1. 「2〜3度 さがる」って、だれが いって いるの?
1. 「2〜3℃下がる」と言っているのは、だれなのか
1. 「2〜3℃」は誰の数字か ── 事業者の説明と研究結果
2006年、高速道路の かみごうサービスエリアに、ミストが つけられました。きりの つぶは、太さ 0.016ミリ。かみの 毛より、ずっと 細かい つぶです。つけた 会社は、「まわりの 気温が 2〜3度 さげられます」と せつめいして います[1]。
べつの 会社の ページにも、気温が 2〜3度 さがると あります[2]。
でも、これは どちらも 会社の せつめいです。どこでも かならず さがる、という やくそくでは ありません。
いまの ところ、答えは 「じょうけんで かわる」です。どんな じょうけんが あるのか、ひとつずつ 見て いきましょう。まず、水が 空気を ひやす わけから です。
2006年、NEXCO中日本は上郷サービスエリアにドライミストを設置しました。直径約0.016mmという細かい水の粒を霧にして吹き出し、周囲の気温を2〜3℃下げられる、と説明しています[1]。ゼネコンの大林組も、ミスト冷却の技術紹介で、気温2〜3℃の低下を挙げています[2]。
ただし、どちらも事業者の説明です。どんな場所でも2〜3℃下がるという保証ではありません。
この記事の問いに、先に短く答えておきます。ミストで下がる温度は固定の数字ではなく、条件で決まります。事業者の説明は2〜3℃ですが、風が秒速2m以上の条件で暑さのストレスがほとんど軽くならなかったという研究報告もあります[5]。では、その「条件」とは何でしょうか。まず、霧が空気を冷やす仕組みから見ます。
2006年、NEXCO中日本は上郷サービスエリアにドライミストを設置し、直径約0.016mmの水の粒を霧にして噴くと、周囲の気温を2〜3℃下げられると説明した[1]。大林組の技術紹介も、気温2〜3℃の低下、粒子径10ミクロンと書いている[2]。ただし、どちらも事業者の説明であり、どんな場所でも下がるという保証ではない。
実際に何度下がるのか。先に答えを言えば、下がる温度は固定の数字ではなく、条件で決まる。風が秒速2m以上ある条件でドライミストが暑熱ストレスをほとんど軽減しなかったという報告がある[5]。2〜3℃は事業者が示す値で、実際の下がり幅は条件によって変わる。
では、その条件とは何か。粒の大きさ、湿度、風の三つを順に見る。最初に、霧が空気を冷やせる理由を、数字で確かめる。
2. 水の ふしぎな ちから ── 1円玉 1まいぶんで 箱の 空気が ひえる?
2. 水1gが蒸発すると、どれだけの空気が冷えるのか
2. 水1gの蒸発が奪う熱 ── 1円玉1枚ぶんの水の計算
あつい 日に、道に 水を まくと、すずしく なりますね。水が 蒸発する ときに、まわりから ねつを うばうからです。きりの ミストも おなじです[2]。
水 1グラムが 蒸発する とき、うばう ねつは およそ 2.4キロジュールです[3]。数字だけでは、ぴんと きませんね。そこで 計算 して みました。
ふつうの 空気 1メートル四方の 箱ぶんを、1度 ひやすのに いる ねつは、およそ 1.2キロジュール。ですから 水は およそ 0.5グラム ですみます。2度 さげるなら およそ 1グラム。1円玉 1まいの おもさです。
ただし これは、空気が にげず、水が ぜんぶ 蒸発すると した 計算です。そとでは 空気が 入れかわるので、ここまで うまくは いきません。
水が 蒸発してこそ、ひえます。では、きりの つぶは、なぜ そんなに 細かいのでしょう。
打ち水をすると涼しくなるのと同じように、ミストの冷却の中身は、水の粒が蒸発するときの気化熱です。噴霧した微粒子が蒸発するとき、周囲の空気から熱を奪います[2]。
水の蒸発熱は、25℃で1gあたり約2.4kJです(2442kJ/kg)。100℃では2257kJ/kgと、温度が上がるとやや小さくなります[3]。
数字だけでは実感がわかないので、計算してみます。空気1m³の重さを約1.2kg、空気1kgを1℃変える熱を約1kJとすると、1m³の空気を1℃冷やす熱は約1.2kJです。これを2.4kJで割ると、必要な蒸発量は約0.5gです。2℃なら約1gで、1円玉1枚の重さに当たります。一辺1mの箱の空気が2℃下がる計算です。
これは、空気が逃げず、水がすべて蒸発し、熱が水と空気の間だけで移ると考えた理想の見積もりです。屋外では空気が入れかわり、地面や日ざしからも熱が入るので、この数字どおりには下がりません。
少ない水でも、蒸発さえすれば空気を冷やせることは分かりました。では、わざわざ霧にするのはなぜでしょうか。
霧が空気を冷やす力は、水が蒸発するときに周囲から奪う熱、つまり気化熱にある[2]。水の蒸発熱は、25℃で2442kJ/kg(1gあたり約2.4kJ)、100℃(1気圧の沸点)では2257kJ/kgで、温度が上がるとやや小さくなる[3]。
これがどれほどの力か、計算で確かめる。空気1m³の重さを約1.2kg、空気1kgの温度を1℃変える熱を約1kJとすると、1m³の空気を1℃冷やすのに要る熱は約1.2kJ。2.4kJ/gで割れば、蒸発させる水は約0.5gだ。2℃なら約1g、3℃でも約1.5gで足りる。1円玉1枚は1gだから、それだけの水が蒸発すれば、一辺1mの箱の空気が約2℃下がる計算になる。
ただし、この値は理想の見積もりだ。空気が逃げず、水が残らず蒸発し、熱が水と空気の間だけで移る、という前提が要る。屋外では空気が入れかわり、地面や日ざしからも熱が入るので、実際の下がり幅はこれより小さくなると考えられる。
少量の水でも、蒸発さえすれば空気を冷やせる。裏を返せば、水が蒸発しきらなければ冷却は起きにくい。ならば、蒸発しやすい水の形とは何か。
3. きりの つぶは、なぜ こんなに 細かいの?
3. 水の粒は、なぜ髪の毛より細かいのか
3. 粒の大きさ ── 直径0.016mmにする理由
水を 蒸発させるだけなら、バケツの 水でも よさそうです。でも ミストは、わざわざ 細かい きりの つぶに します。つぶの 太さは 0.016ミリや、10ミクロン(1ミクロンは 1000分の1ミリ)です[1][2]。
大きな ひみつは、2つです。1つ目は、つぶが 細かいと 蒸発が はやいこと。2つ目は、ゆかが ぬれにくいことです[2]。
つぶの 大きさを 10分の1に すると、つぶの 数は 1000ばいに なります。そして、水に 空気が ふれる 面の ひろさは、ぜんぶで 10ばいです。ふれる 面が ひろいほど 蒸発しやすいのだと 考えられます。これは、わたしの 計算からの すいそくです。
では、ミストを あびた 人は、ぬれたと かんじるのでしょうか。
水を蒸発させるだけなら、バケツの水でも足りそうに思えます。ところがミストは、わざわざ直径0.016mm(16ミクロン)や10ミクロンの粒にします[1][2]。1ミクロンは1000分の1mmです。
大林組は、粒が細かいと蒸発が速く、床がぬれにくい、と説明しています[2]。粒が人や地面に届く前に蒸発しきれば、周りがぬれずに冷やせる、ということです。
粒の大きさと数の関係は、計算で確かめられます。粒の直径が10分の1になると、体積は1000分の1です。同じ量の水を霧にするなら、粒の数は1000倍。粒1個の表面積は100分の1なので、全部を足した表面積は、1000÷100で10倍になります。空気に触れる水の面が広がることが、蒸発の速さに関わっていると考えられます。ただし、これは資料の説明そのものではなく、私の計算からの推測です。
では、霧を浴びた人は、実際にどう感じたのでしょう。
水を蒸発させるだけなら、バケツの水でも足りるはずだ。ところがミストは、直径0.016mm(16ミクロン)や粒子径10ミクロン(1ミクロンは1000分の1mm)という細かい粒にする[1][2]。大林組は、粒が細かく蒸発が速いので、床がぬれにくいと説明している[2]。粒が人や地面に届く前に蒸発しきれば、周囲をぬらさずに空気から熱を奪える、というわけだ。
粒の大きさと数の関係は、計算で確かめられる。粒の直径が10分の1になれば、体積は1000分の1になる。同じ量の水を霧にすると、粒の数は1000倍だ。粒1個の表面積は100分の1になるので、全部を足した表面積は、1000÷100で10倍になる。空気に触れる水の面が広がることが、蒸発の速さと関係すると考えられる。ただし、これは資料が述べる説明ではなく、幾何学的な計算にもとづく筆者の推測である。
では、そうして作られた霧を浴びた人は、実際にどう感じたのか。
4. あいちばんぱくで ミストを あびた 人は、どう おもった?
4. 万博の待ち時間にミストを浴びた人は、ぬれて嫌だと感じたのか
4. 2005年の愛知万博 ── 1424人へのアンケートと、COP300の意味
2005年の あいちばんぱくで、まちじかんの お客さんに、ミストが ふきつけられました。お客さん 1424人に きいた アンケートが あります[4]。
「ぬれたようで いやだ」と こたえたのは、2パーセント いかでした。そして、「つづけて ほしい」と こたえた 人は、98パーセントです。
ただ、この せつめいを かいた 人は、ミストの しごとを して いる 本人で、「かたよっている かもしれない」と ことわって います[4]。
ここで 気に なる ことが あります。ミストを ふくと、空気の しめりぐあいが かわる はずです。
2005年の愛知万博では、待ち時間のお客さんにドライミストが噴かれました。日本ヒートアイランド学会の用語解説によると、お客さん1424人へのアンケートで、約3割がミストを肌で感じました。そのうち、ぬれたようで嫌だと答えたのは2%以下で、噴霧を続けてほしい人は98%でした[4]。
粒が細かくて蒸発が速いと、ぬれたと感じる人が少ない。大林組の説明と合う結果です。
ただし、この解説の筆者はドライミストの事業の当事者で、客観性に欠けると自分で断っています[4]。アンケートは感じ方を聞いたもので、気温が何度下がったかの数字ではありません。万博での気温の実測値は、この資料からは分かりません。
霧を浴びる人の感想は分かりました。次は、空気のほうに起きる変化です。
2005年の愛知万博では、待ち時間の来場客にドライミストが噴かれた。日本ヒートアイランド学会の用語解説によれば、客1424人へのアンケートで、約3割がミストを肌で感じ、ぬれたようで嫌だと答えたのは2%以下、噴霧の継続を望む人は98%だった[4]。粒が細かく蒸発が速いと、ぬれにくい。前の章の大林組の説明と合う結果だ。
同じ解説は、蒸発で奪う熱量をミストを作る投入エネルギーで割った値(COP)が、万博で300になったと書いている[4]。入れたエネルギーの約300倍の熱を蒸発で奪えた、という意味だ。
ただし、解説の筆者はドライミスト事業の当事者で、客観性に欠けると自ら断っている[4]。アンケートは感じ方の調査であり、気温を測ったものではない。万博での気温の低下幅は、この資料からは読み取れない。だから、COPや98%は、一例として受けとめるのが妥当だ。
感想の話は、ここまで。次は、霧を噴いたあとの空気の変化に目を向ける。
5. しめった 空気では、ミストは ききめが よわくなる?
5. 霧を吹くと湿度が上がる ── 冷え方に限りはあるのか
5. 湿度の壁 ── 1℃下がるごとに相対湿度が約5%上がる
ミストを ふくと、空気は つめたくなりますが、おなじ ときに 水も ふえるので、しめり気も 上がります。
ある せつめいでは、気温が 30度 ぐらいの とき、1度 さがると 湿度が およそ 5パーセント 上がる とされて います[4]。たとえば、湿度 60パーセント の 空気を 2度 さげると、およそ 70パーセントに なる 計算です。
ただ、この 数字は 一つの れいです。
しめり気が 上がると、水は 蒸発しにくく なる、と 考えられます。ミストを 出し つづけても 空気が 入れかわらないと、ひえ方には かぎりが ありそうです。
空気を 入れかえるのは 風です。では、風が ふけば ミストは よく ききますか?
ミストを噴くと、空気は冷えますが、水が空気中に増えるので湿度が上がります。日本ヒートアイランド学会の用語解説では、気温30℃前後の場合、気温が1℃下がると相対湿度は約5%上がる、とされています[4]。たとえば、気温30℃で湿度60%の空気を2℃下げると、湿度は約70%になる計算です。
相対湿度とは、その温度の空気が含める水蒸気の最大量に対して、いまどれだけ含んでいるかの割合です。この数字も、事業の当事者である筆者が書いた解説にある一例として見ておきます。
湿度が上がると、水は蒸発しにくくなる方向に働くと考えられます。ミストを出し続けても空気が入れかわらなければ、冷え方には限度がありそうです。これは資料から導いた私の推論で、資料が直接そう書いているわけではありません。
空気を入れかえるものといえば、風です。では、風が吹けばミストはよく効くのでしょうか。
ミストを噴くと、空気は冷えるが、空気中の水蒸気は増える。日本ヒートアイランド学会の用語解説によれば、気温30℃前後では、気温が1℃下がるごとに相対湿度が約5%上がる[4]。たとえば気温30℃・湿度60%の空気を2℃下げると、湿度は約70%になる計算だ。相対湿度とは、その温度の空気が含める水蒸気の最大量に対する、いま含んでいる量の割合である。
この数字は、事業の当事者が書いた解説にある一例で、他の条件では変わる。ただ、方向ははっきりしている。冷えるほど、湿度は上がる。
湿度が上がれば、水は蒸発しにくくなる方向に働くと考えられる。空気が入れかわらない場所でミストを噴き続けると、冷える幅には限度がありそうだ。これは資料から導いた筆者の推論であり、資料が直接そう述べているわけではない。
空気を入れかえるものといえば、風である。風が吹けば、ミストは有利になるのか。
6. 風が ふくと、ミストは どうなるの?
6. 風のある日、ミストは日傘や街路樹と比べてどうだったのか
6. 風と暑熱ストレス ── 日傘・ドライミスト・街路樹を比べた2022年の研究
筑波大学の けんきゅうしゃたちは、2022年に けんきゅうを 発表しました[5]。日がさ、ミスト、道ばたの 木の 3つが、暑さを どれだけ へらすかを くらべた ものです。
けっかは、おもしろい ものでした。ミストは、風が 秒速 2メートル いじょうの 中ぐらいの 風の ときは、暑さを ほとんど やわらげませんでした。いちばん ききめが あったのは、木でした。この けんきゅうは、1日ぶんの かんそくです。
この けんきゅうが あつかったのは、風が 2メートル いじょうの じょうけんです。
風で きりが ながされる せいかは、この 研究だけでは いえません。
水が 蒸発する ねつの 大きさは 本当です。でも、つぶの 大きさ、しめり気、風で、けっかが かわります。
筑波大学の日下博幸さんたちは、2022年の論文で、日傘・ドライミスト・街路樹の三つが暑さをどれだけ軽くするかを比べました[5]。
結果、ドライミストは、風が秒速2m以上の中程度の風の条件では、暑熱ストレスをほとんど軽くしませんでした(弱い風の条件では、UTCIで2.0℃、WBGTで0.8℃下がっています)。いちばん効いたのは街路樹で、体感の暑さの指標UTCIが5.9℃、暑さ指数WBGTが1.9℃下がったと報告されています[5]。
UTCIもWBGTも、気温だけでなく日ざしや湿度、風なども入れた暑さの指標です。気温の下がり幅とは別の数字なので、並べて読まないよう注意が要ります。
この研究が扱ったのは、風が秒速2m以上の条件です。観測は一日分で、一つの研究の結果です。風で霧が流れるせいかどうかは、この研究の結論からは言えません。
水の蒸発が熱を奪う力は確かですが、粒の大きさ、湿度、風といった条件で、実際の効き目は変わります。事業者の説明する「2〜3℃」は事業者の示す値で、実際の効き目は条件によって変わります。
筑波大の日下博幸さんたちは、2022年の論文で、日傘・ドライミスト・街路樹の三つが暑さをどれだけ軽くするかを比べた[5]。その結果、ドライミストは、風が秒速2m以上の中程度の風の条件では、暑熱ストレスをほとんど軽減しなかった(弱風の条件ではUTCIで2.0℃、WBGTで0.8℃の低下)。最も効いたのは街路樹で、体感の暑さの指標UTCIで5.9℃、暑さ指数WBGTで1.9℃の低下だったと報告されている[5]。
UTCIもWBGTも、気温だけでなく日ざし、湿度、風を組み合わせた指標だ。気温の下がり幅とは別の数字であり、同じ表に並べて読むことはできない。
この研究が扱ったのは、風が秒速2m以上の条件で、観測は一日分である。霧が風で流れるためなのか、ほかの理由なのかは、論文の結論の一文からは言えない。
ここまでの流れをまとめると、こうなる。水1gが蒸発して奪う熱は小さくない(計算では1円玉1枚の水で一辺1mの箱の空気が約2℃)。しかし、粒が細かいか、湿度が高くなりすぎないか、風が強すぎないか、という条件で実際の効き目は変わる。事業者は2〜3℃下がると説明しているが、研究で示された効き目は条件によって異なる。
7. きりふきと うちわで、蒸発と 風を ためして みよう
7. 霧吹きとうちわで、蒸発と風を試す
7. 蒸発と風を、家の霧吹きとうちわで確かめる
今日 できること
きりふきで うでに シュッと 水を ふきかけます。そのまま 5つ 数えて、すずしさを かんじます。つぎに うちわで あおぐと、ひんやり かんじが かわるでしょうか。風が ある ときと ない ときを くらべます。かおや 目には かけないように します。
出かけて できること
ミストの ある 場所では、きりが どちらへ ながれるかを 見ます。ただし、ぬれた ところで すべらないように、足もとに きを つけます。
公式の じょうほう
会社の せつめいと、研究の けっかを、見くらべて みると、おもしろいです。
霧吹きとうちわで試す
霧吹きで腕に水を少し吹きかけ、そのまま乾くのを待ちます。次に、うちわで風を当てたときと比べてみます。風があるときのほうが、早く乾くか、涼しく感じるかを確かめます。顔や目には吹きかけないようにします。
風があるほうが涼しく感じても、論文のミストとは別の話です。ミストの研究は、霧が人のいる場所に届くかどうかなど、屋外の条件を含んでいます。家の霧吹きの結果を、そのまま当てはめることはできません。
ミストのある場所で観察する
駅前や商業施設などのミストでは、霧が風でどちらへ流れるか、地面がぬれているかを見ます。濡れた床で滑らないように、足もとにも気をつけます。
説明と実測を見比べる
事業者の説明(2〜3℃)と、日下博幸さんたちの研究を、並べて読むと、条件の違いが見えてきます。
家庭でできる観察
霧吹きで腕に水を吹きかけ、乾くまでの時間を、風なし・うちわで風あり、の二つで比べる。風があるほうが早く乾くか、涼しく感じるかを確かめる。顔や目には吹きかけない。この観察は蒸発の様子を見るだけで、ミストの冷却効果を測ったものではない。
屋外で見る
ミストのある場所では、霧の流れる向きと地面のぬれ具合を見る。霧がどちらへ流れるかを観察できる。濡れた床で滑らないよう注意する。
原典に当たる
日下らの論文は日本気象学会の英文誌(Journal of the Meteorological Society of Japan, 2022年)に載っていて、日傘・ドライミスト・街路樹の比較と、UTCI・WBGTの定義がある[5]。事業者の説明は、NEXCO中日本の2006年の発表[1]と大林組の技術紹介[2]、愛知万博の事例は日本ヒートアイランド学会の用語解説[4]にある。説明と実測を見比べると、「何度下がるか」の読み方が変わる。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
本文の事実は、次の資料にもとづいています。
- NEXCO中日本「上郷SAドライミスト設置」(2006) https://www.c-nexco.co.jp/corporate/pressroom/news_old/?id=637 (粒の直径と、事業者の説明する気温低下)
- 大林組「ミスト冷却技術」 https://www.obayashi.co.jp/solution_technology/detail/tech029.html (気化熱、粒子径、床がぬれにくいこと。事業者側の説明)
- Wikipedia「蒸発熱」 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%92%B8%E7%99%BA%E7%86%B1 (水の蒸発熱の値。補助的な資料)
- 日本ヒートアイランド学会「最近気になる用語149」 https://www.jsrae.or.jp/annai/yougo/149.html (湿度の上がり方、愛知万博のアンケート。筆者は事業の当事者)
- Kusaka et al. (2022) Journal of the Meteorological Society of Japan 100 https://www.metsoc.jp/jmsj/GA/JMSJ2022-035.pdf (日傘・ドライミスト・街路樹の比較。風2m/s以上の条件)
なおした ところ
更新履歴
更新履歴(改版の記録)
- 初版を公開。
このサイトでは、公開した記事の本文は原則として書き直しません。誤りが見つかったときや、内容が古くなったときだけ手を入れ、その理由をこの欄に残します。