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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

石の かたさに 番号を つけると どうなるの?

「ひっかいて傷がつくか」で石を1から10に並べる ── モース硬度のひみつ

モース硬度(1812年)── ひっかき傷で決める10段階と、数字の間隔の不均等

分野:自然

つめで こすると、きずが つく 石が あります。いっぽうで、ダイヤモンドだけが きずを つけられる 石も あります。

こんな 石に、「かたい じゅん」に 番号を つけた 人が います。どうやって きめたのか、たどって みましょう。

爪でこすると傷がつく石があります。一方で、ダイヤモンド以外ではほとんど傷がつかない石もあります。この硬さの順番を、1から10までの数字にした物差しが「モース硬度」です。

決め方は、驚くほど単純です。ところが、数字の間隔をよく見ると、意外な事実があります。10の基準の石、身近なものの目安、そして数字の落とし穴を順に見ていきます。

モース硬度は、10種類の鉱物を基準に、ひっかき傷のつきやすさで硬さの順位をつけた尺度だ。ドイツの鉱物学者フリードリヒ・モースが1812年に作ったとされる[2]。

決め方の単純さ、身近なもので試せる便利さ、そして数字が等間隔ではないという性質を、出典つきで整理する。

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1. きずが つくか どうかで、かたさを くらべる

1. 硬さは「ひっかいて傷がつくか」で比べる

1. 決め方 ── 傷をつけたほうが硬い

2つの 石を、こすりあわせます。きずが ついた ほうが、やわらかい 石です。きずを つけた ほうが、かたい 石です。

たとえば、じゃんけんで かった ほうが 上、と きめる ような ものです。ただし、じゃんけんと ちがって、どちらが かつかは、いつも おなじです。

この きめ方を つかって、石の かたさを 1から 10までの 番号に した ものが、「モースこうど」です[3]。

2つの石をこすり合わせたとき、傷がついたほうがやわらかく、傷をつけたほうが硬い。モース硬度は、この単純なルールでできています[3]。

たとえば、石膏は滑石をひっかいて傷をつけられるので2番、方解石は石膏に傷をつけられるので3番、というように順番が決まりました。じゃんけんで勝ったほうを上に置く、という感覚に近いものです。ただし、じゃんけんのように勝敗が回ることはなく、どちらが勝つかはいつも同じです。

この方法の便利なところは、道具が要らないことです。野外で鉱物を見分けるのにも役立つと、アメリカの国立公園局の資料は説明しています[1]。

決め方の原則は、「相手に傷をつけられれば、自分のほうが硬い」という一点にある。石膏が滑石をひっかくので石膏は2、方解石が石膏をひっかくので方解石は3、という具合に順位が決まった[3]。

身近な道具と基準の鉱物をこすり合わせるだけで比べられるため、野外での鉱物の見分けに向くと米国国立公園局は説明している[1]。

2. むかしから、石の かたさは くらべられて いた

2. 昔から比べられていた硬さを、数字にした人

2. 前史とモースの整理 ── 1773〜1839年

石の かたさを くらべる ことは、とても むかしから ありました。二千三百年ぐらい 前にも、くらべて いたと いわれます[1]。

ドイツの 石の 学者、フリードリヒ・モースは、その くらべ方を 番号に まとめました。1812年の ことと いわれます[2]。

「やわらかい 石から じゅんに ならべて、番号を つける」。この 思いつきが、いまでも つかわれて います。

石の硬さを比べる習慣は、モースよりずっと前からありました。硬さの比べ合いは紀元前300年ごろから行われていたと、米国国立公園局の資料にあります[1]。古代の学者テオフラストスや大プリニウスも、知っていた鉱物の硬さを比べていたと伝えられています[3]。

ドイツの鉱物学者フリードリヒ・モース(1773〜1839年)は、その比べ方を、10種類の基準となる鉱物を使った数字の尺度にまとめました。1812年に作られたとされています[2]。

モースの功績は、新しい発見というより、「順番に番号をふる」というまとめ方にありました。

鉱物の硬さの比較は古く、紀元前300年ごろから行われていたとされる[1]。古代のテオフラストスや大プリニウス(プリニウス)も、当時知られた鉱物の相対的な硬さを比べていたという[3]。

ドイツの鉱物学者フリードリヒ・モース(1773〜1839)は、この比較を10種類の鉱物による尺度に整理した。作られたのは1812年とされる[2]。

3. ものさしに なる 10この 石

3. 物差しになる10種類の石

3. 基準の10鉱物

ものさしに なる 石は、10しゅるい あります。いちばん やわらかい 石が 1番、いちばん かたい 石が 10番です。

1番は、滑石かっせき。ひとつ 上の 2番は、石膏せっこう。そして 10番が、ダイヤモンドです[1]。

あいだの 石も 順番じゅんばんに ならびます。3番は 方解石ほうかいせき、4番は 蛍石ほたるいし、5番は アパタイト、6番は 正長石せいちょうせき、7番は 石英せきえい、8番は トパーズ、9番は コランダムです[1]。

基準になる10種類の石は、やわらかいほうから順に、次のとおりです[1]。

1 滑石、2 石膏、3 方解石、4 蛍石、5 燐灰石(アパタイト)、6 正長石、7 石英、8 黄玉(トパーズ)、9 コランダム、10 ダイヤモンド。

やわらかい滑石が1番で、いちばん硬いダイヤモンドが10番。この両端のあいだに、8つの石が並んでいます。

基準の10鉱物は、硬さの低いほうから、1滑石(かっせき)、2石膏(せっこう)、3方解石(ほうかいせき)、4蛍石(ほたるいし)、5燐灰石(りんかいせき、アパタイト)、6正長石(せいちょうせき)、7石英、8黄玉(おうぎょく、トパーズ)、9コランダム、10ダイヤモンドである[1]。

実際に岩石や鉱物の硬さを調べるときは、この10種類のどれに傷がつくか、どれで傷がつくかを確かめて、間の値を見当づける。

4. みぢかな ものは、何番ぐらい?

4. 爪やガラスは何番くらい?

4. 身近なものの硬さの目安

みぢかな ものにも、モースこうどの 番号が あります。つめは 2.5ぐらいです[1]。

コインは 3から 3.5ぐらい、ガラスや ナイフは 5から 6ぐらい、はがねの くぎは 6.5ぐらいと いわれます[1][4]。

だから、つめでは、5番の アパタイトには きずが つきません。

ただし、この 番号は、しりょうに よって すこしずつ ちがいます。「だいたいの 目安」と おぼえて ください。

身近なものにも、おおよその番号があります。爪は約2.5、硬貨は3〜3.5、ガラスやナイフは5〜6、鋼の釘は約6.5と紹介されています[1][4]。

ここから、爪では2番の石膏に傷がつけられるけれど、3番の方解石には傷がつかない、ということが読み取れます。硬貨やガラスは、種類や硬さによっては、方解石やアパタイトに傷をつけることがあります。

ただし、資料によって値が少しずれます。日本の硬貨1枚ずつの正確な値は、今回の資料には載っていませんでした。あくまで「だいたいの目安」です。

身近なものの目安は、米国国立公園局の資料では、爪が2.5、銅貨が3.5、ナイフ・ガラスが5.5、鋼の釘が6.5とされる[1]。倉敷市立自然史博物館の資料では、爪が2〜2.5、硬貨が3〜3.5、ガラス・ナイフが5〜6とある[4]。

資料ごとに値の幅がある点に注意が要る。日本の硬貨の値は、確認した資料に載っていなかったため、数字は固定しない。

5. 番号の あいだは、おなじ 大きさじゃない

5. 数字の間隔は、等しくない

5. 順位尺度としてのモース硬度 ── 間隔の不均等

1、2、3と いう 番号は、かいだんの 1だん ずつ みたいに、おなじ 高さで ならんで いると おもうかも しれません。

でも、ほんとうは ちがいます。9番の コランダムは、8番の トパーズの やく 2ばい かたく、10番の ダイヤモンドは、9番の コランダムの やく 4ばい かたい と いわれます[5]。

トパーズを 1と すると、コランダムは やく 2、ダイヤモンドは やく 8です。9番と 10番の あいだは、とても ひらいて います。かいだんで いえば、さいごの 1だんだけ、とても 高いのです。

1から10まで並んでいると、1段ごとに同じだけ硬くなるように見えます。けれど、実際には間隔が等しくありません。

絶対的な硬さで比べると、コランダム(9)はトパーズ(8)の約2倍、ダイヤモンド(10)はコランダムの約4倍とされています[5]。トパーズを1とすると、コランダムは約2、ダイヤモンドは2×4で約8になります。

階段にたとえるなら、8段目から9段目まではふつうの段差なのに、最後の10段目だけ、ぐんと高い階段です。「モース硬度が1違う」ことの意味は、段によって違います。

モース硬度は順位を表す尺度(順序尺度)であり、段階間の差は等しくない。絶対硬度の比で見ると、コランダム(9)はトパーズ(8)の約2倍、ダイヤモンド(10)はコランダムの約4倍とされる[5]。トパーズを1とすれば、コランダム約2、ダイヤモンド約2×4=8になる。この例では、トパーズからコランダム、ダイヤモンドへと、段ごとの間隔が大きくなる。

この4倍は絶対硬度での比であり、モース硬度の数字そのものの比ではない。「モース硬度10は5の2倍」のような読み方は成り立たない。

6. かたいのと、われにくいのは べつの こと

6. 「硬い」と「割れにくい」は別のこと

6. 測っているのは引っかき硬度 ── もろさとの区別と拡張尺度

モースこうどが はかって いるのは、「きずの つきにくさ」だけです。「われにくさ」では ありません[6]。

ダイヤモンドは、ひっかいても きずが つきにくい 石です。でも、「かたい」ことと「われにくい」ことは、べつの 話です。

また、ダイヤモンドより かたい ものが あるかも しれないと、けんきゅうされて いる ものも あります[2]。ただし、とても めずらしい ものです。

モース硬度が表すのは、ひっかいたときの傷のつきにくさ(引っかき硬度)です。ものが割れにくいかどうか、衝撃に強いかどうかは、別の性質です[6]。

傷がつきにくいことと、割れにくいことは、同じではありません。「硬い」と「丈夫」を同じ意味で使うと、勘違いのもとになります。

研磨に使う材料の中には、9と10のあいだにたくさん集まるものがあります。そこで、ダイヤモンドを15にするなど、高い側を細かく分けた別の尺度が後から作られました[7]。また、ダイヤモンドより硬い可能性のある物質(ウルツ鉱型窒化ホウ素、ロンズデーライトなど)も研究されていますが、非常にまれです[2]。

モース硬度が定めるのは、あるものでひっかいたときの傷のつきにくさ(引っかき硬度)であり、割れにくさ・もろさ・衝撃への強さとは別の性質だ[6]。

高い側の研磨材を区別するため、ダイヤモンドを15とするなどの拡張尺度(Ridgway、Wooddellなど)が作られた[7]。

ダイヤモンドより硬い可能性がある物質として、ウルツ鉱型窒化ホウ素とロンズデーライトが挙げられるが、非常にまれで、断定できる段階ではない[2]。

7. つめで、きずが つくか ためして みよう

7. 爪で、傷がつくものとつかないものを分けてみる

7. 出口 ── 爪で確かめる/原典を読む

つめを つかって、家の 中の ものを ためして みましょう。

つめで そっと こすって、「きずが つくもの」と「つかないもの」に わけます。たとえば、けしゴムや ろうそくの ろうなどです。

つめが かたいと いえるのは、「つめより やわらかい ものに きずが つく」ときだけです。つかなかった ものは、つめより かたいか、おなじぐらいの ものです。

ためす ときは、つめだけを つかいます。ナイフや とがった ものは つかいません。きれいな ものや だいじな ものは、こすらない ように しましょう。

爪を使って、家にあるものの硬さを確かめてみてください。爪でそっとこすって、傷がつくものとつかないものに分けます。消しゴムやろうそくのろうなどが試せます。

傷がついたものは、爪より軟らかいと考えられます。傷がつかなかったものは、爪と同じか、爪より硬いものです。「傷がつかなかった」だけでは、どちらかまでは決められないことにも気づくでしょう。

刃物やとがったものは使いません。大切なものや、割れやすいものは、こすらないようにしてください。

原典を読むなら、アメリカ国立公園局のモース硬度のページ[1]と、倉敷市立自然史博物館の「鉱物の硬度」のページ[4]が入り口になります。後者は日本語で読めます。

爪と身近なものを使って、傷がつくかどうかを確かめられる。爪で傷がつくものは爪より軟らかい。傷がつかないものは、爪と同じか、それより硬い。「つかなかった」だけでは、どちらとも決められない点に注意したい。刃物・とがったものは使わず、大切なものはこすらない。

原典にあたるなら、米国国立公園局のモース硬度のページ[1]、geology.comの解説[2]、Wikipedia英語版のMohs scaleとScratch hardness[5][7]がある。日本語では、倉敷市立自然史博物館の解説[4]と、日本語版ウィキペディアの「モース硬度」[6]が読める。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:米国国立公園局、geology.com、ウィキペディア(英語版・日本語版)、倉敷市立自然史博物館の解説ページを使った。数値は資料により幅がある。トパーズを1としたときの換算値は、筆者が計算した。

  1. National Park Service "Mohs Hardness Scale"。 https://www.nps.gov/articles/mohs-hardness-scale.htm (10種類の基準、身近なものの目安、野外での使い方、古い比較について)
  2. geology.com "Mohs Hardness Scale"。 https://geology.com/minerals/mohs-hardness-scale.shtml (モースが1812年に作った経緯、ダイヤモンドより硬い可能性のある物質について)
  3. Wikipedia "Friedrich Mohs"。 https://en.wikipedia.org/wiki/Friedrich_Mohs (ひっかいて決める原則、モースの生没年、古代の学者の比較について)
  4. 倉敷市立自然史博物館「鉱物の硬度」。 https://www2.city.kurashiki.okayama.jp/musnat/geology/mineral-rock-sirabekata/mineral44/mineral-koudo/mineral-koudo.html (身近なものの硬さの目安について)
  5. Wikipedia "Mohs scale of mineral hardness"。 https://en.wikipedia.org/wiki/Mohs_scale_of_mineral_hardness (数字の間隔が等しくないことについて)
  6. 日本語版ウィキペディア「モース硬度」。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%82%B9%E7%A1%AC%E5%BA%A6 (引っかき硬度であって割れにくさではないことについて)
  7. Wikipedia "Scratch hardness"。 https://en.wikipedia.org/wiki/Scratch_hardness (高い側を細かく分けた拡張尺度について)

なおした ところ

更新履歴

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