたらしい ほうほうで、むかしからの よそう(ハーツホーン よそう)を ときました。

この ほうほうは、よそうを ときた こと よりも だいじだと いう ひとも います。いまも、いろいろな ところで つかわれて いるそうです。

その あと、3じげんの ずけいにも、せいりの みちを つけました。そして 1988ねんに、3じげんでは フリップが かならず つくれる ことを しめしました。

森が名を上げたのは、極小モデルより前の問題でした。1979年、アメリカの数学雑誌(Annals of Mathematics)に載った論文で、ハーツホーン予想(ある条件をもつなめらかな図形は、射影空間に限る、という予想)を解いたのです。その鍵が、曲線を曲げて折る「bend and break」という方法でした[2]。

藤野修は、この予想そのものよりも、新しい手法のほうが重要だったと書いています。有理曲線を作るほぼ唯一の方法として、今も広く使われているそうです[2]。

1982年の論文で、森は「端射線」という見方をつくり、曲面の極小モデルをとらえ直しました。すると、3次元以上の極小モデルの目指す形と、最初の一歩になる収縮写像が見えてきました。それまでは、3次元以上は曲面のようには研究できないと考えられていたようですが、森の仕事のあと、話は逆になったといいます[2]。

残る関門がフリップでした。1985年、森は3次元の端末特異点を分類しました。特異点の式の可能性を一つひとつ書き下す、地味で根気のいる仕事です。そして1988年の論文で、フリップが起きる場合をほぼ分類し尽くす「力技」により、必要な場合に3次元でフリップを作れることを示しました[2]。

森重文の出発点は、極小モデルではなかった。1979年にAnn. Math.に載った論文で、接ベクトル束が豊富な非特異射影多様体は射影空間に限る、というハーツホーン予想を解決している。その鍵が、代数多様体上の曲線を曲げて折る「bend and break」という手法だった。藤野修は、予想自体より新しい手法のほうが重要で、この手法は今も有理曲線を作るほぼ唯一の方法として広く使われる、と述べる[2]。なお、解決の年を1978年とする資料もあるが、論文はAnn. Math. 110巻の1979年である。

この「折る」発想が、曲線をつぶす極小モデル理論へつながる。1982年の論文で森は端射線たんしゃせんの理論をつくり、錐定理すいていりを確立した。曲面の極小モデルを端射線の見方でとらえ直すと、3次元以上の極小モデルのあるべき形と、最初の一歩になる収縮写像が見えてきた。それまでは3次元以上は曲面のようには研究できないと考えられていたが、森の仕事以降は話が逆になった、と藤野は書く[2]。

では、残る関門のフリップはどうか。1985年に森は3次元の端末特異点を分類した。特異点の定義方程式の可能性を書き下す、泥くさい仕事である。そのうえで1988年の論文(J. Amer. Math. Soc. 1巻1号)では、フリッピング収縮写像をほぼ分類し尽くすという力技で、3次元の極小モデル構成で必要になる場合にフリップを作れることを示した[2]。

4. 3じげんが できて、そのあと どうなったの?

4. 3次元の完成、フィールズ賞、そして高次元へ

4. 3次元の完成と、2010年に至る高次元の存在問題

フリップが あると わかって、3じげんの せいりは かんせいしました。そのあと、ほかの すうがくしゃたちも くわわって、3じげんの もんだいが つぎつぎ とかれて いきました。

1990ねんには、京都で ひらかれた せかいの すうがくの かいぎで、森さんは「フィールズ賞しょう」を もらいました。すうがくの ノーベルしょうの ような ものと いわれる しょうです。3じげんの ずけいの せいりが、りゆうと されました。

3じげんの つぎは、4じげん いじょうです。2010ねんには、たくさんの じげんで、フリップが つくれる ことを しめす ろんぶんが のりました。

川北真之の解説によると、森のフリップの存在定理で、3次元の本来のMMPが完成しました。その後、主にShokurovの努力で、より一般の形(対数的MMP)も完成しています。アバンダンス予想という別の大きな問題も、3次元で解決されました[1]。

1990年、京都で開かれた国際数学者会議で、森はフィールズ賞を受けました。3次元代数多様体の極小モデルの仕事が評価されたとされます。広中平祐は、この10年ほどの代数幾何で、もっとも深く刺激的な進展が森のプログラムだと評しました[7]。

次は4次元以上です。英語版Wikipediaの年表(二次資料)では、Shokurovが1993年に3次元、2003年に4次元で対数フリップ(フリップの少し一般的な形)の存在を示し、2010年にBirkar、Cascini、Hacon、McKernanが高次元での対数フリップの存在を解決したとされます[4]。同じ2010年の同じ雑誌の23巻に、Hacon-McKernanの論文も載っています。その一つは、(n-1)次元で有限生成なら、n次元でも、ある種のフリップが存在することを証明した、と紹介されます[5]。

3次元でフリップを見つけてから、およそ20年。ここまでで、フリップは「ある」と分かりました。では、あとは繰り返すだけで極小モデルに着くのでしょうか。

森がフリップの存在を示したことで、3次元ではMMPが組み上がった。川北真之によれば、その後Shokurovらの努力により、対数的MMPも3次元で完成し、アバンダンス予想も3次元で解決された。3次元フリップの具体的な記述も、森の存在証明とKollárとの共同研究で、幾分得られた[1]。

この仕事は広く認められた。1990年、京都の国際数学者会議で森はフィールズ賞を受けたが、その理由は3次元代数多様体の極小モデルの仕事とMMP関連である。広中平祐は、この10年ほどの代数幾何でもっとも深く刺激的な進展が森のプログラムだと評した[7]。

では、次元を上げるとどうなるのか。英語版Wikipediaの年表(二次資料)では、Shokurovが1993年に3次元、2003年に4次元の対数フリップの存在を示し、2010年にBirkar・Cascini・Hacon・McKernanが高次元の対数フリップの存在を解決したとされる[4]。同年のJ. Amer. Math. Soc. 23巻にBCHMの論文群が載り、Hacon-McKernanの論文は、(n-1)次元で有限生成なら、n次元でpl-flipが存在すると証明した。なお、これは掲載誌の要旨の範囲で、どの種類のフリップがどの次元で、という正確な文言までは扱わない[5]。

こうして存在の問題は進んだ。それでも「あとは繰り返せば着く」と言えない理由が、別にある。

5. フリップは、ずっと くりかえして とまるの?

5. フリップを繰り返して、本当に止まるのか

5. 終止予想:存在が示されても残る、有限回で止まるかという問い

フリップは、1回で おわりません。つぶして、のりかえて、また つぶして…と くりかえします。この くりかえしが「かならず どこかで とまるのか」は、とても むずかしい もんだいです。

森さんは、はんいを すこし せまくして 考えれば、おおくの だいじな ばあいに、ちゃんと とまる ことが わかって きた、と のべて います。それでも、ぜんぶの ばあいに とまる かどうかは、おおきな もんだいとして のこって いると されます。

くわしい ずけいを しらべるには、フリップが どう はたらくかを しる ことが だいじだと、いわれて います。

フリップは1回で終わりません。つぶして、乗りかえて、また調べる。この繰り返しが、いつか必ず止まるのかという問題を「終止予想」といいます。川北の講演要旨(2006〜2007年ごろの状況)は、終止予想は多様体の集合の有限性の問題で、存在予想より難しいと推測されると書いていました[1]。

森は、2006年のBCHMらの成果を受けて、因子収縮とフリップが実行できる少し制限した形のMMPは、多くの重要な場合に有限回で終わると述べました。実用的な一般論ができあがった、というのです。ただし、フリップの終止予想やアバンダンス予想などの大問題は残り、具体的な分類にはフリップの理解が欠かせない、という状況は変わらないとも書いています[3]。

英語版Wikipedia(二次資料)も、フリップの終止は3次元より上でなお未解決としています[4]。ここまでは2006〜2014年ごろまでの資料にもとづく説明です。最新の状況は、研究の最前線の論文を見る必要があります。

最初は「曲面ではつぶせば済む」話でした。それが3次元でフリップを必要とし、いまも「止まるのか」という問いが続いています。

存在が示されても、MMPの完成にはもう1つ条件が要る。フリップを繰り返すとき、有限回で止まるかという終止の問題である。川北の講演要旨(2006〜2007年ごろの状況)は、終止予想は多様体の集合の有限性問題であり、存在予想より難しいと推測されると書いていた[1]。

2006年のBCHMらの成果を受けて、森は、因子収縮とフリップが実行可能な少し制限した形のMMPは、多くの重要な場合に有限回で終わると述べた。実用的な一般論ができあがったという評価である。ただし「解決」ではない。フリップの終止予想やアバンダンス予想など大問題は残り、具体的な分類にはフリップの理解が不可欠という状況は変わらないと、同じ文章で述べている[3]。英語版Wikipediaも、フリップの終止は3次元より上でなお未解決とする[4]。

以上は2006〜2014年ごろまでの資料にもとづく整理であり、現在の最新の進展は、論文で確かめる必要がある。3次元で壁になった「つぶすと測れない」という点が、高次元では「繰り返して止まるか」という別の姿で残っている、と読める。

6. もっと しりたく なったら、どの しりょうを よむ?

6. 森重文の仕事を、日本語の資料で読むには

6. 日本語で読める原典:藤野修の寄稿と数学通信の記事

しらべる とき

おとなの ための すうがくの しりょうなので、むずかしい ところは とばして かまいません。「フリップ」や「ずけいを つぶす」と いう ことばを さがして、どんな ふうに かいて あるか、おうちの ひとと みて みましょう。

さいしょに よむなら、ふじの おさむ さんが 森さんの しごとを しょうかいした 文章が よみやすいです。

資料を読むなら

最初の一冊なら、藤野修「森重文先生の文化勲章受章に寄せて」(京大数学同窓会誌)[2]です。bend and breakから3次元のフリップまで、森の仕事が人の言葉で語られています。

次に、森重文「川北真之氏の高次元極小モデル理論の研究」(数学通信)[3]で、高次元で何が進み、何が残ったかを読めます。川北真之の講演要旨[1]は数式が多いのですが、フリップが必要になる理由の段落は、この記事の第2章と照らして読めます。

読むときは、「つぶすと、何が測れなくなるのか」を自分の言葉で言い直せるかを試してみてください。

資料を読むなら

入口には、藤野修「森重文先生の文化勲章受章に寄せて」[2]が向く。bend and breakから端射線、3次元フリップまでを、専門外の読者にも筋が追える形で述べている。高次元の現状は森重文「川北真之氏の高次元極小モデル理論の研究」(数学通信)[3]に、フリップの存在と終止の位置づけが書かれている。

川北真之の講演要旨[1]は数式が多い。まず第2章の内容、つまり小さい収縮のあと標準因子がQ-Cartierにならない理由の段落を、式と見比べて読むとよい。「つぶしたあとで比較できない」を、自分の言葉で言い直せるかが、先へ進む目安になる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文で使った資料です。日本語の資料はいずれもPDFです。

  1. 川北真之「高次元極小モデル理論の発展」(日本数学会講演要旨). https://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~masayuki/Website/Documents/msj06.pdf (極小モデル理論の考え方、フリップが必要な理由、存在と終止)
  2. 藤野修「森重文先生の文化勲章受章に寄せて」(京大数学同窓会誌). https://www.math.kyoto-u.ac.jp/alumni/bulletin6/19fujino.pdf (森の仕事の経緯と評価)
  3. 森重文「川北真之氏の高次元極小モデル理論の研究」(数学通信). https://www.mathsoc.jp/assets/pdf/publications/tushin/1402/kawakita-mori.pdf (高次元MMPの現状と残された問題)
  4. Wikipedia: Flip (algebraic geometry). https://en.wikipedia.org/wiki/Flip_(algebraic_geometry) (フリップの説明と年表。二次資料)
  5. Hacon, McKernan, Existence of minimal models for varieties of log general type II(J. Amer. Math. Soc. 23, 2010). https://www.ams.org/journals/jams/2010-23-02/S0894-0347-09-00651-1 (2010年の高次元の成果。要旨の範囲)
  6. Cadman ほか, A first glimpse at the minimal model program. https://sites.math.washington.edu/~kovacs/2013/papers/Cadman_et_al__A_first_glimpse_at_the_minimal_model_program.pdf (曲面の(-1)曲線と極小な曲面)
  7. MacTutor: Shigefumi Mori. https://mathshistory.st-andrews.ac.uk/Biographies/Mori/ (1990年のフィールズ賞と広中平祐の評)

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