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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

虫の こいの においを まねするのは だれ?

虫の恋のにおいを「ものまね」するのはだれか ── 果樹園とクモとランの手口

性フェロモンの模倣 ── 果樹園・ボラスグモ・オフリス属のランに共通する点と限界

分野:生きもの

くだものの 木に ほそい チューブを まくと、木を いためる ガが、すうねんで へって いきます。チューブの においは、ガの メスが オスを よぶ ときの においを、人が つくった ものです。

ところが、ボラスグモと いう クモは、夜の はやい 時間と おそい 時間で ちがう ガを つかまえます。においも 時間に あわせて かえて いるのでしょうか。研究では、その かのうせいが 出て います。ランも おなじ ような ことを して いると いわれます。

果樹園の木に細いチューブを巻くと、木を傷めるガが数年かけて減っていきます。チューブから出ているのは、メスのガがオスを呼ぶときのにおい、つまり性フェロモンを、人が合成したものです。

ところが、これと同じ「ものまね」を、クモやランが自分の体でやっているという報告があります。ボラスグモは、夜の早い時間と遅い時間で別のガを捕まえます。においも時間に合わせて変えるのでしょうか。研究では、その可能性が示されています。

ヒメボクトウというガの対策では、合成した性フェロモンを入れたチューブを幹や枝に巻く。オスはメスの居場所を見失って交尾できなくなる。効果は約3カ月続くが、被害樹が約3割から約1割に減るまでには3年かかった[1]。

同じ「においのものまね」を、ボラスグモやランも使っていると報告されている。ボラスグモは夜の早い時間と遅い時間で別のガを捕らえ、においも時間帯に合わせて変えている可能性が研究で示されている。ただし確定した結果ではない。他の虫に使えるのか、限界はどこにあるのかも見ていく。

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1. チューブを まくと、どうして ガが へるの?

1. 木にチューブを巻くと、なぜガが減るのか

1. 交信かく乱 ── ヒメボクトウの幹に性フェロモン剤を巻く理由

ガの メスは、オスを よぶ とき、においを だします。この においを「せいフェロモン」と いいます[1]。

この においを 人が つくって、チューブに いれ、木の幹みきや えだに まきます[1]。まわりじゅうが メスの においだらけに なると、オスは ほんものの メスが どこに いるのか わからなく なります。オスが メスを みつけにくく なり、あえない ことが ふえるので、つぎの 世代から、ガが すこしずつ へって いきます。

この チューブは、きくのが 3か月ほど つづくと いわれます。くすりで ころす やり方は、1〜2しゅうかんほどです[1]。

ただし、虫が いっぺんに いなく なる わけでは ありません。それは 次の ところで 見ます。

メスのにおいを、わざと畑じゅうに広げる

性フェロモンは、昆虫などのメスが、交尾のためにオスを呼び寄せる目的で出す物質です。これを合成して果樹園に放ち、オスとメスの交信と交尾を邪魔して、害虫のガを減らす試みがあります。「交信かく乱」と呼ばれます[1]。

ヒメボクトウという木にもぐるガでは、合成した性フェロモンを入れたチューブを、幹や枝に巻きます。10アールあたり100〜150本が目安です[1]。10アールは約1000平方メートルなので、だいたい3メートル四方に1本という見当になります。

においが果樹園に満ちると、オスは本物のメスを見つけにくくなり、交尾や産卵が減って、次の世代以降のガが徐々に減っていきます。効果は約3カ月続くとされます。資料に示された殺虫剤の1〜2週間と比べると、約6〜13倍という計算になります[1]。

もともと虫が自然に出している物質なので、人や家畜への毒性が極めて低く、作物への残留の心配もなく、殺虫剤を減らして天敵を守れる、という特色も挙げられています[1]。ただし、虫が一気にいなくなる方法ではありません。次の章で、その理由を見ます。

性フェロモンは、一般に昆虫などのメスが交尾のためにオスを誘引する目的で出す化学物質である。これを合成して果樹園に放ち、交信と交尾を妨げて害虫を減らす方法が交信かく乱だ[1]。ヒメボクトウでは、合成性フェロモンを入れたチューブを幹や枝に10アールあたり100〜150本巻く[1]。10アールは約1000㎡だから、10㎡弱から6.7㎡に1本、およそ2.6〜3.2m四方に1本の密度になる。

だから、においが園内に充満するとオスは本物のメスを見つけにくくなり、交尾や産卵が減って、次の世代以降のガが徐々に減る[1]。効果の持続は、資料に示された殺虫剤の1〜2週間に対し、このチューブは約3カ月である[1]。13週÷2週=6.5、13週÷1週=13なので、約6〜13倍の計算になる。

この方法が使われる理由として、資料は、もともと自然界で虫が出している物質なので人や家畜への毒性が極めて低いこと、作物への残留の心配がないこと、殺虫剤を減らせて天敵などの有用な生物を守れることを挙げる[1]。では、効果はすぐに出るのか。実際の数字を見ると、そう簡単ではない。

2. ガが へるまで、どうして 3年も かかるの?

2. 効果が出るまでに、3年かかる理由

2. 福島県のリンゴ園の実証 ── 被害樹が3割から1割になるまで

ふくしまけんの リンゴ園で、この チューブを 3年 つかって みました。木が いたんで いる わりあいは、さいしょ 10本の うち 3本ほど でした。3年あとには、10本の うち 1本ほどに なりました[1]。

3分の 1に なった ものの、すぐには へりません。ガの 子(ようちゅう)が 木の 中で、3年いじょう そだつと 考えられて いるからです。だから 3年いじょう つづけます[2]。

また、せまい 土地だけで やると、きき方が ふあんてい になる ことが あります。なるべく ひろい 土地で つかうのが よいと されます[2]。

「3割が1割に」には3年かかった

福島県のリンゴ園で、2011〜2013年に行われた実証では、チューブを設置して3年後、被害を受けた木の割合が、はじめの約3割から約1割に減りました。つまり約3分の1です[1]。ゼロになったわけではありません。

福島県の試験成績は、この方法の使い方を2つ注意しています。1つは、小さな面積だけで使うと効果が不安定になる場合があるので、なるべく広い範囲で使うことです。もう1つは、幼虫の期間が3年以上と考えられているので、3年以上続けて使うことです[2]。

殺虫剤のように、かけたその日に虫が落ちるのではなく、「数年かけて、広い範囲で」少しずつ効いてくる方法だと分かります。

では、この方法はヒメボクトウだけの特別な手なのでしょうか。それとも、ほかの虫にも使えるのでしょうか。

効果の出方は緩やかである。農研機構の紹介する福島県の実証(2011〜13年)では、設置3年後に被害樹の割合が当初の約3割から約1割に減った[1]。約3分の1への減少で、被害がなくなったわけではない。

福島県の試験成績は、2つの条件を示す。小規模処理は効果が不安定になる場合があるため、なるべく広域で使用すること。幼虫期間が3年以上と考えられているため、3年以上継続して使用すること[2]。処理量は10アールあたり100本である[2]。前章の100〜150本より少なく、資料ごとに数字が異なるので、使う前には最新の公式資料で確かめる必要がある。

この資料から言えるのは、交信かく乱が「速効性のある駆除」ではなく、数年・広域で効く方法だということだ。小規模処理では効果が不安定になる場合がある。

ここで問いが残る。この手法はヒメボクトウ専用なのか、他の種にも広げられるのか。

3. ほかの 虫にも つかえるの?

3. ほかの虫にも使える? ── 虫ごとに「合いことば」がちがう

3. 種特異性 ── 配合が種ごとに異なるため、虫ごとに専用の剤が要る

つかえる ものも あります。モモシンクイガや ハマキガの なかまなど、くだものに つく ほかの ガの ための ものも、つくられて いると いわれます[4]。

ただし、どの 虫にも つかえる チューブは ありません。フェロモンは、いろいろな においを まぜた ものです。まぜ方は、多くの 場合、虫の しゅるいごとに ちがいます[3]。

たとえば、友だちの 家に つく 合いことばが、1けん ずつ ちがう ような ものです。ある 虫の 合いことばでは、ほかの 虫は へんじを しません。ただし 本当は、同じ においを 2しゅるいの 虫が つかう こともあり、まぜる わりあいで くべつ して います[3]。

「ほかの虫にも」の答えは、「その虫専用なら」

性フェロモンの配合は、多くの場合、種ごとに違うとされます。いくつかの成分を決まった割合で混ぜた「カクテル」で、その割合が種の目印になっています[3]。

そのため交信かく乱の効果は、種ごとに限られます。企業の製品資料には、モモシンクイガ、ナシヒメシンクイ、リンゴコカクモンハマキなど、果樹を食べるいくつかのガ向けの製品が並んでいます[4]。ヒメボクトウ用のチューブを、ほかの虫に使うわけではなく、それぞれ専用のものが作られているわけです。

配合を合いことばにたとえると、友だちの家ごとに合いことばがちがうようなものです。ただし本当は、同じ化合物を複数の種が使うこともあり、混ぜる割合で区別されます。非対象の種の反応を抑える成分を、わざと混ぜるものもあるそうです[3]。

こうして見ると、人が使っている方法は、相手の言葉を調べて、同じ言葉を作る方法だと言えます。では、人が合成するずっと前から、この「ものまね」を自分の体でやっている生きものはいないのでしょうか。

交信かく乱の効果は種特異的である。フェロモンは複数成分の混合物で、その配合は多くの場合、種ごとに異なる[3]。同じ化合物が複数の種に使われる場合もあるが、配合比で区別される。非対象種の反応を抑える成分を含む配合もある[3]。したがって、他の虫に使うには、その虫専用のフェロモンの同定と合成が要る。

この同定は容易ではなかった。最初に化学構造が決まったフェロモンは、カイコガの性フェロモン(ボンビコール)で、1959年にブテナントが同定したとされる。約50万匹分のメスの腺が必要だったという[3](二次資料による。原典は未確認)。

実際、交信かく乱用の剤は、モモシンクイガ、ナシヒメシンクイ、リンゴコカクモンハマキなど、果樹の複数のガ向けに製品化されているとされる。ただしこれは企業の製品資料の記述で、公的資料では確かめていない[4]。

つまり答えは、「その虫専用の配合を作れば使える」であり、1つの剤が全部の虫に効くわけではない。ここで別の問いが出る。人が成分を調べて合成するより前から、同じ手を使う生きものはいないのか。

4. クモは、ガの においで えものを よぶの?

4. ボラスグモは、ガのにおいで獲物を呼ぶ

4. ボラスグモ ── 攻撃的化学擬態と、夜の時間帯による使い分けの可能性

ボラスグモと いう クモは、夜、ガの オスを つかまえます。ガの メスの においに にた においを だして、オスを よびよせます[5]。

よって きた オスは、クモが 出した ねばねばの 玉に くっついて しまいます。ある ボラスグモの メスから、ガの せいフェロモンの せいぶんが 3つ 見つかったと いわれて います[5]。

ふしぎな ことに、べつの ボラスグモでは、ガの 2しゅるいで えものの 9わり いじょうでした。1つは 夜の はやい 時間、もう 1つは おそい 時間に とびます。クモも 夜の うちに においを かえて いるのかも しれないと、研究で 言われて います[6]。

においで呼んで、くっつく玉で捕まえる

ボラスグモ(Mastophora属)は、メスのガの性フェロモンの成分をまねた物質を放って、オスのガを引き寄せるクモです。近づいたオスを、くっつく玉で捕らえます。このように、相手の合図をまねて獲物をだます方法を、攻撃的化学擬態と呼びます[5]。

M. cornigeraという種の成体のメスからは、ガの性フェロモンの成分が3種類、検出されたと報告されています[5]。

夜のあいだに、においを変える?

別の種、M. hutchinsoniでは、獲物の90%以上が、夜の早い時間と遅い時間に活動する2種類のガ(ヤガ科)でした。研究では、クモが夜のあいだに放つにおいを変えて、時間帯ごとの獲物に合わせている可能性が示されています[6]。断定ではなく、研究課題として報告されている段階です。

人が最近になって実用にした手を、クモは自分の体で使っているように見えます。では、虫を食べない植物はどうでしょうか。

ボラスグモ(Mastophora属)は、獲物であるガのメスの性フェロモン成分をまねた物質を放ち、オスのガを誘引して、粘着性の玉で捕らえる。これは攻撃的化学擬態と呼ばれる。M. cornigeraの成体メスからは、ガの性フェロモン成分3種((Z)-9-テトラデセニルアセタートなど)が検出された[5]。

では、獲物のガは時間帯で入れ替わるのに、においは1種類で足りるのか。M. hutchinsoniの獲物の90%超は、夜の早い時間に活動する1種と、遅い時間に活動する1種の、2種のガ(ヤガ科)である。このため、クモが夜のうちに放つ匂いを変え、時間帯ごとの獲物に合わせている可能性が研究で示されている[6]。ただし「切り替える」は研究課題の記述で、結果として確定した事実ではない。原論文(Haynes et al. 2002, J Chem Ecol 28)で結果の向きを確かめる必要がある。

人間の側は種ごとに専用の剤を作った。クモは獲物の種ごと、さらに時間帯ごとに、においを合わせている可能性がある。ここまでは動物どうしの話だ。同じ仕組みを、動かない植物が使うことはあるのか。

5. ランは、ハチの メスの ふりを するの?

5. オフリスのランは、メスのハチのふりをする

5. オフリス属の欺瞞ラン ── 性的欺瞞による授粉と、匂いの決定的な役割

ヨーロッパに、オフリスと いう ランが あります。花は ハチの メスに にた かたちを して、においも にて います。オスは メスと まちがえて、花に とまります[7]。

その あいだに、花の かふんの かたまりが、オスの 体に つきます。オスは その かふんを べつの 花に はこびます。

花の においは、オスの 行動を ひきだす いちばん 大きな 手がかりだと されます[7]。

メスと間違えて、花に降りる

ヨーロッパに生えるオフリス属のランは、メスのハナバチなどに似た形とにおいで、オスを誘います。オスは花の唇弁の上に降りて、メスと思って近づきます[7]。

そのあいだに、花粉のかたまりがオスの体に付きます。オスはそのまま次の花へ行き、花粉を運ぶことになります。花はオスにごほうびの蜜を出さず、虫の恋の習性だけを使っているのが特徴です[7]。

研究では、花のにおいが、オスの交尾行動を引き出す最大の手がかりだとされています[7]。ガのオスを呼ぶクモと同じで、「メスのにおい」が決め手のようです。

ヨーロッパのオフリス属のランは、メスのハナバチ類などに似た形と匂いでオスを誘う。誘われたオスは唇弁に降り立ち、花と交尾しようとする。その間に花粉塊がオスの体に付き、次の花への授粉につながる(偽交尾)[7]。

ウルム大学の研究紹介は、花の匂いがオスの交尾行動を引き出す最大の手がかりだとする[7]。形や色ではなく匂いが決め手だとすれば、ボラスグモと同じく、相手を誘う匂いを使う点は共通している。ただし、この資料は匂いの成分までは示していないので、ボラスグモのように「性フェロモンそのもの」だとは言い切れない。

なお、ここで誘われるのは交尾相手を探すオスで、花は報酬を出していない。ほかの花が蜜で虫を呼ぶ仕組みと、はっきり違う。ここから、さらに踏みこんだ例がある。ハチ自身の「仲間を呼ぶ合図」をまねるランだ。

6. キンリョウヘンは、ミツバチを どうやって よぶの?

6. キンリョウヘンは、ミツバチの「集まれ」の合図をまねる

6. キンリョウヘン ── ミツバチの集合フェロモンの擬態と、授粉の最初期の証拠

キンリョウヘンと いう ランは、ニホンミツバチを ひきよせる 花です。ミツバチが なかまを よぶ ときの においを、まねて いると する 研究が あります[8]。

べつの 研究では、ミツバチの なかまを よぶ においと 同じ せいぶんが、ある ランから 見つかりました。ほんの 10ナノグラム(1おく分の 1グラム)でも、ミツバチを ひきよせたと されます[9]。

ハチの「集まれ」を、花がまねる

キンリョウヘン(シンビジウムの一種)の花は、ニホンミツバチの集合フェロモンをまねたにおいを出して、ミツバチを引き寄せているとする研究があります[8]。

もうひとつ、別の種のランの研究

別の研究課題(科研費、1994〜95年)では、ラン(Cymbidium pumilum)が、ミツバチが仲間を呼ぶ集合フェロモンと同じ化合物(リナロールオキサイド)を出すと報告されました。10ナノグラムの標品で、ミツバチを誘引できたそうです[9]。10ナノグラムは、1億分の1グラムです。この研究は、植物が昆虫の集合フェロモンを授粉に使う最初期の証拠、とこの研究課題は位置づけています[9]。

この2つは別の種と別の物質の話で、混ぜずに読む必要があります。

キンリョウヘン(金稜辺、シンビジウムの一種)の花は、ニホンミツバチの集合フェロモンを擬態して誘引しているとされる[8]。

これとは別に、科研費の研究課題(山岡、1994〜95年)は、ラン(Cymbidium pumilum)が、ミツバチの集合フェロモン(ナサノフ腺)と同じ化合物リナロールオキサイドを出すことを見いだした。標品10ナノグラムでミツバチを誘引できた[9]。10ナノグラムは1×10⁻⁸ g、つまり1億分の1gで、きわめて少量でも反応することになる。この課題は、植物が昆虫の集合フェロモンを授粉に使う最初期の証拠と位置づけている[9]。

注意点は、この2つがニホンミツバチとキンリョウヘン、ミツバチ(種の詳細は要旨にない)とCymbidium pumilumという別の組み合わせで、物質も別だということだ。混ぜずに読む。

前章のオフリスは「恋」の合図、ここでは「集まれ」の合図が相手の言葉だった。目的は違っても、「相手が反応する言葉を、植物が知っているかのように出す」点は共通している。

7. みちばたで、さがせる ものが ある

7. 果樹園の道ばたと、資料のページで探せるもの

7. 次に確かめたいこと ── 一次資料と、身近な観察の入口

ここまでの はなしで、3つの やり方が わかりました。人は チューブで、クモは 自分の 体から、ランは 花から、虫の 合いことばを まねて います。

やって みよう。くだもの 畑の 近くを とおる とき、道から ながめて、木の 幹みきや えだに ほそい チューブが ぶらさがって いないか 見て みましょう。使って いない 畑も 多いので、見つからなくても ふしぎでは ありません。おうちの 人と、しりょうの しゃしんで チューブを さがして みても よいです。畑には はいらず、さわらないで ください。

もっと 知りたい ときは、のうけんきこうの「こぼれ話」を、おうちの 人と 見て みると よいです。じっさいの 数字が のって います。

ここまでで、においのものまねには、3つの形がありました。人が合成して果樹園に広げる交信かく乱、クモが自分の体で出す獲物集めのにおい、ランが花から出す恋や集合のにおいです。どれも、相手が反応する「言葉」を知っているからできる、という点が共通しています。

やってみよう。果樹園の近くを通るとき、道から木を眺めて、幹や枝に細いチューブが下がっていないか探してみてください。使っていない園も多いので、見つからなくても不思議ではありません。近くに果樹園がなければ、農研機構の資料の写真で、チューブがどう巻かれているか探すこともできます。園には入らず、触らないようにします。

もっと知りたくなったときは、農研機構の「こぼれ話11 性フェロモンでガを退治」を読むと、福島県の実証の数字が載っています。クモの夜の使い分けは、まだ「可能性」の段階なので、論文でどこまで確かめられているかを読み比べると、新しい疑問が出てきます。

この記事の資料から言えることと言えないことを、分けておく。言えるのは、人が合成した性フェロモンで交尾を邪魔する方法に、数年・広域・種ごと、という条件があること。ボラスグモとランが、フェロモンのものまねを使っているという報告があること。言えないのは、ほかの虫に必ず効く方法がある、ということだ。

観察の入口は、果樹園の道ばたにある。幹や枝にチューブが巻かれていれば、資料の写真と同じ方法を使っている可能性がある。ただし、使っていない園もあるので、見つからないことは何も意味しない。園には入らず、触らない。

確かめる先は2つある。1つは農研機構「こぼれ話11」と福島県の実用技術情報(日本語)で、10アールあたり100〜150本と100本という数字の違いを、読み比べて理由を考えられる。もう1つは、ボラスグモの時間帯による使い分けで、Haynes研究室のページと原論文(Haynes et al. 2002, J Chem Ecol 28)に当たると、「報告されている」の中身が分かる。この2つの資料を読み比べると、数字の違いや研究の限界を自分で確かめられる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

書名・題名と、記事のどの部分に使ったかを書く。ネットの要約や検索結果だけを根拠にした箇所は、本文でも断定を弱めている。

  1. 農研機構「こぼれ話11 性フェロモンでガを退治」 https://www.naro.go.jp/brain/contents/ep_011.pdf (交信かく乱の仕組み・効果期間・福島県の実証)
  2. 福島県農業総合センター「実用技術情報(ヒメボクトウ)」 https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/454070.pdf (広域・3年以上の使用条件)
  3. Wikipedia「Insect pheromones」 https://en.wikipedia.org/wiki/Insect_pheromones (配合が種ごとに違うこと・ボンビコール。二次資料)
  4. 共友アグリ 製品資料 https://www.kyoyu-agri.co.jp/cms_K2kQjFi5/wp-content/uploads/2022/07/40c0948cca479cafcdca367c32de1cfc.pdf (果樹のガ類向けの製品の例。企業資料)
  5. Chemical mimicry: bolas spiders emit components of moth prey species sex pheromones(Penn State 書誌・要旨) https://pure.psu.edu/en/publications/chemical-mimicry-bolas-spiders-emit-components-of-moth-prey-speci/ (ボラスグモの化学擬態)
  6. Kentucky大学 Haynes研究室のページ https://www.uky.edu/Ag/Entomology/entdept/faculty/khaynes/haynesr3.html (獲物のガと夜の時間帯)
  7. ウルム大学 Ayasse研究室「欺瞞ラン」 https://uni-ulm.de/nawi/evolutionary-ecology-and-conservation-genomics/prof-dr-manfred-ayasse/research/current-projects/deceptive-orchids (オフリス属の偽交尾)
  8. 菅原ほか 玉川大学(キンリョウヘンとニホンミツバチ) https://tamagawa.repo.nii.ac.jp/record/503/files/26-4_2005_159-162_Sugahara.pdf (集合フェロモンの擬態。検索抜粋にもとづく)
  9. KAKEN 研究課題 06640817 https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-06640817/ (ランとミツバチの集合フェロモン)

なおした ところ

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