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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

まつぼっくりは、どうして ひらいたり とじたり するの?

松ぼっくりは、なぜ開いたり閉じたりするのか ── 死んでいるのに動き、樹脂の封が音を立てて破れる

松ぼっくりの開閉はなぜ起こるのか ── 湿度で曲がる二層構造と、樹脂の封が破れる最初の開き

分野:生きもの

松まつぼっくりは、木から おちて 何年も たっても、水に ぬらすと とじ、かわかすと また ひらきます。いきて いない のに、うごくのです。

では、どうして うごくのでしょう。そして、さいしょに ひらく とき、パキッと 音が する ことが ある と いわれます。まつぼっくりが ひらく りゆうと、さいしょの 音の ふしぎが わかります。

松ぼっくりは、木から落ちて何年もたっても、水に濡らすと閉じ、乾かすとまた開きます。生きていない部分が、天気に合わせて動くのです。さらに、最初に開くときには、パキッという音がすることがあると報告されています。

では、松ぼっくりは何のために、どんなしくみで開閉するのでしょうか。そして、最初に開くときは何がちがうのでしょうか。開閉の理由としくみ、最初の音の正体が分かります。

松ぼっくり(球果)は、木から落ちて長い時間がたっても、濡れれば閉じ、乾けば再び開く。ヨーロッパアカマツの実験では、数百万年前の炭化した球果でさえ、この動きを繰り返したと報告されている[3]。一方、最初の開きでは、樹脂の封が破れる際に、はっきり聞こえる音が記録されることがある。

では、生きた細胞の働きなしに、なぜ動けるのか。最初の開きはふつうの開閉と何がちがうのか。開閉の理由、鱗片が曲がるしくみ、最初の開きの条件までが分かる。

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1. まつぼっくりは、いつ ひらいて、いつ とじるの?

1. 松ぼっくりは、晴れた日に開き、雨の日に閉じる

1. 乾けば開き、湿れば閉じる ── 風で種を飛ばすための動き

まつぼっくりは、天気で すがたが かわります。かわいて いると、かさの ような ところが ひらきます。しめって いると、ぎゅっと とじます[1]。

ひらく のは、中に ある 種たねを 外へ 出す ためです。種たねには うすい 羽はねが ついて いて、風に のって とおくまで とびます[1]。はれて 風の ふく 日に ひらけば、種たねは とおくへ いけます。

とじる のにも わけが あります。ヨーロッパアカマツを 調べた 研究では、とじた まつぼっくりが、種たねを 食べる 動物や 山火事から 種たねを まもる とも 説明せつめいされて います[3]。

では、ひらいたり とじたり する 力は、どこから くるのでしょう。

松ぼっくりは、乾いていると鱗片(うろこのような一枚一枚)が開き、湿っていると閉じます[1]。鱗片の間にあるのは、薄い膜状の翼をもつ種で、乾いた日に開くと、種はひらひらと風に運ばれます[1]。

雨の日は、種が飛んでも遠くへ行きにくいはずです。ヨーロッパアカマツの調査では、球果は乾いた時期に開き、乾いた条件は風による散布に都合がよいと説明されています[3]。この研究は欧州の木が対象で、日本のマツにそのまま当てはまるとは限りません。

閉じることにも役目があります。ヨーロッパアカマツでは、閉じた球果が種を食べる動物や山火事から種を守るとも説明されています[3]。つまり、開閉は種を飛ばしやすい条件で開く仕掛けです。では、その開閉の力は、どこから来るのでしょうか。

松ぼっくりは、乾燥すると鱗片が開き、湿ると閉じる[1]。種には薄い膜状の翼があり、乾いた日に開けば、風に乗って遠くまで運ばれやすい形をしている[1]。

この開閉が意味をもつ理由は、風散布の条件にある。ヨーロッパアカマツの研究では、球果は乾いた時期(主に3〜6月)に開いて種を散らし、乾いた条件は風による散布に都合がよいと説明されている[3]。ただし、この時期は欧州の木の観察で、日本のマツの開く時期には当てはまらない。

閉じる側にも理由がある。閉じた球果は、種を食べる動物や山火事から種を守る、とされる[3]。開閉は、種を放つ条件に関わるしくみとも読める。では、生きた筋肉をもたない球果は、どうやって動くのか。

2. いきて いない のに、どうして うごくの?

2. 二枚重ねの鱗片は、水を吸うと片側だけ伸びて曲がる

2. 鱗片の付け根の二層 ── 片側だけが水を吸って伸びる

まつぼっくりの かさは、うえと したの 二まいが かさなった ような つくりを して います。二まいは、水を すった ときの のびかたが ちがいます[2]。

しめると、そとがわの そうだけが 水を すって のびます。うちがわは ほとんど かわりません。そとがわだけが のびるので、かさは 中心の ほうへ まがって、とじます[2]。かわくと、のびて いた そうが もとへ もどり、かさは ひらきます。

たとえるなら、かみに うすい ビニールを はりあわせた ものです。ビニールは のびません。かみだけ ぬれて ふくらむと、まるまります。ただし 本当は、まつぼっくりの そうは かみでは ありません。

水に ひたした まつぼっくりは、ぴったり とじた、という じっけんも あります[2]。

鱗片が曲がる秘密は、付け根近くにある二つの層です。ドイツの研究チームの測定では、外側の硬い細胞の層は、乾いた状態から湿った状態になると、長さが約22%伸び、厚みも約27%増えました。もう一方の繊維の層は、ほとんど変わりません[2]。

たとえば、長さ10cmの層が22%伸びれば、約12.2cmになる計算です。ただし、これは曲がる帯の層の値で、鱗片全体の伸びではありません。伸びる層と伸びない層を貼り合わせると、伸びる層が外側に回るように曲がります。この結果、湿ると鱗片は軸のほうへ曲がり、種を守ります[2]。

この動きには、生きた細胞の働きは要らないとされています。成熟した球果の細胞は死んでおり、鱗片だけを切り離しても湿度に反応するという研究が知られています[4]。

なお、紙とプラスチックの二層でも、似た動きが再現できると報告されています。では、この二層の動きは、いつも同じ速さなのでしょうか。

曲がる場所は、鱗片の付け根付近にある帯状の部分である。外側にある硬い細胞(スクレレイド)の層は、乾燥から湿潤になると長さが約22%、厚みが約27%増える。内側の繊維層は、厚みが約3%薄くなり、長さは約1%しか伸びない[2]。

数字が示すのは、二層の吸水による変形の差である。たとえば10cmの層が22%伸びれば12.2cmになるが、これは鱗片全体の長さではなく、曲がる帯の層の値である。この差が曲げの力となり、湿ると鱗片が軸のほうへ、乾くと軸から離れる向きに動く[2]。

成熟した球果の細胞は死んでおり、動きは細胞壁と構造が湿度で変わる受動的なものだ、とする1997年の研究がある。鱗片だけを外しても湿度に反応するという[4]。

では、この受動的な動きは、どれくらいの速さで進むのか。

3. ひらくのは、すぐ? ゆっくり?

3. ふつうの開閉は、数分から数時間かかる

3. 吸湿による開閉の速さ ── 冷蔵庫では5〜7日

まつぼっくりが ひらく ときは、見て いても ほとんど うごきません。ふつうの 開き とじは、数分から 数時間 かかる ほど ゆっくり だと いわれます[3]。

れいぞうこの 中に 入れた じっけんでは、とじた まつぼっくりが ぜんぶ ひらくまで 5日から 7日 かかった もの も ありました[3]。れいぞうこの 中は 5度で、とても かわいて いる、という じっけんの 場所です。外の くらしとは ちがいます。

水が ぬけたり、すいこまれたり する のは ゆっくりです。だから、見て いる だけでは うごきに 気づきません。でも、一つだけ、とても はやい うごきが あります。

松ぼっくりの開閉は、ゆっくりした動きです。吸湿による開閉は、数分から数時間の単位で進むと説明されています[3]。

実験では、5℃の低湿度の冷蔵庫に球果を入れると、完全に開くまで5日、5.5日、7日かかった例がありました[3]。これは冷蔵庫という特別な条件の値で、野外の速さではありません。水の出入りが少ないほど、動きも遅くなることを示す例といえます。

見ているだけでは動いて見えないのは、この遅さのためです。ところが、最初に開くときは、これとはまったくちがう速さで起こることがあります。

水の出入りによる開閉は、ゆっくりした過程であり、数分から数時間のオーダーとされる[3]。

ある実験では、球果を5℃の低湿度の冷蔵庫に置くと、完全に開くまでに5日、5.5日、7日かかった[3]。この値は実験室の冷蔵庫の条件で得られたもので、野外の開閉速度をそのまま表すわけではない。ただ、水の出入りが律速になる動きは、条件しだいで日単位まで遅くなりうる。

この「遅さ」を基準にすると、最初の開きの特異さが見える。

4. さいしょに ひらく とき、なぜ 音が する ことが あるの?

4. 最初に開くときは、樹脂の封が破れてパキッと音がすることがある

4. 最初の開きで樹脂の封が破れる ── ミリ秒の動きと破裂音

ヨーロッパアカマツの まつぼっくりが さいしょに ひらく とき、パキッと 音が する ことが あると いう 研究が あります[3]。

ふだんは ゆっくり ひらく のに、このときは ちがいます。かさの すきまは、樹脂じゅしという ねばねばした ものが ふさいで います。この ふうが やぶれると、かさが 1000分の 1秒の 世界で ぱっと うごいて、音が します[3]。

この 研究では、あとの 開き とじでは 音が きろくされませんでした[3]。

ただし、パキッと ひらいても、すぐに 種たねが とび出す わけでは ありません。じっけんでは、音の あとも 種たねは すぐに は 出ませんでした[3]。この 音は、樹脂じゅしの ふうが 切れた 合図の ようです。

ヨーロッパアカマツの球果の実験では、最初に開くとき、鱗片どうしを留めている樹脂の封(ラッチ)が破れ、鱗片が数ミリ秒(1000分の数秒)で動き、はっきり聞こえる「パキッ」という音がすることがありました[3]。

一回の動きで動く鱗片は、平均で3.7枚(最大7枚)でした。この研究では、その後のゆっくりした開閉で音は記録されませんでした[3]。

実験室では、球果の表面温度を約22℃から約70℃まで上げ、55℃・湿度10%の空気を当てると、20〜60分で開きました。ただし55℃は加熱実験の条件で、野外の値ではありません[3]。この実験では温度と湿度が引き金とされます。

パキッと開いたからといって、すぐに種が放たれたわけではありませんでした[3]。音は、種を飛ばす前の一段階と考えられます。このしくみは、一つの研究のScots pineの結果で、他の種に一般化はできません。

採取したヨーロッパアカマツの球果が最初に開くとき、樹脂の封(ラッチ)が破れ、鱗片が数ミリ秒の速さで動き、はっきり聞こえる破裂音が出ることがある[3]。通常の吸湿による動きが数分〜数時間であることと比べると、時間の桁が5桁ほどちがう(数ミリ秒と数分で比べた概算)。

1回の動きで動く鱗片は平均3.7枚、最大7枚であり、その後の開閉では音は記録されなかった[3]。音は、封が切れる最初の開きと対応していると読める。

実験では、球果表面を約22℃から約70℃まで加熱し、55℃・湿度10%の空気を当てると20〜60分で開いた。温度と湿度が最初の開きの引き金とされる[3]。これは実験室の条件で、野外の値ではない。

注意すべきは、球果が割れても、この実験ではすぐに種が放たれなかった点である[3]。音と種の放出は別の段階だ。なお、これは1本の研究(ヨーロッパアカマツ)に基づくため、他の種や日本のマツに一般化せず、「ある実験では」と読むのが妥当である。

では、開閉のしくみは「生きているうち」だけ働くのか。

5. すごく ふるい まつぼっくりも、まだ うごくの?

5. 数百万年前の炭化した球果も、濡らすと閉じて乾かすと開く

5. 化石化した球果での確認 ── 開閉は生命活動を要しない

おどろく ことに、何百万年も まえの、すみのように なった まつぼっくりでも、ぬらすと とじ、かわかすと ひらいた、という じっけんが あります[3]。

いきて いない から、うごけないと 思う かも しれません。でも、うごきの もとは、かさの そうが 水を すう ことでした。かさの つくりが のこって いれば、また うごけるのです。

だから まつぼっくりは、木から おちたあとも、雨の 日は とじ、はれた 日は ひらく ことを くりかえせます。

ヨーロッパアカマツの球果では、数百万年前に炭のように変化した球果でも、濡らすと閉じ、乾かすと再び開き、この動きが繰り返せたと報告されています[3]。

生きた細胞の働きなら、これほど古い球果では動けないはずです。動きが続くのは、鱗片の二層の構造が残り、水の出入りで層が伸び縮みするだけだから、と考えられます。

木から落ちた松ぼっくりが、庭や公園で雨のたびに閉じ、晴れると開くのも、同じしくみです。では、この動きを自分の目で確かめるには、どうすればよいのでしょうか。

この研究では、数百万年前の炭化した球果でも、濡れると閉じ、乾くと再び開く動きが繰り返し機能した[3]。

動きが生きた細胞に依存していれば、これほど古い試料で動くはずがない。構造と素材の吸湿性が残っていれば足りる、という見方を支える。ただし、化石試料の細かな条件や保存状態は、ここでは扱わない。

木から落ちて乾いた球果が、雨のたびに閉じ、晴れると開くのも、この受動的なしくみによる。では、この動きを、家にあるもので確かめるには、どうすればよいか。

6. まつぼっくりで、ためして みよう

6. 拾った松ぼっくりで、開閉を確かめる

6. 確かめる道すじ ── 水に浸し、乾かし、時間を計る

まつぼっくりが おちて いる 公園で、公園の 人に ひろって いいか 聞いて から、ひろいます。ひろった あとは 手を あらいます。

やってみよう。ひらいた まつぼっくりを、水を 入れた コップに 入れます。そして、30ぷん ごとに 見ます。ふつうは ゆっくり とじて いきます。とじたら、とりだして、まどの 近くに おきます。ひらいて いく ようすを 見ましょう。ひらく までの 時間は、へやの しつどや かわき ぐあいで かわります。数時間で ひらかない ときは、そのまま おいて、あとで 見ましょう。

ストーブや ひなたで むりに かわかさないで ください。火や あつい ものは つかいません。

とじる のは はやくても ひらく のは おそい ことが あります。時間を メモして おくと、くらべられます。

松ぼっくりが落ちている公園で、公園の人に拾ってよいか聞いてから拾います。拾ったあとは手を洗います。

やってみよう。開いた松ぼっくりを水を入れたコップに浸し、30分ごとに様子を見て、閉じるまでの時間を計ります。閉じたら取り出し、窓際など風通しのよいところに置いて、開くまでの時間も計ります。開くまでの時間は部屋の湿度や乾き具合で変わります。数時間で開かないときは、そのまま置いてあとで確かめます。

火やストーブ、ドライヤーは使いません。乾く速さが部屋や天気で変わるので、時間は記録しておくと、別の日と比べられます。

実験の結果は、日本の松ぼっくりでも同じとは限りません。ヨーロッパアカマツの研究との速さの違いを見つけたら、それが次の「なぜ」になります。

確かめ方を1つ挙げる。拾える場所かどうかを先に確かめ、拾ったあとは手を洗う。開いた球果を水に浸し、30分ごとに閉じ具合を記録する。閉じたら取り出し、風通しのよい室内に置いて、開くまでの時間を記録する。

火や加熱器具は使わない。研究で使われた55℃の加熱は実験室の条件であり、家庭では再現しない。乾燥の速さは室温と湿度で変わるため、同じ日・同じ部屋に置いた複数の球果で、閉じるまで・開くまでの時間を比べて記録すると、個体差と環境差を分けて考えやすい。開くまでの時間は湿度や乾き具合で変わる。数時間で開かないときは、そのまま置いてあとで確かめる。

結果が文献の「数分〜数時間」と近いか、ちがうかは、種や大きさ、乾き具合による。ちがいが出たなら、それ自体が「日本のマツではどうか」という新しい問いになる。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

出典について:博物館の解説と、学術論文を使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。

  1. 札幌市博物館活動センター「まつぼっくりって、どんなもの?」。https://www.city.sapporo.jp/museum/ouchimuseum/1204.html (乾くと開き湿ると閉じること、種の翼)
  2. Eger et al. 2022, Advanced Science. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9284161/ (鱗片の二層と伸び、水に浸すと閉じること)
  3. Horstmann et al. 2022, Frontiers in Plant Science 13:982756. https://www.frontiersin.org/journals/plant-science/articles/10.3389/fpls.2022.982756/full (最初の開きの音、開閉の速さ、炭化した球果、開く時期)
  4. Dawson, Vincent & Rocca 1997, How pine cones open, Nature 390:668. https://www.nature.com/articles/37745 (死んだ細胞の受動的な動き)

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