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ここにあるのは、だれかが実際に調べ、考え、作ってきたことを集めたメモです。気になったら、ページの下の「参考にした情報源」から、もとの本や記事、それを生み出した人たちに、直接ふれてみてください。このメモには書ききれないおもしろさが、そこにあります。

プリーツスカートの ひだは、どうやって つくるの?

プリーツスカートのひだは、どうやって作り、なぜ洗っても残るのか

プリーツ加工のひだはどう付けられ、綿・ウール・合成繊維でどう保たれるのか

分野:技術

ファッションデザイナーの みやけいっせいさんの プリーツの 服は、ふつうと ぎゃくの じゅんばんで つくられます。ぬって 服の 形にしてから、おりたたんで ひだを つけるのです。

ひだは、どうやって つくるのでしょう。せんたくしても きえにくいのは、なぜでしょう。この ページを 読むと、ひだを ぬのに おぼえさせる しくみが わかります。

デザイナー三宅一生のプリーツの服は、一般的な服作りと逆の順番で作られます。先に服の形に縫い、そのあとで折りたたんで熱を加え、ひだを付けるのです[4]。

プリーツスカートのひだは、どうやって付けるのでしょうか。洗っても消えにくいのは、なぜでしょうか。この記事を読むと、折った形を布に覚えさせる方法が、素材によってちがうことが分かります。

三宅一生のPLEATS PLEASEは、布にひだを付けてから縫う通常の順序を逆にし、縫製した服を折りたたんで熱処理して作られる[4]。折り目は、洗濯のたびに消えてしまうのが普通だが、なぜプリーツは残るのか。

この記事を読むと、先に服を縫い、あとで紙にはさんでひだを付ける逆順の工程と、ポリエステル・綿・ウールが折り目を保つ化学的なしくみの違いが分かる。

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1. みやけいっせいさんの 服は、なぜ ぬってから おるの?

1. 三宅一生は、なぜ縫ってから折ったのか

1. 縫製後にひだを付ける三宅一生の逆の手順

プリーツとは、ぬのに おりめを つけて ひだに する ことです。学校の スカートや カーテンなど、いろいろな ところで つかわれて います[1]。

ふつうは、ぬのの ままで ひだを つけてから、服に ぬいます。ところが、みやけいっせいさんの プリーツの 服は ぎゃくです。まず、ちょうどよい 大きさの 2.5ばいから 3ばいも ある 大きさの 服を ぬいます。それを おりたたんで、プリーツに しあげた、と つたえられて います[5]。

おりたたむ ときは、うすい 紙で 服を はさみます。そのまま ねつを かけると、ひだの 形が 服に のこります[4]。

では、おった ひだは、どうして 水に ぬれても きえにくいのでしょう。

プリーツは、布に折りヒダを付ける加工で、学生服のスカートやカーテンなどに使われます[1]。ふつう、ひだは布の段階で付け、そのあとで服に仕立てます。

三宅一生のPLEATS PLEASEは、この順序が逆です。論文によると、三宅は適切なサイズの2.5〜3倍の大きさの服を裁断・組み立て、それから折りたたんだと伝えられています[5]。ブランドの展示でも、縫い上げた服を紙ではさんでプリーツに仕上げる工程が紹介されました[4]。

考えてみると、服の形になったあとなら、ひだが付いたままの形で完成します。大きく縫うのは、ひだに折りたたむと布が縮んで、ちょうどよい大きさになるからでしょう。ただし、この理由は資料に明記されたものではなく、筆者の推測です。

折っただけでは、洗えば戻ってしまいます。ひだを残すには、何が必要なのでしょうか。

プリーツ加工は、布に折りヒダを付ける加工であり、学生服のスカートやカーテンなどに広く使われる[1]。通常の工程では、布の状態でひだを付けたのち、服に仕立てる。三宅一生のPLEATS PLEASEは、この順序を逆にしている。

ブランドの展示(2012年)は、縫製した服を紙ではさんでプリーツに仕上げる方法を実演して見せた[4]。Motohashi の論文によれば、三宅は適切なサイズの2.5〜3倍の大きさの服を裁断・組み立て、そのあとに折りたたんだ[5]。ひだに折りたたむと布は幅方向に縮むので、大きめに作る理由はここにあると考えられるが、これは資料に明記された理由ではなく、推測である。

ただし、折りたたんだだけでは、水にぬれたり洗ったりすれば折り目は戻る。縫製後であっても布の段階であっても、折った形を繊維に固定する工程が必要になる。その固定が何で行われるのかは、素材によって異なる。まず、最も普及した合成繊維から見る。

2. おった 形は、どうして ぬれても きえにくいの?

2. 折った形を熱で「覚えさせる」合成繊維

2. 熱可塑性をもつ合成繊維が、折り目を固定する

ポリエステルなどの ごうせいせんいには、ねつで 形が かわりやすい 「ねつかそせい」と いう せいしつが あります。

おりたたんだ まま ねつや じょうきを あてると、ひだの 形が せんいに しっかり とまって、ひだが のこりやすく なります。水に ぬれても きえにくく なります[3]。

第二次せかいたいせんの あと、ねつかそせいの ある ごうせいせんいが 出てきて、あらっても のこる ひだが つくれるように なり、プリーツの わざが すすみました[2]。

スカートの ひょうじを 見ると、ポリエステルと 書いてある ものが あるかも しれません。

ポリエステルのような合成繊維には、熱で形を変えやすい性質(熱可塑性)があります。折りたたんだ状態で熱や蒸気を当てると、その形が繊維に固定・安定化され、ひだが残りやすくなります。こうして作ったひだは、水にぬれても消えにくくなります[3]。

この方法が広がったのは、第二次世界大戦のあとです。熱可塑性をもつ合成繊維が登場して、洗濯に耐える「パーマネントプリーツ」が作れるようになり、プリーツ加工の技術は大きく進みました[2]。

つまり、合成繊維のひだは、折った形を熱や蒸気で繊維に覚えさせて作ります。

ところが、すべての布が熱で形を覚えるわけではありません。綿やウールのスカートは、どうなっているのでしょうか。

ポリエステルなど、熱可塑性をもつ合成繊維は、熱で形を変えやすい。折りたたんだ状態の布に熱や蒸気を当てると、形態が固定・安定化し、耐久性が保たれ、水にぬれたあとでもプリーツは消えにくい[3]。

この技術が大きく発展したのは、第二次世界大戦後である。熱可塑性のある合成繊維が現れ、洗濯に耐えるパーマネントプリーツが得られるようになったためだ[2]。

合成繊維のひだは、折った形を熱と蒸気で繊維に固定して作る。ただし、この方法が当てはまるのは、熱可塑性をもつ繊維だけである。綿やウールのような天然繊維は、同じ理屈では折り目を保てない。では、どのような別の手段があるのか。

3. めんや ウールの ひだは、どうやって のこすの?

3. 綿とウールは、熱だけでなく化学の力で折り目を保つ

3. 綿の架橋結合とウールのシスチン結合の再構成

めんの 服は、せんいの 中に ある 小さな つなぎめ どうしを、とくべつな くすり(じゅし)で つないで、おりめを のこして います[3]。

ウールの ひだは、もっと おどろきます。かみの けの パーマと にた しくみなのです。まず くすりで せんいの つながりを 切ります。形を ととのえた あと、くうきと ねつの はたらきで、また つなげます[3]。

ウールの おりめを のこす わざに 「シロセットかこう」が あります。オーストラリアの けんきゅうじょが もとに なって いると、プリーツの 会社の ページに 書いて あります[2]。

かみの けを くるくるに する パーマと、スカートの ひだが にて いるなんて、ふしぎですね。

綿のような植物の繊維(セルロース系繊維)は、熱可塑性のある合成繊維とは別の方法でひだを保ちます。繊維の分子の枝にあたる部分(側鎖)の水酸基同士を、反応性樹脂でつなぐ(架橋結合)のです[3]。

ウールには、さらに面白い方法があります。羊毛の繊維には、硫黄どうしの結合(シスチン結合)があります。プリーツ加工では、還元剤でこの結合をいったん切り、折り目や形を整えたあと、酸化剤は使わずに、空気による酸化と熱処理で結び直します[3]。いわば、髪のパーマと似た原理です。

ウール用の耐久性のある折り目加工に、シロセット加工があります。波多野プリーツの解説によると、名前は、オーストラリアの連邦科学産業研究機構(CSIRO)の羊毛研究所での開発に由来するそうです[2]。

素材によって「固定する手段」が熱、樹脂、結合の組み替えと、これほど違うのです。では、工場ではどのような機械や手作業で、ひだを作るのでしょうか。

綿などのセルロース系繊維は、側鎖の水酸基(OH基)同士を反応性樹脂で架橋結合させる方法で、プリーツの保持性を得ている[3]。

ウールの場合は、機構がさらに独特である。羊毛繊維に含まれるシスチン結合(-S-S-)を、還元剤でいったん切断する。折り目やプリーツの形を整えたのち、酸化剤は用いず、空気酸化と熱処理で再結合させる[3]。結合を切って形を変え、結び直す点で、毛髪のパーマと同じ原理である。

ウール用の耐久性折り目加工であるシロセット加工は、波多野プリーツの解説によると、オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)の羊毛研究所での開発に由来する名である[2]。

熱で固定する合成繊維、樹脂で架橋する綿、結合を組み替えるウール。固定の仕組みは三者三様で、ひだの付け方の工程もそれぞれ異なると考えられる。実際の加工現場では、どのように折り目が付けられているのか。

4. こうじょうでは、どうやって ひだを おるの?

4. 紙ではさむ機械と、型紙を使う手作業

4. マシンプリーツとハンドプリーツの工程の違い

こうじょうの やり方は、二つ あります。

一つめは、きかいを つかう マシンプリーツです。うすい 紙を 二まい つかって ぬのを はさみ、ひだを つけます。それを あつい ローラーの あいだに とおして、ねつで 形を かためます[3]。

二つめは、手を つかう ハンドプリーツです。ひだの 形の 紙(かたがみ)を 上と 下に 二まい つかって、ぬのを はさみます。それを せんようの かまに 入れて、くうきを ぬいたり、じょうきを とおしたりを くりかえします。すると、ぬのが ひだの がらを おぼえます[1]。

工場の方法は、大きく二つに分かれます。

マシンプリーツは、上下2枚の薄紙のあいだに生地を入れてひだを付け、熱ロールとフェルトロールのあいだを通して、熱で形を固定します[3]。紙ではさむ点は、三宅一生の展示と共通しています。

ハンドプリーツは、上下一組の型紙の間に生地を置き、専用の釜に入れます。三協ワイエスの説明では、そこで真空と通蒸(蒸気を通すこと)を繰り返して、柄を生地に覚えさせます[1]。型紙を変えれば、図案の違うプリーツが作れます。

ここまでで、題名の二つの問いの答えがそろいます。ひだは、紙などで折りたたんだ形を、熱・蒸気・薬品の力で繊維に覚えさせて作ります。洗っても残るのは、その形が繊維の内側で固定されているからです。

マシンプリーツでは、上下2枚の薄紙のあいだに生地を投入してひだ付けを行い、熱ロールとフェルトロールのあいだを通して熱セットする[3]。連続して処理できる機械式の工程である。

ハンドプリーツでは、上下一組の型紙のあいだに生地を置いて挟み込み、専用釜に入れる。三協ワイエスによれば、釜の中で真空と通蒸を繰り返し、柄を覚えさせる[1]。型紙が柄を決める役割を担う。

以上から、題名の二つの問いに答えられる。ひだは、紙などを使って折った形を、熱・蒸気(および素材によっては薬剤)で繊維に固定して作る。洗濯で消えにくいのは、形が繊維の内側の性質として固定されているからである。三宅一生の方法は、この折りと固定を、布ではなく縫製後の服に行う点が通常と逆である。

では、身のまわりの服は、どうなっているのか。手で確かめられることを見る。

5. おうちの 服で ためして みよう

5. 手持ちの服と紙で、ひだを確かめる

5. 洗濯表示を読み、ひだの倍率を紙で試す

きょう できる こと

おうちの ひとと いっしょに、スカートや 服の ひょうじを 見て みましょう。カーテンも、ひょうじが あれば 見て みましょう。ポリエステル、めん、ウールなど、何で できて いるかが 書いて あります。ひだが ある ものは、どの せんいで できて いるかな。

つぎに、コピー用紙を 30センチの 長さに 切り、1センチずつ ジグザグに おりたたんで みましょう。おる 前の 長さと、おりたたんだ あとの はばを くらべると、おり方で はばが どう かわるか わかります。

もっと しりたく なったら

この ページの さいごの 「しりょう」の ところに、ひだを つくる 会社の ページが のって います。おとなの ひとと いっしょに 見て みましょう。

洗濯表示で素材を読む

家のスカートや服のタグ(カーテンも、表示があれば)を見て、素材が何か調べてみましょう。ポリエステルなのか、綿なのか、ウールなのか。ひだがあるものは、この記事のどの方法に当たりそうか、予想してみてください。ただし、タグの素材名だけでは、実際にどの加工が使われたかまでは分かりません。

紙で「倍率」を試す

コピー用紙を30cmの長さに切り、1cmずつ交互に折りたたみます。折りたたんだ後の幅を定規で測り、元の長さと比べましょう。折り幅を変えると、幅がどう変わるかも確かめられます。

原典に当たる

繊維ごとの固定のしかたは[3]に、工程や用語は[1]と[2]にあります。三宅一生の展示の紹介[4]は英語ですが、縫ったあとに紙ではさむ実演を読めます。

表示で素材を読む

手持ちのスカートや服のタグ(カーテンは表示があれば)で、素材を確かめるとよい。ポリエステルなら熱可塑性による固定、綿なら樹脂による架橋、ウールならシスチン結合の再構成が、それぞれ候補になる。ただしタグから分かるのは素材までで、実際に使われた加工法ではない。

紙で倍率を試す

30cmの紙を1cmごとに交互に折り、折りたたんだ幅を測ると、折る前後の幅の比が求まる。折り幅を変えて、折り方で幅がどう変わるかを確かめてみるとよい。

原典に当たる

日本繊維製品品質管理センターの解説[3]は、繊維ごとの固定の化学を扱っている。波多野プリーツの解説[2]は、合成繊維の登場とシロセット加工の由来を読める。三宅一生事務所の展示記録[4]は英語だが、縫製後に紙ではさんで仕上げる実演の紹介がある。

しらべた もとの じょうほう

参考にした情報源

参考にした情報源と、その使い方

本文で使った資料です。

  1. 三協ワイエス「加工の紹介」. https://www.sankyo-ys.co.jp/pleating/ (プリーツの意味/ハンドプリーツの工程)
  2. 波多野プリーツ「プリーツの基礎知識」. https://hatano-pleats.com/pleats/bases (合成繊維の登場/シロセット加工の由来)
  3. 日本繊維製品品質管理センター「第62回:テキスタイルの外観特性」2024. https://nissenken.or.jp/2024/03/01/sanpomichi62/ (熱可塑性・綿・ウールの固定/マシンプリーツ)
  4. 三宅一生事務所 Future Beauty: 30 Years of Japanese Fashion (2012). https://miyakeissey.org/en/history/collaborations/2012/future_beauty/ (縫製後に紙ではさんでプリーツにする工程)
  5. Motohashi, Y. How Has the Miyake Issey Exhibition Influenced the Cultural Landscape of Roppongi? ICOM Costume Committee, Milan 2016. https://costume.mini.icom.museum/wp-content/uploads/sites/10/2018/12/Milan_2016_Proceedings_-_Motohashi.pdf (2.5〜3倍の大きさで縫う話)

なおした ところ

更新履歴

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