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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

蚊かに さされると、どうして かゆく なるの?

蚊に刺されると、どうしてかゆくなるのでしょうか

蚊に刺されるとなぜかゆくなるのか:唾液への反応と、刺された回数による変わり方

分野:からだ

はじめて 蚊かに さされた 赤ちゃんは、かゆがらない ことが あると いわれます。

では、かゆく なるのは、どうしてでしょう。この ページを 読むと、蚊かが かゆみの もとを 体に 入れる わけと、さされる たびに かゆみ方が かわる ことが わかります。

初めて蚊に刺された赤ちゃんは、かゆがらないことがあるといわれます。かゆみは、刺されたという事実そのものから生まれるわけではなさそうです。

では、かゆみのもとは何で、なぜ刺された回数で反応が変わるのでしょうか。この記事を読むと、蚊が唾液を入れる理由と、体の反応が段階的に変わっていく見方が分かります。さらに、ネッタイシマカという蚊は、血が固まるときにできる物質を合図に、満腹になる前に血を吸うのをやめるという研究も紹介します。

初めて蚊に刺された乳児は、かゆみが出ないことがあるとされる[2]。針で皮膚を刺したことがかゆみの原因なら、初回から出るはずである。

では、かゆみのもとは何で、反応はなぜ刺された回数で変わるのか。このメモを読むと、蚊の唾液の役割、かゆみについて提案されている3つの説明、反応の段階説と、その限界が分かる。

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1. はじめて さされた 赤ちゃんは、かゆく ない?

1. 初めて刺された赤ちゃんは、かゆがらないことがある

1. 初回の刺咬で、かゆみが出ないことがある

おうちの 人に 聞いて みると、おもしろい ことが わかるかも しれません。生まれて はじめて 蚊かに さされた 赤ちゃんは、かゆがらない ことが あると いわれて います[2]。

かゆみは、はりで さされた いたみの なごりでは なさそうです。蚊かが 血を すう ときに 体に 入れる 唾液だえきに、体が はんのうする ことで おきると かんがえられて います[1]。

ただし、人によって ちがいが 大きいので、「赤ちゃんは ぜったい かゆくない」わけでは ありません。

それなら、蚊かは どうして、わざわざ 唾液だえきを 体に 入れるのでしょう。

かゆみは「刺された」だけでは起きない

皮膚科医が監修した解説には、新生児は蚊の唾液の成分に対する免疫がないため、初めて刺されたときにかゆみが出ないことがある、と書かれています[2]。ただし、これは傾向の話で、個人差は大きいとされています。

もし、細い針が皮膚に刺さる刺激そのものがかゆみの正体なら、初めてでも出るはずです。ところが皮膚科学の教科書は、血を吸うときに注入される唾液の成分に対するアレルギー反応が症状の原因と考えられる、と説明しています[1]。

かゆみのもとは、蚊が入れた唾液にある。では、そもそも蚊はなぜ、血を吸うだけなのに唾液まで入れるのでしょうか。

乳児は蚊唾液中の物質に対する免疫をまだ持たないため、初めて刺されたときにかゆみが出ないことがあるとされる[2]。これは皮膚科医が監修した一般向け解説の記述で、傾向を述べたものにすぎず、年齢や体質による個人差は大きいと併記されている。

もし刺入の物理的刺激がかゆみの本体なら、初回から症状が出るはずである。ところが皮膚科学の教科書は、吸血時に注入される唾液成分に対するアレルギー反応、あるいは虫の毒液中のヒスタミン類が症状の原因と考えられる、としている[1]。つまり、かゆみの起点は傷ではなく、注入された物質への体の応答に置かれている。

では、なぜ蚊は、血を吸うだけで足りるはずの場面で、わざわざ唾液を送り込むのか。

2. 蚊かは、どうして 唾液だえきを 入れるの?

2. 蚊が唾液を入れるのは、血を吸い続けるため

2. 唾液を注入する理由:吸血の邪魔を取りのぞく

血を すうのは、メスの 蚊かだけです。血は、たまごを つくる ための えいように なります[3]。

でも、血は、きずが できると かたまって、とまろうと します。かたまって しまったら、すえません。

そこで 蚊かの 唾液だえきには、血が かたまるのを ふせいで、血を ながれ つづけさせる ものが 入って いると いわれます[4]。血が ながれつづければ、蚊かは ゆっくり ごはんが できます。

つまり、かゆみは 蚊かが わざと つけた ものでは なく、ごはんを たべやすく する くふうの、おまけの ような もの、と かんがえる ことが できます。

では、体は その 唾液だえきに、どう はんのうするのでしょう。

血を吸うのは、卵のための食事

人を刺して血を吸うのは、メスの蚊だけです。血は、卵をつくるのに必要な栄養になるとされています[3]。

固まらせない工夫

ところが、血は傷口に出ると固まろうとします。固まってしまえば、蚊はもう吸えません。そのため蚊の唾液には、血が固まるのを防いで、血が流れ続けるようにするタンパク質が含まれているといわれます[4]。血が流れ続ければ、蚊は邪魔されずに食事ができます。

この見方に立つと、かゆみは蚊が狙って起こしているものではなく、食事を続けやすくする仕掛けの副作用として生じていると考えられます。

では、体は唾液のどの成分に、どう反応しているのでしょうか。

吸血するのは雌のみで、血は産卵に必要な栄養源となる[3]。ところが血液は、傷口で凝固して流れを止めようとする。蚊が吸い続けるには、その働きを抑えなければならない。

そのため蚊の唾液には、血液の凝固を防ぎ、血流を保って、吸血を妨げられないようにするタンパク質が含まれるとされる[4]。成分と働きの組み合わせは、蚊の種類によって異なる。

この見方では、かゆみは蚊の目的ではなく、吸血を成立させるための物質を体内に入れたことの副産物として生じる、と整理できる。では、その物質に対して、体の側では何が起きているのか。

3. かゆみを おこす のは、だれ?

3. かゆみの犯人は、まだ1つに決まっていない

3. かゆみの仕組みについて提案されている3つの説明

じつは、かゆみの 本当の しくみは、まだ はっきり 1つには きまって いません。

けんきゅうの まとめには、3つの かんがえが のって います[3]。蚊かの 唾液だえきに はじめから 入っている ヒスタミンという ものが かゆみを つくる という かんがえ。唾液だえきの べつの ものに 体が はんのうして、体の 中の ヒスタミンが たくさん でる という かんがえ。そして、そのどちらでも ない はんのうが ある という かんがえです。

かゆみが でる ばしょも、じかんも、人によって ちがいます。さされて すぐ かゆく なって 1〜2じかんで おさまる ことも あれば、つぎの 日から あかく はれる ことも あります[1]。

では、どうして さされた かいすうで、はんのうが かわって いくのでしょう。

説明は3つある

医学のレビュー論文には、蚊に刺されたときのかゆみについて、3つの考え方が示されています[3]。1つめは、蚊の唾液にもともと含まれるヒスタミンが、神経に直接はたらくという考え。2つめは、唾液の別の成分に体が抗体をつくって反応し、皮膚の細胞がヒスタミンを出すという、アレルギーの考え。3つめは、抗体によらない炎症反応です。

唾液にはヒスタミンが含まれ、その量はかゆみを起こすのに足りそうだ、とも書かれています[3]。ただし、これは「3つの説明が提案されている」段階の話で、「かゆみはヒスタミンだけが原因」と言い切れる状況ではありません。

出方もさまざま

反応の出方も一通りではありません。刺された直後に小さな腫れとかゆみが出て、1〜2時間ほどで軽くなる「即時型」と、1日以上たってから赤みや腫れが出て、治るのに時間がかかる「遅延型」があると説明されています[2]。

では、どちらの型が出るかは、何で決まるのでしょうか。

刺咬後のかゆみについて、レビュー論文は3つの機序を挙げている[3]。(1)唾液中にもともと含まれるヒスタミンが神経の受容体に結合する。(2)唾液中の別の成分にIgE(あいじーいー)抗体が反応し、皮膚の肥満細胞(ひまんさいぼう)がヒスタミンを放出する、I型アレルギー。(3)IgEによらない炎症反応。いずれも「提案されている」段階で、ヒスタミンだけを原因と断定する書き方はされていない。

唾液中のヒスタミン量は、かゆみ反応を起こすのに足りると思われる、と同じ論文は述べている[3]。ただし、レビューの記述であり、種ごとの量や、機序どうしの寄与の大きさまでは、資料から言えない。

反応の出方も一様ではない。刺された直後に小さな腫れとかゆみが出て1〜2時間で治まる即時型と、翌日以降に腫れやかゆみが出て、治るまで1〜2週間かかることもある遅延型がある[2]。教科書は遅延型の発症を1〜2日後と書いており[1]、期間の記述に資料間で幅がある。では、どちらの型が出るかは、何によって変わるのか。

4. さされた かいすうで、かゆみは かわる

4. 刺された回数が増えると、反応は5つの段階で変わる

4. 刺咬歴と反応:5段階説と、その限界

さいしょに さされると、ちいさな あかい てんが できる だけで、かゆく ない ことが あると いわれます[3]。

なん回も さされるうちに、まず 1〜2日 たってから かゆく なる ように なり、つぎに さされて すぐも かゆく なります。もっと さされると、すぐ かゆく なる だけに なり、さいごには、さされても かゆく ならなく なる、という 見かたが あります[3]。このように かわる 人も いる、という 見かたです。

小さい 子が おとなより かゆがりやすいのは、さされた かいすうが まだ 少ないから、と せつめいする 本も あります[4]。

ただし、どの くらいの はやさで すすむかは、人に よって ぜんぜん ちがいます。おとなに なっても、ずっと かゆい 人も います。

ところで、蚊かの ほうは、血を いつまで すって いるのでしょう。

5つの段階

レビュー論文には、刺された経験の積み重ねによって反応が変わっていくという、段階説が紹介されています[3]。

初めて刺されると、小さな赤い点が出るだけです(段階I)。続けて刺されるうちに、まず遅延型だけが出て(II)、次に即時型と遅延型の両方が出て(III)、やがて即時型だけになり(IV)、最後はどちらも出なくなる(V)、という流れです。

年齢との関係

日本の皮膚科医が監修した解説も、似た流れを述べています。幼児期は遅延型、壮年期は即時型だけ、老年期は反応しにくくなる傾向がある、というものです[2]。子どもが大人より強く反応しやすいのは、刺された回数がまだ少ないためだ、という英語圏の解説もあります[4]。

ただし、どの段階にいつ進むかも、年齢も、人によってかなり違うとされています。「大人は必ずかゆくない」「高齢者は必ず反応しない」と言えるわけではありません。

では、血を吸われるほうではなく、蚊のほうは、どのくらい吸うのでしょうか。

レビュー論文は、同一の人の反応が刺咬経験とともに変わる、5段階説を紹介している[3]。初回の刺咬では小さな赤い点のみ(段階I)。以後の刺咬で、遅延型反応のみ(II)、即時型と遅延型の両方(III)、即時型のみ(IV)と進み、最終的にはどちらも出なくなる(V)。

日本の皮膚科医の監修記事も、新生児は初刺で反応しにくい、幼児期は遅延型、壮年期は即時型のみ、老年期は反応が弱まる傾向、という似た流れを述べる[2]。また、英語圏の解説記事は、最初の数回の刺咬で反応が最も強く、繰り返すうちに免疫が調整されておだやかになる、子どもが大人より強く反応しやすいのは回数が少ないためだ、と説明する[4]。これは解説記事の説明であり、論文の5段階説と同じ過程を指すとは限らない。

ただし、これは平均的な傾向を整理した説明にすぎず、段階の進み方と年数の個人差は大きい。加えて、日本の資料は一般向けの監修記事であり、英語圏の解説は一次研究ではなく、レビュー論文の記述を別の資料が補う形になっている。「高齢者は必ず反応しない」といった一般化はできない。

反応を決めるのが刺された側の経験なら、刺す側の蚊には、どんな振る舞いがあるのか。

5. 蚊かは、おなかが いっぱいに なる 前に やめる

5. 蚊は、満腹になる前に血を吸うのをやめる

5. 血が固まるときの物質を合図に、蚊は満腹前に吸血をやめる

2024ねん、日本の けんきゅうチームが、おもしろい ことを はっぴょう しました[5]。

ネッタイシマカという 蚊かは、おなかが いっぱいに なる 前に、じぶんから 血を すうのを やめる ことが わかったのです。「はらはちぶんめ」で やめるのです。

血が かたまる ときに できる ものを、蚊かが かんじとって、「もう いいよ」と いう あいずに して いると 考えられて います[5]。

ただし、この けんきゅうの 蚊かは、日本の ふつうの 蚊かでは ありません。日本の 蚊かも 同じとは いえません。

蚊は自分から吸うのをやめる

2024年、理化学研究所と東京慈恵会医科大学の研究チームが、ネッタイシマカという蚊について、血を吸うのをやめる合図を報告しました[5]。哺乳類の血が固まるときにできるフィブリノペプチドAという物質が、蚊の吸血を止める信号になるといいます。

蚊は、満腹になる前に吸血をやめて、宿主から離れます。研究チームはこれを「腹八分目」と表現しています[5]。

ここで注意したいのは、この研究の対象がネッタイシマカだということです。日本の身近な蚊(アカイエカなど)にも同じ仕組みがあるとは、この資料からは言えません。

蚊は、ある合図を受けると吸血をやめる。理化学研究所と東京慈恵会医科大学の研究チームは2024年、哺乳類の血液が凝固するときに生じるフィブリノペプチドA(ふぃぶりのぺぷちどえー)が、ネッタイシマカの吸血を止める信号になると報告した[5]。研究チームは、満腹になる前に吸血を終える性質を「腹八分目」と表現している。

この研究が示したのは、血が固まるときに生じるフィブリノペプチドAが、蚊に吸血をやめさせる信号になるという点である。これは独立した研究結果として読むものだ。

注意点は、実験対象がネッタイシマカであり、日本の身近な種(アカイエカ、ヒトスジシマカなど)で同じ機構が確認されたわけではないことだ。「蚊は必ず満腹前に離れる」と一般化はできない。

6. さされた とき、とけいを 見て みよう

6. 刺されたら、時計を見て記録してみる

6. 刺されたときの経過を記録し、段階説と照らす

もし 蚊かに さされた ことに 気づいたら、とけいを 見て みましょう。「さされた じかん」「かゆく なった じかん」を、メモに 書きます。かゆくても、かかないように、きれいな 手で おさえる くらいに して おきましょう。

つぎの 日に、あかく はれて いるか、かゆいかも 書いて おきます。すぐ かゆく なったか、あとから なったか。それが、この ページの 「すぐ」と 「あとから」に あたります。

まえに さされた ときの ことを 思い出して みるのも いいでしょう。かゆく なるまでの じかんは、すぐだった でしょうか、あとからだった でしょうか。

自分の反応を時間で見る

蚊に刺されたことに気づいたら、刺された時刻と、かゆみが出た時刻をメモしてみましょう。かゆくても掻きむしらず、清潔な手で軽く押さえるくらいにします。

翌日には、赤み・腫れ・かゆみが残っているかを書き足します。直後に出た反応は即時型、翌日以降に出た反応は遅延型にあたります。前に刺されたときの記憶があれば、かゆくなるまでの時間を思い出して、すぐ出る反応と後から出る反応を比べてみるのもよいでしょう。刺された回数の違いが関わっているという見方と、自分の経験が重なるかを考えられます。

もっと知りたいとき

原典の一つは、Frontiers in Immunology 2022年の総説 "Update on mosquito bite reaction" です。英語ですが、出典欄から開けます。皮膚科学の教科書の「虫刺症」の章は、日本語で読めます。

刺されたときの経過を記録すれば、即時型・遅延型の区別と、段階説の対応を自分で検討できる。刺された時刻、かゆみが出た時刻、赤み・腫れが残っているかを、翌日までメモしておく。強くこすらず、清潔な手で軽く押さえる程度にとどめる。

1回の記録からは、段階説が正しいかどうかは言えない。記録の価値は、反応のタイミングが自分のなかで一定か、刺された状況でどう変わるかを、手元の事実として持てる点にある。個人差が大きいという資料の記述とも、突き合わせられる。

原典にあたるなら、Frontiers in Immunology 2022年のレビュー論文(出典[3])が詳しく、IgEによる反応とヒスタミンの寄与は、そこで整理されている。理化学研究所と東京慈恵会医科大学の2024年のプレスリリース(出典[5])は日本語で読める。かゆみの機序のどこまでが確かな知見かは、論文の書き方と資料間の食いちがいを見比べて判断したい。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文は、ここにある資料の内容を、自分の言葉で言いかえたものです。年・名称・段階の進み方は、資料や個人によって細部が異なることがあります。

  1. 北海道大学皮膚科「皮膚科学 第28章 虫刺症」 https://www.derm-hokudai.jp/wp/wp-content/uploads/2021/12/28-01.pdf (唾液成分へのアレルギー、遅延型の発症時期)
  2. ウェザーニュース(皮膚科医・夏秋優氏監修) https://weathernews.jp/news/202506/260306/ (即時型・遅延型、年齢による反応の傾向)
  3. Update on mosquito bite reaction(Frontiers in Immunology 2022) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9532860/ (かゆみの3つの説明、5段階説、吸血するのはメスだけ)
  4. Gavi VaccinesWork(The Conversation転載) https://www.gavi.org/vaccineswork/why-do-some-people-react-so-badly-mosquito-bites-answer-lies-mosquito-saliva (唾液のはたらき、子どもと大人の反応の違い。解説記事で二次資料)
  5. JST・理化学研究所 プレスリリース(2024年6月21日) https://www.jst.go.jp/pr/announce/20240621/index.html (吸血を止める信号、腹八分目)

なおした ところ

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