1. 胎盤って、どんな ものなの?
1. 赤ちゃんのために、妊娠中だけ働く臓器
1. 胎盤の大きさと位置づけ ── 約500g・直径約20cmの臨時の臓器
胎盤は、まるい ひらたい かたちを して います。おもさは 500グラムくらい、はばは 20センチくらいと いわれて います[3]。500ミリリットルの ペットボトルの 水と、だいたい おなじ おもさです。
あかちゃんが おなかに いる あいだだけ はたらく、臓器です。ずっと 体に ある 心ぞうとは ちがいます。
ただし、大きさは 本や 人に よって、すこし ちがいます。ここでは 「くらい」と 思って ください。
胎盤は、妊娠の終わりごろには、ほぼ円い平たい形になります。重さは約500g、直径は約20cm前後、厚さは約2〜3cmです[3]。500mlのペットボトル1本の水と、ほぼ同じ重さです。
心臓や胃のように一生使う臓器とはちがい、胎盤は妊娠のあいだに働く臓器です。赤ちゃんが生まれたあとは、おなかの中には残らず、体の外に出るとされています。
大きさや重さには資料によって幅があります。この記事の数値は、どれも「約」がつくものとして読んでください。
妊娠末期の胎盤は、ほぼ円盤状で、重さ約500g(400〜500gとする資料もある)、直径約20cm(15〜20cmとする資料がある)、厚さ約2〜3cmである[3]。500mlのペットボトル1本とほぼ同じ質量だが、数値は測定時期と資料で幅があるため、以下も「約」を前提に読んでほしい。
胎盤は妊娠中に作られ、妊娠中に働き、出産で体外に出る臓器である。心臓や腎臓のように成人まで働き続ける臓器ではないので、しばしば「一時的な臓器」と呼ばれる。
2. 血は まざらないのに、どうして わたせるの?
2. 赤ちゃんの血と母親の血は、混ざらずに向かい合う
2. 絨毛と母体血 ── 胎盤関門ごしの物質交換
胎盤の 中には、絨毛と いう、木の えだのような 細かい ものが たくさん あります[1]。絨毛の 中には、あかちゃんの 血管が 通って います。まわりには、お母さんの 血が 流れて います[2]。
ふたつの 血の あいだには、うすい かべが あります。血は まざりません。でも、酸素や 水、栄養は、かべを 通りぬけます[1]。
たとえば、ガラスごしに 荷物を うけわたす、たくはいボックスを 思いうかべて ください。ふたりは 会わなくても、荷物だけ とどきます。ただし 本当は、手で わたして いるのでは なく、とても 小さな つぶが かべを 通るのです。
胎盤の中には、絨毛と呼ばれる枝のような組織が、ぎっしり並んでいます。絨毛の中には赤ちゃんの毛細血管が通り、そのまわりは、子宮の壁の血管から流れこんだ母親の血で満たされています[2]。胎盤は、母親側の組織と、赤ちゃん側の組織が組み合わさってできています[1]。
赤ちゃんの血管と母親の血のあいだは、薄い壁で隔てられ、両者の血は混ざりません。水、酸素、二酸化炭素、アミノ酸、ブドウ糖などの小さな物質と、IgGという抗体は壁を通れます。母親自身のタンパク質は通れず、ウイルスや細菌も通しにくい構造だと説明されています[1]。
ガラス窓ごしに荷物を受けわたす宅配ボックスに似ています。ただし実際には、人の手ではなく、壁の性質に応じて物質が通ったり通らなかったりします。
胎盤は多くの物質の通り道を選んでいますが、「絶対に何も通らない」わけではありません。病原体の一部は、胎盤を通じて赤ちゃんに感染することがあります。
胎盤は、母体組織に由来する基底脱落膜と、胎児の組織である絨毛が一体となって構成される。円盤状の基底脱落膜の中に絨毛が収まる形をしている[1]。絨毛は子宮壁のらせん動脈から流れ込む母体血(絨毛間腔)に浸かり、絨毛組織を介して、母体から胎児へ酸素・水・栄養を、胎児から母体へ二酸化炭素などの不要物を受け渡す[2]。
絨毛内の胎児側毛細血管と母体血は薄い壁(胎盤関門)で隔てられ、母体血と胎児血は混ざらない。水・酸素・二酸化炭素・アミノ酸・グルコースなどの低分子、ホルモン、免疫グロブリンIgGは通過でき、母体のタンパク質は通過しにくいという。胎盤関門は多くの物質の通過を選別するが、一部の病原体は胎盤を通じて胎児に感染することがあり、「ウイルスや細菌は一切通らない」という意味ではない[1]。
この交換は、母体血が絨毛間腔を絶えず流れることに依存する。酸素の豊富な母体血が常に流れていないと、絨毛も胎児の発育も保てないと産婦人科医会の解説は述べる[9]。
3. あかちゃんと 胎盤を つなぐ ものは?
3. 胎盤と赤ちゃんをつなぐ、へその緒
3. 臍帯の構造 ── 3本の血管とゼラチン様の保護
胎盤と あかちゃんの おなかを つなぐ ひもが あります。「へその お」と よばれる、臍帯です。ながさは 50センチくらい、ふとさは 2センチくらいです[2]。
中には、3ぼんの 血管が 通って います。まわりは、ぷるんと やわらかい ものが つつんで、まもって います[2]。
胎盤と赤ちゃんのおなかをつなぐのが、へその緒(臍帯)です。長さは約50cm、太さは約2cmで、2本の動脈と1本の静脈、合わせて3本の血管が通っています[2]。
血管のまわりは、ゼラチンのようにやわらかい物質で包まれ、守られています。
この3本のうち、どれがどの向きに何を運ぶのかは、この記事の資料では確かめられなかったので、書きません。
臍帯は長さ約50cm、太さ約2cmで、2本の動脈と1本の静脈が走行する[2]。血管はゼラチン様の物質に包まれて保護される。
臍帯の動脈と静脈が、それぞれ酸素の多い血・少ない血のどちらを運ぶかは、参照した資料では確認できなかったため扱わない。「動脈=酸素の多い血」という体循環のイメージをそのまま当てはめると誤るおそれがある。
4. 妊娠けんさは、なにを 見て いるの?
4. 胎盤はホルモンも作る ── 妊娠検査と、途中のバトンタッチ
4. hCGの分泌と、黄体から胎盤へのホルモン産生の引き継ぎ
胎盤は、体の 中で はたらく ものを つくる こともします。ホルモンと いう ものです。そのひとつが、妊娠した ときに おしっこに 出る ものです[3]。妊娠けんさは、それを 見て います。
はじめの ころは、卵巣と いう ところが おもに 大事な ホルモンを つくって います。そのあと、胎盤が つくる ようになります[4]。リレーで、バトンを わたす ところに にて います。ただし 本当は、ぴたっと 1日で かわるのでは ありません。
5. あかちゃんを びょうきから まもる ものは?
5. 母親の抗体を赤ちゃんへ ── 拒絶されない不思議も
5. IgG抗体の移行と、胎児が免疫に排除されない理由
お母さんの 体には、びょうきから 体を まもる 抗体が あります。この 抗体の なかまが、胎盤を 通って、あかちゃんに とどきます[8]。お母さんから もらった この 抗体は、うまれた あと、少しずつ へって いきます。
ふしぎな ことも あります。あかちゃんは、お父さんから もらった ものも 持って います。それなのに、お母さんの 体は、あかちゃんを おいだしません。わけは いくつか あるようですが、ぜんぶは まだ わかって いません[7]。
IgGという抗体は胎盤を通って母親から赤ちゃんへ移ります。受けわたしは妊娠16週ごろに始まります。生まれるころには、赤ちゃんの血の中のIgGは、母親と同じくらいか、それ以上の濃さになる、と学会誌の解説は述べます[8]。母親由来のIgGは、生後6か月ごろまでに減っていきます。この時期、感染症にかかりにくいとされますが、「病気にならない」わけではありません。
もう一つの不思議は、赤ちゃんが父親由来の遺伝子も持つのに、母親の免疫に排除されないことです。総説の要旨によると、胎盤の構造や、胎盤で働く免疫に関わる分子が、母親の体が赤ちゃんを受け入れる助けになっていると考えられています[7]。ただし、しくみは複数あり、全部が解明されたわけではありません。
6. 胎盤は、だれの 体から できるの?
6. 赤ちゃんと同じ受精卵から生まれる胎盤
6. 受精卵から胎盤ができるしくみ ── 内部細胞塊・栄養膜外胚葉と、2022年のC19MC遺伝子の研究
胎盤は、お母さんの 体の 一部の ように 見えます。でも、もとは あかちゃんと おなじ 小さな 受精卵です[5]。
受精卵が ふえて いくと、あかちゃんに なる ぶぶんと、胎盤に なる ぶぶんが できます。
2022ねんに、東北大学などの 人たちが、人の 胎盤の 細胞が できる ときに、サルの なかまだけが 持つ 遺伝子が だいじだと しらべました[6]。
7. じぶんでも しらべて みたく なったら
7. 自分でも調べてみたくなったら
7. 自分でも調べてみたくなったら
白い 紙に、はばが 20センチの まるを かいて、切りとって みましょう。その 上に、500ミリリットルの ペットボトルを のせて、もちあげて みます。胎盤の 大きさと おもさが、少し 思いうかべられます。はさみを 使う ときは、おうちの 人と いっしょに してください。
もっと 知りたい ときは、としょかんで、からだの ほんを 見て みましょう。
紙に直径20cmの円を描いて切り取り、500mlのペットボトルを手にのせて、胎盤の大きさと重さを体で感じてみましょう。はさみを使うときは気をつけてください。
日本産婦人科医会のサイトには、胎盤や臍帯の超音波画像を説明するページがあります[2]。図書館では、からだの本の「胎児付属物」の項目を探してみてください。
しらべた もとの じょうほう
参考にした情報源
参考にした情報源と、その使い方
出典について:大学・公的機関・学会の解説と論文の要旨を突き合わせて使った。何に使ったかは、それぞれの項目の最後に書いている。
- 看護roo!「胎盤の構造はどうなっているの?」 https://www.kango-roo.com/learning/3796/ (胎盤の構成、胎盤関門、通れる物質)
- 日本産婦人科医会「胎盤・臍帯の超音波像」 https://www.jaog.or.jp/lecture/25-胎盤・臍帯の超音波像/ (絨毛と母体血、臍帯の大きさと血管)
- 時事メディカル 家庭の医学「胎児付属物」 https://medical.jiji.com/medical/031-0006-99 (胎盤の大きさ、hCGと妊娠反応)
- MSDマニュアル プロフェッショナル版「妊娠の生理」 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/ (ホルモンの引き継ぎ)
- 東北大学プレスリリース(2022年6月3日) https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2022/06/press20220603-02-human.html (胎児と胎盤が同じ受精卵から分かれること)
- AMED「ヒト胎盤の細胞ができるしくみの研究」(2022年6月3日) https://www.amed.go.jp/news/release_20220603.html (C19MC遺伝子の研究)
- 産科と婦人科 89巻11号「胎児が免疫で排除されないのはなぜ?」(要旨) https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.34433/J00525.2023015687 (免疫寛容の仕組み)
- 小児感染免疫 Vol.22 No.4 https://www.jspid.jp/wp-content/uploads/pdf/02204/022040403.pdf (IgG抗体の移行。検索抜粋にもとづく)
- 日本産婦人科医会「胎盤梗塞」 https://www.jaog.or.jp/lecture/29-胎盤梗塞/ (母体血の流れと胎盤の関係)
なおした ところ
更新履歴
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